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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171807
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ドラム型回転加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20241205BHJP
   A47J 37/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A47J27/14 Z
A47J37/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089038
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】591136296
【氏名又は名称】株式会社大神
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】山田 宗弘
【テーマコード(参考)】
4B040
4B054
【Fターム(参考)】
4B040AA01
4B040AC08
4B040AD12
4B040AE01
4B040GD21
4B040LA16
4B054AA04
4B054AB05
4B054AC02
4B054CD02
4B054CE04
4B054CH19
(57)【要約】
【課題】作業の熟練を要求されず、作業性を向上させることができ、また、誤った操作の発生を防止すること。
【解決手段】本発明では、前方を開口させたドラム型の釜(4)を加熱する加熱機構(17)と回転させる回転機構(28)とを設け、釜(4)に投入された食材を調理するドラム型回転加熱調理装置(1)において、調理メニュー(M1,M2,M3・・・)と、その調理メニュー(M1,M2,M3・・・)を調理するための加熱機構(17)・回転機構(28)の動作を設定した調理ステップ(S1,S2,S3・・・)と、その調理ステップ(S1,S2,S3・・・)を実行する前に作業者が行う動作を示すメッセージ(B1,B2,B3・・・)とを予め登録可能とし、選択された調理メニュー(M1,M2,M3・・・)を実行する際に、調理ステップ(S1,S2,S3・・・)を実行する前にメッセージ(B1,B2,B3・・・)を作業者に通知することにした。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方を開口させたドラム型の釜を加熱する加熱機構と回転させる回転機構とを設け、釜に投入された食材を調理するドラム型回転加熱調理装置において、
調理メニューと、その調理メニューを調理するための加熱機構・回転機構の動作を設定した調理ステップと、その調理ステップを実行する前に作業者が行う動作を示すメッセージとを予め登録可能とし、
選択された調理メニューを実行する際に、調理ステップを実行する前にメッセージを作業者に通知することを特徴とするドラム型回転加熱調理装置。
【請求項2】
前記メッセージの通知後から作業者が調理ステップを実行させる操作を行うまでの間の待機中に加熱機構・回転機構が行う待機動作を予め登録可能としたことを特徴とする請求項1に記載のドラム型回転加熱調理装置。
【請求項3】
前記調理メニュー、調理ステップ、メッセージ、待機動作を変更可能としたことを特徴とする請求項2に記載のドラム型回転加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方を開口させたドラム型の釜を加熱する加熱機構と回転させる回転機構とを設け、釜に投入された食材を調理するドラム型回転加熱調理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、大量の食材を加熱調理して炒め物等の食品に調理するために、ドラム型回転加熱調理装置が利用されている。
【0003】
このドラム型回転加熱調理装置は、基台に前方を開口させたドラム型の釜を回転可能に取付けるとともに、釜の下方において基台にバーナーを取付けた構成となっている。
【0004】
そして、ドラム型回転加熱調理装置では、ドラム型の釜を回転させながら、釜の下方からバーナーで加熱して、釜の開口から内部に投入された食材を加熱調理するようになっている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-38349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のドラム型回転加熱調理装置においては、作業者が釜の内部に食材を投入し、釜やバーナーの駆動状態(釜の回転速度やバーナーの加熱温度・加熱時間など)を手動で設定することで、釜を回転させながらバーナーで釜を外部から加熱して、釜の内部の食材を加熱して調理するようになっている。
【0007】
そのため、上記従来のドラム型回転加熱調理装置では、作業者が調理するメニューに応じて手動で釜やバーナーの駆動状態を調整する必要があり、作業に熟練を要するものであり、また、調理するメニュー毎に釜やバーナーの駆動を設定しなければならず、作業が煩雑であり、誤った操作をしてしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、前方を開口させたドラム型の釜を加熱する加熱機構と回転させる回転機構とを設け、釜に投入された食材を調理するドラム型回転加熱調理装置において、調理メニューと、その調理メニューを調理するための加熱機構・回転機構の動作を設定した調理ステップと、その調理ステップを実行する前に作業者が行う動作を示すメッセージとを予め登録可能とし、選択された調理メニューを実行する際に、調理ステップを実行する前にメッセージを作業者に通知することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記メッセージの通知後から作業者が調理ステップを実行させる操作を行うまでの間の待機中に加熱機構・回転機構が行う待機動作を予め登録可能とすることにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記調理メニュー、調理ステップ、メッセージ、待機動作を変更可能とすることにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、前方を開口させたドラム型の釜を加熱する加熱機構と回転させる回転機構とを設け、釜に投入された食材を調理するドラム型回転加熱調理装置において、調理メニューと、その調理メニューを調理するための加熱機構・回転機構の動作を設定した調理ステップと、その調理ステップを実行する前に作業者が行う動作を示すメッセージとを予め登録可能とし、選択された調理メニューを実行する際に、調理ステップを実行する前にメッセージを作業者に通知することにしているために、作業者が調理するメニュー(調理メニュー)毎に回転機構や加熱機構の駆動を調整する必要がなくなり、作業の熟練を要求されず、作業性を向上させることができ、また、誤った操作の発生を防止することができる。
【0013】
特に、前記メッセージの通知後から作業者が調理ステップを実行させる操作を行うまでの間の待機中に加熱機構・回転機構が行う待機動作を予め登録可能とすることにしているために、作業の安全性を向上させることができる。
【0014】
また、前記調理メニュー、調理ステップ、メッセージ、待機動作を変更可能とすることにした場合には、作業内容に応じた好適な設定に容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ドラム型回転加熱調理装置を示す正面図。
図2】同左側面図。
図3】同右側面図。
図4】同背面図。
図5】同左側面断面図。
図6】釜の回転軸を示す左側面断面拡大図。
図7】ドラム型回転加熱調理装置を示すブロック図。
図8】同動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るドラム型回転加熱調理装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1図7に示すように、ドラム型回転加熱調理装置1は、基台2の上部に本体3を上下揺動可能に設けるとともに、本体3の内部にドラム型の釜4を回転可能に設けている。
【0018】
基台2は、正面視で左右に本体3の横幅分の間隔を開けて脚体5,6を配置し、左右の脚体5,6で本体3を左右方向に向けて水平に伸延する左右一対の揺動軸7,8を介して所定角度範囲内で上下揺動可能に支持している。
【0019】
また、基台2は、右側の脚体6の上部前側に矩形箱形状の制御盤9を支持体10を介して取付けている。制御盤9の前面にはモニター11と操作パネル12とが上下に設けられ、制御盤9の左側面にはスピーカー13が設けられ、制御盤9の内部には制御装置14(コンピューター)が収容されている。
【0020】
さらに、基台2は、右側の脚体6の上部に揺動機構15を取付け、揺動機構15に揺動軸8を連動連結している。揺動機構15は、揺動軸8を回転駆動することで基台2に対して本体3とともに釜4を所定角度範囲内で上下に揺動させる機構であり、制御装置14に接続されており、制御装置14で制御される。
【0021】
本体3は、前方を開口させた前後に伸延する中空八角柱型形状となっており、中空部に前方を開口させた釜4を前端部分を外部(前方)に突出させた状態で回転軸16を介して回転自在に収容している。
【0022】
この本体3には、釜4を加熱するための加熱機構17が設けられている。加熱機構17は、制御装置14に接続されており、制御装置14で制御される。
【0023】
加熱機構17は、本体3の右側上部に燃料・空気混合装置18を設けるとともに、本体3の下部(釜4の直下方)にマット及びニット型のバーナー19を設け、本体3の上部(釜4の直上方)に排気筒20を設けている。燃料・空気混合装置18には、燃料ガスと空気とを混合させる混合機21と、外気を吸引して混合機21に供給する空気供給機22と、燃料ガスの流量を調整する調整弁24が設けられており、混合機21には、空気供給機22が空気供給流路23を介して接続されているとともに、燃料ガスを供給する燃料供給元配管が調整弁24及び燃料供給流路25を介して接続され、さらに、バーナー19が混合ガス供給流路26を介して接続されている。なお、燃料供給流路25は、揺動軸7(内部に形成した連通孔)及びスイベルジョイント27を介して燃料供給元配管と混合機21とを接続して、釜4が上下に揺動しても差し支えなく燃料が供給されるようにしている。
【0024】
そして、加熱機構17は、燃料供給元配管から燃料供給流路25を介して供給される燃料ガスと空気供給機22から空気供給流路23を介して供給される空気とを混合機21で混合させ、その混合ガスを混合ガス供給流路26を介してバーナー19に供給し、バーナー19で釜4(内部の食材)を加熱する。なお、混合機21での燃料と空気との混合ガスの供給量やバーナー19での火力などは制御装置14で制御(たとえば、PID制御)される。
【0025】
また、本体3には、釜4を回転させるための回転機構28が設けられている。回転機構28は、制御装置14に接続されており、制御装置14で制御される。
【0026】
回転機構28は、本体3の上部後側に駆動モーター29を取付けるとともに、駆動モーター29の駆動軸30に駆動スプロケット31を取付ける一方、本体3の後部中央に釜4の後端中央に取付けた回転軸16を軸受32を介して回転自在に取付けるとともに、回転軸16に従動スプロケット33を取付け、さらに、駆動スプロケット31と従動スプロケット33とを連動チェーン34で連動連結している。なお、駆動スプロケット31や従動スプロケット33や連動チェーン34などは本体3の後部に取付けたカバー35で被覆されている。
【0027】
そして、回転機構28は、駆動モーター29を駆動することで回転軸16を介して釜4を正転方向(正面視時計回り)又は逆転方向(正面視反時計回り)に回転させる。なお、駆動モーター29の回転方向や回転速度や回転時間などは制御装置14で制御される。
【0028】
以上に説明したように、ドラム型回転加熱調理装置1には、制御装置14に、釜4を上下に揺動させるための揺動機構15と、釜4を加熱するための加熱機構17と、釜4を回転させるための回転機構28とが接続されているとともに、表示手段としてのモニター11と、操作手段としての操作パネル12と、報知手段としてのスピーカー13とが接続されている。
【0029】
さらに、ドラム型回転加熱調理装置1には、釜4の温度を計測するための温度計測機構36が設けられている。
【0030】
温度計測機構36は、釜4の内側の温度を計測するための内側温度センサー37を釜4の内部に設け、一方、釜4の外側の温度を計測するための外側温度センサー38を釜4の外部(本体3の後部)に設けている。ここでは、内側温度センサー37として熱電対を用いて釜4の内部の食材と接触して釜4や食材の温度を直接的に計測するようにし、外側温度センサー38として赤外線放射温度計を用いて釜4の温度を間接的(非接触的)に計測するようにしている。なお、内側温度センサー37や外側温度センサー38は、複数個設けてもよい。
【0031】
内側温度センサー37は、釜4の内部に取付けられており、回転軸16に形成した連通孔39を介して内側温度センサー37のリード線40を釜4の外部に引出すとともに、回転軸16に取付けた端子41にリード線40を取付け、端子41に取付けたリード線40と接続される配線42を回転軸16の後端に取付けたスリップリング43を介して制御装置14に接続している。なお、スリップリング43は、本体3の後部にブラケット44を介して支持されている。
【0032】
この内側温度センサー37は、釜4の内側の温度を計測できるように釜4の内側に配置しているために、内側温度センサー37のリード線40を回転軸16の連通孔39から釜4の内側に配置して、リード線40を1個の保護カバーで被覆する構成とすることもできるが、釜4と保護カバーとの熱伸縮が異なり釜4の過加熱によって保護カバーが釜4から外れて食材に混入してしまうなどの不具合が生じるおそれがある。
【0033】
そのため、図6(a)及び(b)に示すように、内側温度センサー37を釜4の胴部内側に配置するとともに、釜4の胴部に形成した貫通孔45からリード線40を釜4の胴部外側に一旦引出し、釜4の底部に形成した貫通孔46からリード線40を釜4の底部内側に再び引入れ、回転軸16に形成した連通孔39からリード線40を釜4の外部に引出している。そして、釜4の胴部内側で内側温度センサー37及びリード線40を保護カバー47で被覆するとともに、釜4の胴部外側でリード線40を保護カバー48で被覆し、釜4の底部外側でリード線40を保護カバー49で被覆し、釜4の底部内側でリード線40を保護カバー50で被覆している。このように、内側温度センサー37のリード線40を釜4の内側と外側に沿って這わせるとともに4個に分割した保護カバー47~50で被覆して、釜4から保護カバー47~50が溶接割れ等によって外れてしまうのを防止している。
【0034】
外側温度センサー38は、本体3の後側上部に取付けられており、制御装置14に接続されている。外側温度センサー38には、冷却器51が設けられており、釜4の温度によって外側温度センサー38が加熱されても冷却器51で外側温度センサー38を冷却して正確に温度を計測できるようにしている。
【0035】
そして、ドラム型回転加熱調理装置1は、制御装置14で記憶媒体に記憶されているプログラムに従って各種メニューの調理を行う。
【0036】
ドラム型回転加熱調理装置1では、予め1又は複数種類の調理メニューをそれぞれ分けて登録しておくことができる。また、ドラム型回転加熱調理装置1では、予め各調理メニュー毎に1又は複数のステップからなる調理方法を登録しておくことができる。調理メニューや調理方法の登録は、作業者がモニター11や操作パネル12を用いて行う。各ステップでは、釜4の駆動について駆動時間、駆動速度(揺動速度や回転速度)や駆動方向(揺動方向や回転方向)などの揺動機構15や回転機構28に対する制御内容(調理方法)や、バーナー19の駆動について駆動時間(加熱時間)、駆動温度(火力)などの加熱機構17に対する制御内容(調理方法)を登録することができる。さらに、ドラム型回転加熱調理装置1では、各調理ステップを実行する前に作業者に通知するメッセージを予め登録することもできる。
【0037】
たとえば、ドラム型回転加熱調理装置1は、図8(a)に示すように、複数の調理メニューM1,M2,M3・・・からなる調理メニュー群をモニター11に表示する。作業者は、登録を行ういずれかの調理メニューM1,M2,M3・・・を操作パネル12を用いて選択する。なお、ここで新たに調理メニューを追加して登録することもできる。
【0038】
次に、ドラム型回転加熱調理装置1は、図8(b)に示すように、選択されたいずれかの調理メニューM1,M2,M3・・・に対応した複数のステップS1,S2,S3・・・からなる調理ステップ群をモニター11に表示する。作業者は、登録を行ういずれかのステップS1,S2,S3・・・を操作パネル12を用いて選択する。なお、ここで新たにステップを追加して登録することもできる。
【0039】
次に、ドラム型回転加熱調理装置1は、図8(c)に示すように、選択されたいずれかのステップS1,S2,S3・・・に対応した複数の調理方法A1,A2,A3・・・からなる調理方法群をモニター11に表示する。作業者は登録を行ういずれかの調理方法A1,A2,A3・・・を操作パネル12を用いて選択する。調理方法A1,A2,A3・・・とは、釜4の揺動速度・揺動方向・揺動時間や回転速度・回転方向・回転時間やバーナー19の駆動時間や駆動温度や温度計測に使用する内側温度センサー37又は外側温度センサー38のいずれかなどを指す。ここで作業者は、各ステップS1,S2,S3・・・ごとに、釜4の揺動速度・揺動方向・揺動時間や回転速度・回転方向・回転時間やバーナー19の駆動時間や駆動温度や温度計測に使用する内側温度センサー37又は外側温度センサー38のいずれかなどの調理方法A1,A2,A3・・・を登録する。なお、温度計測に使用する内側温度センサー37又は外側温度センサー38は、作業者が選択するようにしてもよく、また、選択されている調理メニューM1,M2,M3・・・やステップS1,S2,S3・・・や調理方法A1,A2,A3・・・などの加熱調理工程に応じて制御装置14が自動的に優先的に使用する内側温度センサー37又は外側温度センサー38を選択するようにしてもよい。
【0040】
次に、ドラム型回転加熱調理装置1は、図8(d)に示すように、選択されたいずれかのステップS1,S2,S3・・・に対応した複数のメッセージB1,B2,B3・・・からなるメッセージ群をモニター11に表示する。作業者は登録を行ういずれかのメッセージB1,B2,B3・・・を操作パネル12を用いて選択する。メッセージB1,B2,B3・・・とは、各ステップS1,S2,S3・・・を実行する前に釜4に投入する食材の種類や量や注意事項などを作業者にスピーカー13から通知する音声によるメッセージを指す。ここで作業者は、各ステップS1,S2,S3・・・ごとに、そのステップS1,S2,S3・・・を実行する前に作業者に通知する釜4に投入する食材の種類や量や注意事項などのメッセージB1,B2,B3・・・を登録する。
【0041】
次に、ドラム型回転加熱調理装置1は、図8(e)に示すように、選択されたいずれかのステップS1,S2,S3・・・に対応した複数の待機動作C1,C2,C3・・・からなる待機動作群をモニター11に表示する。作業者は登録を行ういずれかの待機動作C1,C2,C3・・・を操作パネル12を用いて選択する。待機動作C1,C2,C3・・・とは、少なくともメッセージB1,B2,B3・・・の通知後から作業者が調理ステップS1,S2,S3・・・を実行させる操作を行うまでの間の待機中に加熱機構17・回転機構28が行う待機動作を指す。ここで作業者は、各ステップS1,S2,S3・・・ごとに、少なくともメッセージB1,B2,B3・・・の通知後からそのステップS1,S2,S3・・・を実行させる操作を行うまでの間の待機中に加熱機構17・回転機構28が行う待機動作C1,C2,C3・・・を登録する。
【0042】
なお、ドラム型回転加熱調理装置1は、作業者による上記登録内容を随時変更することができるようにしている。
【0043】
そして、作業者は、以下のようにしてドラム型回転加熱調理装置1を用いて調理を行う。
【0044】
まず、ドラム型回転加熱調理装置1は、図8(a)に示すように、複数の調理メニューM1,M2,M3・・・からなる調理メニュー群をモニター11に表示する。作業者は、調理を行ういずれかの調理メニューM1,M2,M3・・・を操作パネル12を用いて選択する。
【0045】
次に、ドラム型回転加熱調理装置1は、選択されたいずれかの調理メニューM1,M2,M3・・・について予め登録された複数のステップS1,S2,S3・・・を順に実行する。なお、ドラム型回転加熱調理装置1は、最初のステップS1を実行する前に、揺動機構15を用いて釜4を水平よりも少し上方に傾けた状態で停止し、加熱機構17及び回転機構28を停止した状態にしておく。
【0046】
たとえば、ステップS1において、釜4を予備加熱するために、調理方法A1として釜4の揺動速度及び回転速度が低速と登録され、調理方法A2としてバーナー19の加熱時間が60秒と登録され、調理方法A3としてバーナー19の設定温度(火力)が180℃と登録され、調理方法A4として外側温度センサー38で温度計測すると登録され、メッセージB1として、「釜に油を200cc投入して下さい。投入後に開始スイッチを押して下さい。」と登録され、待機動作C1として、揺動機構15を用いて釜4を水平よりも少し上方に傾けた状態で停止し、バーナー19及び回転機構28を停止した状態が登録されている場合には、以下のように動作する。
【0047】
ドラム型回転加熱調理装置1は、揺動機構15を用いて釜4を水平よりも少し上方に傾けた状態で停止し、バーナー19及び回転機構28を停止した状態にするとともに、スピーカー13及びモニター11から操作者に向けて「釜に油を200cc投入して下さい。投入後に開始スイッチを押して下さい。」と通知する。その後、作業者が釜4の内部に油200ccを投入した後に操作パネル12(開始スイッチ)を操作する。その後、ドラム型回転加熱調理装置1は、外側温度センサー38を用いて釜4が180℃となるようにバーナー19を60秒間駆動するとともに揺動機構15及び回転機構28を低速で駆動する。その後(ステップS1の終了後)、ドラム型回転加熱調理装置1は、揺動機構15及びバーナー19並びに回転機構28を停止した状態にする。
【0048】
また、ステップS2において、食材を炒めるために、調理方法A1として釜4の揺動速度及び回転速度が高速と登録され、調理方法A2としてバーナー19の加熱時間が180秒と登録され、調理方法A3としてバーナー19の設定温度(火力)が200℃と登録され、調理方法A4として内側温度センサー37で温度計測すると登録され、メッセージB2として、「釜に食材を500g投入して下さい。投入後に開始スイッチを押して下さい。」と登録され、待機動作C1として、揺動機構15を用いて釜4を水平よりも少し上方に傾けた状態で停止し、バーナー19及び回転機構28を停止した状態が登録されている場合には、以下のように動作する。
【0049】
ドラム型回転加熱調理装置1は、揺動機構15を用いて釜4を水平よりも少し上方に傾けた状態で停止し、バーナー19及び回転機構28を停止した状態にするとともに、スピーカー13及びモニター11から操作者に向けて「釜に食材を500g投入して下さい。投入後に開始スイッチを押して下さい。」と通知する。その後、作業者が釜4の内部に炒める食材を投入した後に操作パネル12(開始スイッチ)を操作する。その後、ドラム型回転加熱調理装置1は、内側温度センサー37を用いて釜4が200℃となるようにバーナー19を180秒間駆動するとともに揺動機構15及び回転機構28を高速で駆動する。その後(ステップS2の終了後)、ドラム型回転加熱調理装置1は、揺動機構15及びバーナー19並びに回転機構28を停止した状態にする。
【0050】
上記ドラム型回転加熱調理装置1の動作において、制御装置14が内側温度センサー37又は外側温度センサー38のいずれか一方が故障したことを検出した場合には、他方の内側温度センサー37又は外側温度センサー38を用いて温度計測を行うようにしている。
【0051】
制御装置14は、内側温度センサー37及び外側温度センサー38で温度計測を行いながら、内側温度センサー37で計測した温度と外側温度センサー38で計測した温度の変化の仕方や温度差などに基づいて内側温度センサー37又は外側温度センサー38のいずれか一方が故障したことを検出することができる。
【0052】
以上に説明したように、上記ドラム型回転加熱調理装置1は、前方を開口させたドラム型の釜4を加熱する加熱機構17と回転させる回転機構28とを設け、釜4に投入された食材を調理する構成となっている。
【0053】
しかも、上記ドラム型回転加熱調理装置1は、釜4の内側の温度を計測する内側温度センサー37と、釜4の外側の温度を計測する外側温度センサー38とを設けた構成となっている。
【0054】
そのため、上記構成のドラム型回転加熱調理装置1では、内側温度センサー37又は外側温度センサー38のいずれか一方が故障しても他方の温度センサーを用いて加熱調理を良好に行うことができる。
【0055】
また、上記ドラム型回転加熱調理装置1は、内側及び外側温度センサー37,38を用いて計測された釜4の内側及び外側の温度差に基づいて異常を検出する構成となっている。
【0056】
そのため、上記構成のドラム型回転加熱調理装置1では、内側温度センサー37又は外側温度センサー38のいずれか一方の故障を容易に検知することができ、故障していない温度センサーに基づいてドラム型回転加熱調理装置1を良好に制御することができる。
【0057】
また、上記ドラム型回転加熱調理装置1は、内側又は外側温度センサー37,38のいずれか一方を加熱調理工程に応じて優先的に用いて温度を計測する構成となっている。
【0058】
そのため、上記構成のドラム型回転加熱調理装置1では、加熱調理工程に好適な温度センサーを用いて加熱調理をより一層良好に行うことができる。
【0059】
また、上記ドラム型回転加熱調理装置1は、調理メニューM1,M2,M3・・・と、その調理メニューM1,M2,M3・・・を調理するための加熱機構17・回転機構28の動作を設定した調理ステップS1,S2,S3・・・と、その調理ステップS1,S2,S3・・・を実行する前に作業者が行う動作を示すメッセージB1,B2,B3・・・とを予め登録可能とし、選択された調理メニューM1,M2,M3・・・を実行する際に、調理ステップS1,S2,S3・・・を実行する前にメッセージB1,B2,B3・・・を作業者に通知する構成となっている。
【0060】
そのため、上記構成のドラム型回転加熱調理装置1では、作業者が調理するメニュー(調理メニューM1,M2,M3・・・)毎に回転機構28や加熱機構17の駆動を調整する必要がなくなり、作業の熟練を要求されず、作業性を向上させることができ、また、誤った操作の発生を防止することができる。
【0061】
また、上記ドラム型回転加熱調理装置1は、メッセージB1,B2,B3・・・の通知後から作業者が調理ステップS1,S2,S3・・・を実行させる操作を行うまでの間の待機中に加熱機構17・回転機構28が行う待機動作を予め登録可能な構成となっている。
【0062】
そのため、上記ドラム型回転加熱調理装置1では、作業の安全性を向上させることができる。
【0063】
また、上記ドラム型回転加熱調理装置1は、調理メニューM1,M2,M3・・・、調理ステップS1,S2,S3・・・、メッセージB1,B2,B3・・・、待機動作C1,C2,C3・・・を変更可能な構成となっている。
【0064】
そのため、上記ドラム型回転加熱調理装置1では、作業内容に応じた好適な設定に容易に変更することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ドラム型回転加熱調理装置 2 基台
3 本体 4 釜
5,6 脚体 7,8 揺動軸
9 制御盤 10 支持体
11 モニター 12 操作パネル
13 スピーカー 14 制御装置
15 揺動機構 16 回転軸
17 加熱機構 18 燃料・空気混合装置
19 バーナー 20 排気筒
21 混合機 22 空気供給機
23 空気供給流路 24 調整弁
25 燃料供給流路 26 混合ガス供給流路
27 スイベルジョイント 28 回転機構
29 駆動モーター 30 駆動軸
31 駆動スプロケット 32 軸受
33 従動スプロケット 34 連動チェーン
35 カバー 36 温度計測機構
37 内側温度センサー 38 外側温度センサー
39 連通孔 40 リード線
41 端子 42 配線
43 スリップリング 44 ブラケット
45,46 貫通孔 47~50 保護カバー
51 冷却器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8