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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171814
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】蒸気発生装置
(51)【国際特許分類】
   F22B 35/04 20060101AFI20241205BHJP
   F22B 33/18 20060101ALI20241205BHJP
   F22B 1/16 20060101ALI20241205BHJP
   F22B 3/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F22B35/04
F22B33/18
F22B1/16 Z
F22B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089054
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 広
(72)【発明者】
【氏名】関谷 禎夫
(72)【発明者】
【氏名】川村 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】豊田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】薛 シュン
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA02
3L021BA08
3L021CA01
3L021DA04
3L021EA04
3L021FA02
(57)【要約】
【課題】安定的に(円滑に)起動することができる蒸気発生装置を提供する。
【解決手段】蒸気発生装置10Dは、各部の動作を制御する制御部25と、水から低圧蒸気を生成する蒸発器11と、低圧蒸気を圧縮して高圧蒸気を生成する圧縮機12と、蒸発器の内圧を検知する圧力検知手段(蒸発器圧力センサ21)と、蒸気を通す蒸気配管SP(吸込配管15、吐出配管16)と、圧縮機への気体の流入量を調節する第1種弁V1(吸込絞り弁18)と蒸気配管と大気とを連通する第2種弁V2(空気流入弁26、大気開放弁27)のいずれか一方又は双方の弁と、を有する。制御部は、装置の起動時に、蒸発器の内圧が所定の圧力範囲内となるように、第1種弁と第2種弁のいずれか任意の弁の開度を調整する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各部の動作を制御する制御部と、
水から低圧蒸気を生成する蒸発器と、
前記低圧蒸気を圧縮して高圧蒸気を生成する圧縮機と、
前記蒸発器の内圧を検知する圧力検知手段と、
蒸気を通す蒸気配管と、
前記圧縮機への気体の流入量を調節する第1種弁と前記蒸気配管と大気とを連通する第2種弁のいずれか一方又は双方の弁と、を有し、
前記制御部は、装置の起動時に、前記蒸発器の内圧が所定の圧力範囲内となるように、前記第1種弁と前記第2種弁のいずれか任意の弁の開度を調整する
ことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気発生装置において、
前記第1種弁として、前記蒸発器と前記圧縮機とを接続する吸込配管の途中に設けられた吸込絞り弁を備え、
前記制御部は、装置の起動時に、前記蒸発器の内圧が所定の圧力範囲内となるように、前記吸込絞り弁の開度を調整する
ことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の蒸気発生装置において、
前記第2種弁として、前記蒸発器と前記圧縮機とを接続する吸込配管の途中に設けられた空気流入弁を備え、
前記制御部は、装置の起動時に、前記蒸発器の内圧が所定の圧力範囲内となるように、前記空気流入弁の開度を調整する
ことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の蒸気発生装置において、
前記第2種弁として、前記蒸発器と前記圧縮機とを接続する吸込配管の途中に設けられた空気流入弁と、前記圧縮機と蒸気受入機器とを接続する吐出配管の途中に設けられた大気開放弁と、を備え、
前記制御部は、装置の起動時に、前記大気開放弁を開弁した後に、前記蒸発器の内圧が所定の圧力範囲内となるように、前記空気流入弁の開度を調整する
ことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の蒸気発生装置において、
前記吐出配管上の前記大気開放弁よりも下流側に設けられた蒸気供給弁を備え、
前記制御部は、装置の起動時に、前記大気開放弁を開弁した後に、前記蒸発器の内圧が所定の圧力範囲内となるように、前記空気流入弁の開度を調整し、前記空気流入弁を全閉してから前記蒸気供給弁を開弁し、前記大気開放弁を閉弁する
ことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項6】
請求項1に記載の蒸気発生装置において、
前記第1種弁として、前記蒸発器と前記圧縮機とを接続する吸込配管の途中に設けられた吸込絞り弁を備え、
前記第2種弁として、前記蒸発器と前記圧縮機とを接続する吸込配管の途中に設けられた空気流入弁と、前記圧縮機と蒸気受入機器とを接続する吐出配管の途中に設けられた大気開放弁と、を備え、
前記制御部は、装置の起動時に、前記大気開放弁を開弁した後に、前記吸込絞り弁を開弁し、前記蒸発器の内圧が所定の圧力範囲内となるように、前記空気流入弁の開度を調整する
ことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項7】
請求項6に記載の蒸気発生装置において、
前記吐出配管上の前記大気開放弁よりも下流側に設けられた蒸気供給弁を備え、
前記制御部は、装置の起動時に、前記大気開放弁を開弁した後に、前記吸込絞り弁を開弁し、前記蒸発器の内圧が所定の圧力範囲内となるように、前記空気流入弁の開度を調整し、前記空気流入弁を全閉してから前記蒸気供給弁を開弁し、前記大気開放弁を閉弁する
ことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項8】
請求項6に記載の蒸気発生装置において、
前記吐出配管上の前記大気開放弁よりも下流側に設けられた蒸気供給弁を備え、
前記制御部は、装置の停止時に、前記蒸気供給弁と前記吸込絞り弁を閉弁した後に、前記空気流入弁と前記大気開放弁を開弁した状態を所定時間保持する
ことを特徴とする蒸気発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の防止やカーボンニュートラル社会の実現に向けて、機器の省エネルギー化や高効率化がますます重要となってきている。工場などの製造現場においては、熱源として蒸気が用いられることが多く、その蒸気を生成するための燃焼式ボイラに関しては、化石燃料の燃焼によらない蒸気発生装置への置き換えが求められていくものと考えられる。このような背景の下、蒸気ボイラの熱源として、ガスや重油等を用いる燃焼器に代わる構成を有するものが開発されてきている。
【0003】
特許文献1には、温水等の熱源流体を熱源として蒸発器において低圧蒸気を発生させ、その蒸気を昇圧する蒸気システムが提案されている。この蒸気システムでは、昇圧装置の起動時に、低圧蒸気の圧力が予め設定された起動時目標圧力となるように熱源流体の流量を制御する技術が開示されている。この発明では、前記の通り熱源流体の流量の制御により低圧蒸気の圧力を制御するため、配管の熱容量や配管内部の熱源流体の熱容量が大きい場合には、制御の遅れが増大し、蒸発器内部の水の温度が急低下し、蒸発器内部の水の温度が定常運転の温度に収束するまでの時間が長くなったり、蒸発圧力が変動する可能性があり、装置の円滑な起動が行えなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-217554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸気発生装置は、起動時に、蒸発器内部の気体が圧縮機に吸引されて、蒸発器の内部で蒸発が始まる。すると、蒸発前の水の熱容量により瞬時に蒸発が起こるが、熱源媒体からの受熱に遅れが生じる。従来の蒸気発生装置は、熱源媒体からの受熱に遅れにより、蒸発器内部の水の温度が過度に低下してしまい、安定的に起動できない可能性がある。
【0006】
本発明は、装置の起動時に、蒸発器の内圧(内部の圧力)を所定の圧力範囲内に保持することで、蒸発器内部の水の温度の過度な低下を防止して、安定的に(円滑に)起動することができる蒸気発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、蒸気発生装置であって、各部の動作を制御する制御部と、水から低圧蒸気を生成する蒸発器と、前記低圧蒸気を圧縮して高圧蒸気を生成する圧縮機と、前記蒸発器の内圧を検知する圧力検知手段と、蒸気を通す蒸気配管と、前記圧縮機への気体の流入量を調節する第1種弁と前記蒸気配管と大気とを連通する第2種弁のいずれか一方又は双方の弁と、を有し、前記制御部は、装置の起動時に、前記蒸発器の内圧が所定の圧力範囲内となるように、前記第1種弁と前記第2種弁のいずれか任意の弁の開度を調整する構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置の起動時に、蒸発器の内圧を所定の圧力範囲内に保持することができるため、蒸発器内部の水の温度の過度な低下を防止することができ、安定的に(円滑に)起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る蒸気発生装置の構成図である。
図2】第1実施形態に係る蒸気発生装置の起動時の動作を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態に係る蒸気発生装置の構成図である。
図4】第2実施形態に係る蒸気発生装置の起動時の動作を示すフローチャートである。
図5】第3実施形態に係る蒸気発生装置の構成図である。
図6】第3実施形態に係る蒸気発生装置の起動時の動作を示すフローチャートである。
図7】第4実施形態に係る蒸気発生装置の構成図である。
図8】第4実施形態に係る蒸気発生装置の起動時の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の第4実施形態の、蒸気発生装置の停止時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
以下の説明では、蒸気を通す配管を「蒸気配管SP(図1図3図5図7)」とし、圧縮機12への気体の流入量を調節する弁を「第1種弁V1(図1図7)」とし、蒸気配管SPと大気とを連通する弁を「第2種弁V2(図3図5図7)」として説明する。
【0012】
第1実施形態から第5実施形態に係る蒸気発生装置10A,10B,10C、10Dは、第1種弁V1と第2種弁のいずれか一方又は双方の弁を有する構成になっている。第1実施形態に係る蒸気発生装置10A(図1)は、第1種弁V1として吸込絞り弁18を有する構成になっている。第2実施形態に係る蒸気発生装置10B(図3)は、第2種弁V2として空気流入弁26を有する構成になっている。第3実施形態に係る蒸気発生装置10C(図5)は、第2種弁V2として空気流入弁26と大気開放弁27とを有する構成になっている。第4実施形態に係る蒸気発生装置10D(図7)は、第1種弁V1として吸込絞り弁18を有するとともに、第2種弁V2として空気流入弁26と大気開放弁27とを有する構成になっている。
【0013】
[第1実施形態]
<蒸気発生装置の構成>
以下、図1を参照して、本第1実施形態に係る蒸気発生装置10Aの構成について説明する。図1は、本第1実施形態に係る蒸気発生装置10Aの構成図である。前記した通り、本第1実施形態に係る蒸気発生装置10Aは、第1種弁V1(圧縮機12への気体の流入量を調節する弁)として吸込絞り弁18を有する構成になっている。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の蒸気発生装置10Aは、蒸発器11と、圧縮機12と、制御部25と、吸込絞り弁18と、を備えており、蒸発器11は、熱源媒体流路14と、水を供給する給水配管13と、蒸発器11の内部の圧力(内圧)を検知する圧力検知手段である蒸発器圧力センサ21と、を有している。
【0015】
熱源媒体流路14は、熱源媒体が蒸発器11の内部を通過する熱源配管であり、熱源媒体と蒸発器11内部の水との間で熱交換が行われるように構成されている。本実施形態において、熱源媒体は工場で排出される80℃程度の排温水であるが、例えば機器の冷却水や潤滑油等でも構わない。蒸発器11内部の水は、内部の液面がほぼ一定となるように給水弁28により外部から供給される。
【0016】
蒸発器11と圧縮機12とは、吸込配管15により接続され、吸込配管15の途中には開度が制御可能な吸込絞り弁18が配置されている。圧縮機12の吐出側と蒸気受入機器17(例えば熱風発生装置等の蒸気利用機器や、蒸気を一時的に蓄えるヘッダやアキュムレータ等)とは、吐出配管16により接続されている。吸込配管15と吐出配管16とは、蒸気を通す蒸気配管SPを構成している。
【0017】
吐出配管16の途中には、蒸気供給弁19が配置されており、圧縮機12と蒸気供給弁19との間には、吐出圧力センサ23が配置されている。また、蒸気供給弁19と蒸気受入機器17との間には、供給蒸気圧力センサ24が配置されている。
【0018】
また、熱源媒体流路14には、熱源媒体の温度を検出する熱源温度センサ20が配置されており、蒸発器11には、内部の水の温度を検出する蒸発器温度センサ22が配置されている。
【0019】
制御部25は、電気配線等(図示せず)により、各種のセンサからの信号や、運転指令を受け取り、内蔵されたプログラムにより、圧縮機12や弁などの各種アクチュエータの制御を行う。
【0020】
<蒸気発生装置の起動時の動作>
以下、図2を参照して、蒸気発生装置10Aの起動時の動作について説明する。図2は、蒸気発生装置10Aの起動時の動作を示すフローチャートである。蒸気発生装置10Aの動作は主に制御部25によって行われる。ここでは、初期状態において、蒸気供給弁19が閉じており、吸込絞り弁18が任意の開度で開いているものとして説明する。
【0021】
図2に示すように、蒸気発生装置10Aの制御部25は、外部から起動指令を受けると、蒸発器11が暖機されているか否かを判定する(ステップS101)。例えば、制御部25は、熱源媒体と蒸発器11内部の水の温度が一定以上であるか否かを判定することで、蒸発器11が暖機されているか否かを判定する。本実施形態では、一例として、源媒体と蒸発器11内部の水の温度が例えば70℃以上であるか否かを判定することで、蒸発器11が暖機されているか否かを判定するものとして説明する。
【0022】
蒸発器11の暖機が完了すると、制御部25は、圧縮機12を起動させる(ステップS102)。そして、吐出圧力センサ23で計測される吐出圧力が供給蒸気圧力以上であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0023】
ステップS103の判定で、吐出圧力が供給蒸気圧力以上であると判定される場合(“Yes”の場合)に、制御部25は、蒸気供給弁19を開弁する(ステップS104)。一方、ステップS103の判定で、吐出圧力が供給蒸気圧力未満であると判定される場合(“No”の場合)に、蒸気発生装置10Aの処理はステップS105に進む。
【0024】
ステップS102で圧縮機12が起動することにより、蒸発器11内部の気体が圧縮機12に吸引されて、蒸発器11の内圧が低下していく。その際に、蒸発器11の内圧が極度に低下しないように、制御部25は、予め定めた所定の圧力範囲を目標とし、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲に入るように、吸込絞り弁18の開度を調整する(ステップS105)。本実施形態では、一例として、圧力範囲が例えば絶対圧で約0.02MPaから約0.05MPaの間であるものとして説明する。ちなみに、大気圧は、絶対圧で0.1013MPaである。
【0025】
このように蒸気発生装置10Aは、ステップS105で吸込絞り弁18を用いて蒸発器11の内圧(吸込配管15の内圧)を直接的に制御するため、応答性の高い制御が可能であり、精度の高い圧力調整が実現できる。
【0026】
ステップS105の後、制御部25は、吸込絞り弁18の開度が全開になっているか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106の判定で、吸込絞り弁18の開度が全開になっていると判定される場合(“Yes”の場合)に、蒸気発生装置10Aの起動が完了となるため、制御部25は、一連のルーチンの処理を終了する。この場合に、蒸気発生装置10Aの動作は通常運転へと移行する。一方、ステップS106の判定で、吸込絞り弁18の開度が全開になっていないと判定される場合(“No”の場合)に、蒸気発生装置10Aの処理はステップS103に戻る。この場合に、制御部25は、ステップS103からステップS106までの処理を、起動時に繰り返す。
【0027】
このような蒸気発生装置10Aは、圧縮機12と各種弁とが制御されることにより、起動時の蒸発器11の内圧が精度よく所定の圧力範囲内に保たれる。そのため、蒸気発生装置10Aは、蒸発器11内部の水温の急低下や蒸発器11内部の圧力(内圧)の変動(ハンチング)を防止することができる。このような蒸気発生装置10Aは、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、圧縮機12の吐出側に蒸気供給弁19と2つの圧力センサ(吐出圧力センサ23と供給蒸気圧力センサ24)を設置して、2つの圧力センサ(吐出圧力センサ23と供給蒸気圧力センサ24)の値をもとに蒸気供給弁19を開弁している。しかしながら、これらの仕組みを逆止弁に置き換えて構成してもよい。また、制御の判定に用いる温度や圧力の値は、必ずしも本実施形態に掲載した値に制限されるものではなく、熱源媒体の温度や流量、目標とする運転状態に応じて任意に設定することができる。
【0029】
[第2実施形態]
以下、図3を参照して、本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bの構成について説明する。図3は、本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bの構成図である。前記した通り、本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、第2種弁V2として空気流入弁26を有する構成になっている。
【0030】
図3に示すように、本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、第1実施形態に係る蒸気発生装置10A(図1参照)と比較すると、以下の点で相違する。
(1)吸込配管15の途中に設けられていた吸込絞り弁18が削除されている点。
(2)第1種弁V1としての吸込絞り弁18の代わりに、第2種弁V2(蒸気配管SPと大気とを連通する弁)として、吸込配管15の途中に空気流入弁26を有する点。
【0031】
空気流入弁26は、開度を調整可能な弁であり、開放されることにより、大気の空気を吸込配管15に流入させる。本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、その他の部分については、第1実施形態に係る蒸気発生装置10A(図1)と同様である。
【0032】
以下、図4を参照して、蒸気発生装置10Bの起動時の動作について説明する。図4は、蒸気発生装置10Bの起動時の動作を示すフローチャートである。ここでは、初期状態において、蒸気供給弁19が閉じており、空気流入弁26が任意の開度で開いているものとして説明する。また、ここでは、本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bの動作について、第1実施形態に係る蒸気発生装置10A(図2)と相違する動作を重点的に説明し、第1実施形態に係る蒸気発生装置10A(図2)と同様の動作については説明を省略する(以下、他の実施形態においても同様。)。
【0033】
図4に示すように、蒸気発生装置10Bの制御部25は、外部から起動指令を受けると、図2に示すステップS101からステップS104までの処理と同様に、ステップS201からステップS204までの処理を行う。
【0034】
そして、ステップS204の後、又は、ステップS203の判定で、吐出圧力が供給蒸気圧力未満であると判定される場合(“No”の場合)に、蒸発器11の内圧が極度に低下しないように、制御部25は、予め定めた所定の圧力範囲を目標とし、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲に入るように、空気流入弁26の開度を調整する(ステップS205)。本実施形態では、一例として、圧力範囲が例えば絶対圧で約0.02MPaから約0.05MPaの間であるものとして説明する。
【0035】
このように蒸気発生装置10Bは、ステップS205で空気流入弁26を用いて蒸発器11の内圧(吸込配管15の内圧)を直接的に制御するため、応答性の高い制御が可能であり、精度の高い圧力調整が実現できる。
【0036】
ステップS205の後、制御部25は、空気流入弁26の開度が全閉になっているか否かを判定する(ステップS206)。ステップS206の判定で、空気流入弁26の開度が全閉になっていると判定される場合(“Yes”の場合)に、蒸気発生装置10Bの起動が完了となるため、制御部25は、一連のルーチンの処理を終了する。この場合に、蒸気発生装置10Bの動作は通常運転へと移行する。一方、ステップS206の判定で、空気流入弁26の開度が全閉になっていないと判定される場合(“No”の場合)に、蒸気発生装置10Bの処理はステップS203に戻る。この場合に、制御部25は、ステップS203からステップS206までの処理を、起動時に繰り返す。
【0037】
このような蒸気発生装置10Bは、圧縮機12と各種弁とが制御されることにより、起動時の蒸発器11の内圧が精度よく所定の圧力範囲内に保たれる。そのため、蒸気発生装置10Bは、蒸発器11内部の水温の急低下や蒸発器11内部の圧力(内圧)の変動(ハンチング)を防止することができる。このような蒸気発生装置10Bは、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0038】
また、本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、蒸発器11と圧縮機12との間に直列に挿入された吸込絞り弁18がないため、吸込配管15の流動抵抗を低減して、蒸気流動時の圧力低下を最小限に抑えることができる。このような本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、第1実施形態に係る蒸気発生装置10A(図1)と比べて、圧縮機12の動力を低減することができるため、蒸気受入機器17により効率よく蒸気を供給することができる。さらに、本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、起動中の圧縮機12の吸込み圧力が蒸発器11の内圧とほぼ同等となる。このような本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、圧縮機12の吸込み圧力の最低値を予め規定することができる。そのため、本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、圧縮機12の吸込み圧力が過度に低下することによる軸封装置の不具合等が発生することを抑制することができる。このような本第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、より高い効率と信頼性を確保しつつ、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0039】
[第3実施形態]
以下、図5を参照して、本第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cの構成について説明する。図5は、本第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cの構成図である。前記した通り、本第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cは、第2種弁V2として空気流入弁26と大気開放弁27とを有する構成になっている。
【0040】
図5に示すように、本第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cは、第2実施形態に係る蒸気発生装置10A(図1参照)と比較すると、第2種弁V2として、空気流入弁26に加えて、圧縮機12と吐出圧力センサ23との間に、大気開放弁27を有する点で相違している。
【0041】
大気開放弁27は、開度を調整可能な弁であり、開放されることにより、吐出配管16内部の蒸気(圧縮機12によって圧縮された高圧蒸気)の一部を大気に放出させる。本第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cは、その他の部分については、第2実施形態に係る蒸気発生装置10B(図3)と同様である。
【0042】
以下、図6を参照して、蒸気発生装置10Cの起動時の動作について説明する。図6は、蒸気発生装置10Cの起動時の動作を示すフローチャートである。ここでは、初期状態において、蒸気供給弁19と大気開放弁27が閉じており、空気流入弁26が任意の開度で開いているものとして説明する。
【0043】
図6に示すように、蒸気発生装置10Cの制御部25は、外部から起動指令を受けると、蒸発器11が暖機されているか否かを判定する(ステップS301)。ステップS301の処理は、図2に示すステップS101の処理及び図4に示すステップS201の処理と同様である。
【0044】
蒸発器11の暖機が完了すると、制御部25は、大気開放弁27を開弁して(ステップS302)、圧縮機12を起動させる(ステップS303)。
【0045】
ステップS302で圧縮機12が起動することにより、蒸発器11内部の気体が圧縮機12に吸引されて、蒸発器11の内圧が低下していく。その際に、蒸発器11の内圧が極度に低下しないように、制御部25は、予め定めた所定の圧力範囲を目標とし、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲に入るように、空気流入弁26の開度を調整する(ステップS304)。本実施形態では、一例として、圧力範囲が例えば絶対圧で約0.02MPaから約0.05MPaの間であるものとして説明する。
【0046】
このように蒸気発生装置10Cは、ステップS304で空気流入弁26を用いて蒸発器11の内圧(吸込配管15の内圧)を直接的に制御するため、応答性の高い制御が可能であり、精度の高い圧力調整が実現できる。
【0047】
ステップS304の後、制御部25は、空気流入弁26の開度を確認が全閉になっているか否かを判定する(ステップS305)。ステップS305の判定で、空気流入弁26の開度が全閉になっていないと判定される場合(“No”の場合)に、蒸気発生装置10Cの処理はステップS304に戻る。この場合に、制御部25は、ステップS304からステップS305までの処理を繰り返す。一方、ステップS305の判定で、空気流入弁26の開度が全閉になっていると判定される場合(“Yes”の場合)に、蒸気配管SP内部の蒸気の状態が一定になるように、そのまま所定時間(好ましくは一定時間)待機する(ステップS306)。本実施形態では、一例として待機時間が例えば10秒程度であるものとして説明する。
【0048】
ステップS306の後、制御部25は、蒸気供給弁19を開弁(ステップS307)し、さらに、大気開放弁27を閉弁する(ステップS308)。これにより、蒸気発生装置10Cの起動が完了となるため、制御部25は、一連のルーチンの処理を終了する。
【0049】
このような蒸気発生装置10Cは、圧縮機12と各種弁とが制御されることにより、起動時の蒸発器11の内圧が精度よく所定の圧力範囲内に保たれる。そのため、蒸気発生装置10Cは、蒸発器11内部の水温の急低下や蒸発器11内部の圧力(内圧)の変動(ハンチング)を防止することができる。このような蒸気発生装置10Cは、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0050】
また、本第3実施形態では、空気流入弁26が全閉でない場合(ステップS305の判定で“No”の場合)に、つまり、圧縮機12の吐出流体に空気が含まれている場合に、蒸気発生装置10Cは、蒸気受入機器17に蒸気を供給しない。このような蒸気発生装置10Cは、蒸気受入機器17への空気の混入が制限される場合にも、用いることができる。このような蒸気発生装置10Cは、第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bと同様に高い効率と信頼性を確保しつつ、安定的に(円滑に)起動することができるとともに、第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bよりも供給蒸気の高い品質を確保することができる。
【0051】
[第4実施形態]
以下、図7を参照して、本第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dの構成について説明する。図7は、本第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dの構成図である。前記した通り、本第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、第1種弁V1として吸込絞り弁18を有するとともに、第2種弁V2として空気流入弁26と大気開放弁27とを有する構成になっている。
【0052】
図7に示すように、本第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、第3実施形態に係る蒸気発生装置10C(図5参照)と比較すると、第2種弁V2としての空気流入弁26と大気開放弁27に加えて、第1種弁V1(圧縮機12への気体の流入量を調節する弁)として吸込絞り弁18を有する点で相違している。本第4実施形態に係る蒸気発生装置10DCは、その他の部分については、第3実施形態に係る蒸気発生装置10(図5)と同様である。
【0053】
以下、図8を参照して、蒸気発生装置10Dの起動時の動作について説明する。図8は、蒸気発生装置10Dの起動時の動作を示すフローチャートである。ここでは、初期状態において、吸込絞り弁18と蒸気供給弁19と大気開放弁27が閉じており、空気流入弁26が任意の開度で開いているものとして説明する。
【0054】
図8に示すように、蒸気発生装置10Dの制御部25は、外部から起動指令を受けると、図6に示すステップS301からステップS302までの処理と同様に、ステップS401からステップS402までの処理を行う。
【0055】
そして、ステップS402の後、制御部25は、吸込絞り弁18を開弁する(ステップS403)。ステップS403の後、制御部25は、図6に示すステップS303からステップS308までの処理と同様に、ステップS404からステップS409までの処理を行う。
【0056】
このような本第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、第3実施形態に係る蒸気発生装置10C(図5参照)と同様に、空気流入弁26が全閉でない場合(ステップS406の判定で“No”の場合)に、つまり、圧縮機12の吐出流体に空気が含まれている場合に、蒸気受入機器17に蒸気を供給しない。そのため、本第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、第3実施形態に係る蒸気発生装置10C(図5参照)と同様に、蒸気受入機器17への空気の混入が制限される場合にも、用いることができる。このような本第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cと同様に、高い効率と信頼性を確保しつつ、安定的に(円滑に)起動することができるとともに、第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bよりも供給蒸気の高い品質を確保することができる。
【0057】
なお、蒸気発生装置10Dは、装置の停止時に図9に示すような制御を行うとよい。以下、図9を参照して、蒸気発生装置10Dの停止時の動作について説明する。図9は、蒸気発生装置10Dの停止時の動作を示すフローチャートである。
【0058】
図9に示すように、蒸気発生装置10Dの制御部25は、外部から停止指令を受けると、大気開放弁27を開弁し(ステップS411)、蒸気供給弁19を閉弁する(ステップS412)。その後、制御部25は、空気流入弁26を開弁し(ステップS413)、吸込絞り弁18を閉弁する(ステップS414)。これにより、蒸気発生装置10Dは、圧縮機12で空気を吸入し圧縮して大気に開放する運転となる。
【0059】
蒸気発生装置10Dは、この運転状態で所定時間(好ましくは一定時間)待機する(ステップS415)。これにより、蒸気発生装置10Dは、空気流入弁26と大気開放弁27を開弁した状態を所定時間(好ましくは一定時間)保持する。本実施形態では、この待機時間が約3分であるものとして説明する。
【0060】
ステップS415の後、制御部25は、圧縮機12を停止させ(ステップS416)、空気流入弁26と大気開放弁27を閉弁する(ステップS417,S418)。これにより、蒸気発生装置10Dの停止が完了となるため、制御部25は、一連のルーチンの処理を終了する。
【0061】
蒸気発生装置10Dは、装置の停止時に、蒸気供給弁19と吸込絞り弁18を閉弁した後に、空気流入弁26と大気開放弁27を開弁した状態を所定時間保持することで、空気のみを圧縮して所定時間運転する。そのため、このような蒸気発生装置10Dは、装置の停止前に圧縮機12内部の水分の多くを外部に排出することができるため、内部の腐食などに起因する寿命の低下を最小限に抑えることができる。
【0062】
<蒸気発生装置の主な特徴>
(1)図1図3図5図7に示すように、第1から第4実施形態に係る蒸気発生装置10A,10B,10C,10Dは、各部の動作を制御する制御部25と、水から低圧蒸気を生成する蒸発器11と、低圧蒸気を圧縮して高圧蒸気を生成する圧縮機12と、蒸発器11の内圧を検知する圧力検知手段と、蒸気を通す蒸気配管SP(吸込配管15、吐出配管16)と、圧縮機12への気体の流入量を調節する第1種弁V1(吸込絞り弁18(図1図7))と蒸気配管SPと大気とを連通する第2種弁V2(空気流入弁26(図3図5図7)、大気開放弁27(図5図7))のいずれか一方又は双方の弁と、を有する。制御部25は、装置の起動時に、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲内となるように、第1種弁V1と第2種弁V2のいずれか任意の弁の開度を調整する。
【0063】
このような第1から第4実施形態に係る蒸気発生装置10A,10B,10C,10Dは、装置の起動時に、蒸発器11の内圧を所定の圧力範囲内に保持することができるため、蒸発器11内部の水の温度の過度な低下を防止することができ、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0064】
(2)図1に示すように、第1実施形態に係る蒸気発生装置10Aは、第1種弁V1として、蒸発器11と圧縮機12とを接続する吸込配管15の途中に設けられた吸込絞り弁18を備える。図2に示すように、第1実施形態に係る蒸気発生装置10Aにおいて、制御部25は、装置の起動時に、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲内となるように、吸込絞り弁18の開度を調整する構成であるとよい。
【0065】
このような第1実施形態に係る蒸気発生装置10Aは、装置の起動時に、蒸発器11の内圧を所定の圧力範囲内に保持することができるため、蒸発器11内部の水の温度の過度な低下を防止することができ、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0066】
(3)図3に示すように、第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bにおいて、第2種弁V2として、蒸発器11と圧縮機12とを接続する吸込配管15の途中に設けられた空気流入弁26を備える。図4に示すように、第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bにおいて、制御部25は、装置の起動時に、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲内となるように、空気流入弁26の開度を調整する構成であるとよい。
【0067】
このような第2実施形態に係る蒸気発生装置10Bは、装置の起動時に、蒸発器11の内圧を所定の圧力範囲内に保持することができるため、蒸発器11内部の水の温度の過度な低下を防止することができ、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0068】
(4)図5に示すように、第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cは、第2種弁V2として、蒸発器11と圧縮機12とを接続する吸込配管15の途中に設けられた空気流入弁26と、圧縮機12と蒸気受入機器17とを接続する吐出配管16の途中に設けられた大気開放弁27と、を備える。図5に示すように、第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cにおいて、制御部25は、装置の起動時に、大気開放弁27を開弁した後に、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲内となるように、空気流入弁26の開度を調整する構成であるとよい。
【0069】
このような第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cは、装置の起動時に、蒸発器11の内圧を所定の圧力範囲内に保持することができるため、蒸発器11内部の水の温度の過度な低下を防止することができ、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0070】
(5)図5に示すように、第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cは、吐出配管16上の大気開放弁27よりも下流側に設けられた蒸気供給弁19を備える。図5に示すように、第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cにおいて、制御部25は、装置の起動時に、大気開放弁27を開弁した後に、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲内となるように、空気流入弁26の開度を調整し、空気流入弁26を全閉してから蒸気供給弁19を開弁し、大気開放弁27を閉弁する構成であるとよい。
【0071】
このような第3実施形態に係る蒸気発生装置10Cは、装置の起動時に、蒸発器11の内圧を所定の圧力範囲内に保持することができるため、蒸発器11内部の水の温度の過度な低下を防止することができ、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0072】
(6)図7に示すように、第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、第1種弁V1として、蒸発器11と圧縮機12とを接続する吸込配管15の途中に設けられた吸込絞り弁18を備え、第2種弁V2として、蒸発器11と圧縮機12とを接続する吸込配管15の途中に設けられた空気流入弁26と、圧縮機12と蒸気受入機器17とを接続する吐出配管16の途中に設けられた大気開放弁27と、を備える。図8に示すように、第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dにおいて、制御部25は、装置の起動時に、大気開放弁27を開弁した後に、吸込絞り弁18を開弁し、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲内となるように、空気流入弁26の開度を調整する構成であるとよい。
【0073】
このような第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、装置の起動時に、蒸発器11の内圧を所定の圧力範囲内に保持することができるため、蒸発器11内部の水の温度の過度な低下を防止することができ、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0074】
(7)図7に示すように、第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、吐出配管16上の大気開放弁27よりも下流側に設けられた蒸気供給弁19を備える。図8に示すように、第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dにおいて、制御部25は、装置の起動時に、大気開放弁27を開弁した後に、吸込絞り弁18を開弁し、蒸発器11の内圧が所定の圧力範囲内となるように、空気流入弁26の開度を調整し、空気流入弁26を全閉してから蒸気供給弁19を開弁し、大気開放弁27を閉弁する構成であるとよい。
【0075】
このような第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、装置の起動時に、蒸発器11の内圧を所定の圧力範囲内に保持することができるため、蒸発器11内部の水の温度の過度な低下を防止することができ、安定的に(円滑に)起動することができる。
【0076】
(8)図7に示すように、第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、吐出配管16上の大気開放弁27よりも下流側に設けられた蒸気供給弁19を備える。図9に示すように、第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dにおいて、制御部25は、装置の停止時に、蒸気供給弁19と吸込絞り弁18を閉弁した後に、空気流入弁26と大気開放弁27を開弁した状態を所定時間(好ましくは一定時間)保持する構成であるとよい。
【0077】
このような第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、装置の停止時に、蒸気供給弁19と吸込絞り弁18を閉弁した後に、空気流入弁26と大気開放弁27を開弁した状態を所定時間保持することで、空気のみを圧縮して所定時間運転する。このような第4実施形態に係る蒸気発生装置10Dは、装置の停止前に圧縮機12内部の水分の多くを外部に排出することができるため、内部の腐食などに起因する寿命の低下を最小限に抑えることができる。
【0078】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
10A,10B,10C,10D 蒸気発生装置
11 蒸発器
12 圧縮機
13 給水配管
14 熱源媒体流路
15 吸込配管
16 吐出配管
17 蒸気受入機器
18 吸込絞り弁
19 蒸気供給弁
20 熱源温度センサ
21 蒸発器圧力センサ(圧力検知手段)
22 蒸発器温度センサ
23 吐出圧力センサ
24 供給蒸気圧力センサ
25 制御部
26 空気流入弁
27 大気開放弁
28 給水弁
SP 蒸気配管
V1 第1種弁
V2 第2種弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9