(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171823
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】廃棄物焼却設備
(51)【国際特許分類】
F23G 5/04 20060101AFI20241205BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20241205BHJP
F23G 5/46 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F23G5/04 D
F23G5/04 Z
F23G5/44 B
F23G5/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089066
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】517306640
【氏名又は名称】株式会社下瀬微生物研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100130199
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 充弘
(72)【発明者】
【氏名】下瀬 眞一
【テーマコード(参考)】
3K065
【Fターム(参考)】
3K065AA02
3K065AB01
3K065AC01
3K065BA06
3K065CA13
3K065CA20
3K065EA04
3K065EA06
3K065EA23
3K065JA05
3K065JA18
(57)【要約】
【課題】オペレータの勘や経験に頼ることなく、廃棄物を安定して焼却処理することが可能な廃棄物焼却設備を提供する。
【解決手段】廃棄物を受け入れる廃棄物ピット2と、廃棄物ピット2に貯留された廃棄物を焼却処理するための焼却炉7とを備えている。また、廃棄物を減圧下で所定の温度範囲に加熱しながら発酵乾燥させる発酵乾燥装置4と、発酵乾燥装置4で生成された発酵乾燥物を貯留する貯留ホッパ6とを備え、貯留ホッパ6に貯留された発酵乾燥物を焼却炉7に投入して発酵乾燥物を焼却処理する。また、廃棄物ピット2と発酵乾燥装置4とを接続する第1コンベア3と、発酵乾燥装置4と貯留ホッパ6とを接続する第2コンベア5とを備えている。第1コンベア3および第2コンベア5の駆動により、廃棄物ピット2の廃棄物から発酵乾燥物への生成処理と発酵乾燥物の貯留ホッパ6への貯留とを連続的に行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を受け入れる廃棄物ピットと、前記廃棄物ピットに貯留された前記廃棄物を焼却処理するための焼却炉と、を備えた廃棄物焼却設備において、
前記廃棄物を減圧下で所定の温度範囲に加熱しながら発酵乾燥させる発酵乾燥装置と、
前記発酵乾燥装置で生成された発酵乾燥物を貯留する貯留ホッパと、を備え、
前記貯留ホッパに貯留された前記発酵乾燥物を前記焼却炉に投入して前記発酵乾燥物を焼却処理するように構成した、
ことを特徴とする廃棄物焼却設備。
【請求項2】
前記廃棄物ピットと前記発酵乾燥装置とを接続する第1コンベアと、前記発酵乾燥装置と前記貯留ホッパとを接続する第2コンベアと、を備え、
前記第1コンベアおよび前記第2コンベアの駆動により、前記廃棄物ピットの前記廃棄物から前記発酵乾燥物への生成処理と前記発酵乾燥物の前記貯留ホッパへの貯留とを連続的に行うように構成した、
ことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物焼却設備。
【請求項3】
前記焼却炉の燃焼室における前記発酵乾燥物の燃焼により発生した排気ガスの熱回収を行うボイラー装置を備え、
前記ボイラー装置と前記発酵乾燥装置とは、蒸気供給路によって接続され、
前記ボイラー装置で発生させた蒸気を前記蒸気供給路により前記発酵乾燥装置に供給して前記廃棄物の加熱に利用するように構成した、
ことを特徴とする請求項2に記載の廃棄物焼却設備。
【請求項4】
前記発酵乾燥装置は、前記廃棄物を収容するための収容部と廃棄物投入口と排出口とを有する密閉容器と、前記第1コンベアの終端部と前記廃棄物投入口とを接続する投入管と、前記排出口と前記第2コンベアの始端部とを接続する排出管と、を備え、
前記投入管には、第1投入バルブと、第2投入バルブと、前記第1投入バルブと前記第2投入バルブとの間に設けられる投入側一時貯留部とが設けられ、
前記排出管には、第1排出バルブと、第2排出バルブと、前記第1排出バルブと前記第2排出バルブとの間に設けられる排出側一時貯留部とが設けられ、
前記第1投入バルブと、前記第2投入バルブと、前記第1排出バルブと、前記第2排出バルブとは、バルブ制御部によって制御され、
前記バルブ制御部が前記第1投入バルブと前記第2投入バルブのいずれか一方のみを開くように制御することに基づいて前記収容部への前記廃棄物の投入が行われる一方、前記バルブ制御部が前記第1排出バルブと前記第2排出バルブのいずれか一方のみを開くように制御することに基づいて前記収容部からの前記発酵乾燥物の排出が行われるように構成した、
ことを特徴とする請求項3に記載の廃棄物焼却設備。
【請求項5】
前記発酵乾燥装置に供給する蒸気量を制御する蒸気制御装置を備え、
前記蒸気制御装置は、前記第1コンベアおよび前記第2コンベアの搬送速度の調整を行うためのコンベア速度調整部と、前記貯留ホッパから前記焼却炉の前記燃焼室への前記発酵乾燥物の投入量を調整するための炉内投入量調整部と、を有している、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の廃棄物焼却設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を受け入れる廃棄物ピットと廃棄物ピットに貯留された廃棄物を焼却処理するための焼却炉とを備えた廃棄物焼却設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物を受け入れる廃棄物ピットと、廃棄物ピットに貯留された廃棄物を焼却処理するための焼却炉と、廃棄物ピットの廃棄物を掴んで焼却炉の廃棄物ホッパに投入するクレーンとを備えた廃棄物焼却設備が知られている。このような廃棄物焼却設備においては、塵芥収集車が荷箱から廃棄物ピットへ廃棄物を投入する。廃棄物ピットへ投入された廃棄物は、収集された場所によって材質や水分が異なっている。そこで、廃棄物が塵芥収集車によって廃棄物ピット内に投入された後に、水分などが偏って廃棄物に含まれないようにするために、オペレータがクレーンで廃棄物の吊り上げと落下を繰り返して攪拌する作業を行っている。
【0003】
従来、廃棄物ピットに貯留された廃棄物を攪拌する作業に関しては、ピット上のどの部分をクレーンで採取し、上層から投入したという記録を残すことができないために、どの程度攪拌したのかという攪拌度合いの目安がなく、オペレータの勘や経験に頼っていた。そこで、従来、ごみの攪拌度合いを定量化してオペレータに提示することが可能なごみ攪拌評価装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のごみ攪拌評価装置では、廃棄物ピット内に堆積される廃棄物の3次元的な堆積分布形状と、クレーンによって廃棄物が掴みあげられる際のピット内のへこみ部分の3次元的な形状と、廃棄物の堆積履歴に基づいた廃棄物の攪拌回数とから、評価関数を導き、それに基づいて均一に攪拌を行うようにしていた。この特許文献1の方法では、廃棄物の実際の水分を測定して攪拌を行うものでない。従って、廃棄物ピットの堆積履歴に基づいて均一に攪拌を行っても廃棄物に含まれる水分まで均一にするには不十分であった。
【0006】
また、廃棄物ピット内に堆積される廃棄物が全体的に水分量の多いものである場合には、焼却炉は、投入される廃棄物の水分の蒸発によって大量の熱が奪われることになる。また、このような水分量の多い廃棄物では、焼却炉内の温度が局所的に低下して温度ムラが生じる。そのため、焼却炉内で廃棄物を安定して燃焼させるのが難しく、助燃燃料として化石燃料の使用量が増加するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、その目的は、オペレータの勘や経験に頼ることなく、助燃燃料の使用量を大幅に削減し、廃棄物を安定して焼却処理可能な廃棄物焼却設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために本明細書に開示する発明は、以下のように構成されている。すなわち、第1の発明は、廃棄物を受け入れる廃棄物ピットと、前記廃棄物ピットに貯留された前記廃棄物を焼却処理するための焼却炉と、を備えた廃棄物焼却設備において、前記廃棄物を減圧下で所定の温度範囲に加熱しながら発酵乾燥させる発酵乾燥装置と、前記発酵乾燥装置で生成された発酵乾燥物を貯留する貯留ホッパと、を備え、前記貯留ホッパに貯留された前記発酵乾燥物を前記焼却炉に投入して前記発酵乾燥物を焼却処理するように構成したことを特徴とする。なお、本発明において、発酵乾燥物とは、発酵乾燥前の廃棄物と比較して、水分が少なくなるとともに発酵が進んだ状態の廃棄物を意味するものとする。
【0009】
第1の発明によれば、廃棄物を焼却炉に投入する前に、発酵乾燥装置により廃棄物を発酵乾燥させ、水分を十分に除去した発酵乾燥物にすることができる。そして、この発酵乾燥物を貯留ホッパに一時的に貯留した後に、焼却炉に投入することができる。発酵乾燥装置で処理される前の廃棄物の水分量にムラがあっても、発酵乾燥物の水分量は略均一にすることができる。発酵乾燥物を生成するにあたっては、オペレータの勘や経験に頼る必要がない。このように、水分が十分に除去されて水分量が略均一となった発酵乾燥物が、焼却炉内で燃焼される。これにより、焼却炉は、元の廃棄物が水分の多いものであっても大量の熱が奪われることがなく、温度ムラが生じることがない。これにより、焼却炉内で廃棄物を安定して燃焼させて焼却処理を行うことができる。
【0010】
また、発酵乾燥装置では、減圧下で加熱しながら発酵が行われるので、沸点を低下させて水分の蒸発を早めることができるとともに、発酵のための微生物が活性化する温度で水分を蒸発させることができる。これにより、発酵乾燥装置では、減圧しない場合と比較して発酵乾燥が促進されるので、水分の多い元の廃棄物を短時間で発酵乾燥物に変えることができる。これにより、廃棄物の受け入れから焼却処理までを効率よく行うことができる。また、発酵乾燥装置では、微生物により廃棄物を発酵して分解することによって、発酵乾燥物では、廃棄物の臭気成分が分解された状態になる。これにより、廃棄物ピットに受け入れた廃棄物を早い段階で発酵乾燥装置により発酵乾燥物に変えて貯留ホッパに貯留することにより、焼却設備内の悪臭を低減し、作業者の作業環境を向上させることができる。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、前記廃棄物ピットと前記発酵乾燥装置とを接続する第1コンベアと、前記発酵乾燥装置と前記貯留ホッパとを接続する第2コンベアと、を備え、前記第1コンベアおよび前記第2コンベアの駆動により、前記廃棄物ピットの前記廃棄物から前記発酵乾燥物への生成処理と前記発酵乾燥物の前記貯留ホッパへの貯留とを連続的に行うように構成したことを特徴とする。
【0012】
第2の発明によれば、第1コンベアおよび第2コンベアにより、自動的に、廃棄物および発酵乾燥物の移動を行うことができる。これにより、従来のクレーンを備えた廃棄物焼却設備のような、オペレータが廃棄物ピットから焼却炉の廃棄物ホッパへ廃棄物を移動させる作業を不要にできる。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、前記焼却炉の燃焼室における前記発酵乾燥物の燃焼により発生した排気ガスの熱回収を行うボイラー装置を備え、前記ボイラー装置と前記発酵乾燥装置とは、蒸気供給路によって接続され、前記ボイラー装置で発生させた蒸気を前記蒸気供給路により前記発酵乾燥装置に供給して前記廃棄物の加熱に利用するように構成したことを特徴とする。
【0014】
第3の発明によれば、焼却炉の燃焼室において発酵乾燥物を焼却処理する際に発生する排気ガスの熱を、発酵乾燥装置で廃棄物を加熱させるために有効活用することができる。発酵乾燥装置で廃棄物を加熱するために別の燃料を使用することがないので、経済的である。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、前記発酵乾燥装置は、前記廃棄物を収容するための収容部と廃棄物投入口と排出口とを有する密閉容器と、前記第1コンベアの終端部と前記廃棄物投入口とを接続する投入管と、前記排出口と前記第2コンベアの始端部とを接続する排出管と、を備え、前記投入管には、第1投入バルブと、第2投入バルブと、前記第1投入バルブと前記第2投入バルブとの間に設けられる投入側一時貯留部とが設けられ、前記排出管には、第1排出バルブと、第2排出バルブと、前記第1排出バルブと前記第2排出バルブとの間に設けられる排出側一時貯留部とが設けられ、前記第1投入バルブと、前記第2投入バルブと、前記第1排出バルブと、前記第2排出バルブとは、バルブ制御部によって制御され、前記バルブ制御部が前記第1投入バルブと前記第2投入バルブのいずれか一方のみを開くように制御することに基づいて前記収容部への前記廃棄物の投入が行われる一方、前記バルブ制御部が前記第1排出バルブと前記第2排出バルブのいずれか一方のみを開くように制御することに基づいて前記収容部からの前記発酵乾燥物の排出が行われるように構成したことを特徴とする。
【0016】
第4の発明によれば、発酵乾燥装置の稼働中において、密閉容器の収容部への廃棄物の投入、および、当該収容部からの発酵乾燥物の排出を、収容部の減圧状態を維持しつつ連続的に行うことができる。これにより、貯留ホッパへの発酵乾燥物の貯留と焼却炉への発酵乾燥物の投入とをスムーズに行うことができるので、焼却炉内で発酵乾燥物を安定して燃焼させて焼却処理を行うことができる。
【0017】
第5の発明では、第3または第4の発明において、前記発酵乾燥装置に供給する蒸気量を制御する蒸気制御装置を備え、前記蒸気制御装置は、前記第1コンベアおよび前記第2コンベアの搬送速度の調整を行うためのコンベア速度調整部と、前記貯留ホッパから前記焼却炉への前記発酵乾燥物の投入量を調整するための炉内投入量調整部と、を有していることを特徴とする。
【0018】
第5の発明によれば、蒸気制御装置が第1コンベアおよび第2コンベアの搬送速度の調整をコンベア速度調整部により行うことによって、発酵乾燥装置で生成される発酵乾燥物の量と貯留ホッパに送られる発酵乾燥物の量が調整される。また、蒸気制御装置が貯留ホッパから焼却炉の燃焼室へ投入される発酵乾燥物の量を炉内投入量調整部により行うことによって、燃焼室で発生する排気ガスの温度や流量を調整し、ボイラー装置で発生する蒸気量が調整される。ボイラー装置で発生する蒸気量が調整されることにより、発酵乾燥装置において廃棄物を効率よく加熱することができる。これにより、発酵乾燥装置における発酵乾燥物の生成と焼却炉における発酵乾燥物の焼却処理とをバランスよく行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る廃棄物焼却設備によれば、オペレータの勘や経験に頼ることなく、廃棄物を安定して焼却処理することができる。
できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る廃棄物焼却設備を示す全体概略図である。
【
図2】第1実施形態に係る発酵乾燥装置およびその周辺を示す概略図である。
【
図3】第1実施形態に係るボイラー装置およびボイラー装置で発生した蒸気の流れを主として示す概略図である。
【
図4】第1実施形態に係る廃棄物処理設備の総合制御装置および蒸気制御装置と制御対象の各部との接続関係を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る廃棄物焼却設備を示す全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る廃棄物焼却設備1を示す全体概略図である。第1実施形態の廃棄物焼却設備1は、搬入された都市ごみ等の一般廃棄物を焼却処理する設備である。特に、この廃棄物焼却設備1は、生ごみ等の有機性廃棄物を多く含む廃棄物の処理に適している。
図1に示すように、廃棄物焼却設備1は、廃棄物を受け入れる廃棄物ピット2と、廃棄物ピット2に貯留された廃棄物を焼却処理するための焼却炉7とを備えている。廃棄物ピット2は、塵芥収集車Gから投入された廃棄物を一時的に貯留するために設けられている。焼却炉7は、ストーカ式であり、公知の構造のものが使用される。焼却炉7は、燃焼ストーカ72および後燃焼ストーカ73を備えている。
【0023】
燃焼ストーカ72および後燃焼ストーカ73の上方には、一次燃焼室77が形成されている。一次燃焼室77の上方には、二次燃焼室78が形成されている。燃焼ストーカ72の下方には、第2送風箱75が設けられている。後燃焼ストーカ73の下方には、第3送風箱76が設けられている。第2送風箱75および第3送風箱76には、一次空気供給装置14から一次空気が供給される。一次空気は、ストーカ下からストーカ上方の一次燃焼室77に供給されてストーカ上の廃棄物が一次燃焼される。また、二次燃焼室78には、二次空気供給装置15から二次空気が供給される。二次燃焼室78では、一次燃焼室77で発生した未燃ガスや未燃物が二次燃焼される。
【0024】
上述の構成の焼却炉7には、廃棄物ピット2の廃棄物を発酵乾燥処理したものが投入される。具体的に説明すると、廃棄物焼却設備1は、廃棄物ピット2と焼却炉7との間に、第1コンベア3と、発酵乾燥装置4と、第2コンベア5と、貯留ホッパ6とを備えている。発酵乾燥装置4は、廃棄物を減圧下で所定の温度範囲(例えば60度~65度)に加熱しながら発酵乾燥させる装置である。貯留ホッパ6は、発酵乾燥装置4で生成された発酵乾燥物を貯留する。貯留ホッパ6は、焼却炉7の一次燃焼室77の入口に接続されている。貯留ホッパ6と一次燃焼室77とを仕切る壁には、貯留ホッパ投入扉6aが設けられている。貯留ホッパ投入扉6aを開くことによって、貯留ホッパ6内に貯留された発酵乾燥物が焼却炉7に投入される。そして、発酵乾燥物は、燃焼ストーカ72および後燃焼ストーカ73上で順次移動されながら焼却処理される。
【0025】
第1コンベア3は、廃棄物ピット2と発酵乾燥装置4とを接続している。第1コンベア3は、廃棄物ピット2から発酵乾燥装置4へ、人手を介することなく廃棄物を移動させる。第1コンベア3は、例えばスクリュー式のコンベアから成る。第2コンベア5は、発酵乾燥装置4と貯留ホッパ6とを接続している。第2コンベア5は、発酵乾燥装置4から貯留ホッパ6へ、人手を介することなく発酵乾燥物を移動させる。第2コンベア5は、第1コンベア3と同様にスクリュー式のコンベアから成る。ただし、第1コンベア3で移動させる廃棄物は、発酵乾燥処理の前であるため固く大きいものが多い。そのため、第1コンベア3は、第2コンベア5よりスクリュー径が大きいものを使用する等、詰まりにくいものが使用される。第1コンベア3および第2コンベア5の駆動により、廃棄物ピット2の廃棄物から発酵乾燥物への生成処理と発酵乾燥物の貯留ホッパ6への貯留とが、連続的に行われる。
【0026】
廃棄物焼却設備1は、焼却炉7の下流側に、ボイラー装置17、空気予熱器8、空気加熱器9、冷却塔10、バグフィルタ11、誘引送風機12および煙突13を備えている。ボイラー装置17は、焼却炉7の二次燃焼室78に接続されている。ボイラー装置17は、焼却炉7の一次燃焼室77および二次燃焼室78における発酵乾燥物の燃焼により発生した排気ガスの熱回収を行う。ボイラー装置17は、水ドラム17aと、気水ドラム17bと、水ドラム17aと気水ドラム17bとを連結する複数の水管17cとを有している。ボイラー装置17の気水ドラム17bと発酵乾燥装置4とは、蒸気供給路Rによって接続されている。ボイラー装置17で発生させた蒸気は、蒸気供給路Rにより発酵乾燥装置4に供給される。
【0027】
ボイラー装置17と空気予熱器8とは第1接続流路16aにより接続されている。空気加熱器9と冷却塔10とは第2接続流路16bにより接続されている。冷却塔10とバグフィルタ11とは第3接続流路16cにより接続されている。バグフィルタ11と誘引送風機12とは第4接続流路16dにより接続されている。誘引送風機12と煙突13とは第5接続流路16eにより接続されている。焼却炉7の二次燃焼室78で発生した排気ガスは、ボイラー装置17、空気予熱器8、空気加熱器9、冷却塔10、バグフィルタ11および誘引送風機12を順に通過し、煙突13から排気される。
【0028】
図2は、第1実施形態に係る発酵乾燥装置4およびその周辺を示す概略図である。発酵乾燥装置4は、
図2に示すように、密閉容器41と、攪拌装置42と、加熱ジャケット43と、凝縮部44、投入管45と、排出管46とを備えている。密閉容器41は、内部を大気圧以下に保持するように気密に形成されている。密閉容器41は、筒状の周壁部41dと、周壁部41dの開口端を塞ぐ一対の端壁部41e,41eとを有している。密閉容器41の内部には、廃棄物を収容するための収容部41cが形成されている。周壁部41dの長手方向の一端部の上部には、廃棄物投入口41aが設けられている。廃棄物投入口41aには、投入管45が取り付けられている。また、周壁部41dの長手方向の他端部の上部には、連通管47が取り付けられている。一対の端壁部41e,41eの一方側には、投入された廃棄物を処理した後の発酵乾燥物を排出するための排出口41bが設けられている。
【0029】
攪拌装置42は、収容部41cで廃棄物を攪拌するために設けられている。攪拌装置42は、攪拌シャフト42aと、複数の攪拌羽根42bと、電動モータ42cとを有している。攪拌シャフト42aの両端部は、一対の端壁部41e,41eに支持されている。攪拌羽根42bは、攪拌シャフト42aの軸方向に所定間隔をもって、かつ、攪拌シャフト42aから放射状に延びるように、攪拌シャフト42aに複数取り付けられている。電動モータ42cは、攪拌シャフト42aを回転させる。
【0030】
加熱ジャケット43は、密閉容器41の周壁部41dを包囲するように設けられている。加熱ジャケット43は、収容部41cを加熱するために設けられている。加熱ジャケット43には、蒸気供給路Rを通じてボイラー装置17から加熱用蒸気が供給される。加熱ジャケット43に供給された加熱用蒸気は、熱交換により凝縮されて凝縮水となる。この凝縮水は、加熱ジャケット43に接続された戻配管によってボイラー装置17に戻される。
【0031】
凝縮部44は、密閉容器41の収容部41cで加熱された廃棄物から発生する蒸気を凝縮させるために設けられている。凝縮部44は、凝縮ケーシング部44aと、凝縮ケーシング部44aに接続される案内管44eとを有している。凝縮ケーシング部44aは、密閉容器41に隣接するとともに密閉容器41の長手方向に沿って延びるように設けられている。案内管44eの先端は、連通管47の先端と接続部48によって接続されている。凝縮ケーシング部44aの内部には、一対のヘッド44b,44bと、一対のヘッド44b,44bによって支持された複数の冷却管44cが設けられている。冷却管44cは、クーリングタワー18と冷却水流路19によって接続されている。
【0032】
クーリングタワー18は、受水槽18a、汲み上げポンプ18b、ノズル18c、流下部18dおよびファン18eを有している。受水槽18aには、凝縮部44から排出された冷却水が流入する。汲み上げポンプ18bは、受水槽18aから冷却水を汲み上げる。ノズル18cは、汲み上げられた冷却水を流下部18dに向けて噴射する。ファン18eは、冷却水が流下部18dを流下する間、流下部18dに向けて送風を行う。冷却水は、ファン18eからの送風を受けて温度が低下する。冷却水は、流下部18dを流下した後、再び受水槽18aに流入する。クーリングタワー18で冷却された冷却水は、冷却水ポンプ19aによって送水され、冷却水流路19を通って凝縮部44に戻される。冷却水は、凝縮部44とクーリングタワー18との間の冷却水流路19を循環する。
【0033】
クーリングタワー18では、加熱された廃棄物から発生する蒸気が凝縮部44において凝縮した凝縮水も注水される。本実施形態では、凝縮部44の凝縮ケーシング部44aに吸引管44dを介して真空ポンプ49が接続されている。真空ポンプ49は、密閉容器41の収容部41cを減圧するとともに、凝縮ケーシング部44aおよび吸引管44dに滞留した凝縮水をクーリングタワー18の受水槽18aへ導く。
【0034】
密閉容器41の廃棄物投入口41aから投入された廃棄物は、加熱ジャケット43によって加熱されながら、攪拌装置42の攪拌羽根42bの回転によって攪拌される。そして、所定時間経過した後、発酵乾燥物は、排出口41bから排出される。
【0035】
発酵乾燥装置4は、第1コンベア3の終端部と密閉容器41の廃棄物投入口41aとを接続する投入管45と、密閉容器41の排出口41bと第2コンベア5の始端部とを接続する排出管46とを備えている。投入管45は、鉛直方向に直線状に延びるように配置されている。投入管45には、第1投入バルブ45aと、第1投入バルブ45aよりも下方に位置する第2投入バルブ45bと、投入側一時貯留部45cとが設けられている。第1投入バルブ45aおよび第2投入バルブ45bは、例えばプレート状のバルブ体を有するゲートバルブである。投入側一時貯留部45cは、第1投入バルブ45aと第2投入バルブ45bとの間に設けられている。投入側一時貯留部45cは、第1コンベア3によって送られてきた廃棄物を一時的に貯留するために設けられている。
【0036】
第1投入バルブ45aおよび第2投入バルブ45bは、バルブ制御部24によって制御される。投入側一時貯留部45cに一時的に廃棄物を貯留する際には、第1投入バルブ45aが全開状態にされる一方、第2投入バルブ45bが全閉状態にされる。また、投入側一時貯留部45cの廃棄物を密閉容器41の収容部41cに投入する際には、第1投入バルブ45aが全閉状態にされる一方、第2投入バルブ45bが全開状態にされて、廃棄物が収容部41cに重力落下で移動する。つまり、第1投入バルブ45aと第2投入バルブ45bとが同時に開くことがないように制御される。バルブ制御部24が第1投入バルブ45aと第2投入バルブ45bのいずれか一方のみ開くように制御することに基づいて収容部41cへの廃棄物の投入が行われる。これにより、発酵乾燥装置4の稼働中において、廃棄物ピット2から密閉容器41の収容部41cへ第1コンベア3により連続的に廃棄物を送る場合であっても、収容部41cの減圧状態を維持できるように構成されている。
【0037】
排出管46は、第2コンベア5へ向かって下方に傾斜して延びるように配置されている。排出管46には、第1排出バルブ46aと、第1排出バルブ46aよりも第2コンベア5側に位置する第2排出バルブ46bと、排出側一時貯留部46cとが設けられている。第1排出バルブ46aおよび第2排出バルブ46bは、例えばプレート状のバルブ体を有するゲートバルブである。排出側一時貯留部46cは、第1排出バルブ46aと第2排出バルブ46bとの間に設けられている。排出側一時貯留部46cは、密閉容器41の排出口41bから排出された発酵乾燥物を一時的に貯留するために設けられる。排出口41bから排出側一時貯留部46cへの発酵乾燥物の移動は、攪拌装置42の攪拌シャフト42aの回転により攪拌羽根42bが収容部41cの発酵乾燥物を排出口41bの外へ押し出すことよって行われる。
【0038】
第1排出バルブ46aおよび第2排出バルブ46bは、バルブ制御部24によって制御される。排出側一時貯留部46cに一時的に発酵乾燥物を貯留する際には、第1排出バルブ46aが全開状態にされる一方、第2排出バルブ46bが全閉状態にされる。また、排出側一時貯留部46cの発酵乾燥物を第2コンベア5に送る際には、第1排出バルブ46aが全閉状態にされる一方、第2排出バルブ46bが全開状態にされて、発酵乾燥物が第2コンベア5の始端部へ重力落下で移動する。つまり、第1排出バルブ46aと第2排出バルブ46bとが同時に開くことがないように制御される。バルブ制御部24が第1排出バルブ46aと第2排出バルブ46bのいずれか一方のみを開くように制御することに基づいて収容部41cからの発酵乾燥物の排出が行われる。これにより、発酵乾燥装置4の稼働中において、密閉容器41の収容部41cから貯留ホッパ6へ第2コンベア5により連続的に発酵乾燥物を送る場合であっても、収容部41cの減圧状態を維持できるように構成されている。
【0039】
図3は、第1実施形態に係るボイラー装置17およびボイラー装置17で発生した蒸気の流れを主として示す概略図である。
図3において一点鎖線の矢印は、蒸気または水の流れを示す。また、
図3において破線の矢印は、電気の流れを示す。
図3に示すように、廃棄物焼却設備1は、上述の構造のボイラー装置17における蒸気の発生量、および、発酵乾燥装置4の加熱ジャケット43への蒸気の供給量を制御するための蒸気制御装置21を備えている。蒸気制御装置21は、蒸気供給路Rの途中部に設けられている。蒸気制御装置21は、蒸気供給路Rの上流部を経て供給された蒸気の一部について、蒸気供給路Rの下流部を経て発酵乾燥装置4の加熱ジャケット43に供給し、密閉容器41を加熱するように制御する。また、蒸気制御装置21は、供給された蒸気の他の一部を蒸気発電機22に供給するように制御する。蒸気発電機22で発生させた電力は、攪拌装置42の電動モータ42cの駆動に利用される。
【0040】
図4は、第1実施形態に係る廃棄物焼却設備1の総合制御装置23および蒸気制御装置21と制御対象の各部との接続関係を示すブロック図である。総合制御装置23は、廃棄物ピット2に貯留された廃棄物を発酵乾燥装置4において発酵乾燥物に変えた後、焼却炉7で焼却処理されるまでの設備全体の制御を行うために設けられている。総合制御装置23は、
図4に示すように、蒸気制御装置21、バルブ制御部24、第1コンベア3、第2コンベア5、貯留ホッパ投入扉6a、一次空気供給装置14および二次空気供給装置15と電気的に接続されている。
【0041】
蒸気制御装置21は、総合制御装置23と協働して蒸気の発生と供給に関する制御を行う。蒸気制御装置21は、コンベア速度調整部21aと、供給空気量調整部21bと、炉内投入量調整部21cと、ストーカ速度調整部21dとを有している。コンベア速度調整部21aは、第1コンベア3および第2コンベア5の搬送速度の調整を行う。コンベア速度調整部21aにより第1コンベア3の搬送速度を増加させると、発酵乾燥装置4の密閉容器41の収容部41cへの廃棄物の単位時間あたりの投入量を増加させることができる。また、コンベア速度調整部21aにより第2コンベア5の搬送速度を増加させると、貯留ホッパ6への発酵乾燥物の単位時間あたりの供給量を増加させることができる。
【0042】
供給空気量調整部21bは、一次空気供給装置14および二次空気供給装置15の供給空気量を調整するために設けられている。炉内投入量調整部21cは、貯留ホッパ6から焼却炉7の一次燃焼室77への発酵乾燥物の投入量を調整するために設けられている。ストーカ速度調整部21dは、燃焼ストーカ72および後燃焼ストーカ73の搬送速度を調整するために設けられている。
【0043】
また、蒸気制御装置21は、蒸気圧力センサ21e、蒸気流量計21f(流量計測センサ)、炉内温度センサ21gおよび炉内圧力センサ21hと電気的に接続されている。蒸気圧力センサ21eおよび蒸気流量計21fは、例えばボイラー装置17の気水ドラム17bの蒸気口と蒸気制御装置21との間の蒸気供給路Rに設けられている。蒸気圧力センサ21eは、気水ドラム17bで発生する蒸気の圧力を測定する。また、蒸気流量計21fは、蒸気供給路Rを通る蒸気の流量を測定する。また、炉内温度センサ21gは、一次燃焼室77の温度と二次燃焼室78の温度を測定可能な箇所に取り付けられる。また、炉内圧力センサ21hは、一次燃焼室77の圧力と二次燃焼室78の圧力を測定可能な箇所に取り付けられる。
【0044】
蒸気制御装置21は、蒸気圧力センサ21eと蒸気流量計21fを利用して、ボイラー装置17の気水ドラム17bの蒸気口から供給される蒸気の圧力と流量を監視する。また、蒸気制御装置21は、炉内温度センサ21gと炉内圧力センサ21hを利用して、焼却炉7の一次燃焼室77および二次燃焼室78の温度と圧力を監視する。コンベア速度調整部21aは、上記センサの出力信号に基づいて、第1コンベア3および第2コンベア5の搬送速度の調整を、総合制御装置23との協働により行う。また、供給空気量調整部21bは、上記センサの出力信号に基づいて、一次空気供給装置14および二次空気供給装置15の供給空気量の調整を、総合制御装置23との協働により行う。また、炉内投入量調整部21cは、上記センサの出力信号に基づいて、貯留ホッパ6の貯留ホッパ投入扉6aの開閉を、総合制御装置23との協働により行う。また、ストーカ速度調整部21dは、上記センサの出力信号に基づいて、燃焼ストーカ72および後燃焼ストーカ73の搬送速度の調整を、総合制御装置23との協働により行う。
【0045】
また、蒸気制御装置21は、上記センサの出力信号に基づいて、総合制御装置23を通じてバルブ制御部24に制御信号を送る。バルブ制御部24はこの制御信号に基づいて、第1投入バルブ45a、第2投入バルブ45b、第1排出バルブ46aおよび第2排出バルブ46bの開閉タイミングの制御を行う。
【0046】
上述の総合制御装置23および蒸気制御装置21の働きにより、加熱ジャケット43および蒸気発電機22に供給する蒸気量が最適になるように制御される。
【0047】
図5は、本発明の第2実施形態に係る廃棄物焼却設備100を示す全体概略図である。第1実施形態と同じ構成のところは第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。この廃棄物焼却設備100は、第1実施形態のストーカ式の焼却炉7を備えた廃棄物焼却設備1と異なり、発酵乾燥装置4等を流動床式の焼却炉25に適用する例である。廃棄物焼却設備100は、
図5に示すように、流動床式の焼却炉25、空気加熱器26、燃焼用空気供給装置27、冷却塔28、集塵器29、ガス洗浄塔31、誘引送風機32および煙突33等を備えている。焼却炉25は、燃焼室25aを備えている。燃焼室25aの下部には、珪砂等の流動媒体から成る流動層25bが設けられる。廃棄物ピット2の廃棄物は、発酵乾燥装置4において発酵乾燥物に変えられ、貯留ホッパ6に貯留される。発酵乾燥物は、貯留ホッパ6の貯留ホッパ投入扉6aを通じて焼却炉25の燃焼室25aに投入される。焼却炉25の燃焼室25aでは、発酵乾燥物が燃焼用空気により流動している流動媒体と混合攪拌されつつ燃焼される。燃焼室25aで発生した高温の排気ガスは、ボイラー装置17および空気加熱器26で熱回収してから冷却塔28で冷却し、集塵器29およびガス洗浄塔31を通過させてクリーンガスとした後、誘引送風機32を通じて煙突33から大気へ放出される。
【0048】
以上のとおり、上記実施形態に係る廃棄物焼却設備1,100は、廃棄物を受け入れる廃棄物ピット2と、廃棄物ピット2に貯留された廃棄物を焼却処理するための焼却炉7,25とを備えている。また、廃棄物焼却設備1,100は、廃棄物を減圧下で所定の温度範囲に加熱しながら発酵乾燥させる発酵乾燥装置4と、発酵乾燥装置4で生成された発酵乾燥物を貯留する貯留ホッパ6とを備え、貯留ホッパ6に貯留された発酵乾燥物を焼却炉7,25に投入して発酵乾燥物を焼却処理する。
【0049】
上記構成によれば、廃棄物を焼却炉7,25に投入する前に、発酵乾燥装置4により廃棄物を発酵乾燥させ、水分を十分に除去した発酵乾燥物にすることができる。そして、この発酵乾燥物を貯留ホッパ6に一時的に貯留した後に、焼却炉7,25に投入することができる。発酵乾燥装置4で処理される前の廃棄物の水分量にムラがあっても、発酵乾燥物の水分量は略均一にすることができる。この発酵乾燥物が、焼却炉7,25内で燃焼される。これにより、焼却炉7,25は、元の廃棄物が水分の多いものであっても大量の熱が奪われることがなく、温度ムラが生じることがない。これにより、焼却炉7,25内で発酵乾燥後の廃棄物を安定して燃焼させて焼却処理を行うことができる。
【0050】
また、発酵乾燥装置4では、減圧下で加熱しながら発酵が行われるので、沸点を低下させて水分の蒸発を早めることができるとともに、発酵のための微生物が活性化する温度で水分を蒸発させることができる。これにより、発酵乾燥装置4では、減圧しない場合と比較して発酵乾燥が促進されるので、水分の多い元の廃棄物を短時間で発酵乾燥物に変えることができる。これにより、廃棄物の受け入れから焼却処理までを効率よく行うことができる。また、発酵乾燥装置4では、微生物により廃棄物を発酵して分解することによって、発酵乾燥物では、廃棄物の臭気が取り除かれた状態になる。これにより、廃棄物ピット2に受け入れた廃棄物を早い段階で発酵乾燥装置4により発酵乾燥物に変えて貯留ホッパ6に貯留することにより、廃棄物焼却設備1,100内の悪臭を低減し、作業者の作業環境を向上させることができる。
【0051】
また、上記実施形態の廃棄物焼却設備1,100では、廃棄物ピット2と発酵乾燥装置4とを接続する第1コンベア3と、発酵乾燥装置4と貯留ホッパ6とを接続する第2コンベア5とを備えている。そして、上記実施形態は、第1コンベア3および第2コンベア5の駆動により、廃棄物ピット2の廃棄物から発酵乾燥物への生成処理と発酵乾燥物の貯留ホッパ6への貯留とを連続的に行うように構成されている。
【0052】
上記構成によれば、第1コンベア3および第2コンベア5により、自動的に、廃棄物および発酵乾燥物の移動を行うことができる。
【0053】
また、上記実施形態の廃棄物焼却設備1,100は、焼却炉7,25の燃焼室77,78,25aにおける発酵乾燥物の燃焼により発生した排気ガスの熱回収を行うボイラー装置17を備えている。ボイラー装置17と発酵乾燥装置4とは、蒸気供給路Rによって接続され、ボイラー装置17で発生させた蒸気を蒸気供給路Rにより発酵乾燥装置4に供給して廃棄物の加熱に利用するように構成されている。
【0054】
上記構成によれば、焼却炉7,25の燃焼室77,78,25aにおいて発酵乾燥物を焼却処理する際に発生する排気ガスの熱を、発酵乾燥装置4で廃棄物を加熱させるために有効活用することができる。発酵乾燥装置4で廃棄物を加熱するために別の燃料を使用することがないので、経済的である。
【0055】
また、上記実施形態の廃棄物焼却設備1,100では、発酵乾燥装置4は、廃棄物を収容するための収容部41cと廃棄物投入口41aと排出口41bとを有する密閉容器41と、第1コンベア3の終端部と廃棄物投入口41aとを接続する投入管45と、排出口41bと第2コンベア5の始端部とを接続する排出管46とを備える。投入管45には、第1投入バルブ45a、第2投入バルブ45bおよび投入側一時貯留部45cが設けられる。排出管46には、第1排出バルブ46a、第2排出バルブ46bおよび排出側一時貯留部46cが設けられる。第1投入バルブ45a、第2投入バルブ45b、第1排出バルブ46aおよび第2排出バルブ46bは、バルブ制御部24によって制御される。バルブ制御部24が第1投入バルブ45aと第2投入バルブ45bのいずれか一方のみ開くように制御することに基づいて収容部41cへの廃棄物の投入が行われる。また、バルブ制御部24が第1排出バルブ46aと第2排出バルブ46bのいずれか一方のみを開くように制御することに基づいて収容部41cからの発酵乾燥物の排出が行われる。
【0056】
上記構成によれば、発酵乾燥装置4の稼働中において、密閉容器41の収容部41cへの廃棄物の投入、および、収容部41cからの発酵乾燥物の排出を、収容部41cの減圧状態を維持しつつ連続的に行うことができる。これにより、貯留ホッパ6への発酵乾燥物の貯留と焼却炉7,25への発酵乾燥物の投入とをスムーズに行うことができるので、焼却炉7,25内で発酵乾燥物を安定して燃焼させて焼却処理を行うことができる。
【0057】
また、上記実施形態の廃棄物焼却設備1,100は、発酵乾燥装置4に供給する蒸気量を制御する蒸気制御装置21を備えている。蒸気制御装置21は、第1コンベア3および第2コンベア5の搬送速度の調整を行うためのコンベア速度調整部21aと、貯留ホッパ6から焼却炉7,25への発酵乾燥物の投入量を調整するための炉内投入量調整部21cとを有している。
【0058】
上記構成によれば、蒸気制御装置21が第1コンベア3および第2コンベア5の搬送速度の調整をコンベア速度調整部21aにより行うことによって、発酵乾燥装置4で生成される発酵乾燥物の量と貯留ホッパ6に送られる発酵乾燥物の量が調整される。また、蒸気制御装置21が貯留ホッパ6から焼却炉7,25の燃焼室77,25aに投入される発酵乾燥物の量を炉内投入量調整部21cにより行うことによって、燃焼室77,78,25aで発生する排気ガスの温度や流量を調整し、ボイラー装置17で発生する蒸気量が調整される。ボイラー装置17で発生する蒸気量が調整されることにより、発酵乾燥装置4において廃棄物を効率良く加熱することができる。これにより、発酵乾燥装置4における発酵乾燥物の生成と焼却炉7,25における発酵乾燥物の焼却処理とをバランスよく行うことができる。
【0059】
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上述した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0060】
例えば、上記実施形態では、2個の投入バルブ45a,45bが投入管45に設けられ、2個の排出バルブ46a,46bが排出管46に設けられていた。本発明はこれに限らず、投入バルブと排出バルブをそれぞれ1個ずつとしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、蒸気制御装置21やバルブ制御部24は、設備全体の制御を行う総合制御装置23と別に構成されていたが、これらを一つにまとめた1個の制御装置で制御を行うようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態の発酵乾燥装置4は、廃棄物焼却設備の規模によって適切に廃棄物を発酵乾燥物に変えることができるように、複数を並列に設けてもよい。また、上記実施形態では、第1コンベア3および第2コンベア5がスクリュー式のコンベアで形成されていたが、他の形式のコンベアであってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 廃棄物焼却設備
2 廃棄物ピット
3 第1コンベア
4 発酵乾燥装置
5 第2コンベア
6 貯留ホッパ
7 焼却炉
17 ボイラー装置
21 蒸気制御装置
21a コンベア速度調整部
21c 炉内投入量調整部
41 密閉容器
41a 廃棄物投入口
41b 排出口
41c 収容部
45 投入管
45a 第1投入バルブ
45b 第2投入バルブ
45c 投入側一時貯留部
46 排出管
46a 第1排出バルブ
46b 第2排出バルブ
46c 排出側一時貯留部
77 一次燃焼室
78 二次燃焼室
R 蒸気供給路