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  • 特開-補強用樹脂組成物及び電子部品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171833
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】補強用樹脂組成物及び電子部品
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/72 20060101AFI20241205BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C08G59/72
C08G59/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089083
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 津
(72)【発明者】
【氏名】眞田 翔平
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AD08
4J036DB20
4J036DB30
4J036DC19
4J036DC38
4J036JA05
(57)【要約】
【課題】リフロー時の硬化性に優れる補強用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】補強用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、ベンゾオキサジン化合物(B)と、フッ化ホウ素化合物(C)とを含有する。エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)の合計に対するフッ化ホウ素化合物(C)の割合は、3質量%以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)と、
ベンゾオキサジン化合物(B)と、
フッ化ホウ素化合物(C)と
を含有し、
前記エポキシ樹脂(A)、前記ベンゾオキサジン化合物(B)及び前記フッ化ホウ素化合物(C)の合計に対する前記フッ化ホウ素化合物(C)の割合が、3質量%以上である、
補強用樹脂組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂(A)、前記ベンゾオキサジン化合物(B)及び前記フッ化ホウ素化合物(C)の合計に対して、
前記エポキシ樹脂(A)の割合が30質量%以上50質量%以下であり、
前記ベンゾオキサジン化合物(B)の割合が40質量%以上60質量%以下であり、
前記フッ化ホウ素化合物(C)の割合が3質量%以上12質量%以下である、
請求項1に記載の補強用樹脂組成物。
【請求項3】
活性剤(D)をさらに含有する、
請求項1又は2に記載の補強用樹脂組成物。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂(A)、前記ベンゾオキサジン化合物(B)、前記フッ化ホウ素化合物(C)及び前記活性剤(D)の合計に対して、
前記エポキシ樹脂(A)の割合が30質量%以上50質量%以下であり、
前記ベンゾオキサジン化合物(B)の割合が40質量%以上60質量%以下であり、
前記フッ化ホウ素化合物(C)の割合が3質量%以上12質量%以下であり、
前記活性剤(D)の割合が5質量%以上25質量%以下である、
請求項3に記載の補強用樹脂組成物。
【請求項5】
前記活性剤(D)が、融点が130℃以上220℃以下である有機酸(D1)、及び融点が130℃以上220℃以下であるアミン(D2)のうちの少なくとも一方を含む、
請求項3に記載の補強用樹脂組成物。
【請求項6】
前記ベンゾオキサジン化合物(B)が、1分子中に2つ以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する多価オキサジン化合物(B1)を含む、
請求項1又は2に記載の補強用樹脂組成物。
【請求項7】
電子部品本体と、
前記電子部品本体の表面上に形成された導体と、
前記導体上に配置され、前記導体と電気的に接続されているはんだ製のバンプと、
前記導体と前記バンプとの継ぎ目を覆う補強部と
を備え、
前記補強部が、請求項1又は2に記載の補強用樹脂組成物の硬化物を含む、
電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補強用樹脂組成物及び電子部品に関し、詳しくは、エポキシ樹脂を含有する補強用樹脂組成物及び電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等の電子部品を回路基板に実装する際、リフローによって、はんだ製のバンプと、回路基板が備える導体とを電気的に接続することが行われる。このとき、バンプと導体との継ぎ目を樹脂組成物の硬化物で覆って補強することがある。この補強は、例えばバンプと導体との間に樹脂組成物を配置し、リフロー時の加熱により、バンプが導体に接続されると共に、樹脂組成物の硬化物が継ぎ目を覆うことによって行われる。このような樹脂組成物は、リフロー時の硬化性に優れることが要求される。
【0003】
このような補強に用いられる樹脂組成物として、特許文献1には、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)及びベンゾオキサジン化合物(C)を含む補強用樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-090569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような従来の補強用樹脂組成物は、リフロー時の硬化性が未だ不十分であり、硬化性を向上させることが求められている。
【0006】
本開示の課題は、リフロー時の硬化性に優れる補強用樹脂組成物、及び電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る補強用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、ベンゾオキサジン化合物(B)と、フッ化ホウ素化合物(C)とを含有し、前記エポキシ樹脂(A)、前記ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)の合計に対する前記フッ化ホウ素化合物(C)の割合が、3質量%以上である。
【0008】
本開示の一態様に係る電子部品は、電子部品本体と、前記電子部品本体の表面上に形成された導体と、前記導体上に配置され、前記導体と電気的に接続されているはんだ製のバンプと、前記導体と前記バンプとの継ぎ目を覆う補強部とを備え、前記補強部が、前記補強用樹脂組成物の硬化物を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、リフロー時の硬化性に優れる補強用樹脂組成物、及び電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本開示の一実施形態に係る電子部品の一例を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.概要
本実施形態に係る補強用樹脂組成物(以下、組成物(X)ともいう)は、エポキシ樹脂(A)と、ベンゾオキサジン化合物(B)と、フッ化ホウ素化合物(C)とを含有する。エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)の合計に対するフッ化ホウ素化合物(C)の割合は、3質量%以上である。
【0012】
発明者らは、前述の課題を解決すべく鋭意検討を重ねる上で、補強用樹脂組成物として、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤としてのベンゾオキサジン化合物(B)とを用いる場合に、硬化促進剤として、特定の化合物を用い、かつ特定量使用することにより、リフロー時の硬化性を向上させることができることを見出し、本開示を完成させた。
【0013】
組成物(X)は、リフロー時の硬化性に優れている。組成物(X)が前記構成を備えることで、前記効果を奏する理由については、必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。エポキシ樹脂(A)及びベンゾオキサジン化合物(B)を含有する樹脂組成物における硬化反応は、通常170℃以上の温度で、ベンゾオキサジン化合物(B)のジヒドロベンゾオキサジン環の開環が起こり、これにより、フェノール性水酸基と塩基性アミノ基とからなるジアミノジフェニル構造を有するポリベンゾオキサジン化合物が生成する。このポリベンゾオキサジン化合物のジアミノジフェニル構造に存在する塩基性アミノ基は、エポキシ樹脂(A)と、ポリベンゾオキサジン化合物やフェノール樹脂との硬化反応の硬化促進剤として働き、はんだの融点よりも高い温度での反応を促進することができるが、この塩基性アミノ基による反応促進の程度は不十分なものであり、リフロー時の硬化性は低いものに留まっていたと考えられる。これに対し、フッ化ホウ素化合物(C)は、特定量以上用いることにより、エポキシ樹脂(A)とポリベンゾオキサジン化合物等とのはんだの融点よりも高い温度における硬化反応を、その強いルイス酸性により、十分な程度に促進することができ、これにより、組成物(X)のリフロー時の硬化性を向上させることができると考えられる。
【0014】
本実施形態に係る電子部品1は、図1に示すように、電子部品本体10と、電子部品本体10の表面上に形成された導体20と、導体20上に配置され、導体20と電気的に接続されているはんだ製のバンプ30と、導体20とバンプ30との継ぎ目100を覆う補強部40とを備える。補強部40は、組成物(X)の硬化物を含む。
【0015】
電子部品1は、補強部40が、リフロー時の硬化性に優れる前述の組成物(X)を用いて形成されているので、樹脂組成物の硬化物ではんだの周辺を覆うことによる補強効果を向上させることができ、それにより、接続信頼性を優れたものとすることができる。
【0016】
2.詳細
<補強用樹脂組成物>
本実施形態に係る組成物(X)は、補強用樹脂組成物であり、例えば電子部品を回路基板にリフローによって実装し、はんだ製のバンプと、回路基板が備える導体とを接続する際、バンプと導体との継ぎ目を硬化物で覆って補強すること等に好適に用いることができる。
【0017】
本実施形態に係る組成物(X)は、エポキシ樹脂(A)と、ベンゾオキサジン化合物(B)と、フッ化ホウ素化合物(C)とを含有する。組成物(X)は、活性剤(D)をさらに含有することが好ましく、本開示の効果を損なわない範囲において、(A)~(D)成分以外のその他の成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
【0018】
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂(A)は、組成物(X)に熱硬化性を付与することができる成分である。エポキシ樹脂(A)は、エポキシ基を有する化合物である。「エポキシ基」とは、オキシラニル基、すなわち、3員環の環状エーテル基を意味する。エポキシ樹脂(A)としては、1分子中に1つ以上のエポキシ基を有する化合物であれば用いることができる。
【0019】
エポキシ樹脂(A)としては、例えばグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン環含有エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;脂肪族系エポキシ樹脂;並びにトリグリシジルイソシアヌレート等からなる群より選択される一種以上などが挙げられる。
【0020】
エポキシ樹脂(A)は、常温で液状であることが好ましい。この場合、組成物(X)の粘度が調整されうる。なお、「常温で液状である」とは、大気圧下、かつ周囲の温度が5℃以上28℃以下(特に20℃前後)において、エポキシ樹脂(A)が流動性を有することを意味する。
【0021】
エポキシ樹脂(A)は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂(A1)を含むことが好ましい。多官能エポキシ樹脂(A1)としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びトリグリシジルイソシアヌレートからなる群より選択される一種以上などが挙げられる。
【0022】
エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂及び水添ビスフェノール型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を含むことが好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことがより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を含むことがさらに好ましい。この場合、組成物(X)の粘度が特に低められうることに加え、組成物(X)の硬化物の物性をより向上させやすい。
【0023】
エポキシ樹脂(A)として、市販品を使用してもよい。市販品としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、例えば三菱ケミカル社製のjER828、日鉄ケミカル&マテリアル社製のYDF8125等が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、例えば三菱ケミカル社製のjER806、日鉄ケミカル&マテリアル社製のYDF8170等が挙げられる。
【0024】
なお、本実施形態では、エポキシ樹脂(A)は、多官能エポキシ樹脂(A1)のみを含むことに限定されない。すなわち、エポキシ樹脂(A)は、多官能エポキシ樹脂(A1)に加えて、単官能エポキシ樹脂を含んでいてもよい。エポキシ樹脂(A)としては、1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
[ベンゾオキサジン化合物]
ベンゾオキサジン化合物(B)は、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物である。ベンゾオキサジン化合物(B)は、合成に使用する原材料の種類によって、種々の構造を有することができる。ベンゾオキサジン化合物(B)は、例えば各種フェノール化合物、アミン化合物及びホルムアルデヒド等から合成することができる。
【0026】
ジヒドロベンゾオキサジン環は化学的に安定であるため、常温では、ベンゾオキサジン化合物(B)の重合反応は進みにくい。しかし、ベンゾオキサジン化合物(B)が、170℃以上に加熱された場合、ベンゾオキサジン化合物(B)が有するジヒドロベンゾオキサジン環の開環が促進されうる。これにより、フェノール性水酸基と塩基性アミノ基とを有するジアミノジフェニル構造を有するポリベンゾオキサジン化合物が生成しうる。
【0027】
続いて、この開環によって生成したポリベンゾオキサジン化合物が、エポキシ樹脂(A)と反応することで、架橋構造を有する硬化物となる。このようにして、組成物(X)の硬化物が形成される。
【0028】
ジヒドロベンゾオキサジン環は、170℃になるまで開環が抑制されうる。このため、ベンゾオキサジン化合物(B)と、エポキシ樹脂(A)との反応は170℃以下では進みにくいため、はんだが溶融するまでに組成物(X)が硬化することが抑制されうる。
【0029】
ベンゾオキサジン化合物(B)は、1分子中に2つ以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する多価オキサジン化合物(B1)を含むことが好ましい。この多価オキサジン化合物(B1)は、エポキシ樹脂(A)との反応によって、三次元架橋構造を形成しうる。このため、ベンゾオキサジン化合物(B)が、多価オキサジン化合物(B1)を含む場合、組成物(X)の硬化物のガラス転移温度(Tg)が高まりやすく、これにより、組成物(X)の硬化物の信頼性を向上させることができる。
【0030】
多価オキサジン化合物(B1)として、市販品を使用してもよい。多価オキサジン化合物(B1)の代表的な市販品の一例として、例えばP-d型ベンゾオキサジン化合物(フェノールとジアミノジフェニルメタンとホルムアルデヒドとの縮合物(四国化成工業社製)等が挙げられる。P-d型ベンゾオキサジン化合物は、例えば、下記式で表される構造を有する。
【0031】
【化1】
【0032】
(式中、Rは、水素原子又はアリル基を示す。)
【0033】
多価オキサジン化合物(B1)の代表的な市販品の他の例として、例えば、F-a型ベンゾオキサジン化合物(ビスフェノールFとアニリンとホルムアルデヒドとの縮合物(四国化成工業社製))等が挙げられる。F-a型ベンゾオキサジン化合物は、例えば、下記式で表される構造を有する。
【0034】
【化2】
【0035】
なお、本実施形態では、ベンゾオキサジン化合物(B)は、多価オキサジン化合物(B1)のみを含むことに限定されない。すなわち、ベンゾオキサジン化合物(B)は、多価オキサジン化合物(B1)に加えて、単官能ベンゾオキサジン化合物を含んでいてもよい。ベンゾオキサジン化合物(B)としては、1種又は2種以上を用いることができる。
【0036】
[フッ化ホウ素化合物]
フッ化ホウ素化合物とは、フッ素とホウ素とからなる化合物、又はこの化合物と、この化合物中のホウ素に配位可能な化合物とから形成される錯体を意味する。
【0037】
フッ化ホウ素化合物(C)としては、例えば、三フッ化ホウ素(BF)、四フッ化二ホウ素(B)、五フッ化三ホウ素(B)、十二フッ化八ホウ素(B12)等のフッ化ホウ素:このフッ化ホウ素とルイス塩基化合物等との錯体などが挙げられる。
【0038】
ルイス塩基化合物としては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジn-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物;モノエチルアミン、ピぺリジン等のアミン化合物;フェノール等のフェノール化合物;酢酸メチル等のエステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;メタノール等のアルコール化合物;ジメチルカーボネート等のカーボネート化合物などが挙げられる。
【0039】
フッ化ホウ素化合物(C)は、安定性、及びルイス酸性による硬化促進の向上の観点から、三フッ化ホウ素及び三フッ化ホウ素錯体のうちの少なくとも一方を含むことが好ましく、三フッ化ホウ素錯体を含むことがより好ましい。
【0040】
三フッ化ホウ素錯体としては、例えば三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(BF・(CO)、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル(BF・(CHO)、三フッ化ホウ素ジn-ブチルエーテル(BF・(CO)、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン(BF・CO)等のエーテル錯体、三フッ化ホウ素フェノール(BF・(COH))等のフェノール錯体、三フッ化ホウ素モノエチルアミン(BF・CNH)、三フッ化ホウ素ピぺリジン(BF・C10NH)等のアミン錯体などが挙げられる。
【0041】
フッ化ホウ素化合物(C)は、三フッ化ホウ素及び三フッ化ホウ素錯体のうちの少なくとも一方を含むことが好ましく、三フッ化ホウ素錯体を含むことがより好ましく、三フッ化ホウ素アミン錯体を含むことがさらに好ましく、三フッ化ホウ素モノエチルアミン及び三フッ化ホウ素ピぺリジンのうちの少なくとも一方を含むことが特に好ましい。
【0042】
フッ化ホウ素化合物(C)の市販品としては、例えばステラケミファ社製の三フッ化ホウ素エチルアミン、三フッ化ホウ素ピペリジンなどが挙げられる。フッ化ホウ素化合物(C)としては、1種又は2種以上を用いることができる。
【0043】
[活性剤(D)]
活性剤(D)は、金属酸化膜を除去する機能を有する物質である。すなわち、活性剤(D)は、フラックスとして好適に適用することができる。組成物(X)は、活性剤(D)を含有することにより、フラックス作用を発揮する。「フラックス作用」とは、補強用樹脂組成物が塗布される金属表面に生じた酸化皮膜を除去する還元作用、及び溶融したはんだの表面張力を低下させて、はんだの接合金属表面への濡れ性を高める作用を意味する。活性剤(D)としては、1種又は2種以上を用いることができる。
【0044】
活性剤(D)は、有機酸及びアミンのうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。この場合、組成物(X)のフラックス作用がより発揮されやすくなる。
【0045】
活性剤(D)が有機酸を含む場合、この有機酸の融点は、130℃以上220℃以下であることが好ましい(以下、この融点を有する有機酸を、有機酸(D1)ともいう)。この場合、有機酸(D1)により、エポキシ樹脂(A)の硬化反応が調整されうる。また、活性剤(D)がアミンを含む場合、このアミンの融点は、130℃以上220℃以下であることが好ましい(以下、この融点を有するアミンを、アミン(D2)ともいう)。この場合、アミン(D2)により、エポキシ樹脂(A)の硬化反応が調整されうる。有機酸の融点及びアミンの融点のうち少なくとも一方が、130℃以上220℃以下である場合、融点が200℃以上であるはんだバンプを使用する場合であっても、はんだを溶融させる前に、はんだの酸化皮膜を除去することができる。また、はんだが溶融する前に、有機酸又はアミンが溶融し、これにより、組成物(X)が低粘度化されるため、組成物(X)が、はんだバンプと導体との継ぎ目を補強するために使用された場合に、はんだバンプの導体との接触を阻害しにくい。
【0046】
活性剤(D)は、有機酸及びアミン以外の成分を含んでいてもよい。活性剤(D)は、融点が130℃未満の有機酸及び融点が130℃未満のアミンのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。また、活性剤(D)は、融点が220℃超の有機酸及び融点が220℃超のアミンのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0047】
有機酸は、カルボン酸化合物を含むことが好ましい。この場合、組成物(X)のフラックス作用が特に発揮されやすくなる。カルボン酸化合物としては、例えばダイマ酸、ロジン成分材料、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、クエン酸、コルク酸、セバシン酸及びピメリン酸等からなる群より選択される一種以上等が挙げられる。カルボン酸化合物は、ダイマ酸、コハク酸、アジピン酸、コルク酸、及びセバシン酸等からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。アミンは、フラックスとして使用されるアミンであれば特に限定されないが、例えば種々のアミン塩、トリエタノールアミン(TEA)及びグアニジン等からなる群より選択される一種以上を含むことができる。
【0048】
[その他の成分]
組成物(X)は、その他の成分として、溶剤(E)、チクソ剤(F)、フェノール樹脂(G)、シリカ等のフィラー、ロジン等の成分改質剤などを含有していてもよい。その他の成分としては、1種又は2種以上を用いることができる。
【0049】
溶剤(E)としては特に限定されず、種々の有機溶剤を用いることができる。溶剤(E)としては、エーテル系溶剤が好ましく、ジエチレングリコールジエチルエーテルがより好ましい。溶剤(E)の割合は、組成物(X)に対して、例えば10質量%以下である。
【0050】
チクソ剤(F)は、組成物(X)に、チクソ性を付与することができる成分である。チクソ剤(F)としては、例えばソルビトール誘導体、セルロース誘導体、多糖類、水添ひまし油系酸化ポリエチレン、脂肪酸系多価カルボン酸、リン酸エステル系界面活性剤、微粒子酸化ケイ素、コロイダルアルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。チクソ剤(F)の割合は、組成物(X)に対して、例えば2質量%以下である。
【0051】
フェノール樹脂(G)は、フェノール性水酸基を有する化合物である。フェノール樹脂(G)のフェノール性水酸基は、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基と反応することができる。
【0052】
[各成分の割合]
組成物(X)が、エポキシ樹脂(A)と、ベンゾオキサジン化合物(B)と、フッ化ホウ素化合物(C)とを含有する場合(この組成物(X)を以下、組成物(X1)ともいう)、フッ化ホウ素化合物(C)の割合は、エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)の合計に対して、3質量%以上であることが重要である。フッ化ホウ素化合物(C)が3質量%以上であることで、組成物(X1)のリフロー時の硬化性が優れたものとなる。フッ化ホウ素化合物(C)が3質量%未満であると、組成物(X1)のリフロー時の硬化性が不十分になる。組成物(X1)におけるフッ化ホウ素化合物(C)の割合は、4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。組成物(X1)におけるフッ化ホウ素化合物(C)の割合は、エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)の合計に対して、例えば20質量%以下であり、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、8質量%以下であることが特に好ましい。この場合、組成物(X1)の保存安定性をより向上させることができる。
【0053】
組成物(X1)におけるエポキシ樹脂(A)の割合は、エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)の合計に対して、例えば25質量%以上55質量%以下であり、30質量%以上50質量%以下であることが好ましく、35質量%以上48質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂(A)の割合を前記範囲とすることで、組成物(X1)の保存安定性及び信頼性をより向上させることができる。
【0054】
組成物(X1)におけるベンゾオキサジン化合物(B)の割合は、エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)の合計に対して、例えば25質量%以上70質量%以下であり、40質量%以上60質量%以下であることが好ましく、42質量%以上58質量%以下であることがより好ましく、45質量%以上55質量%以下であることがさらに好ましい。ベンゾオキサジン化合物(B)の割合を前記範囲とすることで、組成物(X1)の保存安定性及び信頼性をより向上させることができる。
【0055】
組成物(X)が、エポキシ樹脂(A)と、ベンゾオキサジン化合物(B)と、フッ化ホウ素化合物(C)と、活性剤(D)とを含有する場合(この組成物(X)を以下、組成物(X2)ともいう)、フッ化ホウ素化合物(C)の割合は、エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)、フッ化ホウ素化合物(C)及び活性剤(D)の合計に対して、例えば2質量%以上15質量%以下であり、3質量%以上12質量%以下であることが好ましく、4質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上8質量%以下であることがさらに好ましい。フッ化ホウ素化合物(C)の割合を前記範囲とすることで、組成物(X2)のリフロー時の硬化性をより向上させることができる。
【0056】
組成物(X2)におけるエポキシ樹脂(A)の割合は、エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)、フッ化ホウ素化合物(C)及び活性剤(D)の合計に対して、例えば25質量%以上55質量%以下であり、30質量%以上50質量%以下であることが好ましく、35質量%以上48質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂(A)の割合を前記範囲とすることで、組成物(X2)の保存安定性及び信頼性をより向上させることができる。
【0057】
組成物(X2)におけるベンゾオキサジン化合物(B)の割合は、エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)、フッ化ホウ素化合物(C)及び活性剤(D)の合計に対して、例えば30質量%以上70質量%以下であり、40質量%以上60質量%以下であることが好ましく、45質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、45質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。ベンゾオキサジン化合物(B)の割合を前記範囲とすることで、組成物(X2)の保存安定性及び信頼性をより向上させることができる。
【0058】
組成物(X2)における活性剤(D)の割合は、エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)、フッ化ホウ素化合物(C)及び活性剤(D)の合計に対して、例えば3質量%以上30質量%以下であり、5質量%以上25質量%以下であることが好ましく、7質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。活性剤(D)の割合を前記範囲とすることで、組成物(X2)の保存安定性をより向上させることができる。
【0059】
組成物(X)は、例えば、エポキシ樹脂(A)、ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)と、必要に応じて、活性剤(D)及びその他の成分とを混合することにより製造することができる。
【0060】
<電子部品>
本実施形態の電子部品1は、図1に示すように、電子部品本体10と、導体20と、バンプ30と、補強部40とを備えている。導体20は、電子部品本体10の表面上に形成されている。バンプ30は、導体20上に配置され、導体20と電気的に接続されており、はんだ製である。補強部40は、導体20とバンプ30との継ぎ目100を覆っている。補強部40は、組成物(X)の硬化物を含んでいる。電子部品1は、前述の組成物(X)を用いて作製されるので、樹脂組成物の硬化物ではんだの周辺を覆うことによる補強効果を向上させることができ、それにより、接続信頼性を優れたものとすることができる。
【0061】
電子部品1としては、例えば、表面実装型の半導体チップ等が挙げられる。半導体チップとしては、例えばBGA(ボール・グリッド・アレイ)、WLP(ウェハーレベルパッケージ)等が挙げられる。
【0062】
導体20は、電子部品本体10の表面に形成されている。このため、導体20は、電子部品本体10の表面で外部に露出している。
【0063】
電子部品1がBGAである場合、電子部品本体10は、例えば基板上に実装されたダイを封止樹脂で封止して構成されるパッケージであり、導体20は、例えばダイと電気的に接続された電極パッドである。電子部品1がWLPである場合、電子部品本体10は、例えば再配線層が設けられたシリコン基板を含み、導体20は、例えば再配線層と電気的に接続されたピラーである。電子部品本体10の構造はこれらに限られず、電子部品1の種類に応じた適宜の構造であってよい。
【0064】
バンプ30は、はんだ製であり、導体20上に配置され、導体20と電気的に接続されている。このため、バンプ30と導体20との間には継ぎ目100が形成されている。バンプ30は、例えばSACはんだ製であっても、錫銅系(Sn-Bi系)はんだ製であってもよい。Sn-Bi系はんだは、Sn及びBiに加えて、Ag、Ni、Fe、Ge、Cu及びInからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有してもよい。Sn-Bi系はんだは、機械的性能の向上のためには、Ag、Ni、Fe及びGeからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含有することが好ましい。
【0065】
補強部40は、導体20とバンプ30との継ぎ目100を覆っている。補強部は、組成物(X)の硬化物を含んでいる。すなわち、電子部品1では、バンプ30と導体20との継ぎ目100が、組成物(X)の硬化物で覆われている。組成物(X)は、リフロー時の硬化性に優れているので、バンプ30と導体20との継ぎ目100を強く補強することができ、その結果、電子部品1の接続信頼性を優れたものとすることができる。
【0066】
3.態様
上述の実施形態から明らかなように、本開示は以下の態様を含む。本開示の第1の態様に係る補強用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、ベンゾオキサジン化合物(B)と、フッ化ホウ素化合物(C)とを含有する。前記エポキシ樹脂(A)、前記ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)の合計に対する前記フッ化ホウ素化合物(C)の割合が、3質量%以上である。
【0067】
第1の態様によれば、補強用樹脂組成物のリフロー時の硬化性を優れたものとすることができる。
【0068】
本開示の第2の態様に係る補強用樹脂組成物では、第1の態様において、前記エポキシ樹脂(A)、前記ベンゾオキサジン化合物(B)及びフッ化ホウ素化合物(C)の合計に対して、前記エポキシ樹脂(A)の割合が30質量%以上50質量%以下であり、前記ベンゾオキサジン化合物(B)の割合が40質量%以上60質量%以下であり、前記フッ化ホウ素化合物(C)の割合が3質量%以上12質量%以下である。
【0069】
第2の態様によれば、補強用樹脂組成物のリフロー時の硬化性、信頼性及び保存安定性をより向上させることができる。
【0070】
本開示の第3の態様に係る補強用樹脂組成物では、第1又は第2の態様において、活性剤(D)をさらに含有する。
【0071】
第3の態様によれば、補強用樹脂組成物のフラックス作用をより発揮させることができる。
【0072】
本開示の第4の態様に係る補強用樹脂組成物では、第3の態様において、前記エポキシ樹脂(A)、前記ベンゾオキサジン化合物(B)、前記フッ化ホウ素化合物(C)及び前記活性剤(D)の合計に対して、前記エポキシ樹脂(A)の割合が30質量%以上50質量%以下であり、前記ベンゾオキサジン化合物(B)の割合が40質量%以上60質量%以下であり、前記フッ化ホウ素化合物(C)の割合が3質量%以上12質量%以下であり、前記活性剤(D)の割合が5質量%以上25質量%以下である。
【0073】
第4の態様によれば、補強用樹脂組成物のリフロー時の硬化性、信頼性及び保存安定性をより向上させることができる。
【0074】
本開示の第5の態様に係る補強用樹脂組成物では、第3又は第4の態様において、前記活性剤(D)が、融点が130℃以上220℃以下である有機酸(D1)、及び融点が130℃以上220℃以下であるアミン(D2)のうち少なくとも一方を含む。
【0075】
第5の態様によれば、融点が200℃以上であるはんだバンプを使用する場合であっても、はんだを溶融させる前に、はんだの酸化皮膜を除去することができる。
【0076】
本開示の第6の態様に係る補強用樹脂組成物では、第1から第5のいずれか一の態様において、前記ベンゾオキサジン化合物(B)が、分子内に複数のオキサジン環を有する多価オキサジン化合物(B1)を含む。
【0077】
第6の態様によれば、多価オキサジン化合物(B1)により三次元架橋構造を有する硬化物が形成され、硬化物のガラス転移温度が高まりやすく、これにより、補強用樹脂組成物の信頼性をより向上させることができる。
【0078】
本開示の第7の態様に係る電子部品(1)は、電子部品本体(10)と、電子部品本体(10)の表面上に形成された導体(20)と、導体(20)上に配置され、導体(20)と電気的に接続されているはんだ製のバンプ(30)と、導体(20)とバンプ(30)との継ぎ目(100)を覆う補強部(40)とを備える。補強部(40)が、第1から第6のいずれか一の態様に係る補強用樹脂組成物の硬化物を含む。
【0079】
第7の態様によれば、電子部品(1)の接続信頼性をより向上させることができる。
【実施例0080】
以下、本開示を実施例によって具体的に説明するが、本開示は実施例のみに限定されるものではない。
【0081】
<補強用樹脂組成物の調製>
表1に示す原料を混合することで、補強用樹脂組成物を調製した。表1に示す原料の詳細は以下の通りである。
【0082】
-(A)成分(エポキシ樹脂(A))
・エポキシ樹脂(A1):液状ビスフェノールF型エポキシ(三菱化学社製の「YDF8170」
・エポキシ樹脂(A2):液状ビスフェノールA型エポキシ(三菱化学社製の「YD8125」)
-(B)成分(ベンゾオキサジン化合物(B))
・ベンゾオキサジン化合物(B1):F-a型(四国化成社製)
・ベンゾオキサジン化合物(B2):P-d型(四国化成社製)
-(C)成分(フッ化ホウ素化合物(C))
・フッ化ホウ素化合物(C1):三フッ化ホウ素エチルアミン(ステラケミファ社製)
・フッ化ホウ素化合物(C2):三フッ化ホウ素ピぺリジン(ステラケミファ社製)
-(D)成分(活性剤(D))
・活性剤(D1):ダイマ酸(大阪有機化学工業社製)
-(E)成分(溶剤(E))
・溶剤(E1):ジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤社製)
-(F)成分(チクソ剤(F))
・チクソ剤(F1):新日本理化社製の「ゲルオールD」
-(G)成分(フェノール樹脂(G))
・フェノール樹脂(G1):アリル化フェノールノボラック樹脂(明和化成社製の「MEH-8000H」)
【0083】
<評価>
[リフロー時の硬化性]
前記調製した補強用樹脂組成物について、DSCを用いて、硬化の際の発熱量を測定した。(DSC測定条件:温度範囲35℃~350℃、昇温速度10℃/分)
リフロー硬化率(%)を、下記式により算出した。
リフロー硬化率(%)=(樹脂の総発熱量-硬化物の総発熱量)×100/樹脂の総発熱量
※「樹脂の総発熱量」とは、DSC測定中の樹脂の発熱量の総和を意味する。
※「硬化物の総発熱量」とは、リフロー後のDSC測定中の硬化物の発熱量の総和を意味する。
リフロー時の硬化性について、以下の基準で評価した。
A(良好):リフロー硬化率が70%以上であった。
B(不良):リフロー硬化率が70%未満であった。
【0084】
[信頼性]
前記調製した補強用樹脂組成物を用い、150℃で1hの後、200℃で3hの硬化条件で、サイズ50mm×1mm×10mmの硬化物を形成した。動的粘弾性測定(DMA)により、この硬化物のtanδの温度変化を測定した。このtanδの温度変化から、ガラス転移温度(Tg)を求めた。
信頼性について、以下の基準で評価した。
AA(良好):Tgが140℃超であった。
A(やや良好):Tgが100℃以上140℃以下であった。
B(不良):Tgが100℃未満であった。
【0085】
[保存安定性]
前記調製した補強用樹脂組成物をサンプル瓶に入れた後、25℃の恒温槽内に保管し、保管開始直後の粘度、及び24時間保管後の粘度を、E型回転粘度計(東機産業社製の「RE-215U」)で測定し、粘度上昇度(%)((24時間保管後の粘度-保管開始直後の粘度)×100/保管開始直後の粘度)を求めた。
保存安定性について、以下の基準で評価した。
A(良好):粘度上昇度が15%以下であった。
B(やや良好):粘度上昇度が15%超25%未満であった。
C(不良):粘度上昇度が25%以上であった。
【0086】
[総合評価]
リフロー時の硬化性、信頼性、及び保存安定性の各評価から、以下の基準で、総合評価を行った。
AA(非常に良好):全てA評価以上であり、AA評価が1つ以上ある。
A(良好):全てA評価である。
B(やや良好):B評価が1つ以上ある。
C(不良):リフロー時の硬化性がB評価である。
【0087】
【表1】
【0088】
表1の結果から明らかなように、実施例の補強用樹脂組成物は、リフロー時の硬化性に優れていることが分かる。一方、比較例の補強用樹脂組成物は、リフロー時の硬化性が劣っていた。
【符号の説明】
【0089】
1 電子部品
10 電子部品本体
20 導体
30 バンプ
40 補強部
100 継ぎ目
図1