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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171871
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】作業支援方法及び作業支援装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20241205BHJP
   G01C 15/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E04G21/18 B
G01C15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089141
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大川 悠奈
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174EA01
(57)【要約】
【課題】現場作業において、位置決め作業に続く後工程の現場作業を効率的に行なうための作業支援方法及び作業支援装置を提供する。
【解決手段】作業支援方法では、マーカを形成するマーキング装置140と、駆動輪101と、マーキング位置とマーカ種類とを記録した情報記憶部に接続された制御部11と、を備えたマーカ装置10を用いる。そして、制御部11が、駆動輪101を駆動して、情報記憶部に記録されたマーキング位置に移動し、マーキング装置140を駆動して、マーカ種類に応じたマーキングを行なう。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーカを形成するマーキング装置と、走行装置と、マーキング位置とマーカ種類とを記録した情報記憶部に接続された制御部と、を備えた作業支援装置を用いた作業支援方法であって、
前記制御部が、
前記走行装置を駆動して、前記情報記憶部に記録されたマーキング位置に移動し、
前記マーキング装置を駆動して、前記マーカ種類に応じたマーキングを行なうことを特徴とする作業支援方法。
【請求項2】
前記マーカ種類として、異なる色及び異なる線種の少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項3】
前記マーカを形成するマーカ材として、前記マーキングにより立体形状となる材料を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業支援方法。
【請求項4】
前記立体形状のマーカ材に対して、搬送物を当接及び嵌合の少なくとも一つにより配置させることを特徴とする請求項3に記載の作業支援方法。
【請求項5】
マーカを形成するマーキング装置と、走行装置と、マーキング位置とマーカ種類とを記録した情報記憶部に接続された制御部と、を備えた作業支援装置であって、
前記制御部が、
前記走行装置を駆動して、前記情報記憶部に記録されたマーキング位置に移動し、
前記マーキング装置を駆動して、前記マーカ種類に応じたマーキングを行なうことを特徴とする作業支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場において、位置決め作業を支援する作業支援方法及び作業支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場では、柱の中心線や壁の仕上げ面の位置等のように、各領域で水平位置や中心位置となる基準線を書き出す墨出し作業を行なっている。この墨出し作業の効率化のために、自走する墨出し装置を用いる場合もある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-015523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した墨出し装置では、黒線や目印等のマーカを付加する墨出し作業を効率化できる。しかしながら、建設現場では基準線だけではなく、各領域を多様な目的に応じた用途で利用している。従って、黒線や目印では、利用できる用途が限られていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための作業支援方法は、マーカを形成するマーキング装置と、走行装置と、マーキング位置とマーカ種類とを記録した情報記憶部に接続された制御部と、を備えた作業支援装置を用いる。そして、前記制御部が、前記走行装置を駆動して、前記情報記憶部に記録されたマーキング位置に移動し、前記マーキング装置を駆動して、前記マーカ種類に応じたマーキングを行なう。
【0006】
上記課題を解決するための作業支援装置は、マーカを形成するマーキング装置と、走行装置と、マーキング位置とマーカ種類とを記録した情報記憶部に接続された制御部と、を備える。そして、前記制御部が、前記走行装置を駆動して、前記情報記憶部に記録されたマーキング位置に移動し、前記マーキング装置を駆動して、前記マーカ種類に応じたマーキングを行なう。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、現場作業において、位置決め作業に続く後工程の現場作業を効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の作業支援装置の斜視図である。
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
図3】実施形態の作業支援装置の機能の説明図である。
図4】実施形態の処理手順の説明図である。
図5】実施形態のマーカの説明図である。
図6】第2の実施形態の搬送装置の機能の説明図である。
図7】第2の実施形態の搬送時の説明図であって、(a)は第1マーカを用いた建設部材の配置前、(b)は第1マーカを用いた配置後、(c)は第2マーカを用いた建設部材の配置前、(d)は第2マーカを用いた配置後の説明図である。
図8】第2の実施形態の搬送時の説明図であって、(a)は第3マーカを用いた建設部材の配置前、(b)は第3マーカを用いた配置後の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図1図5を用いて、作業支援方法及び作業支援装置を具体化した一実施形態を説明する。
【0010】
図1に示すように、作業支援装置として、自走するマーカ装置10を用いる。このマーカ装置10は、本体部100に、走行装置としての駆動輪101を備える。この駆動輪101には、例えば、メカナムホイール(登録商標)を用いることができる。メカナムホイールを用いることにより、マーカ装置10を、任意のスピードにおいて、前後進、横移動、旋回、斜め移動させることができる。この駆動輪101は、それぞれ走行モータ102により駆動される。
【0011】
マーカ装置10は、制御部11を備える。この制御部11は、バッテリ105により駆動される。
また、本体部100には、バッテリ105により駆動されるマーキング装置140が設けられている。このマーキング装置140には、マーカを形成するために、マーカ材としてのインクを吐出するインクヘッド141が設けられている。そして、マーキング装置140は、インクヘッド141を3次元で動かすプロッタ機能により、マーカ装置10の作業面にマーカ(模様、線等の図形や文字)を印字する。これにより、インクヘッド141を、前後(第1軸)、左右(第2軸)、上下(第3軸)で動かすことにより、図形を直線や曲線の集合で表現したベクトルデータによって、マーカを生成する。
【0012】
また、本体部100は、インクタンク121、ポンプ122を備える。本実施形態では、インクタンク121には、複数色のインクが収納される。
そして、インクタンク121に内蔵されているインクは、バッテリ105により駆動されるポンプ122により、チューブを介して、インクヘッド141に供給される。
インクヘッド141は、インクタンク121のインクをノズルから吐出することにより、マーカを配置する。
【0013】
(ハードウェア構成の説明)
図2を用いて、マーカ装置10を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。なお、例えば、クラウド環境を用いてもよい。そして、クラウド環境を通してロボットと通信を行なう場合には、入力装置や表示装置を省略してもよい。
【0014】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0015】
入力装置H12は、各種情報の入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
記憶部H14は、マーカ装置10の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0016】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、マーカ装置10における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各処理のための各種プロセスを実行する。
【0017】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下で構成し得る。
【0018】
〔1〕コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ
〔2〕各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは
〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0019】
(マーカ装置10)
次に、図3を用いて、マーカ装置10の機能を説明する。
マーカ装置10は、制御部11を備えている。この制御部11は、情報記憶部115に接続される。
【0020】
制御部11は、マーカプログラムを実行することにより、管理部110、位置検出部111、走行制御部112、マーキング制御部113として機能する。
管理部110は、位置検出部111、走行制御部112、マーキング制御部113を制御する処理を実行する。
【0021】
位置検出部111は、マーカ装置10の現在地を特定する処理を実行する。この位置特定には、GNSS(Global Navigation Satellite System)技術や、LIDAR(Light Detection And Ranging)等を用いた自己位置推定技術を用いることができる。また、所定の位置に予め配置された基準マーカを検知することにより、マーカ装置10の現在地を特定するようにしてもよい。
【0022】
走行制御部112は、駆動輪101の走行モータ102を制御する処理を実行する。この制御により、走行制御部112は、マーカ装置10を所定の位置に移動させる。
マーキング制御部113は、ポンプ122や、マーキング装置140を制御することにより、所望の位置に、マーカを形成するマーキングを行なう。
【0023】
情報記憶部115には、マーキングを行なうためのマーカ管理情報が記録される。このマーカ管理情報は、建設現場において、マーキングを行なう位置を決定した場合に記録される。マーカ管理情報は、マーカを配置するマーキング位置、マーカ種類、用途、状況に関するデータが含まれる。
【0024】
マーキング位置データ領域には、マーカを配置する位置に関するデータが記録される。マーキング位置としては、インクの吐出を開始する始点から吐出を終了する終点までの経路についての位置座標を用いる。
【0025】
マーカ種類データ領域には、配置するマーカの種類を識別するためのパターンに関するデータが記録される。本実施形態では、マーカ種類として、マーキングを行なうインクの色を用いる。
【0026】
用途データ領域には、このマーキングを行なう目的に応じた用途に関するデータが記録される。用途としては、例えば、通り芯、通路、搬送経路、資材置き場、注意喚起領域、現場座標識別コード等がある。
状況データ領域には、このマーキングの進捗状況に関する情報が記録される。このデータ領域には、例えば、未処理、処理中、処理済を示すフラグが記録される。
【0027】
(マーキング処理)
次に、図4図5を用いて、マーキング処理を説明する。
【0028】
まず、マーカ装置10の制御部11は、マーキング位置の特定処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御部11の管理部110は、情報記憶部115から、未処理のマーカ管理情報を処理対象として取得する。
【0029】
次に、マーカ装置10の制御部11は、移動処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部11の管理部110は、位置検出部111から、現在位置を取得する。次に、管理部110は、現在位置からマーカ管理情報の始点位置までの移動経路を生成する。そして、管理部110は、走行制御部112により、走行モータ102を駆動することにより、移動経路に従って始点位置まで走行する。
【0030】
始点位置に到着した場合、マーカ装置10の制御部11は、マーカ種類の特定処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御部11の管理部110は、情報記憶部115から、処理対象のマーカ管理情報のマーカ種類を取得する。
【0031】
次に、マーカ装置10の制御部11は、マーカ配置処理を実行する(ステップS14)。具体的には、制御部11の管理部110は、処理対象のマーカ管理情報の状況データ領域に処理中フラグを記録する。そして、管理部110は、マーキング制御部113により、処理対象のマーカ種類のインクを吐出するためのポンプ122を駆動する。ここで、マーキング制御部113は、走行することなくマーキング可能な場合には、マーキング装置140を用いて、マーキングを行なう。一方、処理対象のマーカ管理情報の終点位置がマーキング装置140の駆動範囲を超えている場合には、管理部110は、走行制御部112により、移動しながらマーキングを行なう。
【0032】
管理部110は、処理対象のマーカ管理情報の終点位置までのマーキングを完了した場合には、マーカ管理情報の状況データ領域に処理済フラグを記録する。
そして、管理部110は、情報記憶部115において、すべてのマーカ管理情報について終了するまで、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0033】
この場合、図5に示すように、「通路」に関しては、作業者が通行する通路にマーカM11、M12を配置する。
また、「注意喚起領域」に関しては、作業者が注意すべき領域(例えば段差がある領域)の周囲にマーカM20を配置する。
【0034】
また、「資材置き場」に関しては、資材置き場の周囲にマーカM31、M32を配置する。この場合、この領域の利用する目的に応じた用途(資材の種類や利用者等)に応じて、異なるマーカ種類(色)のマーカM31、M32を配置する。
【0035】
また、「搬送経路」に関しては、資機材の搬送に用いる搬送装置30の搬送経路に従ってマーカM40を配置する。搬送装置30は、マーカ種類に応じて、マーカM40を検出するセンサを備える。そして、搬送装置30は、このマーカM40を検出しながら、マーカM40に誘導されて自走する。
【0036】
(作用)
本実施形態によれば、マーキングにより、建設現場を、用途に応じた領域に区分できる。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)本実施形態では、情報記憶部115には、マーキングを行なう位置に関するマーカ管理情報が記録される。このマーカ管理情報は、マーキング位置、マーカ種類、用途、状況に関するデータが含まれる。これにより、建設現場に各領域を、用途に応じて区分けすることができる。
【0038】
(1-2)本実施形態では、マーカ装置10の制御部11は、マーキング位置の特定処理(ステップS11)、移動処理(ステップS12)を実行する。これにより、予め情報記憶部115に記録したマーカ管理情報により、効率的にマーキングを行なうことができる。
【0039】
(1-3)本実施形態では、マーカ装置10の制御部11は、マーカ種類の特定処理(ステップS13)、マーカ配置処理(ステップS14)を実行する。これにより、自走ロボットにより、用途に応じて、異なるマーカ種類のマーカでマーキングを行なうことができる。
【0040】
(1-4)本実施形態では、「搬送経路」に関しては、経路に従ってマーカM40を配置する。これにより、マーカM40を検出するセンサを備える搬送装置30により、資機材を効率的に搬送することができる。
【0041】
(第2実施形態)
第1実施形態では、マーカ装置10において、作業面に模様や文字を印字可能なインクを用いた。これに代えて、マーカ装置10において、マーキングにより盛り上がって立体形状となる材料(立体インク)を用いてもよい。このような立体インクとしては、例えば、作業面と密着性がよい発泡性樹脂(ウレタン樹脂)系のインクを用いることができる。
【0042】
そして、自走式の搬送装置により、搬送物を所定位置に搬送する。ここでは、搬送物として、建設部材を想定する。この場合、搬送装置は、把持部を備えたアームで、搬送物を把持しながら、マーカ装置10によるマーカに対応する位置に搬送される。なお、アームに把持部と固定部とを備えた搬送装置を用いてもよい。この場合には、搬送装置が、建設部材を所定位置に配置して、例えば鋲打ち等により固定までを行なうようにしてもよい。これにより、本設の建設部材(例えばLGS等)を配置する際の位置決めに利用することができる。
【0043】
図6に示すように、搬送装置40は、制御部41、情報記憶部42を備える。
制御部41は、搬送プログラムを実行することにより、管理部410、位置検出部411、走行制御部412、搬送制御部413として機能する。
【0044】
管理部410は、位置検出部411、走行制御部412、搬送制御部413を制御する処理を実行する。
位置検出部411は、搬送装置40の現在地を特定する処理を実行する。
【0045】
走行制御部412は、駆動輪の走行モータ43を制御する処理を実行する。この走行制御部412により、搬送物の搬送先の近傍まで移動する。
搬送制御部413は、アーム44を制御して、搬送物を把持する。更に、アーム44にかかる圧力を触覚センサ45により検知する。この触覚センサ45により、アーム44により摺動させながら移動させている搬送物が、後述する立体マーカに当接したことを検知する。
【0046】
情報記憶部115には、搬送物を搬送するための搬送管理情報が記録される。この搬送管理情報は、搬送を決定した場合に記録される。搬送管理情報は、搬送を行なう搬送経路に関するデータが含まれる。
【0047】
搬送経路データ領域には、搬送を開始する始点から搬送を終了する終点までの経路についての位置座標を用いる。
この場合、まず、マーカ装置10を用いて、搬送物の端部位置に立体マーカを印字する。この立体マーカは、例えば、0.1mm~数cmの高さで、搬送物が当接して引っ掛かればよい。
【0048】
例えば、図7(a)に示すように、マーカ装置10により、搬送物70の端部が配置される位置にマーカM51を配置する。
そして、搬送装置40は、アーム44で搬送物を把持した状態で、走行モータ43を制御して、マーカM51の近傍まで搬送する。
次に、図7(b)に示すように、搬送装置40のアーム44を用いて、作業面で搬送物70を摺動させる。この場合、搬送物70の端部が、マーカM51に当接すると、摺動時の抵抗が変わる。搬送装置40は、この抵抗の変化を触覚センサ45により検知して、搬送を終了する。
【0049】
また、図7(c)に示すように、マーカ装置10により、搬送物70の角部を配置する位置にマーカM52を配置してもよい。
この場合にも、図7(d)に示すように、搬送装置40のアーム44を用いて、作業面で搬送物70を摺動させる。この場合、搬送物70の角部が、マーカM52に当接すると、摺動時の抵抗が変わる。この場合には、2次元での抵抗の変化を触覚センサにより検知する。
【0050】
また、搬送物と嵌合するマーカを用いてもよい。
この場合には、図8(a)に示すように、搬送物70に孔71を設ける。そして、この孔71が設置される位置に、マーカM53を配置する。
そして、図8(b)に示すように、マーカM53と孔71とを嵌合させることにより、搬送物70を所望の位置に設置する。
【0051】
本実施形態によれば、上述した(1-1)~(1-3)に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0052】
(2-1)本実施形態では、立体形状を構成するインクを用いて、マーキングを行なう。これにより、搬送物70と接触させることにより、所望の位置に資材を配置することができる。マーカを画像認識により検知することもできるが、撮影条件(環境の明るさや死角等)によっては、マーカの検知が困難な場合がある。この場合、立体的なマーカを用いてマーキングを行なうことにより、接触等により配置を特定することができる。
【0053】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第1実施形態では、マーカ装置10は、情報記憶部115を備える。これに代えて、サーバに情報記憶部115を設けてもよい。この場合には、マーカ装置10は、サーバと通信を行なうことにより、マーカ管理情報を取得する。
【0054】
・上記第1実施形態では、情報記憶部115には、マーキングを行なう位置に関するマーカ管理情報が記録される。このマーカ管理情報は、マーキングを行なうマーキング位置、マーカ種類、用途、状況に関するデータが含まれる。これに代えて、マーカ管理情報に記録された用途に応じて、マーカ種類を決定してもよい。ここでは、用途とマーカ種類とを関連付けて記録した変換テーブルを用いる。そして、制御部11は、マーカ管理情報に記録された用途に応じて、変換テーブルを用いて、マーカ種類を決定する。これにより、用途に応じてユニークに決まるマーカ種類を設定することができる。
【0055】
・上記第1実施形態では、マーカ装置10はマーキング装置140を備える。マーキングを行なうことができれば、マーキング装置140のプロッタ機能はなくてもよい。この場合には、プロッタ機能に代えて、走行制御部112によって移動することにより、所望の配置のマーキングを行なう。
【0056】
・上記第1実施形態では、マーカ種類として、マーキングを行なうインクの色を用いるが、識別できれば、色に限定されるものではない。「注意喚起領域」に関しては、再帰性反射塗料やトラテープ等の注意を惹くインク・材料を使ってもよい。
また、経路上に、その場所の座標等を表す現場座標識別コード(バーコードや2次元コード等)を、マーカとして形成してもよい。
また、特定波長で検知可能なインクを使用してもよい。この場合には、例えば、赤外線(特定波長)の吸収インクを用いる。これにより、人間は視認できないが、赤外線カメラ等の特定波長センサを備えたロボットが検知可能なロボット専用のマーキングを行なうことができる。
【0057】
・上記第2実施形態では、立体インクとしては、発泡性樹脂(ウレタン樹脂)系のインクを用いる、立体形状を実現できれば、発泡性樹脂系のインクに限定されない。例えば、モルタルを用いてもよい。また、所定の条件下で、立体インクを剥がせるようにしてもよい。また、所定の条件下で、収縮する立体インクを用いてもよい。
【0058】
また、マーキング装置140において、マーカとして厚みのあるテープを敷設するようにしてもよい。
また、マーキング装置140において、マーカ材である塗料を吹き付けるプリンタヘッド(例えば、インクジェットプリンタヘッド)や、ローラースタンプ、プロッターペンを用いてもよい。また、紫外線を照射させることで硬化するUVインクを使用したプリンタを用いてもよい。
【0059】
また、マーキング装置140において、カッター等を用いることにより、溝形状のマーカを形成してもよい。この場合には、例えば、マーキング装置140として、はつり作業を行なう場合に用いるカッターヘッド等を用いることができる。例えば、沓摺部分等で、コンクリート打設後に一部のコンクリートをはつる場合、溝形状のマーカにより、後続のハンドブレイカーによる作業を円滑に行なうことができる。
【0060】
・上記第2実施形態では、立体マーカを利用して、後続工程で建設部材の配置を行なう。ここで、先行して作成した立体マーカを利用して、後続工程で新たなマーカを形成してもよい。この場合には、マーカ装置10に、先行して形成した立体マーカに対して位置決めを行なうガイド部を設ける。ガイド部としては、先行して形成した立体マーカの形状に対応した定規等を用いることができる。そして、マーカ装置10は、立体マーカにガイド部を適用して位置決めを行ない、プロッタ等のマーキング装置140により新たなマーカを形成する。
【0061】
・上記第1実施形態では、マーカ種類として、マーキングを行なうインクの色を用いる。マーカを識別できれば、マーカ種類は色に限定されるものではない。例えば、線種(実線、点線、破線、一点鎖線、波線等)を用いる。これにより、単色で、複数種類のマーカを識別することができる。
また、上記第2実施形態のように、立体インクにおいて、色や線種、立体形状を変更してもよい。
【0062】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(a)前記マーキング位置を設けた領域の用途に応じて、前記マーカ種類を特定することを特徴とする請求項1に記載のマーカ装置。
【0063】
(b)前記用途には通路が含まれており、前記通路を示すマーカ種類を用いることを特徴とする請求項1又は(a)に記載のマーカ装置。
(c)前記用途には注意喚起領域が含まれており、前記注意喚起領域を示すマーカ種類を用いることを特徴とする請求項1又は(a)~(b)の何れか一つに記載のマーカ装置。
【0064】
(d)前記用途には資材置き場が含まれており、前記資材置き場を示すマーカ種類を用いることを特徴とする請求項1、(a)~(c)の何れか一つに記載のマーカ装置。
(e)前記用途には、搬送装置を誘導する搬送経路が含まれており、前記搬送装置が認識可能なマーカ種類を用いることを特徴とする請求項1又は(a)~(d)の何れか一つに記載のマーカ装置。
【符号の説明】
【0065】
10…マーカ装置、100…本体部、101…駆動輪、102…走行モータ、105…バッテリ、11…制御部、111…位置検出部、112…走行制御部、113…マーキング制御部、115…情報記憶部、121…インクタンク、122…ポンプ、140…マーキング装置、141…インクヘッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8