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特開2024-171891画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171891
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/90 20170101AFI20241205BHJP
【FI】
G06T7/90 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089168
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖浩
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096CA04
5L096CA24
5L096DA01
5L096FA32
5L096GA40
5L096GA53
(57)【要約】
【課題】 色変換の対象となる画像において重要な色を高精度に変換するための処理を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の撮像手段が複数のカラーパッチを含むカラーチャートを撮像して得られる画像における各カラーパッチに対応する色情報の組を取得し、複数の撮像手段が被写体を撮像して得られる画像において指定された色を表す色情報の組を取得し、取得した色情報の組に基づいて撮像手段間の色合わせのためのカラープロファイルを生成する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮像手段が複数のカラーパッチを含むカラーチャートを撮像して得られる画像における各カラーパッチに対応する色情報と、第2の撮像手段が前記カラーチャートを撮像して得られる画像における各カラーパッチに対応する色情報との組である第1の色情報の組を取得する第1取得手段と、
前記第1の撮像手段が被写体を撮像して得られる画像において指定された色を表す色情報と、前記第2の撮像手段が前記被写体を撮像して得られる画像において指定された色を表す色情報との組である第2の色情報の組を取得する第2取得手段と、
前記第1の色情報の組と前記第2の色情報の組とに基づいて、前記第1の撮像手段が前記被写体を撮像して得られる画像の色と前記第2の撮像手段が前記被写体を撮像して得られる画像の色とを合わせるためのカラープロファイルを生成する生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記カラープロファイルは、ルックアップテーブルであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成されたカラープロファイルを他の装置に出力する出力手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の色情報の組に含まれる色情報の組ごとに重要度を設定し、前記第2の色情報の組に含まれる色情報の組ごとに重要度を設定する設定手段を更に有し、
前記生成手段は、前記設定された重要度に基づいて、前記カラープロファイルを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記重要度が高い色情報の組については同じ値の色情報の組を複数用いて前記カラープロファイルを生成することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記生成されたカラープロファイルが所定の基準を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記生成されたカラープロファイルが所定の基準を満たさないと判定された場合に、前記設定された重要度を変更する変更手段と、
を更に有することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記第1の撮像手段の撮像により得られる画像の色と、前記生成されたカラープロファイルを用いて変換された、前記第2の撮像手段の撮像により得られる画像の色との色差が閾値以下であるか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
コンピュータを請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
第1の撮像手段が複数のカラーパッチを含むカラーチャートを撮像して得られる画像における各カラーパッチに対応する色情報と、第2の撮像手段が前記カラーチャートを撮像して得られる画像における各カラーパッチに対応する色情報との組である第1の色情報の組を取得し、
前記第1の撮像手段が被写体を撮像して得られる画像において指定された色を表す色情報と、前記第2の撮像手段が前記被写体を撮像して得られる画像において指定された色を表す色情報との組である第2の色情報の組を取得し、
前記第1の色情報の組と前記第2の色情報の組とに基づいて、前記第1の撮像手段が前記被写体を撮像して得られる画像の色と前記第2の撮像手段が前記被写体を撮像して得られる画像の色とを合わせるためのカラープロファイルを生成する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ番組の放送や、スポーツ中継などのライブ放送のために、複数の撮像装置(カメラ)を用いて撮像を行い、撮像により得られた映像を合成して放送するシステムが知られている。例えばスポーツ中継では、あるカメラで試合会場全体を俯瞰する映像を撮像し、他のカメラで選手をさまざまな位置から撮像することで、試合の様子を中継している。このとき、複数の機種のカメラを用いて撮像を行うことが一般的となっている。
【0003】
ところが、カメラ間でメーカーやグレードが異なる場合、映像の品質も異なることになる。この結果、同じ被写体を映すカメラ間での切り替えを行った場合に、放送されている映像における被写体の色が変わってしまうことがあった。このため、カメラ間で表現される色が同じになるように、カメラマンやビデオエンジニア(VE)が放送前にカメラ調整を行う必要があった。カメラ間色合わせのためのカラープロファイルを生成する技術として特許文献1がある。特許文献1は、カラープロファイルを生成するために用いるパッチ画像のうちの信頼度の低いパッチ画像の重みを調整することが可能なユーザインタフェースを表示することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-81725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、重要な色をパッチ画像において指定することはできるが、色変換の対象となる画像において重要な色(被写体の色など)がパッチ画像に含まれていないこともあるため、重要な色を高精度に変換できない場合があった。
【0006】
そこで本発明は、色変換の対象となる画像において重要な色を高精度に変換するための処理を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、第1の撮像手段が複数のカラーパッチを含むカラーチャートを撮像して得られる画像における各カラーパッチに対応する色情報と、第2の撮像手段が前記カラーチャートを撮像して得られる画像における各カラーパッチに対応する色情報との組である第1の色情報の組を取得する第1取得手段と、前記第1の撮像手段が被写体を撮像して得られる画像において指定された色を表す色情報と、前記第2の撮像手段が前記被写体を撮像して得られる画像において指定された色を表す色情報との組である第2の色情報の組を取得する第2取得手段と、前記第1の色情報の組と前記第2の色情報の組とに基づいて、前記第1の撮像手段が前記被写体を撮像して得られる画像の色と前記第2の撮像手段が前記被写体を撮像して得られる画像の色とを合わせるためのカラープロファイルを生成する生成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、色変換の対象となる画像において重要な色を高精度に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】撮像システムの構成例を示す図
図2】画像処理装置のハードウェア構成例を示す図
図3】画像処理装置の機能構成例を示す図
図4】画像処理装置が実行する処理を示すフローチャート
図5】ユーザインタフェースの例を示す図
図6】画像処理装置の機能構成例を示す図
図7】画像処理装置が実行する処理を示すフローチャート
図8】ユーザインタフェースの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態は本発明を必ずしも限定するものではない。また、各実施形態において説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
[第1実施形態]
本実施形態では、複数の撮像装置に接続された画像処理装置が、撮像装置間の画像の色を合わせるための色変換ルックアップテーブル(LUT)を生成する。尚、以下の実施形態で扱われる画像は静止画であっても良いし、動画であっても良い。
【0012】
図1は、撮像システムの構成例を示す図である。撮像システム100は、撮像装置101及び撮像装置102、画像処理装置103を有する。撮像装置101と撮像装置102と画像処理装置103とは、ネットワーク104を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク104は、例えばEtherNet(登録商標)の通信規格に準拠する複数のルータ、スイッチ、ケーブル等から構成される。尚、ネットワーク104は、撮像装置101と撮像装置102と画像処理装置103との間で通信可能な構成であれば、通信規格や構成は上記一例に限定されない。
【0013】
撮像装置101と撮像装置102とは、それぞれ撮像光学系を構成するレンズ群と撮像素子とを有する。レンズ群は、入射光を結像するための光学レンズを含み、入射光を撮像素子に集光させる。撮像素子は、光をアナログ画像信号に変換する素子であり、例えばCMOS素子を用いることができる。尚、撮像装置101及び撮像装置102は、1枚以上の画像を含む動画像を撮像可能な撮像装置であっても良い。
【0014】
画像処理装置103は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)やスマートフォン、タブレット型PCなどの装置により実現される。画像処理装置103は、撮像装置101及び撮像装置102からネットワーク104を介して受信した画像に対する画像処理や、各撮像装置の撮像時の設定情報の解析処理、各撮像装置間の色を変換するための色変換LUTの生成処理を行う。生成された色変換LUTは、ネットワーク104を介して各撮像装置へ送信される。
【0015】
尚、本実施形態では、目標の色を撮像できる撮像装置を基準カメラとし、基準カメラと同じ色に補正したい撮像装置を色補正対象カメラとする。本実施形態では、撮像装置101が基準カメラ、撮像装置102が色補正対象カメラである。
【0016】
図2は、画像処理装置103のハードウェア構成例を示す図である。画像処理装置103は、CPU201、RAM202、ROM203、補助記憶インタフェース204、HDD205、入力インタフェース206、出力インタフェース207、ネットワークインタフェース208を有する。画像処理装置103の各構成要素はシステムバス209によって相互に接続されている。また、画像処理装置103は、入力インタフェース206を介して外部記憶装置210及び操作装置211に接続されている。また、画像処理装置103は、出力インタフェース207を介して表示装置212に接続されている。
【0017】
CPU201は、RAM202をワークメモリとして、ROM203に格納されたプログラムを実行し、システムバス209を介して画像処理装置103の各構成要素を統括的に制御する。これにより、後述する様々な処理が実行される。HDD205は、画像処理装置103が扱う種々のデータを記憶する記憶装置である。CPU201は、システムバス209を介して、HDD205へのデータの書き込み及びHDD205に記憶されたデータの読み出しを行う。尚、HDD205の代わりに、光ディスクドライブやフラッシュメモリ等、様々な記憶装置を用いることも可能である。
【0018】
入力インタフェース206は、例えばUSBやIEEE1394等のシリアルバスインタフェースである。画像処理装置103は、入力インタフェース206を介して、外部装置からデータや命令等を入力する。本実施形態では、画像処理装置103は、入力インタフェース206を介して、外部記憶装置210(例えば、ハードディスク、メモリカード、CFカード、SDカード、USBメモリ等の記憶媒体)からデータを取得する。また本実施形態では、画像処理装置103は、操作装置211に入力されたユーザの指示を、入力インタフェース206を介して取得する。操作装置211は、マウスやキーボード等の、ユーザの指示を入力するための入力装置である。尚、操作装置211の代わりに、指などの指示体によるタッチの位置を検出するタッチパネルの機能を有するタッチパネルディスプレイを表示装置212として用いても良い。この場合は、例えば画像処理装置103と表示装置212とが一体となったタブレットPCなどを利用することができる。
【0019】
出力インタフェース207は、入力インタフェース206と同様にUSBやIEEE1394等のシリアルバスインタフェースである。尚、出力インタフェース207は、例えばDVIやHDMI(登録商標)等の映像出力端子であっても良い。画像処理装置103は、出力インタフェース207を介して、外部装置にデータ等を出力する。本実施形態では、画像処理装置103は、出力インタフェース207を介して表示装置212(液晶ディスプレイ等)に、CPU201によって処理されたデータ(例えば、LUTの生成結果)を出力する。
【0020】
ネットワークインタフェース208は、Ethernet等のネットワークに接続するためのコネクタである。ネットワーク104を経由して送られてくる画像データや撮像設定情報は、システムバス209を介して画像処理装置103内のRAM202等に記憶される。尚、画像処理装置103の構成は上記構成に限られない。
【0021】
本実施形態では、上記構成を備える画像処理装置103は、CPU201からの指令に基づき、ネットワーク104を経由して入力された撮像装置102の画像データ及び撮像装置101の画像データを取得する。画像処理装置103は、取得した画像データから色情報を取得し、取得した色情報を基に、色補正対象カメラである撮像装置102の色を、基準カメラである撮像装置101の色に合わせるための色変換LUTを生成する。
【0022】
<画像処理装置の機能構成>
図3は、画像処理装置103の機能構成例を示すブロック図である。CPU201は、RAM202をワークメモリとして、ROM203又はHDD205に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、図3に示す機能構成として機能する。尚、以下に示す処理の全てがCPU201によって実行される必要はなく、処理の一部又は全てがCPU201以外の1つまたは複数の処理回路によって行われるように画像処理装置1が構成されていても良い。
【0023】
画像処理装置103は、色情報取得部301と、重要色取得部302と、生成部303と、出力部304とを有する。色情報取得部301は、撮像装置101及び撮像装置102がカラーチャートを撮像して得られる画像データから色情報を取得する。具体的には、色情報取得部301は、複数のカラーパッチを含むカラーチャートの撮像画像において、各カラーパッチに対応する色の代表値を色情報として取得する。本実施形態における色の代表値は、各カラーパッチ内の画素の平均画素値(平均RGB値)とするが、中央値など他の方法で決めた代表値であっても良い。例えば、カラーチャートにカラーパッチが24個(24色)ある場合は、色情報取得部301は代表値を24個取得する。カラーチャートには公知のMacbeth ColorChecker Classicなどを用いることができ、カラーパッチの数や種類などは限定されない。尚、撮像装置101及び撮像装置102が撮像するカラーチャートは同一のカラーチャートである。
【0024】
重要色取得部302は、撮像装置101及び撮像装置102が被写体を撮像して得られる画像データが表す画像において重要色の指定を受け付け、指定された重要色の情報を取得する。具体的には、重要色取得部302は、表示装置212による表示を制御して、重要色の指定を受け付けるためのユーザインタフェース(UI)を表示する。図5は、UIの例を示す図である。表示装置212には、図5のように、ウィンドウ501、ウィンドウ502が表示される。操作装置211を用いるユーザによりポインタ503、ポインタ504が操作され、撮像装置101の撮像画像における被写体と撮像装置102の撮像画像における被写体とで同じ色となるべき特定部分の色が、重要色として設定される。各撮像装置の画像は、ネットワーク104を介して取得した画像データを基に表示装置212により表示される。尚、重要色に対応する領域指定は少なくとも1つの画像で行われれば良く、例えば片方のウィンドウに表示された画像にのみユーザの領域指定が行われ、もう他方の画像における同一位置の領域が重要色に対応する領域として自動で設定されるようにしても良い。
【0025】
生成部303は、色情報取得部301が取得したカラーパッチの色情報と、重要色取得部302が取得した被写体における重要色の情報とに基づいて、撮像装置102の撮像画像の色を、撮像装置101の撮像画像の色に合わせるための色変換LUTを生成する。出力部304は、生成部303が生成した色変換LUTを外部記憶装置210などに出力する。
【0026】
<画像処理装置が実行する処理>
本実施形態において画像処理装置103が実行する処理の流れを、図4のフローチャートを用いて説明する。図4のフローチャートが示す処理は、ユーザによって操作装置211を介して指示が入力され、CPU201が入力された指示を受け付けることにより開始する。以下、各ステップ(工程)は符号の前にSをつけて表す。
【0027】
S401において、色情報取得部301は、撮像装置101がカラーチャートを撮像して得られる画像データに基づいて、撮像装置101に対応するカラーパッチの色情報を取得する。また、撮像装置102がカラーチャートを撮像して得られる画像データに基づいて、撮像装置102に対応するカラーパッチの色情報を取得する。本実施形態においては、色情報取得部301は、撮像装置101について24個の平均RGB値を取得し、撮像装置102について24個の平均RGB値を取得する。撮像装置101及び撮像装置102によるカラーチャートの撮像は同様の環境(照明条件)で行われることが好ましい。
【0028】
S402において、重要色取得部302は、被写体の撮像画像においてユーザにより指定された重要色の情報を取得する。本実施形態においては、色情報取得部301は、指定された被写体の一部に対応する画素の画素値(RGB値)を、撮像装置101の撮像画像と撮像装置102の撮像画像とのそれぞれから取得する。尚、ユーザによる指定された領域が複数の画素を含む領域である場合は、カラーパッチの色情報のように、指定領域における色の代表値を取得する。撮像装置101及び撮像装置102による被写体の撮像は、カラーチャートの撮像と同様の環境(照明条件)で行われることが好ましい。
【0029】
S403において、生成部303は、S401において取得された色情報と、S402において取得された重要色の情報とに基づいて、色変換LUTを生成する。具体的には、生成部303は、撮像装置101及び撮像装置102についての、カラーパッチ24個の平均RGB値と重要色1つのRGB値とを合わせた25個のRGB値の組に基づいて、色変換LUTを生成する。複数のRGB値の組を用いた色変換LUTの生成は、色変換マトリクスのパラメータを最適化処理により決定する公知の方法により行う。S404において、出力部304は、S403において生成された色変換LUTを外部記憶装置210などに出力する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置は、撮像装置間の色合わせ用の色変換LUTを生成する際に、被写体における重要色の指定を受け付け、指定された重要色をカラーパッチの色に追加する。これにより、指定された重要色の変換精度を向上させた色変換LUTの生成が可能となる。
【0031】
[第2実施形態]
本実施形態においては、カラーパッチの色及び重要色に対して色の重要度を設定し、重要度に応じた最適化処理により色変換LUTを生成する。これにより、色変換LUT生成用の色それぞれについてどの程度変換精度を高めたいのかを設定することができ、所望の色変換精度を有する色変換LUTを生成することができる。尚、本実施形態における画像処理装置のハードウェア構成は第1実施形態のものと同等であるため、説明を省略する。以下において、本実施形態と第1実施形態とで異なる部分を主に説明する。尚、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0032】
<画像処理装置の機能構成>
図6は、画像処理装置103の機能構成を示すブロック図である。CPU201は、RAM202をワークメモリとして、ROM203又はHDD205に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、図6に示す機能構成として機能する。尚、以下に示す処理の全てがCPU201によって実行される必要はなく、処理の一部又は全てがCPU201以外の1つまたは複数の処理回路によって行われるように画像処理装置103が構成されていても良い。
【0033】
画像処理装置103は、色情報取得部301と、重要色取得部302と、出力部304と、重要度設定部601と、生成部602と、判定部603と、重要度変更部604とを有する。重要度設定部601は、色情報取得部301が取得したカラーパッチの色情報と、重要色取得部302が取得した被写体における重要色の情報とに対して、色変換における重要度を設定する。重要度は色の組ごとに設定される。例えば第1実施形態の例であれば、25個のRGB値の組それぞれについて重要度が設定される。この重要度は、大きければ大きいほど、色変換LUTによる変換精度が向上されるように最適化されるパラメータである。
【0034】
生成部602は、色情報取得部301が取得したカラーパッチの色情報と、重要色取得部302が取得した被写体における重要色の情報と、重要度設定部601が設定した重要度とに基づいて、色変換LUTを生成する。判定部603は、生成部602が生成した色変換LUTが、所望の色変換精度に達しているか否かを判定する。重要度変更部604は、判定部603による判定の結果、色変換LUTの再生成が必要と判定された場合に、生成部602が色変換LUTの生成に用いる重要度の変更を行う。
【0035】
<画像処理装置が実行する処理>
本実施形態において画像処理装置103が実行する処理の流れを、図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートが示す処理は、ユーザによって操作装置211を介して指示が入力され、CPU201が入力された指示を受け付けることにより開始する。S401、S402、S404の処理は第1実施形態における処理と同様であるため説明を省略する。
【0036】
S701において、重要度設定部601は、表示装置212に表示されたUIを介して各色の組に対する重要度の入力を受け付けることにより、重要度の設定を行う。重要度は「高」、「中」、「低」などで設定されても良いし、所定の範囲の数値を用いて設定されても良い。尚、ユーザが手動で指定した重要度ではなく、被写体における重要色を最も高い重要度にするなど、自動で重要度を設定しても良い。
【0037】
S702において、生成部602は、S401において取得された色情報と、S402において取得された重要色の情報と、S701において設定された重要度とに基づいて、色変換LUTを生成する。具体的には、生成部602は、設定された重要度に応じて色の組ごとに最適化処理に用いる色値(データ数)を増加させる。つまり、同じ色値の組を最適化処理に複数用いる。例えば、被写体における重要色がカラーパッチの色の3倍の重要度である場合、重要色の色値を3つに増やしてから最適化処理を行う。つまり、第1実施形態の例であれば、カラーパッチ24個の平均RGB値と重要色1つのRGB値3つとを合わせた27個のRGB値の組を用いて最適化処理を行う。これにより、最適化処理における重要色の影響が大きくなるため、より重要色の色変換精度が高い色変換LUTを生成することができる。
【0038】
S703において、判定部603は、S702において生成された色変換LUTが、所望の色変換精度に達しているか否かを判定する。具体的には、判定部603は、撮像装置101の撮像画像の色と、生成された色変換LUTを用いて変換された撮像装置102の撮像画像の色との色差ΔEが閾値以下であるか否かを判定する。例えば判定基準は、ΔE≦3.0を満たすか否かである。閾値は装置内に保持されていても良いし、ユーザの指定を受け付けても良い。色変換LUTが所望の色変換精度に達していると判定された場合はS404に進み、色変換LUTが所望の色変換精度に達していないと判定された場合はS704に進む。尚、上記判定は重要度の高い色の組についてのみ行われるようにしても良い。
【0039】
S704において、重要度変更部604は、S701において設定された重要度を変更する。例えば、被写体における重要色の重要度が3と設定され、かつ、ΔE≦3.0を満たさなかった場合に、被写体における重要色の重要度を2倍の6に更新する。尚、重要度の変更方法は、所定の数増減させる、ランクを一段階上げるなど、上記の方法に限られない。更新された重要度は、S702の色変換LUT生成に用いられる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置は、カラーパッチの色及び重要色に対して色の重要度を設定し、重要度に応じた最適化処理により色変換LUTを生成する。これにより、所望の色変換精度を有する色変換LUTを生成することができる。
【0041】
[その他の実施形態]
上述した実施形態においては、被写体における重要色が1つ指定されたが、複数指定されても良い。
【0042】
また、上述した実施形態においては、色合わせ用の色変換を行うカラープロファイルとして色変換LUTを生成し出力したが、別の形式でプロファイルを生成し出力しても良い。例えば、マトリクスの形式であっても良いし、関数の形式であっても良い。
【0043】
また、上述した実施形態においては、カラーチャートと被写体とを別々に撮像したが、カラーチャートと被写体とを同じ画角に入れて一度に撮像しても良い。この場合、図8のようなUIが表示装置212に表示され、ユーザにより被写体における重要色が指定される。ウィンドウ801には、撮像装置101により撮像されたカラーチャート802及び被写体803が表示され、ウィンドウ804には、撮像装置102により撮像されたカラーチャート805及び被写体806が表示される。この場合、ユーザはカラーパッチの色を重要色に指定することも可能となる。
【0044】
また、撮像システム100において、撮像装置101及び撮像装置102と、画像処理装置103とが別環境に配置されていても良く、画像処理装置103をサーバー装置としてネットワーク104を介した情報の送受信を行う構成であっても良い。
【0045】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0046】
103 画像処理装置
301 色情報取得部
302 重要色取得部
303 生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8