(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171893
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】現像装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G03G21/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089170
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】田島 宏俊
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270SA09
2H270SB12
2H270SB13
2H270SC06
(57)【要約】
【課題】 機能分離型の現像装置であって且つ撹拌室が現像室よりも下方に配置されている構成において、現像室と撹拌室との間を循環する現像剤の冷却効率を高める。
【解決手段】 現像剤担持体と、第一室と、第二室と、隔壁と、第一搬送部材と、第二搬送部材と、第二室から第一室に現像剤が連通することを許容する第一連通部と、第一室から第二室に現像剤が連通することを許容する第二連通部と、第二室の側面に配置され、第二方向に沿って延伸して設けられ、内部に空気が通過するダクトと、第二方向に関して第二連通部よりも下流且つ第一連通部よりも上流において、ダクトの内部に配置された複数のフィンと、を備え、第二室の底面は、第一室の底面よりも下方に配置されており、複数のフィンのうちの第一連通部の近傍におけるフィンの表面積は、複数のフィンのうちの第二連通部の近傍におけるフィンの表面積よりも大きい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成された静電潜像を現像する現像領域にトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する回転可能な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する第一室と、
前記現像剤担持体に対向して配置され且つ前記現像領域を通過した前記現像剤を前記現像剤担持体から回収する第二室と、
前記第一室と前記第二室とを区画する隔壁と、
前記第一室に配置され且つ前記現像剤を第一方向に搬送する第一搬送部材と、
前記第二室に配置され且つ前記現像剤を前記第一方向とは逆方向の第二方向に搬送する第二搬送部材と、
前記第二室から前記第一室に前記現像剤が連通することを許容する第一連通部と、
前記第一室から前記第二室に前記現像剤が連通することを許容する第二連通部と、
前記第二室の側面に配置され、前記第二方向に沿って延伸して設けられ、内部に空気が通過するダクトと、
前記第二方向に関して前記第二連通部よりも下流且つ前記第一連通部よりも上流において、前記ダクトの内部に配置された複数のフィンと、
を備え、
前記第二室の底面は、前記第一室の底面よりも下方に配置されており、
前記複数のフィンのうちの前記第一連通部の近傍における前記フィンの表面積は、前記複数のフィンのうちの前記第二連通部の近傍における前記フィンの表面積よりも大きい
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記複数のフィンのそれぞれは、前記第二方向に沿って延伸して設けられており、
前記フィンの表面積は、前記第二方向において前記第二連通部から前記第二連通部に向かうに従って徐々に大きくなっている
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記複数のフィンのそれぞれは、前記第二方向に沿って延伸して設けられており、
前記フィンの表面積は、前記第二方向において前記第二連通部から前記第二連通部に向かうに従って段階的に大きくなっている
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記複数のフィンのうちの前記第一連通部の近傍における前記フィンの高さは、前記複数のフィンのうちの前記第二連通部の近傍における前記フィンの高さよりも高い
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第一連通部の近傍には、前記ダクトに空気が流入する流入口が設けられており、
前記第二連通部の近傍には、前記ダクトから空気が流出する流出口が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像容器の長手方向に沿って放熱用の突出部としてのヒートシンク(現像容器内の現像剤から吸熱して空気へ放熱する熱伝導部材)が現像容器の背面に設けられた現像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の現像装置は、現像剤担持体に現像剤を供給する機能と、現像剤担持体から現像剤を回収する機能が分離している、所謂、機能分離型の現像装置である。機能分離型の現像装置では、現像剤担持体に現像剤を供給するための現像室と、現像装置に外部から補給された現像剤を撹拌するとともに現像剤担持体から現像剤を回収するための撹拌室と、の間で現像剤が循環している。また、機能分離型の現像装置では、撹拌室内の現像剤搬送方向の上流から下流にかけて現像剤が搬送され、現像剤担持体から現像剤が回収されていく為、撹拌室内の現像剤量は、撹拌室内の現像剤搬送方向の下流側の方が上流側と比べて多くなる傾向にある。
【0005】
また、特許文献1に記載の現像装置は、撹拌室が現像室よりも下方に配置されている。そのため、撹拌室から現像室に現像剤を受け渡すための領域(連通口)の近傍では、重力に逆らって現像剤を搬送する為に現像剤の搬送速度が遅く、現像剤が滞留しやすい傾向がある。現像剤が滞留していると、現像剤の熱が拡散しにくく蓄熱しやすいため、撹拌室から現像室に現像剤を受け渡すための領域(連通口)の近傍を積極的に冷却する必要がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、機能分離型の現像装置であって且つ撹拌室が現像室よりも下方に配置されている構成において、現像室と撹拌室との間を循環する現像剤の冷却効率を高めることが可能な現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る現像装置は以下のような構成を備える。即ち、像担持体に形成された静電潜像を現像する現像領域にトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する回転可能な現像剤担持体と、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する第一室と、前記現像剤担持体に対向して配置され且つ前記現像領域を通過した前記現像剤を前記現像剤担持体から回収する第二室と、前記第一室と前記第二室とを区画する隔壁と、前記第一室に配置され且つ前記現像剤を第一方向に搬送する第一搬送部材と、前記第二室に配置され且つ前記現像剤を前記第一方向とは逆方向の第二方向に搬送する第二搬送部材と、前記第二室から前記第一室に前記現像剤が連通することを許容する第一連通部と、前記第一室から前記第二室に前記現像剤が連通することを許容する第二連通部と、前記第二室の側面に配置され、前記第二方向に沿って延伸して設けられ、内部に空気が通過するダクトと、前記第二方向に関して前記第二連通部よりも下流且つ前記第一連通部よりも上流において、前記ダクトの内部に配置された複数のフィンと、を備え、前記第二室の底面は、前記第一室の底面よりも下方に配置されており、前記複数のフィンのうちの前記第一連通部の近傍における前記フィンの表面積は、前記複数のフィンのうちの前記第二連通部の近傍における前記フィンの表面積よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、機能分離型の現像装置であって且つ撹拌室が現像室よりも下方に配置されている構成において、現像室と撹拌室との間を循環する現像剤の冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る現像装置の構成を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る現像装置の構成を示す断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る現像装置の冷却機構の構成を示す斜視図である。
【
図5】第1の実施形態に係る現像装置の冷却機構の構成を示す斜視図である。
【
図6】第1の実施形態に係る現像装置の冷却機構の構成を示す断面図である。
【
図7】その他の実施形態に係る現像装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。本発明は、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0011】
[第1の実施形態]
(画像形成装置の構成)
まず、第1の実施形態に係る画像形成装置の構成について、
図1を参照して説明する。
図1に示す画像形成装置Aは、電子写真式のフルカラーレーザープリンタである。
【0012】
画像形成装置Aは、画像形成装置Aの内部に並設されている第1、第2、第3、第4の画像形成部Py,Pm,Pc,Pbによって異なる色の4色のトナー画像を帯電、露光、現像、転写の各プロセスを経てトナー画像を形成する。
【0013】
制御手段としての制御部19は、CPUとROMやRAMなどのメモリとからなっている。制御部19は、ホストコンピュータなどの外部インターフェースから出力されるプリント指令信号を入力するとメモリに記憶されている画像形成制御シーケンスに従って画像形成部Py,Pm,Pc,Pbを順次動作させる。
【0014】
各画像形成部Py,Pm,Pc,Pbにおいて、像担持体としての感光ドラム1が所定の周速度(プロセススピード)で回転される。そして、各画像形成部Py,Pm,Pc,Pbの感光ドラム1に跨るよう、中間転写ベルト7が、駆動ローラ6aと従動ローラ6bとテンションローラ6cに掛け渡されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラ6aによって各感光ドラム1の回転周速度と対応した周速度で回転される。そして、1色目のイエローの画像形成部Pyにおいて、感光ドラム1の外周面(表面)は帯電器2によって所定の極性・電位に一様に帯電される。次に、露光装置3が外部装置からの画像情報に基づいて生成したレーザー光を感光ドラム1表面の帯電面に走査露光する。これにより、感光ドラム1表面の帯電面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。そして、この潜像が現像装置4によってイエローのトナー(現像剤)を用いて現像され、感光ドラム1表面上にイエローのトナー画像(現像)が形成される。同様の帯電、露光、現像の各工程が、2色目のマゼンタの画像形成部Pm、3色目のシアンの画像形成部Pc、4色目のブラックの画像形成部Pbにおいても行われる。
【0015】
中間転写ベルト7を挟んで感光ドラム1に対向して、一次転写ローラ(転写部材)8が配置されている。各画像形成部Py,Pm,Pc,Pbにおいて、感光ドラム1の表面に形成された各色のトナー画像は、一次転写ローラ(転写部材)8によって、中間転写ベルト7の外周面(表面)上に順次重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト7の表面上にフルカラーのトナー画像が形成される。トナー画像を転写後の感光ドラム1は、感光ドラム1の表面に残留している転写残トナーがドラムクリーナ5によって除去され、次の画像形成に供される。
【0016】
一方、記録材Pは、給送カセット10からローラ11により搬送路12aを通じてレジストローラ13に搬送される。続いて、記録材Pは、レジストローラ13により中間転写ベルト7と二次転写ローラ14との間の二次転写ニップ部Tnに搬送される。そして、この二次転写ニップ部Tnで記録材Pが挟持搬送され、この搬送過程において、二次転写ローラ14により中間転写ベルト7の表面上のトナー画像が記録材P上に転写される。トナー画像を転写後の中間転写ベルト7は、中間転写ベルト7表面に残留している転写残トナーがベルトクリーナ9によって除去され、次の画像形成に供される。
【0017】
未定着のトナー画像を担持する記録材Pは画像担持面を上側にし、その状態で定着装置15のニップ部に導入される。そして、この記録材Pは定着装置15のニップ部で挟持搬送されることによって、トナー画像が記録材P上に加熱定着される。記録材Pの片面だけに画像を形成する場合、定着装置15から排出された記録材Pは、切換フラッパ16で排出ローラ17を通して画像形成装置Aの側面に設けられている排出トレイ18上に排出される。
【0018】
記録材Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置15から排出された記録材Pを、切換フラッパ16で下方の反転搬送路12bに案内する。反転搬送路12bでは、記録材Pの後端が反転ポイントRpに達したとき、記録材Pをスイッチバックし画像担持面を上側にし、その状態で両面用搬送路12cに送り出す。両面用搬送路12cにて、記録材Pは搬送路12aを通じてレジストローラ13に搬送される。この記録材Pは、レジストローラ13で二次転写ニップ部Tnに搬送され、この二次転写ニップ部Tnで挟持搬送される。そして、この搬送過程において、二次転写ローラ14により中間転写ベルト7表面上のトナーが記録材P上に転写される。未定着のトナー画像を担持する記録材Pは画像担持面を上側にし、その状態で定着装置15のニップ部に導入される。そして、この記録材Pは定着装置15のニップ部で挟持搬送されることによって、トナー画像が記録材P上に加熱定着される。定着装置15から排出された記録材Pは、切換フラッパ16で排出ローラ17を通して排出トレイ18上に排出される。
【0019】
(現像装置の構成)
続いて、第1の実施形態に係る現像装置4の構成について、
図2、
図3を参照して説明する。
図2は、第1の実施形態に係る現像装置4の概略断面図である。また、
図3は、
図2のA―A方向から視た現像装置4の概略断面図である。尚、第1の実施形態に係る現像装置4は、
図4、
図5及び
図6で後述する現像装置の冷却機構を有しているが、
図2において、現像装置の冷却機構を省略して示している。
【0020】
現像装置4は、
図2に示すように、トナーとキャリアを含む二成分現像剤(以降、単に現像剤と呼ぶ)を収容する現像容器41を有する。現像容器41には、感光ドラム1の表面に形成された静電潜像を現像する現像領域に現像剤を担持搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ45が回転可能に支持される。現像スリーブ45は、感光ドラム1の回転軸線方向と平行に配置されている。
【0021】
現像容器41は、水平方向に延在する隔壁46aによって、第1現像剤収容室である現像室41a(現像剤搬送経路)と、現像室41aよりも下方に位置する第2現像剤収容室である撹拌室41b(現像剤搬送経路)に分けられる。現像室41aは、現像スリーブ45に現像剤を供給する機能室である。撹拌室41bは、現像スリーブ45から回収された回収現像剤と、現像装置4に外部から補給された補給現像剤とを受け入れて撹拌する機能室である。
【0022】
即ち、第1の実施形態に係る現像装置4は、現像スリーブ45に現像剤を供給する機能と、現像スリーブ45から現像剤を回収する機能が分離している、所謂、機能分離型の現像装置である。機能分離型の現像装置では、現像スリーブ45に現像剤を供給するための現像室41aと、現像装置4に外部から補給された現像剤を撹拌するとともに現像スリーブ45から現像剤を回収するための撹拌室41bと、の間で現像剤が循環している。機能分離型の現像装置では、撹拌室41b内の現像剤搬送方向の上流から下流にかけて現像剤が搬送され、現像スリーブ45から現像剤が回収されていく。このため、機能分離型の現像装置において、撹拌室41b内の現像剤量は、撹拌室41b内の現像剤搬送方向の下流側の方が上流側と比べて多くなる傾向にある。
【0023】
現像室41aと撹拌室41b内にはそれぞれ、第一方向に現像剤を搬送する第1搬送部材42と、第一方向とは逆方向の第二方向に現像剤を搬送する第2搬送部材43が設けられる。第1搬送部材42と第2搬送部材43は、いずれも現像スリーブ45の回転軸線方向と略平行に配置されるスクリュー部材である。
【0024】
また、
図3に示すように、現像室41aと撹拌室41bの間で現像剤を相互に搬送する受け渡し部(現像剤搬送経路)である第1連通口41dと第2連通口41eが設けられている。具体的には、第1連通口41dは、現像容器41の長手方向の一端である第1端部41fであって、撹拌室41bから現像室41aに現像剤を受け渡すための領域に設けられている。言い換えれば、第1連通口41dは、撹拌室41bから現像室41aに現像剤が連通することを許容する連通部である。また、第2連通口41eは、現像容器41の長手方向の他端である第2端部41gであって、現像室41aから撹拌室41bに現像剤を受け渡すための領域に設けられている。言い換えれば、第2連通口41eは、現像室41aから撹拌室41bに現像剤が連通することを許容する連通部である。
【0025】
第1搬送部材42は、現像スリーブ45に対向して配置され、第1端部41fから第2端部41gへ向かう方向に現像剤を撹拌搬送するように回転動作しながら現像スリーブ45に現像剤を供給する。第2搬送部材43は、第2端部41gから第1端部41fへ向かう方向に現像剤を撹拌搬送するように回転動作する。従って、第1搬送部材42および第2搬送部材43の回転動作によって、現像容器41内の現像剤は撹拌搬送されながら、第1連通口41dおよび第2連通口41eを介して、現像室41aと撹拌室41bを循環する。
【0026】
第1の実施形態に係る現像装置4は、撹拌室41bの底面41b1が現像室41aの底面41a1よりも下方に配置されている。そのため、撹拌室41bから現像室41aに現像剤を受け渡すための領域(第1連通口41d)の近傍では、重力に逆らって現像剤を搬送する為に現像剤の搬送速度が遅く、現像剤が滞留しやすい傾向がある。
【0027】
(現像装置の冷却機構の構成)
続いて、第1の実施形態に係る現像装置4の冷却機構の構成について、
図4、
図5、及び
図6を参照して説明する。
図4及び
図5は、第1の実施形態に係る現像装置4の冷却機構の構成を示す斜視図である。
図6は、第1の実施形態に係る現像装置4の冷却機構の構成を示す断面図である。
【0028】
図4に示すように現像容器41には、冷却部材46が設けられる。ここで、冷却部材46は、金属(特に、アルミニウム)のような熱伝導率が高い材料であることが好ましいが、それに限定するものではない。
【0029】
現像容器41には、冷却部材46と隣接し、冷却部材46とで形成される空間内部に空気(冷却風)が流通するダクト47が、現像スリーブ45の回転軸線方向に沿って設けられている。現像容器41の第1端部41f側(第1連通口41dの近傍)に配置された開口である流入口47aから画像形成装置Aに設けられたファン(不図示)によりダクト47に空気が流入する。そして、現像容器41の第2端部41g側(第2連通口41eの近傍)に配置された開口である流出口47bから空気が流出する。
【0030】
第1の実施形態において、冷却部材46は、現像室41aと撹拌室41bを区画するための仕切り部としての隔壁46aに、複数の金属板を溶接することによって一体で形成している。具体的には、
図5に示すように、冷却部材46は、隔壁46aと、金属板46bと、複数のフィン46cで構成される。隔壁46aは、現像容器41の内部に位置し、現像容器41内の現像剤と接触している。金属板46bは、隔壁46aに溶接され、一部が現像容器41の内部の現像剤と接触している。複数のフィン46cは、少なくとも一部の面がダクト47の内部に面し、金属板46bから突出している複数のフィン46cで構成される。
【0031】
図2及び
図3で前述したように、第1の実施形態に係る現像装置4(機能分離型の現像装置)では、撹拌室41b内の現像剤搬送方向の上流から下流にかけて現像剤が搬送され、現像スリーブ45から現像剤が回収されていく。この為、第1の実施形態に係る現像装置4において、撹拌室41b内の現像剤量は、撹拌室41b内の現像剤搬送方向の下流側の方が上流側と比べて多くなる傾向にある。
【0032】
また、第1の実施形態に係る現像装置4は、撹拌室41bの底面41b1が現像室41aの底面41a1よりも下方に配置されている。そのため、撹拌室41bから現像室41aに現像剤を受け渡すための領域(第1連通口41d)の近傍では、重力に逆らって現像剤を搬送する為に現像剤の搬送速度が遅く、現像剤が滞留しやすい傾向がある。現像剤が滞留していると、現像剤の熱が拡散しにくく蓄熱しやすいため、撹拌室41bから現像室41aに現像剤を受け渡すための領域(第1連通口41d)の近傍を積極的に冷却する必要がある。
【0033】
第1の実施形態に係る発明は、機能分離型の現像装置であって且つ撹拌室41bが現像室41aよりも下方に配置されている構成において、現像室41aと撹拌室41bとの間を循環する現像剤の冷却効率を高めることが可能な現像装置を提供するものである。以下にその詳細を説明する。
【0034】
(第1の実施形態に係る発明の特徴的な構成)
第1の実施形態では、複数のフィン46cは、現像スリーブ45の回転軸線方向に沿って延伸し、現像容器41の第2端部41g側から第1端部41f側に向かうに従ってフィン46cの高さhを徐々に高くしている。尚、
図6に示すように、フィン46cの高さhとは、隔壁46aの現像容器41の内部の現像剤と接触している側の面とは反対側の面(現像容器41の背面)からフィン46cが突出している部分の高さのことである。
【0035】
第1の実施形態において、第1端部41f側のフィン46cの高さは、少なくともフィン46cの一部がダクト47の内部面と接触する高さである。また、第2端部41g側のフィン46cの高さは、金属板46bとダクト47で形成される空間距離の半分の高さ程度である。
【0036】
フィン46cにダクト47内を流通する空気が当たることによって、フィン46cと一体となっている隔壁46a及び金属板46bまで熱伝導によって冷却され、隔壁46a及び金属板46bと接触する現像剤を冷却することができる。同時に、隔壁46a及び金属板46bが接触した現像容器41内の現像剤から熱を吸熱して、フィン46cから熱が放熱され、ダクト47内を流通する空気によって流出口46bに向けてその熱が排熱される。
【0037】
更に、複数のフィン46cの高さhとして、現像容器41の第2端部41g側よりも、現像容器41の第1端部41f側の方が高くなるようにしている。これにより、複数のフィン46cの高さhが高くなっている現像容器41の第1端部41fでは、第1端部41f側の空気と接触する表面積が大きくなるため、第2端部41g側よりも第1端部41f側において熱交換が行われるようになる。
【0038】
ここで、前述したように、第1端部41f側には、下方に位置する第2搬送部材43から上方に位置する第1搬送部材42へ重力方向に逆らって現像剤を受け渡す第1連通口41dが設けられている。そのため、現像容器41内を循環する現像剤において、第1連通口41dの近傍は現像剤の搬送速度が遅くなり、現像剤が滞留しやすい。このため、現像剤の熱が拡散しにくく蓄熱しやすい傾向にある。
【0039】
そこで、第1の実施形態に係る現像装置4の構成では、第1端部41f側におけるフィン46cの表面積を、第2端部41g側におけるフィン46cの表面積よりも大きくすることにより熱交換の効率を向上させている。これに加えて、第1の実施形態に係る現像装置4の構成では、第1端部41f側にある流入口47aからファンを介して温度が低い空気を流入しているため、第1連通口41dの近傍を効率的に冷却することができる。
【0040】
また、ダクト47の流入口47aから流入した空気は、ダクト47内でフィン46cから放熱された現像装置4の熱を搬送する。このため、流出口47bにおける空気の温度は、流入口47aにおける空気の温度よりも高くなる。
【0041】
第1の実施形態に係る現像装置4の構成では、
図6(A)で示すように、現像容器41の第1端部41f側(第1連通口41dの近傍)のフィン46cの高さを、ダクト47の内面に接する高さにしている。一方、
図6(B)で示すように、現像容器41の第2端部41g側(第2連通口41eの近傍)のフィン46cの高さを、第1端部41f側(第1連通口41dの近傍)のフィン46cの高さの半分の高さにしている。
【0042】
即ち、現像装置4の構成では、現像容器41の第2端部41g側(第2連通口41eの近傍)の方が第1端部41f側(第1連通口41dの近傍)よりも空気が通過するダクト47内の断面積が広くなるので、空気が流れる経路の圧力損失が小さくなる。その結果、ダクト47内の冷却部材46を介して熱交換がなされたことによって温度が上昇した空気を、現像容器41の第2端部41g側で効率的に排気することができる。
【0043】
以上説明した第1の実施形態では、現像装置4に冷却部材46とダクト47を設け、冷却部材46にはダクト内部で空気と接触するフィン46cを配置している。フィン46cは、その高さhが現像容器41の第2端部41g側(第2連通口41eの近傍)から第1端部41f側(第1連通口41dの近傍)に行くに従って高くなるようにしている。更に、第1端部41f側(第1連通口41dの近傍)にダクト47の流入口47aを設け、流入口47aを介してダクト47に空気を流入する構成を採用している。また、第2端部41g側(第2連通口41eの近傍)にダクト47の流出口47bを設け、流出口47bを介してダクト47から空気が流出する構成を採用している。これによって、第1連通口41dの近傍において、空気によるフィン46cとの熱交換を効率的に行うことができる。また、現像容器41の第2端部41g側のフィン46cの高さhを第1端部41f側に対して低くしたことにより、現像容器41の第2端部41g側のフィン46cとダクト47の内面で形成される断面積が第1端部41f側より広くなる。その結果、冷却部材46を介して熱交換されたことによって温度が上昇した空気を、現像容器41の第2端部41g側で効率的に排気することができる。
【0044】
即ち、機能分離型の現像装置であって且つ撹拌室41bが現像室41aよりも下方に配置されている構成において、現像容器41の第1端部41gf側で空気によるフィン46cとの熱交換を効率的に行いつつ、第2端部41g側で効率的に排気することができる。このような第1の実施形態によれば、特に現像剤が滞留し蓄熱しやすい第1連通口41dの近傍を積極的に冷却することができ、尚且つ、現像室41aと撹拌室41bとの間を循環する現像剤の冷却効率を高めることができる。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0046】
上記実施形態では、複数のフィン46cは、現像スリーブ45の回転軸線方向に沿って延伸し、現像容器41の第2端部41g側から第1端部41f側に向かうに従ってフィン46cの高さhを徐々に高くする例について説明したが、これに限られない。
【0047】
複数のフィン46cは、現像スリーブ45の回転軸線方向に沿って延伸し、現像容器41の第2端部41g側から第1端部41f側に向かうに従ってフィン46cの高さhを段階的に高くする変形例であってもよい。言い換えれば、現像容器41の第2端部41g側から第1端部41f側に向かうに従ってフィン46cの表面積を徐々に大きくする例に限られない。現像容器41の第2端部41g側から第1端部41f側に向かうに従ってフィン46cの表面積を段階的に大きくする変形例であってもよい。
【0048】
要するに、熱交換の効率を向上させるためには、少なくとも現像容器41の第1端部41f側におけるフィン46cの表面積を、現像容器41の第2端部41g側におけるフィン46cの表面積よりも大きくすればよい。
【0049】
また、上記実施形態では、現像容器41の水平方向に延在する隔壁41cによって分けられる現像室41aと撹拌室41bの位置関係が上下方向に配置されている構成について言及したが、これに限られない。
図7に示すように、現像容器410の水平方向に延在する隔壁410cによって分けられる現像室410aと撹拌室410bの位置関係が水平方向に配置されており、冷却部材46やダクト47が現像室410aと撹拌室410bの下面に配置されている。このような構成の現像装置400に本発明を適用することも可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、
図1に示したように、中間転写ベルト7を用いる構成の画像形成装置Aを例に説明したが、これに限られない。感光ドラム1に順に記録材Pを直接接触させて転写を行う構成の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0051】
4 現像装置
41 現像容器
41a 現像室
41b 撹拌室
41d 第1連通口
41e 第2連通口
42 第1搬送部材
43 第2搬送部材
45 現像スリーブ
46a 隔壁
46c フィン
47 ダクト