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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171898
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】濾材およびフィルター
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20241205BHJP
   B01D 39/14 20060101ALI20241205BHJP
   B03C 3/28 20060101ALI20241205BHJP
   F24F 8/158 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
B01D39/16 E
B01D39/16 A
B01D39/14 E
B01D39/14 M
B01D39/14 K
B03C3/28
F24F8/158
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089178
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】722014321
【氏名又は名称】東洋紡エムシー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】下川 晃太朗
【テーマコード(参考)】
4D019
4D054
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BA13
4D019BB03
4D019BB04
4D019BC01
4D019BC05
4D019BC06
4D019BC10
4D019BC11
4D019CA02
4D019CB01
4D019CB04
4D019CB06
4D019DA01
4D019DA02
4D054AA12
4D054BC16
4D054EA27
(57)【要約】
【課題】プリーツ加工時の剥離および破れが抑制された濾材を提供する。
【解決手段】 本発明の濾材は、少なくとも、補強層、吸着層、及び集塵層を備え、前記吸着層は、前記補強層と前記集塵層との間に存在し、前記補強層は短繊維不織布を含み、、前記集塵層は長繊維不織布を含み、前記吸着層は活性炭および/またはシリカゲルを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、補強層、吸着層、及び集塵層を備えた濾材において、
前記吸着層は、前記補強層と前記集塵層との間に存在し、
前記補強層は短繊維不織布を含み、、
前記集塵層は長繊維不織布を含み、
前記吸着層は活性炭および/またはシリカゲルを含む、ことを特徴とする濾材。
【請求項2】
前記集塵層は、メルトブローン不織布である、ことを特徴とする請求項1に記載の濾材。
【請求項3】
前記集塵層は、スパンボンド不織布である、ことを特徴とする請求項1に記載の濾材。
【請求項4】
前記補強層は、サーマルボンド不織布である、ことを特徴とする請求項1に記載の濾材。
【請求項5】
前記補強層は、熱接着性短繊維を含むサーマルボンド不織布から成る第一層と、前記第一層の中で最も融点が低い熱接着性短繊維よりも融点が30℃以上高い高融点短繊維を含むサーマルボンド不織布から成る第二層とを有しており、前記第一層が前記吸着層と接する側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の濾材。
【請求項6】
前記集塵層は、帯電された不織布から成り、当該集塵層は、変位が3mmのときの引張強度が5N以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の濾材。
【請求項7】
請求項1に記載の濾材を用いたフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾材及びフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用や家庭用の各種エアフィルターとして用いられる高性能エアフィルター材として、ポリプロピレン極細繊維等の各種極細繊維が集積されてなるメルトブロー不織布が用いられている。メルトブロー不織布は極細繊維から構成されているため、濾過性能は高いものの、強度や剛性が低い。そこで、こうした強度や剛性が低いエアフィルター材を補強するために、高強度及び高剛性の補強材をエアフィルター材に貼り合わせることが広く実施されている。例えば、特許文献1には、基材層間に吸着剤と接着剤とからなる吸着層を挟み込んだ積層構造体からなる濾材であって、基材層の少なくとも一層に、熱融着系長繊維からなる不織布とメルトブロー不織布とを積層した積層シートを用いた脱臭フィルター用濾材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-44183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、フィルター用濾材には、更なる高機能化、多様化、小型化、高処理能力化が要求されている。またフィルター用濾材は濾材面積を稼ぐために一般的にプリーツ加工が施されるが、プリーツ加工の加工性向上も急務となっている。特に、フィルター用濾材では、吸着剤の特性を最大限活かすために、吸着剤を被覆する接着剤の被覆面積を最小限にしてもプリーツ加工時に剥離が発生しないものが求められている。
【0005】
一方、フィルター用濾材は、高性能化により厚みが大きくなる傾向にあり、プリーツ加工時に山部と谷部で内外周の距離の差が大きくなることで、各層を剥離させる力が大きくなる。また、剥離させる力が大きくなると、強度の弱い集塵層に破れが発生することがある。
【0006】
そこで本発明は上記課題に鑑みなされ、その目的は、プリーツ加工時の剥離および破れを抑制できる濾材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は以下の構成からなる。
1.少なくとも、補強層、吸着層、及び集塵層を備えた濾材において、前記吸着層は、前記補強層と前記集塵層との間に存在し、前記補強層は短繊維不織布を含み、、
前記集塵層は長繊維不織布を含み、前記吸着層は活性炭および/またはシリカゲルを含む、ことを特徴とする濾材。
2.前記集塵層は、メルトブローン不織布である、ことを特徴とする上記1に記載の濾材。
3.前記集塵層は、スパンボンド不織布である、ことを特徴とする上記1に記載の濾材。4.前記補強層は、サーマルボンド不織布である、ことを特徴とする上記1~3のいずれか1に記載の濾材。
5.前記補強層は、熱接着性短繊維を含むサーマルボンド不織布から成る第一層と、前記
第一層の中で最も融点が低い熱接着性短繊維よりも融点が30℃以上高い高融点短繊維を含むサーマルボンド不織布から成る第二層とを有しており、前記第一層が前記吸着層と接する側に配置されていることを特徴とする上記4に記載の濾材。
6.前記集塵層は、帯電された不織布から成り、当該集塵層は、変位が3mmのときの引張強度が5N以下である、ことを特徴とする上記1~5のいずれか1に記載の濾材。
7.上記1~6のいずれか1に記載の濾材を用いたフィルター。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プリーツ加工時の剥離が抑制された加工性が良好な濾材を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の濾材は、補強層、吸着層、集塵層の3層より構成される。
【0010】
<補強層>
本発明において、補強層は、プリーツ加工後において形状を保持するためのものであり、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布などの不織布を用いることができる。好ましくは、樹脂加工されたサーマルボンド不織布である。サーマルボンド不織布には、通常は熱収縮を考慮し低融点成分を有しない繊維が一定比率で混合される。そのため、部分的に交点接着が弱く、不織布全体としての腰強度や引張り強度が不足することが多い。そこで、サーマルボンド不織布に樹脂加工することにより、全繊維の交点間を接着させ腰強度とともに引張り強度を増大させることが可能となる。
【0011】
サーマルボンド不織布は、熱接着性短繊維を含む一層構造でもよいが、熱接着性短繊維を含むサーマルボンド不織布から構成される第一層と、前記第一層の中で最も融点が低い熱接着性短繊維よりも融点が30℃以上高い高融点短繊維を含むサーマルボンド不織布から構成される第二層を有し、第一層と第二層とが一体となった多層構造の不織布であることが好ましい。融点が低い第一層を吸着層との界面に配置することで、接着強度を上げ、剥離を防止することができるからである。
【0012】
本発明において、補強材に、難燃性や抗菌性等の機能性を付与するために、適宜樹脂加工を施してもよい。樹脂加工に用いる樹脂は特に限定されないが、加工後に固い樹脂が好ましく、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂などのアクリル系樹脂;ポリエステル樹脂;ウレタン樹脂;などが使用できる。中でも、固さや耐熱性の観点から、アクリル系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。樹脂加工に用いる樹脂量は1~10g/m2が好ましく、より好ましくは2~5g/m2である。樹脂量が少ないと十分な剛性が得られず、多いと通気性を阻害するので好ましくない。また樹脂加工時には、難燃剤、抗菌防カビ剤、顔料などの付加機能剤を適宜使用することができる。特に、顔料を混合するとダスト負荷時の視認性が向上し、交換時期の目安が分かりすいため好ましい。
【0013】
<吸着層>
本発明において、吸着層は臭い成分を吸着するための層であり、吸着材を含む。吸着材の形状は特に限定しないが、粒状であった場合、吸着層に含まれる吸着剤の粒径範囲は、通気性、吸着材の脱落、シート加工性等を考慮して、JIS標準ふるい(JIS Z8801)による値で10~1000μmが好ましく、100~900μmがより好ましい。粒径範囲が60μm未満では、一定の高吸着容量を得るのに圧力損失が大きくなりすぎ、また濾材における充填密度が高くなるために粉塵負荷時の圧力損失の上昇が早くなり、粉塵保持量が低下する。粒径範囲が1000μmを超える場合には、濾材からの脱落が生じ易くなり、またワンパスでの初期吸着性能が極端に低くなり、さらにはプリーツ形状および波状等の空気浄化用フィルターユニットとしたときの折り曲げ、および波状加工時の加
工性が悪くなる。なお、上記の粒状範囲の吸着剤は、通常の分級機を使用して所定の粒度調整をすることにより、得ることが可能である。
【0014】
本発明の濾材における吸着剤の重量は、10~450g/m2が好ましく、50~350g/m2がより好ましい。かかる範囲であれば、圧力損失の大幅な上昇を抑えつつ、十分な脱臭性能を得ることができる。
【0015】
吸着剤は、極性物質やアルデヒド類の吸着性能を向上することを目的として、薬品処理を施して用いてもよい。ガス薬品処理に用いられる薬品としては、アルデヒド系ガスやNOx等の窒素化合物、SOx等の硫黄化合物、酢酸等の酸性の極性物質に対しては、例えばエタノールアミン、ポリエチレンイミン、アニリン、P-アニシジン、スルファニル酸等のアミン系薬剤や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、アミノグアニジン硫酸塩、5,5-ジメチルヒダントイン、ベンゾグアナミン、2,2-イミノジエタノール、2,2,2-ニトロトリエタノール、エタノールアミン塩酸塩、2-アミノエタノール、2,2-イミノジエタノール塩酸塩、P-アミノ安息香酸、スルファニル酸ナトリウム、L-アルギニン、メチルアミン塩酸塩、セミカルバジド塩酸塩、ヒドラジン、ヒドロキノン、硫酸ヒドロキシルアミン、過マンガン酸塩、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が好適に用いられ、アンモニア、メチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン等の塩基性の極性物質に対しては、例えば、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酒石酸等が好適に用いられる。なお、薬品処理は、例えば、吸着剤に薬品を担持させたり、添着したりすることにより行う。また、吸着剤に直接薬品を処理する以外に、濾材表面付近に通常のコーティング法等で添着加工する方法や濾材全体に含浸添着することも可能である。この際、アルギン酸ソーダやポリエチレンオキサイド等の増粘剤を混入した薬品水溶液をつくり、これを担持、添着を実施する方法も可能である。この方法では水への溶解度が低い薬品を担持、添着し、さらに薬品の脱落を抑制するのにも有効である。
【0016】
吸着層は、更に接着剤を含んでいてもよい。前記接着剤は、例えば、熱可塑性粉末樹脂、ホットメルトシート(例えば、蜘蛛の巣状ホットメルトシート)等が挙げられ、中でも熱可塑性粉末樹脂が好ましい。粉末樹脂であれば吸着剤に均一に分散することができる。熱可塑性粉末樹脂の種類としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-アクリル共重合体樹脂等が挙げられる。
【0017】
接着剤に使用する熱可塑性粉末樹脂の大きさは、平均粒子径で好ましくは10~500μm、より好ましくは5~30μmであり、平均粒子径が1~40μmの範囲に95重量%以上含まれていることが望ましい。かかる範囲の平均粒子径であれば、熱可塑性樹脂が、粉粒状吸着剤の表面細孔を塞ぐことを低減できる一方、吸着剤との混合時にファンデルワールス力や静電気力による粉粒状吸着剤への予備接着が有効になされ、均一に分散することができ、吸着剤層と基材の部分的剥離を効果的に防止することが可能となる。
【0018】
接着剤に使用する熱可塑性粉末樹脂の形状は特に規定はないが、球状、破砕状等が挙げられる。当然ながら、2種以上の熱可塑性粉末樹脂を併用もできる。さらには、薬品担持した粉粒状吸着剤または薬品担持した基材を使用した場合でもこの処方であれば、粉粒状吸着剤表面に熱可塑性粉末樹脂がドライ状態の混合時から仮接着した状態になるため仮に該薬品が相異なる性質のものであっても後のシート化工程でも互いに干渉することを避けることができるので充分な効果が発揮される。
【0019】
前記の熱可塑性粉末樹脂は、吸着剤に対して1~40重量%使用するのが好ましく、3~30重量%使用するのがより好ましい。かかる範囲内であれば、基材層との接着力、圧力損失、脱臭性能に優れる濾材が得られる。
【0020】
<集塵層>
本発明において、集塵層には種々のシート状基材を用いることができる。脱臭フィルター用濾材に用いられる基材としては、通気性を有する織布または不織布が好ましく、特に繊維間が密であることから不織布が好ましい。前記不織布としては、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布等の乾式不織布;スパンボンド不織布;メルトブロー不織布;湿式不織布;等が用途に応じて適宜好ましく用いられる。前記基材は樹脂加工されていてもよい。また前記基材はエレクトレット加工されていてもよい。
【0021】
<集塵層の特性>
集塵層の伸度は破断する引張強度が5N以上、破断する変位が1cm以上、であることが好ましい。破断する引張強度が5N以下、破断する変位が1cm以下の場合は、プリーツ加工時に山の頂点部で破れが発生しやすくなるため好ましくない。
【0022】
また、引張強度の測定において、変位3mmのときの引張強度が5N以下のシート状基材が好ましい。5N以上の場合、プリーツ加工時に濾材を剥離する力が大きくなるため、好ましくない。
【0023】
<濾材、加工方法>
本発明の濾材は、抗菌剤、抗かび剤、抗ウィルス剤、難燃剤等の付随的機能を有する成分等を含めて構成してもよい。これらの成分は繊維類や不織布中に練り込んでも、後加工で添着、および担持して付与してもよい。例えば、難燃剤を含めて構成することにより、FMVSS.302で規定されている遅燃性の基準やUL難燃規格に合致した脱臭フィルター用濾材を製造することが可能である。
【0024】
濾材を最終的に熱プレスしシート状にする方法としては、当該分野で一般的に使用されるロール間熱プレス法、あるいは上下ともフラットな熱ベルトコンベヤー間に挟み込むフラットベッドラミネート法等が挙げられる。より均一な厚み、接着状態を作り出すため、フラットベッドラミネート法の方がより好ましい。
【0025】
本発明の濾材の製造方法について詳述する。まず吸着剤と接着剤を所定の重量秤量し、攪拌機に入れ、約10分間回転速度30rpmで攪拌する。次にこの混合粉末を前記フィルター補強材の接着層側に散布し、さらにその上から基材を重ね合わせ、熱プレス処理を行なう。熱プレスの際の表面温度は熱可塑性樹脂の融点の3~30℃、好ましくは5~20℃高いことが好ましい。
【0026】
本発明の濾材の厚みは0.1~3.0mmが好ましく、0.5~2.0mmがより好ましい。厚みが0.1mm未満では粉塵捕集空間が小さいため、粉塵負荷時の圧力損失の上昇が早く、目詰まりが発生する。また3.0mmを超えると濾材全体が厚すぎるため、プリーツ状ユニットとした場合に構造抵抗が大きくなり、結果としてユニット全体での圧力損失が高くなり過ぎるという実用上の問題がある。
【0027】
本発明の濾材の目付は、30~500g/m2であることが好ましい。目付が30g/m2未満では濾材の剛性が弱いため、通風負荷時にユニットが変形し、圧力損失が増大する。500g/m2を超えると濾材が厚くなるためプリーツ状ユニットとした場合の構造抵抗が大きくなるという実用上の問題がある。
【0028】
本発明の濾材をプリーツ加工する際、レシプロ式やロータリー式などの一般的なプリーツ加工機が使用可能である。また、プリーツの高さとピッチを固定して枠材を取り付けやすくするため、更には脱臭フィルター用濾材の使用中の形態安定のために、ヒートセット
工程を実施してもよい。ヒートセット時の熱処理温度は、好ましくは接着層に含まれる熱接着性繊維の溶融開始温度(融点-10~20℃程度)以上、接着層に含まれる熱接着性繊維の融点+30(℃)以下に設定すれば、プリーツ同士が襞接着することなくプリーツ形態を保持でき、濾材自体の性能も維持できる。
【0029】
また、本発明の濾材を公知の方法にてプリーツ加工を施したフィルターや、ひだの間隔を一定に保持するための方策を組み込んで枠付けしたフィルターユニットとして利用することが可能である。このようなフィルターやフィルターユニットはエアフィルターとして利用できる、よって、フィルター、フィルターユニット、エアフィルターも本発明の範疇である。
【実施例0030】
(集塵層の伸度測定)
伸度測定は、JIS P 8113 により行う。試験片の大きさは幅15mm、長さ200mm、標点距離150mmとし、引張速度は200mm/minとする。試験開始後、基材が破断したときの引張強度と変位を記録する。また、変位が3mmのときの引張強度を記録する。
【0031】
(プリーツ加工性)
プリーツ加工性の評価については、ストライピング式プリーツ加工機にてプリーツ加工を実施した際のシートの状態について目視観察して判断した。
【0032】
〔実施例1〕
熱接着性短繊維を含むPETサーマルボンド不織布から構成される第一層と、第一層の中で最も融点が低い熱接着性短繊維よりも融点が30℃以上高い高融短点繊維を含むPETサーマルボンド不織布から構成される第二層とを有するPETサーマルボンド不織布(第一層目付30g/m、第二層目付40g/m、合計目付70g/m)を補強層とした。
粒状活性炭(平均粒子直径300μm、比表面積1000m/g)と熱可塑性粉末樹脂とを20:1の重量比で混合したものを目付250g/mになるように、上記補強材の第一層側に散布した。この上から集塵層として帯電加工されたメルトブローン不織布(目付26g/m、変異が3mmのときの引張強度3N)を積層して、加熱圧着することで一体化し、実施例1の濾材を得た。この濾材について上記方法でプリーツ加工を実施し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0033】
〔実施例2〕
補強層としてPETサーマルボンド不織布(目付70g/m)に、粒状活性炭(平均粒子直径300μm、比表面積1000m/g)と熱可塑性粉末樹脂とを20:1の重量比で混合したものを目付250g/mになるように散布した。この上から集塵層として帯電加工されたメルトブローン不織布(目付26g/m、変異が3mmのときの引張強度7N)を積層して、加熱圧着することで一体化し、実施例2の濾材を得た。この濾材について上記方法でプリーツ加工を実施し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0034】
〔比較例1〕
補強層としてPETサーマルボンド不織布(目付70g/m)に、粒状活性炭(平均粒子直径300μm、比表面積1000m/g)と熱可塑性粉末樹脂とを20:1の重量比で混合したものを目付250g/mになるように散布した。この上から集塵層として帯電加工されたサーマルボンド不織布(目付50g/m、変異が3mmのときの引張強度20N)を積層して、加熱圧着することで一体化し、比較例1の濾材を得た。このシートについて上記方法でプリーツ加工を実施し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1から、実施例は比較例に対して、加工時に剥離が生じず、プリーツ加工性に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の濾材は、例えば、自動車用キャビンフィルター、空気清浄機、エアコン等のフィルターとして好適に利用することが可能である。