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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171903
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】放水車
(51)【国際特許分類】
   A62C 27/00 20060101AFI20241205BHJP
   B62D 55/06 20060101ALI20241205BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20241205BHJP
   B60P 1/44 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A62C27/00 507
B62D55/06
B60P3/00 R
B60P1/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089185
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】592170411
【氏名又は名称】船山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599009710
【氏名又は名称】株式会社岡部鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】100187997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】秋山 政信
(72)【発明者】
【氏名】岡部 泰知
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189FA02
2E189FA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可搬式消防ポンプを用いた消火活動の負荷を軽減できる放水車を提供する。
【解決手段】放水車100は、クローラを有する走行部1と、可搬式消防ポンプを積載可能な積載部2と、走行部1を駆動する駆動部3と放水銃Wを備え、積載部2が可搬式消防ポンプを支持しつつ昇降する支持板25を有し、駆動3部を遠隔操作可能な操作部5をさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラを有する走行部と、
可搬式消防ポンプを積載可能な積載部と、
上記走行部を駆動する駆動部と
を備え、
上記積載部が上記可搬式消防ポンプを支持しつつ昇降する支持部材を有し、
上記駆動部を遠隔操作可能な操作部をさらに備える放水車。
【請求項2】
上記支持部材が、前後方向に対して傾斜する請求項1に記載の放水車。
【請求項3】
上記支持部材が、前後方向に沿って上記積載部の前端側又は後端側に配置されている請求項1又は請求項2に記載の放水車。
【請求項4】
上記支持部材を昇降させる昇降ユニットをさらに備え、
上記支持部材が前後方向に沿って上記走行部よりも外側に突出しており、
上記昇降ユニットが、上記支持部材の下方において上記走行部と上記支持部材とを連結する梁部材を有しており、
上記梁部材が上記支持部材を前後方向に対して傾斜させる請求項1又は請求項2に記載の放水車。
【請求項5】
上記積載部が放水銃を設置するための設置部材をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の放水車。
【請求項6】
上記積載部が、上記可搬式消防ポンプ及び上記放水銃以外の他の消防関連器具を積載可能に構成されている請求項5に記載の放水車。
【請求項7】
上記他の消防関連器具が、上記可搬式消防ポンプに代えて上記支持部材に、又は上記放水銃に代えて上記設置部材に積載可能である請求項6に記載の放水車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放水車に関する。
【背景技術】
【0002】
消火活動において放水車が用いられる場合がある(特許文献1等)。一方、大型の放水車の侵入が困難な火災現場においては、比較的容易に持ち運びできる可搬式消防ポンプが簡易な放水銃等と組み合わせて用いられる場合がある。可搬式消防ポンプは、一般に台車によって河川等の水源に運ばれ、水源由来の消火用水を放水銃等に供給する。
【0003】
特許文献2には、可搬式消防ポンプ、吐出ホース及び管鎗を設置可能な荷台を有する自走式クローラ型可搬式消防ポンプ積載車が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-223434号公報
【特許文献2】特開平9-164219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、可搬式消防ポンプは一般に重量が100kgを超えるため、特許文献2に記載の積載車から可搬式消防ポンプを積み降ろすためには、複数の人員が必要と考えられる。また、特に可搬式消防ポンプが有効な狭い火災現場等においては、無人での消火活動が要請される場合もあるが、特許文献2に記載の積載車を用いる場合、消火作業員が積載車とともに火災現場に向かう必要がある。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、可搬式消防ポンプを用いた消火活動の負荷を軽減できる放水車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る放水車は、クローラを有する走行部と、可搬式消防ポンプを積載可能な積載部と、上記走行部を駆動する駆動部とを備え、上記積載部が上記可搬式消防ポンプを支持しつつ昇降する支持部材を有し、上記駆動部を遠隔操作可能な操作部をさらに備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る放水車は、可搬式消防ポンプを用いた消火活動の負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る放水車の模式的側面図である。
図2図2は、図1の放水車の模式的平面図である。
図3図3は、図1の放水車に可搬式消防ポンプを積載した状態を示す模式的側面図である。
図4図4は、図1の放水車に可搬式消防ポンプを積載した状態を示す模式的平面図である。
図5図5は、図1の放水車の模式的正面図である。
図6図6は、図1の放水車に可搬式消防ポンプを積載した状態における支持板及び昇降ユニットを示す模式的拡大側面図である。
図7図7は、図1の放水車から可搬式消防ポンプを積み降ろしする際の支持板及び昇降ユニットを示す模式的拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0011】
〔1〕本発明の一態様に係る放水車は、クローラを有する走行部と、可搬式消防ポンプを積載可能な積載部と、上記走行部を駆動する駆動部とを備え、上記積載部が上記可搬式消防ポンプを支持しつつ昇降する支持部材を有し、上記駆動部を遠隔操作可能な操作部をさらに備える。
【0012】
当該放水車は、可搬式消防ポンプ(以下、「可搬ポンプ」ともいう)を支持しつつ昇降する支持部材を有する積載部を備えるため、可搬ポンプを運搬及び積み降ろしする負荷を軽減できる。また、クローラを有する走行部を備えるため、水源近くの悪路を容易に移動できる。さらに、駆動部を遠隔操作可能な操作部を備えるため、可搬ポンプから供給された水を用いた火災現場での放水作業を無人で実施できる。すなわち、水源への移動、可搬ポンプの水源への配置、火災現場への移動及び放水作業に至る一連の消火活動を1台の当該放水車によって容易に行うことができる。したがって、当該放水車は可搬ポンプを用いた消火活動の負荷を軽減できる。
【0013】
〔2〕上記〔1〕に記載の放水車において、上記支持部材が、前後方向に対して傾斜してもよい。このように上記支持部材が前後方向に対して傾斜することによって、上記支持部材に積載した可搬ポンプを前方又は後方に滑らせるように容易に積み降ろしすることができる。
【0014】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕に記載の放水車において、上記支持部材が、前後方向に沿って上記積載部の前端側又は後端側に配置されていることが好ましい。このように上記支持部材が前後方向に沿って上記積載部の前端側又は後端側に配置されていることによって、可搬ポンプを積み降ろしする負荷を軽減できる。
【0015】
〔4〕上記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の放水車は、上記支持部材を昇降させる昇降ユニットをさらに備え、上記支持部材が前後方向に沿って上記走行部よりも外側に突出しており、上記昇降ユニットが、上記支持部材の下方において上記走行部と上記支持部材とを連結する梁部材を有しており、上記梁部材が上記支持部材を前後方向に対して傾斜させることが好ましい。当該放水車がこのように上記昇降ユニットを備え、上記昇降ユニットが上記走行部と上記支持部材とを連結する上記梁部材を有することによって、上記支持部材に積載した可搬ポンプを安定的に且つ容易に積み降ろしすることができる。
【0016】
〔5〕上記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の放水車において、上記積載部が放水銃を設置するための設置部材をさらに有することが好ましい。このように当該放水車が設置部材をさらに有することによって、放水銃及び可搬ポンプを用いた消火活動に対応しやすい。
【0017】
〔6〕上記〔5〕に記載の放水車において、上記積載部が、上記可搬式消防ポンプ及び上記放水銃以外の他の消防関連器具を積載可能に構成されていることが好ましい。このように上記積載部が担架等、他の消防関連器具を積載可能に構成されることによって、当該放水車を放水作業以外の人命救助活動等にも用いることができる。
【0018】
〔7〕上記〔6〕に記載の放水車において、上記他の消防関連器具が、上記可搬式消防ポンプに代えて上記支持部材に、又は上記放水銃に代えて上記設置部材に積載可能であることが好ましい。このように上記他の消防関連器具が上記支持部材又は上記設置部材に積載可能であることによって、当該放水車の寸法を小さくしやすく、当該放水車を可搬ポンプが有効な狭い火災現場に活用しやすい。
【0019】
本発明において「前後方向」とは放水車の進行方向を意味し、「左右」とは前後方向を基準とした左右を意味し、「上下」とは前後方向及び左右方向に直交する方向を意味する。「昇降」とは、上下方向に沿って移動することと、上下方向に直交する仮想平面に対して傾斜することの両方を含むものとする。また、支持部材が「昇降する」とは、支持部材の全体が昇降する場合と支持部材の一部が昇降する場合との両方を含むものとする。
【0020】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0021】
[放水車]
図1から図5の放水車100は、左右一対のクローラを有するクローラユニット11及び左右一対のクローラの間に配置される固定用フレーム12を有する走行部1と、可搬ポンプPを積載可能な積載部2と、クローラユニット11を駆動する駆動部3とを備える。積載部2は、駆動部3を積載する第一積載板21と、第一積載板21上に配置され放水銃Wを設置するための設置部材22と、可搬ポンプPを支持しつつ昇降する支持板25とを有する。第一積載板21は、走行部1の固定用フレーム12上に固定される。支持板25は、第一積載板21の前方に配置される(以下、図1において右方向を前方とし、左方向を後方とする)。これにより、第一積載板21に積載される駆動部3は、支持板25の後方に配置される。当該放水車100は、支持板25を昇降させる昇降ユニット4と、駆動部3を遠隔操作可能な操作部5とをさらに備える。
【0022】
本実施形態において支持板25は、図6及び図7に示す通り、特に上下方向に直交する仮想平面に対して傾斜する。また、支持板25は前後方向に対して傾斜する。すなわち、可搬ポンプPを運搬する際には支持板25の支持面が上方を向き(図6)、可搬ポンプPを積載する際又は降ろす際には支持板25の支持面が斜め上方を向くように傾斜する(図7)。また、支持板25の支持面が斜め上方を向くように傾斜するとき、支持板25の前端部は下方に移動する。すなわち、支持板25は前後方向に沿って外側に向かって下方に傾斜する。このように支持板25が前後方向に対して傾斜することによって、支持板25に積載した可搬ポンプPを前方又は後方に滑らせるように容易に積み降ろしすることができる。
【0023】
当該放水車100は、可搬ポンプPを支持しつつ昇降する支持板25を有する積載部2を備えるため、可搬ポンプPを運搬及び積み降ろしする負荷を軽減できる。また、クローラユニット11を有する走行部1を備えるため、水源近くの悪路を容易に移動できる。さらに、駆動部3を遠隔操作可能な操作部5を備えるため、可搬ポンプPから供給された水を用いた火災現場での放水作業を無人で実施できる。すなわち、水源への移動、可搬ポンプPの水源への配置、火災現場への移動及び放水作業に至る一連の消火活動を1台の当該放水車100によって容易に行うことができる。したがって、当該放水車100は可搬ポンプPを用いた消火活動の負荷を軽減できる。
【0024】
<走行部>
走行部1は、上述の通り、左右一対のクローラを有するクローラユニット11及び左右一対のクローラの間に配置される固定用フレーム12を有する。クローラユニット11及び固定用フレーム12は、左右方向の中央位置を基準として線対称である。
【0025】
クローラユニット11としては、従来公知のクローラユニットを用いることができる。本実施形態において、クローラユニット11は油圧モータ(非図示)によって駆動される。
【0026】
クローラユニット11の左右方向の幅の上限としては、当該放水車100を狭い火災現場で活用する観点から、1.6mが好ましく、1.4mがより好ましく、1.2mがさらに好ましい。また、クローラユニット11の左右方向の幅の下限としては、進行中の当該放水車100の姿勢を安定させる観点から、0.6mが好ましく、0.8mがより好ましく、1.0mがさらに好ましい。
【0027】
クローラユニット11の前後方向の長さの上限としては、当該放水車100を狭い火災現場で活用する観点から、2.5mが好ましく、2.0mがより好ましく、1.5mがさらに好ましい。また、クローラユニット11の前後方向の長さの下限としては、進行中の当該放水車100の姿勢を安定させる観点から、0.8mが好ましく、1.0mがより好ましく、1.2mがさらに好ましい。
【0028】
固定用フレーム12は、図5に示す通り、平面視矩形状の天板と、天板の左右方向の両端から下方に突出する一対の側板とを有する正面視逆U字形状である。固定用フレーム12は、上記一対の側板が左右一対のクローラの内側に位置するようにクローラユニット11に搭載される。固定用フレーム12は、上記天板の上面において積載部2の第一積載板2を支持し、上記一対の側板の内面において後述する昇降ユニット4の梁部材41を支持する。
【0029】
走行部1は、図5から図7に示す通り、後述する昇降ユニット4のシリンダー部材42を回動可能に支持するために固定用フレーム12の上記天板の下面から下方に垂下される垂下部材13をさらに有する。
【0030】
<積載部>
積載部2は、上述の通り、駆動部3を積載する第一積載板21と、第一積載板21上に配置され放水銃Wを設置するための設置部材22と、可搬ポンプPを支持するための支持板25とを有する。また、第一積載板21上に配置され可搬ポンプPの給水ホースP2を固定するための一対の支持棒23と、第一積載板21の上方に配置され設置部材22及び一対の支持棒23によって固定される第二積載板24とをさらに有する。
【0031】
第一積載板21は、図1から5に示す通り、平面視矩形状である。また、左右方向の中央位置を基準として線対称である。進行中の当該放水車100の姿勢を安定させる観点から、第一積載板21の前後方向に延びる対称軸(左右方向の中心線)とクローラユニット11及び固定用フレーム12の前後方向に延びる対称軸とは一致していることが好ましい。
【0032】
第一積載板21の左右方向の幅の上限としては、当該放水車100を狭い火災現場で活用する観点から、1.6mが好ましく、1.4mがより好ましく、1.2mがさらに好ましい。また、第一積載板21の左右方向の幅の下限としては、駆動部3を積載する面積を確保する観点から、0.6mが好ましく、0.8mがより好ましく、1.0mがさらに好ましい。
【0033】
第一積載板21の前後方向の長さの上限としては、当該放水車100を狭い火災現場で活用する観点から、2.5mが好ましく、2.0mがより好ましく、1.5mがさらに好ましい。また、第一積載板21の前後方向の長さの下限としては、駆動部3を積載する面積を確保する観点から、0.8mが好ましく、1.0mがより好ましく、1.2mがさらに好ましい。
【0034】
設置部材22は、図1及び図2に示す通り、第一積載板21上に配置される台座22bと、台座22bから上方に延びる支柱22aとを有する。支柱22aは例えば円柱状である。放水銃Wは、支柱22aの頂面に設置される。支柱22aの頂面は、例えば放水銃Wを固定するため、放水銃Wの形状に嵌合するように構成される。このように当該放水車100が支柱22aを有することによって、放水銃W及び可搬ポンプPを用いた消火活動に対応しやすい。
【0035】
支柱22aの一部は、後述する第二積載板24の孔部から上方に突出する。支柱22aの上記孔部からの突出部分は、第二積載板24を固定するためのフランジ22cを有する。
【0036】
一対の支持棒23は、図1図2及び図5に示す通り、第一積載板21の前後方向の前端部且つ左右方向の両端部から上方に延びる。一対の支持棒23は、それぞれ可搬ポンプPの給水ホースP2を固定するための固定具23aを有する。固定具23aは一対の支持棒23の側面にそれぞれ固定され、正面視U字形状である。
【0037】
第二積載板24は、上述の通り、第一積載板21の上方に配置され設置部材22及び一対の支持棒23によって固定される。図1から図5に示す通り、第二積載板24は平面視略矩形状である。また、左右方向の中央位置を基準として線対称である。第二積載板24は支柱22aを上方に突出させるするための孔部を有する。第二積載板24は、支柱22aのフランジ22c及び一対の支持棒23の側面に固定される。このように第二積載板24を構成することによって、当該放水車100に可搬ポンプP及び放水銃W以外の他の消防関連器具を第二積載板24上に積載することができる。上記他の消防関連器具として、担架、巻き取りウィンチ、可搬ポンプPから放水銃Wに消火用水を送るための送水ホース等が挙げられる。
【0038】
支柱22aは、放水銃Wを取り外した上で、放水銃Wに代えて上記他の消防関連器具を支柱22aに設置できるように構成されてもよい。このように上記他の消防関連器具が支柱22aに設置可能であることによって、上記他の消防関連器具の設置が必要となる際に第二積載板24のスペースを有効活用するとともに、当該放水車100の寸法を小さくしやすい。
【0039】
第二積載板24の寸法は、搭載する上記他の消防関連器具の寸法に合わせて適宜設定される。ただし、当該放水車100を狭い火災現場で活用する観点から、第二積載板24の左右方向の幅は、第一積載板21の左右方向の幅以下であることが好ましく、第二積載板24の前後方向の長さは、第一積載板21の前後方向の長さ以下であることが好ましい。
【0040】
第二積載板24は、図1に示す通り、その後端部に可搬ポンプPの給水ホースP2を固定するための固定具24aを有する。固定具24aは側面視U字形状である。上述した一対の支持棒23の固定具23aと固定具24aとでは、上下方向の位置が一致している。
【0041】
可搬ポンプPを積載する際に、給水ホースP2は、図3及び図4に示す通り、固定具23a及び固定具24aに固定される。給水ホースP2は、例えば積載部2を取り囲むように配置される。
【0042】
支持板25は、上述の通り、可搬ポンプPを支持し、より具体的にはポンプ本体P1を支持する。支持板25は、前後方向に沿って積載部2の前端側に配置されている。このように支持板25が前後方向に沿って積載部2の前端側に配置されていることによって、ポンプ本体P1を積み降ろしする負荷を軽減できる。
【0043】
支持板25は、第一積載板21の前方に配置される。また、支持板25の前端部は前後方向に沿って走行部1よりも外側に突出している。このように支持板25の前端部が前後方向に沿って走行部1よりも外側に突出していることによって、ポンプ本体P1を積み降ろしする負荷をより軽減できる。
【0044】
支持板25は、ポンプ本体P1を支持した状態において、その一部が走行部1の上方に配置される。換言すると、支持板25の一部は前後方向に沿って走行部1の前端部よりも内側に位置する。このように支持板25が部分的に走行部1の前端部よりも内側に位置することによって、狭い火災現場で活用するべく当該放水車100の寸法を小さくすることができる。
【0045】
支持板25は、図2に示す通り、平面視矩形状である。また、左右方向の中央位置を基準として線対称である。進行中の当該放水車100の姿勢を安定させる観点から、支持板25の前後方向に延びる対称軸(左右方向の中心線)と、第一積載板21の前後方向に延びる対称軸とは一致していることが好ましい。
【0046】
支持板25は、図5に示す通り、正面視でクローラユニット11の左右一対のクローラよりも内側に配置される。このように支持板25がクローラユニット11の左右一対のクローラよりも内側に配置されることによって、支持板25の一部を走行部1の上方に配置しつつ、支持板25の昇降時にクローラとの干渉を避けることができる。
【0047】
支持板25の左右方向の幅の上限としては、クローラユニット11の左右一対のクローラとの干渉を避ける観点から、1.0mが好ましく、0.8mがより好ましく、0.6mがさらに好ましい。また、支持板25の左右方向の幅の下限としては、ポンプ本体P1を安定して積載する観点から、0.2mが好ましく、0.3mがより好ましく、0.4mがさらに好ましい。
【0048】
支持板25の前後方向の長さの上限としては、当該放水車100を狭い火災現場で活用する観点から、1.2mが好ましく、1.0mがより好ましく、0.8mがさらに好ましい。また、支持板25の前後方向の長さの下限としては、ポンプ本体P1を積載する面積を確保する観点から、0.3mが好ましく、0.4mがより好ましく、0.5mがさらに好ましい。
【0049】
支持板25には、ポンプ本体P1を支持していない場合に、ポンプ本体P1に代えて上述した他の消防関連器具が積載されてもよい。このように上記他の消防関連器具が支持板25に積載可能であることによって、上記他の消防関連器具の積載が必要となる際に支持板25のスペースを有効活用するとともに、当該放水車100の寸法を小さくしやすい。
【0050】
<昇降ユニット>
昇降ユニット4は、図6及び図7に示す通り、支持板25の下方において走行部1の固定用フレーム12と支持板25とを連結する一対の梁部材41と、梁部材41に連結され支持板25を昇降させるべく作動するシリンダー部材42とを有する。昇降ユニット4がこのように一対の梁部材41及びシリンダー部材42を有することによって、ポンプ本体P1を積載した支持板25を下方から支えつつ容易に昇降させることができる。
【0051】
一対の梁部材41は、図6及び図7に示す通り、その後方部分が固定用フレーム12の上述した一対の側板の内面に回動可能に支持され、前端部が支持板25の下面に固定される。
【0052】
一対の梁部材41は、図5に示す通り、左右方向に間隔を空けて配置される。また、一対の梁部材41は、前後方向に沿って平行に延びる。さらに、一対の梁部材41は、支持板25の前後方向に延びる上述した対称軸に対して線対称に配置される。このように一対の梁部材41が左右方向に間隔を空けつつ線対称に配置されることによって、ポンプ本体P1を積載した支持板25をより安定的に下方から支えることができる。
【0053】
一対の梁部材41は、図5に示す通り、それぞれの対向する固定用フレーム12の上記側板との間に左右方向に架け渡される回転軸を有する。この回転軸は、一対の梁部材41の後方部分に配置される。一対の梁部材41は上記回転軸を中心に回動可能に設けられる。このように一対の梁部材41が、その後方部分に配置され左右方向に延びる回転軸を中心に回動可能に設けられることによって、ポンプ本体P1を積載した支持板25を前後方向に対して容易に傾斜させることができる。一対の梁部材41は、支持板25の支持面が上方を向く際は斜め上方に延び、支持板25の支持面が斜め上方を向く際は斜め下方に延びる。
【0054】
シリンダー部材42は、図6及び図7に示す通り、前後方向に沿って延びる。シリンダー部材42の後端部は、左右方向に延びる回転軸によって上述した垂下部材13に回動可能に支持される。シリンダー部材42の前端部は、図5に示す通り、左右方向に一対の梁部材41の間に架け渡される回転軸によって一対の梁部材41に回動可能に支持される。
【0055】
シリンダー部材42が伸縮することによって、一対の梁部材41を回動させることができ、これにより、ポンプ本体P1を積載した支持板25を昇降させることができる。より具体的には、シリンダー部材42が縮むと、一対の梁部材41の前端側が後方に牽引されるため、図6に示すように支持板25の支持面が上方を向く。逆にシリンダー部材42が伸びると、図7に示すように、一対の梁部材41の前端側が前方に牽引され且つポンプ本体P1及び支持板25の重力が働くため、支持板25が降下される。その結果、支持板25の支持面が斜め上方を向く。
【0056】
本実施形態において、シリンダー部材42は油圧シリンダーである。このようにシリンダー部材42が油圧シリンダーであることによって、昇降ユニット4の寸法が比較的小さい場合にもポンプ本体P1及び支持板25を昇降するための十分な動力を得られる。
【0057】
<駆動部>
駆動部3は、第一積載板21に積載され、走行部1のクローラユニット11及び昇降ユニット4を駆動する。駆動部3は、油圧ポンプ31と、油圧ポンプ31を制御するコントロールバルブ32と、油圧ポンプ31及びコントロールバルブ32に電力を供給するバッテリー33とを有する。
【0058】
油圧ポンプ31は、上述の油圧モータを駆動することによって、クローラユニット11を駆動する。また、油圧ポンプ31は、昇降ユニット4のシリンダー部材42を駆動する。コントロールバルブ32は、油圧ポンプ31からクローラユニット11及び昇降ユニット4への作動油の振り分けや流量調整等を行う。
【0059】
油圧ポンプ31、コントロールバルブ32及びバッテリー33のいずれか1つは、積載部2(第一積載板21)の後端側に配置される。これにより、積載部2の前端側(支持板25)にポンプ本体P1が積載されることによる前後方向の重量バランスの偏りを改善することができる。
【0060】
<操作部>
操作部5は、駆動部3を遠隔操作可能なリモコン(非図示)と、駆動部3を直接操作するための操作レバー51とを有する。操作レバー51は、例えばバッテリー33の上方等、積載部2(第一積載板21)の後端側に配置される。本実施形態においては、上記リモコンによって、駆動部3を介してクローラユニット11及び昇降ユニット4を操作することができる。また、必要に応じて操作レバー51によってクローラユニット11及び昇降ユニット4を操作することもできる。
【0061】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0062】
上記実施形態では、支持板が上下方向に垂直な仮想平面に対して傾斜するものとしたが、支持板は例えば上下方向に移動してもよい。また、支持板を昇降するための機構は任意に構成することができる。
【0063】
上記実施形態では、走行部が油圧モータによって駆動され、支持板が油圧シリンダーによって駆動されるものとしたが、本発明はこの構成に限定されない。走行部及び支持板は例えば電動式の駆動装置によって駆動されてもよい。
【0064】
上記実施形態では、第一積載板、第二積載板及び支持板は平面視矩形状であるものとしたが、第一積載板、第二積載板及び支持板の形状は任意に設定することができる。
【0065】
上記実施形態では、放水銃を設置するための設置部材の支柱が円柱状であるものとしたが、設置部材の形状は例えば放水銃の規格に合わせて任意に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の一態様に係る放水車は可搬式消防ポンプを用いた消火活動の負荷を軽減できるため、大型の放水車の侵入が困難な火災現場での消火活動等に用いることができる。
【符号の説明】
【0067】
100 放水車
1 走行部
11 クローラ本体
12 固定用フレーム
13 垂下部材
2 積載部
21 第一積載板
22 設置部材
22a 支柱
22b 台座
22c フランジ
23 支持棒
23a 固定具
24 第二積載板
24a 固定具
25 支持板
3 駆動部
31 油圧ポンプ
32 コントロールバルブ
33 バッテリー
4 昇降ユニット
41 梁部材
42 シリンダー部材
5 操作部
51 操作レバー
W 放水銃
P 可搬ポンプ
P1 ポンプ本体
P2 給水ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7