(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171909
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ホルダ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20241205BHJP
A61F 13/64 20060101ALI20241205BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61F13/49 312Z
A61F13/64
A61F13/49 311Z
A61F13/49 410
A61F13/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089231
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯地 朱実
(72)【発明者】
【氏名】植田 章之
(72)【発明者】
【氏名】根本 研
(72)【発明者】
【氏名】幸田 拓也
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA01
3B200BA11
3B200BA12
3B200BB03
3B200BB20
3B200CA05
3B200CA06
3B200DA01
3B200DA21
(57)【要約】
【課題】吸汗シートが、ホルダの着用者の汗を吸収しやすいホルダを提供すること。
【解決手段】着用者の腰周りに装着されるとともに、吸収性パッド11を着用者に装着した状態に保持可能な環状のホルダ1であって、着用者の身長方向に沿う高さ方向HD及び胴回り方向に沿う周方向CDを有し、ホルダ本体2と、該ホルダ本体2の内面側に固定された吸汗シート8とを有し、吸汗シート8は、高さ方向HDの上端8a側及び下端8b側の少なくとも一方に、ホルダ本体2に固定されていない遊離部82を有しており、ホルダ本体2は、遊離部82と重なる部分に、周方向CDに沿う伸縮部を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腰周りに装着されるとともに、吸収性パッドを着用者に装着した状態に保持可能な環状のホルダであって、
着用者の身長方向に沿う高さ方向及び胴回り方向に沿う周方向を有し、
ホルダ本体と、該ホルダ本体の肌対向面側に固定された吸汗シートとを有し、
前記吸汗シートは、前記高さ方向の上端側及び下端側の少なくとも一方に、前記ホルダ本体に固定されていない遊離部を有しており、
前記ホルダ本体は、前記遊離部と重なる部分に、前記周方向に沿う伸縮部を備えている、ホルダ。
【請求項2】
前記ホルダ本体は、前記高さ方向に、前記周方向に沿う伸長応力が低い低伸縮領域と該周方向に沿う伸長応力が前記低伸縮領域よりも高い高伸縮領域とを有し、
前記遊離部と重なる伸縮部が、前記高伸縮領域となっている、請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
外表面を形成する外層シートと該外層シートの内面側に配された内層シートとを有するホルダ本体を備え、
前記吸汗シートは、前記高さ方向の上端側に前記遊離部を備えており、
前記外層シート及び前記内層シートの少なくとも一方は、伸縮性シートからなる、請求項1又は2に記載のホルダ。
【請求項4】
前記遊離部と重なる伸縮部が、前記外層シート及び前記内層シートのうちの、前記伸縮性シートからなる少なくとも一方のシートが、肌対向面側に折り返された折り返し部分である、請求項3に記載のホルダ。
【請求項5】
前記吸汗シートは、前記折り返し部分の下端の上下に跨っている、請求項4に記載のホルダ。
【請求項6】
外表面を形成する外層シートと該外層シートの内面側に配された内層シートとを有するホルダ本体を備え、
前記吸汗シートは、前記上端側及び前記下端側のうち、少なくとも前記下端側に前記遊離部を備えており、
前記ホルダ本体は、前記周方向に沿って配された複数本の弾性部材を有する高弾性伸縮領域を有し、前記下端側の前記遊離部と重なる伸縮部が、前記高弾性伸縮領域である、請求項1又は2に記載のホルダ。
【請求項7】
前記ホルダ本体において、前記吸汗シートが固定されている領域の少なくとも一部は、前記遊離部と重なる領域に比較してシートの積層数が少ない、請求項1~5のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項8】
前記ホルダ本体において、前記吸汗シートが固定されている領域の少なくとも一部は、前記遊離部と重なる領域に比較して坪量が小さい、請求項1~5のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項9】
前記ホルダ本体と前記吸汗シートは間欠的に固定されている、請求項7又は8に記載のホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性パッドを着用者に装着した状態に保持するホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品の一種として、尿等の体液を吸収保持する吸収性パッドと、着用者の腰周りに環状に装着されるとともに、着用者の股間部に配置された吸収性パッドを保持するホルダとを備え、吸収性パッドがホルダに対して着脱自在に構成されたセパレートタイプのものが知られている。従来のセパレートタイプの吸収性物品においては、特許文献1~3に記載されているように、ホルダに、吸収性パッドが有する止着構造を止着可能なホルダ側止着構造が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006-515199号公報
【特許文献2】特開2004-329386号公報
【特許文献3】特開2004-329590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品においては、着用者の汗に起因する湿疹、汗疹、かぶれ等の肌トラブルの発生を防止する目的で、おむつの内面(肌対向面)における着用者の肌と接触し得る部分を、吸汗シートによって形成することが行われている。特許文献1には、ホルダを構成する1層又は複数層の不織布層を親水性とすることが記載されており、特許文献2及び3には、ホルダの肌対向面側に位置する内層シートを親水性とすることが記載されている。特許文献1では親水性の不織布層が吸汗シートに相当し、特許文献2及び3では親水性の内層シートが吸汗シートに相当するところ、特許文献1~3では、吸汗シートが汗を吸収しやすくすることについて何ら検討されておらず、改善の余地があった。
したがって本発明の課題は、吸汗シートが、ホルダの着用者の汗を吸収しやすいホルダを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、着用者の腰周りに装着されるとともに、吸収性パッドを着用者に装着した状態に保持可能な環状のホルダに関する。
前記ホルダは、着用者の身長方向に沿う高さ方向及び胴回り方向に沿う周方向を有することが好ましい。
前記ホルダは、ホルダ本体と、該ホルダ本体の肌対向面側に固定された吸汗シートとを有することが好ましい。
前記吸汗シートは、前記高さ方向の上端側及び下端側の少なくとも一方に、前記ホルダ本体に固定されていない遊離部を有していることが好ましい。
前記ホルダ本体は、前記遊離部と重なる部分に、前記周方向に沿う伸縮部を備えていることが好ましい。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0006】
本発明のホルダによれば、吸汗シートが、ホルダの着用者の汗を吸収しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明のホルダの一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すホルダの最大伸長状態における腹側部側の非肌対向面(外面)を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すホルダの最大伸長状態における腹側部側の肌対向面(内面)を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図1のIV-IV線断面(ホルダの高さ方向且つ厚み方向に沿う断面)を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すホルダの使用例を示す図であり、該ホルダ及びこれに止着された吸収性パッドを含む使い捨ておむつ(吸収性物品)の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すおむつの展開且つ最大伸長状態における肌対向面(内面)側を一部破断して模式的に示す展開平面図である。
【
図7】
図7(a)及び(b)は、本発明のホルダの別の実施形態を示す図であり、
図3相当図である。
【
図8】
図8(a)及び(b)は、本発明のホルダの更に別の実施形態を示す図であり、
図3相当図である。
【
図9】
図9は、本発明のホルダの更に別の実施形態を示す図であり、
図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0009】
図1~4には、本発明のホルダの一実施形態であるホルダ1が示されている。また
図5及び
図6には、本発明のホルダの使用例として、ホルダ1とこれに止着された吸収性パッド11とを含む、使い捨ておむつ10が示されている。おむつ10は、
図5に示すように、ホルダ1と吸収性パッド11とがホルダ側止着構造6及びパッド側止着構造16を介して結合されたものであり、ホルダ1が有するウエスト開口部WHと、ホルダ1の高さ方向HDの下端部と吸収性パッド11の長手方向(後述する縦方向X)に沿う両側縁部とで画成される一対のレッグ開口部LH,LHとを有する。なお、吸収性パッド11は、ホルダ1の構成部材ではない。
【0010】
セパレートタイプの吸収性物品であるおむつ10は、ホルダ1と吸収性パッド11とが止着構造6,16を介して結合・分離自在であるため、従来の非セパレートタイプの吸収性物品に比べて環境に対する負荷が低減されている。すなわち、着用者の腰周りに対応する部分(ホルダ相当部分)と着用者の股間部に対応する部分(吸収性パッド相当部分)とが一体不可分である従来の非セパレートタイプの吸収性物品を使用後に廃棄する場合、ホルダ相当部分は汚れていなくても、排泄物で汚れた状態の吸収性パッド相当部分とともに廃棄せざるを得なかったが、おむつ10であれば、ホルダ1はそのままで吸収性パッド11のみを新品と交換すればよいため、非セパレートタイプの吸収性物品に比べてゴミ廃棄量、二酸化炭素排出量が低減され、環境に対する負荷の低減に貢献することができる。
また、おむつ10の着用中、吸収性パッド11はホルダ1に着脱可能に固定されているので、該吸収性パッド11を新品に交換する作業は簡単であり、おむつ10は、従来の非セパレートタイプの吸収性物品に比べて交換作業の負荷が大幅に軽減されている。
【0011】
ホルダ1は、着用者の腰周りに環状に装着されるとともに、吸収性パッド11を着用者に装着した状態、すなわち着用状態に保持可能なものであり、着用者の身長方向に沿う高さ方向HD及び胴周り方向に沿う周方向CDを有している。ホルダ1には、吸収性パッド11が有するパッド側止着構造16を脱着可能に止着可能なホルダ側止着構造6が設けられている。
【0012】
ここで、吸収性パッド11について
図5及び
図6を参照しながら簡単に説明すると、吸収性パッド11は、着用者の肌から相対的に近い位置に配置された液透過性の表面シート12、着用者の肌から相対的に遠い位置に配置された液不透過性、液難透過性又は撥水性の裏面シート13、及び両シート12,13間に介在配置された吸収体14を含む。吸収性パッド11を構成するこれらの部材どうしは、接着剤等の公知の接合手段により一体とされている。吸収性パッド11は、平面視において一方向に長い形状をなし、吸収性パッド11を使用する際にはその長手方向を、予め着用者に装着された状態のホルダ1の高さ方向HDに一致させる。吸収性パッド11の長手方向は、おむつ10の着用者の前後方向に対応する縦方向Xに対応し、縦方向Xに直交する吸収性パッド11の横方向Yは、ホルダ1の周方向CDに対応する。吸収性パッド11の縦方向Xに沿う両側部には、おむつ10の着用時に着用者の肌側に起立する一対の防漏カフ15,15が配置されている。各防漏カフ15は、防漏カフ15の主体をなす防漏カフ形成用シート150と、縦方向Xに伸長状態で該シート150に固定された弾性部材151とを含む。吸収性パッド11の縦方向Xの両端部それぞれの肌対向面にはパッド側止着構造16が配置されており、このパッド側止着構造16をホルダ1のホルダ側止着構造6に止着させることで、吸収性パッド11をホルダ1に脱着可能に止着させることができる。
なお、吸収性パッド11は、本発明のホルダが適用可能な吸収性パッドの一実施形態に過ぎず、本発明のホルダが適用可能な吸収性パッドは、該ホルダのホルダ側止着構造に止着可能なパッド側止着構造を有していればよく、吸収性パッド11に限定されない。
【0013】
本明細書において「肌対向面」とは、吸収性物品、ホルダ、吸収性パッド等の着用物品又はその構成部材(例えばホルダのホルダ側止着構造)における、該着用物品の着用状態において着用者の肌側に向けられる面を指し、「非肌対向面」は、該着用物品又はその構成部材における、該着用物品の着用状態において肌側とは反対側に向けられる面を指す。
【0014】
以下、ホルダ1について詳細に説明する。
ホルダ1は、ホルダ本体2と、該ホルダ本体2の肌対向面側に固定された吸汗シート8とを有する。ホルダ本体2は、着用者の腹側(前側)に配置される腹側部Fと、着用者の背側(後側)に配置される背側部Rとを有し、ホルダ1の主体をなす。ホルダ本体2は、ホルダ1の平面視における外形形状(輪郭)を形作っており、ホルダ1の高さ方向HDの上端1a及び下端1bは、ホルダ本体2の上端及び下端である。ホルダ本体2は、非肌対向面側にホルダ側止着構造6を備えている。ホルダ側止着構造6は、ホルダ本体2の厚み方向において吸汗シート8側とは反対側に設けられている。吸汗シート8については後述する。
【0015】
本実施形態では、ホルダ1(ホルダ本体2)は、
図1に示すように環状をなしており、着用状態で着用者の胴部が挿入されるウエスト開口部WHを有している。具体的には、本実施形態のホルダ1では、腹側部F及び背側部Rそれぞれのホルダ本体2どうしが、それらの長手方向両端部にて、接着剤、融着等の公知の接合手段によって互いに接合されて一対の接合部S,Sが形成されており、それら一対の接合部S,Sを介して腹側部Fと背側部Rとが連結し、環状を構成している。接合部Sは、一般的な非セパレートタイプのパンツ型使い捨ておむつにおけるサイドシール部に相当するものである。
【0016】
本実施形態では、ホルダ1(ホルダ本体2)は、
図2及び
図3に示す如き最大伸長状態の平面視において長方形形状をなし、高さ方向HDの上端1a及び下端1bは、高さ方向HDと直交する方向に平行な直線状である。
また本実施形態では、腹側部Fと背側部Rとは、平面視において互いに同形状・同寸法であり、且つ接合部Sを破壊せずに維持した状態で腹側部Fと背側部Rとを重ね合わせたときにそれらの輪郭が一致する。
【0017】
本明細書において「最大伸長状態」とは、吸収性物品、ホルダ、吸収性パッド等の着用物品の各部の弾性部材を最大伸長させて、設計寸法、すなわち弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じとなるまで拡げた状態をいう。
また、「展開且つ最大伸長状態」とは、着用物品を平面状に拡げて展開状態とした上で、前記最大伸長状態とした状態を指し、前述したホルダ1の接合部Sの如き、サイドシール部を有する吸収性物品の場合は、該吸収性物品をサイドシール部で切り離して平面状に拡げて前記展開状態とする。
【0018】
本実施形態では、ホルダ本体2は、ホルダ1の非肌対向面(外表面)を形成する外層シート3と、該外層シート3の内面側に配された内層シート4とを含む。内層シート4は、ホルダ1の肌対向面(内面)を形成している。吸汗シート8は、ホルダ本体2の肌対向面に固定されており、ホルダ1の着用時に着用者の肌と接触し得る。内層シート4は、吸汗シート8に被覆されていない領域が、ホルダ1の着用時に着用者の肌と接触し得る。
【0019】
本実施形態では、外層シート3は、
図4に示すように、高さ方向HDの上端部が肌対向面側に折り返されており、その外層シート3の折り返しの折り目にホルダ1の上端1aが位置し、ホルダ1の上端1aの近傍(上端部)は、外層シート3とその折り返し部30との積層構造を含む。折り返し部30とこれに対向する外層シート3との間は、接着剤、融着等の公知の接合手段により互いに接合されている。
吸汗シート8は、着用者のウエスト部に対応する領域に配されている。より具体的には、吸汗シート8は、
図3及び
図4に示すように、折り返し部30の下端30bの上下に跨っている。吸汗シート8は、折り返し部30の肌対向面及び内層シート4の肌対向面に固定されている。吸汗シート8は、前記高さ方向HDの上端8a側及び下端8b側の少なくとも一方に、ホルダ本体2に固定されていない遊離部82を有するところ、本実施形態では、
図4に示すように、前記高さ方向HDの上端8a側及び下端8b側の両方に遊離部82a,82bを有する。吸汗シート8は、前記上端8a側の遊離部(以下、「上側遊離部」ともいう)82aと、前記下端8b側の遊離部(以下、「下側遊離部」ともいう)82bとの間に、ホルダ本体2に固定された固定部81を有する。本実施形態では、固定部81は、接着剤9を介してホルダ本体2に固定されている。吸汗シート8は、前記高さ方向HDの上端8a側及び下端8b側のいずれか一方のみに遊離部82を有していてもよい。
【0020】
本実施形態では、ホルダ1(ホルダ本体2)は、高さ方向HDと直交する方向(周方向CD)に伸縮可能に配置された弾性部材5を備える。より具体的には、
図4に示すように、外層シート3と内層シート4との間に、複数の弾性部材5が高さ方向HDと直交する方向(周方向CD)に伸縮可能に配置されている。複数の弾性部材5は、
図2及び3に示すように、腹側部F及び背側部Rそれぞれの高さ方向HDと直交する方向(周方向CD)の全長にわたって延在し、高さ方向HDに間欠配置されている。各弾性部材5は、周辺の他の部材と接着剤によって固定されている。弾性部材5の配置数、配置位置は特に制限されず、ホルダ1の着用者の身体に対するフィット性などを考慮して適宜設定し得る。
【0021】
外層シート3及び内層シート4としては、それぞれ、各種製法による不織布、織布、樹脂製フィルムなどを用いることができる。各シート3,4として使用可能な不織布の具体例として、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布が挙げられ、単層構造でもよく、1種又は2種以上の不織布を積層した積層構造でもよい。
両シート3,4は、互いに同種でもよく、異種でもよい。ここでいう「同種」とは、対比するシートどうしで、製造プロセス、構成繊維の種類、構成繊維の繊維径及び長さ、繊維シートの厚み及び坪量がすべて同じである場合を意味する。これらのうちの1つでも異なる場合、その対比するシートどうしは互いに「異種」である。
【0022】
吸汗シート8としては、汗の吸収が可能なもの用いることができる。吸汗シート8は、親水性シートであることが好ましい。親水性シートとしては、パルプ、レーヨン又はコットン等のような親水性の繊維を含む紙、不織布、織布又はこれらの1種又は2種以上を含む積層体等を用いることができる。親水性シートには、その構成繊維として、親水性の繊維以外に、熱可塑性の合成樹脂からなる繊維が混合されていてもよい。吸汗シート8として、疎水性の繊維からなるシートを用いる場合、該疎水性の繊維を親水化剤で親水化することにより、該シートに親水性を付与してもよい。吸汗シート8は、親水性繊維を全質量に対して、50質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下である。
吸汗シート8に、吸湿性、抗菌性、消臭性、スキンケア性等を付与してもよい。
【0023】
ホルダ1は、水分を吸収保持する吸収体を含んでいないため、各シート3,4,8をはじめとする構成部材として洗濯可能なものを用いれば、洗濯して繰り返し使用することが可能なものとなり得る。ホルダ1が洗濯可能なものであることは、ゴミ廃棄量、二酸化炭素排出量の低減につながり、環境に対する負荷の低減に貢献することができる。ホルダ1を洗濯可能なものとする観点からは、各シート3,4,8等の構成部材としては、織布が好ましい。
【0024】
本発明のホルダには、前述の弾性部材5を備えていない形態が包含されるところ、斯かる形態においては、ホルダ1を構成する複数のシート3,4,8のうちの少なくとも1つが、高さ方向HDと直交する方向(周方向CD)に伸縮性を有していることが好ましい。本発明には例えば、外層シート3は高さ方向HDと直交する方向に伸縮性を有し、内層シート4及び吸汗シート8は伸縮性を有しない形態が包含される。
【0025】
ホルダ1の特徴部分の1つであるホルダ側止着構造6について説明すると、本実施形態では、ホルダ側止着構造6は
図1等に示すように、ホルダ本体2の非肌対向面(外面)に設けられており、より具体的には、外層シート3の非肌対向面に固定されている。
【0026】
ホルダ側止着構造6としては、吸収性パッド11が有するパッド側止着構造16(
図5参照)を脱着可能に止着可能なものであればよく、公知の着脱自在な止着構造を特に制限なく用いることができる。例えば、ホルダ側止着構造6及びパッド側止着構造16の一方又は両方が、粘着剤を塗布して形成された粘着部を備え、該粘着部を介してパッド側止着構造16がホルダ側止着構造6に脱着可能に止着するようになされていてもよい。
【0027】
本実施形態では、ホルダ側止着構造6及びパッド側止着構造16を含む止着構造として、機械的面ファスナーを採用している。ここでいう「機械的面ファスナー」とは、鉤状の突起からなるフック材(係合部材)が一面に配置された面部材(オス部材)と、パイル状の突起からなるループ材が一面に配置された面部材(メス部材)とが、一組みとなった留め具を指す。機械的面ファスナーの具体例として、マジックテープ(登録商標)が挙げられる。
具体的には本実施形態では、ホルダ側止着構造6は、機械的面ファスナーのメス部材であり、基材と、該基材の非肌対向面(外面)に設けられ、パッド側止着構造16が止着可能な被止着領域とを備える。ホルダ側止着構造6が備える前記基材は、接着剤、融着等の公知の接合手段60(
図4参照)を介して、ホルダ本体2に直接固定されている。またパッド側止着構造16は、機械的面ファスナーのオス部材であり、典型的には、樹脂製フィルム、織布、不織布などからなる基材の表面に多数の前記フック材が配置された構成を有している。
【0028】
ホルダ1の主たる特徴の1つとして、
図3及び
図4に示すように、ホルダ本体2は、遊離部82と重なる部分に、周方向CDに沿う伸縮部を備えている点が挙げられる。
以下この点について説明する。本実施形態では、ホルダ本体2は、高さ方向HDにおいて、周方向CDの伸長応力が異なる複数の部分R1~R4を有する。前記複数の部分R1~R4を、高さ方向HDの上から順に、第1部R1、第2部R2、第3部R3及び第4部R4とする。第1部R1及び第3部R3には弾性部材5が配されており、周方向CDに沿う方向に伸縮可能となっている。第2部R2及び第4部R4には弾性部材5は配されていない。本実施形態では、第1部R1及び第3部R3が伸縮部となっている。第1部R1は上側遊離部82aと重なっており、第3部R3は下側遊離部82bと重なっている。このように、本実施形態では、上側遊離部82aと重なる部分、及び下側遊離部82bと重なる部分それぞれに、伸縮部を備えている。なお、上側遊離部82aと重なる部分、及び下側遊離部82bと重なる部分のいずれか一方のみが伸縮部を備えていてもよい。
【0029】
遊離部82と重なる部分に伸縮部を備えていることの利点は、以下のとおりである。遊離部82は、吸汗シート8におけるホルダ本体2に固定されていない部分であるので、吸汗シート8の固定部81に比して柔らかく、変形しやすい。そのため、ホルダ1の着用状態において伸縮部が収縮し、遊離部82が着用者の肌に接触したときに、該遊離部82が着用者の体型に応じて変形しやすく、該遊離部82を、着用者の肌にしっかり密着させることができる。遊離部82が着用者の肌にしっかり密着することにより、吸汗シート8に、ホルダ1の着用者の汗を効率的に吸収させることができる。
このように、本実施形態のホルダ1によれば、吸汗シート8が、ホルダ1の着用者の汗を吸収しやすい。
【0030】
吸汗シート8の高さ方向HDの長さLに対する、上側遊離部82aの高さ方向HDの長さLaの割合(La/L×100)は、吸汗シート8に、ホルダ1の着用者の汗を一層効率的に吸収させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは30%以上であり、また好ましくは95%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下であり、また好ましくは7%以上95%以下、より好ましくは15%以上70%以下、更に好ましくは30%以上50%以下である。
【0031】
また、上側遊離部82aの高さ方向HDの長さLaは、好ましくは0.3cm以上、より好ましくは0.5cm以上、更に好ましくは0.7cm以上であり、また好ましくは4.2cm以下、より好ましくは2.5cm以下、更に好ましくは1.5cm以下であり、また好ましくは0.3cm以上4.2cm以下、より好ましくは0.5cm以上2.5cm以下、更に好ましくは0.7cm以上1.5cm以下である。上側遊離部82aの高さ方向HDの長さLaの上限は、吸汗シート8の高さ方向HDの長さL未満である。
【0032】
また、吸汗シート8の高さ方向HDの長さLに対する、下側遊離部82bの高さ方向HDの長さLbの割合(Lb/L×100)は、吸汗シート8に、ホルダ1の着用者の汗を一層効率的に吸収させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは30%以上であり、また好ましくは95%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下であり、また好ましくは3%以上95%以下、より好ましくは10%以上70%以下、更に好ましくは30%以上50%以下である。
【0033】
また、下側遊離部82bの高さ方向HDの長さLbは、好ましくは0.3cm以上、より好ましくは0.5cm以上、更に好ましくは0.7cm以上であり、また好ましくは4.2cm以下、より好ましくは2.5cm以下、更に好ましくは1.5cm以下であり、また好ましくは0.3cm以上4.2cm以下、より好ましくは0.5cm以上2.5cm以下、更に好ましくは0.7cm以上1.5cm以下である。下側遊離部82bの高さ方向HDの長さLbの上限は、吸汗シート8の高さ方向HDの長さL未満である。
【0034】
上側遊離部82aと重なる伸縮部、及び下側遊離部82bと重なる伸縮部は、周方向CDに沿う伸長応力が同じであってもよいし、異なっていてもよい。上側遊離部82aと重なる伸縮部の伸長応力、及び下側遊離部82bと重なる伸縮部の伸長応力が異なる場合、いずれが大きくてもよい。本実施形態では、第1部R1には、第3部R3に比して、細い弾性部材を配しており、第1部R1は、第3部R3に比して、周方向CDに沿う伸長応力が小さくなっている。第3部R3の周方向CDに沿う伸長応力P3に対する、第1部R1の周方向CDに沿う伸長応力P1の比P1/P3は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.45以上であり、また好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.85以下であり、また好ましくは0.15以上0.95以下、より好ましくは0.3以上0.9以下、更に好ましくは0.45以上0.85以下である。
【0035】
伸長応力は、以下の方法により測定することができる。
<伸長応力の測定方法>
ホルダ1におけるホルダ本体2の第1部R1から、高さ方向HDの長さ30mmのサンプル片を環状のままに切り出す。具体的には、サンプル片は、高さ方向HDにおいて、上側遊離部82aの中心から、上端8a側に15mm、下端8b側に15mmの範囲を、を環状のままに切り出す。サンプル片は、ホルダ本体2ごと切り出す。切り出されたサンプル片は、腹側部Fの第1部R1と背側部Rの第1部R1とが連続しており、環状をなしている。高さ方向HDにおける第1部R1の長さが30mm未満である場合は、可能な限り大きなサンプル片を切り出す。
そして、第1部R1から切り出したサンプル片について、伸長応力を測定する。具体的には、テンシロン引張試験機(ORIENTEC社製「RTC-1210A」)に、サンプル片をセットする。サンプル片は、腹側部Fと背側部Rとを両者の輪郭が一致するように重ね合わせて平面視矩形形状とし、平面視矩形形状の該サンプル片の周方向CDと引張方向とが一致するようにセットする。このときのチャック間距離は50mmとし、セットしたときにたゆませた状態にする。次いで、300mm/minの速度でチャック間の距離が300mmとなるまでサンプル片を伸長させた後、該チャック間の距離を150mmまで戻したときの引張り荷重を測定し、該荷重を「cN/10mm」の単位に換算する。斯かる測定を、第1部R1から切り出した5枚のサンプル片について行い、これらの平均(チャック間の距離を150mmまで戻したときの引張り荷重の平均)を伸長応力(cN/10mm)とする。
また、ホルダ1におけるホルダ本体2の第3部R3から、高さ方向HDの長さ30mmのサンプル片を環状のままに切り出す。具体的には、サンプル片は、高さ方向HDにおいて、下側遊離部82bの中心から、上端8a側に15mm、下端8b側に15mmの範囲を、環状のままに切り出す。サンプル片は、ホルダ本体2ごと切り出す。第3部R3から切り出したサンプル片も、第1部R1から切り出したサンプル片と同様に環状をなしている。高さ方向HDにおける第3部R3の長さが30mm未満である場合は、可能な限り大きなサンプル片を切り出して測定する。
そして、第3部R3から切り出したサンプル片について、第1部R1から切り出したサンプル片と同様にして、伸長応力を測定する。第3部R3についても、第1部R1と同様に、5枚のサンプル片の伸長応力の平均値を、第3部R3の伸長応力とする。
【0036】
ホルダ本体2は、前記高さ方向HDに、周方向CDに沿う伸長応力が低い低伸縮領域と、周方向CDに沿う伸長応力が該低伸縮領域よりも高い高伸縮領域とを有していてもよい。高伸縮領域及び低伸縮領域は、高さ方向HDにおける存在場所及び伸長応力の違いによって特定される。
<高伸縮領域及び低伸縮領域の特定方法>
ホルダ1の腹側部F又は背側部Rにおけるホルダ本体2の遊離部82と高さ方向HDおいて重なる領域から、高さ方向HDの長さ30mmの環状のサンプル片を切り出す。また、ホルダ1の腹側部F又は背側部Rにおけるホルダ本体2の固定部81と高さ方向HDおいて重なる領域から、高さ方向HDの長さ30mmの環状のサンプル片を切り出す。遊離部82と重なる領域及び固定部81と重なる領域のいずれにおいても、サンプル片は、ホルダ本体2ごと切り出す。また、各領域の高さ方向HDの長さが30mm以上ある場合は、各領域の高さ方向HD上端に、サンプル片の上端が一致するようにしてサンプル片を切り出す。各領域の高さ方向HDの長さが30mm未満である場合は、可能な限り大きなサンプル片を切り出して測定する。
そして、遊離部82と重なる領域から切り出したサンプル片、及び固定部81と重なる領域から切り出したサンプル片それぞれについて、伸長応力を測定する。具体的には、テンシロン引張試験機(ORIENTEC社製「RTC-1210A」)にサンプル片をセットする。サンプル片は、腹側部Fと背側部Rとを両者の輪郭が一致するように重ね合わせて平面視矩形形状とし、平面視矩形形状の該サンプル片の周方向CDと引張方向とが一致するようにセットする。このときのチャック間距離は50mmとし、サンプル片をセットしたときに該サンプル片をたゆませた状態にする。次いで、300mm/minの速度でチャック間の距離が300mmとなるまでサンプル片を伸長させた後、該チャック間の距離を150mmまで戻したときの引張り荷重を測定し、該荷重を「cN/10mm」の単位に換算する。斯かる測定を、遊離部82から切り出したサンプル片及び、及び固定部81から切り出したサンプル片それぞれについて5枚づつ行う。遊離部82と重なる領域から切り出したサンプル片の引張り荷重の平均(チャック間の距離を150mmまで戻したときの引張り荷重の平均)を、遊離部82と重なる領域の伸長応力(cN/10mm)とする。固定部81と重なる領域から切り出したサンプル片の引張り荷重の平均(チャック間の距離を150mmまで戻したときの引張り荷重の平均)を、固定部81と重なる領域の伸長応力(cN/10mm)とする。なお、サンプル片が高さ方向HD10mm未満の場合は、高さ方向HD長さを換算して、該荷重を「cN/10mm」の単位に換算する。
そして、遊離部82と重なる領域の伸長応力が、固定部81と重なる領域の伸長応力よりも高い場合、好ましくは固定部81と重なる領域の伸長応力に対する遊離部82と重なる領域の伸長応力の比が1.1以上である場合、遊離部82と重なる領域を高伸縮領域とし、固定部81と重なる領域を低伸縮領域とする。
【0037】
本実施形態では、高伸縮領域として、複数本の弾性部材5を有する高弾性伸縮領域を有している。具体的には、吸汗シート8の下端8b側の遊離部82bと重なる伸縮部、即ち第3部R3が、高弾性伸縮領域である。吸汗シート8の下端8b側の遊離部82bと重なる伸縮部が高弾性伸縮領域であることにより、特に高さ方向HDの下側において、吸汗シート8を着用者の肌に一層しっかり密着させることができ、着用者の汗を一層効率的に吸収させることができる。
【0038】
本実施形態では、ホルダ本体2において、吸汗シート8が固定されている領域(以下、単に「固定領域」ともいう)Rxの少なくとも一部が、相対的に伸長応力が小さい低伸縮領域であることも好ましい。こうすることにより、固定領域Rxが過剰に収縮して該固定領域Rxにしわが過剰に発生し、着用者が違和感を覚えることを防ぐことができる。本実施形態では、上述のように、第1部R1及び第3部R3は、弾性部材5が配されており、相対的に伸長応力が大きい高伸縮領域となっている。また第2部R2及び第4部R4は、弾性部材5が配されておらず、相対的に伸長応力が小さい低伸縮領域となっている。本実施形態では、
図4に示すように、固定領域Rxは、低伸縮領域である第2部R2と、高伸縮領域である第1部R1の一部を含んでいる。なお、固定領域Rxの全体が、低伸縮領域であってもよい。
【0039】
低伸縮領域は、ホルダ本体2を構成するシート材に含まれる弾性部材とは別体の弾性部材5を含まないことが好ましい。ホルダ本体2を構成するシート材に含まれる弾性部材としては、例えば、後述する伸縮性シートに含まれる弾性フィラメント等が挙げられる。低伸縮領域が、ホルダ本体2を構成するシート材に含まれる弾性部材とは別体の弾性部材5を含まない場合、該低伸縮領域は、高さ方向HDの長さが、高伸縮領域に配されている複数の弾性部材5の高さ方向HDのピッチよりも広いことが好ましい。複数の弾性部材5の高さ方向HDのピッチとは、高さ方向HDに隣り合う弾性部材5の中心点どうしの間の距離を意味する。本実施形態では、第2部R2の高さ方向HDの長さが、第1部R1に配されている弾性部材5の高さ方向HDのピッチ、及び第2部R2に配されている弾性部材5の高さ方向HDのピッチのいずれよりも長くなっている。低伸縮領域は、周方向CDに沿う方向の伸縮性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0040】
本実施形態では、遊離部82と重なる伸縮部が、高伸縮領域となっていることも好ましい。こうすることにより、遊離部82を着用者の肌に一層しっかり密着させ、吸汗シート8が、ホルダ1の着用者の汗を一層効率的に吸収できるようにすることができる。この効果が一層顕著に奏されるようにする観点から、低伸縮領域の伸長応力S2に対する高伸縮領域の伸長応力S1の比S1/S2は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは1.7以上であり、また好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.8以下であり、また好ましくは1.1以上3.5以下、より好ましくは1.5以上3.0以下、更に好ましくは1.7以上2.8以下である。上側遊離部82aと重なる伸縮部、及び下側遊離部82bと重なる伸縮部の両方が高伸縮領域であってもよいし、いずれか一方のみが高伸縮領域であってもよい。
【0041】
ホルダ本体2は、上述のように、外層シート3と内層シート4とを有するところ、外層シート3及び内層シート4の少なくとも一方は、伸縮性シートからなることが好ましい。こうすることにより、ホルダ1のフィット性を向上させることができる。本実施形態のホルダ1は、外層シート3が伸縮性シートからなる。本実施形態では、外層シート3が伸縮性シートからなるので、弾性部材5が配されていない第2部R2及び第4部R4も、伸縮性を有している。
【0042】
伸縮性シートとして使用可能な伸縮性不織布として、弾性フィラメントを含む不織布(以下、「特定伸縮性不織布」とも言う。)が挙げられる。ここで言う「弾性」とは、伸ばすことができ、且つ元の長さに対して100%伸ばした状態(元の長さの200%の長さになる)から力を解放したときに、元の長さの125%以下の長さまで戻る性質をいう。前記特定伸縮性不織布では、弾性フィラメントが、実質的に非伸長状態で、不織布に接合されていることが好ましい。前記不織布は非弾性繊維を含むものが好ましい。
【0043】
前記特定伸縮性不織布において、弾性フィラメントは、典型的には、該特定伸縮性不織布における該弾性フィラメントの延在方向の全長にわたって実質的に連続している。また、弾性フィラメントは弾性樹脂を含んでいる。
前記特定伸縮性不織布において、不織布は、弾性フィラメントの延びる方向と同方向に伸長可能になっている。ここで言う「伸長可能」とは、(イ)不織布の構成繊維自体が伸長する場合と、(ロ)不織布の構成繊維自体は伸長しなくても、交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたり、繊維のたるみが引き伸ばされたりして、不織布全体として伸長する場合とを包含する。前記特定伸縮性不織布において、不織布は、弾性フィラメントと接合される前の原反の状態で既に伸長可能になっていてもよい。あるいは、弾性フィラメントと接合される前の原反の状態では伸長可能ではないが、弾性フィラメントと接合された後に伸長可能となるように加工が施されて、伸長可能になるものであってもよい。不織布を伸長可能にするための具体的な方法としては、熱処理、ロール間延伸、歯溝やギアによるかみ込み延伸、テンターによる引張延伸などが挙げられる。
【0044】
前記特定伸縮性不織布の好ましい一実施形態として、対向配置された2枚の不織布の間に複数の弾性フィラメントが配置された構成を有するものが挙げられる。斯かる好ましい実施形態において、複数の弾性フィラメントは、互いに交差せずに一方向(例えば、高さ方向HDと直交する方向)に延びるように配置されるとともに、該一方向と直交する方向に間欠配置されてもよく、その場合、該一方向が特定伸縮性不織布の伸縮方向となり得る。前記2枚の不織布は、互いに同種でも異種でもよい。ここで言う「同種」とは、対比する2枚の不織布どうしで、製造プロセス、構成繊維の種類、構成繊維の繊維径及び繊維長、当該不織布の厚み及び坪量がすべて同じであることを指す。対比する2枚の不織布どうしでこれらの要素の少なくとも一つが異なる場合、2枚の不織布は互いに異種である。
【0045】
遊離部82と重なる伸縮部は、外層シート3及び内層シート4のうちの、伸縮性シートからなる少なくとも一方のシートが、肌対向面側に折り返された折り返し部分であってもよい。こうすることにより、伸縮性シートが収縮したときに、遊離部82を着用者の肌に一層しっかり密着させることができ、着用者の汗を一層効率的に吸収させることが可能となる。本実施形態のホルダ1では、上述のように、外層シート3が伸縮性シートであり、該外層シート3が肌対向面側に折り返されている。本実施形態では、外層シート3の折り返し部30は、第1部R1に含まれており、上側遊離部82aと重なる伸縮部は、伸縮性シートである外層シート3が折り返された折り返し部30となっている。
吸汗シート8は、その全体が折り返し部30の上に存在していてもよいが、汗の吸収と発散とのバランスの観点から、本実施形態のように、折り返し部30の下端30bの上下に跨っていることが好ましい。
【0046】
ホルダ本体2において、固定領域Rxの少なくとも一部は、遊離部82と重なる領域に比較してシートの積層数が少ないことが好ましい。こうすることにより、吸汗シート8が遊離部82で吸収した汗を効率的に発散することができる。特に、固定領域Rxの少なくとも一部、及び遊離部82と重なる領域における伸縮部を含む部分のシートの積層数が、上述の関係となっていることがより好ましい。
【0047】
本実施形態では、ホルダ本体2における上側遊離部82aと重なる領域のシートの積層数は、
図5に示すように、外層シート3、内層シート4及び外層シート3の折り返し部30の3層である。また、ホルダ本体2における下側遊離部82bと重なる領域のシートの積層数は、外層シート3、内層シート4及びホルダ側止着構造6の3層である。
【0048】
また、ホルダ本体2における固定領域Rxは、シートの積層数が、外層シート3及び内層シート4及び外層シート3の折り返し部30の3層である部分と、外層シート3及び内層シート4の2層である部分と、外層シート3及び内層シート4及びホルダ側止着構造6の3層である部分を含んでいる。このように、固定領域Rxが、シートの積層数が異なる複数の部分を含んでいる場合、最も少ないシートの積層数を該領域のシートの積層数とする。遊離部82と重なる領域のシートの積層数についても同様である。
【0049】
本実施形態では、ホルダ本体2における固定領域Rxのシートの積層数が、上側遊離部82aと重なる領域のシートの積層数、及び下側遊離部82bと重なる領域のシートの積層数のいずれよりも少なくなっているが、これに代えて、固定領域Rxのシートの積層数は、上側遊離部82aと重なる領域のシートの積層数、及び下側遊離部82bと重なる領域のシートの積層数のいずれか一方よりも少なく、他方と同じ又は他方よりも多くてもよい。
【0050】
本実施形態では、ホルダ本体2において、吸汗シート8がホルダ本体2に固定されている領域の少なくとも一部は、遊離部82と重なる領域に比較して坪量が小さいことが好ましい。こうすることにより、吸汗シート8が遊離部82で吸収した汗を効率的に発散することができる。特に、固定領域Rxの少なくとも一部、及び遊離部82と重なる領域における伸縮部を含む部分の坪量が、上述の関係となっていることがより好ましい。
坪量は、例えば以下の方法により測定することができる。
<坪量の測定方法>
ホルダ本体2における坪量の測定対象領域から、矩形形状にサンプル片を切り出す。切り出したサンプル片の質量を測定する。測定された質量を、サンプル片の面積1m2の面積に換算したものを、坪量とする。
【0051】
ホルダ本体2における固定領域Rxの坪量は、上側遊離部82aと重なる領域の坪量、及び下側遊離部82bと重なる領域の坪量のいずれよりも少なくなっていてもよい。また固定領域Rxの坪量は、上側遊離部82aと重なる領域の坪量、及び下側遊離部82bと重なる領域の坪量のいずれか一方よりも少なく、他方と同じ又は他方よりも多くてもよい。
【0052】
吸汗シート8が遊離部82で吸収した汗を、一層効率的に発散できるようにする観点から、ホルダ本体2において、遊離部82と重なる領域の坪量T2に対する、吸汗シート8がホルダ本体2に固定されている領域の坪量T1の比T1/T2は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.35以上、更に好ましくは0.5以上であり、また好ましくは0.95以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.7以下であり、また好ましくは0.2以上0.95以下、より好ましくは0.35以上0.8以下、更に好ましくは0.5以上0.7以下である。
【0053】
ホルダ本体2と吸汗シート8とは、吸汗シート8が吸収した汗を効率的に発散できるようにする観点からは、ホルダ本体2と吸汗シート8とは間欠的に固定されていることが好ましい。例えば、
図7(a)及び(b)に示すように、高さ方向HDに間欠的に固定されていてもよい。また、
図8(a)及び(b)に示すように、周方向CDに間欠的に固定されていてもよい。また、
図9に示すように、散点状に固定されていてもよい。吸汗シート8の固定部81の接着剤9の配置部の平面視形状は、ストライプ状(
図7(a)及び
図8(a)参照)、スパイラル状(
図7(b)及び
図8(b)参照)、オメガ状、ドット状等とすることもできる。
【0054】
本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明のホルダは、使用時に着用者の腰周りに環状に装着されるものであればよく、使用時以外は環状でなくてもよい。例えば、ホルダ本体2が一方向に長い帯状をなし、そのホルダ本体2の長手方向の一端部と他端部とが着脱自在に結合可能になされており、未使用時は帯状、使用時(装着時)に、ホルダ本体2の長手方向の一端部と他端部とを結合させて該ホルダ本体2を環状にするようになされていてもよい。あるいは、ホルダ本体2が周方向CDに複数の部材(例えば、腹側部Fに対応する部材と背側部Rに対応する部材)に分割され、且つそれら複数の部材どうしが一方向に着脱自在に連結可能になされており、使用時(装着時)に、それら複数の部材どうしを結合させて環状のホルダ本体2を形成するようになされていてもよい。
【0055】
前記実施形態では、ホルダ1(ホルダ本体2)は最大伸長状態の平面視において長方形形状をなしていたが、本発明では、ホルダの平面視形状は特に制限されない。例えば、最大伸長状態のホルダ1の平面視において、上端1a及び/又は下端1bは、高さ方向HDに対して直交せずに交差する部分を有していてもよい。より具体的には例えば、最大伸長状態のホルダ1の平面視において、下端1bは、その全体又は一部(例えば横方向Yの中央部)が、上端1a側に向かって凸の凸状をなしていてもよい。
【0056】
前記実施形態では、ホルダ1の腹側部Fと背側部Rとは、平面視において互いに同形状・同寸法であったが、本発明では、互いに形状及び/又は寸法が異なっていてもよい。具体的には例えば、背側部Rの下端1bが、腹側部Fの下端1bよりも下方に(ホルダ側止着構造6から遠くに)位置していてもよい。
【0057】
前記実施形態では、ホルダ本体2は、高さ方向HDにおいて、周方向CDの伸長応力が異なる複数の部分R1~R4を有していたが、ホルダ本体2は、伸長応力が異なる複数の部分を有する必要は必ずしもない。ホルダ本体2は、高さ方向HDにおいて、周方向CDの伸長応力が一定であってもよい。また、ホルダ本体2が、高さ方向HDにおいて、周方向CDの伸長応力が異なる複数の部分を有する場合、該部分の数は、4つに限られず、例えば、2つ、3つ、又は5つ以上であってもよい。
【0058】
ホルダ本体2が、高さ方向HDにおいて、周方向CDの伸長応力が異なる複数の部分を有する場合、遊離部82と重なる部分は、該複数の部分のうち1つの部分のみを含んでいてもよいし、該複数の部分のうち2以上の部分を含んでいてもよい。この点について、本実施形態を例に説明する。例えば、上側遊離部82aと重なる部分は、第1部R1のみを含んでいるが、これに代えて、第1部R1及び第2部R2を含んでいてもよい。また本実施形態では、下側遊離部82bと重なる部分は、第3部R3のみを含んでいるが、これに代えて、第2部R2及び第3部R3を含んでいてもよいし、第3部R3及び第4部R4を含んでいてもよい。
【0059】
前記実施形態では、吸汗シート8は、高さ方向HDの上端8a側及び下端8b側の両方に遊離部82a,82bを有していたが、吸汗シート8は、高さ方向HDの上端8a側及び下端8b側のいずれか一方のみに遊離部82a,82bを有していてもよい。
【0060】
前記実施形態では、外層シート3及び内層シート4はいずれも単層構造であったが、本発明では、両シート3,4の一方又は両方が積層構造であってもよい。例えば、外層シート3は、横方向Yに伸縮性を有するシートを含む2枚以上のシートの積層構造からなり、内層シート4は、非伸縮性シートからなる単層構造とすることができる。
前記実施形態では、外層シート3が折り返されて折り返し部30が形成されていたが、本発明では、外層シート3は折り返されていなくてもよい。また、内層シート4が肌対向面側に折り返されて、折り返し部を形成していてもよい。
【0061】
前記実施形態では、外層シート3と内層シート4との間に、複数の弾性部材5が配置されていたが、弾性部材5は、外層シート3とその折り返し部30との間に配置されていてもよい。また内層シート4が肌対向面側に折り返されて、折り返し部を形成している場合、内層シート4とその折り返し部との間に配置されていてもよい。
【0062】
前記実施形態では、ホルダ側止着構造6が機械的面ファスナーのメス部材、パッド側止着構造16が機械的面ファスナーのオス部材であったが、本発明ではこれとは逆に、ホルダ側止着構造6が機械的面ファスナーのオス部材、パッド側止着構造16が機械的面ファスナーのメス部材でもよい。
【0063】
前記実施形態では、吸汗シート8は、ホルダ1の周方向CDの全域に配されていたが、吸汗シート8は、ホルダ1の周方向CDの一部にのみ配されていてもよい。
前記実施形態では、吸汗シート8の固定部81は、接着剤9を介してホルダ本体2に固定されていたが、これに代えて、吸汗シート8の固定部81は、吸汗シート8とホルダ本体2とを、熱、超音波等により融着させることにより形成してもよい。吸汗シート8による汗の吸収と発散とのバランスを両立させやすくする観点から、吸汗シート8の固定部81は、接着剤9を介してホルダ本体2に固定されていることが好ましい。
【0064】
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
<1>
着用者の腰周りに装着されるとともに、吸収性パッドを着用者に装着した状態に保持可能な環状のホルダであって、
着用者の身長方向に沿う高さ方向及び胴回り方向に沿う周方向を有し、
ホルダ本体と、該ホルダ本体の肌対向面側に固定された吸汗シートとを有し、
前記吸汗シートは、前記高さ方向の上端側及び下端側の少なくとも一方に、前記ホルダ本体に固定されていない遊離部を有しており、
前記ホルダ本体は、前記遊離部と重なる部分に、前記周方向に沿う伸縮部を備えている、ホルダ。
<2>
前記吸汗シートは、前記高さ方向の上端側に、前記ホルダ本体に固定されていない上端遊離部を有しており、
前記吸汗シートの高さ方向の長さに対する、前記上端遊離部の高さ方向の長さ割合が、10%以上95%以下、好ましくは20%以上50%以下、より好ましくは25%以上40%以下である、前記<1>に記載のホルダ。
<3>
前記吸汗シートは、前記高さ方向の下端側に、前記ホルダ本体に固定されていない下端遊離部を有しており、
前記吸汗シートの高さ方向の長さに対する、前記下端遊離部の高さ方向の長さ割合が、10%以上95%以下、より好ましくは20%以上50%以下、更に好ましくは25%以上40%以下である、前記<1>又は<2>に記載のホルダ。
<4>
前記吸汗シートは、前記高さ方向の上端側及び下端側に、前記ホルダ本体に固定されていない上端有利部及び下端遊離部を有しており、
前記下端遊離部と重なる伸縮部の伸縮応力に対する、前記上端遊離部と重なる伸縮部の伸縮応力の比が110%以上200%以下、より好ましくは120%以上180%以下である、前記<1>~<3>のいずれか一に記載のホルダ。
【0065】
<5>
前記ホルダ本体は、前記高さ方向に、前記周方向に沿う伸長応力が低い低伸縮領域と該周方向に沿う伸長応力が前記低伸縮領域よりも高い高伸縮領域とを有し、
前記遊離部と重なる伸縮部が、前記高伸縮領域となっている、前記<1>~<4>のいずれか一に記載のホルダ。
<6>
前記低伸縮領域の伸長応力に対する前記高伸縮領域の伸長応力の比が、110%以上 250%以下、好ましくは120%以上200%以下、より好ましくは130%以上180%以下である、前記<5>に記載のホルダ。
<7>
外表面を形成する外層シートと該外層シートの内面側に配された内層シートとを有するホルダ本体を備え、
前記吸汗シートは、前記高さ方向の上端側に前記遊離部を備えており、
前記外層シート及び前記内層シートの少なくとも一方は、伸縮性シートからなる、前記<1>~<6>のいずれか一に記載のホルダ。
<8>
前記遊離部と重なる伸縮部が、前記外層シート及び前記内層シートのうちの、前記伸縮性シートからなる少なくとも一方のシートが、肌対向面側に折り返された折り返し部分である、前記<7>に記載のホルダ。
<9>
前記吸汗シートは、前記折り返し部分の下端の上下に跨っている、前記<7>又は<8>に記載のホルダ。
【0066】
<10>
外表面を形成する外層シートと該外層シートの内面側に配された内層シートとを有するホルダ本体を備え、
前記吸汗シートは、前記上端側及び前記下端側のうち、少なくとも前記下端側に前記遊離部を備えており、
前記ホルダ本体は、前記周方向に沿って配された複数本の弾性部材を有する高弾性伸縮領域を有し、前記下端側の前記遊離部と重なる伸縮部が、前記高弾性伸縮領域である、請求前記<1>~<9>のいずれか一に記載のホルダ。
<11>
前記ホルダ本体において、前記吸汗シートが固定されている領域の少なくとも一部は、前記遊離部と重なる領域に比較してシートの積層数が少ない、前記<1>~<10>のいずれか一に記載のホルダ。
<12>
前記ホルダ本体において、前記吸汗シートが固定されている領域の少なくとも一部は、前記遊離部と重なる領域に比較して坪量が小さい、前記<1>~<11>のいずれか一に記載のホルダ。
<13>
前記ホルダ本体の前記遊離部と重なる領域の坪量に対する、前記ホルダ本体の前記吸汗シートが固定されている領域の坪量の比率が、0.2以上0.95以下、好ましくは0.35以上0.8以下、より好ましくは0.5以上0.7以下である、前記<12>に記載のホルダ。
<14>
前記ホルダ本体と前記吸汗シートは間欠的に固定されている、前記<11>~<13>のいずれか一に記載のホルダ。
【符号の説明】
【0067】
1ホルダ
F 腹側部
R 背側部
2 ホルダ本体
3 外層シート
30 折り返し部
4 内層シート
5 弾性部材
6 ホルダ側止着構造
60 接合手段
8 吸汗シート
S 接合部
HD ホルダの高さ方向
CD ホルダの周方向
10 使い捨ておむつ(セパレートタイプの吸収性物品)
11 吸収性パッド
16 パッド側止着構造