(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171910
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】産業機器導入支援装置、産業機器導入支援方法および産業機器導入支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089232
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 義博
(72)【発明者】
【氏名】高月 宏明
(72)【発明者】
【氏名】野本 悦子
(72)【発明者】
【氏名】木田 成郁
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 弘貴
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB55
5L049BB55
(57)【要約】
【課題】産業機器を導入する際に、初期段階であってもユーザが必要なコストを把握することができる産業機器導入支援装置、産業機器導入支援方法、産業機器導入支援システムを提供することができる。
【解決手段】ユーザが産業機器の導入に関する条件として入力した第1の条件を取得する条件取得部11と、第1の条件に沿った過去の見積結果を抽出する見積結果算出部12と、ユーザに提示するために、見積結果を抽象化する抽象化部13と、を備える産業機器導入支援装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが産業機器の導入に関する条件として入力した第1の条件を取得する条件取得部と、
前記第1の条件に沿った過去の見積結果を抽出する見積結果算出部と、
ユーザに提示するために、前記見積結果を抽象化する抽象化部と、
を備える産業機器導入支援装置。
【請求項2】
前記抽象化部は、複数の過去の見積結果をまとめることで抽象化する請求項1に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項3】
前記抽象化部は、複数の過去の見積結果の金額を平均化または相対値化することでまとめる請求項2に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項4】
前記抽象化部は、まとめた見積結果を散布図とする請求項2に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項5】
前記散布図は、予め定められた指標に対する金額を表す請求項4に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項6】
前記予め定められた指標は、前記産業機器の仕様または前記産業機器の納期である請求項5に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項7】
前記第1の条件は、産業機器に対してユーザが考える課題を入力した結果である請求項1に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項8】
前記産業機器は、圧縮機であり、
前記第1の条件は、ユーザが、圧縮機に対する前記課題として、予め定められたものから選択した結果である請求項7に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項9】
ユーザのユーザ登録を行うとともに、前記産業機器の説明を行う説明員と面会するための情報を登録する登録部をさらに備える請求項1に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項10】
前記見積結果算出部は、説明員と面会することでさらに入力した第2の条件に基づき、抽象化を行わない見積結果を求める請求項9に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項11】
前記第2の条件は、前記産業機器の設置に対し必要な条件を含む請求項10に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項12】
前記産業機器は、圧縮機であり、
前記見積結果算出部は、抽象化を行わない見積結果を、圧縮機容量に対する金額を表す散布図とする請求項10に記載の産業機器導入支援装置。
【請求項13】
プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、
ユーザが産業機器の導入に関する条件として入力した第1の条件を取得し、
前記第1の条件に沿った過去の見積結果を抽出し、
ユーザに提示するために、前記見積結果を抽象化する、
産業機器導入支援方法。
【請求項14】
ユーザが産業機器に対し要求する条件を入力するユーザ側端末装置と、
前記条件に基づき、ユーザに提示するための見積結果を求める産業機器導入支援装置と、
を備え、
前記産業機器導入支援装置は、
ユーザが、前記ユーザ側端末装置にて、産業機器の導入に関する前記条件として入力した第1の条件を取得する条件取得部と、
前記第1の条件に沿った過去の見積結果を求める見積結果算出部と、
ユーザに提示するために、抽出した過去の前記見積結果を抽象化する抽象化部と、
抽象化した前記見積結果を、前記ユーザ側端末装置に対し出力する出力部と、
産業機器導入支援システム。
【請求項15】
前記産業機器の説明を行う説明員と面会する際に、前記産業機器の設置に対し必要な条件を含む第2の条件を入力する説明員側端末装置をさらに備え、
前記見積結果算出部は、前記第2の条件に基づき、抽象化を行わない見積結果を求める請求項14に記載の産業機器導入支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機器導入支援装置、産業機器導入支援方法、産業機器導入支援システムに関する。本発明は、特に、ユーザが産業機器を導入する際に見積結果をユーザに提示することができる産業機器導入支援装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが、圧縮機などの産業機器を購入・交換する際には、本体価格だけでなく、工事費、機器構成・周辺機器のバリエーション等についても考慮する必要がある。
【0003】
特許文献1には、塗装見積サーバは、見積対象の建築物の延べ床面積を含む見積必要情報をユーザ装置から受信し、その延べ床面積に基づいて、塗装面積を推定する。その後、塗装見積サーバは、推定した塗装面積に基づいて、塗装費用の見積額を算出し、その見積額を含む情報をユーザ装置に対して送信する。
特許文献2には、複数のデータベースが格納された記憶装置と、見積要求を受けて見積作成処理を行うプロセッサと、を備える見積自動出力装置について記載されている。複数のデータベースは、既設エレベータに関する既設仕様項目が顧客識別情報に関連付けられた顧客情報データベースと、モダニゼーションに関連する費用が仕様項目ごとに規定された価格情報データベースと、定型の説明事項が仕様項目に対応付けられたメッセージ情報データベースと、を含む。見積作成処理において、プロセッサは、顧客情報データベースから既設仕様項目を取得し、価格情報データベースから標準仕様項目及び付加仕様項目の費用を算出し、メッセージ情報データベースから説明事項を取得し、これらの情報を含む見積書を顧客端末装置へ出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-84879号公報
【特許文献2】特開2022-15243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
産業機器では、一般的な家電と異なり、産業機器の設置の際の工事費や機器構成・周辺機器のバリエーションによるコストが、設置環境に大きく依存する。そのため、標準化が難しく、現場確認がほぼ必須である。そのため、ユーザは、このような内容が不明である初期段階で最終的に必要なコストがイメージしづらい。一方、他のユーザによる過去の見積結果などを直接開示することは秘密保持の観点から困難である。
本発明は、産業機器を導入する際に、初期段階であってもユーザが必要なコストを把握することができる産業機器導入支援装置、産業機器導入支援方法、産業機器導入支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため本発明は、ユーザが産業機器の導入に関する条件として入力した第1の条件を取得する条件取得部と、第1の条件に沿った過去の見積結果を抽出する見積結果算出部と、ユーザに提示するために、見積結果を抽象化する抽象化部と、を備える産業機器導入支援装置を提供する。この場合、産業機器を導入する際に、初期段階であってもユーザが必要なコストを把握することができる産業機器導入支援装置を提供できる。
【0007】
ここで、抽象化部は、複数の過去の見積結果をまとめることで抽象化することができる。この場合、産業機器を導入する際に必要なコストの精度がより高くなる。
また、抽象化部は、複数の過去の見積結果の金額を平均化または相対値化することでまとめることができる。この場合、複数の過去の見積結果をまとめるときの計算が容易になる。
さらに、抽象化部は、まとめた見積結果を散布図とすることができる。この場合、見積結果をユーザにわかりやすく提示することができる。
またさらに、散布図は、予め定められた指標に対する金額を表すようにできる。この場合、ユーザは必要なコストをより把握しやすくなる。
また、予め定められた指標は、産業機器の仕様または産業機器の納期にすることができる。この場合、ユーザは必要なコストをさらに把握しやすくなる。
さらに、第1の条件は、産業機器に対してユーザが考える課題を入力した結果にすることができる。この場合、第1の条件をより取得しやすくなる。
またさらに、産業機器は、圧縮機であり、第1の条件は、ユーザが、圧縮機に対する課題として、予め定められたものから選択した結果にすることができる。この場合、ユーザは、より簡単に第1の条件を入力できる。
そして、ユーザのユーザ登録を行うとともに、産業機器の説明を行う説明員と面会するための情報を登録する登録部をさらに備えることができる。この場合、ユーザは説明員からさらに詳しい情報を得る機会を得られる。
また、見積結果算出部は、説明員と面会することでさらに入力した第2の条件に基づき、抽象化を行わない見積結果を求めるようにできる。この場合、ユーザは、より高精度な見積結果を取得することができる。
さらに、第2の条件は、産業機器の設置に対し必要な条件を含むようにできる。この場合、より高精度な見積結果を算出するのに、必要な条件を得ることができる。
またさらに、産業機器は、圧縮機であり、見積結果算出部は、抽象化を行わない見積結果を、圧縮機容量に対する金額を表す散布図とすることができる。この場合、圧縮機についてユーザが、より知りたい見積結果とすることができる。
【0008】
また、本発明は、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、ユーザが産業機器の導入に関する条件として入力した第1の条件を取得し、第1の条件に沿った過去の見積結果を抽出し、ユーザに提示するために、見積結果を抽象化する、産業機器導入支援方法を提供する。この場合、産業機器を導入する際に、初期段階であってもユーザが必要なコストを把握することができる産業機器導入支援方法を提供できる。
【0009】
さらに、本発明は、ユーザが産業機器に対し要求する条件を入力するユーザ側端末装置と、条件に基づき、ユーザに提示するための見積結果を求める産業機器導入支援装置と、を備え、産業機器導入支援装置は、ユーザが、ユーザ側端末装置にて、産業機器の導入に関する条件として入力した第1の条件を取得する条件取得部と、第1の条件に沿った過去の見積結果を求める見積結果算出部と、ユーザに提示するために、抽出した過去の見積結果を抽象化する抽象化部と、抽象化した見積結果を、ユーザ側端末装置に対し出力する出力部と、産業機器導入支援システムを提供する。この場合、産業機器を導入する際に、初期段階であってもユーザが必要なコストを把握することができる産業機器導入支援システムを提供できる。
【0010】
ここで、産業機器の説明を行う説明員と面会する際に、産業機器の設置に対し必要な条件を含む第2の条件を入力する説明員側端末装置をさらに備え、見積結果算出部は、第2の条件に基づき、抽象化を行わない見積結果を求めるようにできる。この場合、説明員がユーザに合わせて聞き取った条件を第2の条件として取得できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、産業機器を導入する際に、初期段階であってもユーザが必要なコストを把握することができる産業機器導入支援装置、産業機器導入支援方法、産業機器導入支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態における産業機器導入支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】産業機器導入支援装置、端末装置のハードウェア構成について示した図である。
【
図3】産業機器導入支援装置の機能構成例について示したブロック図である。
【
図4】第1の実施形態における産業機器導入支援システムの動作について示した図である。
【
図5】(a)は、回答入力画面の例を示した図である。(b)は、出力画面について示した図である。
【
図6】まとめた見積結果を散布図にした場合について示した図である。
【
図7】抽象化部が、複数の見積結果の金額をまとめる手順を示したフローチャートである。
【
図8】(a)は、メールアドレス登録画面について示した図である。(b)は、説明員と面会するための情報として、面会希望日時を入力する面会希望日時入力画面を示した図である。抽象化を行わない見積結果として、産業機器を導入する際のプラン毎の累計年度コストを表示した場合を示した図である。
【
図9】(a)は、散布図により抽象化を行わない見積結果を表示した場合を示した図である。(b)は、(a)の散布図に対し圧縮機容量について限定した場合の見積結果を表示した場合を示した図である。
【
図10】(a)は、散布図により抽象化を行わない見積結果を表示した場合の他の例を示した図である。(b)は、(a)の散布図に対し圧縮機容量について限定した場合の見積結果を表示した場合を示した図である。
【
図11】第2の実施形態における産業機器導入支援システムの動作について示した図である。
【
図12】第3の実施形態における産業機器導入支援システムの動作について示した図である。
【
図13】第4の実施形態における産業機器導入支援システムの動作について示した図である。
【
図14】第5の実施形態における産業機器導入支援システムの動作について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0014】
<産業機器導入支援システム1の全体構成の説明>
図1は、本実施の形態における産業機器導入支援システム1の構成例を示す図である。
図示するように本実施の形態の産業機器導入支援システム1は、産業機器の見積結果を生成する産業機器導入支援装置10と、ユーザ側の端末装置である端末装置20a、20bと、産業機器の説明を行う説明員側の端末装置である端末装置30a、30bと、がネットワーク40を介し接続されている。
【0015】
産業機器導入支援装置10は、産業機器導入支援システム1の全体の管理をするサーバコンピュータである。産業機器導入支援装置10は、例えば、クラウド上でサービスを提供するクラウドサーバとすることができる。詳しくは後述するが、産業機器導入支援装置10は、ユーザに対し、産業機器の見積結果を提示するサービスを提供する。
なお、図示する産業機器導入支援装置10は、1つであるが、複数のサーバコンピュータによりその機能を実現してもよい。
【0016】
端末装置20a、20bは、ユーザ側端末装置の一例であり、ユーザが産業機器に対し要求する条件を入力する装置である。
端末装置30a、30bは、説明員側端末装置の一例であり、産業機器の説明を行う説明員が操作する端末である。説明員は、ユーザから産業機器に対し要求する条件としてさらに詳しい条件を取得し、これを端末装置30a、30bに入力する。説明員は、例えば、産業機器を販売、リース等するメーカや業者の従業員である。
なお、以下、端末装置20a、20bを区別しない場合は、単に「端末装置20」と言うことがある。また、以下、端末装置30a、30bを区別しない場合は、単に「端末装置30」と言うことがある。また、
図1では、端末装置20、30は、それぞれ2つずつ示しているが、その数は、1つ以上であればいくつであってもよい。
【0017】
端末装置20、30は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)、モバイルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット等のコンピュータ装置である。そして、端末装置20、30は、OS(Operating System)による管理下において、各種アプリケーションソフトウェアを動作させる。ユーザや説明員は、端末装置20、30で動作するアプリケーションソフトウェアを利用して、産業機器に対し要求する条件を入力する。そして、端末装置20、30は、産業機器導入支援装置10が生成した見積結果を表示する。
【0018】
ネットワーク40は、産業機器導入支援装置10、端末装置20および端末装置30の間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)である。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用してもよい。また、産業機器導入支援装置10、端末装置20および端末装置30は、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して接続されてもよい。
【0019】
<産業機器導入支援システム1の動作の概略説明>
産業機器導入支援システム1では、まず、ユーザが、端末装置20を使用して、産業機器の設置に関する第1の条件を入力する。第1の条件は、ユーザが産業機器に対して要求する概略的な条件である。ユーザは、端末装置20にてブラウザ等のアプリケーションソフトウェアを起動し、産業機器を販売、リース等するメーカや業者のホームページを開く。そして、このホームページにて、第1の条件を入力する。詳しくは後述するが、第1の条件は、ホームページにて産業機器の仕様などに関する質問が表示され、ユーザが、この質問に対し回答する対話形式により入力することができる。
そして、産業機器導入支援装置10は、過去の見積結果から第1の条件に沿ったものを抽出する。そして、見積結果を端末装置20に対し、送信する。ただし、詳しくは後述するが、この見積結果は、過去の見積結果を抽象化したものとなる。
ユーザは、抽象化した見積結果を端末装置20にて閲覧することができる。これにより、ユーザは、見積の対象となった産業機器を導入する際に、概略的ではあるが、どの程度の費用を要するかを把握することができる。そして、見積の対象となった産業機器に興味がある場合、ユーザ登録や説明員への面会の予約をすることができる。
ユーザが説明員と面会した場合、説明員は、ユーザから産業機器に関するさらに詳しい条件として第2の条件を聞き出し、端末装置30に入力する。詳しくは後述するが、第2の条件は、産業機器の設置に対して必要となる、より詳細な条件である。
そして、産業機器導入支援装置10は、第2の条件を加味して、さらに詳しい見積結果を算出し、端末装置30に対し、送信する。
ユーザや説明員は、詳細な見積結果を端末装置30にて閲覧することができる。これにより、ユーザや説明員は、見積の対象となった産業機器を導入する際に、どの程度の費用を要するかを詳細に把握することができる。
【0020】
<産業機器導入支援装置10、端末装置20および端末装置30のハードウェア構成>
図2は、産業機器導入支援装置10、端末装置20および端末装置30のハードウェア構成について示した図である。
なお、産業機器導入支援装置10、端末装置20および端末装置30のハードウェア構成は、同じであるので、産業機器導入支援装置10を例にとり、説明を行う。
図示する産業機器導入支援装置10は、プログラムの実行を通じて各部を制御するCPU(Central Processing Unit)101と、画像その他の情報を表示するディスプレイ102と、文字などを入力するキーボード103と、ポインティングデバイスであるタッチパッド104と、外部装置との通信に用いられる通信モジュール105と、システムデータや内部データが記憶される内部メモリ106と、補助記憶装置としての外部メモリ107等を有している。
【0021】
CPU101は、プロセッサの一例であり、OS(基本ソフトウェア)やアプリケーションソフトウェア(応用ソフトウェア)等のプログラムを実行する。
本実施の形態の場合、内部メモリ106と外部メモリ107は、半導体メモリである。内部メモリ106は、BIOS(Basic Input Output System)等が記憶されたROM(Read Only Memory)と、主記憶装置として用いられるRAM(Random Access Memory)とを有している。CPU101と内部メモリ106はコンピュータを構成する。CPU101は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。外部メモリ107は、HDDやSSD等のストレージであり、ファームウェアやアプリケーションソフトウェア等が記憶される。
【0022】
ディスプレイ102は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescent)ディスプレイで構成される。ディスプレイ102(すなわち表示面)には画像その他の情報が表示される。
【0023】
キーボード103は、ユーザが文字等を入力する際に使用する入力デバイスである。
タッチパッド104も入力デバイスであり、ディスプレイ102に表示されるカーソルの移動や画面のスクロールなどの際に用いられる、なお、タッチパッド104の代わりにマウスやトラックボール等であってもよい。
通信モジュール105は、外部との通信を行うための通信インタフェースである。
【0024】
<産業機器導入支援装置10の機能構成の説明>
次に、産業機器導入支援装置10の機能構成について説明する。
図3は、産業機器導入支援装置10の機能構成例について示したブロック図である。
産業機器導入支援装置10は、条件取得部11と、見積結果算出部12と、抽象化部13と、登録部14と、出力部15と、記憶部16とを有する。また、記憶部16は、入力-出力対応テーブル161と、セールスキット1stDB(データベース)162と、見積DB163と、ユーザDB164と、セールスキット2ndDB165とを備える。
【0025】
条件取得部11は、端末装置20から送信され、ユーザが産業機器の導入に関する条件として入力した第1の条件を取得する。第1の条件は、上述したようにユーザが産業機器に対して要求する概略的な条件である。そして、上述した、産業機器の仕様などに関する質問に対するユーザの回答(入力)と出力との関係は、入力-出力対応テーブル161に予め格納されている。条件取得部11は、この関係を第1の条件として扱うことができる。また、上述したように、ユーザが説明員と面会したときに、説明員は、ユーザから産業機器に関するさらに詳しい条件として第2の条件を、端末装置30に入力する。よって、条件取得部11は、端末装置30から送信され、ユーザが産業機器の設置に関する条件として入力した第2の条件を取得する、と言うこともできる。
【0026】
見積結果算出部12は、第1の条件に沿った過去の見積結果を抽出する。過去の見積結果は、見積DB163に格納されており、見積結果算出部12は、第1の条件に近い条件により作成された過去の見積結果を抽出する。また、上述したように、ユーザが説明員と面会したときに、第2の条件を加味して、さらに詳しい見積結果が作成される。よって、見積結果算出部12は、第2の条件を加味した、さらに詳しい見積結果を求める、と言うこともできる。
【0027】
抽象化部13は、ユーザに提示するために、見積結果を抽象化する。抽象化の方法について、詳しくは後述する。
登録部14は、ユーザのユーザ登録を行うとともに、産業機器の説明を行う説明員と面会するための情報を登録する。これらの情報は、ユーザDB164に登録される。
出力部15は、抽象化した見積結果を端末装置20に対し出力する。抽象化した見積結果は、端末装置20にて表示される。また、出力部15は、ユーザが説明員と面会したときに、さらに詳しい見積結果を端末装置30に対し出力する。さらに詳しい見積結果は、端末装置30にて表示される。
【0028】
<産業機器導入支援システム1の動作の詳細説明>
次に、産業機器導入支援システム1の動作の詳細な説明を行う。ここでは、産業機器導入支援システム1の動作の詳細な説明を第1の実施形態~第5の実施形態に分けて説明を行う。
【0029】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態として産業機器導入支援システム1の基本的な動作について説明する。
図4は、第1の実施形態における産業機器導入支援システム1の動作について示した図である。
図4の上側では、ユーザから第1の条件を取得し、これに対し抽象化した見積結果を提示するときの動作を示している。ここでは、この段階をセールスキット1stと称している。また、
図4の下側では、ユーザが説明員と面会し、ここで取得した第2の条件を基に、詳細な見積結果を提示するときの動作を示している。ここでは、この段階をセールスキット2ndと称している。
【0030】
セールスキット1stにおいて、ユーザは、抽象化した見積結果を閲覧することができる。以下、セールスキット1stについて説明する。
図4の上側で、回答入力画面および出力画面は、端末装置20のディスプレイ102にて表示される画面である。この場合、ユーザである顧客がブラウザ等のアプリケーションソフトウェアを使用し、回答入力画面が表示される。そして、ユーザは、回答入力画面の指示に従い、回答を入力する。産業機器導入支援装置10の条件取得部11は、入力されたユーザの回答を基に、入力-出力対応テーブル161を参照し、ユーザの回答(入力)に対する出力を求める。そして、これを産業機器導入支援装置10が端末装置20に送ると、端末装置20に出力画面として表示される。また、ユーザの回答(入力)と出力とは、第1の条件として、セールスキット1stDB162に格納される。
【0031】
図5(a)は、回答入力画面の例を示した図である。また、
図5(b)は、出力画面について示した図である。
図5(a)に示す回答入力画面では、「お困りごとは、なんでしょうか?」のメッセージとともに、ユーザの産業機器に求める複数の項目を表示している。なお、この場合、産業機器は、圧縮機である。そして、ユーザは、キーボード103やタッチパッド104等を使用して、1つの項目を選択する。ここでは、ユーザが、「一般的な工事なので油分を含む圧縮機でよいので、推奨タイプを知りたい」の項目を選択した場合を示している。この場合、第1の条件は、産業機器に対してユーザが考える課題を入力した結果である、と言うことができる。また、第1の条件は、ユーザが、圧縮機に対する課題として、
図5に示すように、予め定められたものから選択した結果である、と言うこともできる。
図5(b)は、これに対して推奨タイプを出力画面として表示した場合を示している。この場合、推奨タイプの特徴、容量のバリエーションについて表示している。推奨タイプの特徴としては、インバータ制御であることや制御方式などが表示される。また、容量のバリエーションとしては、シリーズ名などが表示される。
【0032】
図4に戻り、第1の条件を基に、産業機器導入支援装置10の見積結果算出部12が、同様の入力をしていた複数のユーザの最終的な見積結果を抽出する。そして、抽象化部13が、ユーザに提示するために、見積結果を抽象化する。より具体的には、見積結果算出部12は、見積DB163を参照し、回答の入力をしたユーザと「業種」や「困りごと」の選択結果が同様だった他のユーザの最終的な見積価格を抽出する。そして、抽象化部13は、複数の過去の見積結果をまとめることで抽象化する。この方法として、例えば、抽象化部13は、複数の過去の見積結果の金額を平均化または相対値化することでまとめる。また、抽象化部13は、まとめた見積結果を散布図にする。これは、一般的な価格帯の幅をイメージするものとなる。
【0033】
そして、抽象化した見積結果を産業機器導入支援装置10が端末装置20に送ると、この見積結果は、端末装置20に価格帯の幅出力画面として表示される。ユーザは、この見積結果を閲覧することができる。
【0034】
図6は、まとめた見積結果を散布図にした場合について示した図である。
図6で、横軸は、圧縮機容量を表し、縦軸は、抽象化した見積結果を最終見積として表す。図示した各点は、複数の見積結果の金額を平均化または相対値化したものである。散布図は、予め定められた指標に対する金額を表す。この場合、予め定められた指標は、例えば、産業機器の仕様である。産業機器の仕様は、例えば、
図5(a)でユーザが選択した「お困りごと」に合わせて決められる。ここでは、ユーザは、「お困りごと」として圧縮機の推奨タイプを選択しており、これに対応して
図6では、産業機器の仕様を、圧縮機容量としている。また、縦軸は、例えば、実際の見積金額を表示するのではなく、相対値として示す。例えば、予め定められた見積金額を1とし、これに対する相対値を表示する。
【0035】
図7は、抽象化部13が、複数の見積結果の金額をまとめる手順を示したフローチャートである。
まず、抽象化部13は、ユーザ(顧客)が入力したデータを取得する(S101)。これは、例えば、
図5(a)で示した「お困りごと」やユーザの業種が該当する。
次に、抽象化部13は、ユーザ(顧客)が入力したデータと同様のデータを入力した他のユーザの匿名IDを、ユーザDB164から読み出す(S102)。
さらに、抽象化部13は、匿名IDに対応する複数の見積データを、見積DB163から読み出す(S103)。
次に、抽象化部13は、複数の見積データをn個ごとにグループ分けし、それぞれについて見積金額の平均値をとる(S104)。nについては、予め定められ、例えば、n=5とすることができる。
そして、抽象化部13は、平均化した見積データの分布をプロットする(S105)。
さらに、抽象化部13は、分布プロットの目盛を相対値で表示する(S106)。
また、縦軸である見積金額は、相対値に限られるものではなく、絶対値で表示する方法もある。ただし、この場合も実際の見積金額を表示するのではなく、実際の見積金額の最大値、最小値、中央値などを表示するようにする。
【0036】
再び
図4に戻り、ユーザは、ユーザ登録を行うことができる。ユーザ登録は、例えば、メールアドレス登録画面(
図4では、メルアド登録画面として図示)を表示し、メールアドレス登録画面で表示される指示に従い、ユーザがメールアドレスなどの所定の情報を入力する。ユーザ登録は、登録部14が行い、ユーザが入力した情報は、ユーザDB164に格納される。
【0037】
図8(a)は、メールアドレス登録画面について示した図である。
このメールアドレス登録画面で、氏名、会社名、メールアドレスについてユーザが情報を入力し、登録ボタンを押下すると、ユーザ登録が完了する。
また、登録部14は、産業機器の説明を行う説明員と面会するための情報を登録する。
図8(b)は、説明員と面会するための情報として、面会希望日時を入力する面会希望日時入力画面を示した図である。
図示するように、面会希望日時入力画面では、希望日選択および希望開始時間の欄に対し、ユーザが、希望日および希望開始時間を入力し、決定ボタンを押下すると、面会希望日時が登録される。
【0038】
ユーザ登録を行い、説明員と面会する場合、セールスキット2ndに移行する。
セールスキット2ndにおいて、ユーザは、より具体的な見積結果を閲覧することができる。以下、セールスキット2ndについて説明する。
説明員と面会する場合、説明員は、ユーザからさらに詳しい情報を聞き出す。この情報は、詳細な見積結果を求めるために必要な情報である。この情報は、産業機器の設置に対し必要な条件を含む。この情報としては、例えば、周辺機器など産業機器に付加するオプション、騒音対策の有無、安全対策(インターロックをどうするかなど)などが該当する。また、この情報としては、例えば、産業機器を搬入する階、設置を行うときの時刻(昼間、夜間など)、搬入場所までの距離や経路など、設置のための工事費に関連した情報が該当する。
【0039】
これらの情報は、
図4の下側に示す回答入力画面にて入力され、セールスキット2ndDB165に格納される。また、説明員は、
図4に示すように、ユーザ(顧客)の要望を聞きながら、既存の回答項目にない内容を、テキスト入力画面にてテキストで入力・保存できる。入力した内容のうち、汎用性が高い項目は、回答の項目に追加することができる。
【0040】
入力された情報は、条件取得部11が、説明員と面会することでさらに入力した第2の条件として取得する。そして、見積結果算出部12が、第2の条件に基づき、抽象化を行わない見積結果を求める。そして、出力部15は、抽象化を行わない見積結果を端末装置20に対し出力する。この見積結果は、出力画面として端末装置30にて表示され、ユーザや説明員は、この見積結果を閲覧することができる。
【0041】
図8(c)は、推奨する機器と、その見積結果を、端末装置30にて表示した例を示している。
図8(c)の上側では、推奨する機器について外観と特徴を表示している。また、
図8(c)の下側では、抽象化を行わない見積結果として、産業機器を導入する際のプラン毎の累計年度コストを表示した場合を表示している。
図8(c)の見積結果で、横軸は、年度を表し、縦軸は、見積金額を表す。見積金額は、抽象化を行っていない実際の金額である。ここでは、プランとして、通常購入の場合、メンテパックを導入した場合、サブスク(サブスクリプション)の場合のそれぞれのプラン毎に累計年度コストを求めた結果を表示している。
【0042】
また、散布図により見積結果を表示することもできる。
図9(a)は、散布図により抽象化を行わない見積結果を表示した場合を示した図である。
図9(a)で、横軸は、圧縮機容量を表し、縦軸は、抽象化を行わない見積結果を最終見積として表す。この場合、散布図は、推奨機器の工事費、機器構成、周辺機器まで含めた価格分布を表す。
図9(b)は、
図9(a)の散布図に対し圧縮機容量について限定した場合の見積結果を表示した場合を示した図である。
圧縮機容量は、実際には、例えば、22kWおよび37kWのものがメインであるため、
図9(b)では、これらを対象とした見積結果を表示している。
【0043】
図10(a)は、散布図により抽象化を行わない見積結果を表示した場合の他の例を示した図である。
図10(a)で、横軸は、納期を表し、縦軸は、抽象化を行わない見積結果を最終見積として表す。この場合、散布図は、納期に対する価格分布を表す。
図10(b)は、
図10(a)の散布図に対し圧縮機容量について限定した場合の見積結果を表示した場合を示した図である。
図9(b)と同様に、圧縮機容量は、実際には、例えば、22kWおよび37kWのものがメインであるため、
図10(b)では、これらを対象とした見積結果を表示している。
【0044】
なお、
図4の下側に示すように、第2の条件のみならず、現場確認を行い、これにより見積結果を出すようにしてもよい。
また、
図9(b)、
図10(b)の場合、見積結果算出部12は、抽象化を行わない見積結果を、圧縮機容量に対する金額を表す散布図とする、と言うこともできる。
【0045】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の産業機器導入支援システム1の動作について説明する。第2の実施形態では、産業機器導入支援装置10が匿名化機能をさらに備える。
図11は、第2の実施形態における産業機器導入支援システム1の動作について示した図である。
以下、
図4と異なる点について説明を行う。
図11では、産業機器導入支援装置10は、記憶部16に匿名化ユーザDBをさらに備える。匿名化ユーザDBは、ユーザDB164に格納されたユーザの情報を基に、ユーザが匿名化され、ユーザの情報が格納される。匿名化は、例えば、ユーザIDだけにする、ニックネームにするなどの方法がある。
【0046】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態の産業機器導入支援システム1の動作について説明する。第3の実施形態では、セールスキット1stでユーザが複数回の入力を行う場合を想定する。
図12は、第3の実施形態における産業機器導入支援システム1の動作について示した図である。
以下、
図4と異なる点について説明を行う。
セールスキット1stにおいて、ユーザが端末装置20から、産業機器導入支援装置10を複数回利用する場合がある。このとき、産業機器導入支援装置10は、2回目以降では、ユーザDB164にて登録されたユーザの情報を基に、以前、ユーザが入力した、ユーザの回答結果やコメントを検索する。そして、この内容を端末装置20に表示したり、さらに詳しいコメントを作成することができる。これにより、以前、ユーザが入力した情報の活用を図れる。
【0047】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態の産業機器導入支援システム1の動作について説明する。第4の実施形態では、外部システムCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)DB(データベース)に存在する顧客管理データを利用する。
図13は、第4の実施形態における産業機器導入支援システム1の動作について示した図である。
以下、
図4と異なる点について説明を行う。
セールスキット1stやセールスキット2ndにおいて、産業機器導入支援装置10は、外部システムCRMDBの顧客管理データを参照し、顧客管理データを利用して、見積結果を作成する。
【0048】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態の産業機器導入支援システム1の動作について説明する。第5の実施形態では、セールスキット1stにおいて、納期に対する見積結果を表示する。
図14は、第5の実施形態における産業機器導入支援システム1の動作について示した図である。
以下、
図4と異なる点について説明を行う。
図14では、産業機器導入支援装置10は、記憶部16に納期DBをさらに備える。納期DBは、産業機器に対する過去の納期とこれに対応する見積結果が格納されており、見積結果算出部12は、この中から第1の条件に近い条件により作成された過去の見積結果を抽出する。そして、抽象化部13は、ユーザに提示するために、見積結果を抽象化する。出力部15は、抽象化した見積結果を端末装置20に対し出力する。抽象化した見積結果は、端末装置20にて表示される。これにより、例えば、
図6の横軸が、納期となった散布図が端末装置20に表示される。
【0049】
以上詳述した形態によれば、産業機器を導入する際に、初期段階であってもユーザが必要なコストを把握することができる産業機器導入支援装置10、産業機器導入支援方法、産業機器導入支援システム1を提供できる。また、ユーザがユーザ登録を行ったり、説明員に面談する際には、さらに詳細なコストを把握することができる。
【0050】
<産業機器導入支援方法の説明>
以上説明を行った産業機器導入支援装置10が行う処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。即ち、産業機器導入支援装置10に設けられたコンピュータ内部のプロセッサが、上述した各機能を実現するソフトウェア(プログラム)をメモリにロードして実行し、これらの各機能を実現させる。
よって、産業機器導入支援装置10が行う処理は、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、ユーザが産業機器の導入に関する条件として入力した第1の条件を取得し、第1の条件に沿った過去の見積結果を抽出し、ユーザに提示するために、見積結果を抽象化する、産業機器導入支援方法と捉えることができる。
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0051】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0052】
1…産業機器導入支援システム、10…産業機器導入支援装置、20、20a、20b、30、30a、30b…端末装置、11…条件取得部、12…見積結果算出部、13…抽象化部、14…登録部、15…出力部、16…記憶部