(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171913
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】繊維マットロール梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/672 20060101AFI20241205BHJP
B65D 71/00 20060101ALN20241205BHJP
B65D 71/04 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B65D85/672
B65D71/00 211
B65D71/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089270
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺平 怜央
【テーマコード(参考)】
3E037
3E067
【Fターム(参考)】
3E037AA05
3E037BA07
3E037BA10
3E037BC01
3E037BC02
3E037BC03
3E037CA05
3E067AA22
3E067AB99
3E067AC03
3E067AC12
3E067AC15
3E067BA08C
3E067BC03A
3E067DA03
3E067ED03
3E067FA01
3E067FC02
(57)【要約】
【課題】ロール状に巻き取られた複数本の繊維マットロールを集積した繊維マットロール梱包体であって、例えば、何れか1本の繊維マットロールを当該梱包体から取り出し、その他複数本の繊維マットロールを当該梱包体に留めて保管しておくという様な、繊維マットロール梱包体の部分的使用を行うことができる繊維マットロール梱包体を提供する。
【解決手段】横臥姿勢の状態で複数段及び/または複数列積み重ねられた複数本の繊維マットロール3・3・・・と、繊維マットロール3の両端部に被嵌される被嵌部材5・5と、複数本の繊維マットロール3・3・・・と被嵌部材5・5・・・とを一体に緊締する緊締部材7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横臥姿勢の状態で複数段及び/または複数列積み重ねられた複数本の繊維マットロールと、
前記繊維マットロールの両端部に被嵌される被嵌部材と、
前記複数本の繊維マットロールと前記被嵌部材とを一体に緊締する緊締部材と、を備える、
ことを特徴とする繊維マットロール梱包体。
【請求項2】
前記被嵌部材は、一側面が開口された矩形箱形状の部材からなる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の繊維マットロール梱包体。
【請求項3】
前記被嵌部材は、各々の前記繊維マットロールの両端部に被嵌される、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維マットロール梱包体。
【請求項4】
前記複数本の繊維マットロールを載置する基台を備え、
前記緊締部材は、前記基台とともに、前記複数本の繊維マットロールと前記被嵌部材とを一体に緊締する、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維マットロール梱包体。
【請求項5】
各々の前記繊維マットロールを被覆する被覆部材を備える、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維マットロール梱包体。
【請求項6】
前記被嵌部材の深さ寸法は、100mm以上700mm以下である、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維マットロール梱包体。
【請求項7】
前記被嵌部材の深さ寸法は、前記繊維マットロールの長さの0.1倍以上0.4倍以下である、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維マットロール梱包体。
【請求項8】
前記被嵌部材は、段ボール紙からなる、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維マットロール梱包体。
【請求項9】
一方に延びる断面視L字形状または円弧形状の部材からなり、前記複数本の繊維マットロールからなる集積体の、少なくとも上端部の縁部に沿って配置される補強部材を備える、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維マットロール梱包体。
【請求項10】
前記繊維マットロールは、ガラス繊維チョップドストランドマットがロール状に巻き取られたものである、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維マットロール梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻き取られた複数本の繊維マットロールを集積した繊維マットロール梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、繊維強化複合材の構成材料として、ガラス繊維チョップドストランドマットやガラス繊維コンティニュアスストランドマットのような繊維マットが、広範囲の用途で使用されている。
【0003】
ガラス繊維チョップドストランドマットは、主に以下の手順に従い作製される。
即ち、先ず始めに、数μm~数十μmの線径からなるガラス繊維を数十本~数百本集積してガラスストランドを作製し、作製されたガラスストランドを、カッター等の切断装置を用いて10mm~100mm程度の長さに切断してチョップドストランドとした後、得られた多数本のチョップドストランドを均一無方向に分散して、粉末ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂粉末を散布する。
そして、熱可塑性樹脂粉末が散布されたチョップドストランドを、加熱溶融した後にプレス冷却によって固化させることで、ガラス繊維チョップドストランドマットが作製される。
【0004】
一方、ガラス繊維コンティニュアスストランドマットは、主に以下の手順に従い作製される。
即ち、先ず始めに、ガラス溶融炉で溶解されたガラス素材を多数本引出しながら紡糸してガラスストランドを作製し、作製されたガラスストランドを不規則に配列させた後に、酢酸ビニル樹脂等のエマルジョンをバインダーとして塗布する。
そして、バインダーが塗布されたガラスストランドを乾燥工程で乾燥させることで、水分が蒸発して被膜が形成され、その後、プレス冷却によって固化させることで、ガラス繊維コンティニュアスストランドマットが作製される。
【0005】
これらのガラス繊維からなる繊維マットは、通常、1000mm~2000mm程度の幅寸法に形成され、最終的に、数十m~数百m程度の長さ分が芯管に複数回巻き取られて、ロール状の繊維マットロールに形成される。
そして、形成された繊維マットロールは、物流用のパレット(基台)上に複数本纏めて梱包され、所定の保管場所や出荷先等へと運搬される。
【0006】
ここで、複数の繊維マットロールの梱包形態の一例として、例えば特許文献1においては、基台と、繊維マットを巻き取った略円筒状のマットロール(繊維マットロール)と、緊締体(緊締部材)とを有し、基台上に複数本の繊維マットロールを略直立状態で集積して、緊締部材により一体に緊締して繊維マットロールの集積体を形成した、繊維マット梱包体(繊維マットロール梱包体)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1における繊維マットロール梱包体においては、基台上に略直立状態で集積された複数の繊維マットロールが、緊締部材によって纏めて緊締されているため、当該緊締部材を一度切断すると、複数の繊維マットロールは各々転倒して荷崩れを起こし、もはや繊維マットロール梱包体の形態を保持することが不可能である。
従って、例えば、何れか1本の繊維マットロールを当該梱包体から取り出し、その他複数本の繊維マットロールを当該梱包体に留めて保管しておくという様な、繊維マットロール梱包体の部分的使用を行うことが困難である。
【0009】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、ロール状に巻き取られた複数本の繊維マットロールを集積した繊維マットロール梱包体であって、例えば、何れか1本の繊維マットロールを当該梱包体から取り出し、その他複数本の繊維マットロールを当該梱包体に留めて保管しておくという様な、繊維マットロール梱包体の部分的使用を行うことができる繊維マットロール梱包体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、本発明の態様1に係る繊維マットロール梱包体は、横臥姿勢の状態で複数段及び/または複数列積み重ねられた複数本の繊維マットロールと、前記繊維マットロールの両端部に被嵌される被嵌部材と、前記複数本の繊維マットロールと前記被嵌部材とを一体に緊締する緊締部材と、を備えることを特徴とする。
このように、本発明に係る繊維マットロール梱包体においては、両端部に被嵌された被嵌部材を介して、複数本の繊維マットロールが予め横臥姿勢の状態で積み重ねられているため、緊締部材を切断した際に、これら複数本の繊維マットロールが直ちに荷崩れを起こして、繊維マットロール梱包体の形態が崩れるのを防止することができる。
従って、本発明に係る繊維マットロール梱包体によれば、前述したような、繊維マットロール梱包体の部分的使用を行うことが可能である。
また、繊維マットロールの両端部が被嵌部材で被嵌されることにより保護されているため、繊維マットロールを外部からの衝撃から保護することができるとともに、繊維マットロール梱包体の形態が崩れるのを抑制できる。
【0012】
また、本発明の態様2に係る繊維マットロール梱包体は、上記態様1において、前記被嵌部材は、一側面が開口された矩形箱形状の部材からなることを特徴とする。
このような構成を有することにより、予め開口された一側面を介して、繊維マットロールの両端部に被嵌部材を各々容易に被嵌させることができる。
【0013】
また、本発明の態様3に係る繊維マットロール梱包体は、上記態様1または上記態様2において、前記被嵌部材は、各々の前記繊維マットロールの両端部に被嵌されることを特徴とする。
ここで、従来の繊維マットロール梱包体においては、基台上に略直立状態で集積された複数の繊維マットロールが、互いに接触した状態となっており、たとえ各繊維マットロールがポリエチレン袋によって個別に被覆されていても、例えば運搬の途中で互いに隣接する繊維マットロール同士が擦れ合い、当該繊維マットロールの品質低下を引き起こす要因となる虞があった。
本発明に係る繊維マットロール梱包体においては、各繊維マットロールの両端部に被嵌部材を被嵌させた状態で、複数の繊維マットロールが積み重ねられるため、互いに隣接する繊維マットロールは、当該被嵌部材によって離間した状態で保持されることとなり、上記のような、互いに隣接する繊維マットロール同士が接触することで生じる、当該繊維マットロールの品質低下を防止することができる。
【0014】
また、本発明の態様4に係る繊維マットロール梱包体は、上記態様1または上記態様2において、前記複数本の繊維マットロールを載置する基台を備え、前記緊締部材は、前記基台とともに、前記複数本の繊維マットロールと前記被嵌部材とを一体に緊締することを特徴とする。
このような構成を有することにより、構築された繊維マットロール梱包体の形態を、より強固に保持することができる。
【0015】
また、本発明の態様5に係る繊維マットロール梱包体は、上記態様1または上記態様2において、各々の前記繊維マットロールを被覆する被覆部材を備えることを特徴とする。
このような構成を有することにより、例えば、構築された繊維マットロール梱包体を運搬する際において、互いに隣接する繊維マットロール同士が擦れ合うのを、被覆部材によって効果的に回避することができ、各繊維マットロールの品質低下を防止することができる。
【0016】
また、本発明の態様6に係る繊維マットロール梱包体は、上記態様1または上記態様2において、前記被嵌部材の深さ寸法は、100mm以上700mm以下であることを特徴とする。
このような構成を有することにより、繊維マットロールの両端部において、容易に脱落等することなく、各被嵌部材を確実に被嵌させることができる。
【0017】
また、本発明の態様7に係る繊維マットロール梱包体は、上記態様1または上記態様2において、前記被嵌部材の深さ寸法は、前記繊維マットロールの長さの0.1倍以上0.4倍以下であることを特徴とする。
このような構成を有することにより、繊維マットロールの長手方向中央部において、外部に露出させた領域を十分に確保しつつ、当該繊維マットロールの両端部に被嵌部材を被嵌させることができる。
従って、繊維マットロールを開梱する際においては、上記露出させた領域を介して、被嵌部材を容易に破砕等することができ、繊維マットロールの開梱作業を困難にすることなく、当該繊維マットロールの両端部を被嵌部材によって保護することができる。
【0018】
また、本発明の態様8に係る繊維マットロール梱包体は、上記態様1または上記態様2において、前記被嵌部材は、段ボール紙からなることを特徴とする。
このような構成を有することにより、より安価に被嵌部材を形成することができる。
【0019】
また、本発明の態様9に係る繊維マットロール梱包体は、上記態様1または上記態様2において、一方に延びる断面視L字形状または円弧形状の部材からなり、前記複数本の繊維マットロールからなる集積体の、少なくとも上端部の縁部に沿って配置される補強部材を備えることを特徴とする。
このような構成を有することにより、例えば基台上において、緊締部材による締付け力により上記集積体の形状が崩れるのを補強部材によって抑制しつつ、基台と集積体とを当該緊締部材によってより堅固に緊締することができる。
【0020】
また、本発明の態様10に係る繊維マットロール梱包体は、上記態様1または上記態様2において、前記繊維マットロールは、ガラス繊維チョップドストランドマットがロール状に巻き取られたものであることを特徴とする。
このような、ガラス繊維チョップドストランドマットからなる複数本の繊維マットロールを集積した繊維マットロール梱包体であっても、本発明に係る繊維マットロール梱包体によれば、前述したような、繊維マットロール梱包体の部分的使用を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る繊維マットロール梱包体によれば、例えば、何れか1本の繊維マットロールを当該梱包体から取り出し、その他複数本の繊維マットロールを当該梱包体に留めて保管しておくという様な、繊維マットロール梱包体の部分的使用を行うことができる。
また、繊維マットロールの両端部が被嵌部材で被嵌されることにより保護されているため、繊維マットロールを外部からの衝撃から保護することができるとともに、繊維マットロール梱包体の形態が崩れるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る繊維マットロール梱包体の全体的な構成を示した図であって、(a)はその正面図であり、(b)は
図1(a)中の矢視Xの方向に見た側面図である。
【
図2】繊維マットロール梱包体を構築する場合の手順を説明するための図であって、(a)は各繊維マットロールの両端部に被嵌部材を被嵌する際の状態を示した斜視図であり、(b)は基台上に配置された複数の繊維マットロールの所定位置に補強部材をセットした直後の状態を示した側面図であり、(c)は緊締部材によって複数の繊維マットロールを基台とともに緊締した直後の状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施形態について、
図1及び
図2を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、
図1及び
図2中に示した矢印の方向によって、繊維マットロール梱包体1の前後方向、左右方向、及び上下方向を規定して記述する。
【0024】
[繊維マットロール梱包体1の全体構成]
先ず、本実施形態における繊維マットロール梱包体1の全体構成について、
図1(a)(b)を用いて説明する。
【0025】
繊維マットロール梱包体1は、ロール状に巻き取られた複数本の繊維マットロール3・3・・・を、安定した形態に集積しつつ梱包したものである。
繊維マットロール梱包体1は、主に、基台2、繊維マットロール3、被覆部材4(
図2(a)を参照)、被嵌部材5、補強部材6、及び緊締部材7等を備える。
【0026】
基台2は、繊維マットロール梱包体1の基部となるものである。
基台2は、例えば木材、金属、合成樹脂、またはFRPなど、適宜選択される最適材料からなり、フォークリフトの運搬用の爪を挿入可能なパレット(荷役台)により構成されている。
【0027】
なお、基台2の構成については、本実施形態に限定されることはなく、例えば、複数本の繊維マットロール3・3・・・を複数列、且つ複数段に載置するのに十分な面積を有するとともに、これら複数本の繊維マットロール3・3・・・を堅固に支持可能な剛性を備えるものであれば、何れのような構成であってもよい。
【0028】
繊維マットロール3は、繊維マットロール梱包体1によって梱包される対象物であって、その一例として、例えば本実施形態においては、ロール状に巻き取られたガラス繊維チョップドストランドマットにより構成されている。
具体的には、繊維マットロール3は、芯管3aの外周面において、1000mm~2000mm程度(例えば、本実施形態においては約1400mm)の幅寸法に形成されたガラス繊維チョップドストランドマットを、数十m~数百m程度(例えば、本実施形態においては200m)の長さ分だけ、ロール状に巻き取ることにより構成される。
【0029】
なお、繊維マットロール3の製品種については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維コンティニュアスストランドマット等、ガラス繊維や樹脂繊維などからなる他の何れの繊維マットであってもよい。
【0030】
そして、後述するように、繊維マットロール3は、被覆部材4によって全体を覆われた後、両端部に被嵌部材5・5が被嵌され、横臥姿勢の状態で基台2上に載置される。
本実施形態においては、複数本の繊維マットロール3・3・・・が、基台2上に纏めて載置されており、これら複数本の繊維マットロール3・3・・・は、各々横臥姿勢の状態で、当該基台2上に複数段及び/または複数列(例えば、本実施形態においては、2段及び4列)積み重ねられて、繊維マットロール集積体100を構成している。
なお、上記繊維マットロール集積体100は、本発明に係る集積体の一例である。
【0031】
ここで、繊維マットロール集積体100は、上述したように、両端部に一対の被嵌部材5・5が被嵌された、複数本の繊維マットロール3・3・・・が、複数段及び/または複数列積み重ねられることにより、直方体状の繊維マットロール群として構築されたものを意味するが、当該「直方体状」とは、実質的に直方体状であることを表し、各面にわずかな凹凸を有していたり、或いは、実質的に面と捉えられる程度に湾曲していてもよい。
【0032】
また、本実施形態においては、複数本の繊維マットロール3・3・・・が基台2上に載置されているが、これに限定されることはなく、例えば1本の繊維マットロール3が基台2上に載置されていてもよい。
なお、繊維マットロール3が1本である場合、当該1本の繊維マットロール3が繊維マットロール集積体100となる。
【0033】
被覆部材4は、基台2上に載置される繊維マットロール3を被覆するものである。
被覆部材4は、例えば本実施形態においては、各繊維マットロール3を全体的に収容可能な、ポリエチレン製の袋体により構成されている。
【0034】
なお、被覆部材4の材質については、特に限定されることはなく、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、またはPE(ポリエチレン)など、何れのものであってもよい。
また、被覆部材4の形態についても、特に限定されることはなく、例えば、長尺状のストレッチフィルムや、シート状のシュリンクフィルムなど、何れの形態のものを用いてもよい。
【0035】
そして、基台2上に載置される各繊維マットロール3は、被覆部材4によって全体的に被覆された後、両端部に被嵌部材5・5が被嵌される。
【0036】
このように、本実施形態における繊維マットロール梱包体1においては、各々の繊維マットロール3を被覆する被覆部材4を備える構成となっている。
このような構成を有することにより、例えば、構築された繊維マットロール梱包体1を運搬する際において、互いに隣接する繊維マットロール3・3同士が擦れ合うのを、被覆部材4によって効果的に回避することができ、各繊維マットロール3の品質低下を防止することができる。
【0037】
被嵌部材5は、繊維マットロール3の両端部を保護するとともに、基台2上に積み重ねられた複数の繊維マットロール3・3・・・(即ち、繊維マットロール集積体100)の形態を保持するものである。
【0038】
被嵌部材5は、例えば一側面が開口された矩形箱形状の部材からなり、開口部5a(
図2(a)を参照)を介して、各々の繊維マットロール3の両端部に容易に被嵌可能な構成となっている。
また、本実施形態における被嵌部材5は、段ボール紙からなり、より安価に形成されたものとなっている。
【0039】
なお、本実施形態においては、各繊維マットロール3の両端部において、一対の被嵌部材5が各々被嵌される構成となっているが、これに限定されるものではない。
例えば、繊維マットロール集積体100(即ち、8本の繊維マットロール3・3・・・)の両端部において、一対の被嵌部材5が各々纏めて被嵌される構成であってもよく、また、2本の繊維マットロール3・3、或いは4本の繊維マットロール3・3・3・3の両端部において、一対の被嵌部材5が各々纏めて被嵌される構成であってもよい。
【0040】
また、被嵌部材5の素材についても、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、アクリルやプラスチックなど、運搬時の振動等に耐える程度の剛性を有した他の素材であってもよい。
【0041】
各被嵌部材5において、開口部5a側から見た内部側の断面形状は、繊維マットロール3の長手方向(軸方向)に見た断面形状に略外接する矩形状に設定されている。
また、各被嵌部材5における内部側の深さ寸法L1は、100mm以上700mm以下(例えば、本実施形態においては280mm)に設定されている(100mm≦L1≦700mm)。
各被嵌部材5の深さ寸法L1を上記範囲内に設定することにより、各繊維マットロール3の両端部において、容易に脱落等することなく、当該被嵌部材5を確実に被嵌させることができる。
【0042】
一方、上述したように、本実施形態における繊維マットロール3は、約1400mmの幅寸法からなる長尺のガラス繊維チョップドストランドマットが、ロール状に巻き取られることによって構成されており、当該繊維マットロール3の長さLは、約1400mmとなっている(L=1400mm)。
従って、各被嵌部材5における内部側の深さ寸法L1は、繊維マットロールの長さLに対して、0.1倍以上0.4倍以下(例えば、本実施形態においては0.2倍)に設定されている(0.1×L≦L1≦0.4×L)。
【0043】
また、各被嵌部材5における内側の幅寸法Wは、繊維マットロール3の直径Dよりも5mm以上50mm以下(例えば、本実施形態においては20mm)大きくなるように設定されている。
各被嵌部材5における内側の幅寸法Wを上記範囲内に設定することにより、各繊維マットロール3の両端部において、容易に脱落等することなく、当該被嵌部材5を確実に被嵌させることができる。
【0044】
このような構成を有することにより、各繊維マットロール3の長手方向中央部において、外部に露出させた領域を十分に確保しつつ、当該繊維マットロール3の両端部に被嵌部材を被嵌させることができる。
従って、各繊維マットロール3を開梱する際においては、上記露出させた領域を介して、被嵌部材5を容易に破砕等することができ、繊維マットロール3の開梱作業を困難にすることなく、当該繊維マットロール3の両端部を被嵌部材によって保護することができる。
また、被嵌部材5の材料コストを低減することができる。
【0045】
ところで、従来の繊維マットロール梱包体においては、基台2上に略直立状態で集積された複数の繊維マットロール3・3・・・が、互いに接触した状態となっており、たとえ各繊維マットロール3がポリエチレン袋等によって個別に被覆されていても、例えば運搬の途中で互いに隣接する繊維マットロール3・3同士が擦れ合い、当該繊維マットロール3の品質低下を引き起こす要因となる虞があった。
【0046】
本実施形態における繊維マットロール梱包体1においては、各繊維マットロール3の両端部に一対の被嵌部材5・5を被嵌させた状態で、複数の繊維マットロール3・3・・・が積み重ねられるため、互いに隣接する繊維マットロール3・3は、当該被嵌部材5によって離間した状態で保持されることとなり、上記のような、互いに隣接する繊維マットロール3・3同士が接触することで生じる、当該繊維マットロール3の品質低下を防止することができる。
【0047】
補強部材6は、複数本の繊維マットロール3・3・・・からなる繊維マットロール集積体100の縁部(稜線部)を補強するものである。
補強部材6は、例えば本実施形態においては、一方に延びる断面視L字形状の部材からなり、基台2上に載置された繊維マットロール集積体100に対して、当該繊維マットロール集積体100の、少なくとも上端部(本実施形態においては、上端部及び下端部)の縁部100aに沿って、各々配置される。
より具体的には、補強部材6は、最上段に配置される複数の繊維マットロール3・3・・・に被嵌された被嵌部材5・5・・・の上端部の縁部(繊維マットロール集積体100の上端部の縁部100aに相当)、及び最下段に配置される複数の繊維マットロール3・3・・・に被嵌された被嵌部材5・5・・・の下端部の縁部(繊維マットロール集積体100の下端部の縁部100bに相当)に沿って、各々配置される。
【0048】
そして、後述するように、繊維マットロール集積体100は、これら複数の補強部材6・6・・・が配置された状態で、緊締部材7によって基台2と緊締される。
このような構成を有することにより、基台2上において、緊締部材7による締付け力により繊維マットロール集積体100の形状が崩れるのを補強部材6によって抑制しつつ、基台2と繊維マットロール集積体100とを当該緊締部材7によってより堅固に緊締することができる。
【0049】
なお、補強部材6の形状については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、一方に延びる断面視円弧形状の部材からなる形状であってもよい(
図1(a)中の補強部材6Aを参照)。
【0050】
また、本実施形態においては、被嵌部材5と同等の素材である段ボール紙によって、補強部材6が形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、アクリルやプラスチックなど、緊締部材7の締付け力に対して、一定の剛性を有した素材であれば、何れの素材であってもよい。
【0051】
緊締部材7は、基台2上に載置された複数本の繊維マットロール3・3・・・(繊維マットロール集積体100)を、当該基台2とともに緊締し、繊維マットロール梱包体1の形態を保持するものである。
【0052】
緊締部材7は、例えばPP(ポリプロピレン製)バンド等からなり、基台2と、当該基台2上に載置される繊維マットロール集積体100とを纏めて拘束するようにして、巻き付けられる。
【0053】
このように、本実施形態においては、複数本の繊維マットロール3・3・・・を載置する基台2を備え、緊締部材7は、当該基台2とともに、複数本の繊維マットロール3・3・・・と、各繊維マットロール3に被嵌された一対の被嵌部材5・5とからなる繊維マットロール集積体100を、一体に緊締する構成となっている。
このような構成を有することにより、構築された繊維マットロール梱包体1の形態を、より強固に保持することができる。
【0054】
[繊維マットロール梱包体1の梱包方法]
次に、前述した繊維マットロール梱包体1の梱包方法について、
図2(a)(b)(c)を用いて説明する。
【0055】
先ず始めに、
図2(a)に示すように、作製された繊維マットロール3を、被覆部材4によって全体的に被覆し、その後、当該繊維マットロール3の両端部において、一対の被嵌部材5・5を各々被嵌させる。
【0056】
次に、
図2(b)に示すように、基台2上において、被嵌部材5が被嵌された複数本の繊維マットロール3・3・・・を、各々横臥姿勢の状態で複数段及び複数列(本実施形態においては、2段及び4列)積み重ね、繊維マットロール集積体100を構築する。
この際、最下段に位置する複数本(4本)の繊維マットロール3・3・・・は、繊維マットロール集積体100の下端部の縁部100bに沿って補強部材6を配置させた状態で、基台2上に配置される。
また、最上段に位置する複数本(4本)の繊維マットロール3・3・・・は、上記最下段の繊維マットロール3・3・・・の上面に積み上げられる。
【0057】
そして、上記最上段の繊維マットロール3・3・・・において、繊維マットロール集積体100の上端部の縁部100aに沿って補強部材6を配置した後、
図2(c)に示すように、緊締部材7によって、基台2上に載置された繊維マットロール集積体100を当該基台2とともに緊締する。
これにより、繊維マットロール梱包体1が構築され、当該繊維マットロール梱包体1における梱包方法が終了する。
【0058】
以上のように、本実施形態における繊維マットロール梱包体1は、横臥姿勢の状態で複数段及び/または複数列(本実施形態においては、2段及び4列)積み重ねられた複数本の繊維マットロール3・3・・・と、各繊維マットロール3の両端部に被嵌される被嵌部材5・5と、複数本の繊維マットロール3・3・・・と被嵌部材5・5・・・とを一体に緊締する緊締部材7と、を備える構成となっている。
【0059】
このように、本実施形態における繊維マットロール梱包体1においては、両端部に被嵌された被嵌部材5・5を介して、複数本の繊維マットロール3・3・・・が予め横臥姿勢の状態で積み重ねられているため、緊締部材7を切断した際に、これら複数本の繊維マットロール3・3・・・が直ちに荷崩れを起こして、繊維マットロール梱包体1の形態が崩れるのを防止することができる。
【0060】
従って、本実施形態における繊維マットロール梱包体1によれば、例えば、何れか1本の繊維マットロール3を当該繊維マットロール梱包体1から取り出し、その他複数本の繊維マットロール3・3・・・を当該繊維マットロール梱包体1に留めて保管しておくという様な、繊維マットロール梱包体1の部分的使用を行うことが可能である。
また、各繊維マットロール3・3・・・の両端部が被嵌部材5・5で被嵌されることにより保護されているため、各繊維マットロール3・3・・・を外部からの衝撃から保護することができるとともに、繊維マットロール梱包体1の形態が崩れるのを抑制できる。
【0061】
以上、本発明を具現化する一実施形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0062】
1 繊維マットロール梱包体
100 繊維マットロール集積体(集積体)
100a 上端部の縁部
2 基台
3 繊維マットロール
4 被覆部材
5 被嵌部材
6 補強部材
7 緊締部材
L 長さ
L1 深さ寸法