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  • 特開-流体圧アクチュエータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171915
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】流体圧アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/10 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
F15B15/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089273
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 信吾
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA18
3H081BB02
3H081BB03
3H081CC28
3H081DD07
3H081DD27
(57)【要約】
【課題】効率的に高い把持力の流体圧アクチュエータを得る。
【解決手段】流体圧アクチュエータ20は、流体の圧力に応じて膨張及び収縮する円筒状のチューブ24と、チューブ24の外周面を覆い、チューブ24の膨張によりチューブ24を軸方向への伸長を制限しながら径方向に拡げるスリーブ26と、スリーブ26の径方向の内側において、軸方向における一方側から他方側に延出配置され、軸方向に沿った圧縮に対して抵抗し、軸方向と交差する交差方向に湾曲可能である長尺の拘束部材28と、を備え、湾曲により、非湾曲時における前記軸方向と直交する方向に把持力を作用させる流体圧アクチュエータ20であって、拘束部材28の3点曲げにおける最大荷重は、把持力の最大出力が維持される範囲内に設定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の圧力に応じて膨張及び収縮する円筒状のチューブと、
前記チューブの外周面を覆い、前記チューブの膨張により前記チューブを軸方向への伸長を制限しながら径方向に拡げるスリーブと、
前記スリーブの径方向の内側において、前記軸方向における一方側から他方側に延出配置され、前記軸方向の圧縮に対して抵抗し、前記軸方向と交差する交差方向に湾曲可能である長尺の拘束部材と、
を備え、
湾曲により、非湾曲時における前記軸方向と直交する方向に把持力を作用させる流体圧アクチュエータであって、
前記拘束部材の3点曲げにおける最大荷重は、最大圧力印加時における前記把持力の最大出力が維持される範囲内に設定されている、
流体圧アクチュエータ。
【請求項2】
前記拘束部材は、ステンレス製とされている、
請求項1に記載の、流体圧アクチュエータ。
【請求項3】
前記拘束部材は、板状とされ、幅が2mm以上、20mm以下である、
請求項1に記載の、流体圧アクチュエータ。
【請求項4】
前記拘束部材は、板状とされ、厚みが0.1mm以上、3mm以下である、
請求項1に記載の、流体圧アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体圧アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状のチューブと、所定方向に配向された繊維コードを編み込んだ伸縮性を有する構造体であり、チューブの外周面を覆うスリーブと、を備える流体圧アクチュエータであって、スリーブの内側において、軸方向における一端側から他端側に亘って設けられる拘束部材が設けられ、拘束部材は、軸方向に沿った圧縮に対して抵抗し、軸方向に直交する直交方向に変形可能である流体圧アクチュエータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-088999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような流体圧アクチュエータにおいては、流体圧アクチュエータを構成する拘束部材、その他の部材の長さ、太さ等に応じて、効率よく高い把持力を得ることが重要である。
【0005】
本開示は、効率的に高い把持力の流体圧アクチュエータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の流体圧アクチュエータは、流体の圧力に応じて膨張及び収縮する円筒状のチューブと、前記チューブの外周面を覆い、前記チューブの膨張により前記チューブを軸方向への伸長を制限しながら径方向に拡げるスリーブと、前記スリーブの径方向の内側において、前記軸方向における一方側から他方側に延出配置され、前記軸方向の圧縮に対して抵抗し、前記軸方向と交差する交差方向に湾曲可能である長尺の拘束部材と、を備え、湾曲により、非湾曲時における前記軸方向と直交する方向に把持力を作用させる流体圧アクチュエータであって、前記拘束部材の3点曲げにおける最大荷重は、最大圧力印加時における前記把持力の最大出力が維持される範囲内に設定されている。
【0007】
湾曲により、非湾曲時における軸方向と直交する方向に把持力を作用させる流体圧アクチュエータにおいて、当該把持力は、チューブ内の流体圧力を大きくするに従って大きくなる。この把持力は、流体圧アクチュエータの長さやチューブ、スリーブ等の特性により、限界があり、最大圧力印加時における把持力の最大が一定の出力で維持される拘束部材の特性範囲があることが発見された。そこで、第一態様の流体圧アクチュエータは、拘束部材の3点曲げにおける最大荷重を、最大圧力印加時における把持力の最大出力が維持される範囲内に設定する。これにより、効率的に高い把持力の流体圧アクチュエータを得ることができる。
【0008】
第二態様の流体圧アクチュエータは、前記拘束部材は、ステンレス製とされている。
【0009】
拘束部材は、ステンレス製とすることにより、繰り返しの変形に対する耐性を高くすることができる。
【0010】
第三態様の流体圧アクチュエータは、前記拘束部材は、板状とされ、幅が2mm以上、20mm以下である。
【0011】
流体圧アクチュエータは、日用品等をつかむ人間の手に代わるロボットハンドに好適であり、この場合には、拘束部材を板状として、幅が2mm以上、20mm以下の範囲内で適切な流体圧アクチュエータを構成することができる。
【0012】
第四態様の流体圧アクチュエータは、前記拘束部材は、板状とされ、厚みが0.1mm以上、3mm以下である。
【0013】
流体圧アクチュエータは、日用品等をつかむ人間の手に代わるロボットハンドに好適であり、この場合には、拘束部材を板状として、厚みが0.1mm以上、3mm以下の範囲内で適切な流体圧アクチュエータを構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、流体圧アクチュエータに好適に用いられる拘束部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施形態に係る流体圧アクチュエータの平面図である。
図2】本開示の実施形態に係る流体圧アクチュエータの軸方向の一端側の分解斜視図である。
図3】本開示の実施形態に係る流体圧アクチュエータが動作する様子を説明する断面図である。
図4】本開示の流体圧アクチュエータの把持力測定の一例を示す図である。
図5】本開示の流体圧アクチュエータの最大把持力と拘束部材の3点曲げの最大荷重との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本開示の技術を実現する実施形態を詳細に説明する。
【0017】
なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。また、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0018】
<流体圧アクチュエータ20の構成>
図1には、本開示の実施形態に係る流体圧アクチュエータ20が示されている。流体圧アクチュエータ20は、アクチュエータ本体部22、第一封止部材30A、第二封止部材30Bを備えている。
【0019】
図1及び図2にも示されるように、アクチュエータ本体部22は、チューブ24、スリーブ26、及び拘束部材28を有している。チューブ24は、弾性変形による伸縮可能な円筒状であり、内部の流体の圧力変化によって膨張及び収縮する。チューブ24の軸方向を「軸方向S」とする。チューブ24は、ブチルゴムなどの弾性材料によって構成することができる。チューブ24へ供給する流体としては、空気を用いることができ、この場合には、流体圧アクチュエータ20は空気式アクチュエータとなる。なお、流体圧アクチュエータ20を油圧駆動とする場合には、耐油性が高いNBR(ニトリルゴム)、または水素化NBR、クロロプレンゴム、及びエピクロロヒドリンゴムからなる群より選択される少なくとも一種とすることが好ましい。
【0020】
スリーブ26は、チューブ24の外周を覆う円筒状とされている。スリーブ26は、所定方向に配向された繊維コードを編み込んだ伸縮性を有する構造体であり、配向されたコードが軸方向Sに対して所定の角度θで交差されている。スリーブ26は、このような形状を有することによって、角度θを変えるパンタグラフ変形し、チューブ24の収縮及び膨張を規制しつつこの収縮及び膨張に追従する。
【0021】
スリーブ26を構成するコードとしては、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)やポリエチレンテレフタラート(PET)の繊維コードを用いることが好ましい。但し、このような種類の繊維コードに限定されるものではなく、例えば、PBO繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)などの他の高強度繊維のコードでもよい。
【0022】
拘束部材28は、チューブ24とスリーブ26との間に設けられている。拘束部材28は、長尺板状とされ、長手方向がチューブ24の軸方向Sに沿うように配置され、チューブ24の外周の一部を覆い、チューブ24の一端から他端に渡って延出配置されている。
【0023】
拘束部材28は、加圧により膨張及び収縮のない長尺板状の材料で形成されており、端部同士が近づく方向に撓み変形可能とされている。拘束部材28としては、いわゆる、板バネ(leaf spring)を用いることができる。板バネの材料について、典型的には、ステンレス鋼などの金属など、撓み変形し易く、圧縮に強い材料であればよい。他に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の薄板などによって形成されてもよい。特に、ステンレス鋼を用いることにより、繰り返しの変形に対する耐性を高くすることができる。
【0024】
板バネの寸法は、流体圧アクチュエータ20のサイズや要求される把持力などに応じて決定される。本実施形態の流体圧アクチュエータ20は、日用品等をつかむ人間の手に代わるロボットハンドに好適である。人間の手に代わるロボットハンドとして利用する場合、拘束部材28の幅は2mm以上、20mm以下の範囲内、厚みは0.1mm以上、3mm以下の範囲内とすることにより、適切な流体圧アクチュエータ20を構成することができる。
【0025】
第一封止部材30Aは、封止コネクタ32、係止リング34、及び圧着部材36を有している。
【0026】
封止コネクタ32は、一体成形された蓋部32A、挿入部32B、係止部48、及び大径部50を有している。蓋部32Aは、チューブ24の外径よりも大径とされた略直方体状とされ、蓋部32Aの一端側の中央から、係止部48、大径部50及び挿入部32Bが軸方向Sに延出形成されている。
【0027】
挿入部32Bは、所謂タケノコ形状とされ、スリーブ26の内側のチューブ24の一端側に挿入される部分である。
【0028】
係止部48は、挿入部32Bにおける軸方向Sの他端側において蓋部32A及び挿入部32Bよりも縮径された円筒形状の部分である。大径部50は、係止部48の軸方向Sの一端側において、係止部48及びチューブ24の内径よりも大径とされた部分である。
【0029】
第一封止部材30Aとしては、ステンレス鋼などの金属を好適に用い得るが、このような金属に限定されず、硬質プラスチック材料などを用いてもよい。
【0030】
また、挿入部32Bの径方向中央部に軸方向Sに延出形成されると共に、蓋部32Aの側面の接続孔Hと連通されている流路Rを有している。接続孔Hには、図示しない空気供給ホースが接続され、圧縮空気が流路Rに供給される。
【0031】
係止リング34は、リング状とされ、係止部48との間にスリーブ26を挟み込むように、スリーブ26の外側に配置され、スリーブ26を封止コネクタ32に係止する。スリーブ26は、係止リング34を介して外周へ折り返される。係止リング34としては、金属、硬質プラスチックや、繊維、ゴムなどの材料を用いることができる。
【0032】
圧着部材36は、アクチュエータ本体部22の外周で挿入部32Bが挿入された部分を覆うように配置され、アクチュエータ本体部22を封止コネクタ32に圧着する。これにより、アクチュエータ本体部22は、封止コネクタ32に固定される。圧着部材36としては、アルミニウム合金、真鍮、及び鉄などの金属を用いることができる。
【0033】
第二封止部材30Bは、封止コネクタ33、係止リング34、及び圧着部材36を有している。封止コネクタ33は、接続孔H及び流路Rは形成されておらず、先端がR形状とされていることを除いては、第一封止部材30Aの封止コネクタ32と同様である。
【0034】
続いて、本実施形態における流体圧アクチュエータ20の組み立て手順を説明する。
【0035】
<流体圧アクチュエータ20の組み立て>
図2及び図6に示すように、本実施形態における流体圧アクチュエータ20の一端側では、第一封止部材30Aとアクチュエータ本体部22とが、次の様に組み立てられる。
【0036】
まず、第一封止部材30Aの挿入部32Bを、チューブ24の一端が大径部50に突き当たるまで挿入する。次に、拘束部材28を、チューブ24を介して挿入部32Bの外側に配置する。なお、拘束部材28を配置する周方向の位置は、後述するようにアクチュエータ本体部22が曲がる方向(軸方向Sと直交する方向)の外側とされる。
【0037】
次に、スリーブ26をチューブ24及び第一封止部材30Aの蓋部32Aに掛けながら拘束部材28の外周面を覆い、係止リング34をスリーブ26の径方向外側から、係止部48の位置で取付けることによって、スリーブ26を係止部48に係止する。
【0038】
次に、スリーブ26を、係止リング34が内側となるように第一封止部材30Aの挿入部32Bまで折り返し、圧着部材36を、スリーブ26の径方向外側から、挿入部32B及び係止部48に亘るように配置し、図示しない圧着機によって圧着する。これにより、アクチュエータ本体部22の軸方向Sの一方側において、チューブ24、拘束部材28及びスリーブ26が第一封止部材30Aに固定される。
【0039】
次に、チューブ24、スリーブ26、及び拘束部材28の軸方向Sの他方側において、拘束部材28を大径部50と接触させて配置し、第二封止部材30Bの挿入部32Bをチューブ24の軸方向Sの他方側に挿入する。そして、スリーブ26でチューブ24及び第二封止部材30Bの蓋部32Aに掛けながら拘束部材28の外周面を覆い、係止リング34をスリーブ26の径方向外側から、係止部48の位置で取付けることによって、スリーブ26を係止部48に係止する。
【0040】
次に、スリーブ26を、係止リング34が内側となるように第二封止部材30Bの挿入部32Bまで折り返し、圧着部材36を、スリーブ26の径方向の外側から、挿入部32B及び係止部48に亘るように配置し、図示しない圧着機によって圧着する。これにより、アクチュエータ本体部22の軸方向Sの他方側において、チューブ24、拘束部材28及びスリーブ26が第二封止部材30Bに固定される。
【0041】
以上の手順によりチューブ24の一方側及び他方側が第一封止部材30A及び第二封止部材30Bに封止されることによって、流体圧アクチュエータ20が組み立てられる。
【0042】
続いて、本開示における流体圧アクチュエータ20の動作を説明する。
【0043】
<流体圧アクチュエータ20の動作>
図3に示されるように、流体圧アクチュエータ20は、一端側の第一封止部材30Aが固定され、他端側の第二封止部材30Bが自由端となるようにして使用される。
【0044】
接続孔Hから圧縮空気を流入させると、流体圧アクチュエータ20内の圧力が上昇する。内圧上昇により、チューブ24が弾性変形して膨張し、スリーブ26は角度θが大きくなるようにパンタグラフ変形し、アクチュエータ本体部22の長さが短縮する方向に力が作用する。このとき、アクチュエータ本体部22の拘束部材28が配置された外周側壁は短縮が規制されているため、アクチュエータ本体部22は、軸方向Sから見て拘束部材28が配置されていない側の外周壁が短縮する。これにより、拘束部材28が撓み変形し、図3における二点鎖線で示されるように、アクチュエータ本体部22の全体が湾曲する。
【0045】
この湾曲により非湾曲時における軸方向Sと直交するX方向に作用する力を把持力Fとする。この把持力Fは、例えば、図4に示すように、力センサ60により測定することができる。力センサ60には、力受部62、移動脚部64が設けられている。移動脚部64は、上下方向に可動とされている。流体圧アクチュエータ20の先端で力受部62を押圧するようにすることで、把持力Fを計測することができる。
【0046】
ここで、流体圧アクチュエータ20の把持力と拘束部材28の曲げ特性について説明する。流体圧アクチュエータ20の把持力Fの最大出力である最大把持力は、流体圧アクチュエータ20の長さ、チューブ24、スリーブ26、拘束部材28の特性、印加する圧力等に依存する、当該流体圧アクチュエータ20における把持力Fが最大となるときのものである。使用可能な最大圧力Pmaxを印加したときに把持力が最大になり、その時の把持力が最大把持力になる。ここでの最大圧力Pmaxは、流体圧アクチュエータ20予め要求される把持力Fに応じて設定される。流体圧アクチュエータ20の長さ、太さ、チューブ24、スリーブ26等の、拘束部材28以外の条件を同一にした場合、拘束部材28の3点曲げの最大荷重と、流体圧アクチュエータ20の最大把持力との間には、図5のグラフに示される関係があることがわかった。
【0047】
A領域では、最大把持力は、拘束部材28の3点曲げの最大荷重に比例して大きくなる。これは、A領域の拘束部材28では、流体圧アクチュエータ20の把持力Fがある値になると、拘束部材28が座屈してしまい、この座屈する時の把持力Fが最大把持力となるためである。
【0048】
B領域では、印加圧力の増加に伴い把持力が大きくなり、最大圧力Pmax印加時の最大把持力が、拘束部材28の3点曲げの最大荷重に係わらず、一定の値を維持する。
【0049】
C領域では、拘束部材28の3点曲げの最大荷重が大きくなると、3点曲げの最大荷重の増加と共に最大把持力が減少する。これは、最大圧力Pmax印加時に、流体圧アクチュエータ20の長さや太さに応じた湾曲に、拘束部材28が追従できなくなるためであると考えられる。すなわち、拘束部材28が硬く、把持力Fが制限されてしまうためである。
【0050】
そこで、本実施形態では、拘束部材28の3点曲げにおける最大荷重を、最大把持力が一定に維持される範囲内に設定する。これにより、流体圧アクチュエータ20において、効率的に把持力を最大出力とすることができる。
【0051】
なお、上記の3点曲げの最大荷重は、サンプルの拘束部材28を長手方向の中心の上方向からの1点と、この1点から長手方向に等距離の下方向からの2点で曲げ、サンプルの拘束部材28が弾性変形する限界値の荷重である。
【0052】
<作用及び効果>
続いて、本開示に係る流体圧アクチュエータ20による作用及び効果を説明する。
【0053】
本実施形態の流体圧アクチュエータ20によれば、拘束部材28の3点曲げにおける最大荷重を、最大把持力が一定に維持される範囲内に設定する。これにより、流体圧アクチュエータ20において、効率的に把持力を最大出力とすることができる。
【0054】
また、拘束部材28として、ステンレス鋼を用いることにより、繰り返しの変形に対する耐性を高くすることができる。
【0055】
また、拘束部材28の幅は2mm以上、20mm以下の範囲内、厚みは0.1mm以上、3mm以下の範囲内とするので、人間の手に代わるロボットハンドとして、好適である。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0057】
20 流体圧アクチュエータ
24 チューブ
26 スリーブ
28 拘束部材
図1
図2
図3
図4
図5