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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171918
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】トリガー式吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20241205BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20241205BHJP
   B05B 11/10 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D47/34 100
B05B11/00 102Z
B05B11/10 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089278
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB03
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】引込み操作の開始時点での操作荷重を軽減したトリガー式吐出器を提供する。
【解決手段】容器体の口頸部へ装着され、前方開口のシリンダ12より上側に前方開口の吐出口17を配備した吐出器本体2と、シリンダ内を進退するピストン18と、ピストン18へ連繋させた連繋トリガー20と、連繋トリガー20を駆動させるための操作トリガー40とを具備する。連繋トリガー20は第1回転軸27を介して、また操作トリガー40は第2回転軸50を介して、シリンダ12の上側へそれぞれ軸着されている。操作トリガー40の操作により、操作トリガーの押圧部46が連繋トリガー20を押し込む。操作トリガー40は前記連繋トリガー20より長く、第2回転軸50を第1回転軸27の後方に配置することで、操作トリガー40の引込みに伴い、押圧部46が連繋トリガーの受面部28に摺接しつつ第1回転軸27から離れる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口頸部へ装着され、前方開口のシリンダ(12)を有するとともにこのシリンダ(12)より上側に前方開口の吐出口(17)を配備した吐出器本体(2)と、
前記シリンダ(12)内を進退するピストン(18)と、
前記ピストン(18)へ連繋させ、かつ前方付勢された連繋トリガー(20)と、
この連繋トリガー(20)を駆動させるための操作トリガー(40)と、を具備し、
前記連繋トリガー(20)は第1回転軸(27)を介して、また前記操作トリガー(40)は第2回転軸(50)を介して、それぞれ軸着されており、かつ、前記操作トリガー(40)の後方引込み操作により、その操作トリガー(40)の長手方向の一部に配備した押圧部(46)が、前記連繋トリガー(20)を後方へ押し込むように設けたトリガー式吐出器において、
前記連繋トリガー(20)の長手方向の一部に前記押圧部(46)が摺接可能な受面部(28)を設け、
前記第2回転軸(50)を前記第1回転軸(27)の後方に配置することにより、前記操作トリガー(40)を後方に引き込むに伴い、前記押圧部(46)が前記受面部(28)に摺接しつつ前記第1回転軸(27)から離れるように形成したことを特徴とする、トリガー式吐出器。
【請求項2】
前記吐出器本体(2)を上側から覆うカバー部材(30)を具備し、このカバー部材(30)の頂壁部(32)に、前記第2回転軸(50)を受持するための軸受部(34)を形成しており、
上方から見て、前記シリンダ(12)より前側に前記第1回転軸(27)を、また前記シリンダ(12)より後側に前記第2回転軸(50)をそれぞれ配置したことを特徴とする、請求項1に記載のトリガー式吐出器。
【請求項3】
前記頂壁部(32)は、上段部(32a)から段差部(32c)を介して当該上段部(32a)より後方に位置する下段部(32b)へ連続しており、前記段差部(32c)には、前記軸受部(34)として、前記第2回転軸(50)を着脱自在に収容する軸受凹部が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載のトリガー式吐出器。
【請求項4】
上方から見て、前記操作トリガー(40)の長手方向の基半部(40a)に、前記吐出器本体(2)の前部を挿通させるための挿通窓(44)が開口されており、前記押圧部(46)として、前記挿通窓(44)の下端部である押圧端部が形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のトリガー式吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のトリガー式吐出器として、前方開口のシリンダ及びこのシリンダの上方に前後方向に配置された射出筒部を有する吐出器本体と、前記シリンダ内を前後方向へ進退するピストンと、射出筒部に枢着され、かつ、前記ピストンに連繋された連繋トリガーと、連繋トリガー及び射出筒部の間に形成された付勢手段と、連繋トリガーの前方へ配置され、かつ、射出筒に枢着された操作トリガーとを具備し、この操作トリガーを後方へ引き込むと、操作トリガーが連繋トリガーを後方へ押し込むものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-178443
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、操作トリガーの揺動中心を連繋トリガーの揺動中心より前に配置することにより、操作トリガーの回動量が連繋トリガーのそれより大きくなる旨を開示している。操作トリガーの仕事量と連繋トリガーの仕事量は略同等であるため、回転量の大きい操作トリガーに作用する力が、連繋トリガーに作用する力より小さくなり、操作トリガーの後方への操作力が低減すると教示している(同文献の段落0007)。
しかしながら、この方法では、操作トリガーの引込み操作の開始時点での操作荷重を軽減できず、なお、改善の余地がある。また既存の吐出器の組立設備は仕様が確立しているため、トリガーの形状を変更してトリガーの支点の設定を変える自由度が少ない。
【0005】
本発明の第1の目的は、トリガー操作の開始時点での操作荷重を軽減したトリガー式吐出器の提供であり、第2の目的は、トリガーの支点の設定の自由度を大とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器体の口頸部へ装着され、前方開口のシリンダ12を有するとともにこのシリンダ12より上側に前方開口の吐出口17を配備した吐出器本体2と、
前記シリンダ12内を進退するピストン18と、
前記ピストン18へ連繋させ、かつ前方付勢された連繋トリガー20と、
この連繋トリガー20を駆動させるための操作トリガー40と、を具備し、
前記連繋トリガー20は第1回転軸27を介して、また前記操作トリガー40は第2回転軸50を介して、それぞれ軸着されており、かつ、前記操作トリガー40の後方引込み操作により、その操作トリガー40の長手方向の一部に配備した押圧部46が、前記連繋トリガー20を後方へ押し込むように設けたトリガー式吐出器において、
前記連繋トリガー20の長手方向の一部に前記押圧部46が摺接可能な受面部28を設け、
前記第2回転軸50を前記第1回転軸27の後方に配置することにより、前記操作トリガー40を後方に引き込むに伴い、前記押圧部46が前記受面部28に摺接しつつ前記第1回転軸27から離れるように形成した。
【0007】
本手段では、図1(A)に示す如く、吐出器本体2のシリンダ12内を進退するピストン18にピストン18へ連繋させた連繋トリガー20と、この連繋トリガー20を駆動させるための操作トリガー40とを具備する。
前記連繋トリガー20は第1回転軸27を介して、また前記操作トリガー40は第2回転軸50を介して、それぞれ軸着されている。
その操作トリガー40の長手方向の一部に押圧部46が配備されており、操作トリガー40の引込み操作により、図3(B)に示す如く、連繋トリガー20を後方へ押し込む。
連繋トリガー20の長手方向の一部には押圧部46が摺接可能な受面部28を設ける。
そして、第2回転軸50を前記第1回転軸27の後方に配置させ、前記操作トリガー40を後方に引き込むに伴い、前記押圧部46が前記受面部28に摺接しつつ前記第1回転軸27から離れる(図3(A)及び図3(B)参照)。
この構造によれば、操作トリガーの引込み操作の開始時点での操作荷重を軽減することができる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記吐出器本体2を上側から覆うカバー部材30を具備し、このカバー部材30の頂壁部32に、前記第2回転軸50を受持するための軸受部34を形成しており、
上方から見て、前記シリンダ12より前側に前記第1回転軸27を、また前記シリンダ12より後側に前記第2回転軸50をそれぞれ配置した。
【0009】
本手段では、図1(A)に示す如く、前記吐出器本体2を上側から覆うカバー部材30を具備し、このカバー部材30の上面側に、前記第2回転軸50を受持するための軸受部34を形成した。
この構造によれば、トリガー式吐出器の既存の組立設備を変更せずに操作トリガー40を組み込むことができ、トリガーの支点(揺動軸)の配置の自由度が増大する。
支点の配置の自由度が増大することを利用して、前記シリンダ12より前側に前記第1回転軸27を、また前記シリンダ12より後側に前記第2回転軸50をそれぞれ配置した。これにより、第1回転軸27から押圧部46及び受面部28の当接点Aまでの距離に比べて、第2回転軸50から前記当接点Aまでの距離を大きくすることができる。故に前記引込み操作の開始時点での操作荷重の軽減を確実なものとすることができる。
【0010】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ前記頂壁部32は、上段部32aから段差部32cを介して当該上段部32aより後方に位置する下段部32bへ連続しており、前記段差部32cには、前記軸受部34として、前記第2回転軸50を着脱自在に収容する軸受凹部が形成されている。
【0011】
本手段では、図1(A)に示す如く、カバー部材30の段差部32cに、前記軸受部34として、前記第2回転軸50を着脱自在に収容する軸受凹部を形成した。
この構造によれば、操作トリガーを後付けでセットでき、組立作業が容易である。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ上方から見て、前記操作トリガー40の長手方向の基半部40aに、前記吐出器本体2の前部を挿通させるための挿通窓44が開口されており、前記押圧部46として、前記挿通窓44の下端部である押圧端部が形成されている。
【0013】
本手段では、図2(B)に示す如く、吐出器本体2の前部を挿通させるための挿通窓44の下端部を押圧部46とした。
この構造によれば、吐出器本体の挿通部位と押圧部46とを兼用するので、特別な押圧手段を設ける必要がなく、簡易な構造で連繋トリガー20を安定的に押圧することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トリガーの引込み操作の開始時点での操作荷重を軽減することができ、トリガーを軽い力で操作できる。
また、トリガーの支点の設定の自由度を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るトリガー式吐出器の構成を示しており、同図(A)は側方から見た断面図、同図(B)は平面図である。
図2図1に示すトリガー式吐出器の要部(操作トリガー)の構成を示しており、同図(A)は平面図、同図(B)は側方から見た断面図である。
図3図2に示すトリガー式吐出器の作用の説明図であり、同図(A)は初期段階を、同図(B)は操作トリガーを引いた段階をそれぞれ示している。
図4図2に示すトリガー式吐出器の組立工程を示しており、同図(A)は当該工程を上から見た図、同図(B)は当該工程を側方から見た図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から図4は、本発明の実施形態に係るトリガー式吐出器を示している。このトリガー吐出器は、例えば殺虫剤や掃除用洗剤などの各種製品を収納した容器体(図示せず)の口頸部に装着して使用するものである。
このトリガー式吐出器は、吐出器本体2と、ピストン18と、第1トリガー20と、カバー部材30と、第2トリガー40を具備する。これら部材は、例えば合成樹脂材や金属により構成することができる。
なお、図示はしないが、カバー部材30を覆う外カバーを設けてもよい。
【0017】
吐出器本体2は、本実施形態において、装着筒4と、縦流路部5と、シリンダ12と、横流路部13とで構成されており、前記装着筒4を介して、容器体の口頸部へ嵌合(図示例では螺着)されている。吐出器本体2の主たる構成は従来公知であるため、簡単に説明する。
【0018】
前記縦流路部5は、本実施形態において、内筒部6と、外筒部7と、正倒立用アダプタ9と、吸上げパイプ10とで構成されている。もっとも、この構造は適宜変更することができ、例えば正倒立用アダプタ9は省略しても構わない。
【0019】
図示例において、前記内筒部6は、小径筒部6aの下端からフランジ壁bを介して大径筒部6bを垂設してなり、この大径筒部6bに付設した鍔部fに装着筒4が当接している。また前記フランジ壁bには通気孔i3が開口されている。この通気孔i3は、後述のシリンダ保持筒11に開口する通気孔i2及びシリンダ12に開口する通気孔i1を介して外部に連通している。
前記内筒部6には、下側逆止弁VL及び上側逆止弁VUが配置されている。これら両逆止弁の間において、内筒部6には前方に開口する通液孔h1を設ける。この通液孔h1は後述のシリンダ12の端壁に設けた通液孔h2を介してシリンダ12内に連通する。
前記外筒部7は、図示例において、前記内筒部6の小径筒部6aから大径筒部6bに沿って当該内筒部6に外嵌されている。外筒部7の前部には、前方へ突設するシリンダ保持筒11が、また外筒部7の後部には、後方へ突設する接合板8がそれぞれ付設されており、この接合板8の下面には、カバー部材30側へ係止させるための接合凹部dが形成されている。
なお、本明細書において、図1(A)の左側を「前」と、右側を「後」と、紙面に直交する方向を「左右」と称する。
前記正倒立用アダプタ9は、図示例において、倒立時用導入口kを有するアダプタ本体9aと、弁座sを有する弁体保持部9bと、前記弁座sに載置された玉弁9cと、正立時用導入口jを有し、かつ前記弁体保持部9bから垂下されたパイプ保持部9dとで構成されている。これらの構造は適宜変更することができる。
前記吸上げパイプ10の上端部は前記パイプ保持部9dに嵌合させている。
【0020】
前記シリンダ12は、前方開放で後端を端壁で閉塞した横筒であり、前記シリンダ保持筒11内に嵌合されている。
【0021】
前記横流路部13は、前記縦流路部5の上端から前方へ延びており、その先端に吐出口17を有する。本実施形態では、前記横流路部13は、射出筒部14と、この射出筒部14の先端に回転可能に装着され、かつ吐出口17を開口させたノズル部16とからなる。そして、ノズル部16の回転により、吐出口17からの内容物の吐出形態(射出・噴霧など)を変更できるように形成している。前記ノズル部16の周面には、ノズル部16の回転位置を合わせるためのノズル側マークuが付設されている。もっとも、これらの構造は適宜変更することができる。
【0022】
ピストン18は、前記シリンダ12内を前後方向へ進退可能に配備されている。図示例のピストン18は、横筒部18aの後部に前記シリンダ12の内面に摺接する摺動部18bを周設するともに、前記横筒部18aの前端側に連結部18cを連設させている。この連結部18cには後述の連繋ピン26を遊嵌するための連結凹部を設ける。
【0023】
第1トリガー20は、前記ピストン18を進退させるために前記連結部18cに連繋させた連繋トリガー(レバー)である。
本実施形態においては、図1(A)に示す如く、前記射出筒部14の上面及び左右外面に亘って嵌合した連結材qを固定しており、かつ、第1トリガー20の上端部に付設された第1回転軸27を前記連結材qに枢着することにより、前記射出筒部14に対して軸支させている。もっとも、第1トリガー20の上端部を前記射出筒部14に直接軸支させても構わない。前記第1回転軸27はシリンダ12より前方に配置されている。ここで「枢着」とは凸部と凹部との嵌め合いにより回転自在に軸着することをいう。吐出器本体への第1回転軸27の軸着の形態及び配置は適宜変更することができる。
第1トリガー20は、第1連結部(図示例では第1連結板部)21の両側から左右一対の第1側片22を後方へ突設してなる。図示例の第1側片22は、相互に向かい合う第1側板部に形成されている。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
前記一対の第1側片22には、第1トリガー20の上下方向の中間部で、下横板24及び上横板25が連設されている。これら両横板は、前記第1連結部21に開口した透孔23の下端及び上端からそれぞれ下後方へ延びている。
また下横板24及び上横板25の間で、第1側片22には、前記連結部18cに連繋させるための連繋ピン26が連設されている。
本実施形態では、第1連結部21の前面のうちで前記透孔23の下端から一定の幅の部分を後述の押圧部46を摺接させるための受面部28としている(図3参照)。受面部28は、単に押圧部46が摺接可能な滑らかな面であればよい。
前記吐出器本体2には、第1トリガー20を前方へ付勢する付勢手段29が配備されている。本実施形態では、付勢手段29の上端部は、前記連結材qに連結することにより、前記射出筒部14に固定されているが、射出筒部14に対して直接固定させても構わない。
【0024】
カバー部材30は、吐出器本体2の主要部(ノズル部16及び装着筒4の間に位置する部分)を上側から覆う部材である。吐出器本体2だけではなく、第1トリガー20の上部もカバー部材30によって覆われている。
図示例のカバー部材30は、図1(A)に示す如く、前後方向に長い頂壁部32と、この頂壁部32の両側から垂設された左右一対の側壁部36と、これら側壁部36に連設させた後壁部37及び下壁部38とを有する。後壁部37は頂壁部32の後端と、また下壁部38は後壁部37とそれぞれ連続している。この下壁部38の上面には、前記接合凹部d内に係止する爪部39が付設されている。
【0025】
本実施形態では、頂壁部32の前寄り部分である上段部32aから、段差部32cを介して、上段部32aより低い下段部32bが後方へ連設されている。
前記段差部32cは、前記縦流路部5の後ろ側に位置している。
そして、前記段差部32cに、後述の第2トリガー40の第2回転軸50を受持するための軸受部34が形成されている。
本実施形態では、前記段差部32cの上端から後方へ庇部33が突設されている。図示例では、この庇部33は、図1(B)に示す如く、前記段差部32cの左右方向中間部分に形成されている。そして、前記庇部33と前記下段部32bとの間に、前記軸受部34として、前記第2回転軸50を着脱可能に収容する軸受凹部(係止凹部)を形成している。
この軸受部34は、側方から見て円弧状の輪郭を有する。そして、軸受部34は、丸棒である第2回転軸50を軸支し、固定できるように形成されている。
本実施形態において、軸受部34は、上方から見て前記シリンダ12より後方の位置(図示例では縦流路部5より後方の位置)に配置されている。この軸受部34の配置は適宜変更することができる。
なお、図示はしないが、第2回転軸50は、カバー部材30の内側に設けてもよい。ここで、第2トリガー40が不意に外れなければ、カバー部材30内の第2回転軸50を軸支する軸受部はどのような構造でも構わない。
またカバー部材30に第2トリガー40を取り付けることにより、第2トリガー40の支点及び力点の配置の自由度を大とすることができる。
本実施形態では、前記上段部32aは、ほぼ平坦な水平壁部に、また、下段部32bは、側方から見て下後方へ傾く傾斜壁部にそれぞれ形成されている。前記上段部32aの前端部の上面には、前記ノズル側マークuと位置合わせするための本体側マークtが付設されている。
【0026】
本実施形態では、少なくとも上段部32aの上面が、トリガー式吐出器を倒立した状態で、外部の載置面に載置させるための接地面部cとしての役割を果たす。
こうすることにより、後述の内容物の詰め替え作業の際に、容器体の口頸部からトリガー式吐出器を倒立置きにすることができるようにしている。
図示例では、ノズル側マークu及び本体側マークtは周囲から若干隆起しているが、その高さは、倒立置き時のトリガー式吐出器の安定性を損なわない範囲で設定する。
【0027】
第2トリガー40は、利用者が引込み操作をするための操作トリガーであり、その操作により、前記連繋トリガー20を後方に押し込むレバーとしての役割を有する。
すなわち、第2トリガー40の上端側に設けた第2回転軸50を軸受部34に軸着させ、第2回転軸50を支点、第2トリガー40の先半部40b(引き手)を力点、第2トリガー40の長手方向中間に配備した後述の押圧部46を作用点として、テコ作用が発揮される。
第2トリガー40の第2回転軸50は第1トリガー20の第1回転軸27より後方へ配置されている。他方、図1(A)に示す初期状態において、第2トリガー40の下端部は第1トリガー20の下端部より前方に在り、側方から見て、第2トリガー40は第1トリガー20と交差するように配置されている。
故に、第2トリガー40は第1トリガー20より長く形成されている。
また、第2トリガー40は、前記カバー部材30の外側に配備される外レバーである。なお、前述の第1トリガー20は、その上半部を射出筒部14とカバー部材30との間に配置させたが、その下半部はカバー部材30より下方へ突出している。その突出部分は、側方から見て、第2トリガー40によって、図1(A)に示す如く、側方から見て部分的に覆われている。
【0028】
本実施形態の第2トリガー40は、図2(A)に示す如く、左右一対の第2側片48の後端側(揺動の根元側)を、第2回転軸50を兼ねる軸棒で、その根元と反対側を、第2連結部42で連結してなる。図示例では、第2側片48は縦板状の側板(第2側板部)に形成されている。また第2連結部42は、操作トリガーの引き手部分の前板である連結板(第2連結板)に形成されている。これらの形状は適宜変更できる。
本明細書では、第2トリガー40のうちで、一対の第2側片48を第2連結部42で連結した部分を先半部40bと称し、残りの部分を基半部40aと称する。
そして、第2連結部42と第2回転軸50との間に、吐出器本体2の前部(横流路部13)を挿通するための挿通窓44を開口させている。そして、第2連結部42側の挿通窓44の下端部、換言すれば第2連結部42の上端部には、第1トリガー20を押圧するための押圧部(図示例では押圧端部)46が形成されている。この押圧端部46は第2トリガー40の幅方向に一定の長さを有するため、第1トリガー20を安定的に押圧することができる。もっとも、押圧部46の構造・配置は、第1トリガー20を適切に押圧できる範囲で適宜変更することができる。
前記挿通窓44は、上方から見て、図2(A)に示すように、略矩形に形成されている。この挿通窓44の短手方向の幅wtは、前述の横流路部13、すなわち、ノズル部16及び射出筒部14における最大の横幅(図4(B)のwb)以上であるように設計する。また、図4(A)に示すに示す如く、挿通窓44の長手方向の幅(押圧部46及び第2回転軸50の間の距離L)は、少なくともノズル部16の上下幅mより大きくなるように設計し、かつ、図1(A)に示すように、カバー部材30の軸受部34側から前下方へ亘って操作トリガー40を装着できるように設計する。
前記第2側片48は、テコ板としての役目を有し、側方から見て、図2(B)に示すように、前上方へ突出する、への字形状(或いはブーメラン形状)に形成されている。
前記第2連結部42は、指当て板としての役目を有し、前記一対の第2側片48の前端に連設されており、かつ、前方から見て、縦長の帯状に形成されている。
第2回転軸50は、第2トリガー40の揺動中心であり、図示例において、左右方向の一本の軸棒(丸棒)として形成されている。
もっとも、第2側片48・第2連結部42・第2回転軸50の形状は適宜変更することができる。
【0029】
ここで押圧部46の作用について解説する。図3(A)に示す初期状態において、前記押圧部46は、前記第1トリガー20への当接が可能に配備している。
この状態において、第1回転軸27から第1トリガー20への押圧部46の当接点Aまでの距離r1は、第2回転軸50から当接点Aまでの距離r2より小である。
第2トリガー40を後方へ引くと、押圧部46は第2回転軸50を中心とする半径r2の円弧上を移動しようとするため、前記押圧部46は、図3(B)に示す如く、第1トリガー20の受面部28を下方へ摺動する。故に受面部28及び押圧部46の当接点Aが前記第1回転軸27から離れる。
特許文献1の場合には、2つのトリガーの揺動中心がともにシリンダの前方にあったのに対して、本実施形態では、第1トリガー20の第1回転軸27がシリンダ12の前方に、また第2トリガー40の第2回転軸50がシリンダ12の後方(図示例では縦流路部5の後方)にそれぞれ配置されているため、第2トリガー40の移動量が増加する。故に、前記当接点Aが第1回転軸27を離れる傾向もより顕著となる。
従って、第2トリガー40を引き込む操作において、第2トリガー40の操作荷重が次第に増加することになり、換言すれば、引込み操作の開始時点での操作荷重が最も軽い。
【0030】
次にトリガー式吐出器を組み立てる工程に関して説明すると、射出筒部14に第1トリガー20を枢着し、かつ吐出器本体2にカバー部材30を装着する段階までの手順は、従来のトリガー式吐出器と同じである。
この段階の、組立途中の吐出器が図4(A)の右側の部分図に描かれている。
この吐出器に対して外レバーである第2トリガー40を後セットすればよい。
具体的には、図4(A)に想像線で示すように、第2トリガー40の挿通窓44が吐出器本体2のノズル部16と向かい合うように、第2トリガー40の姿勢を整え、吐出器本体2の前部である横流路部13を挿通窓44に挿通させ、次に第2トリガー40の第2回転軸50が吐出器本体2の庇部33を乗り越えるように第2トリガー40を動かして、第2回転軸50を軸受部34内に軸着させる。
【0031】
前記構成において、トリガー式吐出器を使用するときには、図示しない容器体の口頸部に装着筒4を装着させ、次に操作トリガー(第2トリガー40)を後方へ引き込めばよい。そうすると、押圧部46が連繋トリガー(第1トリガー20)を後方へ押し込み、ピストン18がシリンダ12内を後退して、シリンダ12内の液体が射出筒部14及びノズル部16を通って吐出口17から吐出される。
その際に、前述の通り、引込み操作の開始時点での操作荷重が最も小さいので、引込み操作全体として引き圧が軽くなる。従って使い勝手がよく、特に連続吐出する場合でも疲れない。
操作トリガー40の引込みを解放すると、付勢手段29の付勢力により、操作トリガー40及び連繋トリガー20が原位置に戻り、ピストン18がシリンダ12内を前進するので、容器体内の液体がシリンダ12内へ吸引される。
容器体内の液体を使い切ったときには、容器体の口頸部から装着筒4を螺脱させ、取り外したトリガー式吐出器を外部の載置場所に置いて、予め用意した詰め替え容器の内容物を容器体内へ移し替えればよい。
その際に、トリガー式吐出器を倒立状態として、カバー部材30の接地面部cを前記載置場所に載置するとよい。こうすることにより、吸上げパイプ10の先端部が上方へ向くので、吸上げパイプ10から液体が載置場所に垂れ落ちることがない。またトリガー式吐出器を横向きに載置場所においた場合のように吸上げパイプ10が載置場所に直接触れることもなく、従って載置箇所の周囲が汚れるリスクを回避できる。
次に詰め替え用液体を充填した容器体にトリガー式吐出器を装着すれば、吐出容器として再利用することができる。
【0032】
前記構成及び作用によれば、第2トリガー40の引込みに伴い、押圧部46が第1トリガー20の受面部28に沿って第1回転軸27から離れるので、引込み操作の開始時点での操作荷重を軽減できる。
また吐出器本体2を覆うカバー部材30の上面側に、第2トリガー40の第2回転軸50を受持する軸受部34を形成したから、トリガーの支点の配置の自由度が増大する。
カバー部材30の段差部32cに、前記第2回転軸50を着脱自在に収容する軸受凹部34を形成したから、操作トリガーを後付けでセットが可能であり、組立作業が容易である。
容器体の詰め替え作業のときに倒立状態のトリガー式吐出器の接地面部cを外部の載置面に載置することができ、故にトリガー式吐出器から液体が周囲に垂れにくい。
操作トリガー40の挿通窓44の下端部を押圧部46としたから、簡易な構造で確実に連繋トリガー20を押圧することができる。
【符号の説明】
【0033】
2…吐出器本体 4…装着筒 5…縦流路部 6…内筒部 6a…小径筒部
6b…大径筒部 7…外筒部 8…接合板 9…正倒立用アダプタ
9a…アダプタ本体 9b…弁体保持部 9c…玉弁 9d…パイプ保持部
10…吸上げパイプ 11…シリンダ保持筒 12…シリンダ
13…横流路部 14…射出筒部 16…ノズル部 17…吐出口
18…ピストン 18a…横筒部 18b…摺動部 18c…連結部
20…第1トリガー(連繋トリガー) 21…第1連結部 22…第1側片
23…透孔 24…下横板 25…上横板 26…連繋ピン 27…第1回転軸
28…受面部 29…付勢手段
30…カバー部材 32…頂壁部 32a…上段部 32b…下段部 32c…段差部
33…庇部 34…軸受部(軸受凹部) 36…側壁部 37…後壁部
38…下壁部 39…爪部
40…第2トリガー(操作トリガー) 40a…基半部 40b…先半部
42…第2連結部 44…挿通窓 46…押圧部 48…第2側片 50…第2回転軸
A…当接点 b…フランジ壁 c…接地面部 d…接合凹部 f…鍔部
h1、h2…通液孔 i1、i2、i3…通気孔 j…正立時用導入口
k…倒立時用導入口 L…挿通窓の長さ m…ノズル部の上下幅
n…斜め方向(軸受部から押圧部へ向かう方向)のカバー部材の幅 q…連結材
r1,r1’…第1回転軸と当接点との距離 r2…第2回転軸と当接点との距離
s…弁座 t…本体側マーク u…ノズル側マーク
VL…下側逆止弁 VU…上側逆止弁
wt…挿通窓の横幅 wb…横流路部の横幅
図1
図2
図3
図4