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特開2024-171921バッテリ装置、モータ制御装置及び電動アシスト車
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171921
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】バッテリ装置、モータ制御装置及び電動アシスト車
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20241205BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20241205BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20241205BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20241205BHJP
   B62M 6/90 20100101ALI20241205BHJP
   B62M 6/45 20100101ALI20241205BHJP
【FI】
B60L3/00 N
B60L53/80
B60L15/20 J
B60L7/14
B62M6/90
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089283
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103528
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 一男
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼岡 太一
(72)【発明者】
【氏名】本田 博文
(72)【発明者】
【氏名】白川 弘和
(72)【発明者】
【氏名】保坂 康夫
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA18
5H125AC13
5H125BA00
5H125CA10
5H125CB02
5H125CC01
5H125CD02
5H125EE41
5H125EE49
5H125EE52
5H125FF29
(57)【要約】
【課題】電動アシスト車に備えられていた表示機をバッテリ装置で代替する。
【解決手段】本バッテリ装置は、モータ制御装置に対して着脱可能なバッテリ装置であって、表示部と、電動アシスト車のモータ制御装置から受信した第1の情報に基づき、モータ制御装置の状態を表示部に表示させる制御部とを有する。また、電動アシスト車のモータ制御装置は、表示部を有するバッテリ装置と通信を行う通信部と、通信部を介してバッテリ装置の表示部に、自装置の状態に関する表示を行わせる制御部とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
電動アシスト車のモータ制御装置から受信した第1の情報に基づき、前記モータ制御装置の状態を前記表示部に表示させる制御部と、
を有する、前記モータ制御装置に対して着脱可能なバッテリ装置。
【請求項2】
前記第1の情報は、前記モータ制御装置の状態に関する情報、又は、前記モータ制御装置の状態を表す、前記表示部の表示パターンの情報である
請求項1記載のバッテリ装置。
【請求項3】
前記モータ制御装置の状態は、前記モータ制御装置に対する設定状態と、前記モータ制御装置による前記モータの制御状態と、前記モータ制御装置又は前記モータ制御装置に接続された機器の異常状態とのうち少なくともいずれかである
請求項1記載のバッテリ装置。
【請求項4】
指示スイッチ
をさらに有し、
前記制御部は、起動後に、前記指示スイッチの押下についての第2の情報、又は、前記指示スイッチの押下により特定される指示内容を、前記モータ制御装置に送信する
請求項1記載のバッテリ装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記モータ制御装置への電力供給開始前に、前記指示スイッチの第1態様に係る押下に応じて、前記モータ制御装置への電力供給を開始することと、
前記モータ制御装置への電力供給開始後に、前記指示スイッチの第2態様に係る押下に応じて、前記モータ制御装置への電力供給を停止するすることと
のうち少なくともいずれかを実行する
請求項4記載のバッテリ装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記モータ制御装置から受信する情報に基づき前記電動アシスト車に対する所定操作を検出しないことを特定し且つ前記指示スイッチの押下がなされていない状態が所定時間以上継続した場合、自動的に前記モータ制御装置への電力供給を停止し、
前記状態の直前に前記指示スイッチの押下がなされた場合には、前記所定時間として第1の値を設定し、
前記状態の直前に前記電動アシスト車に対する所定操作を検出したことを特定した場合には、前記所定時間として前記第1の値とは異なる第2の値を設定する
請求項4記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記モータ制御装置から受信する情報に基づき前記電動アシスト車の車速が閾値以上となったことを特定した場合、前記表示部の表示を停止させる
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項8】
表示部を有するバッテリ装置と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して前記バッテリ装置の前記表示部に、自装置の状態に関する表示を行わせる制御部と、
を有する、電動アシスト車のモータ制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記モータ制御装置の状態に関する情報、又は、前記モータ制御装置の状態を表す、前記表示部の表示パターンの情報を、前記通信部を介して前記バッテリ装置に送信することで、前記自装置の状態に関する表示を前記表示部に行わせる
請求項8記載のモータ制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記通信部を介して、前記バッテリ装置の指示スイッチの押下についての情報、又は、前記バッテリ装置の前記指示スイッチの押下により特定される指示内容を受信した場合、受信した前記情報から特定される指示内容又は受信した前記指示内容に対応する動作を実行する
請求項8記載のモータ制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記電動アシスト車の車速が閾値以上となったことを検出した場合、又は、所定時間以上前記電動アシスト車に対する所定操作を検出せず且つ前記通信部から受信する情報に基づき前記バッテリ装置の指示スイッチの押下がなされていないことを特定した場合、前記通信部を介して前記バッテリ装置の前記表示部の表示を停止させる
請求項8記載のモータ制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記通信部を介して前記バッテリ装置の指示スイッチの特定態様の押下についての情報を受信した場合、前記電動アシスト車のモータによるアシストのモードの切り替え、前記モータによる回生のモードの切り替え、前記電動アシスト車の前照灯の点灯と消灯の切り替え、又は、前記電動アシスト車の押し歩き時における前記モータの強制駆動の有無の切り替えを実行する
請求項8記載のモータ制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記通信部を介して前記バッテリ装置の指示スイッチの特定態様の押下についての情報を受信し、且つ、前記電動アシスト車に対する所定の操作を検出した場合、前記電動アシスト車のモータによるアシストのモードの切り替え、前記モータによる回生のモードの切り替え、前記電動アシスト車の前照灯の点灯と消灯の切り替え、又は、前記電動アシスト車の押し歩き時における前記モータの強制駆動の有無の切り替えを実行する
請求項8記載のモータ制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記通信部を介して、前記バッテリ装置の指示スイッチの押下についての情報を所定時間以内に2回以上受信した場合、又は、前記バッテリ装置の前記指示スイッチが所定時間以内に2回以上押し下げられたことによる前記電動アシスト車の前照灯の状態切り替え指示を受信した場合、前記前照灯の点灯と消灯とを切り替える
請求項8記載のモータ制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記電動アシスト車に対する所定操作を検出せず且つ前記通信部から受信する情報に基づき前記バッテリ装置の指示スイッチの押下がなされていないことを特定している状態が所定時間以上継続した場合、自動的に前記バッテリ装置からの電力供給を停止させ、
前記状態の直前に前記バッテリ装置の指示スイッチの押下に係る情報を受信した場合には、前記所定時間として第1の値を設定し、
前記状態の直前に前記電動アシスト車に対する所定操作を検出した場合には、前記所定時間として前記第1の値とは異なる第2の値を設定する
請求項8記載のモータ制御装置。
【請求項16】
請求項1記載のバッテリ装置を備えた電動アシスト車であって、前記バッテリ装置における前記表示部以外の表示部を有さない電動アシスト車。
【請求項17】
請求項5記載のバッテリ装置を備えた電動アシスト車であって、前記バッテリ装置における前記表示部以外の表示部を有さず且つ前記バッテリ装置の前記指示スイッチ以外に前記電動アシスト車のモータ制御装置に対する電力供給に関する指示を行うスイッチを有さない電動アシスト車。
【請求項18】
請求項8記載のモータ制御装置を備えた電動アシスト車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト車に備えられていた表示機を代替するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電動アシスト自転車である電動アシスト車の一部のものは、バッテリに充電した電力でモータを駆動することに加え、モータで発電した電力をバッテリに充電する回生制動を行うことができる。この回生制動により、商用電源による1回のバッテリ充電で走行できる距離(すなわち航続距離)を延伸することができる。
【0003】
一方、電動アシスト車に備えられる各種電装部品自体も電力を消費するので、さらに航続距離を伸ばすためには、電装部品による電力消費を抑制させたり、電装部品そのものを削減したりすることが好ましい。
【0004】
例えば特許文献1には、電源の入切等の操作やバッテリの残量表示等の状態表示を行うための操作表示部(すなわち表示機)を備えた補助動力付き車両が開示されている。このように、従来の電動アシスト車は、表示機に相当するものを備えているものが多く、表示機がなければ、電動アシスト車に対して指示を与えたり、バッテリの残量などの情報を提示したりすることができない。
【0005】
一方、例えば特許文献2には、電動自転車のハンドル上に取り外し可能なバッテリケースを取り付けるという技術が開示されている。このバッテリケースは、照明用のLED(Light Emitting Diode)と、バッテリの充電残量に応じた個数点灯するLEDと、スイッチとを備えている。より具体的には、スイッチが1回押されると、バッテリ充放電回路、電源供給回路、LED表示回路がオン状態となり、続けてスイッチが押されると、LED点灯回路がオン状態になって照明用のLEDが点灯し、スイッチを長押しすると、全ての回路がオフ状態となる、というものである。この特許文献2では、バッテリケース以外に表示部は設けられていないようであるが、ユーザに提示される情報は、バッテリの充電残量に過ぎない。
【0006】
このようにバッテリ残量を表示機やバッテリケースで表示することは従来から行われてきたが、表示機を電動アシスト車に設けない場合に、バッテリ残量以外の情報を、どのようにユーザに提示するのかという問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-220081号公報
【特許文献2】特開2019-93908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、電動アシスト車に備えられていた表示機をバッテリ装置で代替するための新規な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係るバッテリ装置は、モータ制御装置に対して着脱可能なバッテリ装置であって、表示部と、電動アシスト車のモータ制御装置から受信した第1の情報に基づき、モータ制御装置の状態を表示部に表示させる制御部とを有する。
【0010】
本発明の第2の態様に係る、電動アシスト車のモータ制御装置は、表示部を有するバッテリ装置と通信を行う通信部と、通信部を介してバッテリ装置の表示部に、自装置の状態に関する表示を行わせる制御部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
一側面によれば、電動アシスト車に備えられていた表示機をバッテリ装置で代替できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、電動アシスト自転車の外観を示す図である。
図2図2は、従来の表示機の一例を示す図である。
図3図3は、バッテリパックの一側面の拡大図である。
図4図4は、バッテリパック及びモータ駆動制御装置の構成例を示す図である。
図5A図5Aは、表示部の表示パターンの例を示す図である。
図5B図5Bは、表示部の表示パターンの例を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態における処理フローを示す図である。
図7図7は、表示部の表示及びその停止について説明するための図である。
図8図8は、第1の実施の形態における変形例1の処理フローを示す図である。
図9図9は、第1の実施の形態における変形例2の処理フローを示す図である。
図10図10は、第2の実施の形態の処理フローを示す図である。
図11図11は、アシストモード切り替えを説明するための図である。
図12図12は、第2の実施の形態における変形例1の処理フローを示す図である。
図13図13は、回生モード切り替えを説明するための図である。
図14図14は、第2の実施の形態における変形例2の処理フローを示す図である。
図15図15は、第2の実施の形態における変形例3の処理フローを示す図である。
図16図16は、第2の実施の形態における変形例4の処理フローを示す図である。
図17図17は、第3の実施の形態における処理フローを示す図である。
図18図18は、第4の実施の形態における処理フローを示す図である。
図19図19は、第4の実施の形態における処理フローを示す図である。
図20図20は、第4の実施の形態における処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、人力をモータにより補助する電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車の例をもって説明する。しかしながら、本発明の実施の形態は、電動アシスト自転車だけに適用対象を限定するものではなく、台車、車いす等の電動アシスト車にも適用可能である。
【0014】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態における電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車を示す外観図である。この電動アシスト自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、バッテリパック101と、モータ駆動制御装置102と、トルクセンサ103と、クランク回転センサ104と、モータ105と、ブレーキセンサ107、前照灯108を有する。
【0015】
また、電動アシスト自転車1は、前輪、後輪、変速機等も有している。但し、本実施の形態では、電動アシスト自転車1は、通常は備えている表示機を有していない。例えば図2に示すように、従来の表示機は、前照灯の点灯と消灯とを切り替えるためのライトボタン1061と、電源をオン又はオフにするための電源ボタン1062と、バッテリ残量(SOC:State Of Charge)等を表示するための表示部1063と、アシストモードを表示するためのLED1064と、アシストモードの切り替えのためのボタン1065及び1066とを有している。本実施の形態では、このような表示機が果していた機能を、バッテリパック101で実現させる。
【0016】
バッテリパック101は、例えばリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであってもよい。そして、バッテリパック101は、モータ駆動制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ駆動制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。図3にバッテリパック101の一側面を拡大して示しているが、バッテリパック101には、スイッチ1016と複数のLEDを含む表示部1015(本実施の形態では5つのLED)とが設けられている。
【0017】
トルクセンサ103は、クランク軸周辺に設けられており、運転者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御装置102に出力する。また、クランク回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸周辺に設けられており、クランク回転に応じた信号をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0018】
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪の回転をアシストする。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてモータ105内部に備えられるローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0019】
ブレーキセンサ107は、ユーザのブレーキ操作を検出して、ブレーキ操作に関するブレーキ信号(例えば、ブレーキの有無を表す信号)をモータ駆動制御装置102に出力する。具体的には、磁石とリードスイッチを用いたセンサである。
【0020】
モータ駆動制御装置102は、モータ105の回転センサ、ブレーキセンサ107、トルクセンサ103及びクランク回転センサ104等からの信号に基づき所定の演算を行って、モータ105の駆動を制御し、モータ105による回生の制御も行う。
【0021】
図4に、本実施の形態に係るバッテリパック101及びモータ駆動制御装置102の構成例を示す。
【0022】
バッテリパック101とモータ駆動制御装置102とは、バッテリパック101のコネクタ部1011とモータ駆動制御装置102のコネクタ部1023とで結合するようになっている。バッテリパック101のコネクタ部1011は、充放電用の端子1011aと、通信用の端子1011bと、充電器にバッテリパックの種別を通知するためのID(IDentification)端子1011cと、グランド端子1011dとを有する。
【0023】
モータ駆動制御装置102のコネクタ部1023は、充放電用の端子1023aと、通信用の端子1023bと、グランド端子1023dとを有する。
【0024】
バッテリパック101とモータ駆動制御装置102とを結合させると、端子1011aと端子1023aとが電気的に接続し、端子1011bと端子1023bとが電気的に接続し、グランド端子1011dとグランド端子1023dとが電気的に接続する。
【0025】
モータ駆動制御装置102は、モータ駆動制御部1021を有しており、当該モータ駆動制御部1021は、端子1023aを介してバッテリパック101からの電力供給を受け、また、バッテリパック101に対して回生電力の供給を行う。モータ駆動制御部1021は、モータ105を力行駆動させ、また回生制動させるモータ105の制御をも行う。また、モータ駆動制御部1021は、端子1023bを介してバッテリパック101とデータ通信を行う。モータ駆動制御部1021は、このデータ通信を行うために通信部10211を有している。なお、通信部10211は、モータ駆動制御部1021とは別に設けられることもあるが、ここでは含まれるものとして説明する。また、モータ駆動制御部1021は、前照灯108に接続されており、モータ駆動制御部1021は、前照灯108の点灯及び消灯の切り替えを行う。
【0026】
一方、バッテリパック101は、バッテリ管理システム(BMS:Battery Management System)1012と、電池セル1013と、表示部1015と、スイッチ1016とを有する。バッテリ管理システム1012は、端子1011bを介してモータ駆動制御部1021と通信を行うために通信回路10121と、ID端子1011cに接続されているID端子回路10122と、スイッチ1016の操作による電位変化の発生を検出するための検出回路1023と、バッテリ管理部10125と、バッテリ電流の検出部として機能する抵抗10124と、電池セル1013の状態を監視するバッテリ監視部10126と、充電用FET(Field Effect Transistor)10127と、放電用FET10128とを有する。
【0027】
バッテリ管理部10125は、通信回路10121と接続されており、通信回路10121及び端子1011bを介してモータ駆動制御装置102と通信を行い、電池セル1013の電圧などの情報、スイッチ1016の押下に関する情報などをモータ駆動制御部1021に通知すると共に、モータ駆動制御部1021からモータ駆動制御部1021の状態や表示部1015に含まれるLEDの表示パターン等の情報を受信して、表示部1015に表示する。
【0028】
また、バッテリ管理部10125は、バッテリ監視部10126と連携して、抵抗10124でバッテリ電流を計測し、電池セル1013の状態を検出し、図示しない温度センサで電池セル1013の温度を検出し、充放電を充電用FET10127及び放電用FET10128によって制御する。また、バッテリ管理部10125は、ID端子回路10122及びID端子1011cを介して、充電器に対してバッテリパック101の種別を、例えば電圧で通知させる。
【0029】
本実施の形態では、検出回路10123は、スイッチ1016がユーザによって押されて接地されたことを検出する。ここでは接地することを検出することになっているが、予め定義されている他の電位変化を検出するようにしても良い。検出回路10123は、所定の電位変化を検出すると、検出というイベントをバッテリ管理部10125に通知する。これにより、バッテリ管理部10125は、スイッチ1016が押し下げられてオンになったことを検出する。
【0030】
本実施の形態では、スイッチ1016が1つの例を示すが、バッテリパック101に設けられるスイッチの数は複数であっても良い。
【0031】
バッテリ管理部10125は、例えばプロセッサ1012aが、メモリ1012bに格納されている所定のプログラムを実行することで実現される。バッテリ管理部10125は、バッテリパック101全体の制御を行うが、その状態をも制御する。例えば、バッテリ管理部10125は、バッテリ管理システム1012が、スリープモードより電力を消費する通常の動作モード、スリープモード及びシャットダウンモードのいずれかの状態となるように制御する。スリープモードは、バッテリを使用しない期間はバッテリの機能を一時的に休止して、自己消費電力を少なくする省電力な待機状態であり、バッテリの使用時には直ちに通常の動作モードに遷移するモードである。一方、シャットダウンモードは、バッテリを使用しない期間が長い場合、又はバッテリが大きく劣化している場合に、バッテリの残容量が大きく低下しているならば自己消費電力を極限まで抑え、バッテリの残容量が無くなるまでの期間とバッテリ自体の製品寿命を延ばすための省電力状態である。シャットダウンモードでは、車両に搭載されるモータやモータ駆動制御部などのバッテリ外部に電力供給をすることはできない。
【0032】
なお、モータ駆動制御部1021も、プロセッサ及びメモリを含み、メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される場合もある。
【0033】
バッテリ管理部10125は、例えば、図5A及び図5Bに示すような表示パターンを表示部1015に含まれるLEDに行う。本実施の形態では、バッテリ残量、現在のアシストモード、現在の回生モード、アシスト中か否か、回生中か否か、システムエラー(主にモータ駆動制御装置102側で検出されるエラー)、バッテリパックエラー(主にバッテリパック101側で検出されるエラー)が表示内容として採用されている。なお、LEDは5つ存在する場合を想定している。
【0034】
バッテリ残量については、3段階でバッテリ残量を表示するようにしているが、例えば5段階でバッテリ残量を表示させるようにしても良い。アシストモードには、アシスト度合いが低いエコモード、アシスト度合いが自動的に設定されるオートモード、アシスト度合いが高いパワーモードという3つの種類が存在しており、5つのLEDで、アシストモードの現在の設定状態を区別して表示するようになっている。なお、アシストモードの種類の数も限定されない。さらに、回生モードには、回生制動の度合いが低い「弱」、回生制動の度合いが中程度の「中」、回生制動の度合いが高い「強」という3つの種類が存在しており、5つのLEDで、回生モードの現在の設定状態を区別して表示するようになっている。なお、回生モードの種類の数も限定されない。本実施の形態では、アシストモード及び回生モードについては、それぞれのモードの切り替えを指示する際に表示を行うものである。
【0035】
また、電動アシスト自転車1が走行中には、モータ駆動制御装置102はモータ105による人力のアシストを行う場合と、モータ105による回生制動を行う場合とがあるが、いずれを実行中であるかを、例えば上から下にLEDを順次点灯させることで、アシスト中であることを表示し、例えば下から上にLEDを順次点灯させることで回生中であることを表示する。
【0036】
さらに、システムエラーとして、コントローラ(すなわちモータ駆動制御装置102)のエラー、モータ105のエラー、トルクセンサ103のエラーが検出されると、それらを区別して表示するようになっている。なお、エラーの種別数は、3に限定されるものでは無い。さらに、バッテリパックエラーとして、3種類のエラーを区別して表示するようになっている。例えば、電池セル1013の異常、温度異常、センサエラーといったものを区別して表示する。なお、エラーの種別数は、3に限定されるものでは無い。また、複数のエラーが同時に発生して検出された場合には、例えば一定時間(例えば2秒)毎に表示を切り替えることで、それらのエラーを表示させる。
【0037】
図5A及び図5Bに示した表示パターンは一例であって、表示内容と表示パターンとの組み合わせを変更しても良い。また、図5A及び図5Bに示されていない表示パターンを採用するようにしても良い。
【0038】
バッテリ残量については、バッテリ管理部10125が従来から管理しているSOCに基づきLEDの表示パターンを選択して表示を行う。現在のアシストモード及び現在の回生モードについては、モータ駆動制御装置102における設定状態に基づきモータ駆動制御装置102から送信される情報に応じて表示を行う。アシスト中か否か及び回生中か否かについての表示についても、モータ駆動制御装置102における動作状態に基づきモータ駆動制御装置102から送信される情報に応じて表示を行う。モータ駆動制御装置102における設定状態又は動作状態に関する情報がモータ駆動制御装置102から送信されて、バッテリ管理部10125が、受信した当該情報に応じて表示パターンを特定した上で表示する場合もあれば、モータ駆動制御装置102における設定状態又は操作状態に基づき対応する表示パターンを特定して、当該表示パターンを表す情報がモータ駆動制御装置102から送信されて、バッテリ管理部10125が、受信した当該表示パターンどおりに表示を行う場合もある。
【0039】
システムエラーについても、モータ駆動制御装置102で検出された異常に基づきモータ駆動制御装置102から送信される情報に応じて表示を行う。モータ駆動制御装置102における異常状態に関する情報がモータ駆動制御装置102から送信されて、バッテリ管理部10125が、受信した当該情報に応じて表示パターンを特定した上で表示する場合もあれば、モータ駆動制御装置102で検出された異常に基づき対応する表示パターンを特定して、当該表示パターンを表す情報がモータ駆動制御装置102から送信されて、バッテリ管理部10125が、受信した当該表示パターンどおりに表示を行う場合もある。
【0040】
次に、図6を用いて、モータ駆動制御部1021及びバッテリ管理部10125の動作について説明する。なお、図6の処理は、制御周期毎に実行される。ここでは、モータ駆動制御部1021が、主な処理主体である例を説明する。
【0041】
まず、異常、すなわちシステムエラー又はバッテリパックエラーが発生しているか否かが判断される(ステップS1)。バッテリパックエラーについてはバッテリ管理部10125によって検出される。システムエラーについてはモータ駆動制御部1021によって検出される。
【0042】
異常が検出された場合には、異常に対応する表示パターンで表示部1015に異常表示を行う(ステップS3)。バッテリパックエラーについては、バッテリ管理部10125が、異常に対応する表示パターンを特定して、当該表示パターンによる表示を表示部1015に対して行う。
【0043】
システムエラーについては、モータ駆動制御部1021が異常を検出すると、当該異常に対応する表示パターンを特定して、当該表示パターンを表す情報をバッテリ管理部10125に通知する。バッテリ管理部10125は、通知された表示パターンに従って表示部1015に対して表示を行う。
【0044】
そして、予め定められた条件を満たして電源をオフにするか否かを判断して(ステップS5)、電源をオフする場合には、処理を終了し、電源をオフしない場合には、処理はステップS1に戻る。
【0045】
一方、異常が検出されない場合には、表示停止条件が満たされたか否かを判断する(ステップS7)。例えば、トルク入力、クランク回転、モータ回転、ブレーキ操作、スイッチ1016の押下など予め定められているものを、一定時間以上検出しなかった場合には、表示停止条件を満たしているものとして判断する。例えば、モータ駆動制御部1021は、トルクセンサ103、クランク回転センサ104、モータ105のホールセンサ、ブレーキセンサ107等からの入力に応じて、トルク入力、クランク回転、モータ回転、ブレーキ操作の有無を判断する。さらに、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125からスイッチ1016の押下に対応するイベントを検出したことを表す情報を受信することで、スイッチ1016の押下を検出する。これらのいずれもが一定時間検出されなければ、ステップS7の条件を満たしたものと判断する。
【0046】
表示停止条件が満たされたと判断された場合には、表示部1015への表示を停止させる(ステップS9)。例えば、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125に対して表示の停止を指示し、それに応じてバッテリ管理部10125は、表示部1015への表示を停止、すなわちLEDを消灯させる。そして処理はステップS5に移行する。
【0047】
一方、表示停止条件を満たしていない場合には、モータ駆動制御部1021は、現在、アシスト中又は回生中であるか否かを判断する(ステップS11)。モータ駆動制御部1021は、走行中に、モータ105を力行駆動している場合もあれば、モータ105を回生制動している場合もあるので、自らの動作状態によって判断する。
【0048】
現在、アシスト中又は回生中であれば、アシスト中又は回生中に対応する表示パターンで表示部1015に表示を行う(ステップS13)。モータ駆動制御部1021は、力行駆動していればアシスト中であり、アシスト中に対応する表示パターンを特定して、当該表示パターンを表す情報をバッテリ管理部10125に通知する。同様に、モータ駆動制御部1021は、回生制動中であれば回生中であり、回生中に対応する表示パターンを特定して、当該表示パターンを表す情報をバッテリ管理部10125に通知する。そして、バッテリ管理部10125は、通知された表示パターンに従って表示部1015に対して表示を行う。そして処理はステップS5に移行する。
【0049】
一方、現在、アシスト中又は回生中でなければ、アシストモード又は回生モードの切り替えが指示されたか否かが判断される(ステップS15)。例えば、スイッチ1016の特定態様の押下によって、アシストモード又は回生モードの切り替えが指示される。このため、例えば、バッテリ管理部10125は、スイッチ1016の押下に応じて当該押下のイベントをモータ駆動制御部1021に通知し、当該モータ駆動制御部1021は、当該通知に基づき、スイッチ1016の特定態様の押下を検出する。アシストモード又は回生モードの切り替えが指示された場合には、モータ駆動制御部1021は、スイッチ1016の特定態様の押下に応じたモード切替を行い、切り替え後のモードの設定を記録するモード切替処理を実行する(ステップS17)。例えば、アシストモードは、スイッチ1016の特定態様の押下が行われる毎に、エコモードがオートモードに、オートモードがパワーモードに、パワーモードがエコモードに、といった切り替えが行われて、切り替え後のモードの設定を記録することになる。具体的なモード切替処理については、他の実施の形態で説明する。そして処理はステップS5に移行する。
【0050】
モードの切り替えが指示されていない場合には、バッテリ残量表示を行う(ステップS19)。具体的には、バッテリ管理部10125は、バッテリ残量をバッテリ監視部10126から取得して、当該バッテリ残量から表示パターンを特定し、表示部1015に対して当該表示パターンを表示させる。そして処理はステップS5に移行する。
【0051】
このようにすることで、表示機を備えない場合においても、その機能をバッテリパック101により代替させることができるようになる。
【0052】
なお、スイッチ1016の特定態様の押下を、モータ駆動制御部1021が特定するのでは無く、バッテリ管理部10125が特定するようにして、バッテリ管理部10125が、スイッチ1016の特定態様の押下に対応する指示内容(例えばモード切替)をさらに特定して、当該指示内容を、モータ駆動制御部1021に通知するようにしても良い。この場合、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125からの指示内容に従った動作を行う。
【0053】
[実施の形態1の変形例1]
第1の実施の形態では、表示停止条件として、一定時間以上所定の操作を行わなかったことを一例として示した。しかしながら、バッテリパック101の、電動アシスト自転車1への装着位置によっては、走行中は表示部1015の表示内容をユーザは見ることは困難なので、省電力化を図るためにも表示部1015の表示を停止させるものとする。
【0054】
例えば図7(b)に示すように、走行していない場合には、例えばバッテリ残量に応じた表示パターンで表示部1015に表示を行うが、走行している場合には、図7(a)に示すように、表示部1015の表示を停止、すなわちLEDを消灯させる。
【0055】
より具体的には、図6のステップS7において、図8に示すような処理をも実行して、表示停止条件の成立の有無を判定する。
【0056】
すなわち、モータ駆動制御部1021は、モータ回転に基づき車速を計算し、当該車速が閾値TH1(例えば5km/h)未満であるか否かを判断する(ステップS21)。モータ駆動制御部1021は、車速についての表示停止条件を非成立に設定する(ステップS23)。一方、車速が閾値TH1以上である場合には、モータ駆動制御部1021は、表示停止条件を成立に設定する(ステップS25)。
【0057】
このようにすることで、走行中は、異常発生時を除き、表示部1015のLEDを消灯させることができるようになる。
【0058】
[実施の形態1の変形例2]
第1の実施の形態では、表示部1015の表示停止条件の一例として、クランク回転などが一定時間検出されないことを示したが、クランク回転などがより長い時間検出されない場合には、省電力の観点からして、電源オフにしてモータ駆動制御装置102への電力供給を停止すべきである。
【0059】
このようにする場合には、例えば図6のステップS7において、図9に示すような処理を実行することが好ましい。
【0060】
具体的には、モータ駆動制御部1021は、無操作時間、すなわちクランク回転などが検出されない時間が閾値TH2(例えば3分)以上であるか否かを判断する(ステップS31)。クランク回転などが検出されない無操作時間が閾値TH2未満である場合には、モータ駆動制御部1021は、無操作時間についての表示停止条件を非成立に設定する(ステップS33)。そして、本処理を終了する。
【0061】
一方、クランク回転などが検出されない無操作時間が閾値TH2以上である場合には、モータ駆動制御部1021は、表示停止条件を成立に設定する(ステップS35)。そして、モータ駆動制御部1021は、無操作時間が閾値TH3(例えば5分)以上であるか否かを判断する(ステップS37)。無操作時間が閾値TH3未満であれば、本処理を終了する。
【0062】
一方、無操作時間が閾値TH3以上である場合には、モータ駆動制御部1021は、電源オフ条件の成立を設定する(ステップS39)。そして、本処理は終了する。このようにすれば、電源オフ条件の成立が設定されるので、図6のステップS5において、処理を終了させることができる。
【0063】
以上のような処理を実行することで、例えば電動アシスト自転車1を閾値TH2以上放置すれば、自動的に表示部1015のLEDが消灯され、さらに無操作時間が閾値TH3以上となれば電源オフも自動的に行われるようになるので、電力の無駄な消費を抑制できる。
【0064】
[実施の形態2]
第1の実施の形態においてもバッテリパック101にスイッチ1016が設けられていることを示していたが、本実施の形態では、このスイッチ1016の用途及び使用時における動作について説明する。
【0065】
本実施の形態では、例えば、バッテリパック101からモータ駆動制御装置102へ電力供給を開始させる、すなわち電源投入指示を行う場合には、スイッチ1016を押すようにする。ここでは、一定時間未満の押し下げであっても、電源投入指示と認識することである。一方、電源投入指示が行われて、バッテリパック101からモータ駆動制御装置102へ電力供給を開始した後に、当該電力供給を停止させる、すなわち電源断指示を行う場合には、スイッチ1016を長押しするようにする。長押しというのは、一定時間以上の押し下げで、電源断指示と認識する。
【0066】
このようなスイッチ1016の用い方を行う場合におけるバッテリ管理部10125等の処理内容について、図10を用いて説明する。ステップS41からステップS47までを制御周期毎に実行する。
【0067】
例えば、バッテリ管理部10125は、モータ駆動制御装置102に対して電力供給を既に行っているか否かを判断する(ステップS41)。まだモータ駆動制御装置102に対して電力供給を行っていない場合には、バッテリ管理部10125は、スイッチ1016が押されて、オンとなったか否かを検出回路10123からの通知により判断する(ステップS43)。スイッチ1016がオンになっていない場合には、処理はステップS47に移行する。
【0068】
一方、スイッチ1016がオンになった場合には、バッテリ管理部10125は、モータ駆動制御装置102に対する電力供給を開始させる(ステップS45)。そして処理はステップS47に移行する。
【0069】
バッテリパック101にスイッチ1016が複数設けられている場合には、それらのうちいずれかのスイッチの押下に応じて、電源供給が開始されるようにしても良い。
【0070】
ステップS47では、バッテリ管理部10125は、電源断指示以外の理由、例えばバッテリ残量が少なくなってバッテリ管理部10125の動作を継続できない場合や、他の異常によりバッテリ管理部10125の動作を継続しない場合のような処理終了の事象が発生したか否かを判断し(ステップS47)、処理終了の事象が発生していなければ、処理はステップS41に戻る。一方、処理終了の事象が発生していれば、処理は終了する。
【0071】
一方、既にモータ駆動制御装置102に対して電力供給中である場合には、バッテリ管理部10125は、一定時間以上スイッチ1016が押されてオンになっているか否かを検出回路10123からの通知により判断する(ステップS49)。この場合、モータ駆動制御部1021は動作中であるから、バッテリ管理部10125からスイッチ1016がオンになっている状態をモータ駆動制御部1021に通知するようにして、モータ駆動制御部1021が判断するようにしても良い。
【0072】
一定時間以上スイッチ1016がオンになっている場合には、バッテリ管理部10125は、モータ駆動制御装置102に対する電力供給を停止させる(ステップS51)。そして、処理はステップS47に移行する。
【0073】
一方、一定時間以上スイッチ1016がオンになっているわけではない場合、バッテリ管理部10125又はモータ駆動制御部1021は、何らかの指示を行うために規定されている特定の態様でスイッチ1016が押されてオンになっているか否かを判断する(ステップS53)。特定の態様でスイッチ1016がオンになっていない場合には、処理はステップS47に移行する。
【0074】
一方、特定の態様でスイッチ1016がオンになっている場合には、バッテリ管理部10125又はモータ駆動制御部1021は、特定の態様に対応する所定の動作を実行する(ステップS55)。これによって、スイッチ1016によって、ユーザは所望の動作を指示できるようになる。
【0075】
本実施の形態によれば、ユーザは、スイッチ1016によって電源投入指示、電源断指示、その他の指示を、適切に行うことができるようになる。
【0076】
なお、モータ駆動制御装置102に対する電力供給開始及び停止時には、表示部1015に対しても、それを表す表示を行うようにしても良い。例えば、電力供給開始時には、表示部1015のLEDを一定時間全点灯させ、電力供給停止時には、表示部1015のLEDを消灯させるといったものである。
【0077】
また、特定の態様でスイッチ1016がオンになっているかをバッテリ管理部10125で判断して、特定の態様に対応するユーザの指示内容を特定し、当該指示内容をモータ駆動制御部1021に通知することで、指示内容に応じた所定の動作を実行するようにしても良い。
【0078】
[実施の形態2の変形例1]
例えば、電動アシスト自転車1の場合、ユーザが、自らの意思に基づき、アシストモードの切り替えを行うことができることが好ましい。例えば、図11に示すように、スイッチ1016を1回押すと、(a)エコモードから(b)オートモード、(b)オートモードから(c)パワーモード、(c)パワーモードから(a)エコモード、といったようにラウンドロビン式に、アシストモードを切り替えられるようにする。このための処理を図12を用いて説明する。なお、図12においては、スイッチ1016の押し放しを区別する処理フローとなっている。また、実施の形態2におけるステップS53及びS55の部分を詳細化したものである。
【0079】
まず、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125からの通知に基づき、スイッチ1016のオン(スイッチ1016の押し込み)が発生しているか否かを判断する(ステップS61)。スイッチ1016の押し込みが発生している場合には、モータ駆動制御部1021は、アシストモードが切り替え中であることを表すフラグをオンに設定する(ステップS63)。フラグの初期値はオフである。また、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125を介して表示部1015に、現在のアシストモードに対応する表示パターンで表示を行わせる(ステップS65)。
【0080】
そして、電源断などの処理終了イベントが発生していなければ(ステップS67)、処理はステップS61に移行する。一方、電源断などの処理終了イベントが発生していれば、処理は終了する。
【0081】
一方、バッテリ管理部10125からの通知に基づきスイッチ1016の押し込みがないと判断された場合には、モータ駆動制御部1021は、フラグがオンであるか否かを判断する(ステップS69)。フラグがオンでなければ、それより前にスイッチ1016の押し込みがなかったことになるので、処理はステップS67に移行する。
【0082】
一方、フラグがオンである場合には、モータ駆動制御部1021は、アシストモードの切り替えを実行し、切り替え後のアシストモードの設定を記録する(ステップS71)。例えば、上で述べたようなラウンドロビン式で切り替える場合には、次のアシストモードに切り替える。また、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125を介して表示部1015に、現在のアシストモード、すなわち切り替え後のアシストモードに対応する表示パターンで表示を行わせる(ステップS73)。
【0083】
現在のアシストモードの表示については、所定の時間だけ実行するようにしても良い。
【0084】
さらに、モータ駆動制御部1021は、フラグをオフに設定する(ステップS75)。そして、処理はステップS67に移行する。
【0085】
このような処理を行うことで、ユーザは、表示機が備えられている場合と同様に、所望のアシストモードへ切り替えることができるようになる。
【0086】
なお、アシストモードの切り替えではなく、回生モードの切り替えや、前照灯108の点灯と消灯との切り替え、押し歩き時における強制駆動等のために、図12で採用されるスイッチ1016のオンを用いても良い。
【0087】
[実施の形態2の変形例2]
例えば、アシストモードの切り替えだけでは無く、回生モードの切り替えについても、ユーザが、自らの意思に基づき行うことができることが好ましい。
【0088】
例えば、図13に示すように、ブレーキを引くことでブレーキセンサ107がオンとなり且つスイッチ1016を1回押すと、(a)弱モードから(b)中モード、(b)中モードから(c)強モード、(c)強モードから(a)弱モード、といったようにラウンドロビン式に、回生モードを1回切り替えられるようにする。このための処理を図14を用いて説明する。なお、実施の形態2におけるステップS53及びS55の部分を詳細化したものである。
【0089】
まず、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125からの通知に基づきスイッチ1016が押されてオンになっており、且つブレーキが引かれてブレーキセンサ107がオンになっているか否かを判断する(ステップS81)。ステップS81の条件が満たされている場合には、モータ駆動制御部1021は、回生モードが切り替え中であるか否かを表すためのフラグがオフになっているか否かを判断する(ステップS83)。フラグの初期値は、オフである。フラグがオフである場合には、モータ駆動制御部1021は、上で述べたように回生モードの切り替えを実行し、切り替え後の回生モードの設定を記録する(ステップS85)。そして、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125を介して表示部1015に、現在の回生モード、すなわち切り替え後の回生モードに対応する表示パターンで表示を行わせる(ステップS87)。さらに、モータ駆動制御部1021は、フラグをオンに設定する(ステップS89)。
【0090】
そして、電源断などの処理終了イベントが発生していなければ(ステップS91)、処理はステップS81に移行する。一方、電源断などの処理終了イベントが発生していれば、処理は終了する。
【0091】
一方、フラグがオンである場合には、既に一度ステップS85乃至S89を実行しているので、ステップS81の条件を継続して満たしているという状態となるので、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125を介して表示部1015に、現在の回生モード、すなわち切り替え後の回生モードに対応する表示パターンで表示を行わせる(ステップS93)。そして、処理はステップS91に移行する。
【0092】
ステップS87及びS93における現在の回生モードの表示については、所定の時間だけ実行するようにしても良い。
【0093】
一方、ステップS81の条件を満たしていない場合には、モータ駆動制御部1021は、フラグをオフに設定する(ステップS95)。そして、処理はステップS91に移行する。
【0094】
このように、ブレーキを握ることでブレーキセンサ107がオンとなり且つスイッチ1016を押す毎に、回生モードを切り替えることができるようになる。
【0095】
なお、回生モードの切り替えではなく、アシストモードの切り替えや、前照灯108の点灯と消灯との切り替え、押し歩き時における強制駆動のために、図14で採用されるスイッチ1016のオン及びブレーキセンサ107のオンを採用するようにしても良い。
【0096】
[実施の形態2の変形例3]
前照灯108の点灯又は消灯についても、ユーザが指示できるようにすることが好ましい。本変形例では、例えば、一定時間内にスイッチ1016を2回(場合によってはそれ以上)押すことで、前照灯108の点灯と消灯との切り替えを指示できるようにする。このための処理を図15を用いて説明する。なお、実施の形態2におけるステップS53及びS55の部分を詳細化したものである。
【0097】
まず、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125からの通知に基づき、一定時間以内にスイッチ1016が2回オンになったか否かを判断する(ステップS101)。ステップS101の条件が満たされない場合には、処理はステップS109に移行する。
【0098】
一方、ステップS101の条件が満たされた場合には、モータ駆動制御部1021は、現在、前照灯108は消灯中であるか否かを判断する(ステップS103)。現在前照灯108が消灯中であれば、モータ駆動制御部1021は、前照灯108の点灯を指示する(ステップS105)。そして、処理はステップS109に移行する。一方、現在前照灯108が点灯中であれば、モータ駆動制御部1021は、前照灯108の消灯を指示する(ステップS107)。そして、処理はステップS109に移行する。
【0099】
ステップS109では、電源断などの処理終了イベントが発生していなければ(ステップS109)、処理はステップS101に戻る。一方、電源断などの処理終了イベントが発生していれば、処理は終了する。
【0100】
このようにすれば、ユーザは、前照灯108の点灯と消灯との切り替えを、スイッチ1016を用いて指示できるようになる。
【0101】
変形例1及び2のように、一定時間内にスイッチ1016を複数回オンにすることで、アシストモードの切り替え、回生モードの切り替えなどを行うようにしても良い。
【0102】
[実施の形態2の変形例4]
例えば電動アシスト自転車1の荷台に重い荷物を載せているため、ユーザが、電動アシスト自転車1に搭乗せず、電動アシスト自転車1を押して歩く場合がある。このような場合においても、モータ105のアシストがあれば、ユーザが楽に電動アシスト自転車1を押し歩くことができる一方、トルク入力が無いのにモータ105でアシストを行うと危険な状態になる場合もある。従って、日本国内では、一定の安全性確保がなされた状態が確認された場合にのみ、電動アシスト自転車1に搭乗していなくてもモータ105によるアシストを可能にするという要件が課されている。
【0103】
本変形例では、上で述べたように一定の安全確保のため予め定められている押し歩き条件を満たしていると判定した上で、スイッチ1016を押し続けている間は、モータ105によるアシストを行うものとする。
【0104】
このような場合についての処理内容を図16を用いて説明する。なお、実施の形態2におけるステップS53及びS55の部分を詳細化したものである。
【0105】
モータ駆動制御部1021は、予め定められている押し歩き条件が成立しているか否かを判断する(ステップS111)。押し歩き条件は、例えば、電動アシスト自転車1に予め備えられている、乗車を困難にするための機構を働かせているという条件である。押し歩き条件が成立していない場合には、処理はステップS116に移行する。
【0106】
一方、押し歩き条件が成立している場合には、モータ駆動制御部1021は、バッテリ管理部10125から受信した情報に基づき、スイッチ1016が押されてオンになっているか否かを判断する(ステップS113)。スイッチ1016がオンになっていない場合には、モータ駆動制御部1021は、モータ105の駆動を停止する(ステップS116)。そして処理はステップS117に移行する。
【0107】
一方、スイッチ1016が押されてオンになっていると判断された場合には、モータ駆動制御部1021は、押し歩きでのモータ強制駆動を実行する(ステップS115)。例えば、一定のトルクが出力されるようにモータ105を駆動させる。そして処理はステップS117に移行する。
【0108】
ステップS117では、電源断などの処理終了イベントが発生していなければ(ステップS117)、処理はステップS111に戻る。一方、電源断などの処理終了イベントが発生していれば、処理は終了する。
【0109】
このようにすれば、電動アシスト自転車1を押し歩く際にも、ユーザをアシストするためのモータ駆動を行わせることができるようになる。
【0110】
ステップS115において、モータ強制駆動ではなく、アシストモードの切り替え、回生モードの切り替え、前照灯108の点灯と消灯との切り替えを行うようにしても良い。
【0111】
[実施の形態3]
第1の実施の形態における変形例2では、無操作時間が閾値TH3以上である場合には、電源オフ条件が成立したものとして、バッテリパック101からモータ駆動制御装置102に対する電力供給を停止させていたが、無操作時間の閾値TH3を、ユーザの意図に応じて変更できるようにすることが望まれている。
【0112】
例えば、節電意識の高いユーザが、早期に電力供給を停止させて節電を図りたい場合もあれば、ユーザによっては早期に電源オフになることを嫌う場合もある。このような場合には、一般的な閾値TH3とは別に、閾値TH3よりも小さい閾値TH31、又は閾値TH3よりも大きい閾値TH32を設定しておく。そして、本実施の形態では、最後の操作がスイッチ1016のオンである場合には、閾値TH31又はTH32を用いるようにする。
【0113】
この場合の処理内容について、図17を用いて説明する。
【0114】
まず、モータ駆動制御部1021は、所定の操作が行われたか否かを判断する(ステップS121)。所定の操作は、例えば、クランク回転、モータ回転、ブレーキ操作、スイッチ1016の押下、トルクセンサ103で一定レベル以上のトルク入力を検出するようなクランク回転である。スイッチ1016の押下については、バッテリ管理部10125からの通知にて判断し、それ以外については自らが接続しているセンサに基づき判断する。
【0115】
所定の操作が行われたと判断した場合には、モータ駆動制御部1021は、スイッチ1016の押下が行われたか否かを判断する(ステップS123)。スイッチ1016の押下が行われた場合には、モータ駆動制御部1021は、電力供給を停止するまでの時間であるオートパワーオフ時間に、第2の値、すなわち閾値TH31又はTH32を設定する(ステップS125)。そして処理はステップS129に移行する。一方、スイッチ1016の押下では無い他の操作が行われた場合には、モータ駆動制御部1021は、オートパワーオフ時間に、第1の値、すなわち閾値TH3を設定する(ステップS127)。そして処理はステップS129に移行する。
【0116】
そして、モータ駆動制御部1021は、所定の操作が行われていない時間を計測するためのタイマの値をクリアする(ステップS129)。そして、処理はステップS131に移行する。
【0117】
一方、所定の操作が検出されなかった場合、モータ駆動制御部1021は、タイマ値がオートパワーオフ時間未満であるか否かを判断する(ステップS133)。タイマ値がオートパワーオフ時間未満であれば、モータ駆動制御部1021は、制御周期分だけタイマ値をカウントアップさせる(ステップS135)。そして処理はステップS131に移行する。
【0118】
一方、タイマ値がオートパワーオフ時間以上となると、モータ駆動制御部1021は、例えばバッテリ管理部10125にシャットダウンを通知して電力供給を停止させ、自らの処理を終了する(ステップS137)。
【0119】
ステップS131では、その他の理由で処理終了すべきイベントが発生していなければ(ステップS131)、処理はステップS121に移行する。一方、処理終了すべきイベントが発生していれば、処理は終了する。
【0120】
以上のような処理を行うことで、ユーザの意図に応じた時間で、バッテリパック101からの電力供給を停止させることができるようになり、利便性が向上する。
【0121】
[実施の形態4]
これまでの説明では、主要な処理をモータ駆動制御部1021が実行する例を示した。この場合においては、スイッチ1016の押下についての情報をバッテリ管理部10125からモータ駆動制御部1021に送信し、表示部1016の表示パターンを変更する場合には、モータ駆動制御部1021から、表示パターンを表す情報又は表示パターンの元となる状態の情報をバッテリ管理部10125に送信して、表示すべき表示パターンで表示部1016の表示を行う。
【0122】
一方、主要な処理をバッテリ管理部10125側で行うようにしても良い。このような場合の処理内容を、例えば図18乃至図20を用いて説明する。
【0123】
まず、バッテリ管理部10125は、モータ駆動制御装置102と接続されているか否かを判断する(ステップS201)。この判断は、例えば通信回路10121を介してモータ駆動制御部1021と通信可能か否かで行っても良いし、場合によってはモータ駆動制御装置102側に電流が流れるか否かで行っても良い。
【0124】
モータ駆動制御装置102と接続されていないと判断された場合には、処理は端子Aを介して図20の処理に移行する。一方、モータ駆動制御装置102と接続されている場合には、バッテリ管理部10125は、異常が発生しているか否かを判断する(ステップS203)。異常については、バッテリパック101において検出される異常の場合もあれば、モータ駆動制御装置102側において検出される異常もあるので、後者の場合には、モータ駆動制御部1021からの通知に基づき判断する。
【0125】
異常が発生していると判断した場合には、バッテリ管理部10125は、検出した異常に対応する表示パターンを特定し、表示部1016に当該表示パターンで表示を行う(ステップS205)。そして処理はステップS211に移行する。
【0126】
一方、異常が発生していないと判断した場合には、バッテリ管理部10125は、モータ駆動制御部1021からの状態の通知に基づき、モータ105でアシスト中であるか又は回生中であるか否かを特定する(ステップS207)。アシスト中でも回生中でもない場合には、処理は端子Bを回して図19の処理に移行する。
【0127】
一方、アシスト中又は回生中であれば、バッテリ管理部10125は、アシスト中又は回生中に対応する表示パターンを特定し、表示部1016に当該表示パターンで表示を行う(ステップS209)。そして処理はステップS211に移行する。
【0128】
そして、モータ駆動制御部1021から車速が閾値TH1未満であるか否かについて通知を受けて、バッテリ管理部10125は、車速が閾値TH1未満であるか否かを判断する(ステップS211)。車速が閾値TH1未満であれば、表示部1016の表示は継続させるので、処理はステップS215に移行する。一方、車速が閾値TH1以上である場合には、バッテリ管理部10125は、表示部1016の表示を停止させる(ステップS213)。すなわち、表示部1016のLEDを消灯させる。
【0129】
さらに、モータ駆動制御部1021から所定の操作がなされているか否かについて通知を受けて、バッテリ管理部10125は、スイッチ1016の押下及び所定の操作が行われていない時間(無操作時間)が閾値TH2以上となったか否かを判断する(ステップS215)。ここでの所定の操作は、クランク回転、モータ回転、ブレーキ操作、一定レベル以上のトルク入力を生じさせるクランク回転である。無操作時間が閾値TH2未満であれば、表示部1016の表示を継続させるので、処理はステップS219に移行する。一方、無操作時間が閾値TH2以上となると、バッテリ管理部10125は、表示部1016の表示を停止させる(ステップS217)。すなわち、表示部1016のLEDを消灯させる。
【0130】
そして、何らかの理由で処理終了すべきイベントが発生していなければ(ステップS219)、処理はステップS201に戻る。一方、処理終了すべきイベントが発生していれば、処理は終了する。
【0131】
次に、端子Bの後の処理の説明を図19を用いて行う。ここで、バッテリ管理部10125は、スイッチ1016がオンになったか否かを判断する(ステップS221)。なお、フラグの初期値はオフである。ここでは、オフからオンに遷移したか否かを判断する。スイッチ1016がオンになった場合には、バッテリ管理部10125は、モード切替中を表すフラグをオンにセットする(ステップS223)。そして処理はステップS225に移行する。
【0132】
一方、スイッチがオンになっていない場合には、バッテリ管理部10125は、フラグがオンになっているか否かを判断する(ステップS229)。フラグがオンになったということは、スイッチ1016がオンからオフに遷移したということを表す。一方、フラグがオフであるということは、スイッチ1016がオンからオフに遷移したわけでは無いということを表す。
【0133】
フラグがオフであれば、バッテリ管理部10125は、バッテリ残量をバッテリ監視部10126から得て、当該バッテリ残量に対応する表示パターンを特定し、当該表示パターンで表示部1015に表示を行う(ステップS237)。そして処理は端子Cを介して図18のステップS211に移行する。
【0134】
一方、フラグがオンであれば、バッテリ管理部10125は、アシストモードの切り替えを実行するようにモータ駆動制御部1021に通知し、モータ駆動制御部1021は、当該通知に応じてアシストモードの切り替えを実行し、切り替え後のアシストモードの設定を記録する(ステップS231)。アシストモードの切り替えについては、例えば第2の実施の形態の変形例1のようなラウンドロビン式で行う。また、ステップS231を実行後、バッテリ管理部10125は、経過時間を測定する。
【0135】
さらに、バッテリ管理部10125は、フラグをオフに設定する(ステップS233)。そして処理はステップS225に移行する。
【0136】
その後、バッテリ管理部10125は、アシストモード切り替え(ステップS231)後の経過時間が閾値TH4以下であるか否かを判断する(ステップS225)。アシストモード切替後の経過時間が閾値TH4以下であれば、バッテリ管理部10125は、現在のアシストモードに対応する表示パターンを特定し、当該表示パターンで表示部1015に表示を行う(ステップS227)。そして処理は端子Cを介して図18のステップS211に移行する。
【0137】
一方、アシストモード切替後の経過時間が閾値TH4を超えた場合には、バッテリ残量をバッテリ監視部10126から得て、当該バッテリ残量に対応する表示パターンを特定し、当該表示パターンで表示部1015に表示を行う(ステップS235)。
【0138】
次に、端子Aの後の処理の説明を図20を用いて行う。ここで、バッテリ管理部10125は、バッテリパック101内で異常が発生しているか否かを判断する(ステップS239)。バッテリパック101内での異常は、電池セル1013の異常、温度異常、センサエラーなどである。
【0139】
バッテリパック101内で異常が発生している場合には、バッテリ管理部10125は、特定した異常に対応する表示パターンを特定し、当該表示パターンで表示部1015に表示を行う(ステップS241)。そして端子Dを介して図18のステップS219に移行する。
【0140】
一方、バッテリパック101内で異常が発生してはいない場合には、バッテリ管理部10125は、スイッチ1016がオンになったか否かを判断する(ステップS243)。スイッチ1016がオンになっている場合には、バッテリ残量をバッテリ監視部10126から得て、当該バッテリ残量に対応する表示パターンを特定し、当該表示パターンで表示部1015に表示を行う(ステップS245)。また、バッテリ管理部10125は、スイッチ1016がオンを検出してからの経過時間(より具体的には、ステップS245でYesルートに遷移したタイミングからの経過時間)を計測し始める。そして処理は端子Dを介して図18のステップS219に移行する。
【0141】
一方、スイッチ1016がオフである場合には、バッテリ管理部10125は、スイッチ1016がオンを検出してからの経過時間が閾値TH5以下であるか否かを判断する(ステップS247)。スイッチ1016がオンを検出してからの経過時間が閾値TH5以下であれば、バッテリ残量に対応する表示パターンでの表示を継続させるため、ステップS245に移行する。一方、スイッチ1016がオンを検出してからの経過時間が閾値TH5を超える場合には、バッテリ管理部10125は、表示部1015の表示を停止させる(ステップS249)。すなわち、表示部1015に含まれるLEDを消灯させる。このように、スイッチ1016をオフにしても、オンを検出してからの経過時間が閾値TH5まではバッテリ残量表示を行う。そして処理は端子Dを介して図18のステップS219に移行する。
【0142】
このように、バッテリ管理部10125が主要な処理を行うようにしても良い。
【0143】
図18乃至図20では、回生モードの切り替えや、前照灯108の点灯と消灯との切り替えなど、一部の処理については明示していないが、第2の実施の形態において述べた事項を、主にバッテリ管理部10125が実行するようにして図18乃至図20に導入しても良い。
【0144】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、目的に応じて、上で述べた各実施の形態における任意の技術的特徴を削除するようにしても良いし、他の実施の形態で述べた任意の技術的特徴を追加するようにしても良い。
【0145】
さらに、上で述べた構成要素群の表現形態は一例であって、1の構成要素を複数の構成要素に分けても良いし、複数の構成要素を1つの構成要素に統合しても良い。動作フローについても、動作内容が変わらない限り、ステップの順番を入れ替えてもよい。また、複数のステップを並列に実行するようにしても良い。
【0146】
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0147】
本実施の形態に係るバッテリ装置は、モータ制御装置(例えばモータ駆動制御装置102)に対して着脱可能なバッテリ装置(例えばバッテリパック101)であって、表示部(例えば表示部1015)と、電動アシスト車(例えば電動アシスト自転車1)のモータ制御装置から受信した第1の情報に基づき、モータ制御装置の状態を表示部に表示させる制御部(例えばバッテリ管理部10125)とを有する。このようにバッテリ装置の表示部を有効活用することで、電動アシスト車に備えられていた表示機の表示機能の少なくとも一部を代替することができるようになる。
【0148】
なお、上で述べた第1の情報は、モータ制御装置の状態に関する情報、又は、モータ制御装置の状態を表す、表示部の表示パターンの情報である場合がある。バッテリ装置側でモータ制御装置の状態に対応する表示パターンを特定しても良いし、モータ制御装置側でその状態に対応する表示パターンを特定しても良い。
【0149】
また、上で述べたモータ制御装置の状態は、モータ制御装置に対する設定状態(例えば現在のアシストモードや回生モード)と、モータ制御装置によるモータの制御状態(例えばアシスト中や回生中)と、モータ制御装置又はモータ制御装置に接続された機器(例えば各種センサなど)の異常状態とのうち少なくともいずれかである場合もある。すなわち、表示機を備えていなくともモータ制御装置の各種状態を表示できるようになる。
【0150】
なお、上で述べたバッテリ装置は、指示スイッチ(例えばスイッチ1016)をさらに有するようにしても良い。この場合、上で述べた制御部は、起動後(例えばモータ制御装置と通信可能になった後)に、指示スイッチの押下についての第2の情報、又は、上記指示スイッチの押下により特定される指示内容(例えば前照灯108の点灯又は消灯、モード切替など)を、モータ制御装置に送信するようにしても良い。ユーザが指示スイッチを押すことで示している意図を、モータ制御装置に伝えることができるようになる。
【0151】
さらに、上で述べた制御部は、(a)モータ制御装置への電力供給開始前に、指示スイッチの第1態様に係る押下(例えば単純な押し下げ)に応じて、モータ制御装置への電力供給を開始することと、(b)モータ制御装置への電力供給開始後に、指示スイッチの第2態様に係る押下(例えば長押し)に応じて、モータ制御装置への電力供給を停止するすることとのうち少なくともいずれかを実行するようにしても良い。例えば、電動アシスト車を走らせることでモータ制御装置が自動的に起動する構成の場合もあるので、(b)のみを実行する場合もある。また、電動アシスト車に対する操作を何ら行わない期間が一定時間以上となると電力供給を自動的に停止させる構成の場合もあるので、(a)のみを実行する場合もある。
【0152】
さらに、上で述べた制御部は、モータ制御装置から受信する情報に基づき電動アシスト車に対する所定操作を検出しないことを特定し且つ指示スイッチの押下がなされていない状態が所定時間以上継続した場合、自動的にモータ制御装置への電力供給を停止するようにしても良い。この場合、上で述べた状態の直前に指示スイッチの押下がなされた場合には、上で述べた所定時間として第1の値を設定し、上で述べた状態の直前に電動アシスト車に対する所定操作を検出したことを特定した場合には、上で述べた所定時間として第1の値とは異なる第2の値を設定するようにしても良い。第1の値と第2の値との大小関係はどのようなものであっても良いが、指示スイッチによって所定時間を変化させることができるので、ユーザの意図を反映させることができる。
【0153】
また、上で述べた制御部は、モータ制御装置から受信する情報に基づき電動アシスト車の車速が閾値以上となったことを特定した場合、表示部の表示を停止させる(例えば消灯させる)ようにしても良い。車速が速くなると表示部の表示を見ることが無くなる場合には節電になる。
【0154】
本実施の形態の第2の態様に係る、電動アシスト車のモータ制御装置(例えばモータ駆動制御装置102)は、表示部(例えば表示部1015)を有するバッテリ装置(例えばバッテリパック101)と通信を行う通信部(例えば通信部10211)と、通信部を介してバッテリ装置の表示部に、自装置(すなわちモータ制御装置)の状態に関する表示を行わせる制御部(例えばモータ駆動制御部1021)とを有する。このようにバッテリ装置の表示部を有効活用することで、電動アシスト車に備えられていた表示機の表示機能の少なくとも一部を代替することができるようになる。
【0155】
なお、上で述べた制御部は、モータ制御装置の状態に関する情報、又は、モータ制御装置の状態を表す、表示部の表示パターンの情報を、通信部を介してバッテリ装置に送信することで、上記自装置の状態に関する表示を表示部に行わせるようにしても良い。バッテリ装置側でモータ制御装置の状態に対応する表示パターンを特定しても良いし、モータ制御装置側でその状態に対応する表示パターンを特定しても良い。
【0156】
さらに、上で述べた制御部は、通信部を介して、バッテリ装置の指示スイッチの押下についての情報、又は、バッテリ装置の指示スイッチの押下により特定される指示内容(例えば前照灯の点灯や消灯、モード切替など)を受信した場合、受信した情報から特定される指示内容又は受信した指示内容に対応する動作を実行するようにしても良い。ユーザが指示スイッチを押すことで示している意図を、モータ制御装置で実現させることができるようになる。
【0157】
また、上で述べた制御部は、電動アシスト車の車速が閾値以上となったことを検出した場合、又は、所定時間以上電動アシスト車に対する所定操作を検出せず且つ通信部から受信する情報に基づきバッテリ装置の指示スイッチの押下がなされていないことを特定した場合、通信部を介してバッテリ装置の表示部の表示を停止させる(例えば消灯させる)ようにしても良い。これによって節電が図られる。
【0158】
さらに、上で述べた制御部は、通信部を介してバッテリ装置の指示スイッチの特定態様の押下についての情報を受信した場合、電動アシスト車のモータによるアシストのモードの切り替え、モータによる回生のモードの切り替え、電動アシスト車の前照灯の点灯と消灯の切り替え、又は、電動アシスト車の押し歩き時におけるモータの強制駆動の有無の切り替えを実行するようにしても良い。指示スイッチの押し方によって、対応する動作を切り替えても良い。
【0159】
また、上で述べた制御部は、通信部を介してバッテリ装置の指示スイッチの特定態様の押下(例えば単純な押下、長押し、押し続けなど)についての情報を受信し、且つ、電動アシスト車に対する所定の操作(例えば、ブレーキ操作、クランク回転操作など)を検出した場合、電動アシスト車のモータによるアシストのモードの切り替え、モータによる回生のモードの切り替え、電動アシスト車の前照灯の点灯と消灯の切り替え、又は、電動アシスト車の押し歩き時におけるモータの強制駆動の有無の切り替えを実行するようにしても良い。指示スイッチの押し方と所定の操作との組み合わせによって、対応する動作を切り替えても良い。
【0160】
さらに、上で述べた制御部は、通信部を介して、バッテリ装置の指示スイッチの押下についての情報を所定時間以内に2回以上受信した場合、又は、バッテリ装置の指示スイッチが所定時間以内に2回以上押し下げられたことによる電動アシスト車の前照灯の状態切り替え指示を受信した場合、前照灯の点灯と消灯とを切り替えるようにしても良い。ユーザの意図に応じて、前照灯を点灯又は消灯させることができる。
【0161】
さらに、上で述べた制御部は、電動アシスト車に対する所定操作を検出せず且つ通信部から受信する情報に基づきバッテリ装置の指示スイッチの押下がなされていないことを特定している状態が所定時間以上継続した場合、自動的にバッテリ装置からの電力供給を停止させるようにしても良い。この場合、上で述べた状態の直前にバッテリ装置の指示スイッチの押下に係る情報(例えば、バッテリ装置の指示スイッチの押下についての情報、又は、バッテリ装置の指示スイッチの押下により特定される指示内容)を受信した場合には、所定時間として第1の値を設定し、上で述べた状態の直前に電動アシスト車に対する所定操作を検出した場合には、上で述べた所定時間として第1の値とは異なる第2の値を設定するようにしても良い。第1の値と第2の値との大小関係はどのようなものであっても良いが、指示スイッチによって所定時間を変化させることができるので、ユーザの意図を反映させることができる。
【0162】
なお、上で述べたバッテリ装置を備えた電動アシスト車であって、このバッテリ装置における表示部以外の表示部を有さない電動アシスト車であれば、表示機を備えない分、コストが削減され、表示機が消費していた電力の節電になる。
【0163】
さらに、上で述べたバッテリ装置を備えた電動アシスト車であって、このバッテリ装置における表示部以外の表示部を有さず且つこのバッテリ装置の指示スイッチ以外に電動アシスト車のモータ制御装置に対する電力供給に関する指示を行うスイッチを有さない電動アシスト車であれば、指示スイッチの分もコスト削減となる。
【0164】
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。
【符号の説明】
【0165】
101 バッテリパック
102 モータ駆動制御装置
1012 バッテリ管理システム
10125 バッテリ管理部
1013 電池セル
10122 ID端子回路
10123 検出回路
1016 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20