(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171922
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】緩衝具
(51)【国際特許分類】
B65D 81/03 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B65D81/03 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089285
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100093931
【弁理士】
【氏名又は名称】長屋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 惠津乃
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA38
3E066BA06
3E066CA04
3E066DB02
3E066GA10
3E066HA01
3E066JA02
3E066JA23
3E066KA04
3E066MA09
3E066NA42
3E066NA60
(57)【要約】
【課題】箱体を用いることなく緩衝具単体で被包装物を被覆した状態で被包装物を保持することができ、かつ、被包装物をしっかりと安定して保持することができ、さらには、脱プラスチックを図ることができる緩衝具を提供する。
【解決手段】緩衝具1は、紙製の緩衝具本体5と接着部400とを有し、緩衝具本体1においては、折れ線C1を介して第1本体部12と第2本体部22が設けられ、第1本体部12には、周状切込み110~130からなる周状切込み群101が設けられ、第2本体部22には、周状切込み210~230からなる周状切込み群201が設けられている。また、接着部400は、第1本体部12の背面側の領域である背面側領域13に設けられ、第2本体部22の正面側の領域には、接着部400における接着部本体402が接着する接着領域23が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝具であって、
紙製のシート状のブランクにより形成された緩衝具本体(5)と、接着部(400、400’)とを有し、
緩衝具本体が、左右方向に設けられた折れ線である折返し用折れ線(C1)を介して背面側となる第1本体部(12)と該折返し用折れ線を介して正面側となる第2本体部(22)とを有し、第1本体部と第2本体部が該折返し用折れ線を介して折返し可能に形成され、
第1本体部と第2本体部の少なくともいずれかに、複数の切込みが継目を介して周状の仮想線に沿って形成された複数の周状不連続切込みである周状不連続切込み群(101、201)が設けられ、該周状不連続切込み群における仮想線の径が異なり、周状不連続切込み群の複数の周状不連続切込みにおける仮想線は、同心状に形成され、
接着部は、第1本体部における背面側の領域である背面側領域(13)に設けられ、
接着部は、該背面側領域に固着されたシート状又は板状の接着部本体(402)と、接着部本体に被覆された剥離シート(404)を有し、
第2本体部の面で、第1本体部の背面側領域が設けられた側と同じ側の面における正面側の領域に接着領域(23)が設けられ、
剥離シートを接着部から取り除き、緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返すことにより接着部本体が第2本体部の接着領域に接着し、
緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返して、被包装物を第1本体部と第2本体部で挟んだ状態で接着部本体を接着領域に接着することにより、周状不連続切込み群が形成された領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形することを特徴とする緩衝具。
【請求項2】
緩衝具本体に設けられた全ての周状不連続切込み群において、最も左側面側に位置する切込みの左端位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を左端仮想線(A1)とし、緩衝具本体に設けられた全ての周状不連続切込み群において、最も右側面側に位置する切込みの右端位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を右端仮想線(A2)とし、左端仮想線と右端仮想線から等距離の位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を中間仮想線(A3)とし、接着部は、背面側領域において、少なくとも、該左端仮想線を跨ぐ領域(Q1)と、該中間仮想線を跨ぐ領域(Q3)と、該右端仮想線を跨ぐ領域(Q2)に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝具。
【請求項3】
該左端仮想線を跨ぐ領域から該右端仮想線を跨ぐ領域まで1つの接着部により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝具。
【請求項4】
該折返し用折れ線の延長線上に複数の直線状の切込みである境界位置切込み(311、312、313)が形成され、緩衝具本体に設けられた周状不連続切込み群における最も外側の周状不連続切込み(110、210)は、該境界位置切込みとともにループ状の仮想線に沿った不連続切込みを構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝具。
【請求項5】
第1本体部は、右側面側の直線状の辺部である第1右辺(12a)と、左側面側の直線状の辺部であり、第1右辺と平行な第1左辺(12b)とを有し、第2本体部は、右側面側の直線状の辺部である第2右辺(22a)と、左側面側の直線状の辺部であり、第2右辺と平行な第2左辺(22b)とを有し、緩衝具を展開した状態において、第1右辺と第2右辺が同一直線上に設けられ、第1左辺と第2左辺が同一直線上に設けられ、
第1右辺に沿って形成された帯状の第1縁部(14)と、第1左辺に沿って形成された帯状の第2縁部(16)と、第2右辺に沿って形成された帯状の第3縁部(24)と、第2左辺に沿って形成された帯状の第4縁部(26)とを有し、
第3縁部は、第2右辺に沿った一対の折れ線(C21)間に形成された切込み(250)により形成された第1突状部(24-2)と、第1突状部から連設され第2右辺に沿って形成された第1帯状部(24-1)を有し、
第4縁部は、第2左辺に沿った一対の折れ線(C22)間に形成された切込み(252)により形成された第2突状部(26-2)と、第2突状部から連設され第2左辺に沿って形成された第2帯状部(26-1)を有し、
折返し用折れ線を介して緩衝具を折り返して、接着部本体を介して第1本体部と第2本体部を接着した状態で、第2本体部側を上面側、第1本体部側を下面側とした場合に、
第1縁部を第1右辺を介して第1本体部に対して下面側に折り曲げるとともに、第3縁部を第2右辺を介して第2本体部に対して下面側に折り曲げることにより第1突状部が上面側に突出するとともに、第1縁部と第1帯状部が下面側に突出し、
第2縁部を第1左辺を介して第1本体部に対して下面側に折り曲げるとともに、第4縁部を第2左辺を介して第2本体部に対して下面側に折り曲げることにより第2突状部が上面側に突出するとともに、第2縁部と第2帯状部が下面側に突出することを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被包装物の表面を被覆した状態で緩衝機能を持たせる緩衝具として、出願人は、特許文献1に記載の緩衝具付き箱体を開示している。
【0003】
特許文献1に記載の緩衝具付き箱体は、箱体7と緩衝具100とを有し、緩衝具100は、周状不連続切込み110~170が形成された本体部102と、本体部102から折れ線を介して連設された立上げ部103~106とを有し、箱体7に配置した被包装物上に緩衝具100を配置し、立上げ部104、105を押し込むことにより、本体部102が被包装物の外形に応じて変形して被包装物を覆い、蓋部80を閉じることにより、箱体7の底面部10と本体部102により被包装物を包んだ状態で保持することができる。
【0004】
また、特許文献2に記載の緩衝機能付き容器は、外箱Bと一対の緩衝材50(60)とを有し、緩衝材50(60)においては、天板に窓状の打ち抜き部が設けられ、緩衝機能性フィルムFを窓貼りすることにより、一対の緩衝機能性フィルムFにより収納物を挟んだ状態で保持する。
【0005】
また、特許文献3に記載の包装容器においては、複数の切り込み部により支持部18が形成された内面部17と、内面部17から連設された底面部11と、底面部11から連設された片19が設けられ、片19の楕円面部192は、包装容器を組み立てた際に側面部13の孔131に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-43948号公報
【特許文献2】特開2004-75073号公報
【特許文献3】特開2006-69628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の緩衝具付き箱体においては、被包装物を被覆した状態で被包装物を保持するには、箱体7が必要であり、緩衝具100のみでは、被包装物を被覆した状態で保持することができず、箱体7の蓋部80を閉じることにより、被包装物を包んだ状態で保持することができるのであり、被包装物を包んだ状態で保持するために、箱体7は、緩衝具100の規格に応じた規格とする必要がある。
【0008】
また、特許文献2の緩衝機能付き容器においても、緩衝材50(60)のみでは、被包装物を被覆した状態で被包装物を保持することはできず、一対の緩衝機能性フィルムFにより収納物を挟んだ状態で、緩衝材を外箱Bに収納して、外箱Bを封止用テープにより封止することにより、被包装物を包んだ状態で保持される。この場合も、緩衝材を外箱Bに収納してはじめて被包装物を包んだ状態で保持されるので、被包装物を包んだ状態で保持するためには、外箱Bに緩衝材50(60)に応じた規格が要求される。また、特許文献2の緩衝機能付き容器においては、緩衝機能性フィルムFが必要になることから、脱プラスチックを図ることができない。
【0009】
また、特許文献3の包装容器においては、複数の切込みが形成され、緩衝機能を有する内面部17が設けられているが、箱形状の容器と一体に構成されているので、被包装物を保持するには箱形状の容器が必要になることには変わりなく、また、片部19に設けられた差込み用の楕円面部192を側面部13の孔131に差し込むことにより被包装物を覆った状態が固定され、つまり、差込みにより包装状態を固定することから、被包装物を被覆した状態をしっかりと固定することができず、孔131に差し込んだ楕円面部192が抜けてしまうおそれもあり、被包装物の被覆状態ををしっかりと安定して維持することができない。
【0010】
そこで、本発明は、箱体を用いることなく緩衝具単体で被包装物を被覆した状態で被包装物を保持することができ、かつ、被包装物をしっかりと安定して保持することができ、さらには、脱プラスチックを図ることができる緩衝具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、緩衝具であって、紙製のシート状のブランクにより形成された緩衝具本体(5)と、接着部(400、400’)とを有し、緩衝具本体が、左右方向に設けられた折れ線である折返し用折れ線(C1)を介して背面側となる第1本体部(12)と該折返し用折れ線を介して正面側となる第2本体部(22)とを有し、第1本体部と第2本体部が該折返し用折れ線を介して折返し可能に形成され、第1本体部と第2本体部の少なくともいずれかに、複数の切込みが継目を介して周状の仮想線に沿って形成された複数の周状不連続切込みである周状不連続切込み群(101、201)が設けられ、該周状不連続切込み群における仮想線の径が異なり、周状不連続切込み群の複数の周状不連続切込みにおける仮想線は、同心状に形成され、接着部は、第1本体部における背面側の領域である背面側領域(13)に設けられ、接着部は、該背面側領域に固着されたシート状又は板状の接着部本体(402)と、接着部本体に被覆された剥離シート(404)を有し、第2本体部の面で、第1本体部の背面側領域が設けられた側と同じ側の面における正面側の領域に接着領域(23)が設けられ、剥離シートを接着部から取り除き、緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返すことにより接着部本体が第2本体部の接着領域に接着し、緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返して、被包装物を第1本体部と第2本体部で挟んだ状態で接着部本体を接着領域に接着することにより、周状不連続切込み群が形成された領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形することを特徴とする。
【0012】
第1の構成の緩衝具においては、緩衝具のみで被包装物を被覆した状態で被包装物を保持することができるので、箱体を用いる必要がない。また、接着部本体が接着領域に接着することにより、第1本体部と第2本体部を向かい合わせの状態で接着して固定するので、被包装物をしっかりと安定して保持することができ、また、接着部本体がシート状又は板状であるので、前後方向に幅をもった面で接着することができ、その点でも、被包装物をしっかりと安定して保持することができる。また、緩衝具は紙製であるので、脱プラスチックを図ることができる。
【0013】
また、第2には、上記第1の構成において、緩衝具本体に設けられた全ての周状不連続切込み群において、最も左側面側に位置する切込みの左端位置(緩衝具本体に設けられた全ての周状不連続切込み群における左側面側の端部位置としてもよい)を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を左端仮想線(A1)とし、緩衝具本体に設けられた全ての周状不連続切込み群において、最も右側面側に位置する切込みの右端位置(緩衝具本体に設けられた全ての周状不連続切込み群における右側面側の端部位置としてもよい)を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を右端仮想線(A2)とし、左端仮想線と右端仮想線から等距離の位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を中間仮想線(A3)とし、接着部は、背面側領域において、少なくとも、該左端仮想線を跨ぐ領域(Q1)と、該中間仮想線を跨ぐ領域(Q3)と、該右端仮想線を跨ぐ領域(Q2)に形成されていることを特徴とする。
【0014】
第2の構成によれば、接着部が、左端仮想線を跨ぐ領域と、中間仮想線を跨ぐ領域と、右端仮想線を跨ぐ領域に形成されているので、被包装物を保持した状態で、第1本体部の背面側領域と第2本体部の接着領域間に隙間が形成されるのを防止することができ、被包装物をよりしっかりと保持することができる。
【0015】
また、第3には、上記第1又は第2の構成において、該左端仮想線を跨ぐ領域から該右端仮想線を跨ぐ領域まで1つの接着部により形成されていることを特徴とする。
【0016】
第3の構成によれば、該左端仮想線を跨ぐ領域から該右端仮想線を跨ぐ領域まで1つの接着部により形成されているので、被包装物を保持した状態で、第1本体部の背面側領域と第2本体部の接着領域間に隙間が形成されるのをより防止することができ、被包装物をよりしっかりと保持することができる。また、緩衝具の製造に際して、接着部の取付けの手間が少なく、また、緩衝具の使用に際して、剥離シートを剥がす手間を少なくすることができる。
【0017】
また、第4には、上記第1又は第2の構成において、該折返し用折れ線の延長線上に複数の直線状の切込みである境界位置切込み(311、312、313)が形成され、緩衝具本体に設けられた周状不連続切込み群における最も外側の周状不連続切込み(110、210)は、該境界位置切込みとともにループ状の仮想線に沿った不連続切込みを構成することを特徴とする。
【0018】
第4の構成によれば、周状不連続切込み群における最も外側の周状不連続切込みは、境界位置切込みを共有した構成となり、これにより、被包装物を保持した際に、第1本体部と第2本体部の境界付近の空間を広くして、体積の大きい被包装物でも効率よく収納することができる。
【0019】
なお、第4-1の構成として、上記第1から第4までのいずれかの構成において、少なくとも1つの周状不連続切込み群について、該周状不連続切込み群における複数の周状不連続切込みが設けられた領域を破断するために指を掛止するための開口部(240、242、244)が設けられていることを特徴とするものとしてもよい。
【0020】
また、第5には、上記第1又は第2の構成において、第1本体部は、右側面側の直線状の辺部である第1右辺(12a)と、左側面側の直線状の辺部であり、第1右辺と平行な第1左辺(12b)とを有し、第2本体部は、右側面側の直線状の辺部である第2右辺(22a)と、左側面側の直線状の辺部であり、第2右辺と平行な第2左辺(22b)とを有し、緩衝具を展開した状態において、第1右辺と第2右辺が同一直線上に設けられ、第1左辺と第2左辺が同一直線上に設けられ、第1右辺に沿って形成された帯状の第1縁部(14)と、第1左辺に沿って形成された帯状の第2縁部(16)と、第2右辺に沿って形成された帯状の第3縁部(24)と、第2左辺に沿って形成された帯状の第4縁部(26)とを有し、第3縁部は、第2右辺に沿った一対の折れ線(C21)間に形成された切込み(250)により形成された第1突状部(24-2)と、第1突状部から連設され第2右辺に沿って形成された第1帯状部(24-1)を有し、第4縁部は、第2左辺に沿った一対の折れ線(C22)間に形成された切込み(252)により形成された第2突状部(26-2)と、第2突状部から連設され第2左辺に沿って形成された第2帯状部(26-1)を有し、折返し用折れ線を介して緩衝具を折り返して、接着部本体を介して第1本体部と第2本体部を接着した状態で、第2本体部側を上面側、第1本体部側を下面側とした場合に、第1縁部を第1右辺を介して第1本体部に対して下面側に折り曲げるとともに、第3縁部を第2右辺を介して第2本体部に対して下面側に折り曲げることにより第1突状部が上面側に突出するとともに、第1縁部と第1帯状部が下面側に突出し、第2縁部を第1左辺を介して第1本体部に対して下面側に折り曲げるとともに、第4縁部を第2左辺を介して第2本体部に対して下面側に折り曲げることにより第2突状部が上面側に突出するとともに、第2縁部と第2帯状部が下面側に突出することを特徴とする。
【0021】
第5の構成によれば、第1突状部と第2突状部が緩衝具の上面側に突出するとともに、第1縁部~第4縁部が緩衝具の下面側に突出するので、被包装物を保持した緩衝具を箱体等の収納容器に収納した際に、第1突状部及び第2突状部と第1縁部~第4縁部が収納容器の内側の面に接して緩衝具(特に、被包装物を保持した第1本体部と第2本体部)が配置される空間を確保して、被包装物をさらに保護することができる。
【0022】
なお、第5の構成において、第1本体部が、背面側の直線状の辺部で、第1右辺及び第1左辺と直角をなす後辺(12c)とを有し、第2本体部が、正面側の直線状の辺部で、第2右辺及び第2左辺と直角をなす前辺(22c)とを有するものとしてもよい。
【0023】
また、第6には、緩衝具であって、紙製のシート状のブランクにより形成された緩衝具本体(5)と、接着部(400、400’)とを有し、緩衝具本体が、左右方向に設けられた折れ線である折返し用折れ線(C1)を介して背面側となる第1本体部(12)と該折返し用折れ線を介して正面側となる第2本体部(22)とを有し、第1本体部と第2本体部が該折返し用折れ線を介して折返し可能に形成され、第1本体部には、複数の切込みが継目を介して周状の仮想線(110S、120S、130S)に沿って形成された複数の周状不連続切込み(110、120、130)である第1周状不連続切込み群(101)が設けられ、第1周状不連続切込み群における仮想線の径が異なり、第1周状不連続切込み群の複数の周状不連続切込みにおける仮想線は、同心状に形成され、第2本体部には、複数の切込みが継目を介して周状の仮想線(210S、220S、230S)に沿って形成された複数の周状不連続切込み(210、220、230)である第2周状不連続切込み群(201)が設けられ、第2周状不連続切込み群における仮想線の径が異なり、第2周状不連続切込み群の複数の周状不連続切込みにおける仮想線は、同心状に形成され、接着部は、第1本体部における背面側の領域である背面側領域(13)に設けられ、接着部は、該背面側領域に固着された接着部本体(402)と、接着部本体に被覆された剥離シート(404)を有し、第2本体部の面で、第1本体部の背面側領域が設けられた側と同じ側の面における正面側の領域に接着領域(23)が設けられ、剥離シートを接着部から取り除き、緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返すことにより接着部本体が第2本体部の接着領域に接着し、緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返して、被包装物を第1本体部と第2本体部で挟んだ状態で接着部本体を接着領域に接着することにより、第1周状不連続切込み群が形成された領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形するとともに、第2周状不連続切込み群が形成された領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形することを特徴とする。
【0024】
第6の構成の緩衝具においては、緩衝具のみで被包装物を被覆した状態で被包装物を保持することができるので、箱体を用いる必要がない。また、接着部本体が接着領域に接着することにより、第1本体部と第2本体部を向かい合わせの状態で接着して固定するので、被包装物をしっかりと安定して保持することができ、また、接着部本体がシート状又は板状であるので、前後方向に幅をもった面で接着することができ、その点でも、被包装物をしっかりと安定して保持することができる。また、緩衝具は紙製であるので、脱プラスチックを図ることができる。
【0025】
なお、上記第6の構成において、「接着部は、第1本体部における背面側の領域である背面側領域(13)に設けられ、」を「接着部は、第1本体部における領域で、複数の第1周状不連続切込み群において最も背面側に位置する切込みの背面側の端部位置を通り該折返し用折れ線と平行な仮想直線(G)よりも背面側の領域である背面側領域に設けられ、」としてもよく、また、「第2本体部の面で、第1本体部の背面側領域が設けられた側と同じ側の面における正面側の領域に接着領域(23)が設けられ、」を「第2本体部の面で、第1本体部の背面側領域が設けられた側と同じ側の面における領域で、第2周状不連続切込み群において最も正面側に位置する切込みの正面側の端部位置を通り該折返し用折れ線と平行な仮想直線(H)よりも正面側の領域に接着部本体と接着するための接着領域(23)が設けられ、」としてもよい。
【0026】
また、上記第6の構成において、「緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返して、被包装物を第1本体部と第2本体部で挟んだ状態で接着部本体を接着領域に接着することにより、第1周状不連続切込み群が形成された領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形するとともに、第2周状不連続切込み群が形成された領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形する」を「第1本体部における第1周状不連続切込み群が形成された領域又は第2本体部における第2周状不連続切込み群が形成された領域に被包装物を配置した状態で、緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返して接着部本体が第2本体部の接着領域に接着することにより、第1周状不連続切込み群が形成された領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形するとともに、第2周状不連続切込み群が形成された領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形する」としてもよい。
【0027】
また、第7には、上記第6の構成において、第1周状不連続切込み群及び第2周状不連続切込み群において、最も左側面側に位置する切込みの左端位置(第1周状不連続切込み群及び第2周状不連続切込み群における左側面側の端部位置としてもよい)を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を左端仮想線(A1)とし、第1周状不連続切込み群及び第2周状不連続切込み群において、最も右側面側に位置する切込みの右端位置(第1周状不連続切込み群及び第2周状不連続切込み群における右側面側の端部位置としてもよい)を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を右端仮想線(A2)とし、左端仮想線と右端仮想線から等距離の位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を中間仮想線(A3)とし、接着部は、背面側領域において、少なくとも、該左端仮想線を跨ぐ領域(Q1)と、該中間仮想線を跨ぐ領域(Q3)と、該右端仮想線を跨ぐ領域(Q2)に形成されていることを特徴とする。
【0028】
第7の構成によれば、接着部が、左端仮想線を跨ぐ領域と、中間仮想線を跨ぐ領域と、右端仮想線を跨ぐ領域に形成されているので、被包装物を保持した状態で、第1本体部の背面側領域と第2本体部の接着領域間に隙間が形成されるのを防止することができ、被包装物をよりしっかりと保持することができる。
【0029】
また、第8には、上記第6又は第7の構成において、第1周状不連続切込み群及び第2周状不連続切込み群において、最も左側面側に位置する切込みの左端位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を左端仮想線(A1)とし、第1周状不連続切込み群及び第2周状不連続切込み群において、最も右側面側に位置する切込みの右端位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を右端仮想線(A2)とし、接着部は、背面側領域において、該左端仮想線よりも左側面側の位置から該右端仮想線の右側面側の位置まで1つの接着部により連続して形成されていることを特徴とする。
【0030】
第8の構成によれば、該左端仮想線を跨ぐ領域から該右端仮想線を跨ぐ領域まで1つの接着部により形成されているので、被包装物を保持した状態で、第1本体部の背面側領域と第2本体部の接着領域間に隙間が形成されるのをより防止することができ、被包装物をよりしっかりと保持することができる。また、緩衝具の製造に際して、接着部の取付けの手間が少なく、また、緩衝具の使用に際して、剥離シートを剥がす手間を少なくすることができる。
【0031】
また、第9には、上記第6から第8までのいずれかの構成において、該折返し用折れ線の延長線上に複数の直線状の切込みである境界位置切込み(311、312、313)が形成され、第1周状不連続切込み群における最も外側の周状不連続切込み(110)は、該境界位置切込みとともにループ状の仮想線に沿った不連続切込みを構成し、第2周状不連続切込み群における最も外側の周状不連続切込み(210)は、該境界位置切込みとともにループ状の仮想線に沿った不連続切込みを構成することを特徴とする。
【0032】
第9の構成によれば、第1周状不連続切込み群と第2周状不連続切込み群における最も外側の周状不連続切込みは、境界位置切込みを共有した構成となり、これにより、被包装物を保持した際に、第1本体部と第2本体部の境界付近の空間を広くして、体積の大きい被包装物でも効率よく収納することができる。
【0033】
また、第10には、上記第6から第9までのいずれかの構成において、複数の第1周状不連続切込み群と複数の第2周状不連続切込み群における少なくともいずれかについて、複数の周状不連続切込みが設けられた領域を破断するために指を掛止するための開口部(240、242、244)が設けられていることを特徴とする。
【0034】
また、第11には、緩衝具であって、紙製のシート状のブランクにより形成された緩衝具本体(5)と、接着部(400、400’)とを有し、緩衝具本体が、左右方向に設けられた折れ線である折返し用折れ線(C1)を介して背面側となる第1本体部(12)と該折返し用折れ線を介して正面側となる第2本体部(22)とを有し、第1本体部と第2本体部が該折返し用折れ線を介して折返し可能に形成され、第1本体部と第2本体部のいずれかに、複数の切込みが継目を介して周状の仮想線に沿って形成された複数の周状不連続切込みである周状不連続切込み群(101、201)が設けられ、該周状不連続切込み群における仮想線の径が異なり、周状不連続切込み群の複数の周状不連続切込みにおける仮想線は、同心状に形成され、接着部は、第1本体部における背面側の領域である背面側領域(13)に設けられ、接着部は、該背面側領域に固着されたシート状又は板状の接着部本体(402)と、接着部本体に被覆された剥離シート(404)を有し、第2本体部の面で、第1本体部の背面側領域が設けられた側と同じ側の面における正面側の領域に接着領域(23)が設けられ、剥離シートを接着部から取り除き、緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返すことにより接着部本体が第2本体部の接着領域に接着し、緩衝具を該折返し用折れ線を介して折り返して、被包装物を第1本体部と第2本体部で挟んだ状態で接着部本体を接着領域に接着することにより、周状不連続切込み群が形成された領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形することを特徴とする。
【0035】
第11の構成の緩衝具においては、緩衝具のみで被包装物を被覆した状態で被包装物を保持することができるので、箱体を用いる必要がない。また、接着部本体が接着領域に接着することにより、第1本体部と第2本体部を向かい合わせの状態で接着して固定するので、被包装物をしっかりと安定して保持することができ、また、接着部本体がシート状又は板状であるので、前後方向に幅をもった面で接着することができ、その点でも、被包装物をしっかりと安定して保持することができる。また、緩衝具は紙製であるので、脱プラスチックを図ることができる。
【0036】
また、第12には、上記第11の構成において、周状不連続切込み群において、最も左側面側に位置する切込みの左端位置(周状不連続切込み群における左側面側の端部位置としてもよい)を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を左端仮想線(A1)とし、周状不連続切込み群において、最も右側面側に位置する切込みの右端位置(周状不連続切込み群における右側面側の端部位置としてもよい)を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を右端仮想線(A2)とし、左端仮想線と右端仮想線から等距離の位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を中間仮想線(A3)とし、接着部は、背面側領域において、少なくとも、該左端仮想線を跨ぐ領域(Q1)と、該中間仮想線を跨ぐ領域(Q3)と、該右端仮想線を跨ぐ領域(Q2)に形成されていることを特徴とする。
【0037】
第12の構成によれば、接着部が、左端仮想線を跨ぐ領域と、中間仮想線を跨ぐ領域と、右端仮想線を跨ぐ領域に形成されているので、被包装物を保持した状態で、第1本体部の背面側領域と第2本体部の接着領域間に隙間が形成されるのを防止することができ、被包装物をよりしっかりと保持することができる。
【0038】
また、第13には、上記第11又は第12の構成において、周状不連続切込み群において、最も左側面側に位置する切込みの左端位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を左端仮想線(A1)とし、第1周状不連続切込み群及び第2周状不連続切込み群において、最も右側面側に位置する切込みの右端位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線を右端仮想線(A2)とし、接着部は、背面側領域において、該左端仮想線よりも左側面側の位置から該右端仮想線の右側面側の位置まで1つの接着部により連続して形成されていることを特徴とする。
【0039】
第13の構成によれば、該左端仮想線を跨ぐ領域から該右端仮想線を跨ぐ領域まで1つの接着部により形成されているので、被包装物を保持した状態で、第1本体部の背面側領域と第2本体部の接着領域間に隙間が形成されるのをより防止することができ、被包装物をよりしっかりと保持することができる。また、緩衝具の製造に際して、接着部の取付けの手間が少なく、また、緩衝具の使用に際して、剥離シートを剥がす手間を少なくすることができる。
【0040】
また、第14には、上記第11から第13までのいずれかの構成において、該折返し用折れ線の延長線上に複数の直線状の切込みである境界位置切込み(311、312、313)が形成され、周状不連続切込み群における最も外側の周状不連続切込み(110、210)は、該境界位置切込みとともにループ状の仮想線に沿った不連続切込みを構成することを特徴とする。
【0041】
第14の構成によれば、周状不連続切込み群における最も外側の周状不連続切込みは、境界位置切込みを共有した構成となり、これにより、被包装物を保持した際に、第1本体部と第2本体部の境界付近の空間を広くして、体積の大きい被包装物でも効率よく収納することができる。
【0042】
また、第15には、上記第11から第14までのいずれかの構成において、周状不連続切込み群について、複数の周状不連続切込みが設けられた領域を破断するために指を掛止するための開口部(240、242、244)が設けられていることを特徴とする。
【0043】
また、第16には、上記第6から第15までのいずれかの構成(第8及び第13の構成を除く)において、該左端仮想線を跨ぐ領域から該右端仮想線を跨ぐ領域まで1つの接着部により形成されていることを特徴とする。
【0044】
第16の構成によれば、該左端仮想線を跨ぐ領域から該右端仮想線を跨ぐ領域まで1つの接着部により形成されているので、被包装物を保持した状態で、第1本体部の背面側領域と第2本体部の接着領域間に隙間が形成されるのをより防止することができ、被包装物をよりしっかりと保持することができる。また、緩衝具の製造に際して、接着部の取付けの手間が少なく、また、緩衝具の使用に際して、剥離シートを剥がす手間を少なくすることができる。
【0045】
また、第17には、上記第6から第15までのいずれかの構成(第8及び第13の構成を除く)において、左端仮想線を跨ぐ領域に設けられた接着部と、中間仮想線を跨ぐ領域に設けられた接着部と、右端仮想線を跨ぐ領域に設けられた接着部が別個に設けられていることを特徴とする。
【0046】
また、第18には、上記第1から第17までのいずれかの構成において、接着部本体は、シート状の基材と基材の両面に設けられた粘着層により形成されていることを特徴とする。
【0047】
また、第19には、上記第1から第18までのいずれかの構成において、接着部本体は、ホットメルト剤により形成されていることを特徴とする。
【0048】
また、第20には、上記第1から第19までのいずれかの構成において、第1周状不連続切込み群と第2周状不連続切込み群における各周状不連続切込み(又は、周状不連続切込み群における各周状不連続切込み)において、1つの周状不連続切込みである対象周状不連続切込みを間に挟んで隣接する2つの周状不連続切込みである第1隣接周状不連続切込みと第2隣接周状不連続切込みにおいては、第1隣接周状不連続切込みの継目と第2隣接周状不連続切込みの継目の間の位置に対象周状不連続切込みの切込みである対象切込みが設けられるとともに、第1隣接周状不連続切込みの該継目から連続した切込みと、第2隣接周状不連続切込みの該継目から連続した切込みの間に該対象切込みが設けられていることにより、第1隣接周状不連続切込みの該継目と第2隣接周状不連続切込みの該継目の間には、2つの該継目間の直線経路に対して迂回する迂回路(R1、R2)が設けられており、 緩衝具を箱本体内に収納した状態とすることにより、第1隣接周状不連続切込みの該継目から連続した切込みと対象切込みの間の領域が傾斜するとともに、第2隣接周状不連続切込みの該継目から連続した切込みと対象切込みの間の領域が傾斜することにより、第1隣接周状不連続切込みの継目に沿った領域と第2隣接周状不連続切込みの継目に沿った領域とが上下方向に間隔を介した状態となり、複数の第1周状不連続切込みの領域と複数の第2周状不連続切込みの領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形することを特徴とするものとしてもよい。
【発明の効果】
【0049】
本発明に基づく緩衝具によれば、緩衝具のみで被包装物を被覆した状態で被包装物を保持することができるので、箱体を用いる必要がない。また、接着部本体が接着領域に接着することにより、第1本体部と第2本体部を向かい合わせの状態で接着して固定するので、被包装物をしっかりと安定して保持することができ、また、接着部本体がシート状又は板状であるので、前後方向に幅をもった面で接着することができ、その点でも、被包装物をしっかりと安定して保持することができる。また、緩衝具は紙製であるので、脱プラスチックを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図7】緩衝具の説明図であり、(a)は底面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図、(e)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明においては、箱体を用いることなく緩衝具単体で被包装物を被覆した状態で被包装物を保持することができ、かつ、被包装物の被覆状態をしっかりと安定して維持することができ、さらには、脱プラスチックを図ることができる緩衝具を提供するという目的を以下のようにして実現した。なお、図面において、X方向は左右方向を示し、Y方向は前後方向を示し、X方向とY方向は直角をなす。
【0052】
本発明に基づく緩衝具1は、
図1~
図7に示すように構成され、緩衝具1は、緩衝具本体5と、緩衝具本体5に接着された接着部400とを有している。
【0053】
ここで、緩衝具本体5は、
図1~
図7に示すように、全体に1枚のシート状を呈し、1枚のシート状のブランク(具体的には、段ボール製(例えば、薄型段ボール製)のブランクであり、厚紙製のブランク等の他の紙製のブランクでもよい)により形成されている。つまり、緩衝具本体5は、は、段ボール材(特に、両面段ボール材)等の紙製のシート状のブランクにより形成されている。
【0054】
緩衝具本体5は、略長方形状の第1構成部10と、第1構成部12から折れ線(折返し用折れ線)C1を介して連設された、略長方形状の第2構成部20とを有している。
【0055】
第1構成部10は、略長方形状の第1本体部12と、第1本体部12の3方向の周囲に設けられた縁部14~18とを有している。
【0056】
第1本体部12は、直線状の右側面側の辺部(第1右辺)12aと、直線状の左側面側の辺部(第1左辺)12bと、直線状の背面側の辺部(後辺)12cと、略直線状の正面側の辺部12dとで囲まれ、全体に略長方形状の外形(正面側の辺部と背面側の辺部を長辺とした横長の略長方形状の外形)を有している。辺部12aと辺部12bは、辺部12cと直角になっている。また、辺部12dは、直線状の辺部12d-1と、辺部12d-1の両側に形成された切欠状の辺部12d-2、12d-3とを有している。
【0057】
辺部12d-2は、辺部12d-1の右側面側の端部から右斜め背面側に直線状に形成された傾斜辺部と、傾斜辺部から右側面側に形成され辺部12cと平行に形成された辺部とを有していて、この辺部12d-2により、第1構成部10の右正面側の角部に切欠きを形成している。この辺部12d-2に沿って、第2構成部20との間に切込み301が形成されている。
【0058】
また、辺部12d-3は、辺部12d-1の左側面側の端部から左斜め背面側に直線状に形成された傾斜辺部と、傾斜辺部から左側面側に形成され辺部12cと平行に形成された辺部とを有していて、この辺部12d-3により、第1構成部10の左正面側の角部に切欠きを形成している。この辺部12d-3に沿って、第2構成部20との間に切込み302が形成されている。
【0059】
なお、辺部12d-1に沿って、第2構成部20との間に折れ線C1と切込み(境界位置切込み)311、312、313が形成が形成され、折れ線C1は、切込み301と切込み311間と、切込み311と切込み312間と、切込み312と切込み313間と、切込み313と切込み302間に形成されている。なお、4つの折れ線C1のうち中央に位置する2つの折れ線C1の両側には、切込み311、312、313との間にY方向に短い切込みが形成され、これにより、該2つの折れ線C1を介した折返しを容易としている。
【0060】
また、第1本体部12には、複数の周状不連続切込み(第1周状不連続切込み)(以下単に「周状切込み」とする)110~130が形成されている。なお、「周状不連続切込み」とは、複数の切込みが継目を介して周状に形成されており、周状に不連続の切込みであることから、不連続の語を用いている。
【0061】
ここで、周状切込み110~130は、同心状に形成され、外側から内側に向けて、周状切込み110、120、130の順に径が小さくなるように形成されている。なお、緩衝具1に設けられた切込みは、表側の面から裏側の面まで貫通した切込みである。なお、周状切込み110~130で、周状切込み群(周状不連続切込み群、第1周状不連続切込み群)101を構成する。
【0062】
ここで、周状切込み110は、
図2に示すように、第1本体部12の正面及び右側面側の角部(前右側の角部)側に形成された切込み111と、第1本体部12の右側面及び背面側の角部(後右側の角部)側に形成された切込み113と、第1本体部12の背面側に形成された切込み115と、第1本体部12の背面及び左側面側の角部(後左側の角部)側に形成された切込み117と、第1本体部12の正面及び左側面側の角部(前左側の角部)側に形成された切込み119とを有している。
【0063】
つまり、切込み111は、Y方向に形成された直線状の切込み111aと、切込み111aの正面側の端部から斜め正面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)111bとを有し、切込み113は、切込み111aから継目112を介してY方向に形成された直線状の切込み113aと、切込み113aの背面側の端部から斜め背面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)113bと、切込み113bの端部からX方向に形成された直線状の切込み113cとを有し、切込み115は、切込み113cから継目114を介してX方向に形成された切込みであり、切込み117は、切込み115から継目116を介してX方向に形成された直線状の切込み117aと、切込み117aの左側面側の端部から斜め正面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)117bと、切込み117bの端部からY方向に形成された直線状の切込み117cを有し、切込み119は、切込み117cから継目118を介してY方向に形成された直線状の切込み119aと、切込み119aの正面側の端部から斜め正面右側に向けて形成された切込み(傾斜切込み)119bとを有している。
【0064】
周状切込み110において、切込み111aと切込み113aは同一直線上にあり、切込み113cと切込み115と切込み117aは同一直線上にあり、切込み117cと切込み119aは同一直線上にあり、切込み111、113、115、117、119は、周状の仮想線110S上に形成され、周状の仮想線110Sに沿って、切込みと継目が交互に形成されている。
【0065】
周状切込み110は、第2本体部22との境界に形成された切込み311、312、313とともに、全体でループ状になる(つまり、ループ状の仮想線に沿って不連続切込みが形成されている)ことから、周状切込み110としては、正面側を除いた範囲に周状に形成されているといえる。なお、第2本体部22との境界においても、切込み311、312、313と継目としての折れ線C1とが交互に形成されており、第2本体部22との境界を含めた構成においても、切込みが周状の仮想線上に形成され、切込みと継目が交互に形成されている。つまり、周状の仮想線110Sは、ループ状ではないが、ループ状のみならず、ループ形状の一部の場合も「周状」と表現している。
【0066】
また、周状切込み120は、
図3に示すように、第1本体部12の右側面側の形成された切込み121と、第1本体部12の背面側の形成された切込み123と、第1本体部12の左側面側に形成された切込み125と、第1本体部12の正面側に形成された切込み127とを有している。
【0067】
つまり、切込み121は、Y方向に形成された直線状の切込み121aと、切込み121aの正面側の端部から斜め正面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)121bと、切込み121aの背面側の端部から斜め背面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)121cとを有し、切込み123は、X方向に形成された直線状の切込み123aと、切込み121cから継目122を介して形成され、切込み123aの右側面側の端部から斜め正面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)123bと、切込み122aの左側面側の端部から斜め正面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)123cとを有し、切込み125は、Y方向に形成された直線状の切込み125aと、切込み123cから継目124を介して形成され、切込み125aの背面側の端部から斜め背面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)125bと、切込み125aの正面側の端部から斜め正面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)125cとを有し、切込み127は、X方向に形成された直線状の切込み127aと、切込み125cから継目126を介して形成され、切込み127aの左側面側の端部から斜め背面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)127bと、切込み127aの右側面側の端部から斜め背面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)127cとを有している。また、切込み121bは、切込み127cから継目128を介して形成されている。
【0068】
周状切込み120は、左右線対称及び前後線対称に形成され、例えば、切込み121と切込み125は左右線対称に形成され、切込み123と切込み127は前後線対称に形成されている。周状切込み120において、切込み121cと切込み123bは同一直線上にあり、切込み123cと切込み125bは同一直線上にあり、切込み125cと切込み127bは同一直線上にあり、切込み127cと切込み121bは同一直線上にあり、切込み121、123、125、127は、周状の仮想線120S上に形成され、周状の仮想線120Sに沿って、切込みと継目が交互に形成されている。以上のように、周状切込み120においては、切込み121と、切込み123と、切込み125と、切込み127により全体でループ状に形成されている。
【0069】
また、周状切込み130は、
図3に示すように、第1本体部12の背面側の形成された切込み131と、第1本体部12の正面側に形成された切込み133とを有している。
【0070】
つまり、切込み131は、X方向に形成された直線状の切込み131aと、切込み131aの右側面側の端部から斜め正面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)131bと、切込み131aの左側面側の端部から斜め正面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)131cとを有し、切込み133は、X方向に形成された直線状の切込み133aと、切込み131cから継目132を介して形成され、切込み132aの左側面側の端部から斜め背面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)133bと、切込み133aの右側面側の端部から斜め背面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)133cとを有している。また、切込み131bは、切込み133cから継目134を介して形成されている。
【0071】
周状切込み130は、左右線対称及び前後線対称に形成され、例えば、切込み131と切込み133は前後線対称に形成され、切込み131と切込み135は、周状の仮想線130S上に形成され、周状の仮想線130Sに沿って、切込みと継目が交互に形成されている。以上のように、周状切込み130においては、切込み131と、切込み133により全体でループ状に形成されている。
【0072】
なお、周状切込み110~130における各切込みを構成する切込みで、他の切込みに連設されていない切込みの端部は、円弧状に形成されていて、緩衝具1を使用して被包装物を覆うために周状切込み110~130の形成領域を立体状に変形させた際に、各周状切込みにおける隣接する切込み間の継目が破れにくいようにしている。
【0073】
なお、周状切込み110~130は、左右方向には第1本体部12の略中央位置に形成され、切込み111a、113aと折れ線C11間の長さと、切込み117c、119aと折れ線C12間の長さは、略同一となっている。
【0074】
また、周状切込み110~130は、前後方向には第1本体部12において正面側に偏った位置に形成されていて、切込み113c、115、117aと折れ線C13間には、接着部400を取り付ける領域である背面側領域13が設けられている。
【0075】
また、縁部(第1縁部)14は、第1本体部12の右側面側の辺部12aから折れ線C11を介して連設され、折れ線C11に沿って帯状に形成されている。
【0076】
また、縁部(第2縁部)16は、第1本体部12の左側面側の辺部12bから折れ線C12を介して連設され、折れ線C12に沿って帯状に形成されている。
【0077】
また、縁部18は、第1本体部12の背面側の辺部12cから折れ線C13を介して連設され、折れ線C13に沿って帯状に形成されている。
【0078】
第1構成部10は、上記のように構成され、全体に左右線対称に形成されている。
【0079】
次に、第2構成部20は、第1構成部10から折れ線C1を介して連設され、第2構成部20は、略長方形状の第2本体部22と、第2本体部22の3方向の周囲に設けられた縁部24~28とを有している。
【0080】
第2本体部22は、右側面側の辺部(第2右辺)22aと、左側面側の辺部(第2左辺)22bと、直線状の正面側の辺部(前辺)22cと、略直線状の背面側の辺部22dとで囲まれ、全体に略長方形状の外形(正面側の辺部と背面側の辺部を長辺とした横長の略長方形状の外形)を有している。
【0081】
辺部22aは、折れ線C21に沿った一対の直線状の辺部22a-1、22a-2と、該一対の辺部22a-1、22a-2間に設けられ、略横長U字状の切込み250に沿った辺部22a-3とを有し、辺部22a-1、22a-2は、Y方向に形成されていて、辺部12aの延長線上に形成されている。また、辺部22a-3は、Y方向の直線状の辺部と、該直線状の辺部の上端から斜め背面右側に向けて形成された直線状の辺部(傾斜辺部)と、該直線状の辺部の下端から斜め正面右側に向けて形成された直線状の辺部(傾斜辺部)とを有している。
【0082】
辺部22bは、折れ線C22に沿った一対の直線状の辺部22b-1、22b-2と、該一対の辺部22b-1、22b-2間に設けられ、略横長U字状の切込み252に沿った辺部22b-3とを有し、辺部22b-1、22b-2は、Y方向に形成されていて、辺部12bの延長線上に形成されている。また、辺部22b-3は、Y方向の直線状の辺部と、該直線状の辺部の上端から斜め背面左側に向けて形成された直線状の辺部(傾斜辺部)と、該直線状の辺部の下端から斜め正面左側に向けて形成された直線状の辺部(傾斜辺部)とを有している。
【0083】
辺部22cは、X方向の直線状を呈し、辺部22cは、辺部22a-1、22b-1と直角をなしている。
【0084】
また、辺部22dは、直線状の辺部22d-1と、辺部22d-1の両側に形成された切欠状の辺部22d-2、22d-3とを有している。
【0085】
辺部22d-2は、切込み301に沿って形成されており、辺部22d-1の右側面側の端部から右斜め背面側に直線状に形成された傾斜辺部と、傾斜辺部から右側面側に形成され辺部22cと平行に形成された辺部とを有していて、この辺部22d-2により、第2構成部20の右背面側の角部に突状部を形成している。
【0086】
また、辺部12d-3は、切込み302に沿って形成されており、辺部22d-1の左側面側の端部から左斜め背面側に直線状に形成された傾斜辺部と、傾斜辺部から左側面側に形成され辺部12cと平行に形成された辺部とを有していて、この辺部22d-3により、第2構成部20の左背面側の角部に突状部を形成している。
【0087】
また、第2本体部22には、複数の周状不連続切込み(第2周状不連続切込み)(以下単に「周状切込み」とする)210~230が形成されている。
【0088】
ここで、周状切込み210~230は、同心状に形成され、外側から内側に向けて、周状切込み210、220、230の順に径が小さくなるように形成されている。周状切込み210~230は、周状切込み110~130と略線対称に形成されている。つまり、周状切込み210における一部の切込みの構成が異なる点を除いて、周状切込み210~230は、折れ線C1に沿った仮想中心線を介して、周状切込み110~130と前後線対称に形成され、さらに、第2構成部20においては、開口部240、242、244が形成されている点が異なる。つまり、周状切込み110に囲まれた領域(仮想線110Sと折れ線C1に沿った仮想直線に囲まれた領域)と周状切込み210に囲まれた領域(仮想線210Sと折れ線C1に沿った仮想直線に囲まれた領域)とでは、左右方向の幅(最大幅)と前後方向の幅(最大幅)は同一に形成されている。つまり、切込み115と切込み312間の長さと、切込み215と切込み312間の長さは同一であり、切込み113aと切込み117c間の長さと、切込み213aと切込み217b間の長さは同一となっている。なお、周状切込み210~230で、周状切込み群(周状不連続切込み群、第2周状不連続切込み群)201を構成する。
【0089】
ここで、周状切込み210は、
図5に示すように、第2本体部22の背面及び右側面側の角部(後右側の角部)側に形成された切込み211と、第2本体部22の右側面及び正面側の角部(前右側の角部)側に形成された切込み213a、213bと、第2本体部22の正面側に形成された切込み215と、第2本体部22の正面及び左側面側の角部(前左側の角部)側に形成された切込み217a、217bと、第2本体部22の背面及び左側面側の角部(前左側の角部)側に形成された切込み219とを有している。
【0090】
つまり、切込み211は、Y方向に形成された直線状の切込み211aと、切込み211aの背面側の端部から斜め背面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)211bとを有し、切込み213aは、切込み211aから継目212を介してY方向に形成された直線状の切込みであり、切込み213bは、切込み213aから開口部240を介してX方向に形成された直線状の切込みであり、切込み215は、切込み213cから継目214を介してX方向に形成された切込みであり、切込み217aは、切込み215から継目216を介してX方向に形成された直線状の切込みであり、切込み217bは、切込み217aから開口部242を介して形成された直線状の切込みであり、切込み219は、切込み217bから継目218を介してY方向に形成された直線状の切込み219aと、切込み219aの背面側の端部から斜め背面右側に向けて形成された切込み(傾斜切込み)219bとを有している。
【0091】
開口部240は、略二等辺三角形を呈し、切込み213aの延長線上に形成された辺部と、切込み213bの延長線上に形成された辺部と、2つの辺部に対して傾斜した辺部を有している。
【0092】
同様に、開口部242は、略二等辺三角形を呈し、切込み217aの延長線上に形成された辺部と、切込み217bの延長線上に形成された辺部と、2つの辺部に対して傾斜した辺部を有している。
【0093】
周状切込み210において、切込み211aと切込み213aは同一直線上にあり、切込み213bと切込み215と切込み217aは同一直線上にあり、切込み217bと切込み219aは同一直線上にあり、切込み211、213a、213b、215、217a、217b、219は、周状の仮想線210S上に形成され、周状の仮想線210Sに沿って、切込みと継目が交互に形成されている。
【0094】
周状切込み210は、第1本体部12との境界に形成された切込み311、312、313とともに、全体でループ状になる(つまり、ループ状の仮想線に沿って不連続切込みが形成されている)ことから、周状切込み210としては、背面側を除いた範囲に周状に形成されているといえる。
【0095】
なお、第1本体部12との境界においても、切込み311、312、313と継目としての折れ線C1とが交互に形成されており、第1本体部12との境界を含めた構成においても、切込みが周状の仮想線上に形成され、切込みと継目が交互に形成されている。つまり、周状の仮想線210Sは、ループ状ではないが、ループ状のみならず、ループ形状の一部の場合も「周状」と表現している。
【0096】
また、周状切込み220は、
図6に示すように、第2本体部22の右側面側の形成された切込み221と、第2本体部22の正面側の形成された切込み223と、第2本体部22の左側面側に形成された切込み225と、第2本体部22の背面側に形成された切込み227とを有している。
【0097】
つまり、切込み221は、Y方向に形成された直線状の切込み221aと、切込み221aの背面側の端部から斜め背面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)221bと、切込み221aの正面側の端部から斜め正面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)221cとを有し、切込み223は、X方向に形成された直線状の切込み223aと、切込み221cから継目222を介して形成され、切込み223aの右側面側の端部から斜め背面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)223bと、切込み222aの左側面側の端部から斜め背面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)223cとを有し、切込み225は、Y方向に形成された直線状の切込み225aと、切込み223cから継目224を介して形成され、切込み225aの正面側の端部から斜め正面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)225bと、切込み225aの背面側の端部から斜め背面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)225cとを有し、切込み227は、X方向に形成された直線状の切込み227aと、切込み225cから継目226を介して形成され、切込み227aの左側面側の端部から斜め正面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)227bと、切込み227aの右側面側の端部から斜め正面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)227cとを有している。また、切込み221bは、切込み227cから継目228を介して形成されている。
【0098】
周状切込み220は、左右線対称及び前後線対称に形成され、例えば、切込み221と切込み225は左右線対称に形成され、切込み223と切込み227は前後線対称に形成されている。周状切込み220において、切込み221cと切込み223bは同一直線上にあり、切込み223cと切込み225bは同一直線上にあり、切込み225cと切込み227bは同一直線上にあり、切込み227cと切込み221bは同一直線上にあり、切込み221、223、225、227は、周状の仮想線220S上に形成され、周状の仮想線210Sに沿って、切込みと継目が交互に形成されている。以上のように、周状切込み220においては、切込み221と、切込み223と、切込み225と、切込み227により全体で周状に形成されている。
【0099】
また、周状切込み230は、
図7に示すように、第2本体部22の正面側の形成された切込み231と、第2本体部22の背面側に形成された切込み233とを有している。
【0100】
つまり、切込み231は、X方向に形成された直線状の切込み231aと、切込み231aの右側面側の端部から斜め背面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)231bと、切込み231aの左側面側の端部から斜め背面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)231cとを有し、切込み233は、X方向に形成された直線状の切込み233aと、切込み231cから継目232を介して形成され、切込み232aの左側面側の端部から斜め正面左側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)233bと、切込み233aの右側面側の端部から斜め正面右側に向けて形成された直線状の切込み(傾斜切込み)233cとを有している。また、切込み231bは、切込み233cから継目234を介して形成されている。
【0101】
周状切込み230は、左右線対称及び前後線対称に形成され、例えば、切込み231と切込み233は前後線対称に形成され、切込み231と切込み235は、周状の仮想線230S上に形成され、周状の仮想線230Sに沿って、切込みと継目が交互に形成されている。以上のように、周状切込み230においては、切込み231と、切込み233により全体で周状に形成されている。
【0102】
なお、周状切込み210~230における各切込みを構成する切込みで、他の切込みに連設されていない切込みの端部は、円弧状に形成されていて、緩衝具1を使用して被包装物を覆うために周状切込み210~230の形成領域を立体状に変形させた際に、各周状切込みにおける隣接する切込み間の継目が破れにくいようにしている。
【0103】
また、周状切込み230の内側の領域には、開口部244が形成されている。この開口部244は、X方向に細長の帯状を呈し、一対の直線状の辺部と、一対の半円状の辺部に囲まれた形状となっている。直線状の辺部は、X方向に形成され互いに平行であり、半円状の辺部は、右側面側の端部と左側面側の端部に形成されている。開口部240、242、244は、これらに指をひっかけて、第2本体部22の周状切込み210に囲まれた領域を破断するのに利用することができる。なお、開口部240、242、244は、第2本体部22の代わりに第1本体部12に設けてもよく、また、第1本体部12と第2本体部22の両方に設けてもよい。
【0104】
また、周状切込み210~230は、折れ線C1の延長線を介して周状切込み110~130と線対称の位置に形成されていて、折れ線C1を介して緩衝具1を折り返して二つ折りにした場合に、切込み211が切込み111に重なり、切込み213aが切込み113aに重なり、切込み213bが切込み113cに重なり、切込み215が切込み115に重なり、切込み217aが切込み117aに重なり、切込み217bが切込み117cに重なり、切込み219が切込み119に重なり、周状切込み220が周状切込み120に重なり、周状切込み230が周状切込み130に重なるように形成されている。
【0105】
つまり、周状切込み210~230は、左右方向には第2本体部22の中央位置に形成され、切込み211a、213aと折れ線C21間の長さと、切込み217b、219aと折れ線C22間の長さは、略同一となっている。
【0106】
また、周状切込み210~230は、前後方向には第2本体部22において背面側に偏った位置に形成され、第2本体部22における正面側の領域には、接着領域23が設けられている。
【0107】
つまり、第2本体部22には、周状切込み210の正面側の端部位置(周状切込み210~230において最も正面側にある切込み213b、215、217aの位置)(周状切込み群201において、最も正面側に位置する切込みの正面側の端部位置)を通り折れ線C1と平行な仮想直線Hよりも正面側に、折れ線C1を介して緩衝具1を折り返して二つ折りにした状態で、接着部本体402(後述)と接着するための接着領域23が設けられている。つまり、第2本体部22には、第2本体部22における正面側の領域である接着領域23が設けられている。
【0108】
また、縁部(第3縁部)24は、第2本体部22の右側面側の辺部22a-1、22a-2から折れ線C21を介して連設され、帯状部(第1帯状部)24-1と、帯状部24-1から連設され内側に突出した突状部(第1突状部)24-2を有している。突状部24-2は、切込み250に沿った辺部を有している。
【0109】
また、縁部(第4縁部)26は、第2本体部22の左側面側の辺部22b-1、22b-2から折れ線C22を介して連設され、帯状部(第2帯状部)26-1と、帯状部26-1から連設され内側に突出した突状部(第2突状部)26-2を有している。突状部26-2は、切込み252に沿った辺部を有している。
【0110】
第2構成部20は、上記のように構成され、全体に左右線対称に形成されている。
【0111】
なお、周状切込み110~130において、周状切込み120(対象周状切込み)を介して(つまり、対象周状切込みを間に挟んで)隣接する2つの周状切込みである周状切込み110(第1隣接周状不連続切込み)と周状切込み130(第2隣接周状不連続切込み)においては、周状切込み110の継目と周状切込み130の継目の間の位置に周状切込み120の切込みである対象切込みが設けられ、周状切込み110の該継目から連続した切込みと周状切込み130の該継目から連続した切込みの間の位置に該対象切込みが設けられていることにより、2つの継目の間には、2つの継目間の直線経路に対して迂回する迂回路が設けられている。
【0112】
例えば、周状切込み110~130における右側面側の領域においては、継目112と継目134の間に切込み(対象切込み)121が設けられるとともに、継目112から連続した切込み111aと継目134から連続した切込み133cの間の位置に切込み(対象切込み)121が設けられていることにより、継目112と継目134の間には、
図4に示すように、継目112と継目134の直線経路に対して迂回する迂回路R1が設けられている。
【0113】
これにより、被包装物に対して第1本体部12を被せた場合に、切込み121と切込み111aの間の領域が、継目112に沿った領域(領域Aとする)に対して傾斜し、切込み121と切込み133cの間の領域が継目134に沿った領域(領域Bとする)に対して傾斜することにより、領域Aと領域Bとが上下方向に間隔を介した状態となる。
【0114】
同様に、周状切込み120(対象周状切込み)を介して隣接する2つの周状切込みである周状切込み110(第1隣接周状不連続切込み)と周状切込み130(第2隣接周状不連続切込み)においては、継目112と継目134の間に切込み(対象切込み)121が設けられるとともに、継目112から連続した切込み113aと継目134から連続した切込み131bの間の位置に切込み(対象切込み)121が設けられていることにより、継目112と継目134の間には、
図4に示すように、継目112と継目134の直線経路に対して迂回する迂回路R2が設けられている。
【0115】
これにより、被包装物に対して第1本体部12を被せた場合に、切込み121と切込み113aの間の領域が、継目112に沿った領域(領域Aとする)に対して傾斜し、切込み121と切込み131bの間の領域が継目134に沿った領域(領域Bとする)に対して傾斜することにより、領域Aと領域Bとが上下方向に間隔を介した状態となる。
【0116】
上記の点は、周状切込み110~130における左側面側の領域においても同様であり、被包装物に対して第1本体部12を被せた場合に、継目118に沿った領域と継目132に沿った領域が上下方向に間隔を介した状態となる。
【0117】
また、周状切込み210~230においても同様であり、被包装物に対して第2本体部22を被せた場合に、継目212に沿った領域と継目234に沿った領域が上下方向に間隔を介した状態となり、継目218に沿った領域と継目232に沿った領域が上下方向に間隔を介した状態となる。
【0118】
以上のように、継目に沿った領域が略水平を維持しつつ、2つの切込みの間の領域が傾斜することにより、緩衝具1により被包装物を包んで保持した際に、周状切込み110により囲まれた領域(つまり、周状切込み群101が形成された領域)と周状切込み210により囲まれた領域(つまり、周状切込み群201が形成された領域)が立体状に網目状に変形される。
【0119】
また、切込み123、127、131、133は左右方向に長く形成されているので、切込み115と切込み123間の領域や、切込み123と切込み131間の領域や、切込み127と切込み133の領域や、切込み131、133で囲まれた領域が変形することにより、各領域間に隙間が形成されるので、これによっても周状切込み110に囲まれた領域が網目状に変形される。
【0120】
同様に、切込み223、227、231、233は左右方向に長く形成されているので、切込み215と切込み223間の領域や、切込み223と切込み231間の領域や、切込み227と切込み233の領域や、切込み231、233で囲まれた領域が変形することにより、各領域間に隙間が形成されるので、これによっても周状切込み210に囲まれた領域が網目状に変形される。
【0121】
特に、第1本体部12と第2本体部22の両方に周状切込みを設けることにより、第1本体部12の周状切込み110に囲まれた領域と第2本体部22の周状切込み210に囲まれた領域が変形して、被包装物の表裏の両面を網目状に変形した領域で覆うことができるので、緩衝効果を高めることができる。
【0122】
緩衝具1を展開した状態で、縁部24と縁部14間には、切込み301が形成され、縁部26と縁部16間には、切込み302が形成されている。
【0123】
次に、接着部400は、第1本体部12における周状切込み110と折れ線C13の間の領域に設けられている。接着部400は、両面接着テープであり、接着部本体402(
図9参照)と、接着部本体402に被覆された剥離シート(剥離紙)404とを有し、接着部本体402は、全体にシート状を呈し、基材の両面に粘着層が設けられた構成となっている。つまり、一方の粘着層は第1本体部12に接着され(シート状における一方の面が第1本体部12に接着されている)、他方の粘着層は剥離シート404に接着されている(つまり、シート状における他方の面が剥離シート404に接着されている)。つまり、接着部400の平面視(
図1に示す状態)において、剥離シート404と接着部本体402とは略同大同形状となっている。この接着部本体402における各粘着層は、第1本体部12と第2本体部22で被包装物を挟んた状態で第2本体部22に接着した際に、第1本体部12と第2本体部22とで被包装物を包んで保持した状態で、第2本体部22との接着状態を維持することができる接着力を有している。つまり、接着部本体402は、第2本体部22の接着領域23と接着する接着力を有している。また、接着部本体402は、シート状であるので、Y方向に幅を有した構成となっている。
【0124】
なお、接着部400は、両面接着テープであるので、基本的には、接着部本体402はシート状であるが、基材の厚みを厚くする等して、接着部本体402がシート状よりも厚い板状としてもよい。つまり、接着部本体402は、シート状又は板状であればよい。
【0125】
接着部400は、1枚の両面接着テープにより形成されていて、第1本体部12の背面側の領域である背面側領域13に形成されている。つまり、背面側領域13は、折れ線C11と、折れ線C12と、折れ線C13と、周状切込み110の背面側の端部位置(周状切込み110~130において最も背面側にある切込み113c、115、117aの位置)(周状切込み群101において、最も背面側に位置する切込みの背面側の端部位置)を通り折れ線C11と平行な仮想直線Gとで囲まれる領域である。背面側領域13と接着領域23は、緩衝具1における同じ側の面に設けられている。
【0126】
つまり、接着部400は、X方向には、第1本体部12の左側面側の端部近くから右側面側の端部近くまで連続して形成されており、接着部400の左側面側の端部は、周状切込み群101及び周状切込み群201における最も左側面側に位置する切込み(つまり、切込み117、119、217、219)の左端位置(つまり、切込み117c、119a、217b、219aの位置(直線部分の位置))を通り前後方向(Y方向)に伸びる直線状の仮想線である左端仮想線A1よりも外側(左側面側)にあり、接着部400の右側面側の端部は、周状切込み群101及び周状切込み群201における最も右側面側に位置する切込み(つまり、切込み111、113、211、213)の右端位置(つまり、切込み111a、113a、211a、213aの位置(直線部分の位置))を通り前後方向(Y方向)に伸びる直線状の仮想線である右端仮想線A2よりも外側(右側面側)にある。つまり、接着部400の左側面側の端部領域は左端仮想線A1を跨ぐように設けられ、接着部400の右側面側の端部領域は右端仮想線A2を跨ぐように設けられていて、接着部400は、左端仮想線A1のX方向の外側から右端仮想線A2のX方向の外側まで連続して形成され、左端仮想線A1を跨ぐ領域Q1(ハッチングに示す領域)から右端仮想線A2を跨ぐ領域Q2(ハッチングに示す領域)まで1つの接着部400により形成されている。このように、左端仮想線A1と右端仮想線A2を跨いだ状態で、X方向に左端仮想線A1から右端仮想線A2までの領域Wを少なくとも含むように接着部400を設けることにより、周状切込み110、210の領域に被包装物を保持した場合に、第1本体部12の背面側領域13と第2本体部22の接着領域23間に隙間が形成されず、被包装物をしっかりと保持することができる。
【0127】
この左端仮想線A1は、背面側領域13において、周状切込み110、210における最も左側面側に位置する切込みの左端位置に対応する位置(左端部位置)を示し、右端仮想線A2は、背面側領域13において、周状切込み110、210における最も右側面側に位置する切込みの右端位置に対応する位置(右端部位置)を示す。また、後述の中間仮想線A3は、左端部位置と右端部位置の中間位置で、左端部位置と右端部位置から等距離の位置(中間位置)を示す。つまり、接着部400は、複数の第1周状不連続切込み及び複数の第2周状不連続切込みにおいて最も左側面側に位置する切込みの左端を左端位置とし、複数の周状不連続切込みにおいて最も右側面側に位置する切込みの右端を右端位置とし、接着部(特に、接着部本体)は、該左端位置よりも左側面側の位置から該右端位置よりも右側面側の位置まで連続して形成されている。
【0128】
なお、周状切込み群101及び周状切込み群201において、最も左側面側に位置する切込み117、119、217、219の左端位置は、切込み117c、119a、217b、219aの直線部分がY方向に形成されているため、これらの切込みのY方向に形成された直線部分の位置となるが、最も左側面側に位置する切込みがY方向に対して角度を有する場合(例えば、X方向及びY方向に傾斜している場合)には、当該切込みにおける左端の位置が、最も左側面側に位置する切込みの左端位置となる。
【0129】
同様に、周状切込み群101及び周状切込み群201において、最も右側面側に位置する切込み111、113、211、213の右端位置は、切込み111a、113a、211a、213aの直線部分がY方向に形成されているため、これらの切込みのY方向に形成された直線部分の位置となるが、最も右側面側に位置する切込みがY方向に対して角度を有する場合(例えば、X方向及びY方向に傾斜している場合)には、当該切込みにおける右端の位置が、最も右側面側に位置する切込みの右端位置となる。
【0130】
なお、接着部400は、左端仮想線A1を跨ぐ領域Q1から右端仮想線を跨ぐ領域Q2まで1つの接着部により形成されているとしたが、これには限られず、左端仮想線A1を跨ぐ領域Q1と、右端仮想線A2を跨ぐ領域Q2と、左端仮想線A1と右端仮想線A2の中間の位置で、左端仮想線A1と右端仮想線A2から等距離の位置を通り前後方向に伸びる直線状の仮想線である中間仮想線A3を跨ぐ領域Q3(ハッチングに示す領域)に別個の接着部(例えば、両面接着テープ)を設けることによっても、周状切込み110、210の領域に被包装物を保持した場合に、第1本体部12の背面側領域13と第2本体部22の接着領域23間に隙間が形成されず、被包装物をしっかりと保持することができる。なお、領域Q1と領域Q2と領域Q3にそれぞれ別個に接着部を設けなくても、領域Q1から領域Q3まで1つの接着部により構成し、領域Q2を他の1つの接着部により構成してもよく、また、領域Q2から領域Q3まで1つの接着部により構成し、領域Q1を他の1つの接着部により構成してもよい。なお、領域Q1から領域Q2まで1つの接着部により形成した方が、緩衝具1の製造に際して、接着部の取付けの手間が少なく、また、緩衝具1の使用に際して、剥離シート404を剥がす手間を少なくすることができる。
【0131】
以上のように、第1本体部12の背面側領域13に、1又は複数の接着部が設けられ、該接着部は、少なくとも、左端仮想線A1を跨ぐ領域Q1と、中間仮想線A3を跨ぐ領域Q3と、右端仮想線A2を跨ぐ領域Q2に形成されていればよく、特に、接着部本体402が、領域Q1と、領域Q3と、領域Q2に形成されていればよい。
【0132】
上記構成の緩衝具1の使用方法について説明する。まず、
図8に示すように、包装する被包装物500を周状切込み110に囲まれた領域(つまり、複数の周状切込み110~130が形成された領域)に配置する。その際、被包装物500を周状切込み110で囲まれた領域の略中央に配置するようにする。なお、図において、被包装物500はスマートフォン端末を例としている。
【0133】
その後、接着部400の剥離シート404を剥がし(
図9参照)、第2構成部20を折れ線C1を介して第1構成部10側に折り返して、接着部本体402の粘着層を第2本体部22に接着させる。つまり、第2構成部20を折れ線C1を介して第1構成部10側に折り返して、
図10に示すように、接着部本体402の領域を両手で押さえることにより、接着部本体402を介して第1本体部12と第2本体部22を接着させる。
【0134】
すると、第1本体部12における周状切込み110に囲まれた領域と第2本体部22における周状切込み210に囲まれた領域(つまり、複数の周状切込み210~230が形成された領域)が被包装物500の外形に応じて立体状に網目状に変形して被包装物を覆った状態となる。つまり、緩衝具1を折れ線C1を介して折り返して、被包装物500を第1本体部12と第2本体部22で挟んだ状態で接着部本体402を接着領域23に接着することにより、周状切込み110で囲まれた領域が被包装物の外形に応じて立体状の網目状に変形するとともに、周状切込み210に囲まれた領域が被包装物500の外形に応じて立体状の網目状に変形する。
【0135】
なお、上記の説明では、周状切込み110で囲まれた領域に被包装物を配置して、第2構成部20を第1構成部10に対して折り返して、第1本体部12と第2本体部22を接着するとしたが、周状切込み210で囲まれた領域に被包装物を配置して、第1構成部10を第2構成部20に対して折り返して、第1本体部12と第2本体部22を接着してもよい。
【0136】
次に、
図11に示すように、重なった状態の縁部14と縁部24を下面側(裏面側)(第1本体部12の外側の面側)に折り曲げるとともに、重なった状態の縁部16と縁部26を裏面側(第1本体部12の外側の面側)に折り曲げ、さらには、縁部18を第1本体部12の外側の面側に折り曲げる。このようにすることにより、突状部24-2と突状部26-2が緩衝具1の上面側(表面側)(第2本体部22の外側の面側)に立ち上がって突出するとともに、縁部14、16、18と帯状部24-1、26-1が緩衝具1の下面側(裏面側)に突出するので、被包装物500を保持した緩衝具1を外箱600に収納した際に、突状部24-2、26-2と縁部14、16、18と帯状部24-1、26-1が外箱600の内側の面に接して緩衝具1(特に、被包装物500を保持した第1本体部12と第2本体部22)が配置される空間を確保して、被包装物500をさらに保護することができる。
【0137】
次に、
図10に示すように、被包装物500を保持した緩衝具1を外箱600に収納する。ここで、外箱600は、
図14に示す展開状態の紙製のブランクにより形成されていて、外箱600は、本体部601と、本体部601から連設された蓋部650を有している。
【0138】
本体部601は、長方形状の底面部602と、底面部602の正面側の辺部から折れ線を介して連設された略長方形状の正面部604と、底面部602の右側面側の辺部から折れ線を介して連設された長方形状の右側面部606と、底面部602の左側面側の辺部から折れ線を介して連設された長方形状の左側面部608と、底面部602の背面側の辺部から折れ線を介して連設された長方形状の背面部610と、正面部604の底面部602とは反対側の辺部から折れ線を介して連設された前上面部612と、右側面部606の底面部602とは反対側の辺部から折れ線を介して連設された右上面部614と、左側面部608の底面部602とは反対側の辺部から折れ線を介して連設された左上面部616と、右側面部606の正面側の辺部から折れ線を介して連設されたフラップ部620と、右側面部606の背面側の辺部から折れ線を介して連設されたフラップ部622と、左側面部608の正面側の辺部から折れ線を介して連設されたフラップ部624と、左側面部608の背面側の辺部から折れ線を介して連設されたフラップ部626と、前上面部612の右側面側の辺部から折れ線を介して連設された差込み片部628と、前上面部612の左側面側の辺部から折れ線を介して連設された差込み辺部630とを有している。
【0139】
正面部604と前上面部612の境界位置には、切込み640が設けられ、切込み640は、正面部604と前上面部612の境界に沿って横長に形成されていて、切込み640の左右両側と中央が突状に形成されている。これにより、前上面部612には、切込み640の中央位置に突状部612aが設けられるとともに、切込み640の両端位置に突状部612b、612cが設けられている。この切込み640には、差込み片部650が差し込まれる。
【0140】
また、右側面部606と右上面部614の境界位置には、差込み片部628を差し込むための切込み642が形成され、左側面部608と左上面部616の境界位置には、差込み片部630を差し込むための切込み644が形成されている。
【0141】
また、蓋部650は、背面部610の底面部602とは反対側の辺部から折れ線を介して連設された長方形状の蓋本体652と、蓋本体652の先端から折れ線を介して連設された差込み片部660とを有している。
【0142】
蓋本体652には、蓋本体652の先端側の領域に設けられた開口部656と、開口部656から蓋本体652の先端側の辺部に向けて形成された一対の切目線654が設けられている。
【0143】
また、差込み片部660は、蓋本体652から折れ線を介して連設された幅狭部660-1と、幅狭部660-1から先端側に連設された幅広部660-2を有し、これにより、差込み片部660には、左右両側に突状部660a、660bが設けられている。また、差込み片部660の基端部分には、開口部662が設けられている。
【0144】
外箱600を組み立てるには、フラップ部620、622と右上面部614を右側面部606に対して内側に折り曲げ、フラップ部624、626と左上面部616を左側面部608に対して内側に折り曲げた状態で、右側面部606と左側面部608を底面部602に対して折り曲げて立ち上げ、正面部604を底面部602に対して折り曲げて立ち上げ、さらに、前上面部612を正面部604に対して折り曲げ、前上面部612に対して折り曲げた差込み片部628を切込み642に差し込むとともに、前上面部612に対して折り曲げた差込み片部630を切込み644に差し込んで、
図12に示す状態とする。
【0145】
そして、被包装物500を保持した緩衝具1を、
図12に示すように、外箱600に収納し、蓋部640を本体部601に対して閉じた後に、差込み片部660を切込み640に差し込むことにより、突状部612aが開口部662に係合し、突状部660aが突状部612bに係合し、突状部660bが突状部612cに係合するので、差込み片部660を切込み640に差し込んだ状態では、差込み片部660を引き出すことができない。
【0146】
次に、被包装物500を保持した緩衝具1を外箱600に収納した状態から被包装物500を取り出すには、緩衝具1を外箱600から取り出し、さらに、緩衝具1から被包装物500を取り出す。
【0147】
すなわち、外箱600における切目線654を破断して蓋本体652を開けて、被包装物500を保持した緩衝具1を外箱600から取り出す。なお、切目線654を破断する際には、開口部656に指をひっかけた状態で、切目線654で囲まれた領域を引き上げればよい。
【0148】
緩衝具1から被包装物500を取り出すには、周状切込み210により囲まれた領域を破断する。すなわち、開口部240又は開口部242に指をひっかけて周状切込み210により囲まれた領域を破断することにより、被包装物500を取り出すための取出し口を第2本体部22に形成する。例えば、開口部242の位置から破断することにより、
図13に示すように被包装物500を取り出すための開口部を形成することができる。そして、形成された開口部から被包装物500を取り出す。
【0149】
なお、周状切込み210により囲まれた領域を破断するには、開口部244に指をひっかけて破断してもよく、また、切込み215、223、231、233、227、312のいずれかの隙間に指をひっかけて破断してもよい。
【0150】
以上のように、本発明の緩衝具1によれば、緩衝具1のみで被包装物を被覆した状態で被包装物を保持することができるので、被包装物の保持のために外箱等の収納容器を用いる必要がない。つまり、収納容器を用いなくても被包装物を被覆した状態で保持できるので、収納容器の形状や大きさは任意とすることができ、少なくとも、収納容器には、緩衝具1の規格に応じた規格は要求されない。
【0151】
また、第1本体部12と第2本体部22を向かい合わせの状態で接着して固定するので、被包装物をしっかりと安定して保持することができ、また、接着部本体402がシート状であり前後方向(Y方向)に幅を有しているので、前後方向に幅をもった面で接着することができるので、接着領域23が剥がれるのを防止することができ、被包装物をしっかりと安定して保持することができる。
【0152】
特に、接着部400が、左端仮想線A1のX方向の外側から右端仮想線A2のX方向の外側まで連続して形成されているので、被包装物の被覆状態をよりしっかりと安定して維持することができる。よって、スマートフォン等の精密機器に対しても、十分は緩衝機能を有している。また、緩衝具1は、段ボール材等の紙製であるので、脱プラスチックを図ることができる。
【0153】
例えば、仮に、第1本体部12と第2本体部22の一方に差込み片部を設けるとともに、他方に差込み穴部を設けて、差込み片部を差込み穴部に挿入し、差込み片部を差込み穴部に係止させる構成の場合には、差込み片部における差込み穴部と係止した部分のみで第1本体部12と第2本体部22が固定されることから、第1本体部12と第2本体部22をしっかりと固定することができず、第1本体部12の内側の面と第2本体部22の内側の面が向かい合わせになった状態ではないので、特に、前後方向の中間位置の左右両端部分で、第1本体部12と第2本体部22間に隙間が生じてしまい、被包装物をしっかりと保持することができない。また、差込み穴部の左右両側の部分では、当然、差込み片部が係止せず、第1本体部12と第2本体部22の間に隙間が生じてしまい、その点でも被包装物をしっかりと保持することができない。
【0154】
その点、本実施例の緩衝具1では、接着部本体402により第1本体部12と第2本体部22を向かい合わせの状態で固定するので、前後方向の中間位置の左右両端部分でも隙間は生じにくい。また、領域Q1や領域Q2に接着部400を設けることにより、背面側領域13と接着領域23の左右両端部分で隙間を生じにくくできる。さらに、接着部400(特に、接着部本体402)の前後方向の幅を長くすることにより、被包装物の厚みが厚くなっても、接着領域23が接着部本体402から剥がれるおそれを小さくできる。以上のようにして、緩衝具1によれば、被包装物の被覆状態をしっかりと安定して維持することができる。
【0155】
また、緩衝具1においては、本体部12と本体部22の両方に周状切込み群が形成されているので、被収納物の上面側と下面側の両側に緩衝効果を得ることができる。
【0156】
なお、上記の説明では、周状切込み110と周状切込み210は、一方の側の切込み(周状切込み110においては、第2本体部22側の切込みであり、周状切込み210においては、第1本体部12側の切込み)を第1本体部12と第2本体部22の境界に設けられた切込み311、312、313で共有しているが、第1本体部12と第2本体部22のそれぞれに設けてもよい。つまり、周状切込み110においては、切込み113、115、117と線対象となる切込みを形成し、周状切込み210においては、切込み113、115、117と同大同形状の切込みを形成する。その場合には、第1本体部12と第2本体部22の幅をY方向に長くすることになる。
【0157】
なお、周状切込み110と周状切込み210は、切込み311、312、313を共有しているが、これにより、被包装物を保持した際に、第1本体部12と第2本体部22の境界付近の空間を広くして、体積の大きい被包装物でも効率よく収納することができる。
【0158】
また、上記の説明では、接着部400として、両面接着テープを用いるとしたが、第2本体部22(特に、接着領域23)に接着する接着力を有する接着部本体と接着部本体を覆う剥離シートを有する構成であれば他の構成でよく、例えば、接着部本体402としては、不織布等のシート状の基材の両面に粘着層を設けた構成の代わりに、ホットメルト剤としてもよい。
【0159】
すなわち、
図15に示すように、接着部400’は、ホットメルト剤により構成された接着部本体402と、接着部本体402を覆う剥離シート404とを有し、
図15に示すように、平面視において、剥離シート404の外形は、接着部本体402の外形よりも大きく形成されていて、これにより、剥離シート404を剥離しやすくなっている。なお、ホットメルト剤により構成される接着剤本体402もシート状とするが、シート状よりも厚みが厚い形状(すなわち、板状)としてもよい。接着部本体402が板状であっても、前後方向(Y方向)に幅を有しているので、前後方向に幅をもった面で接着することができる。
【0160】
なお、当然、接着部本体402としてホットメルト剤を用いる場合でも、接着部本体402は、第1本体部12と第2本体部22で被包装物を挟んた状態で第2本体部22に接着した際に、第1本体部12と第2本体部22とで被包装物を包んで保持した状態で、第2本体部22との接着状態を維持することができる接着力を有している。
【0161】
また、上記の説明では、周状切込み110に囲まれた領域と周状切込み210に囲まれた領域とでは、左右方向の幅(最大幅)と前後方向の幅(最大幅)は同一に形成されているとしたが、同一でなくてもよく、左右方向の幅や前後方向の幅が異なる構成としてもよい。
【0162】
例えば、周状切込み210の左右方向の幅が周状切込み110の左右方向の幅よりも大きく、切込み217b、219aの左右方向の位置が、切込み117c、119aの左右方向の位置よりも左側面側にあり、切込み211a、213aの左右方向の位置が、切込み111a、113aの左右方向の位置よりも右側面側にある構成としてもよい。
【0163】
その場合、左端仮想線A1の位置は、周状切込み110、210における最も左側面側の切込みの位置であるので、切込み217b、219aの位置となり、右端仮想線A2の位置は、周状切込み110、120における最も右側面側の切込みの位置であるので、切込み211a、213aの位置となる。
【0164】
また、上記の説明では、第1本体部12に周状切込み110~130が設けられ、第2本体部22に周状切込み210~230が設けられているとしたが、第1本体部12と第2本体部22のいずれか一方に同心状の周状切込み(つまり、周状切込み群)が設けられた構成としてもよく、例えば、
図16の緩衝具1’に示すように、第2本体部22のみに周状切込み210~230(つまり、周状切込み群201)を設けてもよい。
【0165】
つまり、被包装物の厚みが薄い場合で、第2本体部22のみに周状切込み210~230を設けた場合でも、周状切込み210により囲まれた領域が変形するのみでも被包装物を包んで保持することができる場合には、第1本体部12における周状切込みを不要とすることもできる。なお、第1本体部12のみに周状切込み群101を設けた構成としてもよい。
【0166】
ただし、
図16の緩衝具1’の場合には、第1本体部12の側の緩衝効果が低いので、
図1や
図14のように、第1本体部12と第2本体部22の両方に同心状の周状切込みを形成した方が緩衝効果が高いといえる。
【0167】
また、
図16のように、第2本体部22のみに周状切込み群201を設けた構成や、第1本体部12のみに周状切込み群101を設けた構成において、接着部400の代わりに
図15の接着部400’を使用していもよい。つまり、ホットメルト剤により構成された接着部本体402と、接着部本体402を覆う剥離シート404とを有する接着部400’としてもよい。
【0168】
また、上記の構成において、第1構成部10と第2構成部20は、縁部を省略した構成としてもよく、例えば、第1構成部10においては、縁部14、16、18を省略した構成としてもよく、また、第2構成部20においては、縁部24、26省略した構成としてもよい。
【0169】
また、上記の説明では、本体部12、22は、ともに横長の略長方形状の外形を有するとしたが、これには限られず他の形状であってもよく、例えば、本体部12、22はそれぞれ略正方形状の外形であってもよい。
【符号の説明】
【0170】
1 緩衝具
5 緩衝具本体
10 第1構成部
12 第1本体部
12a、12b、12c、12d 辺部
13 背面側領域
14、16、18 縁部
20 第2構成部
22 第2本体部
22a、22a-1、22a-2、22a-3、22b、22b-1、22b-2、22b-3 辺部
23 接着領域
24 縁部
24-1 帯状部
24-2 突状部
26 縁部
26-1 帯状部
26-2 突状部
101 周状切込み群
110 周状切込み
120 周状切込み
130 周状切込み
201 周状切込み群
210 周状切込み
220 周状切込み
230 周状切込み
110S、120S、130S、210S、220S、230S 仮想線
111、113、115、117、119、121、123、125、127、131、133、211、213a、213b、215、217a、217b、219、221、223、225、227、231、233 切込み
112、114、116、118、122、124、126、128、132、134、212、214、216、218、222、224、226、228、232、234 継目
240、242、244 開口部
250、252 切込み
301、302、311、312、313 切込み
400、400’ 接着部
402 接着部本体
404 剥離シート
500 被包装物
600 外箱
601 本体部
650 蓋部
A1 左端仮想線
A2 右端仮想線
A3 中間仮想線
C1、C11、C12、C13、C21、C22 折れ線
Q1 Q2、Q3 領域
R1、R2 迂回路