(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171940
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/16 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H02J7/16
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089316
(22)【出願日】2023-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100195718
【弁理士】
【氏名又は名称】市橋 俊規
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】光嶋 久夫
(72)【発明者】
【氏名】黒田 弘人
【テーマコード(参考)】
5G060
【Fターム(参考)】
5G060CA02
5G060CA06
(57)【要約】
【課題】充電システムにおける制御をシンプルにし、二次電池への充電電流の不必要な変動を防止し、二次電池の過充電を防止する充電システムを提供する。
【解決手段】充電システムは、交流電圧指令値R1に基づいて、発電機G1の出力電圧を制御する自動電圧調整器2aと、発電機G1が発生させる交流電力を直流電力に変換する整流回路3aと、整流回路3aと二次電池Bとを接続する第1電流路41aと、二次電池Bの充電電流を検出する電流検出部5と、二次電池Bの端子電圧を検出する電圧検出部6と、充電電流および端子電圧のうちの少なくとも一方に基づいて、充電電流の値および端子電圧の値が二次電池Bの充電に適した値となるように、交流電圧指令値R1を決定し、決定された交流電圧指令値R1を自動電圧調整器2aに伝達する交流電圧指令生成部7aと、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧指令値に基づいて、発電機の出力電圧を制御する自動電圧調整器と、
前記発電機が発生させる交流電力を直流電力に変換する整流回路と、
前記整流回路と二次電池とを接続する第1電流路と、
前記二次電池の充電電流を検出する電流検出部と、
前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、
前記充電電流および前記端子電圧のうちの少なくとも一方に基づいて、前記充電電流の値および前記端子電圧の値が前記二次電池の充電に適した値となるように、前記交流電圧指令値を決定し、決定された前記交流電圧指令値を前記自動電圧調整器に伝達する交流電圧指令生成部と
を具備する
充電システム。
【請求項2】
第2交流電圧指令値に基づいて、第2発電機の出力電圧を制御する第2自動電圧調整器と、
前記第2発電機が発生させる交流電力を直流電力に変換する第2整流回路と、
前記第2整流回路と前記二次電池とを接続する第2電流路と、
前記第2交流電圧指令値を前記第2自動電圧調整器に伝達する第2交流電圧指令生成部と
を更に具備し、
前記第2交流電圧指令生成部は、前記充電電流および前記端子電圧のうちの少なくとも一方、または、前記交流電圧指令生成部から受け取る指令値に基づいて、前記充電電流の値および前記端子電圧の値が前記二次電池の充電に適した値となるように、前記第2交流電圧指令値を決定する
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記交流電圧指令生成部は、前記第2交流電圧指令生成部に前記指令値を送信することにより、前記第2交流電圧指令値の決定に関与するマスター側の指令生成部であり、
前記第2交流電圧指令生成部は、前記交流電圧指令生成部から前記指令値を受け取るスレーブ側の指令生成部である
請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記整流回路から前記二次電池に向けて流れる第1直流電流を検出する第1電流検出器と、
前記第2整流回路から前記二次電池に向けて流れる第2直流電流を検出する第2電流検出器と
を備え、
前記交流電圧指令生成部は、前記第1直流電流の増加に応じて前記交流電圧指令値を低下させ、前記第1直流電流の低下に応じて前記交流電圧指令値を増加させる第1ドループ特性を有し、
前記第2交流電圧指令生成部は、前記第2直流電流の増加に応じて前記第2交流電圧指令値を低下させ、前記第2直流電流の低下に応じて前記第2交流電圧指令値を増加させる第2ドループ特性を有する
請求項2に記載の充電システム。
【請求項5】
前記第1電流路は、負荷に電力を供給する直流母線に接続されている
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項6】
前記交流電圧指令生成部は、
前記二次電池の充電前期において、少なくとも前記充電電流に基づいて、前記二次電池に定電流充電が行われるよう前記交流電圧指令値を決定し、
前記二次電池の充電後期において、少なくとも前記端子電圧に基づいて、前記二次電池に定電圧充電が行われるよう前記交流電圧指令値を決定する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項7】
前記発電機を更に具備し、
前記自動電圧調整器は、前記発電機が出力する交流電圧の値を検出し、当該値が前記交流電圧指令値に対応した値になるよう、前記発電機の界磁コイルに付与する界磁電圧を制御する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項8】
前記整流回路は、制御不要な電気部品のみによって構成されている
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電機が出力する交流電力を用いて、二次電池を充電する技術が知られている。
【0003】
図12には、従来例における充電システム100’が示されている。
図12に記載の例において、自動電圧調整器(AVR)は、交流電圧を一定に保つように交流発電機を制御する。
【0004】
半導体電力変換装置は、交流電圧を整流して直流に変換し、PWM制御によって、出力する直流電圧もしくは直流電流の大きさを変更する。
【0005】
直流電圧/電流指令生成回路は、直流電流が一定となるように、半導体電力変換装置を制御する。
【0006】
自動電圧調整器(AVR)による交流発電機の制御と、直流電圧/電流指令生成回路による半導体電力変換装置の制御とが互いに影響しあい、二次電池への充電電流が所望の値とならず、充電電流が増減する。
【0007】
例えば、
図13に例示されるように、半導体電力変換装置の直流電流出力が減少すると(A1)、直流電圧/電流指令生成回路は、直流電流指令値を増加させる(A2)。直流電流指令値が増加すると、半導体電力変換装置の直流電流出力が増加し(A3)、交流発電機の交流電流出力が増加する(A4)。交流電流出力が増加すると、交流発電機が出力する交流電圧が減少し(A5)、自動電圧調整器(AVR)は、交流電圧指令値を増加させる(A6)。交流電圧指令値が増加すると、交流発電機が出力する交流電圧が増加し(A7)、半導体電力変換装置の直流電流出力が増加する(A8)。半導体電力変換装置の直流電流出力が増加すると、直流電圧/電流指令生成回路は、直流電流指令値を減少させる(A9)。直流電流指令値が減少すると、半導体電力変換装置の直流電流出力が減少し(A10)、交流発電機の交流電流出力が減少する(A11)。交流電流出力が減少すると、交流発電機が出力する交流電圧が増加し(A12)、自動電圧調整器(AVR)は、交流電圧指令値を減少させる(A13)。交流電圧指令値が減少すると、交流発電機が出力する交流電圧が減少し(A14)、半導体電力変換装置の直流電流出力が減少する(A1)。
【0008】
以上のとおり、
図12および
図13に記載の例では、自動電圧調整器(AVR)による制御と、直流電圧/電流指令生成回路による制御とからなる2つの制御が存在し、2つの制御が互いに干渉して直流電流が変動する。直流電流が変動すると、二次電池が過充電となる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、充電システムにおける制御をシンプルにし、二次電池への充電電流の不必要な変動を防止し、二次電池の過充電を防止する充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における充電システムは、交流電圧指令値に基づいて、発電機の出力電圧を制御する自動電圧調整器と、前記発電機が発生させる交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路と二次電池とを接続する第1電流路と、前記二次電池の充電電流を検出する電流検出部と、前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、前記充電電流および前記端子電圧のうちの少なくとも一方に基づいて、前記充電電流の値および前記端子電圧の値が前記二次電池の充電に適した値となるように、前記交流電圧指令値を決定し、決定された前記交流電圧指令値を前記自動電圧調整器に伝達する交流電圧指令生成部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、充電システムにおける制御をシンプルにし、二次電池への充電電流の不必要な変動を防止し、二次電池の過充電を防止する充電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における充電システムの構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、二次電池の充電電流の値、二次電池の端子電圧の値、および、交流電圧指令値の時間変化の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の第1変形例における充電システムの構成を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態における充電システムの構成の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、二次電池の充電電流の値、二次電池の端子電圧の値、交流電圧指令値、および、第2交流電圧指令値の時間変化の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態の第1変形例における充電システムの構成を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態の第2変形例における充電システムの構成を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、二次電池の充電電流の値、第1直流電流の値、第2直流電流の値、二次電池の端子電圧の値、交流電圧指令値、および、第2交流電圧指令値の時間変化の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1ドループ特性および第2ドループ特性について説明するための図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態の第3変形例における充電システムの構成を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態の更なる変形例における充電システムの構成を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、従来例における充電システムの構成を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、従来例において、2つの制御が互いに干渉することに起因して直流電流が変動する様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態における充電システム100に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0014】
(用語の定義)
本明細書において、「指令値」とは、指令用数値を表現可能な任意形式のデータあるいは指令用数値を表現可能な任意形式の信号を意味する。換言すれば、指令値は、指令用数値を含むデータであってもよいし、指令用数値を含む信号であってもよい。信号の強度によって、指令用数値が表現されていてもよい。
【0015】
(第1の実施形態)
図1乃至
図3を参照して、第1の実施形態における充電システム100Aについて説明する。
図1は、第1の実施形態における充電システム100Aの構成の一例を模式的に示す図である。
図2は、二次電池Bの充電電流の値I、二次電池Bの端子電圧の値V、および、交流電圧指令値R1の時間変化の一例を示す図である。
図3は、第1の実施形態の第1変形例における充電システム100Aの構成を模式的に示す図である。
【0016】
(構成・作用)
図1に記載の例では、充電システム100Aは、自動電圧調整器2aと、整流回路3aと、第1電流路41aと、電流検出部5と、電圧検出部6と、交流電圧指令生成部7aと、を具備する。
【0017】
図1に記載の例では、発電機G1(より具体的には、交流発電機)は、原動機E1によって駆動される。発電機G1は、一定の周波数の交流電力を出力する。また、発電機G1は、一定の電圧値の交流電圧を出力可能である。
【0018】
自動電圧調整器2a(AVR)は、交流電圧指令値R1に基づいて、発電機G1(より具体的には、交流発電機)の出力電圧を制御する。
【0019】
例えば、自動電圧調整器2aは、発電機G1が出力する交流電圧の値T1を検出し、当該値T1が一定になるよう、発電機G1の界磁コイルC1に付与する界磁電圧を制御する。また、交流電圧指令値R1が変化する場合には、自動電圧調整器2aは、発電機G1の出力電圧が交流電圧指令値R1となるよう、発電機G1の出力電圧を制御する。例えば、自動電圧調整器2aは、発電機G1が出力する交流電圧の値T1を検出し、当該値T1が交流電圧指令値R1に対応した値になるよう、発電機G1の界磁コイルC1に付与する界磁電圧を制御する。
【0020】
整流回路3aは、発電機G1が発生させる交流電力を直流電力に変換する。
【0021】
第1電流路41aは、整流回路3aと、二次電池Bとを接続する。二次電池Bは、複数の電池セルを含む電池モジュールを有していてもよく、複数の電池モジュールを含む電池パックを有していてもよい。また、充電システム100Aは、二次電池Bの保護、および/または、二次電池Bの状態を監視するバッテリマネジメントユニットMを有していてもよい。
【0022】
電流検出部5は、二次電池Bの充電電流を検出する。電流検出部5としては、例えば、CT(Current Transformer)、または、電流プローブ等が使用される。
図1に記載の例では、電流検出部5は、整流回路3aと二次電池Bとの間の第1電線L1を流れる直流電流を検出する。なお、電流検出部5は、二次電池Bの充電電流を実質的に検出可能な限りにおいて、どのような構成であってもよい。
【0023】
電圧検出部6は、二次電池Bの端子電圧を検出する。電圧検出部6としては、例えば、分圧器、アイソレータなどが使用される。
図1に記載の例では、電圧検出部6は、整流回路3aと二次電池Bとの間の第1電線L1における直流電圧を検出する。電圧検出部6は、二次電池Bの端子電圧を実質的に検出可能な限りにおいて、どのような構成であってもよい。電流検出部5、および/または、電圧検出部6は、バッテリマネジメントユニットMに組み込まれていてもよい。
【0024】
交流電圧指令生成部7aは、二次電池Bの充電電流を示す第1信号S1を電流検出部5から受け取る。交流電圧指令生成部7aは、二次電池Bの端子電圧を示す第2信号S2を電圧検出部6から受け取る。
【0025】
交流電圧指令生成部7aは、上述の充電電流および上述の端子電圧のうちの少なくとも一方に基づいて、充電電流の値および端子電圧の値が二次電池Bの充電に適した値となるように、交流電圧指令値R1を決定する。また、交流電圧指令生成部7aは、決定された交流電圧指令値R1を自動電圧調整器2aに伝達する。
【0026】
交流電圧指令生成部7aによる交流電圧指令値R1の決定は、ハードウェア(例えば、電気回路)によって行われてもよく、コンピュータ上で交流電圧指令値を決定するプログラムを実行することにより行われてもよい。換言すれば、交流電圧指令生成部7aは、ハードウェアによって実現されていてもよく、コンピュータ上で実行されるソフトウェアによって実現されていてもよい。
【0027】
図2には、二次電池Bの充電時において、二次電池Bの充電電流の値I、二次電池Bの端子電圧の値V、および、交流電圧指令値R1の時間変化の一例が示されている。
【0028】
(効果)
第1の実施形態では、充電システム100Aにおける制御がシンプルである。また、
図12および
図13に示された従来例のように、交流発電機の制御と、半導体電力変換装置の制御とが互いに干渉することに起因して、充電電流が変動することがない。その結果、二次電池Bへの充電電流が安定的に制御され、二次電池Bの過充電が発生しない。また、二次電池Bの過熱が発生せず、二次電池Bが発火することもない。
【0029】
(任意付加的な構成)
続いて、
図1乃至
図3を参照して、第1の実施形態における充電システム100A、あるいは、後述の第2の実施形態における充電システム100Bにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0030】
(負荷93)
図3に例示されるように、整流回路3aと二次電池Bとを接続する第1電流路41aは、負荷93に電力を供給する直流母線91に接続されていてもよい。
図3に記載の例では、整流回路3aと二次電池Bとを接続する第1電流路41aは、第1電線L1と、第2電線L2とを含む。第1電流路41aの一部は、直流母線91によって構成されていてもよい。
図3に記載の例では、第1電線L1は、直流母線91と二次電池Bとを接続する。また、第2電線L2は、整流回路3aと直流母線91とを接続する。
【0031】
図3に記載の例では、発電機G1は、二次電池Bの充電と、負荷93への電力の供給とを同時に実行可能である。より具体的には、発電機G1は、少なくとも整流回路3a、および、第1電流路41a(より具体的には、第2電線L2および第1電線L1)を介して、二次電池Bに電力を供給する。また、発電機G1は、少なくとも整流回路3a、第2電線L2、および、直流母線91を介して、負荷93に電力を供給する。
【0032】
負荷93は、直流負荷93aによって構成されていてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、負荷93は、直交変換装置93bと交流負荷93cとの組み合わせによって構成されていてもよい。直流負荷93aは、直流母線91から供給される直流電力を消費し、交流負荷93cは、直流母線91から、直交変換装置93bを介して供給される交流電力を消費する。
【0033】
また、負荷93は、直流/直流間変換装置93dと直流負荷93aとの組合せによって構成されてもよい。
【0034】
図3に記載の例では、二次電池Bの過充電、二次電池Bの過熱、および、二次電池Bからの発火を防止しつつ、二次電池Bへの充電と、負荷93への電力供給との両方を実行可能である。
【0035】
(定電流充電、および、定電圧充電)
図1あるいは
図3に記載の例において、交流電圧指令生成部7aは、二次電池Bの充電前期P1(
図2を参照。)において、少なくとも二次電池Bの充電電流に基づいて(より具体的には、少なくとも二次電池Bの充電電流および二次電池Bの端子電圧に基づいて)、二次電池Bに定電流充電が行われるよう交流電圧指令値R1を決定し、決定された交流電圧指令値R1を自動電圧調整器2aに伝達してもよい。充電前期に定電流充電が行われることにより、二次電池Bを迅速に充電することができる。
【0036】
図1あるいは
図3に記載の例において、交流電圧指令生成部7aは、二次電池Bの充電後期P2(
図2を参照。)において、少なくとも二次電池Bの端子電圧に基づいて(より具体的には、少なくとも二次電池Bの充電電流および二次電池Bの端子電圧に基づいて)、二次電池Bに定電圧充電が行われるよう交流電圧指令値R1を決定し、決定された交流電圧指令値R1を自動電圧調整器2aに伝達してもよい。充電後期に定電圧充電が行われることにより、二次電池Bの過充電が防止される。
【0037】
(定電流充電から定電圧充電への切り替え)
交流電圧指令生成部7aは、二次電池Bの端子電圧の値Vが所定の閾値TH1に達することに応じて、二次電池Bの充電方式が定電流充電から定電圧充電に切り替えられるよう、交流電圧指令値R1を決定してもよい。
【0038】
図2に記載の例では、二次電池Bの端子電圧の値Vが所定の閾値TH1に達する前の状態では、交流電圧指令生成部7aは、交流電圧指令値R1が徐々に増加するように、交流電圧指令値R1を決定し、決定された交流電圧指令値R1を自動電圧調整器2aに伝達する。こうして、二次電池Bの端子電圧の値Vが所定の閾値TH1に達するまで、二次電池Bの定電流充電が行われる。
【0039】
図2に記載の例では、二次電池Bの端子電圧の値Vが所定の閾値TH1に達すると、交流電圧指令生成部7aは、交流電圧指令値R1が実質的に維持されるように、交流電圧指令値R1を決定し、決定された交流電圧指令値R1を自動電圧調整器2aに伝達する。こうして、二次電池Bの端子電圧の値Vが所定の閾値TH1に達してから、二次電池Bの定電圧充電が行われる。
【0040】
(整流回路3a)
交流から直流に変換するために半導体電力変換装置を使用する構成では、PWM制御に必要なスイッチング素子、PWM制御回路、ゲートドライブ回路等が必要となる。これに対し、
図1あるいは
図3に記載の例では、交流を直流に変換する構成として、整流回路3aが使用される。整流回路3aとしては、任意の公知の整流回路を採用可能である。整流回路3aは、制御不要な電気部品によって構成されることが好ましい。整流回路3aの制御が不要であることにより、充電システム100における制御がシンプルとなる。
【0041】
(第2の実施形態)
図4乃至
図11を参照して、第2の実施形態における充電システム100Bについて説明する。
図4は、第2の実施形態における充電システム100Bの構成の一例を模式的に示す図である。
図5は、二次電池Bの充電電流の値I、二次電池Bの端子電圧の値V、交流電圧指令値R1、および、第2交流電圧指令値R2の時間変化の一例を示す図である。
図6は、第2の実施形態の第1変形例における充電システム100Bの構成を模式的に示す図である。
図7は、第2の実施形態の第2変形例における充電システム100Bの構成を模式的に示す図である。
図8は、二次電池Bの充電電流の値I、第1直流電流i1の値I1、第2直流電流i2の値I2、二次電池Bの端子電圧の値V、交流電圧指令値R1、および、第2交流電圧指令値R2の時間変化の一例を示す図である。
図9は、第1ドループ特性K1および第2ドループ特性K2について説明するための図である。
図10は、第2の実施形態の第3変形例における充電システム100Bの構成を模式的に示す図である。
図11は、第2の実施形態の更なる変形例における充電システム100Bの構成を模式的に示す図である。
【0042】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。
【0043】
(構成・作用)
第2の実施形態では、複数の発電機Gが、二次電池Bに電力を供給可能である点で、第1の実施形態とは異なる。
【0044】
図4に例示されるように、第2の実施形態における充電システム100Bは、自動電圧調整器2aと、整流回路3aと、第1電流路41aと、電流検出部5と、電圧検出部6と、交流電圧指令生成部7aと、を備える。これらの構成については、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0045】
第2の実施形態における充電システム100Bは、上述の構成に加えて、第2自動電圧調整器2bと、第2整流回路3bと、第2電流路41bと、第2交流電圧指令生成部7bと、を備える。
【0046】
図4に記載の例では、第2発電機G2(より具体的には、第2の交流発電機)は、第2原動機E2によって駆動される。第2発電機G2は、一定の周波数の交流電力を出力する。また、第2発電機G2は、一定の電圧値の交流電圧を出力可能である。
【0047】
第2自動電圧調整器2b(第2のAVR)は、第2交流電圧指令値R2に基づいて、第2発電機G2の出力電圧を制御する。
【0048】
例えば、第2自動電圧調整器2bは、第2発電機G2が出力する交流電圧の値T2を検出し、当該値T2が一定になるよう、第2発電機G2の界磁コイルC2に付与する界磁電圧を制御する。また、第2交流電圧指令値R2が変化する場合には、第2自動電圧調整器2bは、第2発電機G2の出力電圧が第2交流電圧指令値R2となるよう、第2発電機G2の出力電圧を制御する。例えば、第2自動電圧調整器2bは、第2発電機G2が出力する交流電圧の値T2を検出し、当該値T2が第2交流電圧指令値R2に対応した値になるよう、第2発電機G2の界磁コイルC2に付与する界磁電圧を制御する。
【0049】
第2整流回路3bは、第2発電機G2が発生させる交流電力を直流電力に変換する。第2整流回路3bは、制御不要な電気部品によって構成されることが好ましい。第2整流回路3bとしては、任意の公知の整流回路を採用可能である。
【0050】
第2電流路41bは、第2整流回路3bと、二次電池Bとを接続する。第2の実施形態において、二次電池Bの構成としては、第1の実施形態における二次電池Bの構成と同様の構成を採用可能である。
【0051】
第2整流回路3bと二次電池Bとを接続する第2電流路41bの一部と、整流回路3aと二次電池Bとを接続する第1電流路41aの一部とは、共用されていてもよい。
【0052】
図4に記載の例では、整流回路3aと二次電池Bとを接続する第1電流路41aは、第1電線L1と、第2電線L2とを含む。また、第2整流回路3bと二次電池Bとを接続する第2電流路41bは、第1電線L1と、第3電線L3とを含む。
図4に記載の例では、第1電線L1は、第1電流路41aと、第2電流路41bとによって共用されている。
【0053】
図4に記載の例では、第2交流電圧指令生成部7bは、交流電圧指令生成部7aから受け取る指令値R3に基づいて、二次電池Bの充電電流の値および二次電池Bの端子電圧の値が二次電池Bの充電に適した値となるように、第2交流電圧指令値R2を決定する。第2交流電圧指令生成部7bは、決定された第2交流電圧指令値R2を第2自動電圧調整器2bに伝達する。
【0054】
第2交流電圧指令生成部7bは、交流電圧指令生成部7aから受け取る指令値R3を、そのまま、第2交流電圧指令値R2に決定してもよい。代替的に、第2交流電圧指令生成部7bは、交流電圧指令生成部7aから受け取る指令値R3と、他の情報あるいは第2交流電圧指令生成部7bが有する特性(例えば、後述の第2ドループ特性K2)とに基づいて、第2交流電圧指令値R2を決定してもよい。
【0055】
図4に記載の例では、交流電圧指令生成部7aは、第2交流電圧指令生成部7bに指令値R3を送信することにより、上述の第2交流電圧指令値R2の決定に関与するマスター側の指令生成部である。他方、第2交流電圧指令生成部7bは、交流電圧指令生成部7aから指令値R3を受け取るスレーブ側の指令生成部である。
【0056】
第2交流電圧指令生成部7bによる第2交流電圧指令値R2の決定は、ハードウェア(例えば、電気回路)によって行われてもよく、コンピュータ上で第2交流電圧指令値を決定するプログラムを実行することにより行われてもよい。換言すれば、第2交流電圧指令生成部7bは、ハードウェアによって実現されていてもよく、コンピュータ上で実行されるソフトウェアによって実現されていてもよい。
【0057】
図5には、二次電池Bの充電時において、二次電池Bの充電電流の値I、二次電池Bの端子電圧の値V、交流電圧指令値R1、および、第2交流電圧指令値R2の時間変化の一例が示されている。
【0058】
(効果)
第2の実施形態における充電システム100Bは、第1の実施形態における充電システム100Aと同様の効果を奏する。加えて、第2の実施形態では、二次電池Bの容量に対して1台当たりの交流発電機の出力が小さい場合でも、十分な充電電流の大きさを確保することができる。よって、二次電池Bを迅速に充電することができる。
【0059】
続いて、
図4乃至
図11を参照して、第2の実施形態における充電システム100Bにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0060】
(負荷93)
図6に例示されるように、第1電流路41aおよび第2電流路41bの各々は、負荷93に電力を供給する直流母線91に接続されていてもよい。負荷93については、第1の実施形態において説明済みであるため、負荷93についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0061】
図6に記載の例では、整流回路3aと二次電池Bとを接続する第1電流路41aは、第1電線L1と、第2電線L2とを含む。
図6に例示されるように、第1電流路41aの一部は、直流母線91によって構成されていてもよい。
図6に記載の例では、第1電線L1は、直流母線91と二次電池Bとを接続する。また、第2電線L2は、整流回路3aと直流母線91とを接続する。
【0062】
図6に記載の例では、第2整流回路3bと二次電池Bとを接続する第2電流路41bは、第1電線L1と、第3電線L3とを含む。
図6に例示されるように、第2電流路41bの一部は、直流母線91によって構成されていてもよい。
図6に記載の例では、第1電線L1は、直流母線91と二次電池Bとを接続する。また、第3電線L3は、第2整流回路3bと直流母線91とを接続する。
【0063】
図6に記載の例では、発電機G1および第2発電機G2の各々は、二次電池Bの充電と、負荷93への電力の供給とを同時に実行可能である。
【0064】
図6に記載の例では、二次電池Bの過充電、二次電池Bの過熱、および、二次電池Bからの発火を防止しつつ、発電機G1および第2発電機G2の各々を用いた二次電池Bへの充電と、発電機G1および第2発電機G2の各々を用いた負荷93への電力供給との両方を実行可能である。
【0065】
(第1電流検出器8a、および、第2電流検出器8b)
図7に記載の例では、充電システム100Bは、第1電流検出器8aと、第2電流検出器8bとを備える。第1電流検出器8aは、整流回路3aから二次電池Bに向けて流れる第1直流電流i1(より具体的には、第1充電電流)を検出する。第2電流検出器8bは、第2整流回路3bから二次電池Bに向けて流れる第2直流電流i2(より具体的には、第2充電電流)を検出する。
【0066】
図7に記載の例では、第1電流検出器8aは、整流回路3aと二次電池Bとを接続する第1電流路41a(より具体的には、第1電流路41aの一部を構成する第2電線L2)に配置されている。第1電流検出器8aは、整流回路3aと直流母線91との間の第2電線L2を流れる第1直流電流i1を検出してもよい(
図10を参照。)。
【0067】
図7に記載の例では、第2電流検出器8bは、第2整流回路3bと二次電池Bとを接続する第2電流路41b(より具体的には、第2電流路41bの一部を構成する第3電線L3)に配置されている。第2電流検出器8bは、第2整流回路3bと直流母線91との間の第3電線L3を流れる第2直流電流i2を検出してもよい(
図10を参照。)。
【0068】
図7に記載の例では、第1電流検出器8aによって検出される第1直流電流i1の値と、第2電流検出器8bによって検出される第2直流電流i2の値との合計値が、二次電池Bの充電電流に対応する。第1直流電流i1の値と、第2直流電流i2の値とを加算して、充電電流の値を決定する機能は、交流電圧指令生成部7aが有していてもよい。この場合、交流電圧指令生成部7aは、二次電池Bの充電電流を検出する電流検出部5として機能する。代替的に、他のデバイス(例えば、バッテリマネジメントユニットM)が、第1直流電流i1の値と、第2直流電流i2の値とを加算して、充電電流の値を決定する機能を有していてもよい。この場合、当該他のデバイスが、二次電池Bの充電電流を検出する電流検出部5として機能する。更に代替的に、第1電流検出器8aおよび第2電流検出器8bとは別に、二次電池Bの充電電流を検出する電流検出器5bが設けられてもよい(例えば、
図10を参照。)。この場合、当該電流検出器5bが、二次電池Bの充電電流を検出する電流検出部5として機能する。
【0069】
(電圧検出部6)
図7に記載の例では、二次電池Bの端子電圧を検出する電圧検出部6が2個設けられ、当該電圧検出部6が、第1電流路41aおよび第2電流路41bの各々に配置されている。代替的に、二次電池Bの端子電圧を検出する電圧検出部6は、1個であってもよい。また、電圧検出部6は、第1電線L1における直流電圧を、二次電池Bの端子電圧として検出してもよい。
【0070】
図8には、二次電池Bの充電時において、二次電池Bの充電電流の値I、第1直流電流i1の値I1、第2直流電流i2の値I2、二次電池Bの端子電圧の値V、交流電圧指令値R1、および、第2交流電圧指令値R2の時間変化の一例が示されている。
図8に記載の例では、第1直流電流i1の値I1と、第2直流電流i2の値I2とが等しい。代替的に、発電機Gの能力と、第2発電機G2の能力とが異なる場合等には、第1直流電流i1の値I1と、第2直流電流i2の値I2とが異なっていてもよい。
【0071】
(ドループ特性)
図7に記載の例において、交流電圧指令生成部7aは、第1ドループ特性K1を有していてもよい。第1ドループ特性K1は、第1直流電流i1の増加に応じて交流電圧指令値R1を低下させ、第1直流電流i1の低下に応じて交流電圧指令値R1を増加させる特性である。
【0072】
図9を参照して、交流電圧指令生成部7aの第1ドループ特性K1について説明する。
図9に記載の例において、交流電圧指令値R1の目標値は、値V1である。
図9に記載の例において、第1直流電流i1の値が、電流値I1-Aから電流値I1-Bに増加すると、交流電圧指令値R1が、値R1-Aから値R1-Bに低下する(矢印AR1を参照。)。他方、
図9に記載の例において、第1直流電流i1の値が、電流値I1-Bから電流値I1-Aに低下すると、交流電圧指令値R1が、値R1-Bから値R1-Aに増加する(矢印AR2を参照。)。
【0073】
交流電圧指令生成部7aが第1ドループ特性K1を発揮するために、交流電圧指令生成部7aは、第1電流検出器8aから第1直流電流i1の値を取得可能である。
図7に記載の例では、交流電圧指令生成部7aと第1電流検出器8aとが別体であるが、第1電流検出器8aは交流電圧指令生成部7aに組み込まれていてもよい。
【0074】
図7に記載の例において、第2交流電圧指令生成部7bは、第2ドループ特性K2を有していてもよい。第2ドループ特性K2は、第2直流電流i2の増加に応じて第2交流電圧指令値R2を低下させ、第2直流電流i2の低下に応じて第2交流電圧指令値R2を増加させる特性である。
【0075】
図9を参照して、第2交流電圧指令生成部7bの第2ドループ特性K2について説明する。
図9に記載の例において、第2交流電圧指令値R2の目標値は、値V1である(なお、
図9に記載の例では、第2交流電圧指令値R2の目標値は、交流電圧指令値R1の目標値と等しい。)。
図9に記載の例において、第2直流電流i2の値が、電流値I2-Aから電流値I2-Bに増加すると、第2交流電圧指令値R2が、値R2-Aから値R2-Bに低下する(矢印AR3を参照。)。他方、
図9に記載の例において、第2直流電流i2の値が、電流値I2-Bから電流値I2-Aに低下すると、第2交流電圧指令値R2が、値R2-Bから値R2-Aに増加する(矢印AR4を参照。)。
【0076】
第2交流電圧指令生成部7bが第2ドループ特性K2を発揮するために、第2交流電圧指令生成部7bは、第2電流検出器8bから第2直流電流i2の値を取得可能である。
図7に記載の例では、第2交流電圧指令生成部7bと第2電流検出器8bとが別体であるが、第2電流検出器8bは第2交流電圧指令生成部7bに組み込まれていてもよい。
【0077】
図9に記載の例では、第2交流電圧指令生成部7bの第2ドループ特性K2は、交流電圧指令生成部7aの第1ドループ特性K1と等しい。代替的に、第2交流電圧指令生成部7bの第2ドループ特性K2は、交流電圧指令生成部7aの第1ドループ特性K1と異なっていてもよい。
【0078】
交流電圧指令生成部7aが第1ドループ特性K1を有し、第2交流電圧指令生成部7bが第2ドループ特性K2を有する場合、2台の発電機(G1、G2)間で、出力電流の分担が好適に行われる。
【0079】
例えば、発電機G1側の機器の特性と第2発電機G2側の機器の特性との違い等に起因して、整流回路3aから第2電線L2に供給される出力電流(換言すれば、第1直流電流i1)が意図せずして増加すると、交流電圧指令生成部7aの第1ドループ特性K1によって、交流電圧指令値R1が低下する。その結果、発電機G1の出力電流負担割合が相対的に低下し、第2発電機G2の出力電流負担割合が相対的に増加する。こうして、出力電流負担割合の平準化が自動的に行われる。
【0080】
例えば、発電機G1側の機器の特性と第2発電機G2側の機器の特性との違い等に起因して、第2整流回路3bから第3電線L3に供給される出力電流(換言すれば、第2直流電流i2)が意図せずして低下すると、第2交流電圧指令生成部7bの第2ドループ特性K2によって、第2交流電圧指令値R2が増加する。その結果、第2発電機G2の出力電流負担割合が相対的に増加し、発電機G1の出力電流負担割合が相対的に低下する。こうして、出力電流負担割合の平準化が自動的に行われる。
【0081】
図7に記載の例では、交流電圧指令生成部7aは、第2交流電圧指令生成部7bに指令値R3を送信することにより、上述の第2交流電圧指令値R2の決定に関与するマスター側の指令生成部である。他方、第2交流電圧指令生成部7bは、交流電圧指令生成部7aから指令値R3を受け取るスレーブ側の指令生成部である。
図7に記載の例において、第2交流電圧指令生成部7bは、交流電圧指令生成部7aから受け取る指令値R3と、第2交流電圧指令生成部7bの第2ドループ特性K2とに基づいて、第2交流電圧指令値R2を決定する。また、第2交流電圧指令生成部7bは、決定された第2交流電圧指令値R2を、第2自動電圧調整器2bに伝達する。
【0082】
(負荷93)
図10に例示されるように、交流電圧指令生成部7aが、上述の第1ドループ特性K1を有し、第2交流電圧指令生成部7bが、上述の第2ドループ特性K2を有する態様において、第1電流路41aおよび第2電流路41bの各々が、負荷93に電力を供給する直流母線91に接続されていてもよい。負荷93については、第1の実施形態において説明済みであるため、負荷93についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0083】
図10に記載の例では、充電システム100Bは、整流回路3aと直流母線91との間の第2電線L2を流れる第1直流電流i1を検出する第1電流検出器8aと、第2整流回路3bと直流母線91との間の第3電線L3を流れる第2直流電流i2を検出する第2電流検出器8bと、二次電池Bの充電電流を検出する電流検出部5(より具体的には、電流検出器5b)と、二次電池Bの端子電圧を検出する電圧検出部6と、を備える。
図10に記載の例では、電流検出部5は、直流母線91と二次電池Bの間の第1電線L1を流れる直流電流(換言すれば、充電電流)を検出する。また、電圧検出部6は、当該第1電線L1における直流電圧を検出する。
【0084】
第1ドループ特性K1、第2ドループ特性K2、第1電流検出器8a、第2電流検出器8b、電流検出部5、電圧検出部6については既に説明済みであるため、これらについての繰り返しとなる説明は省略する。
【0085】
図10に記載の例では、二次電池Bの過充電、二次電池Bの過熱、および、二次電池Bからの発火を防止しつつ、発電機G1および第2発電機G2の各々を用いた二次電池Bへの充電と、発電機G1および第2発電機G2の各々を用いた負荷93への電力供給との両方を実行可能である。また、交流電圧指令生成部7aおよび第2交流電圧指令生成部7bの各々がドループ特性を有するため、発電機G1および第2発電機G2の出力電流負担割合の平準化が自動的に行われる。
【0086】
(定電流充電)
図4、
図6、
図7、あるいは、
図10に記載の例において、二次電池Bの充電前期P1(
図5または
図8を参照。)において、二次電池Bに定電流充電が行われるように、交流電圧指令生成部7aは交流電圧指令値R1を決定し、第2交流電圧指令生成部7bは第2交流電圧指令値R2を決定してもよい。交流電圧指令生成部7aは、決定された交流電圧指令値R1を自動電圧調整器2aに伝達し、第2交流電圧指令生成部7bは、決定された第2交流電圧指令値R2を第2自動電圧調整器2bに伝達する。充電前期に定電流充電が行われることにより、二次電池Bを迅速に充電することができる。
【0087】
図4、
図6、
図7、あるいは、
図10に記載の例において、二次電池Bの充電前期P1(
図5または
図8を参照。)に、交流電圧指令生成部7aは、少なくとも二次電池Bの充電電流に基づいて(より具体的には、少なくとも二次電池Bの充電電流および二次電池Bの端子電圧に基づいて)、充電電流の値Iが維持されるよう、交流電圧指令値R1、および、第2交流電圧指令生成部7bに送信する指令値R3を決定する。
【0088】
図4、
図6、
図7、あるいは、
図10に記載の例において、指令値R3は、交流電圧指令値R1と実質的に等しくてもよい。交流電圧指令生成部7aが、第1ドループ特性K1を有する場合等には、指令値R3は、交流電圧指令値R1と異なっていてもよい。また、第2交流電圧指令生成部7bが、第2ドループ特性K2を有する場合には、第2交流電圧指令生成部7bは、交流電圧指令生成部7aから受け取る指令値R3と、第2ドループ特性K2とに基づいて、第2交流電圧指令値R2を決定してもよい。
【0089】
(定電圧充電)
図4、
図6、
図7、あるいは、
図10に記載の例において、交流電圧指令生成部7aは、二次電池Bの充電後期P2(
図5または
図8を参照。)において、二次電池Bに定電圧充電が行われるように、交流電圧指令生成部7aは交流電圧指令値R1を決定し、第2交流電圧指令生成部7bは第2交流電圧指令値R2を決定してもよい。交流電圧指令生成部7aは、決定された交流電圧指令値R1を自動電圧調整器2aに伝達し、第2交流電圧指令生成部7bは、決定された第2交流電圧指令値R2を第2自動電圧調整器2bに伝達する。充電後期に定電圧充電が行われることにより、二次電池Bの過充電が防止される。
【0090】
図4、
図6、
図7、あるいは、
図10に記載の例において、二次電池Bの充電後期P2(
図5または
図8を参照。)に、交流電圧指令生成部7aは、少なくとも二次電池Bの端子電圧に基づいて(より具体的には、少なくとも二次電池Bの充電電流および二次電池Bの端子電圧に基づいて)、端子電圧の値Vが維持されるよう、交流電圧指令値R1、および、第2交流電圧指令生成部7bに送信する指令値R3を決定する。
【0091】
図5または
図8に記載の例では、充電後期P2において、交流電圧指令生成部7aによって決定される交流電圧指令値R1は、略一定の値に維持され、第2交流電圧指令生成部7bによって決定される第2交流電圧指令値R2は、略一定の値に維持される。
【0092】
図4、
図6、
図7、あるいは、
図10に記載の例において、指令値R3は、交流電圧指令値R1と実質的に等しくてもよい。交流電圧指令生成部7aが、第1ドループ特性K1を有する場合等には、指令値R3は、交流電圧指令値R1と異なっていてもよい。また、第2交流電圧指令生成部7bが、第2ドループ特性K2を有する場合には、第2交流電圧指令生成部7bは、交流電圧指令生成部7aから受け取る指令値R3と、第2ドループ特性K2とに基づいて、第2交流電圧指令値R2を決定してもよい。
【0093】
(定電流充電から定電圧充電への切り替え)
図4、
図6、
図7、あるいは、
図10に記載の例において、交流電圧指令生成部7aは、二次電池Bの端子電圧の値Vが所定の閾値TH1(
図5または
図8を参照。)に達することに応じて、二次電池Bの充電方式が定電流充電から定電圧充電に切り替えられるよう、交流電圧指令値R1、および、第2交流電圧指令生成部7bに送信する指令値R3を決定してもよい。
【0094】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態又は各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態又は各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【0095】
例えば、上述の第1の実施形態および第2の実施形態では、発電機Gおよび自動電圧調整器2の各々の数が、1個または2個である場合の例について説明された。代替的に、発電機Gおよび自動電圧調整器2の各々の数は、3個以上であってもよい。この場合、「K」を3以上の任意の自然数と定義するとき、充電システム100は、(1)第「K」交流電圧指令値に基づいて、第「K」発電機の出力電圧を制御する第「K」自動電圧調整器と、(2)第「K」発電機が発生させる交流電力を直流電力に変換する第「K」整流回路と、(3)第「K」整流回路と二次電池Bとを接続する第「K」電流路と、(4)第「K」交流電圧指令値を第「K」自動電圧調整器に伝達する第「K」交流電圧指令生成部と、を備えていてもよい。また、交流電圧指令生成部7aは、第「K」交流電圧指令生成部に指令値を送信することにより、上述の第「K」交流電圧指令値の決定に関与するマスター側の指令生成部として機能し、第「K」交流電圧指令生成部は、交流電圧指令生成部7aから当該指令値を受け取るスレーブ側の指令生成部として機能してもよい。
【0096】
また、上述の第2の実施形態では、第2交流電圧指令生成部7bが、交流電圧指令生成部7aから受け取る指令値R3に基づいて、第2交流電圧指令値R2を決定する場合の例について説明された。
【0097】
代替的に、
図11に例示されるように、第2交流電圧指令生成部7bは、二次電池Bの充電電流および二次電池Bの端子電圧のうちの少なくとも一方に基づいて(例えば、電流検出部5から受け取る第1信号S1、および、電圧検出部6から受け取る第2信号S2のうちの少なくとも一方に基づいて)、上述の充電電流の値および上述の端子電圧の値が二次電池Bの充電に適した値となるように、第2交流電圧指令値R2を決定してもよい。第2交流電圧指令生成部7bは、決定された第2交流電圧指令値R2を第2自動電圧調整器2bに伝達する。
【0098】
図11に記載の例において、発電機G1の能力と、第2発電機G2の能力とが等しく、二次電池Bが定電流充電される場合を想定する。この場合、電流検出部5によって検出される充電電流のうちの半分が整流回路3aから二次電池Bに供給されている第1直流電流i1であるとみなされ、電流検出部5によって検出される充電電流のうちの他の半分が第2整流回路3bから二次電池Bに供給されている第2直流電流i2であるとみなされ、第1直流電流i1の値が維持されるよう、交流電圧指令生成部7aは、交流電圧指令値R1を決定し、第2直流電流i2の値が維持されるよう、第2交流電圧指令生成部7bは、第2交流電圧指令値R2を決定してもよい。
【符号の説明】
【0099】
2、2a…自動電圧調整器、2b…第2自動電圧調整器、3a…整流回路、3b…第2整流回路、5…電流検出部、5b…電流検出器、6…電圧検出部、7a…交流電圧指令生成部、7b…第2交流電圧指令生成部、8a…第1電流検出器、8b…第2電流検出器、41a…第1電流路、41b…第2電流路、91…直流母線、93…負荷、93a…直流負荷、93b…直交変換装置、93c…交流負荷、93d…直流/直流間変換装置、100、100A、100B…充電システム、100'…充電システム、B…二次電池、C1…界磁コイル、C2…界磁コイル、E1…原動機、E2…第2原動機、G、G1…発電機、G2…第2発電機、I…充電電流、K1…第1ドループ特性、K2…第2ドループ特性、L1…第1電線、L2…第2電線、L3…第3電線、M…バッテリマネジメントユニット、R1…交流電圧指令値、R2…第2交流電圧指令値、R3…指令値、S1…第1信号、S2…第2信号、TH1…閾値、V…端子電圧、i1…第1直流電流、i2…第2直流電流
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧指令値に基づいて、発電機の出力電圧を制御する自動電圧調整器と、
前記発電機が発生させる交流電力を直流電力に変換する整流回路と、
前記整流回路と二次電池とを接続する第1電流路と、
前記二次電池の充電電流を検出する電流検出部と、
前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、
前記充電電流および前記端子電圧のうちの少なくとも一方に基づいて、前記充電電流の値および前記端子電圧の値が前記二次電池の充電に適した値となるように、前記交流電圧指令値を決定し、決定された前記交流電圧指令値を前記自動電圧調整器に伝達する交流電圧指令生成部と、
第2交流電圧指令値に基づいて、第2発電機の出力電圧を制御する第2自動電圧調整器と、
前記第2発電機が発生させる交流電力を直流電力に変換する第2整流回路と、
前記第2整流回路と前記二次電池とを接続する第2電流路と、
前記第2交流電圧指令値を前記第2自動電圧調整器に伝達する第2交流電圧指令生成部と
を具備し、
前記第2交流電圧指令生成部は、前記交流電圧指令生成部から受け取る指令値に基づいて、前記充電電流の値および前記端子電圧の値が前記二次電池の充電に適した値となるように、前記第2交流電圧指令値を決定し、
前記交流電圧指令生成部は、前記第2交流電圧指令生成部に前記指令値を送信することにより、前記第2交流電圧指令値の決定に関与するマスター側の指令生成部であり、
前記第2交流電圧指令生成部は、前記交流電圧指令生成部から前記指令値を受け取るスレーブ側の指令生成部である
充電システム。
【請求項2】
前記整流回路から前記二次電池に向けて流れる第1直流電流を検出する第1電流検出器と、
前記第2整流回路から前記二次電池に向けて流れる第2直流電流を検出する第2電流検出器と
を備え、
前記交流電圧指令生成部は、前記第1直流電流の増加に応じて前記交流電圧指令値を低下させ、前記第1直流電流の低下に応じて前記交流電圧指令値を増加させる第1ドループ特性を有し、
前記第2交流電圧指令生成部は、前記第2直流電流の増加に応じて前記第2交流電圧指令値を低下させ、前記第2直流電流の低下に応じて前記第2交流電圧指令値を増加させる第2ドループ特性を有する
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記第1電流路は、負荷に電力を供給する直流母線に接続されている
請求項1または2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記交流電圧指令生成部は、
前記二次電池の充電前期において、少なくとも前記充電電流に基づいて、前記二次電池に定電流充電が行われるよう前記交流電圧指令値を決定し、
前記二次電池の充電後期において、少なくとも前記端子電圧に基づいて、前記二次電池に定電圧充電が行われるよう前記交流電圧指令値を決定する
請求項1または2に記載の充電システム。
【請求項5】
前記発電機を更に具備し、
前記自動電圧調整器は、前記発電機が出力する交流電圧の値を検出し、当該値が前記交流電圧指令値に対応した値になるよう、前記発電機の界磁コイルに付与する界磁電圧を制御する
請求項1または2に記載の充電システム。
【請求項6】
前記整流回路は、制御不要な電気部品のみによって構成されている
請求項1または2に記載の充電システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における充電システムは、交流電圧指令値に基づいて、発電機の出力電圧を制御する自動電圧調整器と、前記発電機が発生させる交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路と二次電池とを接続する第1電流路と、前記二次電池の充電電流を検出する電流検出部と、前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、前記充電電流および前記端子電圧のうちの少なくとも一方に基づいて、前記充電電流の値および前記端子電圧の値が前記二次電池の充電に適した値となるように、前記交流電圧指令値を決定し、決定された前記交流電圧指令値を前記自動電圧調整器に伝達する交流電圧指令生成部と、第2交流電圧指令値に基づいて、第2発電機の出力電圧を制御する第2自動電圧調整器と、前記第2発電機が発生させる交流電力を直流電力に変換する第2整流回路と、前記第2整流回路と前記二次電池とを接続する第2電流路と、前記第2交流電圧指令値を前記第2自動電圧調整器に伝達する第2交流電圧指令生成部とを具備し、前記第2交流電圧指令生成部は、前記交流電圧指令生成部から受け取る指令値に基づいて、前記充電電流の値および前記端子電圧の値が前記二次電池の充電に適した値となるように、前記第2交流電圧指令値を決定し、前記交流電圧指令生成部は、前記第2交流電圧指令生成部に前記指令値を送信することにより、前記第2交流電圧指令値の決定に関与するマスター側の指令生成部であり、前記第2交流電圧指令生成部は、前記交流電圧指令生成部から前記指令値を受け取るスレーブ側の指令生成部であることを特徴とする。