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特開2024-171956投影制御装置、投影制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171956
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】投影制御装置、投影制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20241205BHJP
   G03B 21/26 20060101ALI20241205BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241205BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G03B21/26
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
G09G5/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089333
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 正樹
(72)【発明者】
【氏名】深野 和靖
(72)【発明者】
【氏名】成川 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】尾田 潔
(72)【発明者】
【氏名】井上 聖
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA75
2K203FA76
2K203FA82
2K203FB05
2K203KA42
2K203KA43
2K203KA62
2K203KA67
2K203MA40
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA27
5C058EA54
5C182AA03
5C182AA04
5C182AA13
5C182AB15
5C182AB33
5C182AC31
5C182AC35
5C182BA14
5C182BA29
5C182BA54
5C182BA57
5C182CB41
(57)【要約】
【課題】複数の対象者に視認対象を適切に認識させる。
【解決手段】投影制御装置は、視認対象の位置に係る第1位置情報と、視認対象の視認の妨げとなり得る遮蔽物体の位置に係る第2位置情報と、視認対象を視認しようとする複数の対象者の位置に係る第3位置情報と、に基づいて、複数の対象者の中に、遮蔽物体により遮蔽されて視認対象を所定の態様で視認することができない位置にいる第1対象者が含まれているか否かを判別し、複数の対象者の中に第1対象者が含まれていると判別された場合に、第2位置情報及び第3位置情報に基づいて、第1対象者が視認可能な第1領域内に、視認対象を認識させるための補助画像の投影位置を決定し、決定した投影位置に補助画像を投影させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視認対象の位置に係る第1位置情報と、前記視認対象の視認の妨げとなり得る遮蔽物体の位置に係る第2位置情報と、前記視認対象を視認しようとする複数の対象者の位置に係る第3位置情報と、に基づいて、前記複数の対象者の中に、前記遮蔽物体により遮蔽されて前記視認対象を所定の態様で視認することができない位置にいる第1対象者が含まれているか否かを判別し、
前記複数の対象者の中に前記第1対象者が含まれていると判別された場合に、前記第2位置情報及び前記第3位置情報に基づいて、前記第1対象者が視認可能な第1領域内に、前記視認対象を認識させるための補助画像の投影位置を決定し、
決定した前記投影位置に前記補助画像を投影させる、
制御部を備える投影制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記視認対象を視認しようとする前記複数の対象者がいるか否かを所定の方法で判別し、
前記複数の対象者がいると判別された場合に、前記複数の対象者の位置に係る前記第3位置情報を取得して、前記複数の対象者の中に前記第1対象者が含まれているか否かを判別する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の対象者の中に2人以上の前記第1対象者が含まれている場合に、全ての前記第1対象者が視認可能な前記第1領域内に前記投影位置を決定する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1位置情報、前記第2位置情報及び前記第3位置情報に基づいて、前記複数の対象者の中に、前記視認対象を前記所定の態様で視認することができる位置にいる第2対象者が含まれているか否かを判別し、
前記複数の対象者の中に前記第2対象者が含まれていると判別され、かつ、全ての前記第2対象者から視認されない第2領域と、前記第1領域とが重なる第3領域がある場合には、前記第3領域内に前記投影位置を決定する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の投影制御装置。
【請求項5】
前記補助画像は、前記視認対象の位置を案内する案内画像である、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項6】
前記補助画像は、前記視認対象の外観を表す外観画像である、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1領域のうち前記遮蔽物体の表面に前記投影位置を決定する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1領域のうち前記遮蔽物体の表面に前記投影位置を決定し、
全ての前記第1対象者の位置を代表する代表位置から視認したと仮定した場合における前記視認対象の外観を表す外観画像を前記補助画像として前記遮蔽物体の表面に投影させる、
請求項3に記載の投影制御装置。
【請求項9】
前記第1対象者の位置は、前記第1対象者の視点位置であり、
前記代表位置は、前記全ての第1対象者の前記視点位置から等距離にある点である、
請求項8に記載の投影制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第1位置情報、前記第2位置情報及び前記第3位置情報に基づいて、前記複数の対象者の中に、前記視認対象を前記所定の態様で視認することができる位置にいる第2対象者が含まれているか否かを判別し、
前記複数の対象者の中に前記第2対象者が含まれていると判別され、かつ、前記遮蔽物体の表面に前記第2対象者から視認されない部分がある場合には、当該部分に前記補助画像を投影させる、
請求項7~9のいずれか一項に記載の投影制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記遮蔽物体の表面が、前記補助画像を投影可能な平面を有するか否かを判別し、
前記遮蔽物体の表面が前記平面を有していないと判別された場合には、前記第1領域のうち前記遮蔽物体の表面を除いた領域内に前記投影位置を決定する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項12】
前記第3位置情報は、前記複数の対象者の各々の視点の位置に係る情報を含み、
前記制御部は、前記第3位置情報に基づいて特定した或る前記対象者の前記視点の位置と、前記第1位置情報に基づいて位置を特定した前記視認対象と、を結ぶ仮想線の全部が、前記第2位置情報に基づいて特定した前記遮蔽物体に遮蔽される場合、又は前記仮想線の少なくとも一部が前記遮蔽物体に遮蔽される場合に、前記或る対象者が前記第1対象者であると判別する、
請求項1に記載の投影制御装置。
【請求項13】
コンピュータが実行する投影制御方法であって、
視認対象の位置に係る第1位置情報と、前記視認対象の視認の妨げとなり得る遮蔽物体の位置に係る第2位置情報と、前記視認対象を視認しようとする複数の対象者の位置に係る第3位置情報と、に基づいて、前記複数の対象者の中に、前記遮蔽物体により遮蔽されて前記視認対象を所定の態様で視認することができない位置にいる第1対象者が含まれているか否かを判別し、
前記複数の対象者の中に前記第1対象者が含まれていると判別された場合に、前記第2位置情報及び前記第3位置情報に基づいて、前記第1対象者が視認可能な第1領域内に、前記視認対象を認識させるための補助画像の投影位置を決定し、
決定した前記投影位置に前記補助画像を投影させる、
投影制御方法。
【請求項14】
コンピュータに、
視認対象の位置に係る第1位置情報と、前記視認対象の視認の妨げとなり得る遮蔽物体の位置に係る第2位置情報と、前記視認対象を視認しようとする複数の対象者の位置に係る第3位置情報と、に基づいて、前記複数の対象者の中に、前記遮蔽物体により遮蔽されて前記視認対象を所定の態様で視認することができない位置にいる第1対象者が含まれているか否かを判別する処理、
前記複数の対象者の中に前記第1対象者が含まれていると判別された場合に、前記第2位置情報及び前記第3位置情報に基づいて、前記第1対象者が視認可能な第1領域内に、前記視認対象を認識させるための補助画像の投影位置を決定し、
決定した前記投影位置に前記補助画像を投影させる処理、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影制御装置、投影制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設の天井や壁等に設置された投影装置により、周囲の人の位置に応じて種々の画像を投影させる技術が知られている。この技術の応用例の1つに、対象者が視認しようとしている視認対象が他の物体により遮蔽されて対象者から見えない場合に、対象者に視認対象を認識させるための画像を投影装置により投影させる技術がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6698971号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、対象者が1人であることが前提となっており、複数の対象者がいると、各対象者に視認対象を適切に認識させることができないという課題がある。
【0005】
本発明は、複数の対象者に視認対象を適切に認識させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る投影制御装置は、
視認対象の位置に係る第1位置情報と、前記視認対象の視認の妨げとなり得る遮蔽物体の位置に係る第2位置情報と、前記視認対象を視認しようとする複数の対象者の位置に係る第3位置情報と、に基づいて、前記複数の対象者の中に、前記遮蔽物体により遮蔽されて前記視認対象を所定の態様で視認することができない位置にいる第1対象者が含まれているか否かを判別し、
前記複数の対象者の中に前記第1対象者が含まれていると判別された場合に、前記第2位置情報及び前記第3位置情報に基づいて、前記第1対象者が視認可能な第1領域内に、前記視認対象を認識させるための補助画像の投影位置を決定し、
決定した前記投影位置に前記補助画像を投影させる、
制御部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の対象者に視認対象を適切に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】投影システムの構成を示す図である。
図2】投影システム及び投影制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】投影装置による補助画像の投影動作を説明する斜視図である。
図4】投影装置による補助画像の投影動作を説明する上面図である。
図5】補助画像投影処理の制御手順を示すフローチャートである。
図6】補助画像投影処理の制御手順を示すフローチャートである。
図7】対象者判別処理の制御手順を示すフローチャートである。
図8図3及び図4に示す例における第1領域を示す図である。
図9図3及び図4に示す例における第2領域を示す図である。
図10図3及び図4に示す例における第3領域を示す図である。
図11】第2の実施形態における投影装置による補助画像の投影動作を説明する斜視図である。
図12】第2の実施形態における投影装置による補助画像の投影動作を説明する上面図である。
図13図11及び図12に示す例における第1領域を示す図である。
図14図11及び図12に示す例における第2領域を示す図である。
図15図11及び図12に示す例における第3領域を示す図である。
図16】第2の実施形態において複数の第1対象者がいる場合の補助画像の投影動作を説明する斜視図である。
図17】第2の実施形態において複数の第1対象者がいる場合の補助画像の投影動作を説明する上面図である。
図18】第2の実施形態における投影装置による補助画像の他の投影動作を説明する斜視図である。
図19】第2の実施形態における投影装置による補助画像の他の投影動作を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
<投影システムの構成>
図1は、投影システム1の構成を示す図である。
投影システム1は、投影制御装置10、撮影装置20及び投影装置30(プロジェクタ)を備える。撮影装置20及び投影装置30は、それぞれ無線又は有線により投影制御装置10と通信接続されており、投影制御装置10との間でデータの送受信を行うことが可能である。投影制御装置10は、各種の制御信号を撮影装置20及び投影装置30に送信することで、撮影装置20及び投影装置30の動作を制御する。投影システム1は、例えば商業施設や公共施設などの建物の内部に設けられる。本実施形態では、図1に示すように、撮影装置20及び投影装置30は建物の部屋2の内部に配置され、投影制御装置10は部屋2の外部に配置されている。ただし、投影制御装置10は、部屋2の内部に配置されていてもよいし、遠隔地に配置されていてもよい。
【0011】
部屋2の内部には、視認対象40と、当該視認対象40の視認の妨げとなり得る遮蔽物体50と、があるものとする。また、部屋2の内部には、視認対象40を視認しようとする対象者Pがいるものとする。視認対象40は、対象者Pが視覚により認識可能であればどのようなものであってもよい。また、遮蔽物体50は、光を遮蔽する材質であればどのようなものであってもよい。本実施形態の視認対象40は直方体形状の物体であり、遮蔽物体50は円筒形状の物体であるものとする。図1に示す状態において、対象者Pは、遮蔽物体50により遮蔽されて視認対象40を所定の態様で視認することができない位置にいる。本実施形態において、「所定の態様」は、「視認対象40の少なくとも一部が見える態様」をいうものとする。言い換えると、「視認対象40を所定の態様で視認することができない」とは、視認対象40の一部を視認することもできないこと、すなわち、視認対象40の全部が視認できないことをいうものとする。よって、図1においては、遮蔽物体50の陰になって対象者Pの視点位置からは視認することができない不可視領域Rの内部に、視認対象40の全体が位置している。
なお、上記に代えて「所定の態様」は、「視認対象40の全部が見える態様」としてもよい。言い換えると、「視認対象40を所定の態様で視認することができない」ことは、視認対象40の全部が見える態様で視認対象40を視認することができないこと、すなわち、視認対象40の少なくとも一部が視認できないこと、としてもよい。
以下では、「視認対象40を所定の態様で視認することができない(できる)」ことを、単に「視認対象40を視認することができない(できる)」と記す。
【0012】
投影装置30は、投影用画像データ133(図2参照)に応じた強度分布の光を前方の投影可能範囲rに投射することにより、光が投射された面(図1では、部屋2の床面)に補助画像60を投影する。補助画像60は、視認対象40を視認することができない位置にいる対象者Pに対して視認対象40を認識させるための画像である。投影装置30の構成は、特には限られないが、例えば、光源と、表示素子と、投影レンズ群などを備えた構成とすることができる。表示素子は、例えばデジタルマイクロミラー素子(DMD)であり、光源から出力された光の強度分布を調整して光像を形成する。投影レンズ群は、表示素子が形成した光像を集光して投影可能範囲rに向けて投射する。
【0013】
投影に用いられる投影用画像データ133は、投影制御装置10から投影装置30に送信される。この投影用画像データ133は、例えば、補助画像60のデータを一部に含み、補助画像60以外の部分がマスクされている(すなわち、黒色に対応する画素値となっている)画像データである。投影装置30は、このような投影用画像データ133に基づいて強度分布が調整された光を投射することで、投影可能範囲rの一部に対して選択的に補助画像60を投影することができる。
【0014】
投影装置30は、部屋2の天井から吊り下げられた状態で取り付けられている。ただし、これに限られず、投影装置30は、例えば壁などに取り付けられたり、台などの上に載置されたり、天井や壁に埋め込まれた状態で設置されたりしていてもよい。本実施形態の投影装置30は、天井の面に垂直な第1軸a1、及び第1軸a1に垂直な第2軸a2を中心に回動可能に設けられている。これにより、投影装置30は、部屋2の床面及び壁面のうち、第1軸a1及び第2軸a2を中心とした回動によりカバー可能な範囲内であれば、任意の投影位置に補助画像60を投影することができる。第1軸a1及び第2軸a2を中心とした投影装置30の回動は、投影制御装置10から供給された制御信号に応じて図示略のサーボモータ又はステッピングモータが動作することにより実現される。よって、投影装置30による補助画像60の投影方向及び投影位置は、投影制御装置10により制御される。投影システム1は、より広い範囲に補助画像60を投影可能となるように、部屋2の内部に複数の投影装置30を備えていてもよい。
【0015】
撮影装置20は、2Dカメラ及び深度カメラを備える。2Dカメラは、部屋2の内部を撮影して2D画像データを生成する。2D画像データは、カラー画像データであってもよいし、モノクロ画像データであってもよい。深度カメラは、撮影装置20から被写体までの距離に係る深度情報(距離情報)を含む深度画像データを生成する。深度カメラとしては、例えば、TOF(Time Of Flight)方式で距離を検出するもの、又はステレオ方式で距離を検出するものなどを用いることができる。2Dカメラにより生成された2D画像データ、及び深度カメラにより生成された深度画像データは、投影制御装置10に送信されて、投影制御装置10の記憶部13に撮影画像データ132(図2参照)として記録される。投影システム1は、より広い範囲を撮影可能となるように、部屋2の内部に複数の撮影装置20を備えていてもよい。
【0016】
図2は、投影システム1及び投影制御装置10の機能構成を示すブロック図である。
投影制御装置10は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、通信部14などを備え、これらの各部はバス15により接続されている。なお、投影制御装置10は、投影制御装置10の管理者により使用される操作部や表示部等をさらに備えていてもよい。
【0017】
CPU11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、投影制御装置10の各部、撮影装置20、及び投影装置30の動作を制御するプロセッサである。本実施形態では、CPU11が「制御部」及び「コンピュータ」に相当する。なお、投影制御装置10は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサが「制御部」に相当する。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0018】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0019】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム131及び各種データを記憶する。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。プログラム131は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。記憶部13に記憶されるデータとしては、撮影装置20から受信した撮影画像データ132、上述の投影用画像データ133、第1位置データ134(第1位置情報)、第2位置データ135(第2位置情報)及び第3位置データ136(第3位置情報)等がある。第1位置データ134は、部屋2における視認対象40の位置、向き及び形状に係る情報を含む。第2位置データ135は、部屋2における遮蔽物体50の位置、向き及び形状に係る情報を含む。第3位置データ136は、部屋2における対象者Pの視点位置及び視野範囲に係る情報を含む。
【0020】
通信部14は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部14は、この通信動作により、撮影装置20及び投影装置30との間で無線又は有線によるデータの送受信を行う。また、通信部14は、撮影装置20及び投影装置30以外の外部機器との間でデータの送受信を行うことが可能であってもよい。
【0021】
<投影システムの動作>
次に、投影システム1の動作について、投影装置30による補助画像60の投影動作、及び当該動作を行わせるための投影制御装置10の制御動作を中心に説明する。
【0022】
図3は、投影装置30による補助画像60の投影動作を説明する斜視図である。
図4は、投影装置30による補助画像60の投影動作を説明する上面図である。
図3及び図4に示す状況において、部屋2には3人の対象者Pがいる。以下では、遮蔽物体50により遮蔽されて視認対象40を視認することができない位置にいる対象者Pを「第1対象者P1」と記す。複数の第1対象者P1がいる場合には、第1対象者P1a、P1b、…のように符号「a」、「b」等を付して区別する。また、視認対象40を視認することができる位置にいる対象者Pを「第2対象者P2」と記す。
【0023】
図3及び図4に示す状況において、3人の対象者Pのうち2人は第1対象者P1a、P1bであり、残りの1人は第2対象者P2である。図4には、各対象者Pの視点位置VP及び視野範囲Vが示されている。ここでは、両目の中間位置を視点位置VPとしている。また、対象者Pが向いている方向を中心とした左右90°、計180°の範囲を、視点位置VPからの視野範囲Vとしている。図4には、遮蔽物体50に遮蔽されて第1対象者P1a、P1b及び第2対象者P2がそれぞれ視認できない不可視領域R1a、R1b、R2にドットが付されている。不可視領域R1aは、第1対象者P1aの視点位置VPから遮蔽物体50に接するように延ばした2つの仮想線の内側の領域のうち、遮蔽物体50に対して第1対象者P1a側とは反対側の領域である。不可視領域R1bは、第1対象者P1bの視点位置VPから遮蔽物体50に接するように延ばした2つの仮想線の内側の領域のうち、遮蔽物体50に対して第1対象者P1b側とは反対側の領域である。不可視領域R2は、第2対象者P2の視点位置VPから遮蔽物体50に接するように延ばした2つの仮想線の内側の領域のうち、遮蔽物体50に対して第2対象者P2側とは反対側の領域である。視認対象40は、不可視領域R1a及び不可視領域R1bの内部、かつ不可視領域R2の外部にある。図4では、見にくくなるのを避けるために遮蔽物体50の内部にドットを付していないが、遮蔽物体50の内部も当然に不可視領域R1a、R1b、R2に含まれる。
【0024】
このような状況において、投影制御装置10のCPU11は、視認対象40を視認することができない第1対象者P1a、P1bに対して視認対象40を認識させるための補助画像60の投影位置を決定する。詳しくは、第1対象者P1a、P1bが視認可能、かつ第2対象者P2が視認不可能な範囲内(すなわち、不可視領域R1a、R1bの外部、かつ不可視領域R2の内部)に、投影位置を決定する。そして、投影制御装置10は、投影装置30により、決定した投影位置に補助画像60を投影させる。なお、第1対象者P1a、P1bが視認可能、かつ第2対象者P2が視認不可能な範囲がない場合等において、CPU11は、不可視領域R2を考慮せずに、第1対象者P1a、P1bが視認可能な範囲内(すなわち、不可視領域R1a、R1bの外部)に投影位置を決定してもよい。
【0025】
本実施形態の補助画像60は、視認対象40の位置を案内する案内画像、具体的には視認対象40の位置を示す矢印の画像である。ただし、案内画像は矢印の画像に限られず、視認対象40の位置を示す文字、符号又は図形(例えば地図)等を含む画像であってもよい。
【0026】
以下では、図3及び図4のように投影装置30により補助画像60を投影させるために投影制御装置10のCPU11が実行する補助画像投影処理について説明する。
図5及び図6は、補助画像投影処理の制御手順を示すフローチャートである。
補助画像投影処理は、投影システム1の各装置の電源が投入されて投影システム1の動作が開始された場合に実行される。
【0027】
補助画像投影処理が開始されると、投影制御装置10のCPU11は、撮影装置20に制御信号を送信し、所定の周期で繰り返し撮影を行って撮影画像データ132を送信するように撮影装置20の動作を制御する。CPU11は、撮影装置20から撮影画像データ132を受信すると(ステップS101)、受信した撮影画像データ132に対して所定の画像認識処理を実行する方法(所定の方法)で、部屋2の中に複数の対象者Pがいるか否かを判別する(ステップS102)。部屋2の中に対象者Pがいないか、対象者Pが1人であると判別された場合には(ステップS102で“NO”)、CPU11は、処理を後述するステップS116に移行させる。なお、ステップS102では、部屋2の中に1人以上の対象者Pがいるか否かを判別し、少なくとも1人の対象者Pがいる場合に“YES”に分岐させて以降の補助画像60の投影に係る処理を実行してもよい。
【0028】
複数の対象者Pがいると判別された場合には(ステップS102で“YES”)、CPU11は、視認対象40の位置及び形状を特定して、当該位置及び形状の情報を含む第1位置データ134を生成する(ステップS103)。詳しくは、CPU11は、撮影画像データ132に対して所定の画像認識処理を実行して視認対象40を検出する。そして、CPU11は、撮影画像データ132のうち2D画像データにおける視認対象40の位置並びに外観、及び深度画像データにおける視認対象40の各部の深度情報に基づいて、視認対象40の位置、向き及び形状を特定する。なお、視認対象40の形状が既知である場合には、視認対象40の形状を特定する処理を省略してもよい。また、視認対象40の位置及び向きが決められていて変化しない場合には、当該位置、向き、及び視認対象40の形状に基づいて予め第1位置データ134を生成しておいてもよい。この場合には、ステップS103を省略してもよい。
【0029】
CPU11は、遮蔽物体50の位置及び形状を特定して、当該位置及び形状の情報を含む第2位置データ135を生成する(ステップS104)。詳しくは、CPU11は、撮影画像データ132に対して所定の画像認識処理を実行して遮蔽物体50を検出する。そして、CPU11は、撮影画像データ132のうち2D画像データにおける遮蔽物体50の位置並びに外観、及び深度画像データにおける遮蔽物体50の各部の深度情報に基づいて、遮蔽物体50の位置、向き及び形状を特定する。なお、遮蔽物体50の形状が既知である場合には、遮蔽物体50の形状を特定する処理を省略してもよい。また、遮蔽物体50の位置及び向きが決められていて変化しない場合には、当該位置、向き、及び遮蔽物体50の形状に基づいて予め第2位置データ135を生成しておいてもよい。この場合には、ステップS104を省略してもよい。
【0030】
CPU11は、各対象者Pの視点位置VP及び視野範囲Vを特定して、当該視点位置VP及び視野範囲Vの情報を含む第3位置データ136を生成(取得)する(ステップS105)。詳しくは、CPU11は、撮影画像データ132に対して所定の画像認識処理を実行して各対象者Pの位置及び向きを検出し、特定結果に基づいて視点位置VP及び視野範囲Vを特定する。部屋2の床面からの視点位置VPの高さは、予め定められた固定値としてもよいし、撮影画像データ132から特定された対象者Pの身長に基づいて対象者Pごとに特定してもよい。
ステップS105が終了すると、CPU11は、対象者判別処理を実行する(ステップS106)。
【0031】
図7は、対象者判別処理の制御手順を示すフローチャートである。
対象者判別処理が呼び出されると、CPU11は、変数Nに、検出されている対象者Pの人数を代入し(ステップS201)、変数nに1を代入する(ステップS202)。
【0032】
CPU11は、n番目の対象者Pの視点位置VPと、視認対象40の各部と、を結ぶ仮想線の全部が遮蔽物体50に遮蔽されるか否かを判別する(ステップS203)。詳しくは、CPU11は、部屋2の空間座標における、視点位置VPと、視認対象40の対象点とを結ぶ仮想線を表す方程式を導出する。そして、CPU11は、当該方程式により表される仮想線が遮蔽物体50と交差する場合に、仮想線が遮蔽物体50に遮蔽されると判別する。視認対象40の対象点の選び方及び対象点の数は、視認対象40の大きさや形状等に応じて適宜定めることができる。
上記仮想線の全部が遮蔽物体50に遮蔽されると判別された場合、言い換えると、視点位置VPから視認対象40の全部が視認できないと判別された場合には(ステップS203で“YES”)、CPU11は、n番目の対象者Pが第1対象者P1であると判別する(ステップS204)。
一方、上記仮想線の少なくとも一部が遮蔽物体50に遮蔽されないと判別された場合、言い換えると、視点位置VPから視認対象40の少なくとも一部が視認できると判別された場合には(ステップS203で“NO”)、CPU11は、n番目の対象者Pが第2対象者P2であると判別する(ステップS205)。
【0033】
なお、上記のステップS203の処理内容は、視認対象40の全部が視認できないときに「視認対象40を所定の態様で視認することができない」とする場合の例である。これに代えて、視認対象40の少なくとも一部が視認できないときに「視認対象40を所定の態様で視認することができない」とする場合には、ステップS203において、仮想線の少なくとも一部が遮蔽物体50に遮蔽されるか否かを判別すればよい。すなわち、仮想線の少なくとも一部が遮蔽物体50に遮蔽される場合には(ステップS203で“YES”)、CPU11は、ステップS204に移行して第1対象者P1であると判別し、全ての仮想線が遮蔽物体50に遮蔽されない場合には(ステップS203で“NO”)、CPU11は、ステップS205に移行して第2対象者P2であると判別すればよい。
【0034】
ステップS204又はS205が終了すると、CPU11は、変数nが変数Nに等しいか否かを判別する(ステップS206)。変数nが変数N未満であると判別された場合には(ステップS206で“NO”)、CPU11は、変数nにn+1を代入して処理をステップS203に戻す。変数nが変数Nに等しいと判別された場合には(ステップS206で“YES”)、CPU11は、対象者判別処理を終了させて、処理を補助画像投影処理に戻す。
【0035】
図5の対象者判別処理(ステップS106)が終了すると、CPU11は、対象者判別処理の結果に基づいて、部屋2に第1対象者P1がいるか否かを判別する(図6のステップS107)。第1対象者P1がいると判別された場合には(ステップS107で“YES”)、CPU11は、全ての第1対象者P1が視認可能な第1領域A1を特定する(ステップS108)。
【0036】
図8は、図3及び図4に示す例における第1領域A1を示す図である。
第1領域A1は、第1対象者P1aの視野範囲Vから不可視領域R1aを除いた領域と、第1対象者P1bの視野範囲Vから不可視領域R1bを除いた領域と、が重なる領域である。言い換えると、第1領域A1は、全ての第1対象者P1の視野範囲Vが重なる領域から、全ての第1対象者P1の不可視領域Rを除去した領域である。図8では、上から見た床面における2次元の第1領域A1が示されているが、第1領域A1は、3次元の領域として特定されてもよい。
【0037】
図6のステップS108が終了すると、CPU11は、対象者判別処理の結果に基づいて、部屋2に第2対象者P2がいるか否かを判別する(ステップS109)。第2対象者P2がいると判別された場合には(ステップS109で“YES”)、CPU11は、全ての第2対象者P2から視認されない第2領域A2を特定する(ステップS110)。
【0038】
図9は、図3及び図4に示す例における第2領域A2を示す図である。
第2領域A2は、図4における不可視領域R2と同一である。複数の第2対象者P2がいる場合には、全ての第2対象者P2の不可視領域R2が重なる領域(言い換えると、全ての第2対象者P2から視認されない領域)が第2領域A2とされる。図9では、上から見た床面における2次元の第2領域A2が示されているが、第2領域A2は、3次元の領域として特定されてもよい。
【0039】
図6のステップS110が終了すると、CPU11は、第1領域A1と第2領域A2とが重なる第3領域A3があるか否かを判別する(ステップS111)。
図10は、図3及び図4に示す例における第3領域A3を示す図である。
第3領域A3は、図8に示す第1領域A1と、図9に示す第2領域A2とが重なる領域である。図10では、上から見た床面における2次元の第3領域A3が示されているが、第3領域A3は、3次元の領域として特定されてもよい。
【0040】
図6のステップS111において第3領域A3があると判別された場合には(ステップS111で“YES”)、CPU11は、第3領域A3内に補助画像60の投影位置を決定する(ステップS112)。一方、第3領域A3がないと判別された場合(ステップS111で“NO”)、又はステップS109において第2対象者P2がいないと判別された場合には(ステップS109で“NO”)、CPU11は、第1領域A1内に投影位置を決定する(ステップS113)。投影位置は、補助画像60の所定の点に対応する1点であってもよい。また、投影位置は、補助画像60の投影範囲を表すものであってもよい。
【0041】
ステップS112又はS113が終了すると、CPU11は、決定した投影位置に応じた内容の補助画像60を投影させるための投影用画像データ133を生成する(ステップS114)。また、CPU11は、投影装置30により、決定した投影位置に補助画像60を投影させる(ステップS115)。詳しくは、CPU11は、第1軸a1並びに第2軸a2を中心として投影装置30を回動させるための制御信号等を投影装置30に送信し、決定した投影位置に補助画像60を投影可能となるように投影装置30の向きを変更する。また、CPU11は、生成した投影用画像データ133及び制御信号を投影装置30に送信して、投影位置に補助画像60を投影させる。
【0042】
ステップS115が終了すると、CPU11は、投影システム1の動作を終了させる操作がなされたか否かを判別する(ステップS116)。
また、ステップS107において第1対象者P1がいないと判別された場合にも(ステップS107で“NO”)、CPU11は、処理をステップS116に移行させる。この場合は、全ての対象者Pが視認対象40を視認できている場合に相当し、ステップS115が実行されないので、補助画像60は投影されない。
【0043】
投影システム1の動作を終了させる操作がなされていないと判別された場合には(ステップS116で“NO”)、CPU11は、処理を図5のステップS101に戻す。以降、ステップS101~S115のループ処理が繰り返し実行されることで、対象者Pが移動したこと等により、対象者P、視認対象40及び遮蔽物体50の位置関係が変化した場合に、変化後の位置関係に応じた適切な位置及び内容で補助画像60が投影される。
投影システム1の動作を終了させる操作がなされたと判別された場合には(ステップS116で“YES”)、CPU11は、補助画像投影処理を終了させる。
【0044】
なお、上記の例では、第1対象者P1が2人であるため、比較的広い第1領域A1が存在したが、第1対象者P1が多数いる場合等においては、全ての第1対象者P1により視認可能な第1領域A1が存在しないこともあり得る。この場合には、全ての第1対象者P1が少なくとも1つの補助画像60を視認できるように、異なる複数の投影位置に複数の補助画像60を投影させてもよい。これらの複数の補助画像60を単一の投影装置30により投影させることができない場合には、2つ以上の投影装置30により分担して複数の補助画像60を投影させてもよい。
【0045】
<効果>
以上のように、第1の実施形態に係る投影制御装置10は、CPU11を備え、CPU11は、視認対象40の位置に係る第1位置データ134と、視認対象40の視認の妨げとなり得る遮蔽物体50の位置に係る第2位置データ135と、視認対象40を視認しようとする複数の対象者Pの位置に係る第3位置データ136と、に基づいて、複数の対象者Pの中に、遮蔽物体50により遮蔽されて視認対象40を所定の態様で視認することができない位置にいる第1対象者P1が含まれているか否かを判別し、複数の対象者Pの中に第1対象者P1が含まれていると判別された場合に、第2位置データ135及び第3位置データ136に基づいて、第1対象者P1が視認可能な第1領域A1内に、視認対象40を認識させるための補助画像60の投影位置を決定し、決定した投影位置に補助画像60を投影させる。これにより、複数の対象者Pがいる場合において、各対象者Pに視認対象40を適切に認識させることができる。
【0046】
また、CPU11は、視認対象40を視認しようとする複数の対象者Pがいるか否かを、撮影画像データ132に対して所定の画像認識処理を実行することで(所定の方法で)判別し、複数の対象者Pがいると判別された場合に、複数の対象者Pの位置に係る第3位置データ136を取得して、複数の対象者Pの中に第1対象者P1が含まれているか否かを判別する。これにより、複数の対象者Pがいる場合において、各対象者Pに視認対象40を適切に認識させることができる。
【0047】
また、CPU11は、複数の対象者Pの中に2人以上の第1対象者P1が含まれている場合に、全ての第1対象者P1が視認可能な第1領域A1内に投影位置を決定する。これにより、視認対象40を視認することができない第1対象者P1が2人以上いる場合においても、各第1対象者P1に視認対象40を適切に認識させることができる。
【0048】
また、CPU11は、第1位置データ134、第2位置データ135及び第3位置データ136に基づいて、複数の対象者Pの中に、視認対象40を所定の態様で視認することができる位置にいる第2対象者P2が含まれているか否かを判別し、複数の対象者Pの中に第2対象者P2が含まれていると判別され、かつ、全ての第2対象者P2から視認されない第2領域A2と、第1領域A1とが重なる第3領域A3がある場合には、第3領域A3内に投影位置を決定する。これにより、第2対象者P2にとっては不要な補助画像60を、第2対象者P2に視認させないようにすることができる。
【0049】
また、補助画像60を、視認対象40の位置を案内する案内画像とすることで、第1対象者P1に視認対象40の位置を認識させることができる。
【0050】
また、第3位置データ136は、複数の対象者Pの各々の視点位置VPに係る情報を含み、CPU11は、第3位置データ136に基づいて特定した或る対象者Pの視点位置VPと、第1位置データ134に基づいて位置を特定した視認対象40と、を結ぶ仮想線の全部が、第2位置データ135に基づいて特定した遮蔽物体50に遮蔽される場合、又は仮想線の少なくとも一部が遮蔽物体50に遮蔽される場合に、或る対象者Pが第1対象者P1であると判別する。これにより、対象者Pが視認対象40を所定の態様で視認できているか否かを正確に判別することができる。
【0051】
また、第1の実施形態に係る投影制御方法において、CPU11は、第1位置データ134と、第2位置データ135と、第3位置データ136と、に基づいて、複数の対象者Pの中に第1対象者P1が含まれているか否かを判別し、第1対象者P1が含まれていると判別された場合に、第1領域A1内に補助画像60の投影位置を決定し、決定した投影位置に補助画像60を投影させる。これにより、複数の対象者Pがいる場合において、各対象者Pに視認対象40を適切に認識させることができる。
【0052】
また、第1の実施形態に係るプログラム131は、CPU11に、第1位置データ134と、第2位置データ135と、第3位置データ136と、に基づいて、複数の対象者Pの中に第1対象者P1が含まれているか否かを判別する処理、第1対象者P1が含まれていると判別された場合に、第1領域A1内に補助画像60の投影位置を決定し、決定した投影位置に補助画像60を投影させる処理、を実行させる。これにより、複数の対象者Pがいる場合において、各対象者Pに視認対象40を適切に認識させることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、補助画像60が案内画像ではなく、視認対象40の外観を表す外観画像である点で第1の実施形態と異なる。また、補助画像60の投影位置が第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と共通する構成については説明を省略する。
【0054】
図11は、第2の実施形態における投影装置30による補助画像60の投影動作を説明する斜視図である。
図12は、第2の実施形態における投影装置30による補助画像60の投影動作を説明する上面図である。
図11及び図12に示す状況において、視認対象40及び遮蔽物体50は直方体形状の物体であるものとする。部屋2には2人の対象者Pがおり、このうち1人は遮蔽物体50により遮蔽されて視認対象40を視認することができない第1対象者P1であり、もう1人は視認対象40を視認することができる第2対象者P2であるものとする。
【0055】
図13は、図11及び図12に示す例における第1領域A1を示す図である。
図14は、図11及び図12に示す例における第2領域A2を示す図である。
図15は、図11及び図12に示す例における第3領域A3を示す図である。
本実施形態では、CPU11は、第1対象者P1により視認可能な第1領域A1のうち遮蔽物体50の表面に補助画像60の投影位置を決定する。より詳しくは、CPU11は、第1領域A1と、第2対象者P2から視認されない第2領域A2とが重なる第3領域A3を導出し、遮蔽物体50の表面のうち第3領域A3内にある前面50aに投影位置を決定する。すなわち、CPU11は、遮蔽物体50の表面に第2対象者P2から視認されない部分がある場合には、当該部分(図11図15の例では、前面50a)に投影位置を決定する。そして、CPU11は、決定した投影位置に補助画像60を投影させる。なお、第3領域A3がない場合には、CPU11は、遮蔽物体50の表面のうち第1領域A1内にある部分に投影位置を決定する。
【0056】
本実施形態における補助画像60は、視認対象40の外観を表す外観画像である。より詳しくは、補助画像60は、第1対象者P1の視点位置VPから見たときの視認対象40の外観の画像である。このような補助画像60を投影させるために、CPU11は、視認対象40の3次元モデルに基づいて視点位置VPから見たときの視認対象40の外観を推定し、当該外観の画像データを含む投影用画像データ133を生成して投影装置30に送信する。
【0057】
図16は、第2の実施形態において複数の第1対象者P1がいる場合の補助画像60の投影動作を説明する斜視図である。
図17は、第2の実施形態において複数の第1対象者P1がいる場合の補助画像60の投影動作を説明する上面図である。
複数の第1対象者P1(図16及び図17では、2人の第1対象者P1a、P1b)がいる場合にも、遮蔽物体50の表面のうち、全ての第1対象者P1が視認可能な第1領域A1内にある面(ここでは前面50a)に補助画像60が投影される。また、第1領域A1と第2領域A2とが重なる第3領域A3がある場合には、遮蔽物体50の表面のうち第3領域A3内にある面(前面50a)に補助画像60が投影される。このとき、図17に示すように、全ての第1対象者P1の視点位置VPを代表する代表位置VPcから見たと仮定した場合における視認対象40の外観の画像を補助画像60として遮蔽物体50の表面に投影させることが好ましい。代表位置VPcは、例えば、全ての第1対象者P1の視点位置VPから等距離にある点とすることができる。
【0058】
図18は、第2の実施形態における投影装置30による補助画像60の他の投影動作を説明する斜視図である。
図19は、第2の実施形態における投影装置30による補助画像60の他の投影動作を説明する上面図である。
図18及び図19では、遮蔽物体50が円柱形状の物体であり、遮蔽物体50の表面が、補助画像60を投影可能な平面を有していない。このため、視認対象40の外観を表す補助画像60を遮蔽物体50の表面に投影すると、遮蔽物体50の円筒面に沿って補助画像60が歪んでしまう。投影した補助画像60が歪むか否か(すなわち、遮蔽物体50の表面が、補助画像60を投影可能な平面を有しているか否か)は、第2位置データ135における遮蔽物体50の形状に基づいて判別することができる。遮蔽物体50の表面に投影すると補助画像60が歪むと判別された場合(すなわち、遮蔽物体50の表面が、補助画像60を投影可能な平面を有していないと判別された場合)には、第1領域A1のうち遮蔽物体50の表面を除いた領域内に投影位置が決定される。例えば、図18及び図19に示すように、遮蔽物体50の表面に代えて部屋2の壁面2aに補助画像60の投影位置が決定され、当該投影位置に補助画像60が投影される。この場合も、図19に示すように、壁面2aのうち、第1対象者P1が視認可能、かつ第2対象者P2が視認できない部分(第3領域A3内にある部分)に補助画像60を投影することが好ましい。遮蔽物体50の表面に凹凸がある場合等においても同様に、補助画像60が歪んでしまうため、壁面2aに補助画像60を投影することが好ましい。なお、壁面2aに代えて、床面、天井、又は遮蔽物体50以外の物体の平坦な表面に補助画像60を投影してもよい。
【0059】
<効果>
以上のように、第2の実施形態においては、補助画像60を、視認対象40の外観を表す外観画像とすることで、第1対象者P1に対して仮想的に視認対象40を視認させることができる。
【0060】
また、CPU11は、第1領域A1のうち遮蔽物体50の表面に投影位置を決定する。これにより、あたかも遮蔽物体50を透視して視認対象40を見ているような視覚効果が得られる。
【0061】
また、CPU11は、第1領域A1のうち遮蔽物体50の表面に投影位置を決定し、全ての第1対象者P1の視点位置VPを代表する代表位置VPcから視認したと仮定した場合における視認対象40の外観を表す外観画像を補助画像60として遮蔽物体50の表面に投影させる。これにより、各第1対象者P1にとって、実際の視認対象40に近い見え方となるように補助画像60を投影することができる。
【0062】
また、全ての第1対象者P1の視点位置VPから等距離にある点を代表位置VPcとすることで、各第1対象者P1が見る補助画像60の、実際の視認対象40の見え方との差異を略均等とすることができる。
【0063】
また、CPU11は、第1位置データ134、第2位置データ135及び第3位置データ136に基づいて、複数の対象者Pの中に、視認対象40を所定の態様で視認することができる位置にいる第2対象者P2が含まれているか否かを判別し、複数の対象者Pの中に第2対象者P2が含まれていると判別され、かつ、遮蔽物体50の表面に第2対象者P2から視認されない部分がある場合には、当該部分に補助画像60を投影させる。これにより、第2対象者P2にとっては不要な補助画像60を、第2対象者P2に視認させないようにすることができる。
【0064】
また、CPU11は、遮蔽物体50の表面が、補助画像60を投影可能な平面を有するか否かを判別し、遮蔽物体50の表面が上記平面を有していないと判別された場合には、第1領域A1のうち遮蔽物体50の表面を除いた領域内に投影位置を決定する。これにより、遮蔽物体50の表面に歪んだ補助画像60が投影される不具合の発生を抑制することができる。
【0065】
(その他)
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、投影制御装置10、撮影装置20、及び投影装置30が別個となっている例を用いて説明したが、この態様に限られない。
一例を挙げると、投影制御装置10と投影装置30とが一体となっていてもよい。詳しくは、上記実施形態における投影装置30に投影制御装置10の機能を組み込み、投影制御装置10が実行していた処理を投影装置30の図示略のCPUが実行してもよい。この場合には、投影装置30が「投影制御装置」に相当し、投影装置30のCPUが「制御部」として機能する。
また、撮影装置20に投影制御装置10の機能を組み込み、投影制御装置10と撮影装置20とを一体としてもよい。この場合には、撮影装置20が「投影制御装置」に相当し、撮影装置20の図示略のCPUが「制御部」として機能する。
また、撮影装置20と投影装置30とが一体となっていてもよい。例えば、上記実施形態における投影装置30の筐体に、撮影装置20の2Dカメラ及び深度カメラが組み込まれていてもよい。
また、投影制御装置10、撮影装置20及び投影装置30が全て一体となっていてもよい。
【0066】
視認対象40は、現実の物体に限られず、拡張現実(AR)技術により表現された仮想物体であってもよい。例えば、各対象者Pが頭部に装着するARゴーグルの表示部に仮想物体が表示されることで、部屋2の所定位置に仮想物体があるように対象者Pに認識させてもよい。また、ホログラム技術により仮想物体が表現されていてもよい。
また、視認対象40は、投影装置30により投影された投影画像や、表示装置により表示された表示画像等であってもよい。
これらのように視認対象40が仮想物体や画像である場合も、遮蔽物体50により遮蔽されると視認対象40を視認できなくなるので、上記実施形態のように補助画像60を投影させることで対象者Pに視認対象40を認識させることができる。
【0067】
また、複数の視認対象40があってもよい。この場合において、複数の視認対象40の中に現実の実物、仮想物体、投影画像及び表示画像のうちの2以上が混在していてもよい。
【0068】
上記実施形態では、第3位置データ136に含まれる対象者Pの位置の情報として、両目の中心に相当する視点位置VPを用いたが、これに限られない。
例えば、より正確に、右目の視点位置と左目の視点位置とを別個に特定し、右目及び左目の各視点位置を通り視認対象40に至る仮想線が遮蔽物体50により遮蔽されるか否かに基づいて、視認対象40を視認可能であるか否かを判別してもよい。
また、視点位置VPに代えて、対象者Pの位置を代表する他の位置、例えば上から見た場合の対象者Pの中心位置を用いてもよい。
【0069】
対象者Pの位置の特定方法は、上記実施形態に例示した方法に限られない。例えば、撮影装置20に、深度カメラに代えて、被写体との距離を検出する距離センサを設け、当該距離センサによる検出結果と、2Dカメラにより撮影された2D画像データとに基づいて対象者Pの位置を特定してもよい。また、2Dカメラにより撮影された2D画像データにおける部屋2内の備品等と対象者Pとの位置関係や、写っている対象者Pの大きさ等に基づいて部屋2における対象者Pの位置を特定してもよい。また、対象者Pが所持する端末装置の位置情報に基づいて対象者Pの位置を特定してもよい。
【0070】
撮影装置20及び投影装置30の配置位置は屋内に限られず、屋外であってもよい。
【0071】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13のHDD、SSDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0072】
また、上記実施形態における投影システム1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0073】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0074】
1 投影システム
2 部屋
10 投影制御装置
11 CPU(制御部、コンピュータ)
13 記憶部
131 プログラム
134 第1位置データ(第1位置情報)
135 第2位置データ(第2位置情報)
136 第3位置データ(第3位置情報)
20 撮影装置
30 投影装置
40 視認対象
50 遮蔽物体
60 補助画像
A1 第1領域
A2 第2領域
A3 第3領域
P 対象者
P1、P1a、P1b 第1対象者
P2 第2対象者
R、R1a、R1b、R2 不可視領域
V 視野範囲
VP 視点位置
VPc 代表位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図19