(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171959
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像方法
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20241205BHJP
【FI】
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089338
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】今村 教博
(72)【発明者】
【氏名】弘 智行
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CY42
5C024GX03
5C024GY18
5C024HX13
5C024HX17
5C024HX35
5C024HX40
5C024HX50
(57)【要約】
【課題】撮像装置の消費電力の増大を抑制しつつ、セトリング時間を短縮する。
【解決手段】撮像装置は、垂直信号線が介在された画素との間のソースフォロワ動作に基づいて画素から信号を読出す負荷トランジスタと、垂直信号線のセトリング期間の少なくとも一部において負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する昇圧回路とを備える。負荷トランジスタのゲートに直列に接続されたサンプルホールドトランジスタと、負荷トランジスタのゲートに並列に接続されたカップリング容量とをさらに備えてもよい。負荷トランジスタのゲートに並列に接続されたサンプルホールド容量をさらに備えてもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直信号線が介在された画素との間のソースフォロワ動作に基づいて前記画素から信号を読出す負荷トランジスタと、
前記垂直信号線のセトリング期間の少なくとも一部において前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する昇圧回路と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記昇圧回路から前記ゲート電圧に印加される昇圧電圧は可変である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記負荷トランジスタのゲートに直列に接続されたサンプルホールドトランジスタと、
前記負荷トランジスタのゲートに並列に接続されたカップリング容量と
をさらに備える請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記カップリング容量は可変である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記カップリング容量は、前記サンプルホールドトランジスタにてサンプルホールドされるサンプルホールド容量と兼用される
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記負荷トランジスタのゲートに並列に接続されたサンプルホールド容量
をさらに備える請求項3に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記画素は、
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードに蓄積された電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、
前記フローティングディフュージョンをリセットするリセットトランジスタと、
前記フローティングディフュージョンの電位に応じた信号を出力する増幅トランジスタと、
前記増幅トランジスタと前記垂直信号線との間に接続された選択トランジスタと
を備える請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記セトリング期間は、前記フローティングディフュージョンの電位が前記垂直信号線に印加されてから、前記垂直信号線の電位が収束するまでの期間である
請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記セトリング期間は、前記画素のリセット期間経過後からP相AD変換期間までの期間を含む
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記昇圧回路は、前記リセット期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧よりも前記セトリング期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧を高くする
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記セトリング期間は、前記画素からの信号読出し期間経過後からD相AD変換期間までの期間を含む
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記昇圧回路は、前記信号読出し期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧よりも前記セトリング期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧を高くする
請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記画素がロウ方向およびカラム方向にマトリックス状に配置された画素アレイ部を備え、
前記カップリング容量は、前記カラムごとに設けられ、
前記昇圧回路は、複数のカラムで共用される
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項14】
垂直信号線が介在された画素との間のソースフォロワ動作に基づいて前記画素から信号を読出す負荷トランジスタと、
前記画素からの信号読出し期間外において前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する昇圧回路と
を備える撮像装置。
【請求項15】
前記負荷トランジスタのゲート電圧の昇圧期間は、前記画素からの信号読出し期間と別個に設定される
請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
垂直信号線が介在された画素と負荷トランジスタとの間のソースフォロワ動作に基づいて前記画素から信号を読出し、
前記垂直信号線のセトリング期間の少なくとも一部において前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する
撮像方法。
【請求項17】
カップリング容量を介して前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する
請求項16に記載の撮像方法。
【請求項18】
前記負荷トランジスタのゲートに接続されるサンプルホールドトランジスタをオンし、前記負荷トランジスタのゲートに印加されるバイアス電圧を生成する電荷をサンプルホールド容量に蓄積し、
前記サンプルホールドトランジスタをオフした後、前記カップリング容量を介して前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する
請求項17に記載の撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮像装置および撮像方法に関する。詳しくは、本技術は、ソースフォロワ動作に基づいて画素から信号を読出し可能な撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子では、画素信号の読出し速度の高速化を図るため、セトリング時間の短縮化が望まれている。例えば、セトリング時間を短縮化するため、電荷検出部の電位変動の発生タイミングに連動させて垂直信号線への電流の供給を停止する固体撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、セトリング期間中に垂直信号線に定電流が流れる。このため、セトリング時間を短縮化するために、セトリング期間中の電流を増大させると、消費電力の大きな増大を招くおそれがあった。
【0005】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、撮像装置の消費電力の増大を抑制しつつ、セトリング時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、垂直信号線が介在された画素との間のソースフォロワ動作に基づいて前記画素から信号を読出す負荷トランジスタと、前記垂直信号線のセトリング期間の少なくとも一部において前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する昇圧回路とを備える撮像装置である。これにより、セトリング期間外の消費電力を増大させることなく、セトリング時間が短縮されるという作用をもたらす。
【0007】
また、第1の側面において、前記昇圧回路から前記ゲート電圧に印加される昇圧電圧は可変でもよい。これにより、セトリング時間が調整可能になるという作用をもたらす。
【0008】
また、第1の側面において、前記負荷トランジスタのゲートに直列に接続されたサンプルホールドトランジスタと、前記負荷トランジスタのゲートに並列に接続されたカップリング容量とをさらに備えてもよい。これにより、容量カップリングに基づいて負荷トランジスタのゲート電圧が昇圧されるという作用をもたらす。
【0009】
また、第1の側面において、前記カップリング容量は可変でもよい。これにより、負荷トランジスタのゲート電圧が調整可能になるという作用をもたらす。
【0010】
また、第1の側面において、前記カップリング容量は、前記サンプルホールドトランジスタにてサンプルホールドされるサンプルホールド容量と兼用されてもよい。これにより、カップリング容量を介して負荷トランジスタのゲートと昇圧回路とを容量カップリングしつつ、カップリング容量にてサンプルホールドされるという作用をもたらす。
【0011】
また、第1の側面において、前記負荷トランジスタのゲートに並列に接続されたサンプルホールド容量をさらに備えてもよい。これにより、サンプルホールド電圧に基づいて負荷トランジスタのゲートがバイアスされるという作用をもたらす。
【0012】
また、第1の側面において、前記画素は、フォトダイオードと、前記フォトダイオードに蓄積された電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、前記フローティングディフュージョンをリセットするリセットトランジスタと、前記フローティングディフュージョンの電位に応じた信号を出力する増幅トランジスタと、前記増幅トランジスタと前記垂直信号線との間に接続された選択トランジスタとを備えてもよい。これにより、画素からの信号の読出し時に画素と負荷トランジスタとの間でソースフォロワが形成されるという作用をもたらす。
【0013】
また、第1の側面において、前記セトリング期間は、前記フローティングディフュージョンの電位が前記垂直信号線に印加されてから、前記垂直信号線の電位が収束するまでの期間でもよい。これにより、垂直信号線の電位変動に基づいてセトリング期間が設定されるという作用をもたらす。
【0014】
また、第1の側面において、前記セトリング期間は、リセット期間経過後からP相AD変換期間までの期間を含んでもよい。これにより、P相AD変換における垂直信号線の電位が安定化されるという作用をもたらす。
【0015】
また、第1の側面において、前記昇圧回路は、前記リセット期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧よりも前記セトリング期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧を高くしてもよい。これにより、リセット期間の消費電力を増大させることなく、セトリング期間が短縮されるという作用をもたらす。
【0016】
また、第1の側面において、前記セトリング期間は、信号読出し期間経過後からD相AD変換期間までの期間を含んでもよい。これにより、D相AD変換における垂直信号線の電位が安定化されるという作用をもたらす。
【0017】
また、第1の側面において、前記昇圧回路は、前記信号読出し期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧よりも前記セトリング期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧を高くしてもよい。これにより、信号読出し期間の消費電力を増大させることなく、セトリング期間が短縮されるという作用をもたらす。
【0018】
また、第1の側面において、前記画素がロウ方向およびカラム方向にマトリックス状に配置された画素アレイ部を備え、前記カップリング容量は、前記カラムごとに設けられ、前記昇圧回路は、複数のカラムで共用されてもよい。これにより、昇圧回路の回路規模の増大を抑制しつつ、負荷トランジスタのゲート電圧が昇圧されるという作用をもたらす。
【0019】
また、第2の側面は、垂直信号線が介在された画素との間のソースフォロワ動作に基づいて前記画素から信号を読出す負荷トランジスタと、前記画素からの信号読出し期間外において前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する昇圧回路とを備える撮像装置である。これにより、信号読出し期間の消費電力の増大を抑制しつつ、セトリング時間が短縮されるという作用をもたらす。
【0020】
また、第2の側面において、前記負荷トランジスタのゲート電圧の昇圧期間は、前記画素からの信号読出し期間と別個に設定されてもよい。これにより、画素からの信号読出し期間外において負荷トランジスタのゲート電圧が昇圧されるという作用をもたらす。
【0021】
また、第3の側面は、垂直信号線が介在された画素と負荷トランジスタとの間のソースフォロワ動作に基づいて前記画素から信号を読出し、前記垂直信号線のセトリング期間の少なくとも一部において前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する撮像方法である。これにより、セトリング期間外の消費電力を増大させることなく、セトリング時間が短縮されるという作用をもたらす。
【0022】
また、第3の側面において、カップリング容量を介して前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧してもよい。これにより、容量カップリングに基づいて負荷トランジスタのゲート電圧が昇圧されるという作用をもたらす。
【0023】
また、第3の側面において、前記負荷トランジスタのゲートに接続されるサンプルホールドトランジスタをオンし、前記負荷トランジスタのゲートに印加されるバイアス電圧を生成する電荷をサンプルホールド容量に蓄積し、前記サンプルホールドトランジスタをオフした後、前記カップリング容量を介して前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧してもよい。これにより、負荷トランジスタのゲート電圧の昇圧にかかる負荷が低減されるという作用をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る固体撮像装置の信号読出し時の各部の波形の一例を示すタイミングチャートである。
【
図5】第1の実施の形態に係る複数カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【
図6】第2の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【
図7】第3の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【
図8】第4の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【
図9】第5の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【
図10】第6の実施の形態に係る画素アレイ部の積層例を示す斜視図である。
【
図11】車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【
図12】撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(垂直信号線のセトリング期間においてカップリング容量を介して負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する例)
2.第2の実施の形態(垂直信号線のセトリング期間においてカップリング可変容量を介して負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する例)
3.第3の実施の形態(垂直信号線のセトリング期間においてカップリング容量を介して負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する昇圧電圧を可変とした例)
4.第4の実施の形態(垂直信号線のセトリング期間においてサンプルホールド容量と兼用されるカップリング容量を介して負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する例)
5.第5の実施の形態(垂直信号線のセトリング期間においてサンプルホールド容量と兼用されるカップリング可変容量を介して負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する例)
6.第6の実施の形態(画素アレイ部を積層した例)
7.移動体への応用例
【0026】
<1.第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0027】
同図において、撮像装置は、光学系11、固体撮像装置12、コントローラ13、光学系駆動部14、LCD(Liquid Crystal Display)15を備える。また、撮像装置は、記憶媒体16、フラッシュメモリ17、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)18および操作部19を備える。なお、撮像装置は、単体として用いられてもよいし、スマートフォンなどの携帯端末に組み込まれてもよいし、認証装置や監視装置に組み込まれてもよいし、EV(Electric Vehicle)やドローンに組み込まれてもよい。
【0028】
光学系11は、固体撮像装置12の撮像面上に光学像を結像させる。光学系11は、フォーカスレンズ21、ズームレンズ22および絞り23を備える。フォーカスレンズ21は、固体撮像装置12の撮像面上のフォーカス位置を調整する。ズームレンズ22は、撮像面上に結像される被写体像の倍率を調整する。絞り23は、固体撮像装置12の撮像面に入射する光の入射量を調整する。
【0029】
固体撮像装置12は、撮像面上に結像された光学像を画素ごとに検出して電気信号に変換し、その光学像の光量に対応した画素信号をデジタル化して出力する。固体撮像装置12は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
【0030】
コントローラ13は、撮像装置全体を統括的に制御する。コントローラ13は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサを備えてもよい。プロセッサは、シングルコアプロセッサであってもよいし、マルチコアプロセッサであってもよい。コントローラ13は、処理の一部を行うアクセラレータなどのハードウェア回路(例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))を備えていてもよい。
【0031】
コントローラ13は、画像処理部31、撮像制御部32、光学系制御部34、LCDドライバ35、記憶媒体制御部36、フラッシュメモリ制御部37およびSDRAM制御部38を備える。また、コントローラ13は、AE(Auto Exposure)処理部61、AF(Auto Focus)処理部62、シーケンス制御部63および圧縮伸長部64を備える。画像処理部31、撮像制御部32、光学系制御部34、LCDドライバ35、記憶媒体制御部36、フラッシュメモリ制御部37、SDRAM制御部38、AE処理部61、AF処理部62、シーケンス制御部63および圧縮伸長部64は、バス39を介して互いに接続される。
【0032】
画像処理部31は、固体撮像装置12で生成された画素信号に基づいて画像処理を実施する。画像処理部31は、輝度/色信号生成部101、輝度ガンマ部102、輝度ゲイン部103、WB(White Balance)補正部104、色ガンマ部105、色差変換部106および色差ゲイン部107を備える。
【0033】
輝度/色信号生成部101は、固体撮像装置12で生成された画素信号に基づいてマトリクス演算を実施し、輝度信号と色信号を生成する。輝度信号は、例えば、画素ごとの輝度値を示すことができる。色信号は、例えば、画素ごとのRGB成分の大きさを示すことができる。
【0034】
輝度ガンマ部102は、画像の表示特性に応じて輝度信号の輝度を補正する。例えば、輝度ガンマ部102は、LCD15の輝度特性に応じて輝度信号の輝度を補正することができる。輝度ゲイン部103は、輝度信号のゲイン処理を実施する
【0035】
WB補正部104は、色信号のホワイトバランスを補正する。色ガンマ部105は、画像の表示特性に応じて色信号の色調を補正する。例えば、色ガンマ部105は、LCD15の色特性に応じて色信号の色調を補正することができる。色差変換部106は、マトリクス演算に基づいて、RGB組成の色信号を色差信号へ変換する。色差ゲイン部107は、色差信号のゲイン処理を実施する。
【0036】
撮像制御部32は、固体撮像装置12の撮像を制御する。撮像制御部32は、露光制御部181、WB制御部182、ガンマ制御部183およびゲイン制御部184を備える。
【0037】
露光制御部181は、固体撮像装置12の露光を制御する。このとき、露光制御部181は、例えば、AE処理部61の処理結果に基づいて、固体撮像装置12の露光時間、露光量およびシャッタタイミングなどを制御することができる。露光制御部181は、AE処理部61の処理結果として、AE評価値を用いることができる。
【0038】
WB制御部182は、操作部19を介して入力された入力情報に基づいて、WB補正部104のRGB成分ごとのゲイン量を制御する。ガンマ制御部183は、操作部19を介して入力された入力情報に基づいて、輝度ガンマ部102の輝度信号に対するガンマ特性や色ガンマ部105の色信号に対するガンマ特性をそれぞれ制御する。ゲイン制御部184は、操作部19を介して入力された入力情報に基づいて、輝度ゲイン部103の輝度信号に対するゲインや色差ゲイン部107の色差信号に対するゲインをそれぞれ制御する。
【0039】
光学系制御部34は、AE処理部61の処理結果およびAF処理部62の処理結果に基づいて、光学系駆動部14を駆動制御する。光学系制御部34は、AF制御部191、ズーム制御部192および絞り制御部193を備える。AF制御部191は、AF処理部62の処理結果に基づいて、AFモータ41を駆動する。AF制御部191は、AF処理部62の処理結果として、AF評価値を用いることができる。ズーム制御部192は、操作部19のズーム操作に基づいて、ズームモータ42を駆動する。絞り制御部193は、AE処理部61の処理結果に基づいて、絞りモータ43を駆動する。絞り制御部193は、AE処理部61の処理結果として、AE評価値を用いることができる。
【0040】
LCDドライバ35は、LCD15を駆動する。LCDドライバ35は、画像処理部31で処理された画像データや、圧縮伸長部64で伸長された画像データを映像信号に変換し、この映像信号に基づいてLCD15に画像を表示させる。
【0041】
記憶媒体制御部36は、記憶媒体16のデータの読み書きを制御する。フラッシュメモリ制御部37は、フラッシュメモリ17のデータの読み書きを制御する。SDRAM制御部38は、SDRAM18のデータの読み書きを制御する。
【0042】
AE処理部61は、固体撮像装置12で生成された画像データの所定領域ごとにAE評価値を算出する。AF処理部62は、固体撮像装置12で生成された画像データの所定領域ごとにAF評価値を算出する。
【0043】
シーケンス制御部63は、撮像装置の処理を系統的に制御する。このとき、シーケンス制御部63は、固体撮像装置12で生成された画像データが画像処理された後、LCD15に表示されるまでの一連の流れを制御することができる。また、シーケンス制御部63は、固体撮像装置12で生成された画像データが画像処理された後、圧縮伸長部64で圧縮されてから記憶媒体16に記憶されるまでの一連の流れを制御することができる。また、シーケンス制御部63は、操作部19の操作に基づいて割り込み処理を実施することができる。
【0044】
圧縮伸長部64は、画像処理部31で画像処理された画像データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式などの圧縮方式で圧縮したり伸長したりする。
【0045】
光学系駆動部14は、光学系制御部34からの制御に基づいて、光学系11を駆動する。光学系駆動部14は、AFモータ41、ズームモータ42および絞りモータ43を備える。AFモータ41は、AF制御部191からの制御に基づいて、フォーカスレンズ21を光軸方向に移動させる。ズームモータ42は、ズーム制御部192からの制御に基づいて、ズームレンズ22を光軸方向に移動させる。絞りモータ43は、絞り制御部193からの制御に基づいて、絞り23の開口径を調整する。
【0046】
LCD15は、撮像画像を表示したり、撮像操作をサポートする各種情報を表示したりする。
【0047】
記憶媒体16は、撮像装置で撮像された撮像画像などを記憶する。記憶媒体16は、脱着可能でもよい。記憶媒体16は、例えば、メモリカードでもよいし、USB(Universal Serial Bus)メモリでもよい。
【0048】
フラッシュメモリ17は、コントローラ13によって実行される各種の制御プログラムや、各種の制御プログラムの実行に用いられるパラメータなどを記憶する
【0049】
SDRAM18は、コントローラ13の処理で発生したデータを一時的に記憶する。SDRAM18は、1フレーム分の画像データを記憶するバッファメモリを備えてもよい。
【0050】
操作部19は、撮像装置を操作するユーザインターフェースを提供する。操作部19は、例えば、撮像装置に設けられたボタン、ダイヤルおよびスイッチを含んでもよい。操作部19は、LCD15とともにタッチパネルで構成してもよい。なお、カメラの形態によっては、上述の機能の一部を有してなくてよいし、逆に開示していない機能をさらに有してもよい。
【0051】
図2は、第1の実施の形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0052】
同図において、固体撮像装置12は、画素アレイ部111、垂直走査回路112、カラム読出し回路113、カラム信号処理部114、水平走査回路115および制御回路116を備える。
【0053】
画素アレイ部111は、複数の画素120を備える。画素120は、ロウ方向(水平方向とも言う)およびカラム方向(垂直方向とも言う)に沿ってマトリックス状に配列される。各画素120は、信号の読出し時にカラム読出し回路113との間でソースフォロワを構成することができる。各画素120は、ロウごとに水平駆動線131に接続され、カラムごとに垂直信号線132に接続される。水平駆動線131は、各画素120からの信号の読出し時に各画素120をロウごとに駆動する。垂直信号線132は、画素120からの信号読出し時に流れる電流に基づく電位をカラムごとにカラム信号処理部114に伝送する。
【0054】
垂直走査回路112は、読出し対象となる画素120をカラム方向に走査する。垂直走査回路112は、垂直レジスタを用いて構成してもよい。
【0055】
カラム読出し回路113は、各画素120からの信号の読出し時に、各画素120との間でソースフォロワを構成することができる。このとき、カラム読出し回路113は、画素120に保持された電荷に基づいて垂直信号線132の電位を変化させることができる。
【0056】
カラム信号処理部114は、各画素120からカラム方向に伝送された信号を処理する。例えば、カラム信号処理部114は、各画素120からカラム方向に伝送された信号に基づいて、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)処理を実施することができる。また、カラム信号処理部114は、各画素120からカラム方向に伝送された信号に基づいて、AD(Analog to Digital)変換処理を実施し、撮像信号Goutを出力することができる。
【0057】
カラム信号処理部114は、カラムADC部114Aを備える。カラムADC部114Aは、AD変換処理をカラムごとに並列に実施することができる。このとき、カラムADC部114Aは、画素120から読出された画素信号と参照信号との比較結果に基づいてカラムごとにAD変換することができる。
【0058】
水平走査回路115は、読出し対象となる画素120をロウ方向に走査する。水平走査回路115は、水平レジスタを用いて構成してもよい。
【0059】
制御回路116は、垂直走査回路112、カラム読出し回路113、カラム信号処理部114および水平走査回路115を制御する。例えば、制御回路116は、カラム方向の走査タイミング、ロウ方向の走査タイミング、カラム読出し回路113の動作タイミングおよびカラム信号処理部114の処理タイミングを制御することができる。
【0060】
図3は、第1の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【0061】
同図において、画素120は、フォトダイオード121、転送トランジスタ122、リセットトランジスタ123、増幅トランジスタ124、選択トランジスタ125およびフローティングディフュージョン126を備える。転送トランジスタ122、リセットトランジスタ123、増幅トランジスタ124および選択トランジスタ125として、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを用いることができる。
【0062】
増幅トランジスタ124と選択トランジスタ125は、直列に接続されている。フォトダイオード121のカソードは、転送トランジスタ122を介してフローティングディフュージョン126に接続されている。また、フローティングディフュージョン126は、リセットトランジスタ123を介して電源Vddに接続されている。また、電源Vddは、増幅トランジスタ124と選択トランジスタ125の直列回路を介して垂直信号線132に接続されている。増幅トランジスタ124のゲートはフローティングディフュージョン126に接続されている。
【0063】
転送トランジスタ122のゲートには、転送信号TGが印加される。リセットトランジスタ123のゲートには、リセット信号RTが印加される。選択トランジスタ125のゲートには、選択信号SELが印加される。転送信号TG、リセット信号RTおよび選択信号SELは、
図2の水平駆動線131を介して各画素120に伝送することができる。
【0064】
増幅トランジスタ124は、選択トランジスタ125を介して垂直信号線132に接続されている。また、垂直信号線132には、容量133が付加される。この容量133は、垂直信号線132の寄生容量でもよいし、垂直信号線132に接続された容量素子でもよい。
【0065】
また、垂直信号線132には、負荷トランジスタ142が接続される。負荷トランジスタ142は、垂直信号線132を介して画素120との間でソースフォロワを構成することができる。ここで、負荷トランジスタ142は、画素120との間で構成されるソースフォロワに基づいて、垂直信号線132に流れる電流I0を設定することができる。このとき、画素120との間で構成されるソースフォロワに基づいて流れる電流I0に応じて、垂直信号線132の電位が変化する。負荷トランジスタ142は、例えば、MOSトランジスタを用いることができる。負荷トランジスタ142のゲートには、ゲート電圧VGが印加される。
【0066】
また、垂直信号線132は、コンパレータ148の反転入力に接続される。このとき、コンパレータ148の反転入力には、垂直信号線132の電位VSLが印加される。コンパレータ148の非反転入力には、参照信号RAPが入力される。参照信号RAPは、例えば、ランプ信号である。
【0067】
また、コンパレータ148には、オートゼロ信号AZが入力される。オートゼロ信号AZは、オートゼロ期間にオートゼロ動作をアクティブ化する。オートゼロ動作では、非反転入力および反転入力がバランスするようにコンパレータ148の容量に蓄積される電荷を制御することができる。コンパレータ148は、カラムADC部114Aにカラムごとに設けることができる。
【0068】
サンプルホールドトランジスタ144は、負荷トランジスタ142のゲートに印加されるバイアス電圧を生成する電荷をサンプルホールド容量145にサンプルホールドさせる。サンプルホールドトランジスタ144は、MOSトランジスタでもよい。サンプルホールドトランジスタ144のゲートには、サンプルホールド信号SHが印加される。サンプルホールド容量145は、サンプルホールド電圧を生成する。このとき、サンプルホールド容量145は、サンプルホールド電圧に基づいて、負荷トランジスタ142のゲートに印加されるバイアス電圧を設定し、負荷トランジスタ142のゲートに印加する。サンプルホールドトランジスタ144は、負荷トランジスタ142のゲートに直列に接続される。サンプルホールド容量145は、負荷トランジスタ142のゲートに並列に接続される。ここで、負荷トランジスタ142のゲートに印加されるバイアス電圧を生成する電荷をサンプルホールド容量145にサンプルホールドさせてから、負荷トランジスタ142のゲートにバイアス電圧を印加させることにより、AD変換時の横引きノイズを防止することができる。
【0069】
また、負荷トランジスタ142のゲートには、昇圧回路146がカップリング容量147を介して接続される。昇圧回路146は、垂直信号線132のセトリング期間の少なくとも一部において負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧する。このとき、昇圧回路146は、セトリング期間の少なくとも一部において昇圧電圧VINを出力し、サンプルホールド容量145で設定されるバイアス電圧に加算して、負荷トランジスタ142のゲートに印加することができる。セトリング期間は、フローティングディフュージョン126の電位が垂直信号線132に印加されてから、垂直信号線132の電位が収束するまでの期間である
【0070】
あるいは、昇圧回路146は、画素120からの信号読出し期間外において負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧してもよい。このとき、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧期間は、画素120からの信号読出し期間と別個に設定することができる。
【0071】
ここで、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧させることにより、垂直信号線132に流れる電流I0を増大させることができ、セトリング時間を短縮することができる。このセトリング時間Tsは、以下の式で与えることができる。
Ts=Cv/I0+Cv/gm
ただし、Cvは、容量133の容量値、gmは、負荷トランジスタ142の相互コンダクタンスである。
【0072】
ここで、gmは、以下の式で与えることができる。
gm=(2・I0・β)1/2
ただし、βは、負荷トランジスタ142の駆動力に相当する値である。
【0073】
このため、垂直信号線132に流れる電流I0の増大は、セトリング時間Tsの式の第1項および第2項の両方に寄与し、セトリング時間の短縮効果の増大に貢献することができる。
【0074】
また、負荷トランジスタ142のゲートは、サンプルホールドトランジスタ144を介してミラートランジスタ141のゲートに接続される。ミラートランジスタ141は、MOSトランジスタでもよい。ミラートランジスタ141は、カレントミラー動作に基づいてミラー電流を生成する。このとき、ミラートランジスタ141は、カレントミラー回路のミラー元として動作し、負荷トランジスタ1421は、カレントミラー回路のミラー先として動作することができる。ミラートランジスタ141には、電流源143が直列に接続される。ミラートランジスタ141のゲートは、ミラートランジスタ141のドレインに接続される。
【0075】
ここで、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧させる場合、サンプルホールドトランジスタ144をオフさせることができる。このとき、負荷トランジスタ142のゲートは、ミラートランジスタ141のゲートと切り離される。このため、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧時に昇圧回路146の負荷を低減することができ、昇圧回路146の回路規模の増大を抑制しつつ、セトリング時間の短縮効果を増大させることができる。
【0076】
図4は、第1の実施の形態に係る固体撮像装置の信号読出し時の各部の波形の一例を示すタイミングチャートである。
【0077】
同図において、サンプルホールドトランジスタ144がオンすると、負荷トランジスタ142のゲートに印加されるバイアス電圧を生成する電荷がサンプルホールド容量145にサンプルホールドされる。
【0078】
次に、リセット信号RTが立ち上がり(t1)、リセット期間K11に移行する。このとき、リセットトランジスタ123がオンしてフローティングディフュージョン126がリセットされる。また、選択信号SELが立ち上がり、選択トランジスタ125がオンする。このとき、電源電位Vddが増幅トランジスタ124のゲートに印加された時のソースフォロワ動作に基づいて垂直信号線132の電位VSLが設定される。
【0079】
また、リセット期間K11において、サンプルホールドトランジスタ144がオフする。このとき、サンプルホールド容量145を介してバイアス電圧が負荷トランジスタ142のゲートに印加された状態で、負荷トランジスタ142のゲートがミラートランジスタ141のゲートから切り離される。ここで、リセット期間K11では、昇圧電圧VINは0Vに設定され、サンプルホールド容量145で設定されるバイアス電圧のみが負荷トランジスタ142のゲートに印加される。このとき、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの上昇が抑制され、負荷トランジスタ142を介して垂直信号線132に流れる電流I0の上昇も抑制される。このため、リセット期間K11における消費電力の上昇を抑制することができる。
【0080】
次に、リセット信号RTが立ち下がり(t2)、P相セトリング期間K12に移行する。このとき、リセットトランジスタ123がオフし、フローティングディフュージョン126のリセットレベルが増幅トランジスタ124のゲートに印加された時のソースフォロワ動作に基づいて垂直信号線132の電位VSLが設定される。
【0081】
また、昇圧電圧VINが立ち上がり(t2)、サンプルホールド容量145で設定されるバイアス電圧に加算されて負荷トランジスタ142のゲートに印加される。このとき、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGは、リセット期間K11に比べて上昇し、負荷トランジスタ142を介して垂直信号線132に流れる電流I0も上昇する。このため、昇圧電圧VINの印加がない場合(PV1)に比べて、垂直信号線132の電位VSLの収束が速くなり(PV2)、P相セトリング期間K12が短縮される。
【0082】
次に、オートゼロ信号AZが立ち上がり(t3)、コンパレータ148の非反転入力および反転入力がバランスするようにコンパレータ148の容量に電荷が蓄積される。
【0083】
次に、P相設定信号PTがスパイク状に立ち下がり(t4)、参照信号RAPが立ち上げられる。そして、P相ADイネーブル信号が立ち上がり(t5)、参照信号RAPとしてランプ信号がコンパレータ148に供給される。そして、コンパレータ148において、リセットレベルに応じた垂直信号線132の電位VSLが参照信号RAPと比較され、参照信号RAPのレベルが垂直信号線132の電位VSLと一致したときのタイミングが比較結果VOとして出力される。このとき、参照信号RAPのレベルが垂直信号線132の電位VSLと一致するまでのカウント動作に基づいて、画素120から読み出されたリセットレベルがAD変換される。
【0084】
次に、P相ADイネーブル信号が立ち下がり(t6)、P相AD変換処理が完了するとともに、P相セトリング期間K12が終了する。
【0085】
また、昇圧電圧VINが立ち下がり(t6)、サンプルホールド容量145で設定されるバイアス電圧のみが負荷トランジスタ142のゲートに印加される。このとき、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGは、リセット期間K11のゲート電圧VGと同等に設定され、負荷トランジスタ142を介して垂直信号線132に流れる電流I0も、リセット期間K11の電流I0と同等に設定される。
【0086】
次に、転送信号TGが立ち上がり(t7)、読出し期間K13に移行する。このとき、転送トランジスタ122がオンしてフォトダイオード121に蓄積された電荷がフローティングディフュージョン126に転送される。また、フォトダイオード121のカソード電位が増幅トランジスタ124のゲートに印加された時のソースフォロワ動作に基づいて垂直信号線132の電位VSLが設定される。ここで、読出し期間K13では、昇圧電圧VINは0Vに設定され、サンプルホールド容量145で設定されるバイアス電圧のみが負荷トランジスタ142のゲートに印加される。このとき、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの上昇が抑制され、負荷トランジスタ142を介して垂直信号線132に流れる電流I0の上昇も抑制される。このため、読出し期間K13における消費電力の上昇を抑制することができる。
【0087】
次に、転送信号TGが立ち下がり(t8)、D相セトリング期間K14に移行する。このとき、転送トランジスタ122がオフし、フローティングディフュージョン126の信号レベルが増幅トランジスタ124のゲートに印加された時のソースフォロワ動作に基づいて垂直信号線132の電位VSLが設定される。
【0088】
また、昇圧電圧VINが立ち上がり(t8)、サンプルホールド容量145で設定されるバイアス電圧に加算されて負荷トランジスタ142のゲートに印加される。このとき、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGは、読出し期間K13に比べて上昇し、負荷トランジスタ142を介して垂直信号線132に流れる電流I0も上昇する。このため、昇圧電圧VINの印加がない場合(DV1)に比べて、垂直信号線132の電位VSLの収束が速くなり(DV2)、D相セトリング期間K14が短縮される。
【0089】
次に、D相設定信号DTがスパイク状に立ち下がり(t9)、参照信号RAPが立ち上げられる。そして、D相ADイネーブル信号が立ち上がり(t10)、参照信号RAPとしてランプ信号がコンパレータ148に供給される。そして、コンパレータ148において、信号レベルに応じた垂直信号線132の電位VSLが参照信号RAPと比較され、参照信号RAPのレベルが垂直信号線132の電位VSLと一致したときのタイミングが比較結果VOとして出力される。このとき、参照信号RAPのレベルが垂直信号線132の電位VSLと一致するまでのカウント動作に基づいて、画素120から読み出された信号レベルがAD変換される。
【0090】
次に、D相ADイネーブル信号が立ち下がり(t11)、D相AD変換処理が完了するとともに、D相セトリング期間K14が終了する。また、昇圧電圧VINが立ち下がり(t11)、サンプルホールド容量145で設定されるバイアス電圧のみが負荷トランジスタ142のゲートに印加される。
【0091】
図5は、第1の実施の形態に係る複数カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【0092】
同図において、垂直信号線132-1から132-3およびコンパレータ148-1から148-3がそれぞれカラムごとに設けられている。また、各垂直信号線132-1から132-3には、画素120-1から120-3がそれぞれ接続されている。
【0093】
また、各垂直信号線132-1から132-3には、負荷トランジスタ142-1から142-3がそれぞれ接続される。各負荷トランジスタ142-1から142-3は、垂直信号線132-1から132-3をそれぞれ介して各画素120-1から120-3との間でソースフォロワを構成することができる。
【0094】
また、各垂直信号線132-1から132-3は、各コンパレータ148-1から148-3の反転入力に接続される。このとき、各コンパレータ148-1から148-3の反転入力には、各垂直信号線132-1から132-3の電位VSL1からVSL3が印加される。各コンパレータ148-1から148-3の非反転入力には、参照信号RAPが入力される。また、各コンパレータ148-1から148-3には、オートゼロ信号AZが入力される。
【0095】
また、各負荷トランジスタ142-1から142-3のゲートには、サンプルホールドトランジスタ144-1から144-3がそれぞれ直列に接続される。各サンプルホールドトランジスタ144-1から144-3のゲートには、サンプルホールド信号SHが印加される。また、各負荷トランジスタ142-1から142-3のゲートには、サンプルホールド容量145-1から145-3がそれぞれ並列に接続される。
【0096】
また、各負荷トランジスタ142-1から142-3のゲートには、昇圧回路146がカップリング容量147-1から147-3をそれぞれ介して接続される。昇圧回路146は、各垂直信号線132-1から132-3のセトリング期間の少なくとも一部において各負荷トランジスタ142-1から142-3のゲート電圧を昇圧することができる。このとき、昇圧回路146は、複数のカラムで共用することができる。
【0097】
また、各負荷トランジスタ142-1から142-3のゲートは、サンプルホールドトランジスタ144-1から144-3をそれぞれ介してミラートランジスタ141のゲートに接続される。ミラートランジスタ141には、電流源143が直列に接続される。このとき、ミラートランジスタ141および電流源143は、複数のカラムで共用することができる。
【0098】
ここで、カップリング容量147-1から147-3は、サンプルホールド容量145-1から145-3の容量比の変更で対応してもよい。このとき、配線1本分の面積増加に基づいて、各負荷トランジスタ142-1から142-3のゲート電圧を昇圧することができ、固体撮像装置のチップサイズの増大を抑制することができる。
【0099】
このように、上述の第1の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてカップリング容量147を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧する。これにより、セトリング時間に影響を及ぼすことなく、セトリング期間K12、K14の電流I0に比べてリセット期間K11および読出し期間K13の電流I0を低減させることができる。このため、信号読出し回路の消費電力の増大を抑制しつつ、セトリング期間K12、K14を短縮することができる。
【0100】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてカップリング容量147を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧した。この第2の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてカップリング可変容量247を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧する。
【0101】
図6は、第2の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【0102】
同図において、この撮像装置は、上述の第1の実施の形態のカップリング容量147に代えて、カップリング可変容量247を備える。第2の実施の形態の撮像装置のそれ以外の構成は、上述の第1の実施の形態の撮像装置の構成と同様である。
【0103】
カップリング可変容量247は、その容量値が可変である。カップリング可変容量247は、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146の出力との間に接続される。ここで、カップリング可変容量247の容量値を変化させることにより、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を変化させることができる。例えば、撮像装置のフレームレートを増大させる場合は、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を増大させ、撮像装置の消費電力を低減させる場合は、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を減少させてもよい。撮像装置は、その使用環境や撮像条件に応じてカップリング可変容量247の容量値を変化させてもよいし、外部からの設定に基づいてカップリング可変容量247の容量値を変化させてもよい。
【0104】
このように、上述の第2の実施の形態では、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146の出力との間にカップリング可変容量247を接続する。これにより、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を変化させることができ、セトリング時間の短縮と消費電力の低減の優先度を最適化することができる。
<3.第3の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてカップリング容量147を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧した。この第3の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてカップリング容量147を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧する昇圧電圧VINを可変とする。
【0105】
図7は、第3の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【0106】
同図において、この撮像装置は、上述の第1の実施の形態の昇圧回路146に代えて、可変昇圧回路346を備える。第3の実施の形態の撮像装置のそれ以外の構成は、上述の第1の実施の形態の撮像装置の構成と同様である。
【0107】
可変昇圧回路346は、その電圧昇圧量が可変である。可変昇圧回路346は、カップリング容量147を介して負荷トランジスタ142のゲートに接続される。可変昇圧回路346は、垂直信号線132のセトリング期間の少なくとも一部において負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧する。ここで、可変昇圧回路346の電圧昇圧量を変化させることにより、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を変化させることができる。例えば、撮像装置のフレームレートを増大させる場合は、可変昇圧回路346の電圧昇圧量を増大させ、撮像装置の消費電力を低減させる場合は、可変昇圧回路346の電圧昇圧量を減少させてもよい。撮像装置は、その使用環境や撮像条件に応じて可変昇圧回路346の電圧昇圧量を変化させてもよいし、外部からの設定に基づいて可変昇圧回路346の電圧昇圧量を変化させてもよい。
【0108】
このように、上述の第3の実施の形態では、カップリング容量147を介して負荷トランジスタ142のゲートに可変昇圧回路346を接続する。これにより、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を変化させることができ、セトリング時間の短縮と消費電力の低減の優先度を最適化することができる。
<4.第4の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてカップリング容量147を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧した。この第4の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてサンプルホールド容量と兼用されるカップリング容量447を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧する。
【0109】
図8は、第4の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【0110】
同図において、この撮像装置は、上述の第1の実施の形態のカップリング容量147に代えて、カップリング容量447を備える。また、この撮像装置は、上述の第1の実施の形態のサンプルホールド容量145が除去されている。第4の実施の形態の撮像装置のそれ以外の構成は、上述の第1の実施の形態の撮像装置の構成と同様である。
【0111】
カップリング容量447は、サンプルホールド容量145を兼用しつつ、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146とを容量カップリングする。カップリング容量447は、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146の出力との間に接続される。
【0112】
カップリング容量447は、サンプルホールドトランジスタ144がオンされると、負荷トランジスタ142のゲートに印加されるバイアス電圧を生成する電荷をサンプルホールドする。また、カップリング容量447は、サンプルホールドトランジスタ144がオフされると、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146とを容量カップリングしつつ、負荷トランジスタ142のゲートにバイアス電圧を印加する。
【0113】
このように、上述の第4の実施の形態では、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146の出力との間にカップリング容量447を接続する。これにより、信号読出し回路の消費電力の増大を抑制しつつ、セトリング期間K12、K14を短縮することが可能となるとともに、サンプルホールド容量145を除去することができる。このため、回路規模の増大を抑制しつつ、セトリング時間の短縮と消費電力の低減のバランスを制御することができる。
<5.第5の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてカップリング容量147を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧した。この第5の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてサンプルホールド容量と兼用されるカップリング可変容量547を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧する。
【0114】
図9は、第5の実施の形態に係る1カラム分の信号読出し回路の構成例を示す図である。
【0115】
同図において、この撮像装置は、上述の第1の実施の形態のカップリング容量147に代えて、カップリング可変容量547を備える。第5の実施の形態の撮像装置のそれ以外の構成は、上述の第1の実施の形態の撮像装置の構成と同様である。
【0116】
カップリング可変容量547は、サンプルホールド容量145を兼用しつつ、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146とを容量カップリングする。カップリング可変容量547は、その容量値が可変である。カップリング可変容量547は、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146の出力との間に接続される。ここで、カップリング可変容量547の容量値を変化させることにより、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を変化させることができる。例えば、撮像装置のフレームレートを増大させる場合は、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を増大させ、撮像装置の消費電力を低減させる場合は、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を減少させてもよい。撮像装置は、その使用環境や撮像条件に応じてカップリング可変容量547の容量値を変化させてもよいし、外部からの設定に基づいてカップリング可変容量547の容量値を変化させてもよい。
【0117】
また、カップリング可変容量547は、サンプルホールドトランジスタ144がオンされると、負荷トランジスタ142のゲートに印加されるバイアス電圧を生成する電荷をサンプルホールドする。また、カップリング可変容量547は、サンプルホールドトランジスタ144がオフされると、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146とを容量カップリングしつつ、負荷トランジスタ142のゲートにバイアス電圧を印加する。
【0118】
このように、上述の第5の実施の形態では、負荷トランジスタ142のゲートと昇圧回路146の出力との間にカップリング可変容量547を接続する。これにより、負荷トランジスタ142のゲート電圧VGの昇圧量を変化させることが可能となるとともに、サンプルホールド容量145を除去することができる。このため、回路規模の増大を抑制しつつ、セトリング時間の短縮と消費電力の低減の優先度を最適化することができる。
【0119】
<6.第6の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、垂直信号線132のP相セトリング期間K12、K14においてカップリング容量147を介して負荷トランジスタ142のゲート電圧VGを昇圧した。この第6の実施の形態では、画素がマトリックス状に配列された画素アレイ部が設けられた半導体チップを積層化する。
【0120】
図10は、第6の実施の形態に係る画素アレイ部の積層例を示す斜視図である。
【0121】
同図において、固体撮像装置は、半導体チップ921、922を備える。半導体チップ922は、半導体チップ921上に積層される。
【0122】
半導体チップ922には、画素アレイ部923が形成される。画素アレイ部923には、画素931がロウ方向およびカラム方向にマトリックス状に配置される。画素アレイ部923の周辺には、パッド電極932およびビア電極933が形成される。ビア電極933は、半導体チップ922を貫通し、半導体チップ921、922同士を電気的に接続することができる。
【0123】
半導体チップ921には、周辺回路924が形成される。周辺回路924には、カラム読出し回路925、カラムADC926、通信インタフェース927および発振回路928が形成される。カラム読出し回路925およびカラムADC926は、画素アレイ部923のカラム方向の両側の位置に対応するように形成してもよい。カラム読出し回路925には、上述の第1から第5の実施の形態のいずれかの信号読出し回路を設けることができる。
【0124】
半導体チップ921、922は、直接接合してもよい。半導体チップ921、922の直接接合では、ハイブリッドボンディングを用いることができる。このとき、半導体チップ921、922は、Cu-Cu接続に基づいて電気的に接続してもよい。半導体チップ921、922に用いられる半導体基板の材料は、Siでもよいし、InGaAsでもよいし、InPでもよい。
【0125】
このように、上述の第6の実施の形態では、画素アレイ部923が形成される半導体チップ922を、周辺回路924が形成される半導体チップ921上に積層する。これにより、固体撮像装置が形成された半導体チップの実装面積の増大を抑制しつつ、固体撮像装置の感度を増大させることが可能となる。
【0126】
<7.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0127】
図11は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0128】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図11に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0129】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0130】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0131】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0132】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であってもよいし、赤外線等の非可視光であってもよい。
【0133】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0134】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0135】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0136】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0137】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図11の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0138】
図12は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0139】
図12では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0140】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0141】
なお、
図12には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0142】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0143】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0144】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0145】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0146】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、例えば、上述の実施の形態の撮像装置は、撮像部12031に適用することができる。車両制御システム12000に本開示に係る技術を適用することにより、セトリング時間の短縮と消費電力の低減とのバランスを制御することができる。
【0147】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0148】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)垂直信号線が介在された画素との間のソースフォロワ動作に基づいて前記画素から信号を読出す負荷トランジスタと、
前記垂直信号線のセトリング期間の少なくとも一部において前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する昇圧回路と
を備える撮像装置。
(2)前記昇圧回路から前記ゲート電圧に印加される昇圧電圧は可変である
前記(1)に記載の撮像装置。
(3)前記負荷トランジスタのゲートに直列に接続されたサンプルホールドトランジスタと、
前記負荷トランジスタのゲートに並列に接続されたカップリング容量と
をさらに備える前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)前記カップリング容量は可変である
前記(1)から(3)のいずれかに記載の撮像装置。
(5)前記カップリング容量は、前記サンプルホールドトランジスタにてサンプルホールドされるサンプルホールド容量と兼用される
前記(3)または(4)に記載の撮像装置。
(6)前記負荷トランジスタのゲートに並列に接続されたサンプルホールド容量
をさらに備える前記(3)または(4)に記載の撮像装置。
(7)前記画素は、
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードに蓄積された電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、
前記フローティングディフュージョンをリセットするリセットトランジスタと、
前記フローティングディフュージョンの電位に応じた信号を出力する増幅トランジスタと、
前記増幅トランジスタと前記垂直信号線との間に接続された選択トランジスタと
を備える前記(1)から(6)のいずれかに記載の撮像装置。
(8)前記セトリング期間は、前記フローティングディフュージョンの電位が前記垂直信号線に印加されてから、前記垂直信号線の電位が収束するまでの期間である
前記(7)に記載の撮像装置。
(9)前記セトリング期間は、前記画素のリセット期間経過後からP相AD変換期間までの期間を含む
前記(8)に記載の撮像装置。
(10)前記昇圧回路は、前記リセット期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧よりも前記セトリング期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧を高くする
前記(9)に記載の撮像装置。
(11)前記セトリング期間は、前記画素からの信号読出し期間経過後からD相AD変換期間までの期間を含む
前記(8)から(10)のいずれかに記載の撮像装置。
(12)前記昇圧回路は、前記信号読出し期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧よりも前記セトリング期間の前記負荷トランジスタのゲート電圧を高くする
前記(11)に記載の撮像装置。
(13)前記画素がロウ方向およびカラム方向にマトリックス状に配置された画素アレイ部を備え、
前記カップリング容量は、前記カラムごとに設けられ、
前記昇圧回路は、複数のカラムで共用される
前記(1)から(12)のいずれかに記載の撮像装置。
(14)垂直信号線が介在された画素との間のソースフォロワ動作に基づいて前記画素から信号を読出す負荷トランジスタと、
前記画素からの信号読出し期間外において前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する昇圧回路と
を備える撮像装置。
(15)前記負荷トランジスタのゲート電圧の昇圧期間は、前記画素からの信号読出し期間と別個に設定される
前記(14)に記載の撮像装置。
(16)垂直信号線が介在された画素と負荷トランジスタとの間のソースフォロワ動作に基づいて前記画素から信号を読出し、
前記垂直信号線のセトリング期間の少なくとも一部において前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する
撮像方法。
(17)カップリング容量を介して前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する
前記(16)に記載の撮像方法。
(18)前記負荷トランジスタのゲートに接続されるサンプルホールドトランジスタをオンし、前記負荷トランジスタのゲートに印加されるバイアス電圧を生成する電荷をサンプルホールド容量に蓄積し、
前記サンプルホールドトランジスタをオフした後、前記カップリング容量を介して前記負荷トランジスタのゲート電圧を昇圧する
前記(17)に記載の撮像方法。
【符号の説明】
【0149】
111 画素アレイ部
112 垂直走査回路
113 カラム読出し回路
114 カラム信号処理部
115 水平走査回路
116 制御回路
121 フォトダイオード
122 転送トランジスタ
123 リセットトランジスタ
124 増幅トランジスタ
125 選択トランジスタ
126 フローティングディフュージョン
131 水平駆動線
132 垂直信号線
141 ミラートランジスタ
142 負荷トランジスタ
143 電流源
144 サンプルホールドトランジスタ
145 サンプルホールド容量
146 昇圧回路
147 カップリング容量
148 コンパレータ