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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171963
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241205BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20241205BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
B65H5/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089344
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西 達也
【テーマコード(参考)】
3F101
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
3F101FA06
3F101FB01
3F101FC05
3F101FE02
3F101FE06
3F101FE11
3F101FE17
3F101LA11
3F101LB02
3F101LB05
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB40
5C062AB46
5C062AC65
5C062AD01
5C062AD06
5C072AA01
5C072BA01
5C072NA01
5C072RA01
(57)【要約】
【課題】複雑な構成を用いず、装置を大型にせずに原稿束の不送りの状態を低減し適切な給送を実現する画像読取装置を提供する。
【解決手段】原稿Sの画像を読み取る原稿Sの搬送方向下流に設けられた読取部と、読取部に向けて原稿Sが搬送される搬送路の下面を形成する下側搬送ガイド15と、を備え、原稿Sを給送する際に、複数の原稿が重ねられた原稿束から分離して原稿を給送する分離給送を行う第1の給送モードと原稿束を分離せず給送する非分離給送を行う第2の給送モードのうち、第2の給送モードで給送を行う場合は、下面を下げるように下側搬送ガイド15が下方向に移動することを特徴とする。
【選択図】図5


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る前記原稿の搬送方向下流に設けられた読取部と、
前記読取部に向けて前記原稿が搬送される搬送路の下面を形成する下側搬送ガイドと、を備え、
前記原稿を給送する際に、複数の原稿が重ねられた原稿束から分離して原稿を給送する分離給送を行う第1の給送モードと前記原稿束を分離せず給送する非分離給送を行う第2の給送モードのうち、前記第2の給送モードで給送を行う場合は、前記下面を下げるように前記下側搬送ガイドが下方向に移動することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
原稿の画像を読み取る前記原稿の搬送方向下流に設けられた読取部と、
前記読取部に向けて前記原稿が搬送される搬送路の下面を形成する下側搬送ガイドと、
前記原稿の厚みを検知する厚み検知手段と、を備え、
前記厚み検知手段で所定の閾値以上の厚さを検知した場合に、前記下面を下げるように前記下側搬送ガイドが下方向に移動することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記厚み検知手段で所定の閾値以上の厚さを検知した場合は、複数の原稿が重ねられた原稿束から分離して前記原稿を給送する分離給送を行う第1の給送モードと前記原稿束を分離せず給送する非分離給送を行う第2の給送モードのうち、前記第2の給送モードに移行することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記搬送路を挟んで前記下側搬送ガイドに対向する上側搬送ガイドを備え、前記上側搬送ガイドは前記下側搬送ガイドの方向に移動することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記下側搬送ガイドの下側に設けられたカムを備え、前記カムが回転して前記下側搬送ガイドは前記下方向に移動することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記搬送路を挟んで前記下側搬送ガイドに対向し前記下側搬送ガイドの方向に移動する上側搬送ガイドと、前記上側搬送ガイドの上側に設けられたカムを備え、前記カムが回転して前記上側搬送ガイドは前記下側搬送ガイドの方向に移動することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記搬送路を挟んで前記下側搬送ガイドに対向する回転体を備え、前記回転体は前記下側搬送ガイドの方向に移動することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記下側搬送ガイドは、前記下方向に移動する際に弾性体に付勢されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記搬送路を挟んで前記下側搬送ガイドに対向し前記下側搬送ガイドの方向に移動する上側搬送ガイドを備え、前記上側搬送ガイドは前記下側搬送ガイドの方向に移動する際に弾性体に付勢されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記搬送路を挟んで前記下側搬送ガイドに対向し前記下側搬送ガイドの方向に移動する回転体を備え、前記回転体は前記下側搬送ガイドの方向に移動する際に弾性体に付勢されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取りを行う画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の一例であるスキャナーには、原稿の自動送り装置(ADFとも呼ばれる)が設けられ、複数枚の原稿の自動送りと画像読み取りとを行える様に構成されたものがある。このような構成の画像読取装置において、例えばパスポートや通帳のような冊子体を読み取りたいといったユーザーからのニーズがある。このようなニーズに対応するため、冊子体を読み取るページを開いた状態で透明なホルダーに入れて、画像読取装置によって送るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-68125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホルダーに入れた冊子体を給送可能なスキャナーとして、原稿束を分離せずに給送する非分離給送を行う場合には、特許文献1にあるように従動ローラが原稿を搬送する方向に回転駆動するものがあげられる。ホルダーに入れた冊子体は冊子体単体よりも厚みが増すため、冊子体と従動ローラの接触点の接線と搬送方向のなす角度が通常の原稿の搬送時よりも大きくなる。そのため、冊子体が従動ローラを持ち上げるにはより大きな搬送力が必要となり、原稿を搬送する搬送ローラ対(駆動ローラと従動ローラ)の間にホルダーに入れた冊子体が入っていかず、不送りになる場合があった。これに対して特許文献1では、従動ローラを駆動させる発明、また、従動ローラを予め駆動ローラから離間して冊子体の突入負荷を減らすスキャナーが開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載のスキャナーでは、原稿厚み方向に移動する従動ローラに駆動を伝達する伝達機構が必要であり、装置が複雑になる。また、従動ローラを予め駆動ローラから離間する場合は、従動ローラを離間する機構と従動ローラが退避するスペースが必要になり、装置が大型化し構造が複雑になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、
原稿の画像を読み取る前記原稿の搬送方向下流に設けられた読取部と、
前記読取部に向けて前記原稿が搬送される搬送路の下面を形成する下側搬送ガイドと、を備え、
前記原稿を給送する際に、複数の原稿が重ねられた原稿束から分離して原稿を給送する分離給送を行う第1の給送モードと前記原稿束を分離せず給送する非分離給送を行う第2の給送モードのうち、前記第2の給送モードで給送を行う場合は、前記下面を下げるように前記下側搬送ガイドが下方向に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複雑な構成を用いず装置を大型にせずに、ホルダーに入れて搬送する原稿束(例えば、パスポートや通帳のような冊子体や書類束など)の不送りの状態を低減し、適切な給送を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る画像読取装置の概略図。
図2】実施形態に係る画像読取装置の制御ユニットのブロック図。
図3】実施形態に係る画像読取装置の上面図。
図4】第1の実施形態に係る画像読取装置の第1搬送部と第2搬送部の拡大略図。
図5】第1の実施形態に係る画像読取装置の第1搬送部と第2搬送部の拡大略図。
図6】本発明の一実施形態に係る画像読取装置における部品の斜視図。
図7】第2の実施形態に係る画像読取装置の第1搬送部と第2搬送部の拡大略図。
図8】第2の実施形態に係る画像読取装置の第1搬送部と第2搬送部の拡大略図。
図9】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の第1搬送部と第2搬送部の拡大略図。
図10】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の第1搬送部と第2搬送部の拡大略図。
図11】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の第1搬送部と第2搬送部の拡大略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の実施形態に係る画像読取装置Aの概略図である。
【0010】
画像読取装置Aは、載置台1に積載された一又は複数の原稿S(原稿束)を1つずつ装置内に経路RTを成す搬送路にて搬送してその画像を読取部で読み取り、排出トレイ2に排出する装置である。読み取る原稿Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。また、パスポートなどの冊子体S1も含まれる。冊子体S1を対象とする場合、ホルダー200を用いることができる。透明なホルダー200に見開き状態の冊子体S1を収容して載置台1に載置することで、冊子体S1がホルダー200と共に給送され、その画像を読み取ることができる。
【0011】
経路RTに沿って原稿Sを給送する、給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の原稿Sを搬送方向D1に一枚ずつ順次給送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って原稿Sを搬送させる正方向)に回転駆動させる。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0012】
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、原稿Sが逆送または停止する場合には駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0013】
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、原稿Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けられると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向)に回転駆動される。
【0014】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力の伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の原稿Sが送りローラ11と分離ローラ12からなる圧接部に搬送されてきた際には、1枚を残して2枚以上の原稿Sが下流に給送されないようにせき止められる。
【0015】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、原稿Sを1枚ずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ12のような構成の代わりに、原稿Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作用を持たせるようにしてもよい。
【0016】
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に対向配置され駆動ローラ21に従動回転する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から給送されてきた原稿Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0017】
このような、第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に対向配置され駆動ローラ31に従動回転する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた原稿Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。
【0018】
駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れ回る。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0019】
排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されている。また、第1ヒンジ101側の第1排出トレイ2aとその先端側に接続された第1延長トレイ2b、第2延長トレイ2c、第3延長トレイ2dとから構成されている。第1延長トレイ2bは第1排出トレイ2aに対して摺動可能に支持されており、第2延長トレイ2cは第1延長トレイ2bに対して摺動可能に支持されており、第3延長トレイ2dは第2延長トレイ2cに対して摺動可能に支持されている。
【0020】
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される読取部である画像読取ユニット70によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は原稿Sを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行原稿Sに後続原稿Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による原稿Sの搬送速度を、第1搬送部10による原稿Sの給送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0021】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による原稿Sの搬送速度と、第1搬送部10による原稿Sの給送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続原稿Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行原稿Sと後続原稿Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0022】
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの原稿S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって給送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の原稿Sが重送されている場合と1つずつ給送されている場合とで、原稿Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0023】
このような、重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は、第2搬送部20よりも上流側かつ第1搬送部10よりも下流側に配置された、搬送方向D1上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により給送される原稿Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に原稿Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、原稿Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として原稿Sを検出する。
【0024】
本実施形態の場合、原稿Sの先端が媒体検出センサ50で検出された時点で、原稿Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、原稿Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、搬送路に突出したレバー型のセンサでもよい。
【0025】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60が画像読取ユニット70よりも上流側に配置されている。第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される原稿Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光学センサであり、発光部61と受光部62とを備え、原稿Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として原稿Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0026】
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット70は搬送路を形成する構成の一部であり、搬送路の両側に一つずつ配置され、原稿Sの表裏面を読み取る。しかし、搬送路の片側にのみ一つ配置して、原稿Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70を搬送路の両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0027】
搬送路は上述の画像読取ユニット70や下側搬送ガイド15、上側搬送ガイド16などの複数の部品によって構成されている。下側搬送ガイド15は搬送路の下面を、上側搬送ガイド16は搬送路の上面を形成している。
【0028】
図2を参照して制御部80について説明する。図2は、画像読取装置Aの制御部80のブロック図である。
【0029】
制御部80はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84及びインターフェース部85を備える。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置A全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、ユーザーからの操作を受け付ける。
【0030】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0031】
インターフェース部85はアクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ86には、駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。センサ87には、重送検出センサ40、媒体検出センサ50及び60、画像読取ユニット70等が含まれる。
【0032】
画像読取装置Aの基本的な動作について説明する。制御部80は、例えば、画像読取装置Aが接続された外部パソコンから画像読み取りの開始指示を受信すると、第1搬送部10乃至第3搬送部30の駆動を開始する。載置台1に積載された原稿Sはその最も下に位置する原稿Sから1つずつ給送される。
【0033】
また、後述の画像読取装置Aの操作部83に設けられたスタートキーによって画像の読み取りを開始し、その後画像読取の開始を外部パソコンに通知するようにしてもよい。
【0034】
給送の途中で、原稿Sは重送検出センサ40により重送の有無が判定され、重送が無いと判定されると給送が継続される。なお、重送があると判定された場合には、給送を停止するか、第1搬送部10による後続原稿Sの取り込みを停止して、重送状態にある原稿Sをそのまま排出するようにしてもよい。
【0035】
制御部80は、媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた原稿Sの、画像読取ユニット70による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部パソコンへ送信する。画像が読み取られた原稿Sは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてその原稿Sの画像読取処理が終了する。
【0036】
正面下部には排出開口92が設けられており、第3搬送部30によって搬送された原稿Sが排出される。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を展開した状態における上面図である。
【0038】
画像読取装置Aには、操作部83が設けられている。
【0039】
第3搬送部30により搬送されてきた原稿Sは、排出開口92を経て第1排出トレイ2aに排出され、原稿Sのサイズによっては第1排出トレイ2aから引き出された第1延長トレイ2b、第2延長トレイ2c、第3延長トレイ2dまで到達し、案内される。
【0040】
第3延長トレイ2dには、排出位置調整部材120が回動可能に設けられており、原稿Sの搬送方向に対する長さに応じて引き出された各延長トレイに対し、起立状態に回動させることで原稿Sが停止する位置を調整し、排出された原稿Sを散らばりにくくして整列性を向上できる。
【0041】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
【0042】
<第1の実施形態>
図4及び図5は、第1の実施形態に係る画像読取装置Aの第1搬送部10と第2搬送部20の拡大略図である。図6は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aにおける、カム151と駆動伝達部材154が軸153と一体になっていることを示している斜視図である。
【0043】
図4、5に示す下側搬送ガイド15は、その面で搬送路の下面の一部を形成し、後述するように画像読取装置Aの下方向に移動するように設けられている。
【0044】
ユーザーは、載置台1にある原稿Sを1枚ずつに分離し給送(分離給送)する「第1の給送モード」と、載置台1にある原稿Sを分離せずに冊子体S1(原稿束)として給送(非分離給送)する「第2の給送モード」といった、給送方法としての給送モードを選択することが出来る。「第2の給送モード」の場合、冊子体S1は分離をせずに給送されること以外は上記の原稿Sの場合と同じように搬送や読み取りをされる。
【0045】
図4のように「第2の給送モード」で冊子体S1を給送する場合、冊子体S1には厚みがあるので、第1搬送部10によって給送された冊子体S1は第2搬送部の圧接部に到達する前に従動ローラ22と接触する。この時、冊子体S1と従動ローラ22の接触点の接線と搬送方向D1がなす角度をθ1とすると、搬送物の厚みが増すほどθ1が大きくなる。
【0046】
冊子体S1は、従動ローラ22を持ち上げながら第2搬送部20の圧接部(駆動ローラ21と従動ローラ22の間)に到達しなければならないため、搬送物(冊子体S1)が厚くなり角度θ1が大きくなればなるほど搬送するために大きな力が必要となる。そのため、下流側の第2搬送部20の圧接部に進入できず、不送り状態になる場合が発生する。
【0047】
第2搬送部20における冊子体S1の不送りを抑制するため、「第2の給送モード」で冊子体S1の給送を行う場合は、図5に示すように下側搬送ガイド15が矢印の方向に回動し、搬送路の下面を下げるように下方向(下面のさらに下側)に移動する。
【0048】
本実施形態において、カム151と駆動伝達部材154は図6のように、軸153に平行ピンなどで軸153と一体に回転するように軸支されている。カム151は下側搬送ガイド15の下側に設けられ、下側搬送ガイド15を持ち上げている。駆動伝達部材154は、搬送路外で不図示の駆動部と駆動連結している。尚、軸153は駆動部3及び駆動部4から動力を受ける構成とすることもできるし、本実施例のように他の駆動部から動力を受ける構成も可能である。
【0049】
ユーザーが操作部83から「第2の給送モード」を選択すると、制御部80は不図示の駆動部を動作させ、カム151を回転させる。カム151が回転すると、前述の通り、下側搬送ガイド15の搬送方向下流側が自重で下がり図5のように矢印方向に回動する。このように、冊子体S1がより駆動ローラ21側に接触しやすくしている。
【0050】
下側搬送ガイド15が図5に示す矢印方向に回動しても、駆動ローラ21は回転し続けている。そして、この状態のまま冊子体S1を給送すると、冊子体S1の先端は下側搬送ガイド15に沿って進み第2搬送部20の圧接部近傍に達する。冊子体S1が第2搬送部の従動ローラ22と接触した場合、第2搬送部20の駆動ローラ21によって連れ回っている従動ローラ22と、下側搬送ガイド15によって挟持された冊子体S1の先端は、第2搬送部の圧接部へと導かれる。また、冊子体S1が第2搬送部の駆動ローラ21に接触した場合、駆動ローラ21が回転しているため冊子体S1は第2搬送部20の圧接部へと導かれ、やがて従動ローラ22と接触する。
【0051】
ここで、冊子体S1と従動ローラ22の接触点の接線と搬送方向D1がなす角度θ2がθ1>θ2となるため、冊子体S1は第2搬送部20の圧接部(駆動ローラ21と従動ローラ22の間)に到達しやすくなり、第2搬送部の従動ローラ22を押し上げ易くなる。よって、冊子体S1の第2搬送部20への突入負荷が軽減する。
【0052】
このように、第1搬送部10が「第2の給送モード」で給送を行う場合に、下側搬送ガイド15が下方向に回動し、冊子体S1が第2搬送部20の圧接部に到達しやすくなることで第2搬送部における不送りの発生を抑制し、冊子体S1の適切な搬送を実現できる。
【0053】
画像読取装置Aが冊子体S1を処理すると、制御部80は再びカム151を図4の位置に回転させる。カム151は下側搬送ガイド15を押し上げて、第1搬送部10が「第1の給送モード」で給紙可能な状態になる。このとき、ユーザーが下側搬送ガイド15を誤って押し込んでも、カム151が突き当てとなり下側搬送ガイド15は押し込まれることはない。
【0054】
<第2の実施形態>
第1の実施形態として、下側搬送ガイド15が移動する場合を説明したが、第2の実施形態では、後述するように、搬送路を挟んで下側搬送ガイド15に対向する上側搬送ガイド16が、下側搬送ガイド15に連動して移動する場合を説明する。
【0055】
図7及び図8は、第2の実施形態の際の第1搬送部10と第2搬送部20の拡大略図を示している。
【0056】
画像読取装置Aには、上側搬送ガイド16と下側搬送ガイド15が構成されており、上側搬送ガイド16の面で搬送路の上面の一部を、下側搬送ガイド15の面で搬送路の下面の一部を形成している。
【0057】
図7では、冊子体S1が従動ローラ22に接触する際に、冊子体S1と従動ローラ22の接触点の接線と搬送方向D1がなす角度をθ1とすると、搬送物の厚みが増すほどθ1が大きくなる。カム161は、図6に示すようにカム151と同様に同軸上に不図示の回転軸と不図示の駆動伝達部材を有して、駆動伝達部材は駆動部に駆動連結されている。また、カム161は上側搬送ガイド16の上側に設けられ、回転すると上側搬送ガイド16を押す形となる。
【0058】
第2の実施形態では、ユーザーから「第2の給送モード」が指示されると、制御部80は不図示の駆動部を動かし、カム151、カム161を回転させる。そして、図8のように上側搬送ガイド16、下側搬送ガイド15は矢印方向に回動し、搬送路の上面及び下面を下げるように下側搬送ガイド15は下方向(下面のさらに下側)に、上側搬送ガイド16は下側搬送ガイド15の方向にそれぞれ移動する。
【0059】
第1の実施形態と同様に、駆動ローラ21と従動ローラ22は、「第2の給送モード」が指示された後も回転を続ける。下方向に回動した状態の下側搬送ガイド15と上側搬送ガイド16によって冊子体S1の先端が案内されたまま、冊子体S1が従動ローラ22に接触すると、冊子体S1と従動ローラ22の接触点の接線と搬送方向D1がなす角度θ3がθ1>θ3となる。よって、冊子体S1が第2搬送部20の圧接部(駆動ローラ21と従動ローラ22の間)に到達しやすくなり、突入負荷を軽減できる。
【0060】
以降にも、上記以外の搬送方法を説明する。図9図11は、本発明の一実施形態に係る第1搬送部10と第2搬送部20の拡大略図である。以降の搬送ガイドも上述と同様にその面で搬送路の一部を形成している。
【0061】
本実施形態では上側搬送ガイド16が回動する構成で記載したが、図9に示す様に、上側搬送ガイド16と冊子体S1の間に回転体17を設け、上側搬送ガイド16は移動せずに回転体17が下側搬送ガイド15に連動して図に示す矢印方向に回動し、下側搬送ガイド15の方向に移動することで冊子体S1を駆動ローラ21側に押し付けるようにしても同様の効果を得ることができる。
【0062】
このように、「第2の給送モード」で給送を行う場合に、下側搬送ガイド15や上側搬送ガイド16、回転体17が矢印方向に移動することで、冊子体S1が第2搬送部20の圧接部に到達しやすくなり第2搬送部における不送りの発生を抑制し、冊子体S1の適切な搬送を実現できる。
【0063】
また、本実施形態では、「第1の給送モード」と「第2の給送モード」をユーザーの指示で切り替えて、下側搬送ガイド15や上側搬送ガイド16、回転体17を動作させる構成で記載した。しかし、図10図11のように、第1搬送部10の下流に設けた原稿厚み検知センサ45、原稿厚み検知レバー46で所定の閾値以上の厚さを検知した場合に、下側搬送ガイド15を移動させる構成でも同様の効果を得られる。
【0064】
第1搬送部10が冊子体S1を給送すると、図10のように、第1搬送部10と第2搬送部20の間に設けられた原稿厚み検知レバー46を押し上げ、原稿厚み検知センサ45が所定の厚みを検知する。原稿厚み検知センサ45で所定の閾値以上の厚みを検知すると、制御部80は「第2の給送モード」に移行し第1搬送部10に対して指示をし、カム151を回転させ、図11のように下側搬送ガイド15を矢印方向に回動させ、搬送路の下面を下げるように下方向(下面のさらに下側)に移動させる。厚み検知手段として、原稿厚み検知センサ45、原稿厚み検知レバー46を図示したがこの限りでなく、光学式や超音波センサで厚みを検知しても良い。
【0065】
下側搬送ガイド15の回動後は、前述の通り冊子体S1の搬送が行われる。冊子体S1を処理した時点で制御部80からの指示によりカム151が回転し、下側搬送ガイド15は図10に示すように回動する前の位置へ移動する。
【0066】
上記の図10図11に関しては、第1の実施形態の構成を用いて説明したが、この限りでなく、第2の実施例においても厚み検知センサを用いて同様の効果を得られる。
【0067】
また、前述では、原稿厚み検知センサ45で所定の厚みを検知すると「第1の給送モード」から「第2の給送モード」に移行したが、この限りでなく、「第1の給送モード」のまま下側搬送ガイド15が移動するだけで第2搬送部20への突入負荷を軽減できるようにしても良い。
【0068】
なお、上記では、下側搬送ガイド15が自重で回動し、上側搬送ガイド16や回転体17は下側搬送ガイド15に連動して回動する構成としたが、この限りでなく、上側搬送ガイド16と回転体17も自重で回動しても良い。また、例えば、弾性体で下方向に付勢しても良いし、弾性体で搬送路を狭める側に付勢し、ソレノイドで下方向に引いて搬送ガイドや回転体17を移動させる場合でも同様の効果を得られる。
【0069】
上記並びに図面では、冊子体S1を第2搬送部20の圧接部に到達しやすくするために、下側搬送ガイド15、上側搬送ガイド16、回転体17が下方向に移動することを「回動」としていたが、この限りではなく、装置の下方向に揺動するように各々が設置されていても良い。
【0070】
また、上記並びに図面では、原稿束を構成する原稿のうち下の原稿Sから給送されるため、送りローラ11は下側に、分離ローラ12は上側に設置されているが、原稿束のうち上の原稿Sから給送されるために送りローラ11は上側に、分離ローラ12は下側に設置されていても同様の効果が得られる。ただし、搬送ガイドや回転体17が移動する向きは変わらずに下方向である。
【符号の説明】
【0071】
A 画像読取装置
S 原稿
S1 冊子体
1 載置台
2 排出トレイ
2a 第1排出トレイ
2b 第1延長トレイ
2c 第2延長トレイ
2d 第3延長トレイ
3 駆動部
4 駆動部
5 伝達部
10 第1搬送部
11 送りローラ
12 分離ローラ
15 下側搬送ガイド
151 カム
153 軸
154 駆動伝達部材
16 上側搬送ガイド
161カム
17 回転体
20 第2搬送部
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
30 第3搬送部
45 原稿厚み検知センサ
46 原稿厚み検知レバー
50 レジ前センサ
60 レジ後センサ
70 画像読取ユニット
71 下側読取部
72 上側読取部
80 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11