(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171970
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】仮設構築体における階段装置
(51)【国際特許分類】
E04G 5/10 20060101AFI20241205BHJP
E04G 5/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E04G5/10 B
E04G5/14 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089356
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】315019894
【氏名又は名称】株式会社杉孝グループホールディングス
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】庄子 直毅
(72)【発明者】
【氏名】北原 大二郎
(72)【発明者】
【氏名】地附 友恵
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 諒
(57)【要約】
【課題】建築現場や土木現場等で組立てることにより、作業者の昇降のために供される階段装置を提供する。
【解決手段】左右一対の傾斜フレームの長手方向端部に下側水平フレームと上側水平フレームを介して下側床板(11)と上側床板(12)を設けて成る階段ユニット(6)の複数を連設することにより階段装置が構築され、下層の階段ユニット(6L)と上層の階段ユニット(6U)を相互に進行方向を折り返し方向に向けて連設すると共に、下層の階段ユニットの上側床板(12)に上層の階段ユニットの下側床板(11)を並設することにより踊り場(19)を形成しており、踊り場の縁部を三方から囲む桁用手摺(20)と妻用手摺(21)が設けられている。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設構築体における水平部材に搭載される階段装置であり、
左右一対の傾斜フレーム(7L,7R)の長手方向端部に前記水平部材(3)に搭載される下側水平フレーム(8L,8R)と上側水平フレーム(9L,9R)を延設し、前記傾斜フレームの長手方向に間隔をあけて踏板(10)を架設すると共に、下側水平フレームと上側水平フレームにそれぞれ下側床板(11)及び上側床板(12)を架設することにより、階段ユニット(6)を形成し、複数の階段ユニットを連設することにより階段装置が構築され、
複数の階段ユニットは、下層の階段ユニット(6L)と上層の階段ユニット(6U)を相互に進行方向を折り返し方向に向けて連設し、下層の階段ユニットの上側床板(12)に上層の階段ユニットの下側床板(11)を並設することにより踊り場(19)を形成すると共に、踊り場の縁部を三方から囲む桁用手摺(20)と妻用手摺(21)を設けており、
前記桁用手摺(20)及び妻用手摺(21)は、それぞれ所定間隔をあけて設けられた一対の柱部(20a,20a)(21a,21a)を前記踊り場に設けた桁用取付装置(25)と妻用取付装置(26)により立設されるように構成されており、
前記並設された上側床板と下側床板の各床板は、前記水平フレームの先端側に臨む先端妻縁部(22)と、基端側に臨む基端妻縁部(23)を備え、
前記桁用取付装置(25)は、前記水平フレームの内側面に沿って先端妻縁部と基端妻縁部に固設された一対の桁用支持手段(25a)(25b)により前記桁用手摺の柱部を立設するように構成され、各床板の幅方向両側に第1桁用取付装置(25L)と第2桁用取付装置(25R)を設けており、
前記妻用取付装置(26)は、第1桁用取付装置と第2桁用取付装置を構成する桁用支持手段のうち先端妻縁部に固設された一対の桁用支持手段(25a)(25a)の間に位置して、第1妻用支持手段(26a)と第2妻用支持手段(26b)を先端妻縁部に固設しており、前記一対の桁用支持手段との間において、第1妻用支持手段(26a)と一方の桁用支持手段(25a)の組み合わせにより前記妻用手摺の柱部を立設可能とする第1妻用取付装置(26R)を構成し、第2妻用支持手段(26b)と他方の桁用支持手段(25a)の組み合わせにより前記妻用手摺の柱部を立設可能とする第2妻用取付装置(26L)を構成して成ることを特徴とする仮設構築体における階段装置。
【請求項2】
各床板は、先端妻縁部を有する踏板(10A)と、基端妻縁部を有する踏板(10B)を2枚並設することにより構成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の仮設構築体における階段装置。
【請求項3】
前記桁用手摺及び妻用手摺の柱部(20a,20a)(21a,21a)は、外径を同一としたパイプ材により形成されており、
前記桁用取付装置を構成する桁用支持手段(25a,25b)と、前記妻用取付装置を構成する妻用支持手段(26a,26b)は、前記パイプ材を挿入自在とするように内径を同一とした筒材により形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の仮設構築体における階段装置。
【請求項4】
前記桁用手摺及び妻用手摺は、それぞれ、下端近傍部における一対の柱部の間を塞ぐ幅木(20b)(21b)を設けており、
前記桁用手摺の幅木(20b)は、前記桁用取付装置により桁用手摺を立設したとき、水平フレームの内側面に沿って近接配置され、
前記妻用手摺の幅木(21b)は、前記妻用取付装置により妻用手摺を立設したとき、先端妻縁部に沿って近接配置されるように構成されて成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の仮設構築体における階段装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場や土木現場等で組立てることにより、作業者の昇降のために供される階段装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄骨建築物等の工事現場においては、作業者が地上と高所作業現場の間を昇降するために、建築物の側部に臨んで階段装置が組立てられる。また、工事現場の立坑においては、作業者が地上と坑内の間を昇降するために、坑内に吊り下げられる吊り階段として階段装置が組立てられる。その他、仮設足場構築体においても、組立式の階段装置を設ける場合がある。
【0003】
このような階段装置は、仮設構築体により構成された骨組により支持され、骨組を構成する水平部材に搭載することにより組立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-13594号公報
【特許文献2】特開2011-80276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、階段装置は、仮設のため、複数の階段ユニットを連設することにより構築できるように構成することが好ましく、その際、下層の階段ユニットと上層の階段ユニットの連設部分には、踊り場を設けることが望ましい。
【0006】
この点に関して、従来技術の場合、簡単容易に踊り場を形成できるように構成されていないので、適宜、仮設足場用の足場板等を調達することにより、間に合わせとして、踊り場を形成しているのが現状である。
【0007】
そして、当然のことながら、階段を昇降する作業者の安全を確保する必要があるので、従来技術においても、階段の傾斜した昇降路の両側には傾斜用手摺が設けられている。
【0008】
しかしながら、踊り場には、手摺を設ける装置が満足できるように設けられておらず、作業者の転落事故を防止するための構成が不十分であるという問題がある。
【0009】
因みに、踊り場に手摺を取付ける装置を設けるためには、多くの解決すべき技術的課題がある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決した仮設構築体における階段装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明が手段として構成したところは、仮設構築体における水平部材に搭載される階段装置であり、左右一対の傾斜フレームの長手方向端部に前記水平部材に搭載される下側水平フレームと上側水平フレームを延設し、前記傾斜フレームの長手方向に間隔をあけて踏板を架設すると共に、下側水平フレームと上側水平フレームにそれぞれ下側床板及び上側床板を架設することにより、階段ユニットを形成し、複数の階段ユニットを連設することにより階段装置が構築され、複数の階段ユニットは、下層の階段ユニットと上層の階段ユニットを相互に進行方向を折り返し方向に向けて連設し、下層の階段ユニットの上側床板に上層の階段ユニットの下側床板を並設することにより踊り場を形成すると共に、踊り場の縁部を三方から囲む桁用手摺と妻用手摺を設けており、前記桁用手摺及び妻用手摺は、それぞれ所定間隔をあけて設けられた一対の柱部を前記踊り場に設けた桁用取付装置と妻用取付装置により立設されるように構成されており、前記並設された上側床板と下側床板の各床板は、前記水平フレームの先端側に臨む先端妻縁部と、基端側に臨む基端妻縁部を備え、前記桁用取付装置は、前記水平フレームの内側面に沿って先端妻縁部と基端妻縁部に固設された一対の桁用支持手段により前記桁用手摺の柱部を立設するように構成され、各床板の幅方向両側に第1桁用取付装置と第2桁用取付装置を設けており、前記妻用取付装置は、第1桁用取付装置と第2桁用取付装置を構成する桁用支持手段のうち先端妻縁部に固設された一対の桁用支持手段の間に位置して、第1妻用支持手段と第2妻用支持手段を先端妻縁部に固設しており、前記一対の桁用支持手段との間において、第1妻用支持手段と一方の桁用支持手段の組み合わせにより前記妻用手摺の柱部を立設可能とする第1妻用取付装置を構成し、第2妻用支持手段と他方の桁用支持手段の組み合わせにより前記妻用手摺の柱部を立設可能とする第2妻用取付装置を構成して成る点にある。
【0012】
この際、各床板は、先端妻縁部を有する踏板と、基端妻縁部を有する踏板を2枚並設することにより構成することが好ましい。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、前記桁用手摺及び妻用手摺の柱部は、外径を同一としたパイプ材により形成されており、前記桁用取付装置を構成する桁用支持手段と、前記妻用取付装置を構成する妻用支持装置は、前記パイプ材を挿入自在とするように内径を同一とした筒材により形成されている。
【0014】
更に好ましくは、前記桁用手摺及び妻用手摺は、それぞれ、下端近傍部における一対の柱部の間を塞ぐ幅木を設けており、前記桁用手摺の幅木は、前記桁用取付装置により桁用手摺を立設したとき、水平フレームの内側面に沿って近接配置され、前記妻用手摺の幅木は、前記妻用取付装置により妻用手摺を立設したとき、先端妻縁部に沿って近接配置されるように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、下層の階段ユニット6Lと上層の階段ユニット6Uを相互に進行方向を折り返し方向に向けて連設し、下層の階段ユニットの上側床板12に上層の階段ユニットの下側床板11を並設するだけで踊り場19が形成される利点があり、踊り場の縁部を三方から囲む桁用手摺20と妻用手摺21を取付ける構成とされているので、作業者の昇降時の安全を確保することができる。
【0016】
特に、下層の階段ユニット6Lの上側床板12と上層の階段ユニット6Uの下側床板11は、同一構成の共通部材であるにも関わらず、踊り場19を三方から囲むための桁用手摺20、20と妻用手摺21、21を好適に取付けることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の1例に関して、仮設構築体と共に構築された階段装置を示す斜視図である。
【
図2】階段装置において階段ユニットが連設された状態を示す側面図である。
【
図4】階段装置に手摺が取付けられた状態を示す側面図である。
【
図5】階段ユニットの正面側を示しており、下側床板及び上側床板並びに踏板を分離した状態を示す斜視図である。
【
図6】階段ユニットに関して、(A)は正面側を示す斜視図、(B)は矢印F2方向から見た正面図である。
【
図7】階段ユニットの背面側を示しており、下側床板及び上側床板並びに踏板を分離した状態を示す斜視図である。
【
図8】階段ユニットに関して、(A)は背面側を示す斜視図、(B)は矢印F3方向から見た背面図である。
【
図9】下層の階段ユニットと上層の階段ユニットが連設された状態を示す斜視図である。
【
図10】下層の階段ユニットに対して、傾斜用手摺並びに桁用手摺及び妻用手摺を取付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図11】下層の階段ユニットに対して、傾斜用手摺並びに桁用手摺及び妻用手摺を取付けた状態を示す斜視図である。
【
図12】踊り場に対して、桁用手摺及び妻用手摺を取付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図13】踊り場に対して、桁用手摺及び妻用手摺を取付けた状態を示す斜視図である。
【
図14】下側床板及び上側床板を構成する床板を示しており、(A)は平面図、(B)は斜視図、(C)は桁用取付装置及び妻用取付装置を構成する支持手段を示す斜視図である。
【
図15】踊り場に関して、桁用取付装置及び妻用取付装置と、桁用手摺及び妻用手摺の関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0019】
(全体構成)
図1は、建築現場の構築体に配設された受梁を介して吊り下げられる仮設吊り階段を例示している。この場合、階段を支持するための骨組を有するタワーを構成する仮設構築体1が構築されており、矩形平面の四隅に位置する支柱2を上下方向に所定間隔をあけて相互に水平部材3により連結し、上下に離間する水平部材3の間に先行手摺4を設けることにより構築されている。そして、仮設構築体1の内部に階段装置5が設けられている。
【0020】
このような仮設吊り階段の仮設構築体1は、従来は、専用の構築部材を使用することにより構築されていたが、図示実施形態においては、公知の楔緊結式足場構築体のために使用される構成部材を利用することにより構築されている。即ち、図示のように、支柱2は、軸方向に間隔をあけてフランジ等の緊結金具を固設した仮設足場構築用の支柱が使用されている。また、水平部材3は、両端の連結部を楔片の打込みにより緊結金具に緊結される仮設足場構築用の水平部材が使用されている。更に、先行手摺4は、斜材の上下端部を上下に配置された緊結金具に連結される仮設足場構築用の先行手摺が使用されている。
【0021】
従って、図示実施形態の構成によれば、仮設構築体1は、従来のような専用部材を多用する必要はなく、主として仮設足場構築用の部材を利用することにより、構築することができる利点がある。
【0022】
しかしながら、本発明の仮設構築体1は、図示実施形態に限定されるものではなく、仮設足場用の構成部材を利用することにより構築される種々の構築体を含むものであり、例えば仮設足場それ自体を仮設構築体1として、その内部に階段装置5を設けたものとしても良い。
【0023】
(階段ユニット)
図1ないし
図4に示すように、階段装置5は、前記水平部材3に搭載される階段ユニット6を上下方向に延長するように連設することにより構築される。図例の場合、前記タワーの内部において、下層の階段ユニットと上層の階段ユニットを相互に進行方向(作業者の昇降方向)を折り返し方向に向けて連設することにより構築されている。
【0024】
図5ないし
図8に示すように、階段ユニット6は、左右一対の傾斜フレーム7L、7Rの長手方向の下側端部から、下側水平フレーム8L、8Rを延設すると共に、上側端部から、上側水平フレーム9L、9Rを延設し、傾斜フレーム7L、7Rの長手方向に所定間隔をあけて踏板10を架設することにより階段部を構成し、下側水平フレーム8L、8Rに下側床板11を架設すると共に、上側水平フレーム9L、9Rに上側床板12を架設することにより、一体化された剛体構造物を構成している。
【0025】
この際、図示のように、踏板10の近傍において、傾斜フレーム7L、7Rを補強連結材13により連結することが好ましく、これにより、階段ユニット6の剛性が向上するだけでなく、作業者の足が踏板を通過しようとするとき、足を受け止めて踏み外しを防止することができる。
【0026】
(傾斜用手摺)
前記傾斜フレーム7L、7Rは、傾斜した階段部の両側に沿う傾斜用手摺14(
図4、
図10及び
図11参照)を立設するための傾斜用取付装置15を設けている。
【0027】
傾斜用手摺14は、傾斜した階段部の長手方向に離間して配置された柱部14a、14aを設けている。これに対して、傾斜用取付装置15は、前記傾斜フレーム7L、7Rの長手方向に所定間隔をあけてそれぞれのフレームの内側面に固設された筒材から成る一対の傾斜用支持手段16、16により構成されている。
【0028】
これにより、傾斜用手摺14は、柱部14a、14aを傾斜用支持手段16、16に挿着することにより、傾斜用取付装置15に取付けられる。これにより、前記傾斜フレーム7L、7Rの内側面から傾斜用手摺14、14が起立した状態で取付けられる。尚、図示のように、傾斜用支持手段16に螺挿される蝶ボルト等の締結部材を設けることにより、柱部14aを傾斜用支持手段16から抜け止め状態として固定する固定手段を構成することが好ましい。
【0029】
(階段装置と踊り場)
前記下側水平フレーム8L、8Rの先端部と上側水平フレーム9L、9Rの先端部には、それぞれ、フック部材17、18が固設されている。そこで、階段ユニット6は、仮設構築体1において、上下に高さが相違する位置で対向配置された水平部材3、3に対して、前記フック部材17、18を抱持した状態で係止することにより搭載される。
【0030】
図9に示すように、階段装置は、下層の階段ユニット6Lと上層の階段ユニット6Uを相互に進行方向(作業者の昇降方向)を折り返し方向に向けて連設することにより構築されており、下層の階段ユニット6Lの上側床板12に上層の階段ユニット6Uの下側床板11を並設することにより踊り場19を形成している。
【0031】
そこで、各階段ユニット6は、傾斜フレーム7L、7Rには、傾斜用手摺14、14が取付けられ、踊り場19には、縁部を三方から囲む桁用手摺20と妻用手摺21が取付けられる。傾斜用手摺14の取付方法は、上述したとおりである。
【0032】
図10及び
図11は、最下層の階段ユニット6LMを示している。最下層の階段ユニット6LMは、下側床板11により踊り場19が形成されないので、下側床板11の両側に桁用手摺20、20を取付けている。尚、図示省略しているが、同様に、最上層の階段ユニットは、上側床板12の両側に桁用手摺20、20が取付けられる。
【0033】
図12ないし
図16に示すように、並設された状態で踊り場19を構成する上側床板12及び下側床板11は、それぞれ水平フレーム9L、9R、8L、8R、の先端側に臨む縁部により先端妻縁部22を備え、反対の基端側に臨む縁部により基端妻縁部23を備えており、水平フレームに沿う両側の縁部により桁側縁部24L、24Rを備えている。
【0034】
そして、上側床板12の図示右側の桁側縁部24Rと、下側床板11の図示左側の桁側縁部24Lには、桁用手摺20、20が取付けられ、両床板12、11の先端妻縁部22、22には、妻用手摺21、21が取付けられる。これにより、踊り場19は、周囲の三方が桁用手摺20、20と妻用手摺21、21により囲まれる。
【0035】
桁用手摺20は、所定間隔をあけて配置された一対の柱部20a、20aを備えており、下端近傍で柱部20a、20aの間の空間を塞ぐ幅木20bを設けている。
【0036】
同様に、妻用手摺21は、所定間隔をあけて配置された一対の柱部21a、21aを備えており、下端近傍で柱部21a、21aの間の空間を塞ぐ幅木21bを設けている。
【0037】
尚、前記桁用手摺20の柱部20a、20aと、妻用手摺21の柱部21a、21aは、外径を同一としたパイプ材により形成されている。
【0038】
そこで、上側床板12及び下側床板11には、それぞれ、桁用手摺20の柱部20a、20aを取付けるための桁用取付装置25と、妻用手摺21の柱部21a、21aを取付けるための妻用取付装置26が設けられている。
【0039】
この際、上側床板12と下側床板11は、桁用取付装置25及び妻面取付装置26を含んで構造及び形状を同一構成とすることが望ましい。つまり、共通部材ないし共通部品として、階段ユニット6の下側床板11と上側床板12の何れにも共通使用可能となるように構成するのが良い。
【0040】
このため、上側床板12及び下側床板11(以下、単に「床板」という場合がある。)は、
図14及び
図15に示すように構成されている。
【0041】
床板は、上述の踏板10を利用することが好ましく、先端側の踏板10Aと基端側の踏板10Bを近接配置することにより形成される。
【0042】
前記桁用取付装置25は、桁側縁部24L、24Rに近接する位置でそれぞれ先端妻縁部22と基端妻縁部23に固設された一対の桁用支持手段25a、25bにより構成されており、図示右側の桁側縁部24Rに近接して設けられた第1桁用取付装置25Rと、図示左側の桁側縁部24Lに近接して設けられた第2桁用取付装置25Lが設けられている。
【0043】
この際、第1桁用取付装置25Rにおける桁用支持手段25a、25bの間隔L1と、第2桁用取付装置25Lにおける桁用支持手段25a、25bの間隔L2は、相互に等しく、前記桁用手摺20の柱部20a、20aの間隔に等しくなるように形成されており、これにより、柱部20a、20aを挿着できるように構成されている。
【0044】
前記妻用取付装置26は、第1桁用取付装置25Rと第2桁用取付装置25Lを構成する桁用支持手段のうち先端妻縁部22に固設された一対の桁用支持手段25a、25aの間に位置して、該先端妻縁部22に第1妻用支持手段26aと第2妻用支持手段26bを固設することにより形成されており、一対の妻用支持手段26a、26bを一対の桁用支持手段25a、25aと組み合わせることにより、妻用手摺21の柱部21a、21aを挿着可能とするように構成されている。
【0045】
具体的には、前記第1妻用支持手段26aと前記第1桁用取付装置25Rの桁用支持手段25aの間隔W1は、妻用手摺21の柱部21a、21aの間隔に等しく形成され、これにより、妻用手摺21を取付可能とする第1妻用取付装置26Rが構成されている。
【0046】
その一方で、前記第2妻用支持手段26bと前記第2桁用取付装置25Lの桁用支持手段25aの間隔W2は、妻用手摺21の柱部21a、21aの間隔に等しく形成され、これにより、妻用手摺21を取付可能とする第2妻用取付装置26Lが構成されている。
【0047】
図14(A)に示すように、床板に設けられた桁用取付装置25及び妻面取付装置26の構成は、床板の中心線Cに対して左右線対称に形成されており、これにより、下側床板11と上側床板12の何れにも共通使用可能となるように構成されている。
【0048】
ところで、前記桁用取付装置25を構成する桁用支持手段25a、25b、妻用取付装置26を構成する妻用支持手段25a、25bは柱部20a、21aを装着可能とする筒材により形成されており、その際、図示のように、筒材に螺挿される蝶ボルト等の締結部材を設けることにより、柱部を抜け止め固定する固定手段を構成することが好ましい。
【0049】
図14(C)に示すように、床板の先端妻縁部22を形成する先端側の踏板10Aに固設される桁用支持手段25a、25aと妻用支持手段25a、25bは、予め補強材27aの上に溶接等で固着することによりユニットを構成し、各支持手段に設けたアーム状のブラケット28を介して踏板10Aの下面に固設するように構成することが好ましい。
【0050】
同様に、床板の基端妻縁部23を形成する基端側の踏板10Bに固設される桁用支持手段25b、25bは、予め補強材27bの上に溶接等で固着することによりユニットを構成し、各支持手段に設けたアーム状のブラケット28を介して踏板10Bの下面に固設するように構成することが好ましい。
【0051】
このようにユニット化した状態で床板に固設することにより、各支持手段の間における前記間隔L1、L2、W1、W2の寸法精度を高く保持した桁用取付装置25及び妻面取付装置26が提供される。
【0052】
上記の構成により、
図15に示すように、下層の階段ユニット6Lの上側床板12と上層の階段ユニット6Uの下側床板11は、同一構成の共通部材であるにも関わらず、踊り場19を三方から囲むように桁用手摺20、20と妻用手摺21、21を好適に取付けることができる。
【0053】
即ち、上側床板12は、第1桁用取付装置25Rにより桁用手摺20が取付けられ、第2妻用取付装置26Lにより妻用手摺21が取付けられる。
【0054】
また、下側床板11は、第2桁用取付装置25Lにより桁用手摺20が取付けられ、第1妻用取付装置26Rにより妻用手摺21が取付けられる。
【0055】
そして、取付け後の状態において、桁用手摺20の幅木20bが水平フレームの内側面に沿って近接配置され、妻用手摺21の幅木21bが先端妻縁部22に沿って近接配置されるので、作業者が踊り場19から足を踏み外すような危険はない。
【符号の説明】
【0056】
1 仮設構築体
2 支柱
3 水平部材
4 先行手摺
5 階段装置
6 階段ユニット
6L 下層の階段ユニット
6LM 最下層の階段ユニット
6U 上層の階段ユニット
7L、7R 傾斜フレーム
8L、8R 下側水平フレーム
9L、9R 上側水平フレーム
10 踏板
11 下側床板
12 上側床板
13 補強連結材
14 傾斜用手摺
14a 柱部
15 傾斜用取付装置
16 傾斜用支持手段
17、18 フック部材
19 踊り場
20 桁用手摺
20a 柱部
20b 幅木
21 妻用手摺
21a 柱部
21b 幅木
22 先端妻縁部
23 基端妻縁部
24L、24R 桁側縁部
25 桁用取付装置
25a、25b 桁用支持手段
25R 第1桁用取付装置
25L 第2桁用取付装置
26 妻用取付装置
26a 第1妻用支持手段
26b 第2妻用支持手段
26R 第1妻用取付装置
26L 第2妻用取付装置
27a、27b 補強材
28 ブラケット