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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171979
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ダンパー部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/36 20060101AFI20241205BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20241205BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20241205BHJP
   G06F 3/01 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
F16F1/36 B
B06B1/04 S
F16F15/04 Z
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089370
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】巣山 宏人
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
5D107
5E555
【Fターム(参考)】
3J048AA06
3J048AD16
3J048BD08
3J048DA03
3J048EA08
3J059AD04
3J059BA64
3J059BC07
3J059BD01
3J059CB09
3J059EA03
5D107CC09
5D107CC10
5D107FF10
5E555AA08
5E555BA01
5E555BA20
5E555BB01
5E555BB20
5E555BC04
5E555DA24
5E555DD06
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】アクチュエータのダンパー部材を製造するために使用できる粘弾性体およびシートの種類の選択の自由度を高める。
【解決手段】アクチュエータ1の支持体2と可動体6とを接続するダンパー部材9は、粘弾性体90の一方面に第1シート91を接合し、他方面に第2シート92を接合した部材である。ダンパー部材9の製造方法は、第1シート91と第2シート92との間に、充填口985を残して第1シート91と第2シート92との間の空隙988の周りを囲む枠状のスペーサ98を介在させる組立工程ST1と、充填口985から空隙988に成形材料95を充填する充填工程ST2と、成形材料95を硬化させる硬化工程ST3と、を行う。充填工程ST2を行う間、スペーサ98に設けられた第1電極E1と第2電極E2によって第1シート91および第2シート92に電圧を印加する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と可動体とを接続するダンパー部材の製造方法であって、
前記ダンパー部材は、粘弾性体と、前記粘弾性体の一方面に接合されるとともに前記支持体と前記可動体の一方に接続される第1シートと、前記粘弾性体の他方面に接合されるとともに前記支持体と前記可動体の他方に接続される第2シートと、を備え、
前記第1シートと前記第2シートとの間に、充填口を残して前記第1シートと前記第2シートとの間の空隙の周りを囲む枠状のスペーサを介在させる組立工程と、
前記充填口から前記空隙に前記粘弾性体を成形するための成形材料を充填する充填工程と、
前記成形材料を硬化させる硬化工程と、を行い、
前記充填工程を行う間、前記第1シートの一端部および前記第2シートの一端部に接触する第1電極と、前記第1シートの他端部および前記第2シートの他端部に接触し且つ前記第1電極と絶縁された第2電極との間に電圧を印加することを特徴とするダンパー部材の製造方法。
【請求項2】
前記硬化工程を行う間、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載のダンパー部材の製造方法。
【請求項3】
前記第1電極および前記第2電極は、前記スペーサに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダンパー部材の製造方法。
【請求項4】
前記スペーサは、前記第1シートおよび前記第2シートに沿う方向で前記空隙を挟んで対向する第1枠部および第2枠部と、前記第1枠部と前記第2枠部の端部同士を接続する第3枠部と、を備え、
前記第1枠部に前記第1電極が設けられ、
前記第2枠部に前記第2電極が設けられ、
前記第3枠部は、絶縁体からなることを特徴とする請求項3に記載のダンパー部材の製造方法。
【請求項5】
前記組立工程では、表面に前記第1シートを配置した第1型部材と、表面に前記第2シートを配置した第2型部材との間に前記スペーサを挟むことを特徴とする請求項1に記載のダンパー部材の製造方法。
【請求項6】
前記成形材料の硬化後に、前記第1型部材、前記第2型部材、および前記スペーサを取り外す離型工程と、前記第1シートおよび前記第2シートごと前記粘弾性体を切断する切断工程と、を行うことを特徴とする請求項5に記載のダンパー部材の製造方法。
【請求項7】
前記粘弾性体は、シリコーンゴムからなることを特徴とする請求項1に記載のダンパー部材の製造方法。
【請求項8】
支持体と可動体とを接続するダンパー部材の製造方法であって、
前記ダンパー部材は、粘弾性体と、前記粘弾性体の一方面に接合されるとともに前記支持体と前記可動体の一方に接続される第1シートと、を備え、
前記第1シートを内面に配置した成形型を組み立てる組立工程と、
前記成形型に前記粘弾性体を成形するための成形材料を充填する充填工程と、
前記成形材料を硬化させる硬化工程と、を行い、
前記充填工程および前記硬化工程の少なくとも一部を行う間、前記第1シートの一端部に接触する第1電極と、前記第1シートの他端部に接触し且つ前記第1電極と絶縁された第2電極との間に電圧を印加することを特徴とするダンパー部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を支持体に接続するダンパー部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁気駆動機構によって振動を発生させる機器として、コイルが配置される支持体と、永久磁石が配置される可動体とをダンパー部材を介して接続したアクチュエータが記載される。ダンパー部材としては、シリコーンゲルなどの粘弾性体が使用される。シリコーンゲルは、それ自身が吸着性を有するため、取り扱いが難しい。そこで、特許文献1には、シリコーンゲルの表面に薄いシートを接合したものを製造し、シートを介して粘弾性体を可動体および支持体に接続する構成が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-45996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ダンパー部材の表面に配置するシートとシリコーンゲルなどの粘弾性体とをプライマーを介して接着する。そのため、使用できるシートおよび粘弾性体は、プライマーを介して接着できる材質のものに限定され、使用できるシートおよび粘弾性体の種類が限定されるという問題がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、ダンパー部材を製造するために使用できる粘弾性体およびシートの種類の選択の自由度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、支持体と可動体とを接続するダンパー部材の製造方法であって、前記ダンパー部材は、粘弾性体と、前記粘弾性体の一方面に接合されるとともに前記支持体と前記可動体の一方に接続される第1シートと、前記粘弾性体の他方面に接合されるとともに前記支持体と前記可動体の他方に接続される第2シートと、を備え、前記第1シートと前記第2シートとの間に、充填口を残して前記第1シートと前記第2シートとの間の空隙の周りを囲む枠状のスペーサを介在させる組立工程と、前記充填口から前記空隙に前記粘弾性体を成形するための成形材料を充填する充填工程と、前記成形材料を硬化させる硬化工程と、を行い、前記充填工程を行う間、前記第1シートの一端部および前記第2シートの一端部に接触する第1電極と、前記第1シートの他端部および前記第2シートの他端部に接触し且つ前記第1電極と絶縁された第2電極との間に電圧を印加することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、2枚のシートの間に成形材料を充填し、硬化させることにより、粘弾性体の両面にシートが接合されたダンパー部材を製造する。その際、2枚のシートを互いに絶縁された一対の電極に接触させて電極間に電圧を印加させる。このようにすると、シートに印加された電圧によってシートの表面に極性基(-COOH、-NHなど)が発生する。極性基は、成形材料に含まれる反応基(-OHなど)と反応して化学結合を形成するので、シートにプライマーを塗布しなくても、硬化した粘弾性体とシートとが直接接合されて粘弾性体からシートが剥がれなくなる。従って、プライマーが不要であり、シートと粘弾性体の種類をプライマーと相性の良い種類のものに限定する必要がない。よって、ダンパー部材を製造するために使用できる粘弾性体およびシートの種類の選択の自由度を
高めることができる。
【0008】
本発明において、前記硬化工程を行う間、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することが好ましい。このように、充填工程だけでなく硬化工程の間も電圧を印加することにより、シートの表面における極性基の形成、および、反応基と極性基との化学結合を硬化工程の間も促進できる。従って、極性基の形成が不足して粘弾性体とシートとの接合強度が不足することを回避できる。
【0009】
本発明において、前記第1電極および前記第2電極は、前記スペーサに設けられていることが好ましい。例えば、前記スペーサは、前記第1シートおよび前記第2シートに沿う方向で前記空隙を挟んで対向する第1枠部および第2枠部と、前記第1枠部と前記第2枠部の端部同士を接続する第3枠部と、を備え、前記第1枠部に前記第1電極が設けられ、前記第2枠部に前記第2電極が設けられ、前記第3枠部は、絶縁体からなることが好ましい。このように、成形用の型部材として使用されるスペーサに電極を設けることにより、シートに接する電極を容易に設置することができる。また、成形用の空隙を挟んで対向するように電極を設置することができ、成形材料に接するシート全体に電圧を印加することができる。従って、粘弾性体の表面の大部分にシートを剥がれないように接合することができる。
【0010】
本発明において、前記組立工程では、表面に前記第1シートを配置した第1型部材と、表面に前記第2シートを配置した第2型部材との間に前記スペーサを挟むことが好ましい。このようにすると、可撓性のシートを型部材により支持できるので、決まった寸法の空隙を形成することができる。従って、粘弾性体を決まった厚さに成形して、その表面に薄いシートを接合したダンパー部材を製造できる。
【0011】
本発明において、前記成形材料の硬化後に、前記第1型部材、前記第2型部材、および前記スペーサを取り外す離型工程と、前記第1シートおよび前記第2シートごと前記粘弾性体を切断する切断工程と、を行うことが好ましい。このように、大型のシートの間に粘弾性体を成形した後に切断することにより、多数のダンパー部材を効率的に製造することができる。
【0012】
本発明において、前記粘弾性体は、シリコーンゴムからなることが好ましい。シリコーンゴムは反応基を備えた成形材料(ゴム材料)から成形されるので、極性基が形成されたシートに直接接合することができる。また、シリコーンゴムは、ダンパー部材として用いた場合に共振を抑制するために適した特性を備えている。
【0013】
本発明の別態様は、支持体と可動体とを接続するダンパー部材の製造方法であって、前記ダンパー部材は、粘弾性体と、前記粘弾性体の一方面に接合されるとともに前記支持体と前記可動体の一方に接続される第1シートと、を備え、前記第1シートを内面に配置した成形型を組み立てる組立工程と、前記成形型に前記粘弾性体を成形するための成形材料を充填する充填工程と、前記成形材料を硬化させる硬化工程と、を行い、前記充填工程および前記硬化工程の少なくとも一部を行う間、前記第1シートの一端部に接触する第1電極と、前記第1シートの他端部に接触し且つ前記第1電極と絶縁された第2電極との間に電圧を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、成形時に成形材料に接するシートを互いに絶縁された一対の電極に接触させて電極間に電圧を印加させる。このようにすると、シートに印加された電圧によってシートの表面に極性基(-COOH、-NHなど)が発生する。極性基は、成形材料に含まれる反応基(-OH)と反応して化学結合を形成するので、シートにプライマーを塗
布しなくても、硬化した粘弾性体とシートとが直接接合されて粘弾性体からシートが剥がれなくなる。従って、プライマーが不要であり、シートと粘弾性体の種類をプライマーと相性の良い種類のものに限定する必要がない。よって、ダンパー部材を製造するために使用できる粘弾性体およびシートの種類の選択の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】アクチュエータの外観斜視図である。
図2】アクチュエータのYZ断面図である。
図3】アクチュエータの分解斜視図である。
図4】ケースを取り外したアクチュエータの分解斜視図である。
図5】ケースを取り外した支持体の分解斜視図である。
図6】ダンパー部材の斜視図である。
図7】ダンパー部材の製造装置の説明図である。
図8】ダンパー部材の製造工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るダンパー部材の製造方法を説明する。
【0017】
(アクチュエータ)
図1図5を参照して、ダンパー部材9を備えたアクチュエータ1の構成を説明する。図1は、アクチュエータ1の外観斜視図である。図2は、アクチュエータ1のYZ断面図である。図3は、アクチュエータ1の分解斜視図である。図4は、ケース3を取り外したアクチュエータ1の分解斜視図である。図5は、ケース3を取り外した支持体2の分解斜視図である。アクチュエータ1は、ケース3を備える支持体2と、可動体6と、支持体2と可動体6とを接続するダンパー部材9と、磁気駆動機構10とを備える。可動体6は、ダンパー部材9を介して支持体2に支持される。
【0018】
本明細書において、第1方向Z、第2方向X、第3方向Yの3方向は互いに直交する方向である。第2方向Xは、可動体6の移動方向(振動方向)と一致する。第2方向Xの一方側をX1方向とし、第2方向Xの他方側をX2方向とし、第1方向Zの一方側をZ1方向とし、第1方向Zの他方側をZ2方向とし、第3方向Yの一方側をY1方向とし、第3方向Yの他方側をY2方向とする。
【0019】
図1に示すように、アクチュエータ1は、第3方向Yに長手方向を向けた直方体形状である。図2に示すように、可動体6は、ケース3の内部に収容され、支持体2に対して第2方向Xに振動する。アクチュエータ1を手にした利用者は、ダンパー部材9および支持体2を介して可動体6の振動に対応する反力を受ける。従って、アクチュエータ1は、可動体6を振動させることによって情報を出力することができ、利用者に新たな感覚を体感させることができる。アクチュエータ1は、例えば、ゲーム機の操作部材等として利用される。
【0020】
支持体2は、ケース3、コイルホルダ4、コイル5、および給電基板11を備える。図5に示すように、コイル5は、長円形の空芯コイルであり、コイルホルダ4に形成されたコイル配置孔410に保持される。図1および図3に示すように、支持体2において、ケース3は、コイルホルダ4にZ1方向から重なる第1ケース部材31と、コイルホルダ4にZ2方向から重なる第2ケース部材32を備える。第1ケース部材31の第2方向Xの両側に設けられた一対の側板部311に、第2ケース部材32の第2方向Xの両側に設けられた一対の側板部321が各々、連結されてケース3を構成する。
【0021】
図2に示すように、可動体6は、コイル5に対してZ1方向に位置する磁性板からなる
第1ヨーク81と、第1ヨーク81のZ2方向の面に保持された平板状の第1永久磁石71とを備える。また、可動体6は、コイル5に対してZ2方向に位置する磁性板からなる第2ヨーク82と、第2ヨーク82のZ1方向の面に保持された平板状の第2永久磁石72とを備える。
【0022】
図3および図4に示すように、第1ヨーク81は、第1永久磁石71が固定された平板部811と、平板部811の第2方向Xの両端からZ2方向に折れ曲がった一対の連結部812を備える。一対の連結部812は、コイル5が保持されるコイルホルダ4の板部41の第2方向Xの両側において第1方向Zに延びる。第2ヨーク82は、第2永久磁石72が固定された平板部821と、平板部821の第3方向Yの中間部分から第2方向Xの両側に張り出した一対の張り出し部822を備える。一対の張り出し部822には、第1ヨーク81の一対の連結部812が溶接等の方法で連結される。
【0023】
支持体2に配置されるコイル5および可動体6に配置される永久磁石(第1永久磁石71および第2永久磁石72)は、可動体6を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構10を構成する。なお、本形態のアクチュエータ1は、上記のようにコイル5が支持体2に配置され、永久磁石が可動体6に配置されるが、コイル5と永久磁石の配置は逆であってもよい。
【0024】
第1永久磁石71および第2永久磁石72は各々、Z1方向の部分とZ2方向の部分が異なる極に着磁される。図5に示すように、コイル5は、第2方向Xで並列して第3方向Yに延在する2つの長辺部51と、2つの長辺部51の第3方向Yの両端を繋ぐ円弧状の2つの短辺部52とを備える。コイル5の長辺部51には、Z1方向から第1ヨーク81に保持された第1永久磁石71が対向し、Z2方向から第2ヨーク82に保持された第2永久磁石72が対向する。従って、磁気駆動機構10は、可動体6を第2方向Xに振動させる駆動力を発生させる。
【0025】
図5に示すように、コイルホルダ4は、コイル配置孔410が形成された板部41を備える。板部41は、第2方向Xの両側の縁における第3方向Yの中央部分を第2方向Xの中央に向かって切り欠いた一対の切欠き部42を備える。各切欠き部42には、ヨークの連結部812が配置される(図3参照)。
【0026】
一対の切欠き部42のY1方向において、板部41のY1方向の端部411の外周縁からは、第2方向Xに延びる側板部413と、側板部413の両端に接続され第3方向Yに延びる側板部414、415が第1方向Zに突出する。また、切欠き部42のY2方向において、板部41のY2方向の端部412の外周縁からは、第2方向Xに延びる側板部417と、側板部417の両端に接続され第3方向Yに延びる側板部418、419が第1方向Zに突出する。
【0027】
側板部414、415の内面には、第1方向Zに延在する溝状の凹部414s、415sが形成されている。同様に、側板部418、419の内面には、第1方向Zに延在する溝状の凹部418s、419sが形成されている。凹部414s、415sと凹部418s、419sは、それぞれ、板部41に対してZ1方向およびZ2方向に位置する内面にそれぞれ形成されている。
【0028】
給電基板11は、側板部414、415のY1方向の端部に形成されたスリット414t、415tに第2方向Xの両端部が挿入されることにより、コイルホルダ4のY1方向の側面に保持される。給電基板11には、コイル5を構成するコイル線の端部56、57(図5参照)がハンダにより接続される。
【0029】
図2図4、および図5に示すように、支持体2は、コイル5および板部41にZ1方向から重なる第1プレート47と、コイル5および板部41にZ2方向から重なる第2プレート48を備える。コイル5の空芯部50に充填された接着剤によって、コイル5は、第1プレート47、第2プレート48、および板部41に固定される。第1プレート47および第2プレート48は、非磁性材料からなる。例えば、第1プレート47および第2プレート48は、非磁性のステンレンス板からなる。従って、永久磁石の磁束は、第1プレート47および第2プレート48の影響を受けずに、コイル5と鎖交する。
【0030】
第1プレート47は、第2方向Xの両端からZ1方向に斜めに突出した爪部470を備える。爪部470は、側板部414、415、418、419に形成された溝状の凹部414s、415s、418s、419sの内部に弾性をもって当接し、コイルホルダ4に保持される。第2プレート48は、第2方向Xの両端からZ2方向に斜めに突出した爪部480を備える。爪部480は、側板部414、415、418、419に形成された溝状の凹部414s、415s、418s、419sの内部に弾性をもって当接し、コイルホルダ4に保持される。
【0031】
(ダンパー部材)
図6は、ダンパー部材9の斜視図である。図2図6に示すように、ダンパー部材9は、粘弾性体90と、粘弾性体90の一方側の面に接合された第1シート91と、粘弾性体90の他方側の面に接合された第2シート92を備える。図2に示すように、ダンパー部材9は、第1シート91が可動体6に接し、第2シート92が支持体2に接する。第1シート91が可動体6に接着され、第2シート92が支持体2に接着されることにより、ダンパー部材9を介して可動体6と支持体2とが接続される。
【0032】
図2に示すように、本形態では、ダンパー部材9は、第1ヨーク81と第1プレート47とが第1方向Zで対向する位置に配置される。また、ダンパー部材9は、第2ヨーク82と第2プレート48とが第1方向Zで対向する位置に配置される。本形態において、ダンパー部材9は、第1方向Zを厚さ方向とする平板状であり、厚さ方向の一方側の面に第1シート91が配置され、厚さ方向の他方側の面に第2シート92が配置される。ダンパー部材9は、粘弾性体90が厚さ方向に圧縮された状態で可動体6と支持体2との間に配置される。
【0033】
ここで、粘弾性とは、粘性と弾性の両方を備えた性質のことであり、ゲル状部材、プラスチック、ゴム等の高分子物質に顕著に見られる性質である。従って、粘弾性体90として、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。
【0034】
本形態では、粘弾性体90は、フッ素重合型のシリコーンゴムである。あるいは、粘弾性体90として、シリコーンゲルなどのゲル状部材を用いてもよい。この場合、例えば、針入度が90度から110度のシリコーンゴムやシリコーンゲルを用いることができる。針入度とは、JIS-K-2207やJIS-K-2220で規定されているように、25℃で9.38gの総荷重をかけた1/4コーンの針が5秒間に入り込む深さを1/10mm単位で表わした値であり、この値が小さいほど硬いことを意味する。
【0035】
第1シート91および第2シート92は、粘弾性体90より薄いフィルム状のシートであり、可撓性を有する。第1シート91および第2シート92は各々、プラスチックシート、金属シート、金属シートとプラスチックシートとの積層シート等からなる。プラスチ
ックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリル樹脂等からなるシートを用いることができる。
【0036】
第1シート91および第2シート92は、後述する化学結合によって粘弾性体90に接合される。第1シート91および第2シート92は、粘弾性体90と一緒に切断されることにより、可動体6と支持体2とが対向する箇所に配置可能な大きさに切断される。従って、第1シート91および第2シート92は、粘弾性体90とサイズが同一または略同一である。
【0037】
(アクチュエータの動作)
アクチュエータ1において、給電基板11を介してコイル5に給電すると、コイル5、第1永久磁石71および第2永久磁石72を備えた磁気駆動機構10の駆動力によって、可動体6が第2方向Xに往復移動する。アクチュエータ1を手に持つ利用者は、アクチュエータ1からの振動に応じた感覚を体感でき、振動から情報を得ることができる。
【0038】
その際、コイル5に印加される駆動信号の信号波形については、利用者に体感させるべき振動に応じて周波数などを制御する。また、信号波形については極性を反転させるが、その際、極性が負の期間と正の期間とにおいて電圧の変化に対して緩急の差を設けることもできる。例えば、可動体6がX1に移動する際の加速度と可動体6が第2方向Xの他方側X2に移動する際の加速度とを異ならせる。これにより、X1方向あるいはX2方向に移動するような感覚を利用者に体感させることができる。
【0039】
ダンパー部材9は、支持体2と可動体6とが可動体6の振動方向と直交する第1方向Zで対向する位置に配置される。従って、可動体6が第2方向Xに振動した際、粘弾性体90は、せん断方向に変形して共振を防止する。本形態では、粘弾性体90は圧縮された状態で可動体6と支持体2との間に介在するので、可動体6の移動に確実に追従する。
【0040】
粘弾性体90は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、粘弾性体90は、その厚さ方向に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。従って、粘弾性体90では、可動体6が第2方向Xに振動した際、運動方向によるバネ力が一定となる。それ故、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上することができるので、微妙なニュアンスをもって振動を実現することができる。
【0041】
(ダンパー部材の製造方法)
図7は、ダンパー部材9の製造に用いる製造装置の説明図である。図8は、ダンパー部材9の製造工程の説明図である。なお、ダンパー部材9を製造する際には、アクチュエータ1に組み込まれるサイズで製造することがある他、アクチュエータ1に組み込まれるサイズより大きなサイズで製造し、その後、裁断することもある。以下の説明では、後者の態様(アクチュエータ1に組み込まれるサイズに切断する態様)を説明するが、サイズに係わらず、「ダンパー部材9」「第1シート91」「第2シート92」「粘弾性体90」として説明する。
【0042】
図7および図8に示すように、ダンパー部材9の製造装置は、第1型部材96、スペーサ98、および第2型部材97を備える。第1型部材96および第2型部材97は、ガラス板等からなり、平板状である。スペーサ98は枠状であり、所定の間隔を空けて配置される第1枠部981および第2枠部982と、第1枠部981と第2枠部982の端部同士を接続する第3枠部983を備える。図7に示す例では、第1枠部981と第2枠部9
82は直線状であり、平行に延びている。第3枠部983は、第1枠部981および第2枠部982と直交する方向に延びている。
【0043】
ダンパー部材9の製造装置は、第1シート91および第2シート92の一端に接触する第1電極E1と、第1シート91および第2シート92の他端に接触し且つ第1電極E1と絶縁された第2電極E2を備える。第1電極E1および第2電極E2は、異なる極の電源端子に接続される。
【0044】
本形態では、スペーサ98に第1電極E1および第2電極E2が設けられている。図7および図8には、第1枠部981に第1電極E1が設けられ、第2枠部982に第2電極E2が設けられ、第3枠部983は絶縁部材により構成された例を示す。例えば、第1枠部981と第2枠部982の各々において第1シート91に接する部分、および第2シート92に接する部分が金属などの導電性の材料からなるものとする。
【0045】
ダンパー部材9の製造工程は、図8に示すように、組立工程ST1、充填工程ST2、硬化工程ST3、離型工程ST4、および切断工程ST5を含む。まず、組立工程ST1において、表面960に第1シート91を配置した第1型部材96と、表面970に第2シート92を配置した第2型部材97との間にスペーサ98を挟んだ状態に組み立てる。その際、例えば、第1型部材96と第1シート91との間、および第2型部材97と第2シート92との間に、揮発性の有機溶剤を介在させる。これにより、有機溶剤の表面張力によって、第1型部材96と第1シート91とが密着し、第2型部材97と第2シート92とが密着する。
【0046】
組立工程ST1により、スペーサ98は、充填口985を残して第1シート91と第2シート92との間の空隙988の周りを囲んだ状態となる。かかる状態は、拘束部材(図示せず)等によって、第1型部材96と第2型部材97とを両側から締め付けて第1シート91と第2シート92をスペーサ98に密着させることによって維持される。図8に示すように、スペーサ98は、第3枠部93が下端に位置し、第1枠部981と第2枠部982における第3枠部983とは反対側の端部の間が上方に開口する充填口985となる。第1シート91の端部915、および第2シート92の端部925は、スペーサ98の充填口985よりも上方に延びている。
【0047】
充填工程ST2では、第1シート91の端部915および第2シート92の端部925の間から充填口985を介して空隙988に硬化前の成形材料95を充填する。しかる後に、充填口985を上板984で塞ぐ。本形態では、粘弾性体90としてシリコーンゴムを成形する。従って、成形材料95として、液状のゴム材料を空隙988に充填する。
【0048】
上記のように、本発明では、粘弾性体90として各種の材料からなるものを用いることができる。粘弾性体90としてシリコーンゲルなどのゲル状部材を成形する場合、成形材料95として、ゲル材料を空隙988に充填する。成形材料95としては、2液混合型であり、常温硬化性を有する成形材料、加熱硬化型の成形材料を用いることができる。あるいは、付加反応型、もしくは、縮合反応型の成形材料を用いることもできる。
【0049】
図8に示すように、充填工程ST2は、互いに絶縁された第1電極E1および第2電極E2を介して第1シート91および第2シート92に所定の電圧を印加しながら行う。例えば、40kHz以上の高周波、高電圧を第1シート91および第2シート92に印加しながら充填工程ST2を行う。
【0050】
硬化工程ST3では、成形材料95を硬化させ、粘弾性体90とする。成形材料95が熱硬化性の場合、第1型部材96および第2型部材97を介して成形材料95を加熱しな
がら硬化させる。成形材料95が常温硬化性の場合、加熱することなく常温で成形材料95を硬化させる。いずれの場合も、硬化工程ST3を行う間に、第1型部材96と第1シート91との間、および第2型部材97と第2シート92との間から有機溶剤が蒸発して逃げる。
【0051】
ここで、本形態では、充填工程ST2だけでなく、硬化工程ST3を行う間も、第1電極E1および第2電極E2を介して第1シート91および第2シート92に所定の電圧を印加する。第1シート91および第2シート92に上記のような高周波、高電圧を印加することにより、第1シート91および第2シート92の表面に極性基(例えば、-COOH、-NH、>C=O、-COHなど)が発生する。従って、発生した極性基と、成形材料95に含まれる反応基(例えば、-OH)との化学結合が形成され、第1シート91および第2シート92は、粘弾性体90の表面に接合される。
【0052】
離型工程ST4では、第1型部材96、第2型部材97、および上板984を取り外して、スペーサ98から粘弾性体90を取り外す。本形態において、スペーサ98において空隙988に面する部分(すなわち、成形材料95に接する部分)を4フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂からなる態様にした場合には、離型工程ST4において、粘弾性体90を容易に取り外すことができる。
【0053】
切断工程ST5では、ダンパー部材9をアクチュエータ1の可動体6と支持体2とを接続するために適した所定のサイズに裁断する。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、アクチュエータ1の支持体2と可動体6とを接続するダンパー部材9は、粘弾性体90と、粘弾性体90の一方面に接合されるとともに支持体2と可動体6の一方に接続される第1シート91と、粘弾性体90の他方面に接合されるとともに支持体2と可動体6の他方に接続される第2シート92と、を備える。本形態は、上記のダンパー部材9の製造方法であって、第1シート91と第2シート92との間に、充填口985を残して第1シート91と第2シート92との間の空隙988の周りを囲む枠状のスペーサ98を介在させる組立工程ST1と、充填口985から空隙988に粘弾性体90を成形するための成形材料95を充填する充填工程ST2と、成形材料95を硬化させる硬化工程ST3と、を行う。充填工程ST2を行う間、第1シート91の一端部および第2シート92の一端部に接触する第1電極E1と、第1シート91の他端部および第2シート92の他端部に接触し且つ第1電極E1と絶縁された第2電極E2との間に電圧を印加する。
【0055】
本形態の製造方法では、2枚のシート(第1シート91、第2シート92)の間に成形材料95を充填し、硬化させることにより、粘弾性体90の両面にシートが接合されたダンパー部材9を製造する。その際、2枚のシートを互いに絶縁された一対の電極(第1電極E1、第2電極E2)に接触させて電極間に電圧を印加させる。これにより、シートの表面に極性基(-COOH、-NHなど)が発生する。極性基は、成形材料95に含まれる反応基(-OHなど)と反応して化学結合を形成するので、シートにプライマーを塗布しなくても、硬化した粘弾性体90とシートとが直接接合されて粘弾性体90からシートが剥がれなくなる。従って、プライマーが不要であり、シートと粘弾性体90の種類をプライマーと相性の良い種類のものに限定する必要がない。よって、ダンパー部材9を製造するために使用できる粘弾性体90(第1シート91、第2シート92)およびシートの種類の選択の自由度を高めることができる。
【0056】
本形態では、充填工程ST2だけでなく硬化工程ST3の間も電圧を印加する。これにより、シートの表面における極性基の形成、および、反応基と極性基との化学結合を硬化
工程ST3の間も促進できる。従って、極性基の形成が不足して粘弾性体90とシートとの接合強度が不足することを回避できる。なお、電圧を印加する期間は、充填工程ST2の開始から硬化工程ST3の終了までの期間の一部であってもよい。
【0057】
本形態では、第1電極E1および第2電極E2は、スペーサ98に設けられている。例えば、スペーサ98は、第1シート91および第2シート92に沿う方向で空隙988を挟んで対向する第1枠部981および第2枠部982と、第1枠部981と第2枠部982の端部同士を接続する第3枠部983と、を備える枠状の部材であり、第1枠部981に第1電極E1が設けられ、第2枠部982に第2電極E2が設けられている。第3枠部983は、絶縁体からなる。このように、成形用の型部材として使用されるスペーサ98に電極を設けることにより、シートに接する電極を容易に設置することができる。また、成形用の空隙988を挟んで対向するように電極を設置できるので、成形材料95に接する第1シート91および第2シート92の全範囲に電圧を印加することができる。従って、粘弾性体90の表面の全範囲に第1シート91および第2シート92を剥がれないように接合することができる。
【0058】
本形態では、組立工程ST1では、表面に第1シート91を配置した第1型部材96と、表面に第2シート92を配置した第2型部材97との間にスペーサ98を挟む。従って、可撓性のシートを型部材により支持できるので、決まった寸法の空隙988を形成することができる。従って、粘弾性体90を決まった厚さに成形して、その表面に薄いシートを接合したダンパー部材9を製造できる。
【0059】
なお、ダンパー部材9の製造装置は、上記の形態に限定されるものではない。すなわち、第1シート91と第2シート92との間の空隙988に成形材料95を充填して硬化させることができ、その間、第1シート91と第2シート92にそれぞれ、電極を接続して、各シートの一端部と他端部との間に高周波、高電圧の電圧を印加できるものであればよい。
【0060】
本形態では、成形材料95の硬化後に、第1型部材96、第2型部材97、およびスペーサ98を取り外す離型工程ST4と、第1シート91および第2シート92ごと粘弾性体90を切断する切断工程ST5と、を行う。このように、大型のシートの間に粘弾性体90を成形した後に切断することにより、多数のダンパー部材9を効率的に製造することができる。
【0061】
本形態では、粘弾性体90は、シリコーンゴムからなる。シリコーンゴムは反応基を備えた成形材料95(ゴム材料)から成形されるので、極性基が形成されたシートに直接接合することができる。また、シリコーンゴムは、ダンパー部材9として用いた場合に共振を抑制するために適した特性を備えている。
【0062】
(他の実施形態)
本発明の実施形態としては、以下の形態を採用することができる。
(1)支持体と可動体とを接続するダンパー部材の製造方法であって、
前記ダンパー部材は、粘弾性体と、前記粘弾性体の一方面に接合されるとともに前記支持体と前記可動体の一方に接続される第1シートと、前記粘弾性体の他方面に接合されるとともに前記支持体と前記可動体の他方に接続される第2シートと、を備え、
前記第1シートと前記第2シートとの間に、充填口を残して前記第1シートと前記第2シートとの間の空隙の周りを囲む枠状のスペーサを介在させる組立工程と、
前記充填口から前記空隙に前記粘弾性体を成形するための成形材料を充填する充填工程と、
前記成形材料を硬化させる硬化工程と、を行い、
前記充填工程を行う間、前記第1シートの一端部および前記第2シートの一端部に接触する第1電極と、前記第1シートの他端部および前記第2シートの他端部に接触し且つ前記第1電極と絶縁された第2電極との間に電圧を印加することを特徴とするダンパー部材の製造方法。
【0063】
(2)前記硬化工程を行う間、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することを特徴とする上記(1)のダンパー部材の製造方法。
【0064】
(3)前記第1電極および前記第2電極は、前記スペーサに設けられていることを特徴とする上記(1)(2)のいずれかのダンパー部材の製造方法。
【0065】
(4)前記スペーサは、前記第1シートおよび前記第2シートに沿う方向で前記空隙を挟んで対向する第1枠部および第2枠部と、前記第1枠部と前記第2枠部の端部同士を接続する第3枠部と、を備え、
前記第1枠部に前記第1電極が設けられ、
前記第2枠部に前記第2電極が設けられ、
前記第3枠部は、絶縁体からなることを特徴とする上記(3)のダンパー部材の製造方法。
【0066】
(5)前記組立工程では、表面に前記第1シートを配置した第1型部材と、表面に前記第2シートを配置した第2型部材との間に前記スペーサを挟むことを特徴とする上記(1)から(4)のうちのいずれかのダンパー部材の製造方法。
【0067】
(6)前記成形材料の硬化後に、前記第1型部材、前記第2型部材、および前記スペーサを取り外す離型工程と、前記第1シートおよび前記第2シートごと前記粘弾性体を切断する切断工程と、を行うことを特徴とする上記(5)のダンパー部材の製造方法。
【0068】
(7)前記粘弾性体は、シリコーンゴムからなることを特徴とする上記(1)から(6)のうちのいずれかの記載のダンパー部材の製造方法。
【0069】
上記各形態は、粘弾性体の両面にシートを接合したダンパー部材を用いるものであったが、粘弾性体の片面にシートを接合したダンパー部材を用いることもできる。この場合でも、シートが接合された面を吸着してダンパー部材を搬送できるので、ダンパー部材の取り扱いを容易にすることができる。粘弾性体の片面(一方面)にシート(第1シート)を接合したダンパー部材の製造方法は、以下の形態(8)を採用することができる。なお、以下の形態(8)における成形型は、上記の形態における第1型部材96、第2型部材97、およびスペーサ98を用いたものであってもよく、他の形態であってもよい。
【0070】
(8)支持体と可動体とを接続するダンパー部材の製造方法であって、
前記ダンパー部材は、粘弾性体と、前記粘弾性体の一方面に接合されるとともに前記支持体と前記可動体の一方に接続される第1シートと、を備え、
前記第1シートを内面に配置した成形型を組み立てる組立工程と、
前記成形型に前記粘弾性体を成形するための成形材料を充填する充填工程と、
前記成形材料を硬化させる硬化工程と、を行い、
前記充填工程および前記硬化工程の少なくとも一部を行う間、前記第1シートの一端部に接触する第1電極と、前記第1シートの他端部に接触し且つ前記第1電極と絶縁された第2電極との間に電圧を印加することを特徴とするダンパー部材の製造方法。
【0071】
(8)の形態において、上記形態と同様に、充填工程の開始から硬化工程が終了するまでの間、電圧を印加し続けることが好ましい。また、粘弾性体は、シリコーンゴムからな
るものとすることができる。
【0072】
上記各形態において、ダンパー部材は、板状のものに限定されるものではない。例えば、円筒形の粘弾性体の内周面と外周面にシートを接合したものであってもよい。このような形態でも、高周波、高電圧をシートに印加しながら粘弾性体を硬化させてシートに接合することができる。
【符号の説明】
【0073】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…ケース、4…コイルホルダ、5…コイル、6…可動体、9…ダンパー部材、10…磁気駆動機構、11…給電基板、31…第1ケース部材、32…第2ケース部材、41…板部、42…切欠き部、47…第1プレート、48…第2プレート、50…空芯部、51…長辺部、52…短辺部、56、57…コイル線の端部、71…第1永久磁石、72…第2永久磁石、81…第1ヨーク、82…第2ヨーク、90…粘弾性体、91…第1シート、92…第2シート、95…成形材料、96…第1型部材、97…第1型部材、98…スペーサ、311…側板部、321…側板部、410…コイル配置孔、411、412…端部、413、414、415、417、418、419…側板部、414t、415t…スリット、414s、415s、418s、419s…凹部、470、480…爪部、811…平板部、812…連結部、821…平板部、822…張り出し部、915、925…端部、960、970…表面、981…第1枠部、982…第2枠部、983…第3枠部、984…上板、985…充填口、988…空隙、E1…第1電極、E2…第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8