(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171988
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】硬化体、硬化体の製造方法、建築資材
(51)【国際特許分類】
C04B 28/00 20060101AFI20241205BHJP
C04B 14/06 20060101ALI20241205BHJP
C04B 14/14 20060101ALI20241205BHJP
C04B 22/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C04B28/00
C04B14/06 Z
C04B14/14
C04B22/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089386
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】591155242
【氏名又は名称】鹿児島県
(71)【出願人】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】袖山 研一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 貴久
(72)【発明者】
【氏名】吉村 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】嶽肩 亜季
(72)【発明者】
【氏名】余宮 佑輔
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA04
4G112PA07
(57)【要約】
【課題】トバモライトの生成量が多い硬化体の製造方法を提供する。
【解決手段】カルシウム源材料とシリカ源材料とを含有する原材料を硬化させる硬化体の製造方法である。前記シリカ源材料は、火山ガラス微粉末を含有し、前記火山ガラス微粉末は、非晶質である。前記火山ガラス微粉末は、BET法により測定される比表面積が5000cm
2/g以上40000cm
2/g以下であることが好ましい。前記火山ガラス微粉末は、平均粒径が1μm以上50μm以下であることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム源材料とシリカ源材料とを含有する原材料を硬化させる硬化体の製造方法であって、
前記シリカ源材料は、火山ガラス微粉末を含有し、前記火山ガラス微粉末は、非晶質である、
硬化体の製造方法。
【請求項2】
前記火山ガラス微粉末は、BET法により測定される比表面積が5000cm2/g以上40000cm2/g以下である、
請求項1に記載の硬化体の製造方法。
【請求項3】
前記火山ガラス微粉末は、平均粒径が1μm以上50μm以下である、
請求項1に記載の硬化体の製造方法。
【請求項4】
前記シリカ源材料は、珪石粉をさらに含有する、
請求項1に記載の硬化体の製造方法。
【請求項5】
前記シリカ源材料に含まれる前記珪石粉と前記火山ガラス微粉末との重量比が、珪石粉:火山ガラス微粉末=1:3~3:1である、
請求項4に記載の硬化体の製造方法。
【請求項6】
前記シリカ源材料に含まれるアルミナとシリカとの比が、Al2O3/SiO2=0.03超0.16以下である、
請求項4に記載の硬化体の製造方法。
【請求項7】
カルシウム源材料と非晶質の火山ガラス微粉末との反応物であるAl置換型トバモライトを含有する、
硬化体。
【請求項8】
前記カルシウム源材料と珪石粉との反応物であるトバモライトをさらに含有する、
請求項7に記載の硬化体。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の硬化体と機能部とを備える、
建築資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化体、硬化体の製造方法、建築資材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、低密度添加剤を含むファイバーセメント建築材料が記載されている。この建築材料は、建築材料用配合物から構成されており、建築材料用配合物は、ポルトランドセメントと、骨材と、セルロース繊維のみと、低密度添加剤と、を含んでいる。ポルトランドセメントは、建築材料用配合物の5~80重量%であり、骨材は、建築材料用配合物の80重量%未満であり、セルロース繊維のみが、建築材料用配合物の4重量%超である。また、低密度添加剤は、建築材料の密度を1.2g/cm3以下に低下させ、建築材料の水分膨張率を0.17%以下のレベルに維持するように、同重量で該骨材を置き換える量である、火山灰、ミクロスフェア又はこれらの混合物を含むものである。そして、特許文献1には、上記建築材料用配合物を含む混合物をオートクレーブ養生して得られる建築材料が開示されている(段落[0016])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、火山灰を含む低密度添加剤が開示されているが、この火山灰は、30重量%の結晶性シリカと70重量%の非晶質火山灰ガラスとを含んでいる。このため、この火山灰を含む建築材料用配合物をオートクレーブ養生して得られる建築材料は、結晶性シリカにより、トバモライト生成量が不十分となる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされており、トバモライトの生成量が多い硬化体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、トバモライトの含有量が多い硬化体及び建築資材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る硬化体の製造方法は、カルシウム源材料とシリカ源材料とを含有する原材料を硬化させる硬化体の製造方法である。前記シリカ源材料は、火山ガラス微粉末を含有する。前記火山ガラス微粉末は、非晶質である。
【0008】
本発明の一態様に係る硬化体は、カルシウム源材料と非晶質の火山ガラス微粉末との反応物であるAl置換型トバモライトを含有する。
【0009】
本発明の一態様に係る建築資材は、前記硬化体と機能部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トバモライトの含有量が多い硬化体が得られる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、シリカ源のAl
2O
3/SiO
2比と、トバモライト強度との関係を示すグラフである。
【
図2】
図2は、シリカ源のSiO
2含有率と、トバモライト強度との関係を示すグラフである。
【
図3】
図3は、火山ガラス微粉末の平均粒径と、トバモライト強度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る硬化体、硬化体の製造方法及び建築資材について説明する。以下の実施形態で説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(実施形態)
<硬化体の製造方法>
本実施形態の硬化体の製造方法は、カルシウム源材料とシリカ源材料とを含有する原材料を硬化させるものである。
【0014】
カルシウム源材料は、カルシウム成分が含まれているものであれば、特に限定されず、例えば、セメント及び消石灰のいずれか一方又は両方を使用することができる。セメントとしては、ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、高炉セメントなどを使用することができる。
【0015】
シリカ源材料は、火山ガラス微粉末(Volcanic Glass Powder, VGP)を含有する。火山ガラス微粉末は、シラスなどの火山噴出物堆積鉱物に含まれている火山由来の非晶ガラス質粉体を粉砕した微粉末である。火山ガラス微粉末は、火山噴出物堆積鉱物から乾式比重選別装置により非晶ガラス質粉体(平均粒径80~100μm)を単離した後、ローラミルなどの粉砕機で非晶ガラス質粉体を粉砕して微粉末にしたものである。
【0016】
火山ガラス微粉末は、平均粒径が1μm以上50μm以下であることが好ましい。火山ガラス微粉末の平均粒径がこの範囲であれば、火山ガラス微粉末の製造が容易であり、トバモライトの生成量が多くなり、原材料を調製する際の混練時に他の材料と均一に混ざりやすく、沈降しにくくなる。火山ガラス微粉末の平均粒径が、1μm未満の場合では、火山ガラス微粉末の製造が困難(ジェットミルが必要)で、トバモライトの生成量が少なくなる場合がある。火山ガラス微粉末の平均粒径が、50μm超過の場合では、原材料の混練時に火山ガラス微粉末が均一に混ざりにくく、特に、抄造法の場合は火山ガラス微粉末が沈降する可能性がある。火山ガラス微粉末は、平均粒径が6μm以上40μm以下であることがより好ましい。なお、平均粒径は、レーザー回折・散乱法で得られる粒度分布のメジアン径(D50)を採用することができる。
【0017】
火山ガラス微粉末は、BET法により測定される比表面積が5000cm2/g以上40000cm2/g以下である。火山ガラス微粉末の比表面積がこの範囲であれば、火山ガラス微粉末の製造が容易であり、トバモライトの生成量が多くなり、原材料を調製する際の混練時に他の材料と均一に混ざりやすく、沈降しにくくなる。火山ガラス微粉末の比表面積が、5000cm2/g未満の場合では、火山ガラス微粉末が粗粒となり、原材料の混練時に火山ガラス微粉末が均一に混ざりにくく、特に、抄造法の場合は火山ガラス微粉末が沈降する可能性がある。火山ガラス微粉末の比表面積が、40000cm2/g超過の場合、トバモライトの生成量が少なくなり、火山ガラス微粉末の微細化に手間を要する場合がある。なお、BET法は、JIS R 1626の「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準拠することができる。
【0018】
火山ガラス微粉末は、構成成分として、SiO2を62.0~76.0重量%、Al2O3を11.5~18.6重量%含有するものを使用することができる。また、火山ガラス微粉末は、イオン溶出量として、Si4+が13.5~18.0ppm、Al3+が3.5~5.0ppmのものを使用することができる。
【0019】
本実施形態では、シリカ源材料として、火山ガラス微粉末のみを使用することができる。また本実施形態では、シリカ源材料として、火山ガラス微粉末と他のシリカ含有成分とを併用することができる。他のシリカ含有成分としては、珪石粉やフライアッシュなどを例示することができる。シリカ源材料として、火山ガラス微粉末と珪石粉とを併用した場合、珪石粉のみをシリカ源材料として使用する場合に比べて、トバモライトの生成量を多くすることができる。
【0020】
シリカ源材料として、珪石粉と火山ガラス微粉末とを併用する場合、シリカ源材料に含まれる珪石粉と火山ガラス微粉末との重量比は、珪石粉:火山ガラス微粉末=1:3~3:1であることが好ましい。この場合、珪石粉のみをシリカ源材料として使用する場合に比べて、トバモライトの生成量を多くすることができる。
【0021】
またシリカ源材料として、珪石粉と火山ガラス微粉末とを併用する場合、シリカ源材料に含まれるアルミナとシリカとの比(重量比)が、Al2O3/SiO2=0.03超0.16以下であることが好ましい。この場合、珪石粉のみをシリカ源材料として使用する場合に比べて、トバモライトの生成量を多くすることができる。
【0022】
本実施形態では、カルシウム源材料とシリカ源材料とを含有する原材料を調製し、原材料に水を加えた後、所望の形状に成形し、その後、硬化させて硬化体を形成することができる。原材料は、カルシウム源材料とシリカ源材料以外に、骨材、補強繊維、混和材などを含有していてもよい。
【0023】
本実施形態では、硬化体を製造するにあたって、抄造法、押出法及び乾式法などを採用することができる。
【0024】
抄造法では、原材料に水を配合してスラリーを調製し、このスラリーをフェルトなどの脱水シート上に抄き上げてグリーンシート(未硬化のシート材)を作製し、このグリーンシートをオートクレーブ養生(高温高圧蒸気養生)することにより硬化させて硬化体を形成することができる。
【0025】
押出法では、原材料に水を配合して成形材料を調製し、この成形材料を金型等により押出成形してグリーンシートを作製し、このグリーンシートをオートクレーブ養生することにより硬化させて硬化体を形成することができる。
【0026】
乾式法では、乾式混合した原材料を成形ベルト上に層状に供給した後、層状の原材料に水を散布して供給し、その後、ロール等により圧縮成形してグリーンシートを作製し、このグリーンシートをオートクレーブ養生することにより硬化させて硬化体を形成することができる。
【0027】
なお、オートクレーブ養生を二次養生とし、二次養生の前に、一次養生として、湿熱養生や自然養生をグリーンシートに行ってもよい。
【0028】
<硬化体>
上記のようにして製造される硬化体は、オートクレーブ養生等の養生時に、カルシウム源材料とシリカ源材料とが水熱反応により硬化したものである。硬化体には、トバモライトが含まれる。トバモライトは、珪酸カルシウムであって、珪石粉のみをシリカ源材料として使用した場合は、5CaO・6SiO2・5H2Oの組成式(正常型)を有する。一方、本実施形態では、シリカ源材料が火山ガラス微粉末を含んでいるため、Al置換型(アルミニウム置換型)のトバモライトが生成される。すなわち、本実施形態の硬化体は、9K2O・91CaO・9Al2O3・102SiO2・100H2Oの組成式(Al置換型)に代表されるようなトバモライトを含有している。そして、このようなAl置換型のトバモライトを含有しているため、正常型のトバモライトのみを含有している場合に比べて、硬化体の安定領域を拡大(もしくは熱的特性を向上)させることができる。なお、Al置換型のトバモライトを構成するアルミニウム(Al)は、火山ガラス微粉末に由来するものおよびカルシウム源材料に含まれるセメント等に由来する。セメントは、全量に対して5重量%程度のAl2O3を含んでいる。
【0029】
また本実施形態の硬化体は、シリカ源材料が珪石粉と火山ガラス微粉末とを含有している場合は、正常型のトバモライトとAl置換型のトバモライトとの両方を含んでいる。シリカ源材料が珪石粉のみの場合、正常型のトバモライトが多く生成され、X線回折法によるトバモライト(002面)のピークが2θ=7.8°付近に現れるが、シリカ源材料の火山ガラス微粉末の含有量が多くなるにつれて、2θは低角度側へシフトしていく。これは、火山ガラス微粉末の含有量が多くなるにつれて、正常型からAl置換型へトバモライトが転移することを示唆している。
【0030】
<建築資材>
本実施形態に係る建築資材は、例えば、外壁材、内壁材、屋根材などであって、上記硬化体と機能部とを備えて形成される。機能部は、硬化体に建築資材としての機能を付与する部分である。機能部としては、硬化体の表面に形成される塗膜を例示することができる。この場合、硬化体に耐候性、防水性、意匠性などを付与することができる。また機能部としては、硬化体の表面に形成される凹凸形状を例示することができる。この場合、硬化体に意匠性などを付与することができる。また機能部としては、硬化体の端部に形成される実部を例示することができる。この場合、硬化体に他の硬化体と接続する機能を付与することができる。
【0031】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る硬化体の製造方法は、カルシウム源材料とシリカ源材料とを含有する原材料を硬化させる硬化体の製造方法である。前記シリカ源材料は、火山ガラス微粉末を含有する。前記火山ガラス微粉末は、非晶質である。
【0032】
この態様によれば、非晶質の火山性ガラス粉末を用いることにより、イオン溶出量が高く、トバモライト生成量が高まるため、強度の高い硬化体を得ることができる。
【0033】
第2の態様は、第1の態様に係る硬化体の製造方法であって、前記火山ガラス微粉末は、BET法により測定される比表面積が5000cm2/g以上40000cm2/g以下である。
【0034】
この態様によれば、トバモライト生成量が高まるため、強度の高い硬化体を得ることができ、しかも原材料中に火山性ガラス粉末を分散させやすく、均質な原材料を得ることができる。
【0035】
第3の態様は、第1又は2の態様に係る硬化体の製造方法であって、前記火山ガラス微粉末は、平均粒径が1μm以上50μm以下である。
【0036】
この態様によれば、火山ガラス微粉末の製造を容易に行うことができ、トバモライト生成量が高まり、しかも原材料中に火山性ガラス粉末を分散させやすく、均質な原材料を得ることができる。
【0037】
第4の態様は、第1~3のいずれか1つの態様に係る硬化体の製造方法であって、前記シリカ源材料は、珪石粉をさらに含有する。
【0038】
この態様によれば、火山性ガラス粉末と珪石粉との併用により、トバモライト生成量が高まるため、強度の高い硬化体を得ることができる。
【0039】
第5の態様は、第4の態様に係る硬化体の製造方法であって、前記シリカ源材料に含まれる前記珪石粉と前記火山ガラス微粉末との重量比が、珪石粉:火山ガラス微粉末=1:3~3:1である。
【0040】
この態様によれば、火山性ガラス粉末と珪石粉との併用により、トバモライト生成量が高まるため、強度の高い硬化体を得ることができる。
【0041】
第6の態様は、第4又は5の態様に係る硬化体の製造方法であって、前記シリカ源材料に含まれるアルミナとシリカとの比が、Al2O3/SiO2=0.03超0.16以下である。
【0042】
この態様によれば、火山性ガラス粉末と珪石粉との併用により、トバモライト生成量が高まるため、強度の高い硬化体を得ることができる。
【0043】
第7の態様に係る硬化体は、カルシウム源材料と非晶質の火山ガラス微粉末との反応物であるAl置換型トバモライトを含有する。
【0044】
この態様によれば、非晶質の火山性ガラス粉末を用いることにより、イオン溶出量が高く、トバモライトの含有量が多いため、強度の高い硬化体となる。
【0045】
第8の態様は、第7の態様に係る硬化体であって、前記カルシウム源材料と珪石粉との反応物である正常型トバモライトをさらに含有する。
【0046】
この態様によれば、火山性ガラス粉末と珪石粉との併用により、トバモライトの含有量が多いため、強度の高い硬化体となる。
【0047】
第9の態様に係る建築資材は、第7又は8の態様に係る硬化体と機能部とを備える。
【0048】
この態様によれば、トバモライトの含有量が多いため、強度の高い建築資材となる。
【実施例0049】
(実施例1)
カルシウム源材料であるセメント5重量部と、シリカ源材料5重量部と、を混合して原材料を調製した。ここで、シリカ源材料は、その全量(100重量%)が非晶質の火山ガラス微粉末(平均粒径38.9μm)であった。次に、原材料に水10重量部を配合した後、165℃、8時間、5~6気圧の飽和蒸気圧下での水熱条件で、オートクレーブ養生することにより、板状の硬化体を形成した。
【0050】
(実施例2)
シリカ源材料として、火山ガラス微粉末75重量%と、珪石粉(平均粒径23.5μm)25重量%とを混合したものを使用した。これ以外は実施例1と同様にして、硬化体を形成した。
【0051】
(実施例3)
シリカ源材料として、火山ガラス微粉末50重量%と、珪石粉50重量%とを混合したものを使用した。これ以外は実施例1と同様にして、硬化体を形成した。
【0052】
(実施例4)
シリカ源材料として、火山ガラス微粉末25重量%と、珪石粉75重量%とを混合したものを使用した。これ以外は実施例1と同様にして、硬化体を形成した。
【0053】
(比較例1)
シリカ源材料として、珪石粉100重量%のものを使用した。これ以外は実施例1と同様にして、硬化体を形成した。
【0054】
実施例1~4及び比較例について、X線回折法により硬化体のトバモライト(002面)に由来するXRD強度を測定した。
図1、
図2にその結果を示す。
図1では、横軸にシリカ源材料のAl
2O
3/SiO
2比を記載し、縦軸にXRD強度をトバモライト強度として記載した。
図2では、横軸にシリカ源材料のSiO
2の含有割合を記載し、縦軸にXRD強度をトバモライト強度として記載した。
【0055】
図1から明らかなように、実施例1~4は、比較例1よりも高いトバモライト強度を有する。従って、シリカ源材料として、珪石粉のみを使用するよりも、火山ガラス微粉末を使用したほうがトバモライトの生成量が多くなる。また実施例2~4は、実施例1よりも高いトバモライト強度を有する。従って、シリカ源材料として、火山ガラス微粉末のみを使用するよりも、火山ガラス微粉末と珪石粉とを併用したほうがトバモライトの生成量が多くなる。また実施例3は、他の実施例に比べて、最も高いトバモライト強度を有する。従って、シリカ源材料として、Al
2O
3/SiO
2比が0.09のものは、トバモライトの生成量が最も多くなり、Al
2O
3/SiO
2比が0.06~0.14の範囲でトバモライトの生成量が好ましい範囲となる。
【0056】
図2から明らかなように、実施例1~4は、比較例1よりも高いトバモライト強度を有する。従って、シリカ源材料として、SiO
2の含有割合が75重量%以上トバモライトの生成量が多くなる。また実施例3は、他の実施例に比べて、最も高いトバモライト強度を有する。従って、シリカ源材料として、SiO
2の含有割合が約84%のものは、トバモライトの生成量が最も多くなり、SiO
2の含有割合が80~90重量%の範囲でトバモライトの生成量が好ましい範囲となる。
【0057】
(実施例5)
シリカ源材料として、平均粒径6.8μmの火山ガラス微粉末100重量%のものを使用した。これ以外は実施例1と同様にして、硬化体を形成した。
【0058】
(実施例6)
シリカ源材料として、平均粒径21.1μmの火山ガラス微粉末100重量%のものを使用した。これ以外は実施例1と同様にして、硬化体を形成した。
【0059】
(実施例7)
シリカ源材料として、平均粒径38.9μmの火山ガラス微粉末100重量%のものを使用した。これ以外は実施例1と同様にして、硬化体を形成した。
【0060】
(比較例2)
シリカ源材料として、平均粒径23.5μmの珪石粉100重量%のものを使用した。これ以外は実施例1と同様にして、硬化体を形成した。
【0061】
(比較例3)
シリカ源材料として、平均粒径17.3μmのフライアッシュ100重量%のものを使用した。これ以外は実施例1と同様にして、硬化体を形成した。
【0062】
実施例5~7及び比較例2、3について、X線回折法により硬化体のトバモライト(002面)に由来するXRD強度を測定した。
図3にその結果を示す。
図3では、横軸にシリカ源材料の平均粒径を記載し、縦軸にXRD強度をトバモライト強度として記載した。
【0063】
図3から明らかなように、実施例5~7は、比較例2、3よりも高いトバモライト強度を有する。従って、シリカ源材料として、平均粒径が6.8~38.9μmの火山ガラス微粉末を使用すると、フライアッシュと同等以上のトバモライトの生成量が得られ、珪石粉よりもトバモライトの生成量が多くなる。