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特開2024-171996電池端子の製造方法、電池端子及び二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171996
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電池端子の製造方法、電池端子及び二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/566 20210101AFI20241205BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20241205BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20241205BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
H01M50/566
H01M50/562
H01M50/176
H01M50/55 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089397
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】トヨタバッテリー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中村 竣亮
(72)【発明者】
【氏名】永野 泰章
(72)【発明者】
【氏名】水本 将弘
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 崇志
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 靖典
(72)【発明者】
【氏名】松本 繁
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011EE04
5H011FF02
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA05
5H043DA09
5H043DA13
5H043HA17D
5H043KA09D
(57)【要約】
【課題】二次電池の高出力化を実現でき、且つ、不良率の低下を実現できる電池端子の製造方法を提供する。
【解決手段】第1金属材料からなる第1部材と、第1金属材料と異なる第2金属材料からなる第2部材とを接合して電池端子を製造する方法であって、第1部材に加締め加工を施して第1部材と第2部材とを機械的に接合し、第1部材からなる第1層L1と、第2部材からなる第2層L2と、第1部材からなる第3層L3とで構成される三層構造部位TLを形成する三層構造部位形成工程と、第1部材における第1層L1及び第3層L3のいずれか一方の側をアンビルAで固定し、他方の側からホーンHを押し当てて超音波振動を与え、第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面を超音波溶接する超音波溶接工程とを含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属材料からなる第1部材と、前記第1金属材料と異なる第2金属材料からなる第2部材とを接合して電池端子を製造する方法であって、
前記第1部材に加締め加工を施して前記第1部材と前記第2部材とを機械的に接合し、前記第1部材からなる第1層と、前記第2部材からなる第2層と、前記第1部材からなる第3層とで構成される三層構造部位を形成する三層構造部位形成工程と、
前記第1部材における前記第1層及び前記第3層のいずれか一方の側をアンビルで固定し、他方の側からホーンを押し当てて超音波振動を与え、前記第1層と前記第2層との界面及び前記第2層と前記第3層との界面を超音波溶接する超音波溶接工程とを含む、電池端子の製造方法。
【請求項2】
前記ホーンの形状は、前記第1部材における前記第1層の側の表面全体又は前記第3層の側の表面全体のうち、前記三層構造部位における前記第1層の表面部分又は前記第3層の表面部分を含む一部にのみ先端が接触する形状である、請求項1に記載の電池端子の製造方法。
【請求項3】
前記ホーンの形状は、前記三層構造部位における前記第1層の表面部分又は前記第3層の表面部分以外に先端が接触しない形状である、請求項1に記載の電池端子の製造方法。
【請求項4】
前記ホーンは、その先端面の形状が円環状又は半円環状である、請求項1に記載の電池端子の製造方法。
【請求項5】
前記第1金属材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり、
前記第2金属材料は、銅又は銅合金である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池端子の製造方法。
【請求項6】
第1金属材料からなる第1部材と、
前記第1金属材料と異なる第2金属材料からなる第2部材と、
前記第1部材からなる第1層、前記第2部材からなる第2層及び前記第1部材からなる第3層で構成される三層構造部位と、を有し、
前記三層構造部位における前記第1層と前記第2層との界面及び前記第2層と前記第3層との界面がそれぞれ超音波溶接によって接合されている電池端子。
【請求項7】
開口を有する筐体と、
前記筐体の開口を封止する蓋体と、
前記筐体内に収容される電極体と、
一部が前記蓋体の外側に位置し、前記筐体内で前記電極体に電気的に接続される電池端子と、を備えており、
前記電池端子は、
第1金属材料からなる第1部材と、
前記第1金属材料と異なる第2金属材料からなる第2部材と、
前記第1部材からなる第1層、前記第2部材からなる第2層及び前記第1部材からなる第3層で構成される三層構造部位と、を有し、
前記三層構造部位における前記第1層と前記第2層との界面及び前記第2層と前記第3層との界面がそれぞれ超音波溶接によって接合されている二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池端子の製造方法、電池端子及び二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド自動車などのモータを駆動源とする電動車両では、ニッケル水素蓄電池やリチウムイオン蓄電池などの二次電池が電源として用いられている。この種の二次電池は、電動車両の駆動源として求められる性能を実現するために、通常、複数個を電気的に接続し、充放電容量及び出力電圧が高められた電池モジュールの形態で、電動車両の電源に用いられる。
【0003】
複数の二次電池を電気的に接続する場合、一般的に、二次電池の正極端子及び負極端子と、隣接する二次電池の負極端子及び正極端子とを、各端子の天面に溶接されるバスバを介して電気的に接続する。
【0004】
ここで、各端子の天面にバスバを溶接する構造(バスバ溶接構造)を採用する場合、バスバの溶接性を考慮して各端子の天面を構成する金属が同じであることが望まれる。したがって、電極体に接合される集電端子を構成する金属が正極端子と負極端子とで異なる場合、各端子の天面を構成する金属を同じにするために、正極側又は負極側において異材接合が必要になる場合がある。例えば、正極側の集電端子がアルミニウム、負極側の集電端子が銅である場合に、正極側及び負極側の外部端子をアルミニウムで構成するためには、負極側においてアルミニウムと銅との異材接合が必要になる。
【0005】
異材接合に関する技術として、例えば、特許文献1には、互いに異なる金属から構成される2つの部材を接合して二次電池用端子を製造する技術が提案されている。
【0006】
特許文献1に記載された二次電池用端子は、プレート状の金属製の第1部材と当該第1部材のプレートの裏面に超音波溶接された第2部材とで構成されており、第1部材が二次電池の外部側、第2部材が内部側に配置されるものである。この二次電池用端子は、第1部材の表面に形成された凹部と、第2部材における第1部材が溶接された側とは反対の側に形成された加締め部とにおいて超音波溶接が実行され、互いに異なる金属から構成される第1部材と第2部材とが接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-49726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に記載された方法では、二次電池の外部側に配置された第1部材と、外部側に配置された第2部材とが二層構造をなし、超音波溶接により接合される第1部材と第2部材との界面が一カ所である。そのため、例えば、第1部材と第2部材との導通抵抗の低減を図るべく両者の接合面の面積(接合面積)を大きくするためには、第1部材と第2部材との界面を大きくし、当該界面を広範囲にわたって超音波溶接する必要がある。したがって、特許文献1記載の方法では、電池端子の大型化や超音波溶接に使用するホーン/アンビルの大型化などが避けられない。つまり、上記特許文献1記載の方法では、第1部材と第2部材との間の接合面積を容易に増加させることが難しい。そのため、第1部材と第2部材との間の導通抵抗の低減を図り難く、二次電池の高出力化を実現し難い。
【0009】
また、上記特許文献1記載の方法では、第1部材及び第2部材のうち一方をアンビルで固定し、他方にホーンを押し当てて超音波溶接を行うため、第1部材を構成する金属及び第2部材を構成する金属の双方に由来する異物やバリが発生する。そして、異物やバリが発生すると、これらに起因して化学短絡等が発生し、二次電池の性能低下や発火などの問題が生じる。したがって、上記特許文献1記載の方法では、不良率低下を実現し難い。
【0010】
このように、特許文献1記載の方法では、電池端子が異なる金属材料からなる2つの部材で構成される場合に、二次電池の高出力化を図り難く、また、不良率の低下を実現し難い。
【0011】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、二次電池の高出力化を実現でき、且つ、不良率の低下を実現できる電池端子の製造方法、電池端子、及び二次電池の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る電池端子の製造方法の特徴構成は、
第1金属材料からなる第1部材と、第1金属材料と異なる第2金属材料からなる第2部材とを接合して電池端子を製造する方法であって、
前記第1部材に加締め加工を施して前記第1部材と前記第2部材とを機械的に接合し、前記第1部材からなる第1層と、前記第2部材からなる第2層と、前記第1部材からなる第3層とで構成される三層構造部位を形成する三層構造部位形成工程と、
前記第1部材における前記第1層及び前記第3層のいずれか一方の側をアンビルで固定し、他方の側からホーンを押し当てて超音波振動を与え、前記第1層と前記第2層との界面及び前記第2層と前記第3層との界面を超音波溶接する超音波溶接工程とを含む点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、第1部材と第2部材との接合部が、三層構造部位における第1層と第2層との界面及び第2層と第3層との界面の2か所になる。そのため、超音波溶接に使用するホーンの先端面積が同じであれば、第1部材と第2部材とが二層構造をなしている部分を超音波溶接した場合と比較して、2か所の界面が接合面となることで接合面積が増加する。つまり、上記特徴構成によれば、端子の大型化やホーン/アンビルの大型化を要することなく、第1部材と第2部材との間の接合面積を容易に増加でき、第1部材と第2部材との間の導通抵抗を低減でき、二次電池の高出力化を実現できる。
また、上記特徴構成によれば、超音波溶接時に、第2層を構成する第2部材にホーン及びアンビルが接触しない。そのため、第2部材を構成する第2金属材料由来の異物やバリの発生を抑制でき、これらに起因する化学短絡等が発生が抑えられる。したがって、二次電池の性能低下や発火などの重大な問題も生じ難い。
このように、上記特徴構成を備えた電池端子の製造方法によれば、二次電池の高出力化を実現でき、且つ、不良率の低下を実現できる。
【0014】
また、本発明に係る電池端子の製造方法の更なる特徴構成は、
前記ホーンの形状は、前記第1部材における前記第1層の側の表面全体又は前記第3層の側の表面全体のうち、前記三層構造部位における前記第1層の表面部分又は前記第3層の表面部分を含む一部にのみ先端が接触する形状である点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、三層構造部位における第1層の側の表面一部又は第3層の側の表面一部にホーンの先端が接触するが、第1層の側の表面全体又は第3層の側の表面全体にはホーンの先端が接触しない。これにより、アンビル側の第1部材の変位量を低減し、ホーンから離れた側の界面(第1層の側からホーンを押し当てた場合には第2層と第3層との界面、第3層の側からホーンを押し当てた場合には第1層と第2層との界面)における第1部材と第2部材との間の相対変位量を増加させ、ホーンから離れた側の界面での接合を促進できる。
【0016】
また、本発明に係る電池端子の製造方法の更なる特徴構成は、
前記ホーンの形状は、前記三層構造部位における前記第1層の表面部分又は前記第3層の表面部分以外に先端が接触しない形状である点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、三層構造部位の界面での超音波溶接を実現できる。加えて、上記と同様に、アンビル側の第1部材の変位量を低減し、ホーンから離れた側の界面における第1部材と第2部材との間の相対変位量を増加させ、ホーンから離れた側の界面での接合を促進できる。
【0018】
また、本発明に係る電池端子の製造方法の更なる特徴構成は、
前記ホーンは、その先端面の形状が円環状又は半円環状である点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、第1部材と第2部材とを機械的に接合したものにホーンによる加圧方向視において円環状又は半円環状の三層構造部位が形成されている場合に、ホーンが三層構造部位における第1層の側の表面一部又は第3層の側の表面一部に先端が接触するが、第1層の側の表面全体又は第3層の側の表面全体には先端が接触しない状態で超音波溶接を行うことができる。したがって、上記と同様に、アンビル側の第1部材の変位量を低減し、ホーンから離れた側の界面における第1部材と第2部材との間の相対変位量を増加させ、ホーンから離れた側の界面での接合を促進できる。
【0020】
また、本発明に係る電池端子の製造方法の更なる特徴構成は、
前記第1金属材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり、
前記第2金属材料は、銅又は銅合金である点にある。
【0021】
銅又は銅合金は、アルミニウム又はアルミニウム合金と比較して、異物として混入した場合に二次電池の性能に悪影響を与えやすい。上記特徴構成によれば、第2層を構成する第2部材にホーンとアンビルが接触せず、超音波溶接時に第2部材を構成する銅又は銅合金由来の異物やバリの発生を抑制できる。つまり、上記特徴構成によれば、二次電池の性能に悪影響を与え易い銅又は銅合金の混入を抑制できる。
【0022】
上記目的を達成するための本発明に係る電池端子の特徴構成は、
第1金属材料からなる第1部材と、
第2金属材料からなる第2部材と、
前記第1部材からなる第1層、前記第2部材からなる第2層及び前記第1部材からなる第3層で構成される三層構造部位と、を有し、
前記三層構造部位における前記第1層と前記第2層との界面及び前記第2層と前記第3層との界面がそれぞれ超音波溶接によって接合されている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、第1部材と第2部材との接合部が、三層構造部位における第1層と第2層との界面及び第2層と第3層との界面の2か所になる。そのため、従来のように第1部材と第2部材とが二層構造をなしている部分を超音波溶接したものと比較して、2か所の界面が接合部となることで接合面積が増加する。したがって、当該電池端子を二次電池に用いれば、第1部材と第2部材との間の導通抵抗を低減でき、二次電池の高出力化を実現できる。
また、三層構造部位における第1層と第2層との界面及び第2層と第3層との界面は、第2層を構成する第2部材にホーン及びアンビルを接触させることなく、超音波溶接が可能である。そのため、上記特徴構成によれば、第2部材を構成する第2金属材料由来の異物やバリが発生しない。したがって、当該電池端子を二次電池に用いれば、異物やバリの発生に起因する化学短絡等の発生が抑えられ、二次電池の性能低下や発火などの重大な問題も生じ難い。
このように、上記特徴構成を備えた電池端子によれば、二次電池の高出力化を実現でき、且つ、不良率の低下を実現できる。
【0024】
上記目的を達成するための本発明に係る二次電池の特徴構成は、
開口を有する筐体と、
前記筐体の開口を封止する蓋体と、
前記筐体内に収容される電極体と、
一部が前記蓋体の外側に位置し、前記筐体内で前記電極体に電気的に接続される電池端子と、を備えており、
前記電池端子は、
第1金属材料からなる第1部材と、
第2金属材料からなる第2部材と、
前記第1部材からなる第1層、前記第2部材からなる第2層及び前記第1部材からなる第3層で構成される三層構造部位と、を有し、
前記三層構造部位における前記第1層と前記第2層との界面及び前記第2層と前記第3層との界面がそれぞれ超音波溶接によって接合されている点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、第1部材と第2部材との接合部が、三層構造部位における第1層と第2層との界面及び第2層と第3層との界面の2か所になる。そのため、従来のように第1部材と第2部材とが二層構造をなしている部分を超音波溶接したものと比較して、2か所の界面が接合部となることで接合面積が増加する。したがって、上記特徴構成を備えた二次電池によれば、第1部材と第2部材との間の導通抵抗を低減でき、高出力化を実現できる。
また、三層構造部位における第1層と第2層との界面及び第2層と第3層との界面は、第2層を構成する第2部材にホーン及びアンビルを接触させることなく、超音波溶接が可能である。そのため、上記特徴構成によれば、第2部材を構成する第2金属材料由来の異物やバリが発生しない。したがって、上記特徴構成を備えた二次電池によれば、異物やバリの発生に起因する化学短絡等の発生が抑えられ、二次電池の性能低下や発火などの重大な問題も生じ難い。
このように、上記特徴構成を備えた二次電池によれば、高出力化を実現でき、且つ、不良率の低下を実現できる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明に係る電池端子の製造方法、電池端子及び二次電池によれば、二次電池の高出力化を実現でき、且つ、不良率の低下を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施形態に係る二次電池の分解斜視図である。
図2】一実施形態に係る二次電池の概略構成を示す断面図である。
図3図2のIII-III部分の断面図である。
図4】三層構造部位形成工程を説明するための模式図である。
図5】三層構造部位形成工程を説明するための模式図である。
図6】三層構造部位形成工程を説明するための模式図である。
図7図6のVII-VIIの断面図である。
図8】超音波溶接工程を説明するための模式図である。
図9】別実施形態に係るホーンの先端形状を示す模式図である。
図10】別実施形態に係る接合部を説明するための模式図である。
図11】別実施形態に係る超音波溶接工程を説明するための模式図である。
図12】別実施形態に係る三層構造部位形成工程を説明するための模式図である。
図13図12のXIII-XIII部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る電池端子及び当該電池端子を備えた二次電池、並びに電池端子の製造方法について説明する。なお、以下においては、電池端子をリチウムイオン二次電池に用いる態様を例にとって説明する。以下では、説明を明確にするために、各記載や各図面を適宜簡略化している。
【0029】
〔二次電池1の概要〕
図1は、本実施形態に係る二次電池1の分解斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る二次電池1の概略構成を示す断面図である。なお、以下の説明において、二次電池1の高さ方向と平行な方向をZ軸方向とし、後述する電極体20の長手方向と平行な方向をX軸方向、電極体20の厚さ方向と平行な方向をY軸方向とする。Z軸方向は上下方向と平行な方向であり、X軸方向とY軸方向とは互いに直行し、水平方向と平行な方向である。
【0030】
図1及び図2に示すように、本実施形態の二次電池1は、ケース本体11及び封口板12からなる電池ケース10や、外部端子25,26及び集電端子27,28からなる電池端子PS,NS、電極体20などを備えている。本実施形態の二次電池1は、ケース本体11の内部に電極体20や集電端子27,28などを収容してケース本体11の開口を封口板12で封止した上で、ケース本体11の内部に電解液を注入した密閉型の二次電池である。
【0031】
〔電池ケース10の構成〕
図1及び図2に示すように、本実施形態の電池ケース10は、上部が開口した略直方体形状のケース本体11と、ケース本体11の開口を封止する封口板12とから構成されている。本実施形態において、ケース本体11及び封口板12は、いずれもアルミニウム製であるが、これに限られるものではない。ケース本体11及び封口板12の材料には、各種金属や合金を用いることができる。本実施形態において、ケース本体11が「筐体」、封口板12が「蓋体」に相当する。
【0032】
封口板12は、ケース本体11の開口の形状に応じた形状を有している。本実施形態の封口板12は、Z軸方向視略矩形状の平板部材からなる。封口板12は、長手方向両端(X軸方向両端)に、後述する正極絶縁部材29と負極絶縁部材30とが嵌め込まれる取付穴12aが上下面に貫通して形成されている。詳細については後述するが、封口板12には、長手方向一端側(X軸方向一端側)に正極端子PSが配設され、長手方向他端側(X軸方向他端側)に負極端子NSが配設される。
【0033】
〔電極体20の構成〕
本実施形態において、電極体20は、長尺な帯状の正極材及び負極材を同じく帯状のセパレータを介して積層した状態で捲回して扁平形状に圧縮した捲回体で構成される。図1及び図2に示すように、本実施形態の電極体20は、厚み方向視(Y軸方向視)において略矩形状であり、厚み方向視における長手方向(X軸方向)の一方端側には、正極材が集箔された正極端子接合部21が形成され、他方端側には、負極材が集箔された負極端子接合部22が形成されている。なお、電極体20の構造は特に限定されるものではなく、一般的な密閉型二次電池に用いられる種々の構造を採用できる。また、正極材及び負極材に用いる材料は、特に限定されるものではないが、本実施形態において、正極材にはアルミニウム、負極材には銅を用いている。
【0034】
本実施形態において、電極体20は、絶縁性を有するフィルムに覆われた状態で、厚み方向及び長手方向が水平方向と平行になる姿勢でケース本体11の内部に収容されている。また、電極体20とケース本体11とは、絶縁性フィルム(図示せず)によって絶縁されている。
【0035】
〔正極側及び負極側の構成〕
本実施形態において、二次電池1は、外部端子としての正極外部端子25及び負極外部端子26を備え、集電端子としての正極集電端子27及び負極集電端子28を備えている。また、本実施形態の二次電池1は、正極絶縁部材29及び負極絶縁部材30を備えている。本実施形態においては、正極外部端子25と正極集電端子27とで正極端子PSが構成され、負極外部端子26と負極集電端子28とで負極端子NSが構成される。
【0036】
本実施形態において、正極側と負極側とでは、両者はほぼ同等の構成を有しているが、外部端子の材料及び集電端子の材料が相違する。具体的に、本実施形態において、正極端子PSを構成する正極外部端子25及び正極集電端子27は同じ金属材料である。一方で、負極端子NSを構成する負極外部端子26及び負極集電端子28は異なる金属材料で構成される。
【0037】
以下、負極側を例にとって、その構成について図3を参照しつつ説明する。なお、図3は、図2のIII-III部分の断面図である。
【0038】
負極外部端子26は、外部接続用の端子である。負極外部端子26は、Z軸方向視略矩形状の板状部26aと、当該板状部26aの裏面から下方に向けて延設された円柱形状の軸部26bとを有している。軸部26bは、その下端側に加締め部26cが形成されている。本実施形態の負極外部端子26はアルミニウム製である。本実施形態において、負極外部端子26が「第1部材」に相当する。
【0039】
負極集電端子28は、電極体20から電力を出入力するための端子である。負極集電端子28は、封口板12の下面側、換言すれば、ケース本体11の内部に配設されている。本実施形態の負極集電端子28は銅製である。本実施形態において、負極集電端子28が「第2部材」に相当する。
【0040】
負極集電端子28は、二次電池1の高さ方向(Z軸方向)に延びる長尺な部材である。本実施形態の負極集電端子28は、その下端側に、電極体20の負極端子接合部22に接合される長尺板状の電極接続部28aを有している。また、負極集電端子28は、その上端側に、上下面が水平方向と平行な板状の端子接続部28bを有している。端子接続部28bには、負極外部端子26の軸部26bが挿通するための貫通孔28cが上下面を貫通して形成されている。
【0041】
負極外部端子26と負極集電端子28とで構成される負極端子NSは、異なる金属からなる二つの部材が超音波溶接によって接合された異材接合部材である。詳細については後述するが、負極端子NSは、負極外部端子26を加締め加工することで形成されたZ軸方向視円環状の三層構造部位TLと、三層構造部位TLに囲まれたZ軸方向視円形状の非三層構造部位ULとを有している。三層構造部位TLは、負極外部端子26からなる第1層L1と、負極集電端子28からなる第2層L2と、負極外部端子26からなる第3層L3とで構成されている。より具体的に、本実施形態の三層構造部位TLは、負極外部端子26の板状部26aからなる第1層L1と、負極集電端子28の端子接続部28bからなる第2層L2と、負極外部端子26の加締め部26cからなる第3層L3とで構成されている。つまり、三層構造部位TLの第1層L1と第3層L3とは、一つの部材で構成されている。一方、非三層構造部位ULは、負極外部端子26のみからなる。また、負極端子NSは、第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面が超音波溶接によって接合されている。
【0042】
負極絶縁部材30は、絶縁性を有する材料からなる部材である。本実施形態の負極絶縁部材30は、負極端子NSと封口板12とを一体化し、当該負極端子NSと封口板12との間を絶縁するための部材である。
【0043】
本実施形態においては、負極端子NSを封口板12の取付穴12aに挿通した状態で、負極絶縁部材30をインサート成形して、封口板12に負極絶縁部材30を介して負極端子NSが一体化されている。なお、負極端子NSと封口板12とは負極絶縁部材30により絶縁されており、負極絶縁部材30によって負極端子NSと封口板12の取付穴12aとの気密が維持されている。
【0044】
本実施形態の正極側について、正極端子PSは、異材接合部材である負極端子NSとは異なり、同じ金属材料(本実施形態ではアルミニウム)で構成される正極外部端子25と正極集電端子27とが適宜接合されてなるものである。
【0045】
詳細については省略するが、本実施形態の正極側においては、正極端子PSを封口板12の取付穴に挿通した状態で、正極絶縁部材29をインサート成形して、封口板12に正極絶縁部材29を介して正極端子PSが一体化されている。正極側においても負極側と同様に、正極端子PSと封口板12とが正極絶縁部材29により絶縁されており、正極絶縁部材29によって正極端子PSと封口板12の取付穴との気密が維持されている。
【0046】
以上の構成を備えた本実施形態の二次電池1では、負極端子NSが三層構造部位TLを有し、負極外部端子26と負極集電端子28との接合部が三層構造部位TLの第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面の2か所である。例えば、負極外部端子26と負極集電端子28とが二層構造部位しか有していない場合、負極外部端子26と負極集電端子28とを超音波溶接した際に、2つの層の界面のみが接合部となる。つまり、上記構成を備えた二次電池1では、三層構造部位を有しないものと比較して、2か所の界面が接合部となることで接合面積が増加している。よって、上記構成を備えた二次電池1によれば、負極外部端子26と負極集電端子28との間の導通抵抗を低減でき、高出力化を実現できる。
【0047】
また、三層構造部位TLの第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面は、第2層L2を構成する負極集電端子28にホーンH及びアンビルAを接触させることなく、超音波溶接が可能である。そのため、上記構成を備えた二次電池1では、負極集電端子28を構成する銅由来の異物やバリが発生しない。よって、上記構成を備えた二次電池1によれば、異物やバリの発生に起因する化学短絡等の発生が抑えられ、性能の低下や発火などの重大な問題も生じ難い。
【0048】
このように、本実施形態の二次電池1によれば、高出力化を実現でき、且つ、不良率の低下を実現できる
【0049】
〔負極端子NSの製造方法〕
次に、異材接合部材である負極端子NSを製造する方法について、図4図8を参照して説明する。図4図8は、負極端子NSの製造過程を説明するための模式図である。具体的には、図4図7は三層構造部位形成工程を説明するための模式図であり、図8は、超音波溶接工程を説明するための模式図である。
【0050】
負極端子NSを製造する方法は、三層構造部位形成工程と超音波溶接工程とを含む。三層構造部位形成工程は、第1部材としての負極外部端子26に加締め加工を施して負極外部端子26と第2部材としての負極集電端子28とを機械的に接合し、負極外部端子26からなる第1層L1と、負極集電端子28からなる第2層L2と、負極外部端子26からなる第3層L3とで構成される三層構造部位TLを形成する工程である。
【0051】
具体的に、本実施形態においては、負極外部端子26の軸部26bを負極集電端子28の貫通孔28cに挿通して、加締め部26cを端子接続部28bの下方に突出させる(図4及び図5参照)。ついで、加締め部26cをプレス加工によって変形させる(図6参照)。
【0052】
これにより、図6及び図7に示すように、負極外部端子26の板状部26aからなる第1層L1と、負極集電端子28の端子接続部28bからなる第2層L2と、負極外部端子26の加締め部26cからなる第3層L3とで構成される三層構造部位TLが形成される。本実施形態では、Z軸方向視円環状の三層構造部位TLが形成される。なお、図7において、網掛け部分が三層構造部位TLである。
【0053】
超音波溶接工程は、負極外部端子26の第1層L1及び第3層L3のいずれか一方の側をアンビルAで固定し、他方の側からホーンHを押し当てて超音波振動を与え、第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面を超音波溶接する工程である。
【0054】
具体的に、本実施形態においては、ホーンH及びアンビルAを備えた超音波溶接装置を用いる。なお、ホーンHは、発振部から発振される超音波振動に共振し、超音波の周波数域以上の周波数の振動を対象物に付与するものであり、アンビルAは対象物を支持する台座である。
【0055】
本実施形態では、まず、図8に示すように、負極外部端子26における第1層L1の側の表面にアンビルAを押し当てるとともに、負極外部端子26における第3層L3の側の表面に垂直方向(Z軸方向)に沿ってホーンHを押し当てて加圧する。本実施形態においては、ホーンHとして、負極外部端子26における第3層L3の側の表面のうち三層構造部位TLに対応する部分にのみ先端が接触し、非三層構造部位ULに対応する部分に先端が接触しない形状のものを用いる。より具体的には、図7に示すZ軸方向視円環状の三層構造部位TLに対応するように、先端面の形状が円環状であるホーンHを用いる。つまり、本実施形態において、ホーンHの形状は、負極外部端子26における第3層L3の側の表面全体のうち、三層構造部位TLにおける第3層L3の表面部分を含む一部にのみ先端が接触する形状である。より具体的には、ホーンHの形状は、三層構造部位TLにおける第3層L3の表面部分以外に先端が接触しない形状である。
【0056】
ついで、ホーンHによって第3層L3の表面と平行な方向(加圧方向と直交する方向)の超音波振動を与える。これにより、第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面を超音波溶接し、負極外部端子26と負極集電端子28とを接合する。図8には、負極外部端子26と負極集電端子28との接合部を網掛けで示した。
【0057】
このように、本実施形態の負極端子NSの製造方法では、負極外部端子26と負極集電端子28とで三層構造部位TLを形成し、当該三層構造部位TLの第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面の2か所を接合部として負極外部端子26と負極集電端子28とを接合する。そのため、超音波溶接に使用するホーンHの先端面積が同じであれば、例えば、2つの部材が単に二層構造をなしている部分を超音波溶接した場合よりも接合面積が増加する。したがって、負極端子NSの大型化やホーンH/アンビルAの大型化を要することなく、負極外部端子26と負極集電端子28との間の接合面積を容易に増加できる。よって、本実施形態の負極端子NSの製造方法によれば、負極外部端子26と負極集電端子28との間の導通抵抗を低減した負極端子NSを製造できる。そして、この負極端子NSを二次電池1に用いることで、当該二次電池1の高出力化を実現できる。
【0058】
また、本実施形態の負極端子NSの製造方法では、超音波溶接時に負極集電端子28にホーンH及びアンビルAが接触しない。そのため、負極集電端子28を構成する銅由来の異物やバリの発生を抑制でき、二次電池1の性能に悪影響を与え易い銅の混入を抑制できる。したがって、本実施形態の負極端子NSの製造方法によれば、銅由来の異物やバリの発生に起因する化学短絡等の発生を抑え、二次電池1の性能低下や発火などの問題の発生が抑えられる。
【0059】
このように、本実施形態の負極端子NSの製造方法によれば、二次電池1の高出力化を実現でき、且つ、不良率の低下を実現できる。
【0060】
また、本実施形態の負極端子NSの製造方法によれば、三層構造部位TLにおける第3層L3の表面部分以外に先端が接触しない形状のホーンHを用いて超音波溶接を行っている。これにより、アンビルA側の負極外部端子26の変位量を低減し、第1層L1と第2層L2との界面(換言すれば、ホーンHから離れた側の界面)における負極外部端子26と負極集電端子28との間の相対変位量を増加させ、当該第1層L1と第2層L2との界面での接合を促進できる。
【0061】
〔別実施形態〕
〔1〕上記実施形態では、負極外部端子26に形成された加締め部26cを加締め加工して負極外部端子26と負極集電端子28とを機械的に接合する態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。例えば、負極集電端子に加締め部が設けられ、当該加締め部を加締め加工する態様であってもよい。
【0062】
〔2〕上記実施形態では、負極外部端子26と負極集電端子28とを超音波溶接する態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。外部端子や集電端子が異なる金属材料からなる2つの部材で構成される態様を採用し、これら2つの部材を加締め加工を施して三層構造部位を形成し、第1層と第2層との界面及び第2層と第3層との界面を超音波溶接して外部端子や集電端子を製造する態様であってもよい。
【0063】
〔3〕上記実施形態では、ホーンHとして、先端面が円環状のものを使用した態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。ホーンHの先端面の形状は、三層構造部位TLにおける第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面を超音波溶接可能な形状であれば、特に限定されるものではない。
【0064】
図9は、他の実施形態に係るホーンHの先端面の形状の一例を示す図である。図10は、図9に示すホーンHを用いて超音波溶接を行う際の接合部を説明するための模式図であり、同図において接合部は網掛けで示した。ホーンHとして、先端面の形状が図9(a)に示すようなZ軸方向視半円環状のものを採用する態様であってもよい。この場合、図10(a)に示すように、Z軸方向視円環状の三層構造部位TLの上半分に対応するようにホーンHの先端面を接触させて超音波溶接を行うと、接合部は半円環状となる。また、図9(b)に示すように、ホーンHの先端面の形状としてZ軸方向視半円状を採用する態様であってもよい。この場合、図10(b)に示すように、ホーンHの先端が三層構造部位TL及び非三層構造部位ULの表面に接触した状態となり、接合部は半円環状となる。また、図9(c)に示すように、ホーンHの先端面の形状としてZ軸方向視矩形状を採用する態様であってもよい。ホーンHの先端面の形状は、上記半円環状や半円形状、矩形状その他の形状を複数組み合わせた形状であってもよい。例えば、先端面の形状がZ軸方向視において上下に2つの矩形状を並べた形状のホーンHを用いて超音波溶接を行うことで、図10(c)に示すように、接合部はZ軸方向視において2つの矩形状が並んだ形状となる。
【0065】
〔4〕上記実施形態では、負極外部端子26における第3層L3の表面全体のうち、三層構造部位TLにおける第3層L3の表面部分にのみホーンHの先端面を接触させて超音波溶接を行う態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。必ずしもホーンHの先端面を三層構造部位TLにおける第3層L3の表面部分にのみ接触させる態様である必要はない。第1部材における第1層又は第3層の表面全体にホーンの先端面を接触させて超音波溶接を行う態様であってもよい。また、図11に示すように、負極外部端子26における第1層L1の側の表面にアンビルAを押し当て、負極外部端子26における第3層L3の側の表面全体のうち、三層構造部位TLにおける第3層L3の表面部分と、非三層構造部位ULの表面部分との両方にホーンHの先端面を接触させて超音波溶接を行う態様であってもよい。
【0066】
〔5〕上記実施形態では、負極外部端子26の加締め部26cを負極集電端子28の貫通孔28cに挿通し、加締め部26cをプレス加工によって変形させることにより、負極外部端子26と負極集電端子28とを機械的に接合しつつ、円環状の三層構造部位TLを形成する態様に説明したが、このような態様に限られるものではない。三層構造部位が形成されるような加締め加工であれば、どのような加工であってもよく、加締め加工によって形成される三層構造部位の形状もどのような形状であってもよい。
【0067】
図12は、別実施形態に係る三層構造部位形成工程を説明するための模式図であり、図13は、図12のXIII-XIII部分の断面図である。例えば、図12に示すように、板状の負極外部端子40を負極集電端子41における板状の端子接続部41bの縁に沿って折り曲げることにより、負極外部端子40と負極集電端子41とを機械的に接合する。これにより、図13に示すように、Z軸方向視矩形状の三層構造部位TLを形成する態様であってもよい。このように、三層構造部位TLが矩形状である場合でも、超音波溶接に使用するホーンHは、先端面の形状が三層構造部位TLにおける第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面を超音波溶接可能な形状であれば、特に限定されるものではない。なお、三層構造部位TLが矩形状である場合に超音波溶接に使用するホーンHの先端面の形状としては、例えば、三層構造部位と同じサイズの矩形状を例示できる。
【0068】
〔6〕上記実施形態では、超音波溶接工程において、三層構造部位TLの第1層L1の側をアンビルAで固定し、第3層L3の側にホーンHを押し当てて超音波振動を与え、第1層L1と第2層L2との界面及び第2層L2と第3層L3との界面を超音波溶接する態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。例えば、超音波溶接工程は、まず、三層構造部位の第1層の側をアンビルで固定し、第3層の側にホーンを押し当てて超音波振動を与えた後、ホーンとアンビルの位置を入れ替えて第1層の側にホーンHを押し当てて超音波振動を与え、第1層と第2層との界面及び第2層と第3層との界面を超音波溶接する態様であってもよい。
【0069】
〔7〕上記実施形態では、第1部材としての負極外部端子26がアルミニウムからなり、第2部材としての負極集電端子28が銅からなる態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。第1部材の第1金属材料としてアルミニウム合金、第2部材の第2金属材料として銅合金を用いる態様であってもよいし、各金属材料としてその他の導電性の良好な各種金属や合金を用いる態様であってもよい。
【0070】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 :二次電池
11 :ケース本体(筐体)
12 :封口板(蓋体)
20 :電極体
25 :正極外部端子
26 :負極外部端子(第1部材)
27 :正極集電端子
28 :負極集電端子(第2部材)
TL :三層構造部位
L1 :第1層
L2 :第2層
L3 :第3層
NS :負極端子(電池端子)
A :アンビル
H :ホーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13