(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172002
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】物体認識装置及び物体認識方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241205BHJP
G01S 13/66 20060101ALI20241205BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20241205BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01S13/66
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089408
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 正憲
(72)【発明者】
【氏名】立岩 真一
【テーマコード(参考)】
5H181
5J070
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
5J070AB24
5J070AC01
5J070AE20
5J070AF03
5J070AH31
5J070AK22
5J070BB06
5J070BD10
5J070BF01
5J070BF11
(57)【要約】
【課題】周囲物体のヨー角の回転及び移動、及び自車両のヨー角の回転及び移動を考慮して、周囲車両の位置関連情報を精度よく予測することができる物体認識装置及び物体認識方法を提供する。
【解決手段】前回の対象時刻における、周囲物体の相対位置の予測値、絶対速度の予測値、相対ヨー角の予測値、及びヨー角速度の予測値に基づいて、前回の対象時刻の自車両の位置を基準にした周囲物体の相対位置の変換前予測値、及び相対ヨー角の変換前予測値を予測し、自車両の移動量及びヨー角変化量に基づいて、周囲物体の相対位置の変換前予測値及び相対ヨー角の変換前予測値を、今回の対象時刻の自車両の位置を基準にした周囲物体の相対位置の予測値及び相対ヨー角の予測値に変換する物体認識装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の絶対速度の検出値及びヨー角速度の検出値を取得する自車両情報取得部と、
前回の対象時刻における、前記自車両の周囲に存在する周囲物体の前記自車両の位置を基準にした相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記自車両の位置を基準にした前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値に基づいて、前記前回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記前回の対象時刻とは異なる今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の変換前予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値を予測する物体運動予測部と、
前記前回の対象時刻で取得した前記自車両の絶対速度の検出値及び前記自車両のヨー角速度の検出値に基づいて、前記前回の対象時刻から前記今回の対象時刻までの、前記自車両の移動量と前記自車両のヨー角変化量とを予測する自車両運動予測部と、
前記自車両の移動量及び前記自車両のヨー角変化量に基づいて、前記周囲物体の前記相対位置の変換前予測値及び前記周囲物体の前記相対ヨー角の変換前予測値を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の予測値及び前記周囲物体の相対ヨー角の予測値に変換する物体運動変換部と、
を備えた物体認識装置。
【請求項2】
周囲情報取得部及び予測値比較更新部を更に備え、
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体について、絶対速度の検出値、前記自車両の位置を基準にした相対位置の検出値及び相対ヨー角の検出値を取得し、
前記予測値比較更新部は、前記今回の対象時刻における前記周囲物体の相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値を含む前記今回の対象時刻の予測データと、前記今回の対象時刻において取得した前記周囲物体の相対位置の検出値、前記周囲物体の絶対速度の検出値、及び前記周囲物体の相対ヨー角の検出値を含む前記今回の対象時刻の検出データと、を比較して、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データとが対応するか否かを判定し、対応すると判定した場合は、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データに基づいて、前記今回の対象時刻の予測データを更新する請求項1に記載の物体認識装置。
【請求項3】
前記物体運動変換部は、前記今回の対象時刻における、前記自車両の絶対速度の検出値、及び前記周囲物体の相対ヨー角の予測値に基づいて、前記周囲物体の絶対速度の予測値を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における前記周囲物体の相対速度の予測値を変換する請求項1又は2に記載の物体認識装置。
【請求項4】
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体のヨー角速度の検出値を取得し、
前記今回の対象時刻の検出データは、前記周囲物体のヨー角速度の検出値を含む請求項2に記載の物体認識装置。
【請求項5】
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体の絶対加速度の検出値を取得し、
前記今回の対象時刻の検出データは、前記周囲物体の絶対加速度の検出値を含む請求項2に記載の物体認識装置。
【請求項6】
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体の形状情報を取得し、
前記予測値比較更新部は、前記周囲物体の形状情報を考慮して、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データとが対応するか否かを判定すると共に前記今回の対象時刻の予測データを更新する請求項2に記載の物体認識装置。
【請求項7】
前記自車両情報取得部は、前記自車両のピッチ角の検出値及び前記自車両のロール角の検出値一方又は双方、並びに前記自車両のピッチ角速度の検出値及びロール角速度の検出値の一方又は双方を取得し、
前記物体運動予測部は、前回の対象時刻における、前記自車両の周囲に存在する周囲物体の相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値、前記周囲物体の相対ピッチ角の予測値及び相対ロール角の予測値の一方又は双方、並びに前記周囲物体のピッチ角速度の予測値及びロール角速度の予測値の一方又は双方に基づいて、前記前回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の変換前予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値、前記周囲物体の相対ピッチ角の変換前予測値及び相対ロール角の変換前予測値の一方又は双方、並びに前記周囲物体のピッチ角速度の予測値及びロール角速度の予測値の一方又は双方を予測し、
前記自車両運動予測部は、前記前回の対象時刻で取得した、前記自車両のピッチ角速度の検出値、及び前記自車両のロール角速度の検出値の一方又は双方に基づいて、前記前回の対象時刻から前記今回の対象時刻までの、前記自車両のピッチ角変化量及び前記自車両のロール角変化量の一方又は双方を更に演算し、
前記物体運動変換部は、前記自車両の移動量、前記自車両のヨー角変化量、並びに前記自車両のピッチ角変化量及び前記自車両のロール角変化量の一方又は双方に基づいて、前記周囲物体の前記相対位置の変換前予測値、前記相対ヨー角の変換前予測値、並びに前記相対ピッチ角の変換前予測値及び前記相対ロール角の変換前予測値の一方又は双方を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の予測値、前記相対ヨー角の予測値、並びに前記相対ピッチ角の予測値及び前記相対ロール角の予測値の一方又は双方に変換する請求項1に記載の物体認識装置。
【請求項8】
周囲情報取得部及び予測値比較更新部を更に備え、
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体の相対位置の検出値、前記周囲物体の絶対速度の検出値、前記周囲物体の相対ヨー角の検出値、並びに前記周囲物体の相対ピッチ角の検出値及び相対ロール角の検出値の一方又は双方を取得し、
前記予測値比較更新部は、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、前記周囲物体のヨー角速度の予測値、前記相対ピッチ角の予測値及び前記相対ロール角の予測値の一方又は双方、並びに前記周囲物体のピッチ角速度の予測値及びロール角速度の予測値の一方又は双方を含む前記今回の対象時刻の予測データと、前記今回の対象時刻において取得した前記周囲物体の相対位置の検出値、前記周囲物体の絶対速度の検出値、前記周囲物体の相対ヨー角の検出値、並びに前記相対ピッチ角の検出値及び前記相対ロール角の検出値の一方又は双方を含む前記今回の対象時刻の検出データと、を比較して、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データとが対応するか否かを判定し、対応すると判定した場合は、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データに基づいて、前記今回の対象時刻の予測データを更新する請求項7に記載の物体認識装置。
【請求項9】
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体のヨー角速度の検出値、並びに前記周囲物体のロール角速度の検出値及びピッチ角速度の検出値の一方又は双方を取得し、
前記今回の対象時刻の検出データは、前記周囲物体のヨー角速度の検出値、並びに前記周囲物体のピッチ角速度の検出値及びロール角速度の検出値の一方又は双方を含む請求項8に記載の物体認識装置。
【請求項10】
以下の各ステップを演算処理装置に実行させる物体認識方法であって、
自車両の絶対速度の検出値及びヨー角速度の検出値を取得する自車両情報取得ステップと、
前回の対象時刻における、前記自車両の周囲に存在する周囲物体の相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値に基づいて、前記前回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記前回の対象時刻とは異なる今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の変換前予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値を予測する物体運動予測ステップと、
前記前回の対象時刻で取得した前記自車両の絶対速度の検出値及び前記自車両のヨー角速度の検出値に基づいて、前記前回の対象時刻から前記今回の対象時刻までの、前記自車両の移動量と前記自車両のヨー角変化量とを予測する自車両運動予測ステップと、
前記自車両の移動量及び前記自車両のヨー角変化量に基づいて、前記周囲物体の前記相対位置の変換前予測値及び前記周囲物体の前記相対ヨー角の変換前予測値を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の予測値及び前記周囲物体の相対ヨー角の予測値に変換する物体運動変換ステップと、
を備えた物体認識方法。
【請求項11】
周囲情報取得ステップ及び予測値比較更新ステップを更に備え、
前記周囲情報取得ステップでは、前記周囲物体について、絶対速度の検出値、前記自車両の位置を基準にした相対位置の検出値及び相対ヨー角の検出値を取得し、
前記予測値比較更新ステップでは、前記今回の対象時刻における前記周囲物体の相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値を含む前記今回の対象時刻の予測データと、前記今回の対象時刻において取得した前記周囲物体の相対位置の検出値、前記周囲物体の絶対速度の検出値、及び前記周囲物体の相対ヨー角の検出値を含む前記今回の対象時刻の検出データと、を比較して、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データとが対応するか否かを判定し、対応すると判定した場合は、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データに基づいて、前記今回の対象時刻の予測データを更新する請求項10に記載の物体認識方法。
【請求項12】
前記物体運動変換ステップでは、前記今回の対象時刻における、前記自車両の絶対速度の検出値、及び前記周囲物体の相対ヨー角の予測値に基づいて、前記周囲物体の絶対速度の予測値を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における前記周囲物体の相対速度の予測値を変換する請求項10又は11に記載の物体認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この本願は、物体認識装置及び物体認識方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の技術では、センサで検出した複数の物体それぞれについて、同一物体と判定する統合判定距離を初期設定し、センサ検出情報に基づいて物体の進行方向を推定し、統合判定距離を進行方向に沿って拡大し、統合判定距離に基づいて物体を統合する。物体の進行方向は、物体の絶対速度、または、物体の形状の長手方向から推定する。
【0003】
特許文献2の技術では、自車両の車速及びヨー角速度を用いて、物体の相対速度を絶対速度に変換し、前回の時刻の物体の相対位置から、今回の時刻の物体の相対位置に変換し、物体の絶対速度を相対速度に変換することで、前回の時刻の物体位置、速度、及びそれらの誤差から、今回の時刻の物体位置、速度、及びそれらの誤差を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7063184号
【特許文献2】特許第7194275号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、絶対速度(対地速度)の方向、または物体形状の長手方向を物体の向き(進行方向)として推定し、物体の向きに沿って統合判定距離を拡大する。しかしながら、物体が右左折したり、小さい旋回半径で曲がったりして、物体の向きが変化する場合には、物体の向きの推定精度が劣化し、統合に失敗する問題があった。
【0006】
特許文献2の技術では、自車両の車速及びヨー角速度を用いて、物体の相対速度を絶対速度(対地速度)に変換し、前回の時刻における物体位置から、今回の時刻における物体位置を予測し、物体の絶対速度を相対速度に変換する。これを利用すれば、予測する時刻間での自車両の移動及び旋回を考慮して、物体の絶対速度の方向、すなわち物体の向きを予測することができる。しかし、相対速度を絶対速度に変換し、あるいは絶対速度から相対速度に変換するたびに、物体の相対速度誤差に自車両の対地速度誤差が複数回重畳することとなる。このため、予測精度が劣化してしまう問題点があった。また、特許文献2の技術では、自車両のヨー角速度は考慮されているが、物体のヨー角速度は考慮されておらず、特許文献1と同様に、物体が旋回する場合に、推定精度が悪化する問題があった。
【0007】
そこで、本願は、自車両に対する周囲物体の相対速度の予測値を、周囲物体の絶対速度の予測値に変換した後、周囲物体の相対速度の予測値に再変換することなく、周囲物体のヨー角の回転及び移動、及び自車両のヨー角の回転及び移動を考慮して、周囲車両の位置関連情報を精度よく予測することができる物体認識装置及び物体認識方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に係る物体認識装置は、
自車両の絶対速度の検出値及びヨー角速度の検出値を取得する自車両情報取得部と、
前回の対象時刻における、前記自車両の周囲に存在する周囲物体の前記自車両の位置を基準にした相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記自車両の位置を基準にした前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値に基づいて、前記前回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記前回の対象時刻とは異なる今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の変換前予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値を予測する物体運動予測部と、
前記前回の対象時刻で取得した前記自車両の絶対速度の検出値及び前記自車両のヨー角速度の検出値に基づいて、前記前回の対象時刻から前記今回の対象時刻までの、前記自車両の移動量と前記自車両のヨー角変化量とを予測する自車両運動予測部と、
前記自車両の移動量及び前記自車両のヨー角変化量に基づいて、前記周囲物体の前記相対位置の変換前予測値及び前記周囲物体の前記相対ヨー角の変換前予測値を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の予測値及び前記周囲物体の相対ヨー角の予測値に変換する物体運動変換部と、
を備えたものである。
【0009】
本願に係る物体認識方法は、以下の各ステップを演算処理装置に実行させる物体認識方法であって、
自車両の絶対速度の検出値及びヨー角速度の検出値を取得する自車両情報取得ステップと、
前回の対象時刻における、前記自車両の周囲に存在する周囲物体の相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値に基づいて、前記前回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記前回の対象時刻とは異なる今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の変換前予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値を予測する物体運動予測ステップと、
前記前回の対象時刻で取得した前記自車両の絶対速度の検出値及び前記自車両のヨー角速度の検出値に基づいて、前記前回の対象時刻から前記今回の対象時刻までの、前記自車両の移動量と前記自車両のヨー角変化量とを予測する自車両運動予測ステップと、
前記自車両の移動量及び前記自車両のヨー角変化量に基づいて、前記周囲物体の前記相対位置の変換前予測値及び前記周囲物体の前記相対ヨー角の変換前予測値を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の予測値及び前記周囲物体の相対ヨー角の予測値に変換する物体運動変換ステップと、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本願に係る物体認識装置及び物体認識方法によれば、物体運動予測部において、周囲物体の絶対速度の予測値が、相対速度の予測値に変換され、絶対速度の予測値に再変換されることなく、そのまま用いられる。よって、変換及び再変換による精度悪化を抑制できる。また、物体運動予測部において、前回の対象時刻の自車両の位置を基準にして、今回の対象時刻における周囲物体の相対位置の変換前予測値及び周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値が予測されるので、自車両の運動から分離して、周囲物体のヨー角の回転及び移動を精度よく予測することができる。自車両運動予測部では、自車両の運動として、前回の対象時刻から今回の対象時刻までの自車両の移動量と自車両のヨー角変化量とが予測される。そして、物体運動変換部において、自車両の移動量及びヨー角変化量に基づいて、周囲物体の相対位置の変換前予測値及び相対ヨー角の変換前予測値が、今回の対象時刻の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻における周囲物体の相対位置の予測値及び相対ヨー角の予測値に変換される。よって、周囲物体のヨー角の回転及び移動、及び自車両のヨー角の回転及び移動を考慮して、周囲車両の相対位置の予測値及び相対ヨー角の予測値を精度よく予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る物体認識装置及び車両制御装置の概略ブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る物体認識装置及び車両制御装置の概略ハードウェア構成図である。
【
図3】実施の形態1に係る物体認識装置及び車両制御装置の別例の概略ハードウェア構成図である。
【
図4】実施の形態1に係る物体認識装置及び車両制御装置の概略的な処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施の形態1に係る自車両の座標系を説明するための図である。
【
図6】実施の形態1に係る自車両運動予測部の処理を説明するための図である。
【
図7】実施の形態1に係る物体運動予測部の処理を説明するための図である。
【
図8】実施の形態1に係る物体運動変換部の処理を説明するための図である。
【
図9】実施の形態2に係る自車両の座標系を説明するための図である。
【
図10】その他の実施の形態に係る周囲物体の形状情報を含めた予測データを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施の形態1
実施の形態1に係る物体認識装置1について図面を参照して説明する。本実施の形態では、物体認識装置1は、車両制御装置30に組み込まれている。
【0013】
図1に示すように、自車両は、周囲監視装置31、位置検出装置32、車両状態検出装置33、無線通信装置34、車両制御装置30、駆動制御装置35、動力機8、電動操舵装置7、電動ブレーキ装置9、及びヒューマンインターフェイス装置36等を備えている。
【0014】
周囲監視装置31は、車両の周囲を監視するカメラ、レーダ等の装置である。レーダには、ミリ波レーダ、レーザレーダ(LiDAR:Light Detection and Ranging)、超音波レーダ等が用いられる。複数種類の周囲監視装置31が備えられる場合は、検出結果がフュージョンされてもよい。
【0015】
位置検出装置32は、自車両の現在位置(緯度、経度、高度)を検出する。位置検出装置32として、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の人工衛星から出力される信号を受信するGNSSアンテナ等が用いられる。なお、自車両の現在位置の検出には、自車両の走行車線番号を用いた方法、マップマッチング法、デッドレコニング法、自車両の周囲の検出情報を用いた方法等の各種の方法が併用されてもよい。
【0016】
無線通信装置34は、4G、5G等のセルラー方式の無線通信の規格を用いて、基地局等と無線通信を行う。無線通信装置34は、無線通信により、自車両の周囲に存在する周囲車両及び路側機などと通信を行って、各種の情報を取得する。
【0017】
駆動制御装置35として、動力制御装置、ブレーキ制御装置、自動操舵制御装置、及びライト制御装置等が備えられている。動力制御装置は、内燃機関、モータ等の動力機8の出力を制御する。ブレーキ制御装置は、電動ブレーキ装置9のブレーキ動作を制御する。自動操舵制御装置は、電動操舵装置7を制御する。ライト制御装置は、方向指示器、ハザードランプ等を制御する。
【0018】
車両状態検出装置33は、自車両の走行状態を検出する検出装置である。自車両の走行状態として、自車両の絶対速度Ve、絶対加速度αe、自車両の絶対進行方向(進行方位)、ヨー角速度ωe、ロール角Φe、ロール角速度φe、ピッチ角Γe、ピッチ角速度γeが検出される。絶対速度Ve及び絶対加速度αeは、地面に対する速度及び加速度である。ロール角Φe及びピッチ角Γeは、水平面に対する角度である。例えば、車両状態検出装置33として、車輪の回転速度を検出する速度センサ、加速度センサ、方位計、自車両に働くヨー角速度ωe、ロール角速度φe、及びピッチ角速度γeを検出する3軸の角速度センサ、ロール角Φe、ピッチ角Γeを検出する水平センサ等が設けられる。なお、本実施の形態では、少なくとも、角度関連情報として、絶対進行方向(進行方位)、及びヨー角速度ωeが検出されればよい。また、自車両の速度は、加速度を積分するなど、他の方法により検出されてもよい。
【0019】
ヒューマンインターフェイス装置36は、スピーカ、表示画面、及び入力装置等の運転者の入力を受け付けたり、運転者に情報を伝達したりする装置である。
【0020】
1-1.車両制御装置30
車両制御装置30は、自車両情報取得部51、周囲情報取得部52、自車両運動予測部53、物体運動予測部54、物体運動変換部55、予測値比較更新部56、及び車両制御部57等の機能部を備えている。車両制御装置30の各機能は、車両制御装置30が備えた処理回路により実現される。具体的には、
図2に示すように、車両制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90、記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入出力する入出力装置92等を備えている。
【0021】
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、AI(Artificial Intelligence)チップ、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ハードディスク等の各種の記憶装置が用いられる。
【0022】
入出力装置92には、通信装置、A/D変換器、入出力ポート、駆動回路等が備えられる。入出力装置92は、周囲監視装置31、位置検出装置32、車両状態検出装置33、無線通信装置34、駆動制御装置35、及びヒューマンインターフェイス装置36等に接続され、これらの装置と通信を行う。
【0023】
そして、車両制御装置30が備える各機能部51から57等の各機能は、演算処理装置90が、記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91及び入出力装置92等の車両制御装置30の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各機能部51から57等が用いる各種の設定データは、EEPROM等の記憶装置91に記憶されている。
【0024】
或いは、車両制御装置30は、処理回路として、
図3に示すように、専用のハードウェア93、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC、FPGA、GPU、AIチップ、又はこれらを組み合せた回路等が備えられてもよい。以下、車両制御装置30の各機能について詳細に説明する。
【0025】
図4は、本実施の形態に係る物体認識装置1及び車両制御装置30の処理(物体認識方法及び車両制御方法)を説明する概略的なフローチャートである。
図4の処理は、演算処理装置90が記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行することにより、例えば、対象時刻の周期ごとに実行される。なお、各ステップの演算周期が異なっていてもよい。
【0026】
1-1-1.自車両情報取得部51
図4のステップS01で、自車両情報取得部51は、周期的に、自車両の走行状態を取得する。自車両情報取得部51は、車両状態検出装置33の検出情報に基づいて、自車両の絶対速度の検出値Ve_det及びヨー角速度の検出値ωe_detを取得する。また、自車両情報取得部51は、車両状態検出装置33の検出情報に基づいて、自車両の絶対進行方向(進行方位)の検出値を取得する。自車両の絶対進行方向は、自車両の縦方向Xの方位である。
【0027】
自車両情報取得部51は、車両状態検出装置33の検出情報に基づいて、自車両の絶対加速度の検出値αe_detを取得する。
【0028】
また、自車両情報取得部51は、位置検出装置32から、自車両の位置座標(緯度、経度、高度)の検出値を取得する。自車両情報取得部51は、自車両の位置座標に基づいて、自車両の絶対速度の検出値Ve_det、絶対加速度の検出値αe_det、絶対進行方向の検出値を取得してもよい。自車両情報取得部51は、GNSS信号を検出できない場合などに、車両状態検出装置33の検出情報の時系列データに基づいて位置座標の検出値を更新してもよい。
【0029】
1-1-2.周囲情報取得部52
図4のステップS02で、周囲情報取得部52は、周期的に、自車両の周囲に存在する周囲物体の位置関連情報を取得する。周囲情報取得部52は、周囲物体について、絶対速度の検出値Vs_det及びヨー角速度の検出値ωs_detを取得する。また、周囲情報取得部52は、周囲物体について、自車両の位置を基準にした相対位置の検出値RPs_det、自車両の位置を基準にした相対ヨー角の検出値θs_detを取得する。周囲物体の相対ヨー角θsは、自車両の縦方向Xに対する周囲物体(周囲車両)の進行方向(縦方向)の相対角度である。以下では、周囲物体が、移動している周囲車両である場合を例に説明する。なお、周囲物体が、停止している各種の物体であってもよい。複数の周囲物体が検出される場合は、各周囲物体について、物体認識装置1の処理が行われる。
【0030】
周囲情報取得部52は、自車両の座標系において、周囲物体の各種の相対情報の検出値を取得する。
図5に示すように、自車両の座標系は、自車両の縦方向X及び横方向Yを座標軸とした座標系である。本実施の形態では、自車両の座標系の原点は、ニュートラルステアポイント等の自車両の代表点に設定される。
【0031】
本実施の形態では、周囲情報取得部52は、周囲監視装置31の検出情報に基づいて、周囲物体について、自車両の位置を基準にした相対位置の検出値RPs_det[RPsX_det、RPsY_det]、相対ヨー角の検出値θs_det、相対速度の検出値RVs_det[RVsX_det、RVsY_det]、及び相対加速度の検出値Rαs_det[RαsX_det、RαsY_det]を取得する。これらの取得には、公知の各種の方法が用いられる。ここで、RPsX_detは、相対位置の検出値の縦方向X成分であり、RPsY_detは、相対位置の検出値の横方向Y成分である。また、RVsX_detは、相対速度の検出値の縦方向X成分であり、RVsY_detは、相対速度の検出値の横方向Y成分である。
【0032】
周囲情報取得部52は、自車両の絶対速度の検出値Ve_detに周囲物体の相対速度の検出値RVs_det[RVsX_det、RVsY_det]を加算することによって、周囲物体の絶対速度の検出値Vs_detを演算する。例えば、周囲情報取得部52は、自車両の絶対速度の検出値Ve_detに、周囲物体の相対速度の検出値の縦方向X成分RVsX_detを加算した値と、周囲物体の相対速度の検出値の横方向Y成分RVsY_detと、からなるベクトルの大きさを、周囲物体の絶対速度の検出値Vs_detとして演算する。
【0033】
周囲情報取得部52は、自車両の絶対加速度の検出値αe_detに周囲物体の相対加速度の検出値Rαs_det[RαsX_det、RαsY_det]を加算することによって、周囲物体の絶対加速度の検出値αs_detを演算する。例えば、周囲情報取得部52は、自車両の絶対加速度の検出値αe_detに、周囲物体の相対加速度の検出値の縦方向X成分RαsX_detを加算した値と、周囲物体の相対加速度の検出値の横方向Y成分RαsY_detと、からなるベクトルの大きさを、周囲物体の絶対加速度の検出値αs_detとして演算する。ここで、RαsX_detは、相対加速度度の検出値の縦方向X成分であり、RαsY_detは、相対加速度の検出値の横方向Y成分である。
【0034】
なお、周囲情報取得部52は、相対ヨー角の検出値θs_detの時系列データに基づいて、相対ヨー角の変化角速度を演算し、相対ヨー角の変化角速度に、自車両のヨー角速度の検出値ωe_detを加算することによって、周囲物体のヨー角速度の検出値ωs_detを演算してもよい。
【0035】
或いは、周囲情報取得部52は、周囲物体の車両制御装置から、無線通信装置34を介して、周囲物体の絶対速度の検出値Vs_det、絶対加速度の検出値αs_det、絶対進行方向の検出値、及びヨー加速度の検出値ωs_detを周期的に取得してもよい。
【0036】
1-1-3.自車両運動予測部53
<自車両の移動量ΔLeと自車両のヨー角変化量Δθe>
図4のステップS03で、
図6に示すように、自車両運動予測部53は、前回の対象時刻t(k-1)で取得した自車両の絶対速度の検出値Ve_det(k-1)及び自車両のヨー角速度の検出値ωe_det(k-1)に基づいて、前回の対象時刻t(k-1)から今回の対象時刻t(k)までの、自車両の移動量ΔLeと自車両のヨー角変化量Δθeとを予測する。今回の対象時刻は、前回の対象時刻とは異なる時刻に設定される。本実施の形態では、今回の対象時刻t(k)は、前回の対象時刻t(k-1)よりも後の時刻とされている。なお、今回の対象時刻は、前回の対象時刻よりも前の時刻とされてもよい。時刻は、車両制御装置30(CPU等)が有するタイマー機能により取得可能である。
【0037】
本実施の形態では、自車両運動予測部53は、次式に示すように、前回の対象時刻t(k-1)で取得した自車両の絶対速度の検出値Ve_det(k-1)に基づいて、自車両の移動量ΔLeを予測する。ここで、ΔTは、後述するように、前回の対象時刻t(k-1)から今回の対象時刻t(k)までの時間間隔である。
【数1】
【0038】
或いは、自車両運動予測部53は、次式に示すように、前回の対象時刻t(k-1)で取得した自車両の絶対速度の検出値Ve_det(k-1)及び前回の対象時刻t(k-1)で取得した自車両の絶対速度の検出値αe_det(k-1)に基づいて、自車両の移動量ΔLeを予測してもよい。
【数2】
【0039】
本実施の形態では、自車両運動予測部53は、次式に示すように、前回の対象時刻t(k-1)で取得した自車両のヨー角速度の検出値ωe_det(k-1)に基づいて、自車両のヨー角変化量Δθeを予測する。なお、式(2)の移動量ΔLeの予測と同様に、ヨー角加速度が考慮されてもよい。
【数3】
【0040】
1-1-4.物体運動予測部54
<相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)、及び相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)>
図4のステップS04で、
図7に示すように、物体運動予測部54は、前回の対象時刻t(k-1)における、周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k-1)、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k-1)、周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k-1)、及び周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)に基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)、周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)、及び周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k)を予測する。
【0041】
この構成によれば、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_estが、相対速度の予測値に変換され、絶対速度の予測値に再変換されることなく、そのまま用いられる。よって、変換及び再変換による精度悪化を抑制できる。また、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にして、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)及び周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)が予測されるので、自車両の運動から分離して、周囲物体のヨー角の回転及び移動を精度よく予測することができる。
【0042】
対象時刻は、各検出値の検出時刻に対応している。対象時刻は、周囲情報取得部52及び自車両情報取得部51の検出時刻に対応して設定される。前回の対象時刻t(k-1)は、今回の対象時刻t(k)よりも1つ前の対象時刻である。今回の対象時刻t(k)は、現在の対象時刻t(k)でなく、過去の任意の対象時刻であってもよく、過去から現在に向かって、対象時刻が1つずつ変化されればよい。
【0043】
前回の対象時刻t(k-1)と今回の対象時刻t(k)との時間間隔をΔTとする。パラメータの種類ごとに、時間間隔ΔTの設定に、実際の検出時刻から対象時刻までの時間遅れが考慮されてもよい。パラメータの種類ごとに、前回の対象時刻t(k-1)、今回の対象時刻t(k)、及び時間間隔ΔTが異なる場合は、パラメータの種類ごとに、前回の対象時刻t(k-1)、今回の対象時刻t(k)、及び時間間隔ΔTが変化されてもよい。
【0044】
物体運動予測部54は、式(4)及び式(5)を用いて、前回の対象時刻t(k-1)における周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k-1)[RPsX_est(k-1)、RPsY_est(k-1)]、周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k-1)、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k-1)、及び周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)に基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)[RPsX_tmp(k)、RPsY_tmp(k)]を予測する。ここで、前回の対象時刻t(k-1)における周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)が0でない場合は、式(4)が用いられ、前回の対象時刻t(k-1)における周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)が0である場合は、式(5)が用いられる。式(5)は、ωs_est(k-1)による0割を防止するためであり、ωs_est(k-1)→0にした場合の収束先である。なお、前回の対象時刻t(k-1)の各予測値は、予測値比較更新部56により更新された後の前回の対象時刻t(k-1)の各予測値が用いられる。
【数4】
【数5】
【0045】
ここで、RPsX_tmpは、相対位置の変換前予測値の縦方向X成分であり、RPsY_tmpは、相対位置の変換前予測値の横方向Y成分である。RPsX_estは、相対位置の予測値の縦方向X成分であり、RPsY_estは、相対位置の予測値の横方向Y成分である。
【0046】
物体運動予測部54は、次式を用いて、前回の対象時刻t(k-1)における周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k-1)、及び周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)に基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)を予測する。
【数6】
【0047】
<周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)>
本実施の形態では、物体運動予測部54は、少なくとも前回の対象時刻t(k-1)で予測した周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k-1)に基づいて、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)を予測する。本実施の形態では、次式に示すように、物体運動予測部54は、前回の対象時刻t(k-1)で予測した周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k-1)を、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)として設定する。
【数7】
【0048】
<周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k)>
本実施の形態では、物体運動予測部54は、少なくとも前回の対象時刻t(k-1)で予測した周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)に基づいて、今回の対象時刻t(k)における周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k)を予測する。本実施の形態では、次式に示すように、物体運動予測部54は、前回の対象時刻t(k-1)で予測した周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)を、今回の対象時刻t(k)における周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k)として設定する。
【数8】
【0049】
1-1-5.物体運動変換部55
<相対位置の予測値RPs_est(k)及び相対ヨー角の予測値θs_est(k)>
図4のステップS05で、
図8に示すように、物体運動変換部55は、自車両の移動量ΔLe及び自車両のヨー角変化量Δθeに基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)及び周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)を、今回の対象時刻t(k)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k)及び周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k)に変換する。
【0050】
この構成によれば、自車両の移動量ΔLe及びヨー角変化量Δθeに基づいて、周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)及び相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)が、今回の対象時刻t(k)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k)及び相対ヨー角の予測値θs_est(k)に変換される。よって、周囲物体のヨー角の回転及び移動、及び自車両のヨー角の回転及び移動を考慮して、周囲車両の相対位置の予測値RPs_est及び相対ヨー角の予測値θs_estを精度よく予測することができる。相対ヨー角の予測値θs_estは、自車両の進行方向を基準にした、周囲車両の相対進行方向になるので、周囲車両の移動を予測するうえで重要な情報になり、後述する車両制御においても重要な情報になる。
【0051】
本実施の形態では、物体運動変換部55は、次式を用いて、自車両の移動量ΔLe及び自車両のヨー角変化量Δθeに基づいて、周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)[RPsX_tmp(k)、RPsY_tmp(k)]を、今回の対象時刻t(k)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k)[RPsX_est(k)、RPsY_est(k)]に変換する。これ以外にも公知の各種のアフィン変換が用いられてもよい。
【数9】
【0052】
物体運動変換部55は、次式を用いて、自車両のヨー角変化量Δθeに基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)を、今回の対象時刻t(k)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k)に変換する。
【数10】
【0053】
<周囲物体の相対速度の予測値RVs_est(k)>
物体運動変換部55は、今回の対象時刻t(k)における、自車両の絶対速度の検出値Ve_det(k)、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)、及び周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k)に基づいて、今回の対象時刻t(k)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の相対速度の予測値RVs_est(k)[RVsX_est(k)、RVsY_est(k)]を予測する。ここで、RVsX_estは、相対速度の予測値の縦方向X成分であり、RVsY_estは、相対速度の予測値の横方向Y成分である。
【0054】
本実施の形態では、物体運動変換部55は、次式を用いて、予測する。
【数11】
【0055】
1-1-6.予測値比較更新部56
図4のステップS06で、予測値比較更新部56は、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k)、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)、周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k)、及び周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k)を含む今回の対象時刻t(k)の予測データと、今回の対象時刻t(k)において取得した周囲物体の相対位置の検出値RPs_det(k)、周囲物体の絶対速度の検出値Vs_det(k)、及び周囲物体の相対ヨー角の検出値θs_det(k)を含む今回の対象時刻t(k)の検出データと、を比較して、今回の対象時刻t(k)の予測データと今回の対象時刻t(k)の検出データとが対応するか否かを判定し、対応すると判定した場合は、今回の対象時刻t(k)の予測データと今回の対象時刻t(k)の検出データに基づいて、今回の対象時刻t(k)の予測データを更新する。
【0056】
この構成によれば、予測データと検出データとが対応すると判定された場合に、予測データが更新されるので、例えば、予測データの周囲物体とは異なる別の周囲物体の検出データにより、予測データが更新されることを抑制できる。また、予測データと検出データとに基づいて予測データが更新されるので、例えば、検出データ及び予測データに含まれる誤差成分及びノイズ成分の影響を低減して予測データを更新することができ、予測データの精度を向上させることができる。
【0057】
なお、今回の対象時刻t(k)の検出データは、周囲物体のヨー角速度の検出値ωs_det(k)を含んでいてもよい。周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k)などの更新精度を高めることができる。また、今回の対象時刻t(k)の検出データは、周囲物体の絶対加速度の検出値αs_det(k)を含んでいてもよい。周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)などの更新精度を高めることができる。
【0058】
例えば、予測値比較更新部56は、今回の対象時刻t(k)の予測データと今回の対象時刻t(k)の検出データとの偏差(絶対値)が、偏差閾値未満である場合は、予測データと検出データとが対応していると判定し、偏差(絶対値)が、偏差閾値以上である場合は、予測データと検出データとが対応していないと判定する。
【0059】
予測値比較更新部56は、予測データ及び検出データに含まれるパラメータの種類(物理量)ごとに偏差を演算し、各パラメータの種類の偏差と各パラメータの種類について設定された偏差閾値とを比較する。例えば、予測値比較更新部56は、偏差が偏差閾値以上になったパラメータの種類の数が、数閾値(例えば、1)以上である場合に、予測データと検出データとが対応していないと判定し、パラメータの種類の数が、数閾値(例えば、1)未満である場合に、予測データと検出データとが対応していると判定する。或いは、相互比較されるパラメータの種類が限定されてもよい。
【0060】
例えば、予測値比較更新部56は、予測データと比較可能な複数の周囲物体の検出データが存在する場合は、予測データとの偏差が最も小さくなる周囲物体の検出データを、予測データと最終的に比較する検出データとして設定し、予測データの更新に用いる検出データとして設定する。
【0061】
予測値比較更新部56は、予測データと検出データとが対応していないと判定した場合は、今回の対象時刻t(k)の予測データを更新せずに、そのまま用いる。また、予測値比較更新部56は、対応していないと判定した回数が、回数閾値以上になった場合は、予測データに対応する周囲物体が存在しなくなったと判定し、その周囲物体の予測データを削除し、以後予測しない。予測値比較更新部56は、いずれの周囲物体の予測データにも対応していない周囲物体の検出データが存在する場合は、その周囲物体が新たに生じたと判定し、その周囲物体の予測データを新たに追加し、以降予測する。予測データの初期値は、検出データに設定されるとよい。
【0062】
予測値比較更新部56は、予測データと検出データとが対応していると判定した場合は、今回の対象時刻t(k)の予測データと今回の対象時刻t(k)の検出データに基づいて、今回の対象時刻t(k)の予測データを更新する。予測データの更新は、パラメータの種類(物理量)ごとに行われる。予測値比較更新部56は、各パラメータの種類について、今回の対象時刻t(k)の予測データのパラメータ値が、変動が平滑化された検出データのパラメータ値に近づくように、今回の対象時刻t(k)の予測データのパラメータ値を更新する。
【0063】
簡単な方法として、予測値比較更新部56は、各パラメータの種類について、今回の対象時刻t(k)の検出データのパラメータ値から更新前の今回の対象時刻t(k)の予測データのパラメータ値を減算した値に対して平滑化処理を行い、更新前の今回の対象時刻t(k)の予測データのパラメータ値に平滑化処理後の値を加算した値を、更新後の今回の対象時刻t(k)の予測データのパラメータ値として設定する。例えば、平滑化処理として、移動平均処理、加重平均処理、ローパスフィルタ処理、又は最小二乗法を用いたフィルタ処理が用いられる。
【0064】
例えば、周囲物体の相対位置の予測値の縦方向X成分RPsX_est及び周囲物体の相対位置の検出値の縦方向X成分RPsX_detについて1つの平滑化処理器が設けられ、RPsX_det(k)と更新前のRPsX_est(k)との偏差が平滑化処理器に入力されて平滑化処理が行われ、平滑化処理器の出力値が、更新前のRPsX_est(k)に加算された値が、更新後のRPsX_est(k)として設定される。
【0065】
或いは、予測値比較更新部56は、今回の対象時刻t(k)の予測データと今回の対象時刻t(k)の検出データに対してカルマンフィルタ又は粒子フィルタ等のフィルタ処理を行い、フィルタ処理後のデータを、更新後の今回の対象時刻t(k)の予測データとして設定する。
【0066】
各平滑化処理及びフィルタ処理では、過去に入力された予測データ及び検出データの情報が内部変数として保持される。各平滑化処理及びフィルタ処理では、通常、更新後の予測データに対する、今回の対象時刻の予測データと今回の対象時刻の検出データの反映度合いが高くなる。
【0067】
1-1-7.車両制御部57
図4のステップS07で、車両制御部57は、予測値比較更新部56から出力された周囲物体の予測データに基づいて、自車両の走行制御及び運転補助の一方又は双方を行う。
【0068】
例えば、自動運転を行う場合は、車両制御部57は、周囲物体の予測データに合わせた、目標走行軌道を決定する。車両制御部57は、自車両の目標走行軌道に追従走行するように車両を制御する。例えば、車両制御部57は、目標速度、目標操舵角、方向指示器の操作指令等を決定し、決定した各指令値を、動力制御装置、ブレーキ制御装置、自動操舵制御装置、ライト制御装置等の駆動制御装置35に伝達する。
【0069】
動力制御装置は、自車両の速度が目標速度に追従するように、内燃機関、モータ等の動力機8の出力を制御する。ブレーキ制御装置は、自車両の速度が目標速度に追従するように、電動ブレーキ装置9のブレーキ動作を制御する。自動操舵制御装置は、操舵角が目標操舵角に追従するように、電動操舵装置7を制御する。ライト制御装置は、方向指示器の操作指令に従って、方向指示器を制御する。
【0070】
或いは、運転者の運転補助を行っている場合は、周囲物体の予測データに基づいて、運転者の運転補助を行う指令を、動力制御装置、ブレーキ制御装置、及び自動操舵制御装置のいずれか一つ以上に伝達し、動力機8の出力、電動ブレーキ装置9のブレーキ動作、及び電動操舵装置7の操舵動作のいずれか一つ以上を制御する。例えば、車両の制御として、車線維持制御、障害物回避制御、車線変更制御、クルーズコントロール、車間距離制御、先行車両追従制御等が行われる。
【0071】
或いは、運転者によるマニュアル運転を行っている場合は、車両制御部57は、周囲物体の予測データに基づいて、運転のための各種の案内を、ヒューマンインターフェイス装置36を介して運転者に報知する。例えば、各種の案内として、経路案内、周囲情報の案内、接触の危険性の案内等が行われる。
【0072】
2.実施の形態2
次に、実施の形態2に係る物体認識装置1について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る物体認識装置1の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、検出及び推定されるパラメータの種類が増加される点が実施の形態1と異なる。
【0073】
本実施の形態では、
図9に示すように、自車両の座標系は、自車両の縦方向X、横方向Y、及び上下方向Zを座標軸とした座標系である。ヨー角速度ωは、上下方向Zの軸回りの縦方向Xの軸の角速度であり、ピッチ角Γは、水平面に対する横方向Yの軸回りの縦方向Xの軸の角度であり、ロール角Φは、水平面に対する縦方向Xの軸回りの横方向Yの軸の角度である。
【0074】
<自車両情報取得部51>
自車両情報取得部51は、車両状態検出装置33の検出情報に基づいて、自車両のピッチ角の検出値Γe_det、ピッチ角速度の検出値γe_det、自車両のロール角の検出値Φe_det、ロール角速度の検出値φe_detを取得する。
【0075】
<周囲情報取得部52>
周囲情報取得部52は、周囲物体のピッチ角の検出値Γs_det、ピッチ角速度の検出値γs_det、周囲物体のロール角の検出値Φs_det、及びロール角速度の検出値φs_detを取得する。
【0076】
例えば、周囲情報取得部52は、周囲監視装置31の検出情報に基づいて、周囲物体について、自車両の位置を基準にした、相対ピッチ角の検出値RΓs_det、相対ロール角の検出値RΦs_detを取得する。相対ピッチ角は、自車両のピッチ角に対する周囲物体のピッチ角の相対角度である。相対ロール角は、自車両のロール角に対する周囲物体のロール角の相対角度である。これらの取得には、公知の各種の方法が用いられる。
【0077】
例えば、周囲情報取得部52は、自車両のピッチ角の検出値Γe_detに周囲物体の相対ピッチ角の検出値RΓs_detを加算することによって、周囲物体のピッチ角の検出値Γs_detを演算する。また、周囲情報取得部52は、自車両のロール角の検出値Φe_detに周囲物体の相対ロール角の検出値RΦs_detを加算することによって、周囲物体のロール角の検出値Φs_detを演算する。周囲情報取得部52は、周囲物体のピッチ角の検出値Γs_detの時系列データに基づいて、周囲物体のピッチ角速度の検出値γs_detを演算し、周囲物体のロール角の検出値Φs_detの時系列データに基づいて、周囲物体のロール角速度の検出値φs_detを演算する。
【0078】
周囲情報取得部52は、周囲物体の車両制御装置から、無線通信装置34を介して、周囲物体のピッチ角の検出値Γs_det、ピッチ角速度の検出値γs_det、周囲物体のロール角の検出値Φs_det、及びロール角速度の検出値φs_detを周期的に取得してもよい。
【0079】
<自車両運動予測部53>
自車両運動予測部53は、前回の対象時刻t(k-1)で取得した自車両のピッチ角速度の検出値γe_det(k-1)、及び自車両のロール角速度の検出値φs_det(k-1)に基づいて、前回の対象時刻t(k-1)から今回の対象時刻t(k)までの、自車両のピッチ角変化量ΔΓe及び自車両のロール角変化量ΔΦeを更に演算する。
【0080】
本実施の形態では、自車両運動予測部53は、次式に示すように、前回の対象時刻t(k-1)で取得した自車両のピッチ角速度の検出値γe_det(k-1)に基づいて、自車両のピッチ角変化量ΔΓeを予測する。なお、ピッチ角加速度が考慮されてもよい。
【数12】
【0081】
また、自車両運動予測部53は、次式に示すように、前回の対象時刻t(k-1)で取得した自車両のロール角速度の検出値φs_det(k-1)に基づいて、自車両のロール角変化量ΔΦeを予測する。なお、ロール角加速度が考慮されてもよい。
【数13】
【0082】
<物体運動予測部54>
物体運動予測部54は、前回の対象時刻t(k-1)における、周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k-1)、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k-1)、周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k-1)、周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)、周囲物体の相対ピッチ角の予測値RΓs_est(k-1)、周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k-1)、周囲物体の相対ロール角の予測値RΦs_est(k-1)、及び周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k-1)に基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)、周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)、周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k)、周囲物体の相対ピッチ角の変換前予測値RΓs_tmp(k)、周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k)、周囲物体の相対ロール角の変換前予測値RΦs_tmp(k)、及び周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k)を予測する。
【0083】
物体運動予測部54は、次式を用いて、前回の対象時刻t(k-1)における周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k-1)[RPsX_est(k-1)、RPsY_est(k-1)、RPsZ_est(k-1)]、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k-1)、周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k-1)、周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)、周囲物体の相対ピッチ角の予測値RΓs_est(k-1)、周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k-1)、周囲物体の相対ロール角の予測値RΦs_est(k-1)、及び周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k-1)に基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)[RPsX_tmp(k)、RPsY_tmp(k)、RPsZ_tmp(k)]を予測する。ここで、説明は省略するが、前回の対象時刻t(k-1)における、周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k-1)、周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k-1)、及び周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k-1)のいずれかが0である場合は、0割を防止するため、式(5)と同様に、各値→0にした場合の演算式に変更される。
【数14】
【0084】
ここで、RPsZ_tmpは、相対位置の変換前予測値の上下方向Z成分である。RPsZ_estは、相対位置の予測値の上下方向Z成分である。
【0085】
物体運動予測部54は、次式を用いて、前回の対象時刻t(k-1)における周囲物体の相対ピッチ角の予測値RΓs_est(k-1)、及び周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k-1)に基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした周囲物体の相対ピッチ角の変換前予測値RΓs_tmp(k)を予測する。
【数15】
【0086】
物体運動予測部54は、次式を用いて、前回の対象時刻t(k-1)における周囲物体の相対ロール角の予測値RΦs_est(k-1)、及び周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k-1)に基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした周囲物体の相対ロール角の変換前予測値RΦs_tmp(k)を予測する。
【数16】
【0087】
物体運動予測部54は、少なくとも前回の対象時刻t(k-1)で予測した周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k-1)に基づいて、今回の対象時刻t(k)における周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k)を予測する。本実施の形態では、次式に示すように、物体運動予測部54は、前回の対象時刻t(k-1)で予測した周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k-1)を、今回の対象時刻t(k)における周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k)として設定する。
【数17】
【0088】
物体運動予測部54は、少なくとも前回の対象時刻t(k-1)で予測した周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k-1)に基づいて、今回の対象時刻t(k)における周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k)を予測する。本実施の形態では、次式に示すように、物体運動予測部54は、前回の対象時刻t(k-1)で予測した周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k-1)を、今回の対象時刻t(k)における周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k)として設定する。
【数18】
【0089】
<物体運動変換部55>
物体運動変換部55は、自車両の移動量ΔLe、ヨー角変化量Δθe、ピッチ角変化量ΔΓe、及びロール角変化量ΔΦeに基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)、相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)、相対ピッチ角の変換前予測値RΓs_tmp(k)、及び相対ロール角の変換前予測値RΦs_tmp(k)を、今回の対象時刻t(k)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k)、相対ヨー角の予測値θs_est(k)、相対ピッチ角の予測値RΓs_est(k)、及び相対ロール角の予測値RΦs_est(k)に変換する。
【0090】
本実施の形態では、物体運動変換部55は、次式を用いて、自車両の移動量ΔLe、ヨー角変化量Δθe、ピッチ角変化量ΔΓe、及びロール角変化量ΔΦeに基づいて、周囲物体の相対位置の変換前予測値RPs_tmp(k)[RPsX_tmp(k)、RPsY_tmp(k)、RPsZ_tmp(k)]を、今回の対象時刻t(k)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k)[RPsX_est(k)、RPsY_est(k)、RPsZ_est(k)]に変換する。これ以外にも公知の各種のアフィン変換が用いられてもよい。
【数19】
【0091】
物体運動変換部55は、次式を用いて、自車両のヨー角変化量Δθe、ピッチ角変化量ΔΓe、及びロール角変化量ΔΦeに基づいて、前回の対象時刻t(k-1)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値θs_tmp(k)、相対ピッチ角の変換前予測値RΓs_tmp(k)、及び相対ロール角の変換前予測値RΦs_tmp(k)を、今回の対象時刻t(k)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k)、相対ピッチ角の予測値RΓs_est(k)、及び相対ロール角の予測値RΦs_est(k)に変換する。
【数20】
【0092】
物体運動変換部55は、今回の対象時刻t(k)における、自車両の絶対速度の予測値Ve_est(k)、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)、相対ヨー角の予測値θs_est(k)、及び相対ピッチ角の予測値RΓs_est(k)に基づいて、今回の対象時刻t(k)の自車両の位置を基準にした、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の相対速度の予測値RVs_est(k)[RVsX_est(k)、RVsY_est(k)、RVsZ_est(k)]を予測する。ここで、RVsZ_estは、相対速度の予測値の上下方向Z成分である。なお、今回の対象時刻t(k)における周囲車両の相対ロール角の予測値RΦs_est(k)が考慮されてもよい。
【0093】
本実施の形態では、物体運動変換部55は、次式を用いて、予測する。
【数21】
【0094】
<予測値比較更新部56>
予測値比較更新部56は、今回の対象時刻t(k)における、周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k)、周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)、周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k)、周囲物体のヨー角速度の予測値ωs_est(k)、周囲物体の相対ピッチ角の予測値RΓs_est(k)、周囲物体のピッチ角速度の予測値γs_est(k)、周囲物体の相対ロール角の予測値RΦs_est(k)、及び周囲物体のロール角速度の予測値φs_est(k)を含む今回の対象時刻t(k)の予測データと、今回の対象時刻t(k)において取得した周囲物体の相対位置の検出値RPs_det(k)、周囲物体の絶対速度の検出値Vs_det(k)、周囲物体の相対ヨー角の検出値θs_det(k)、周囲物体の相対ピッチ角の検出値RΓs_det(k)、及び周囲物体の相対ロール角の検出値RΦs_det(k)を含む今回の対象時刻t(k)の検出データと、を比較して、今回の対象時刻t(k)の予測データと今回の対象時刻t(k)の検出データとが対応するか否かを判定し、対応すると判定した場合は、今回の対象時刻t(k)の予測データと今回の対象時刻t(k)の検出データに基づいて、今回の対象時刻t(k)の予測データを更新する。なお、今回の対象時刻t(k)の検出データは、周囲物体のヨー角速度の検出値ωs_det(k)、周囲物体のピッチ角速度の検出値γs_det(k)、及び周囲物体のロール角速度の検出値φs_det(k)を含んでいてもよい。対応するパラメータの予測値の更新精度を高めることができる。また、今回の対象時刻t(k)の検出データは、周囲物体の絶対加速度の検出値αs_det(k)を含んでいてもよい。周囲物体の絶対速度の予測値Vs_est(k)などの更新精度を高めることができる。ピッチ角及びロール角に関連するパラメータが追加されている点を除き、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0095】
<その他の実施の形態>
(1)周囲情報取得部52は、周囲物体の形状情報を取得してもよい。例えば、形状情報には、周囲物体の縦方向の長さL、横方向の幅W、及び上下方向の高さのいずれか一つ以上が含まれる。
【0096】
そして、予測値比較更新部56は、周囲物体の形状情報を考慮して、今回の対象時刻の予測データと今回の対象時刻の検出データとが対応するか否かを判定すると共に今回の対象時刻の予測データを更新してもよい。
【0097】
例えば、
図10に示すように、予測値比較更新部56は、今回の対象時刻t(k)における周囲物体の相対位置の予測値RPs_est(k)、周囲物体の相対ヨー角の予測値θs_est(k)、及び周囲物体の形状情報に基づいて、自車両の位置を基準にした周囲物体が存在する相対位置範囲を予測する。また、予測値比較更新部56は、今回の対象時刻t(k)において取得した周囲物体の相対位置の検出値RPs_det(k)、周囲物体の相対ヨー角の検出値θs_det(k)、及び周囲物体の形状情報に基づいて、自車両の位置を基準にした周囲物体が存在する相対位置範囲を演算する。そして、予測値比較更新部56は、予測データ及び形状情報に基づいて予測した周囲物体の相対位置範囲と、検出データ及び形状情報に基づいて演算した周囲物体の相対位置範囲と、を比較して、予測データと検出データとが対応するか否かを判定する。例えば、相対位置範囲の相互の重なり度合いが判定されるとよい。
【0098】
図10に示すように、予測値比較更新部56は、更新後の今回の対象時刻t(k)の予測データに周囲物体の形状情報を含めて、車両制御部57等に出力する。
【0099】
(2)上記の実施の形態2では、ピッチ角関連情報及びロール角関連情報の双方が予測及び検出される場合を例に説明した。しかし、ピッチ角関連情報及びロール角関連情報の一方が予測及び検出されてもよい。
【0100】
<本願の諸態様のまとめ>
以下、本願の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
自車両の絶対速度の検出値及びヨー角速度の検出値を取得する自車両情報取得部と、
前回の対象時刻における、前記自車両の周囲に存在する周囲物体の前記自車両の位置を基準にした相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記自車両の位置を基準にした前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値に基づいて、前記前回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記前回の対象時刻とは異なる今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の変換前予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値を予測する物体運動予測部と、
前記前回の対象時刻で取得した前記自車両の絶対速度の検出値及び前記自車両のヨー角速度の検出値に基づいて、前記前回の対象時刻から前記今回の対象時刻までの、前記自車両の移動量と前記自車両のヨー角変化量とを予測する自車両運動予測部と、
前記自車両の移動量及び前記自車両のヨー角変化量に基づいて、前記周囲物体の前記相対位置の変換前予測値及び前記周囲物体の前記相対ヨー角の変換前予測値を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の予測値及び前記周囲物体の相対ヨー角の予測値に変換する物体運動変換部と、
を備えた物体認識装置。
【0101】
(付記2)
周囲情報取得部及び予測値比較更新部を更に備え、
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体について、絶対速度の検出値、前記自車両の位置を基準にした相対位置の検出値及び相対ヨー角の検出値を取得し、
前記予測値比較更新部は、前記今回の対象時刻における前記周囲物体の相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値を含む前記今回の対象時刻の予測データと、前記今回の対象時刻において取得した前記周囲物体の相対位置の検出値、前記周囲物体の絶対速度の検出値、及び前記周囲物体の相対ヨー角の検出値を含む前記今回の対象時刻の検出データと、を比較して、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データとが対応するか否かを判定し、対応すると判定した場合は、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データに基づいて、前記今回の対象時刻の予測データを更新する付記1に記載の物体認識装置。
【0102】
(付記3)
前記物体運動変換部は、前記今回の対象時刻における、前記自車両の絶対速度の検出値、及び前記周囲物体の相対ヨー角の予測値に基づいて、前記周囲物体の絶対速度の予測値を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における前記周囲物体の相対速度の予測値を変換する付記1又は2に記載の物体認識装置。
【0103】
(付記4)
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体のヨー角速度の検出値を取得し、
前記今回の対象時刻の検出データは、前記周囲物体のヨー角速度の検出値を含む付記2に記載の物体認識装置。
【0104】
(付記5)
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体の絶対加速度の検出値を取得し、
前記今回の対象時刻の検出データは、前記周囲物体の絶対加速度の検出値を含む付記2又は4に記載の物体認識装置。
【0105】
(付記6)
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体の形状情報を取得し、
前記予測値比較更新部は、前記周囲物体の形状情報を考慮して、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データとが対応するか否かを判定すると共に前記今回の対象時刻の予測データを更新する付記2に記載の物体認識装置。
【0106】
(付記7)
前記自車両情報取得部は、前記自車両のピッチ角の検出値及び前記自車両のロール角の検出値一方又は双方、並びに前記自車両のピッチ角速度の検出値及びロール角速度の検出値の一方又は双方を取得し、
前記物体運動予測部は、前回の対象時刻における、前記自車両の周囲に存在する周囲物体の相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値、前記周囲物体の相対ピッチ角の予測値及び相対ロール角の予測値の一方又は双方、並びに前記周囲物体のピッチ角速度の予測値及びロール角速度の予測値の一方又は双方に基づいて、前記前回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の変換前予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値、及び前記周囲物体のヨー角速度の予測値、前記周囲物体の相対ピッチ角の変換前予測値及び相対ロール角の変換前予測値の一方又は双方、並びに前記周囲物体のピッチ角速度の予測値及びロール角速度の予測値の一方又は双方を予測し、
前記自車両運動予測部は、前記前回の対象時刻で取得した、前記自車両のピッチ角速度の検出値、及び前記自車両のロール角速度の検出値の一方又は双方に基づいて、前記前回の対象時刻から前記今回の対象時刻までの、前記自車両のピッチ角変化量及び前記自車両のロール角変化量の一方又は双方を更に演算し、
前記物体運動変換部は、前記自車両の移動量、前記自車両のヨー角変化量、並びに前記自車両のピッチ角変化量及び前記自車両のロール角変化量の一方又は双方に基づいて、前記周囲物体の前記相対位置の変換前予測値、前記相対ヨー角の変換前予測値、並びに前記相対ピッチ角の変換前予測値及び前記相対ロール角の変換前予測値の一方又は双方を、前記今回の対象時刻の前記自車両の位置を基準にした、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の予測値、前記相対ヨー角の予測値、並びに前記相対ピッチ角の予測値及び前記相対ロール角の予測値の一方又は双方に変換する付記1から6のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0107】
(付記8)
周囲情報取得部及び予測値比較更新部を更に備え、
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体の相対位置の検出値、前記周囲物体の絶対速度の検出値、前記周囲物体の相対ヨー角の検出値、並びに前記周囲物体の相対ピッチ角の検出値及び相対ロール角の検出値の一方又は双方を取得し、
前記予測値比較更新部は、前記今回の対象時刻における、前記周囲物体の相対位置の予測値、前記周囲物体の絶対速度の予測値、前記周囲物体の相対ヨー角の予測値、前記周囲物体のヨー角速度の予測値、前記相対ピッチ角の予測値及び前記相対ロール角の予測値の一方又は双方、並びに前記周囲物体のピッチ角速度の予測値及びロール角速度の予測値の一方又は双方を含む前記今回の対象時刻の予測データと、前記今回の対象時刻において取得した前記周囲物体の相対位置の検出値、前記周囲物体の絶対速度の検出値、前記周囲物体の相対ヨー角の検出値、並びに前記相対ピッチ角の検出値及び前記相対ロール角の検出値の一方又は双方を含む前記今回の対象時刻の検出データと、を比較して、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データとが対応するか否かを判定し、対応すると判定した場合は、前記今回の対象時刻の予測データと前記今回の対象時刻の検出データに基づいて、前記今回の対象時刻の予測データを更新する付記7に記載の物体認識装置。
【0108】
(付記9)
前記周囲情報取得部は、前記周囲物体のヨー角速度の検出値、並びに前記周囲物体のロール角速度の検出値及びピッチ角速度の検出値の一方又は双方を取得し、
前記今回の対象時刻の検出データは、前記周囲物体のヨー角速度の検出値、並びに前記周囲物体のピッチ角速度の検出値及びロール角速度の検出値の一方又は双方を含む付記8に記載の物体認識装置。
【0109】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0110】
1:物体認識装置、51:自車両情報取得部、52:周囲情報取得部、53:自車両運動予測部、54:物体運動予測部、55:物体運動変換部、56:予測値比較更新部、θs_det:周囲物体の相対ヨー角の検出値、θs_est:周囲物体の相対ヨー角の予測値、θs_tmp:周囲物体の相対ヨー角の変換前予測値、ωs_det:周囲物体のヨー角速度の検出値、ωs_est:周囲物体のヨー角速度の予測値、RΓs_det:周囲物体の相対ピッチ角の検出値、RΓs_est:周囲物体の相対ピッチ角の予測値、RΓs_tmp:周囲物体の相対ピッチ角の変換前予測値、γs_det:周囲物体のピッチ角速度の検出値、γs_est:周囲物体のピッチ角速度の予測値、RΦs_det:周囲物体の相対ロール角の検出値、RΦs_est:周囲物体の相対ロール角の予測値、RΦs_tmp:周囲物体の相対ロール角の変換前予測値、φs_det:周囲物体のロール角速度の検出値、φs_est:周囲物体のロール角速度の予測値、ωe_det:自車両のヨー角速度の検出値、Δθe:自車両のヨー角変化量、γe_det:自車両のピッチ角速度の検出値、ΔΓe:自車両のピッチ角変化量、φe_det:自車両のロール角速度の検出値、ΔΦe:自車両のロール角変化量、ΔLe:自車両の移動量、RPs_det:周囲物体の相対位置の検出値、RPs_est:周囲物体の相対位置の予測値、RPs_tmp:周囲物体の相対位置の変換前予測値、RVs_det:周囲物体の相対速度の検出値、RVs_est:周囲物体の相対速度の予測値、Ve_det:自車両の絶対速度の検出値、Vs_det:周囲物体の絶対速度の検出値、Vs_est:周囲物体の絶対速度の予測値、X:縦方向、Y:横方向、Z:上下方向、t(k):今回の対象時刻、t(k-1):前回の対象時刻