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特開2024-172008イベント認識装置、イベント認識方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172008
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】イベント認識装置、イベント認識方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20241205BHJP
   G10L 17/26 20130101ALI20241205BHJP
   G10L 25/51 20130101ALI20241205BHJP
【FI】
G01H9/00 E
G10L17/26
G10L25/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089414
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】砺波 紀之
(72)【発明者】
【氏名】美島 咲子
(72)【発明者】
【氏名】松下 崇
(72)【発明者】
【氏名】近藤 玲史
(72)【発明者】
【氏名】樋野 智之
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BC12
2G064BD02
2G064CC43
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】光ファイバセンシングにより取得された観測信号を用いてモデル学習を行うことなく、イベントを認識すること。
【解決手段】イベント認識装置(20)は、光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得部(21)と、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報(23)を利用して、観測信号から、光ファイバに沿った地点でイベントが発生している事後確率を導出すると共に、雑音信号から、光ファイバに沿った地点でイベントが発生している事後確率を導出する導出部(22)と、観測信号から導出された事後確率と雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、光ファイバに沿った地点でイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較部(24)と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、前記光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得部と、
音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用して、前記観測信号から、前記光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、前記雑音信号から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する導出部と、
前記観測信号から導出された事後確率と前記雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較部と、
を備える、イベント認識装置。
【請求項2】
前記統計的情報は、入力信号に対して、前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を出力する機械学習モデルであり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサ又は前記振動センサにより取得された前記音響信号又は前記振動信号により学習されたモデルであり、
前記導出部は、前記観測信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記観測信号から事後確率を導出すると共に、前記雑音信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記雑音信号から事後確率を導出する、
請求項1に記載のイベント認識装置。
【請求項3】
前記導出部は、前記機械学習モデルを再学習なしに利用する、
請求項2に記載のイベント認識装置。
【請求項4】
前記観測信号は、音響を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサとしてのマイクロフォンにより取得された音響信号により学習されたモデルである、
請求項2に記載のイベント認識装置。
【請求項5】
前記観測信号は、振動を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記振動センサとしての加速度センサ又はハイドロフォンにより取得された振動信号により学習されたモデルである、
請求項2に記載のイベント認識装置。
【請求項6】
イベント認識装置によるイベント認識方法であって、
光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、前記光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得ステップと、
音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用して、前記観測信号から、前記光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、前記雑音信号から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する導出ステップと、
前記観測信号から導出された事後確率と前記雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較ステップと、
を含む、イベント認識方法。
【請求項7】
前記統計的情報は、入力信号に対して、前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を出力する機械学習モデルであり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサ又は前記振動センサにより取得された前記音響信号又は前記振動信号により学習されたモデルであり、
前記導出ステップでは、前記観測信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記観測信号から事後確率を導出すると共に、前記雑音信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記雑音信号から事後確率を導出する、
請求項6に記載のイベント認識方法。
【請求項8】
前記導出ステップでは、前記機械学習モデルを再学習なしに利用する、
請求項7に記載のイベント認識方法。
【請求項9】
前記観測信号は、音響を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサとしてのマイクロフォンにより取得された音響信号により学習されたモデルである、
請求項7に記載のイベント認識方法。
【請求項10】
前記観測信号は、振動を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記振動センサとしての加速度センサ又はハイドロフォンにより取得された振動信号により学習されたモデルである、
請求項7に記載のイベント認識方法。
【請求項11】
コンピュータに、
光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、前記光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得手順と、
音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用して、前記観測信号から、前記光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、前記雑音信号から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する導出手順と、
前記観測信号から導出された事後確率と前記雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較手順と、
を実行させるプログラム。
【請求項12】
前記統計的情報は、入力信号に対して、前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を出力する機械学習モデルであり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサ又は前記振動センサにより取得された前記音響信号又は前記振動信号により学習されたモデルであり、
前記導出手順では、前記観測信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記観測信号から事後確率を導出すると共に、前記雑音信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記雑音信号から事後確率を導出する、
請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記導出手順では、前記機械学習モデルを再学習なしに利用する、
請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記観測信号は、音響を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサとしてのマイクロフォンにより取得された音響信号により学習されたモデルである、
請求項12に記載のプログラム。
【請求項15】
前記観測信号は、振動を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記振動センサとしての加速度センサ又はハイドロフォンにより取得された振動信号により学習されたモデルである、
請求項12に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イベント認識装置、イベント認識方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
DAS(Distributed Acoustic Sensing:分散型音響センシング)に代表される光ファイバセンシングは、光ファイバに沿った地点で発生した音響及び振動を検知することが可能である。
【0003】
近年は、光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得し、取得された観測信号に基づいて、光ファイバに沿った地点で発生した異常などのイベントを認識する技術も提案されている。
【0004】
また、光ファイバセンシングにより取得された観測信号に基づいて、イベントを認識する技術としては、観測信号についてモデル学習を行って、機械学習モデルを生成し、生成された機械学習モデルを用いて、イベントを認識する技術が挙げられる。例えば、特許文献1には、教師あり学習により生成された機械学習モデルを用いて、イベントを認識する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2020/044648号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、機械学習の手法としては、上述した教師あり学習の他、転移学習、ファインチューニング(fine-tuning)、ドメイン適応、自己教師あり学習などが挙げられる。これらの手法を光ファイバセンシングに利用する場合、いずれの手法も、モデル学習には、光ファイバセンシングにより取得された観測信号が必要になる。
【0007】
しかし、光ファイバセンシングにより取得された観測信号は、光学的ノイズ(白色性が高いショット雑音が支配的)に起因して、SNR(Signal-to-Noise Ratio)が低く、感度が不均一となっており、低品質な信号である。そのため、モデル学習に有効な観測信号がそもそも少ないため、観測信号を用いてモデル学習を行って、機械学習モデルを生成することが困難であるという問題がある。
【0008】
そのため、光ファイバセンシングにより取得された観測信号を用いてモデル学習を行うことなく、イベントを認識することが可能な技術が望まれている。
【0009】
そこで本開示の目的は、上述した課題に鑑み、光ファイバセンシングにより取得された観測信号を用いてモデル学習を行うことなく、イベントを認識することが可能なイベント認識装置、イベント認識方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によるイベント認識装置は、
光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、前記光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得部と、
音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用して、前記観測信号から、前記光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、前記雑音信号から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する導出部と、
前記観測信号から導出された事後確率と前記雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較部と、
を備える。
【0011】
一態様によるイベント認識方法は、
イベント認識装置によるイベント認識方法であって、
光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、前記光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得ステップと、
音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用して、前記観測信号から、前記光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、前記雑音信号から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する導出ステップと、
前記観測信号から導出された事後確率と前記雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較ステップと、
を含む。
【0012】
一態様によるプログラムは、
コンピュータに、
光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、前記光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得手順と、
音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用して、前記観測信号から、前記光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、前記雑音信号から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する導出手順と、
前記観測信号から導出された事後確率と前記雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較手順と、
を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
上述した態様によれば、光ファイバセンシングにより取得された観測信号を用いてモデル学習を行うことなく、イベントを認識することが可能なイベント認識装置、イベント認識方法、及びプログラムを提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】マイクロフォンにより取得された音響信号の分布と、DASにより取得された音響を示す観測信号の分布と、を対比した例を示す図である。
図2】実施の形態1に係るイベント認識装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係るイベント認識装置の概略的な動作例を説明する図である。
図4】実施の形態1に係るイベント認識装置の具体的な動作例を説明する図である。
図5】実施の形態1に係るイベント認識装置の具体的な動作例を説明する図である。
図6】実施の形態1に係るイベント認識装置によるイベント認識結果の例を、関連技術によるイベント認識結果と対比して説明する図である。
図7】実施の形態1に係るイベント認識装置によるイベント認識結果の例を、関連技術によるイベント認識結果と対比して説明する図である。
図8】実施の形態2に係るイベント認識装置の構成例を示すブロック図である。
図9】各実施の形態に係るイベント認識装置を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、以下で示す具体的な数値等は、本開示の理解を容易とするための例示にすぎず、これに限定されるものではない。
【0016】
<各実施の形態の概要>
本開示の各実施の形態の詳細を説明する前に、各実施の形態の概要について説明する。
まず、図1を参照して、マイクロフォンにより取得された音響信号の分布と、DASにより取得された音響を示す観測信号の分布と、を対比した例について説明する。なお、図1では、観測信号の分布は、光学的ノイズの影響を排除した後の分布となっている。
【0017】
図1に示されるように、DASにより取得された音響を示す観測信号の分布は、光学的ノイズの影響を排除すると、マイクロフォンにより取得された音響信号の分布と非常に似ていることが分かる。
【0018】
また、市場では、マイクロフォンなどの音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号に関するオープンソースのデータや機械学習モデルなどの統計的情報が流通している。
【0019】
そこで、以下で説明する各実施の形態では、市場に流通する、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用する。これにより、光ファイバセンシングにより取得された観測信号を用いたモデル学習が不要になる。
【0020】
また、以下で説明する各実施の形態では、上述した統計的情報を利用して、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号及び光学的ノイズを示す雑音信号のそれぞれから、イベントが発生している事後確率を導出する。そして、観測信号から導出された事後確率と、雑音信号から導出された事後確率と、を比較し、その比較結果から、最終的に、イベントが発生している事後確率を導出する。これにより、光学的ノイズの影響を排除して、イベントの認識性能の向上を図る。
以下、本開示の各実施の形態について説明する。
【0021】
<実施の形態1>
まず、図2を参照して、本実施の形態1に係るイベント認識装置10の構成例について説明する。本実施の形態1は、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報として、それら音響信号又は振動信号により学習された機械学習モデルを利用する例である。
図2に示されるように、本実施の形態1に係るイベント認識装置10は、取得部11、導出部12、及び比較部14を備えている。
【0022】
取得部11は、光ファイバに沿った各地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得する。例えば、取得部11は、DAS装置などのセンシング装置から観測信号を取得しても良い。また、例えば、観測信号は、光ファイバに沿った各地点毎に、その地点で発生した音響又は振動の強度の時間変化を示す時間領域信号Rであっても良い。又は、観測信号は、その時間領域信号Rをフーリエ変換した後の周波数領域信号CT×Fであっても良い。
【0023】
また、取得部11は、光ファイバに沿った任意の地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する。光学的ノイズは、白色性が高いショット雑音が支配的である。取得部11は、光学的ノイズの種類や光学的ノイズが存在する時間区間が未知である場合には、任意の種類の光学的ノイズを模擬した任意の雑音信号を、任意の装置から取得しても良い。又は、取得部11は、イベントが発生している時間区間が既知である場合には、DAS装置などのセンシング装置から、イベントが発生していない時間区間の観測信号を、雑音信号として取得しても良い。
【0024】
導出部12は、市場で流通しており、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報の一例である機械学習モデル13を保持する。
機械学習モデル13は、入力信号に対して、少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を出力するモデルである。
また、機械学習モデル13は、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号を、入力信号として用いて、学習されたモデルである。
音響センサは、例えば、音響信号を取得するマイクロフォンなどである。また、振動センサは、例えば、振動信号を取得する加速度センサ又はハイドロフォンなどである。
【0025】
導出部12は、機械学習モデル13を利用して、光ファイバに沿った各地点毎に、取得部11により取得された、その地点の観測信号から、その地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する。詳細には、導出部12は、各地点毎に、その地点の観測信号を機械学習モデル13に入力信号として入力し、機械学習モデル13の出力信号として、その地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を得る。
【0026】
また、導出部12は、機械学習モデル13を利用して、取得部11により取得された、光ファイバに沿った任意の地点に存在する雑音信号から、その任意の地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する。詳細には、導出部12は、任意の地点の雑音信号を機械学習モデル13に入力信号として入力し、機械学習モデル13の出力信号として、その任意の地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を得る。
【0027】
比較部14は、光ファイバに沿った各地点毎に、導出部12により、その地点の観測信号から導出された事後確率と、雑音信号から導出された事後確率と、を比較する。そして、比較部14は、その比較結果から、最終的に、その地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する。さらに、比較部14は、各地点毎に導出された、少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を、イベント認識結果として、イベント認識装置10の外部に出力する。
【0028】
続いて、図3を参照して、本実施の形態1に係るイベント認識装置10の概略的な動作例について説明する。なお、図3では、取得部11は、光ファイバに沿った各地点の観測信号及び任意の地点の雑音情報を既に取得しているものとし、その後の動作例について説明する(後述する図4及び図5において同じ)。
【0029】
図3に示されるように、導出部12は、各地点毎に、その地点の観測信号を機械学習モデル13に入力信号として入力し(ステップS11)、機械学習モデル13の出力信号として、その地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を得る(ステップS13)。
【0030】
また、導出部12は、任意の地点の雑音信号を機械学習モデル13に入力信号として入力し(ステップS12)、機械学習モデル13の出力信号として、その任意の地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を得る(ステップS14)。
【0031】
比較部14は、各地点毎に、その地点の観測信号から導出された事後確率と、雑音信号から導出された事後確率と、を比較し、その比較結果から、最終的に、その地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する(ステップS15)。
【0032】
その後、比較部14は、各地点毎に導出された、少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を、イベント認識結果として、イベント認識装置10の外部に出力する(ステップS16)。
【0033】
続いて、本実施の形態1に係るイベント認識装置10の具体的な動作例について説明する。
(1)具体的な動作例1
まず、図4を参照して、本実施の形態1に係るイベント認識装置10の具体的な動作例1について説明する。
本動作例1は、光ファイバに沿った任意の地点に存在する光学的ノイズの種類や光学的ノイズが存在する時間区間が未知である場合の例である。
【0034】
本動作例1の場合、取得部11は、任意の種類の光学的ノイズを模擬した任意の雑音信号を、任意の装置から取得する。例えば、本動作例1の雑音信号は、光子の検出数をポアソン分布とし、検出数大の時の中心極限定理に従った信号(N(μ,√μ))となる。
また、取得部11は、DAS装置などのセンシング装置から、光ファイバに沿った各地点の観測信号として、上述した時間領域信号R又は周波数領域信号CT×Fを取得する。
【0035】
図4に示されるように、導出部12は、各地点毎に、その地点の観測信号R又はCT×Fを機械学習モデル13に入力信号として入力する(ステップS21)。これにより、導出部12は、各地点毎に、機械学習モデル13の出力信号として、その地点で、5つのイベントがそれぞれ発生している事後確率を得る(ステップS23)。ここで得られる事後確率のうち、例えば、ある地点において、5つのイベントのうちのイベントeが時刻tで発生している事後確率を、以下の数式(1)のように示すものとする。
【数1】
【0036】
また、導出部12は、任意の地点の雑音信号N(μ,√μ)を機械学習モデル13に入力信号として入力する(ステップS22)。これにより、導出部12は、機械学習モデル13の出力信号として、その任意の地点で、5つのイベントがそれぞれ発生している事後確率を得る(ステップS24)。ここで得られる事後確率のうち、例えば、任意の地点において、5つのイベントのうちのイベントeが時刻tで発生している事後確率を、以下の数式(2)のように示すものとする。
【数2】
【0037】
比較部14は、各地点毎に、その地点の観測信号から導出された事後確率と、雑音信号から導出された事後確率と、を比較し、その比較結果から、最終的に、その地点で、5つのイベントがそれぞれ発生している事後確率を導出する(ステップS25)。ここで得られる事後確率のうち、例えば、ある地点において、5つのイベントのうちのイベントeが時刻tで発生している事後確率を、以下の数式(3)のように示すものとする。
【数3】
【0038】
また、ここでは、比較部14は、上述した数式(3)の事後確率を、例えば、以下の数式(4)又は数式(5)を用いて、導出するものとする。
【数4】
又は
【数5】
【0039】
その後、比較部14は、各地点毎に導出された、5つのイベントがそれぞれ発生している事後確率を、イベント認識結果として、イベント認識装置10の外部に出力する(ステップS26)。
【0040】
なお、本動作例1では、導出部12は、機械学習モデル13を再学習なしで利用する。そのため、基本的には、導出部12は、観測信号を用いたモデル学習を行わない。ただし、これには限定されず、導出部12は、少数の観測信号を用いてfew-shot学習を行い、機械学習モデル13を再学習しても良い。
【0041】
また、導出部12は、具体的な光学的ノイズが一意に定まらない場合、取得部11により事前に取得された複数の種類の光学的ノイズの雑音信号をそれぞれ使用し、比較部14は、複数の種類の雑音信号の事後確率のそれぞれを、観測信号の事後確率と比較して、イベントを認識しても良い。
【0042】
また、事後確率の導出は、確率レベルでの計算になるため、事後確率は、必ず0~1の値となる。そのため、導出部12は、複数の機械学習モデル13をそれぞれ利用し、比較部14は、複数の機械学習モデル13のそれぞれを利用して導出された事後確率を比較して、イベントを認識しても良い。
【0043】
また、導出部12及び比較部14は、5つのイベントの全てについて事後確率を導出せず、任意のイベントクラスのイベントについては、事後確率を導出せずにマスクを行うデノイズを行っても良い。
【0044】
(2)具体的な動作例2
続いて、図5を参照して、本実施の形態1に係るイベント認識装置10の具体的な動作例2について説明する。
本動作例2は、光ファイバに沿った任意の地点において、イベントが発生している時間区間が既知である場合の例である。言い換えれば、本動作例2は、任意の地点で光学的ノイズが存在する時間区間が既知である場合の例である。
【0045】
本動作例2の場合、取得部11は、DAS装置などのセンシング装置から、任意の地点の雑音信号として、イベントが発生していない時間区間の観測信号である時間領域信号R又は周波数領域信号CT×Fを取得する。
また、取得部11は、DAS装置などのセンシング装置から、各地点の観測信号として、上述した時間領域信号R又は周波数領域信号CT×Fを取得する。
【0046】
図5に示されるように、導出部12は、各地点毎に、その地点の観測信号R又はCT×Fを機械学習モデル13に入力信号として入力する(ステップS31)。これにより、導出部12は、各地点毎に、機械学習モデル13の出力信号として、その地点で、5つのイベントがそれぞれ発生している事後確率を得る(ステップS33)。ここで得られる事後確率のうち、例えば、ある地点において、5つのイベントのうちのイベントeが時刻tで発生している事後確率を、上述した数式(1)のように示すものとする。
【0047】
また、導出部12は、任意の地点の雑音信号N(μ,√μ)を機械学習モデル13に入力信号として入力する(ステップS32)。これにより、導出部12は、機械学習モデル13の出力信号として、その任意の地点で、5つのイベントがそれぞれ発生している事後確率を得る(ステップS34)。ここで得られる事後確率のうち、例えば、任意の地点において、5つのイベントのうちのイベントeが時刻tで発生している事後確率を、上述した数式(2)のように示すものとする。
【0048】
比較部14は、各地点毎に、その地点の観測信号から導出された事後確率と、雑音信号から導出された事後確率と、を比較し、その比較結果から、最終的に、その地点で、5つのイベントがそれぞれ発生している事後確率を導出する(ステップS35)。ここで得られる事後確率のうち、例えば、ある地点において、5つのイベントのうちのイベントeが時刻tで発生している事後確率を、上述した数式(3)のように示すものとする。
また、ここでは、比較部14は、上述した数式(3)の事後確率を、例えば、上述した数式(4)又は数式(5)を用いて、導出するものとする。
【0049】
その後、比較部14は、各地点毎に導出された、5つのイベントがそれぞれ発生している事後確率を、イベント認識結果として、イベント認識装置10の外部に出力する(ステップS36)。
【0050】
なお、本動作例2では、導出部12は、機械学習モデル13を再学習なしで利用する。そのため、基本的には、導出部12は、観測信号を用いたモデル学習を行わない。ただし、これには限定されず、導出部12は、少数の観測信号を用いてfew-shot学習を行い、機械学習モデル13を再学習しても良い。
【0051】
また、導出部12及び比較部14は、5つのイベントの全てについて事後確率を導出せず、任意のイベントクラスのイベントについては、事後確率を導出せずにマスクを行うデノイズを行っても良い。
【0052】
続いて、図6及び図7を参照して、本実施の形態1に係るイベント認識装置10によるイベント認識結果の例について、関連技術によるイベント認識結果と対比して説明する。
なお、図6及び図7は、上から順に、関連技術によるある地点のイベント認識結果、本実施の形態1による同じ地点のイベント認識結果、イベント認識が行われたときに機械学習モデル13に観測信号として入力された同じ地点のスペクトログラム、をそれぞれ示している。なお、スペクトログラムは、上述した周波数領域信号CT×Fに相当する。
【0053】
また、図6及び図7において、関連技術は、光学ノイズを示す雑音信号から事後確率を導出する処理や、観測信号と雑音信号の事後確率を比較する処理を行わず、雑音信号から導出された事後確率を、そのままイベント認識結果として出力する技術であるものとする。言い換えれば、関連技術は、図3の例では、ステップS13で観測信号から得られた事後確率を、ステップS16でイベント認識結果として出力する技術であるものとする。
【0054】
また、図6及び図7は、スペクトログラムが互いに相違しており、図6をケース#1、図7をケース#2と称する。
また、図6及び図7において、3つの図面の横軸は時間を示し、上の2つの図面の縦軸は各イベントのイベントクラスを示し、下の図面の縦軸は周波数を示している。
また、図6及び図7において、上の2つの図面は、白っぽく見えるほど、事後確率が高く、黒っぽく見えるほど、事後確率が低いことを示している。
【0055】
図6に示されるように、ケース#1では、関連技術は、本実施の形態1と比較して、全体的に黒っぽく見えている。このことから、関連技術は、光学的ノイズの影響を受けて、イベント認識性能が明らかに悪いことがわかる。言い換えれば、本実施の形態1は、光学的ノイズの影響が排除されて、イベント認識性能が明らかに向上していることがわかる。
また、図7に示されるように、ケース#2でも、ケース#1と同様の傾向になっていることがわかる。
【0056】
上述したように本実施の形態1によれば、取得部11は、光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する。導出部12は、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号を用いて学習された機械学習モデル13を利用して、観測信号及び雑音信号のそれぞれから、光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する。比較部14は、観測信号から導出された事後確率と、雑音信号から導出された事後確率と、を比較し、その比較結果から、光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、導出された事後確率を、イベント認識結果として出力する。
【0057】
このように、本実施の形態1によれば、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号を用いて学習された機械学習モデル13を利用する。これにより、光ファイバセンシングにより取得された観測信号を用いたモデル学習が不要になる。
【0058】
また、本実施の形態1によれば、機械学習モデル13を利用して、観測信号及び雑音信号のそれぞれから、光ファイバに沿った地点でイベントが発生している事後確率を導出する。そして、観測信号から導出された事後確率と、雑音信号から導出された事後確率と、を比較し、その比較結果から、最終的に、イベントが発生している事後確率を導出する。これにより、光学的ノイズの影響が排除されるため、イベントの認識性能の向上を図れる。
【0059】
<実施の形態2>
本実施の形態2は、上述した実施の形態1を上位概念化した実施の形態に相当する。
まず、図8を参照して、本実施の形態2に係るイベント認識装置20の構成例について説明する。
図8に示されるように、本実施の形態2に係るイベント認識装置20は、取得部21、導出部22、及び比較部24を備えている。
【0060】
取得部21は、光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得する。また、取得部21は、光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する。
【0061】
導出部22は、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報23を保持する。そして、導出部22は、統計的情報23を利用して、観測信号から、光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、雑音信号から、光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する。
【0062】
比較部24は、観測信号から導出された事後確率と雑音信号から導出された事後確率とを比較し、その比較結果から、光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、その導出結果を出力する。
【0063】
このように、本実施の形態2によれば、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報23を利用する。これにより、光ファイバセンシングにより取得された観測信号を用いたモデル学習が不要になる。
【0064】
また、本実施の形態2によれば、統計的情報23を利用して、観測信号及び雑音信号のそれぞれから、光ファイバに沿った地点でイベントが発生している事後確率を導出する。そして、観測信号から導出された事後確率と、雑音信号から導出された事後確率と、を比較し、その比較結果から、最終的に、イベントが発生している事後確率を導出する。これにより、光学的ノイズの影響が排除されるため、イベントの認識性能の向上を図れる。
【0065】
なお、統計的情報23は、入力信号に対して、少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を出力する機械学習モデルであっても良い。また、機械学習モデルは、音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号により学習されたモデルであっても良い。また、導出部22は、観測信号を機械学習モデルに入力信号として入力することで、観測信号から事後確率を導出すると共に、雑音信号を機械学習モデルに入力信号として入力することで、雑音信号から事後確率を導出しても良い。
また、導出部22は、機械学習モデルを再学習なしに利用しても良い。
【0066】
また、一例では、観測信号は、音響を示す信号であり、機械学習モデルは、音響センサとしてのマイクロフォンにより取得された音響信号により学習されたモデルであっても良い。
【0067】
また、他の例では、観測信号は、振動を示す信号であり、機械学習モデルは、振動センサとしての加速度センサ又はハイドロフォンにより取得された振動信号により学習されたモデルであっても良い。
【0068】
<実施の形態に係るイベント認識装置のハードウェア構成>
続いて、図9を参照して、上述した各実施の形態1,2に係るイベント認識装置10,20を実現するコンピュータのハードウェア構成例について説明する。
【0069】
図9に示されるように、コンピュータ90は、プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、入出力インタフェース(入出力I/F)94、及び通信インタフェース(通信I/F)95などを備えている。プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、入出力インタフェース94、及び通信インタフェース95は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0070】
プロセッサ91は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ92は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。ストレージ93は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はメモリカードなどの記憶装置である。また、ストレージ93は、RAMやROMなどのメモリであっても良い。
【0071】
ストレージ93には、プログラムが記憶される。このプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、上述したイベント認識装置10,20における1又はそれ以上の機能をコンピュータ90に行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。上述したイベント認識装置10,20における構成要素は、プロセッサ91がストレージ93に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現されても良い。また、上述したイベント認識装置10,20における記憶機能は、メモリ92又はストレージ93により実現されても良い。
【0072】
また、上述したプログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されても良い。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD又はその他のメモリ技術、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されても良い。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0073】
入出力インタフェース94は、表示装置941、入力装置942、音出力装置943などと接続される。表示装置941は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、モニタのような、プロセッサ91により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置942は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサなどである。表示装置941及び入力装置942は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。音出力装置943は、スピーカのような、プロセッサ91により処理された音響データに対応する音を音響出力する装置である。
【0074】
通信インタフェース95は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース95は、有線通信路又は無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0075】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。そして、各実施の形態は、適宜、他の実施の形態と組み合わせることができる。
【0076】
また、上述した実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、前記光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得部と、
音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用して、前記観測信号から、前記光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、前記雑音信号から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する導出部と、
前記観測信号から導出された事後確率と前記雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較部と、
を備える、イベント認識装置。
(付記2)
前記統計的情報は、入力信号に対して、前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を出力する機械学習モデルであり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサ又は前記振動センサにより取得された前記音響信号又は前記振動信号により学習されたモデルであり、
前記導出部は、前記観測信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記観測信号から事後確率を導出すると共に、前記雑音信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記雑音信号から事後確率を導出する、
付記1に記載のイベント認識装置。
(付記3)
前記導出部は、前記機械学習モデルを再学習なしに利用する、
付記2に記載のイベント認識装置。
(付記4)
前記観測信号は、音響を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサとしてのマイクロフォンにより取得された音響信号により学習されたモデルである、
付記2に記載のイベント認識装置。
(付記5)
前記観測信号は、振動を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記振動センサとしての加速度センサ又はハイドロフォンにより取得された振動信号により学習されたモデルである、
付記2に記載のイベント認識装置。
(付記6)
イベント認識装置によるイベント認識方法であって、
光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、前記光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得ステップと、
音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用して、前記観測信号から、前記光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、前記雑音信号から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する導出ステップと、
前記観測信号から導出された事後確率と前記雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較ステップと、
を含む、イベント認識方法。
(付記7)
前記統計的情報は、入力信号に対して、前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を出力する機械学習モデルであり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサ又は前記振動センサにより取得された前記音響信号又は前記振動信号により学習されたモデルであり、
前記導出ステップでは、前記観測信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記観測信号から事後確率を導出すると共に、前記雑音信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記雑音信号から事後確率を導出する、
付記6に記載のイベント認識方法。
(付記8)
前記導出ステップでは、前記機械学習モデルを再学習なしに利用する、
付記7に記載のイベント認識方法。
(付記9)
前記観測信号は、音響を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサとしてのマイクロフォンにより取得された音響信号により学習されたモデルである、
付記7に記載のイベント認識方法。
(付記10)
前記観測信号は、振動を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記振動センサとしての加速度センサ又はハイドロフォンにより取得された振動信号により学習されたモデルである、
付記7に記載のイベント認識方法。
(付記11)
コンピュータに、
光ファイバに沿った地点で発生し、光ファイバセンシングにより検知された音響又は振動を示す観測信号を取得すると共に、前記光ファイバに沿った地点に存在する光学的ノイズを示す雑音信号を取得する取得手順と、
音響センサ又は振動センサにより取得された音響信号又は振動信号の統計的情報を利用して、前記観測信号から、前記光ファイバに沿った地点で少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出すると共に、前記雑音信号から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出する導出手順と、
前記観測信号から導出された事後確率と前記雑音信号から導出された事後確率とを比較し、該比較結果から、前記光ファイバに沿った地点で前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を導出し、該導出結果を出力する比較手順と、
を実行させるプログラム。
(付記12)
前記統計的情報は、入力信号に対して、前記少なくとも1つのイベントが発生している事後確率を出力する機械学習モデルであり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサ又は前記振動センサにより取得された前記音響信号又は前記振動信号により学習されたモデルであり、
前記導出手順では、前記観測信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記観測信号から事後確率を導出すると共に、前記雑音信号を前記機械学習モデルに前記入力信号として入力することで、前記雑音信号から事後確率を導出する、
付記11に記載のプログラム。
(付記13)
前記導出手順では、前記機械学習モデルを再学習なしに利用する、
付記12に記載のプログラム。
(付記14)
前記観測信号は、音響を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記音響センサとしてのマイクロフォンにより取得された音響信号により学習されたモデルである、
付記12に記載のプログラム。
(付記15)
前記観測信号は、振動を示す信号であり、
前記機械学習モデルは、前記振動センサとしての加速度センサ又はハイドロフォンにより取得された振動信号により学習されたモデルである、
付記12に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0077】
10,20 イベント認識装置
11,21 取得部
12,22 導出部
13 機械学習モデル
14,24 比較部
23 統計的情報
90 コンピュータ
91 プロセッサ
92 メモリ
93 ストレージ
94 入出力インタフェース
941 表示装置
942 入力装置
943 音出力装置
95 通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9