(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172010
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】操作装置、水栓装置及び浄水器
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20241205BHJP
E03C 1/10 20060101ALI20241205BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03C1/042 C
E03C1/10
C02F1/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089417
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】592243553
【氏名又は名称】株式会社タカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227983
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 久美子
(72)【発明者】
【氏名】白武 史考
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BB10
2D060BC12
2D060BC30
2D060BE11
2D060CB10
2D060CD00
(57)【要約】
【課題】優れた操作性を有する操作装置の提供。
【解決手段】操作装置18は、押圧操作を受けて第1方向に可動な押圧操作体26と、押圧操作体26の前記第1方向での動きで作動する第1ノックカム機構K1と、押圧操作体26の前記第1方向での動きで作動する第2ノックカム機構K2と、第1ノックカム機構K1に連動して開閉状態が変更される第1バルブ機構M1と、第2ノックカム機構K2に連動して開閉状態が変更される第2バルブ機構M2と、第1バルブ機構M1の開閉状態及び第2バルブ機構M2の開閉状態により選択される複数の通水経路と、を有する。第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との間で、前記第1方向における切替位置が相違していてもよい。この操作装置18は、操作性に優れる。操作装置18は、例えば、水栓装置や浄水器に適用されうる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作を受けて第1方向に可動な押圧操作体と、
前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第1ノックカム機構と、
前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第2ノックカム機構と、
前記第1ノックカム機構に連動して開閉状態が変更される第1バルブ機構と、
前記第2ノックカム機構に連動して開閉状態が変更される第2バルブ機構と、
前記第1バルブ機構の開閉状態及び前記第2バルブ機構の開閉状態により選択される複数の通水経路と、
を有する操作装置。
【請求項2】
前記第1ノックカム機構と前記第2ノックカム機構との間で、前記第1方向における切替位置が相違している請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記押圧操作体をその可動範囲の途中まで押圧操作する半押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構のいずれか一方のみが切り替えられ、
前記押圧操作体を前記半押しよりも深く押圧操作する全押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構の他方が切り替えられる請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記押圧操作体の可動範囲が、前記第1ノックカム機構の作動開始位置と、前記第2ノックカム機構の作動開始位置とを有しており、
前記他方のノックカム機構の作動開始位置において、前記押圧操作の操作感が変化する請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記第1バルブ機構の開閉状態により、前記通水経路の第1選択が達成され、
前記第2バルブ機構の開閉状態により、前記通水経路の第2選択が達成され、
前記第1選択と前記第2選択との組み合わせにより、4つの通水経路の中から1つが選択される請求項1から4のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記第1バルブ機構及び前記第2バルブ機構の少なくとも一方が、前記押圧操作体に連動する切替体が弁体であるボールを動かすことにより前記ボールと開口弁座との離接が達成される第1弁構造を有しており、
前記第1バルブ機構及び前記第2バルブ機構の少なくとも他方が、前記押圧操作体に連動する弁体の動きにより当該弁体と弁座との離接が達成される第2弁構造を有している請求項1から4のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記第1弁構造における前記切替体が、前記押圧操作体に連動して前記第1方向に動くことで前記ボールと前記開口弁座との間に入り込み前記ボールを乗り上げさせる開弁部を含む請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の操作装置を備える水栓装置。
【請求項9】
吐止水及び吐出量を調整しうるハンドルと、浄水機能部と、前記浄水機能部で浄化された水が通る浄水流路と、原水流路と、吐出口とを有しており、
前記吐出口が、第1水形で吐出する第1水形孔と、第2水形で吐出する第2水形孔とを有しており、
前記通水経路として、前記浄水流路から前記第1水形孔に至る第1経路と、前記浄水流路から前記第2水形孔に至る第2経路と、前記原水流路から前記第1水形孔に至る第3経路と、前記原水流路から前記第2水形孔に至る第4経路とが設けられており、
前記押圧操作体の押圧操作により、前記4つの通水経路の中から1つが選択される請求項8に記載の水栓装置。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか1項に記載の操作装置を備える浄水器。
【請求項11】
浄水機能部と、前記浄水機能部で浄化された水が通る浄水流路と、原水流路と、吐出口とを有しており、
前記吐出口が、第1水形で吐出する第1水形孔と、第2水形で吐出する第2水形孔とを有しており、
前記通水経路として、前記浄水流路から前記第1水形孔に至る第1経路と、前記浄水流路から前記第2水形孔に至る第2経路と、前記原水流路から前記第1水形孔に至る第3経路と、前記原水流路から前記第2水形孔に至る第4経路とが設けられており、
前記押圧操作体の押圧操作により、前記4つの通水経路の中から1つが選択される請求項10に記載の浄水器。
【請求項12】
押圧操作を受けて第1方向に可動な押圧操作体と、
前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第1ノックカム機構と、
前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第2ノックカム機構と、
を有しており、
前記第1ノックカム機構と前記第2ノックカム機構との間で、前記第1方向における切替位置が相違しており、
前記押圧操作体をその可動範囲の途中まで押圧操作する半押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構のいずれか一方のみが切り替えられ、
前記押圧操作体を前記半押しよりも深く押圧操作する全押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構の他方が切り替えられ、
前記半押しによる切替は、前記全押しによる切替を伴うことなく実施可能である操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水栓装置や浄水器などに用いられる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-173437号公報には、回転操作体と、押圧操作体と、前記回転操作体の回転に連動して水栓装置の動作状態を変更させることが可能な第1可動弁体と、前記押圧操作体の動きに連動して水栓装置の動作状態を変更させることが可能な第2可動弁体とを備えた操作装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の操作装置では、回転操作と押圧操作との両方が必要となる。より操作性に優れた装置が好ましい。
【0005】
本開示の目的の一つは、優れた操作性を有し、水栓装置や浄水器などの利便性を高める操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、操作装置は、押圧操作を受けて第1方向に可動な押圧操作体と、前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第1ノックカム機構と、前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第2ノックカム機構と、前記第1ノックカム機構に連動して開閉状態が変更される第1バルブ機構と、前記第2ノックカム機構に連動して開閉状態が変更される第2バルブ機構と、前記第1バルブ機構の開閉状態及び前記第2バルブ機構の開閉状態により選択される複数の通水経路と、を有する。
【0007】
他の態様では、操作装置は、押圧操作を受けて第1方向に可動な押圧操作体と、前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第1ノックカム機構と、前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第2ノックカム機構と、を有している。前記第1ノックカム機構と前記第2ノックカム機構との間で、前記第1方向における切替位置が相違している。前記押圧操作体をその可動範囲の途中まで押圧操作する半押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構のいずれか一方のみが切り替えられる。前記押圧操作体を前記半押しよりも深く押圧操作する全押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構の他方が切り替えられる。前記半押しによる切替は、前記全押しによる切替を伴うことなく実施可能である。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、優れた操作性を有する操作装置が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る水栓装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の水栓装置における押圧操作体近傍の正面図である。
【
図3】
図3は、
図1の水栓装置における吐水ヘッドの分解斜視図である。
【
図4】
図4(a)は
図2のA-A線に沿った吐水ヘッドの断面図であり、
図4(b)は
図2のB-B線に沿った吐水ヘッドの断面図である。
図4(a)及び
図4(b)の切替状態では、第1ノックカム機構K1がOFFであり、第2ノックカム機構K2がOFFである。この切替状態では、第1ノックカム機構による第1選択がシャワー流路であり、第2ノックカム機構による第2選択が浄水流路である。
【
図5】
図5(a)は
図2のA-A線に沿った吐水ヘッドの断面図であり、
図5(b)は
図2のB-B線に沿った吐水ヘッドの断面図である。
図5(a)及び
図5(b)の切替状態では、第1ノックカム機構K1がONであり、第2ノックカム機構K2がOFFである。この切替状態では、第1ノックカム機構による第1選択がストレート流路であり、第2ノックカム機構による第2選択が浄水流路である。
【
図6】
図6(a)は
図2のA-A線に沿った吐水ヘッドの断面図であり、
図6(b)は
図2のB-B線に沿った吐水ヘッドの断面図である。
図6(a)及び
図6(b)の切替状態では、第1ノックカム機構K1がOFFであり、第2ノックカム機構K2がONである。この切替状態では、第1ノックカム機構による第1選択がシャワー流路であり、第2ノックカム機構による第2選択が原水流路である。
【
図7】
図7(a)は
図2のA-A線に沿った吐水ヘッドの断面図であり、
図7(b)は
図2のB-B線に沿った吐水ヘッドの断面図である。
図7(a)及び
図7(b)の切替状態では、第1ノックカム機構K1がONであり、第2ノックカム機構K2がONである。この切替状態では、第1ノックカム機構による第1選択がストレート流路であり、第2ノックカム機構による第2選択が原水流路である。
【
図8】
図8(a)は
図2のA-A線に沿った吐水ヘッドの断面図であり、
図8(b)は
図8(a)の円内の拡大図である。
図8(a)及び
図8(b)の切替状態では、第1ノックカム機構K1がONであり、第2ノックカム機構K2がOFFである。
【
図9】
図9(a)は
図2のA-A線に沿った吐水ヘッドの断面図であり、
図9(b)は
図9(a)の円内の拡大図である。
図9(a)及び
図9(b)の切替状態では、第1ノックカム機構K1がONであり、第2ノックカム機構K2がOFFからONに移行する途中である。
【
図10】
図10(a)は
図2のA-A線に沿った吐水ヘッドの断面図であり、
図10(b)は
図10(a)の円内の拡大図である。
図10(a)及び
図10(b)の切替状態では、第1ノックカム機構K1がONであり、第2ノックカム機構K2がONである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1は、一実施形態に係る水栓装置2の斜視図である。
図2は、水栓装置2の吐水ヘッド8の正面図である。水栓装置2は、流し台(図示されず)に取り付けられる。なお、水栓装置2の設置場所として、流し台の他、洗面台及び浴室が例示される。
【0012】
水栓装置2は、本体部4、レバーハンドル6及び吐水ヘッド8を有する。水栓装置2は、いわゆるシングルレバー式水栓である。水栓装置2は、湯水混合水栓である。レバーハンドル6の左右回動により吐水の温度が調節されうる。レバーハンドル6の上下回動により吐水量が調節されうる。本体部4の内部には、吐水の温度及び吐水量の調節を可能とする弁機構が内蔵されている。この弁機構は公知である。レバーハンドル6は、吐止水及び吐出量を調整しうるハンドルの一例である。
【0013】
更に、水栓装置2は、湯導入管10、水導入管12及び吐出管14を有する。湯導入管10は、例えば、給湯器から延びる配管に接続される。水導入管12は、例えば、給湯器を経ることなく、上水道の配管に接続される。吐出管14は、吐水ヘッド8に繋がっている。湯導入管10には、加熱された湯が導入される。水導入管12には、加熱されていない水(冷水)が導入される。前記弁機構に、湯導入管10からの湯と水導入管12からの水とが導入される。前記弁機構により、湯と水との混合比率が調整される。この混合比率により、吐水の温度調節が達成される。なお以下では、加熱された湯、加熱されていない水(冷水)及びこれらの混合液体が、単に「水」とも称される。
【0014】
吐水ヘッド8は、導水部16、操作装置18及び吐出口22を有する。前記弁機構から流出した湯水混合水は、吐出管14及び導水部16を経由して、吐出口22から吐出される。
【0015】
導水部16は、浄水カートリッジ(後述)を内蔵している。この導水部16を含む水栓装置2(吐水ヘッド8)は、蛇口一体型の浄水器である。
【0016】
操作装置18は、押圧操作体26を有する。本実施形態では、押圧操作体26は、押しボタンである。押圧操作体26を押圧操作することで、吐水の種類及び水形が切り替えられうる。押圧操作体26の押圧操作のみで、吐水の種類及び水形が切り替えられうる。本実施形態では、吐水の種類の選択肢は、原水及び浄水である。本実施形態では、水形の選択肢は、シャワー水形及びストレート水形である。これら2つずつの選択肢の組み合わせで、4つの選択肢が得られる。押圧操作体26の押圧操作のみで、4つの選択肢の中から1つを選択することができる。4つの選択肢は、原水のストレート水形(原水ストレート)、浄水のストレート水形(浄水ストレート)、原水のシャワー水形(原水シャワー)及び浄水のシャワー水形(浄水シャワー)である。
【0017】
押圧操作により、押圧操作体26は移動する。本願では、この移動方向が、第1方向と称される。この第1方向において、押圧操作体26が突出する側が前側又は前方とも称され、押圧操作体26が押し込まれる側が後側又は後方とも称される。
【0018】
なお、
図1が示すように、吐水ヘッド8は、外カバー28を有する。外カバー28は、導水部16と押圧操作体26との間の部分において、水栓装置2の外面を構成している。吐水ヘッド8の内部構造を分かりやすく示す観点から、
図1以外の図面では、外カバー28の記載が省略されている。
【0019】
図3は、吐水ヘッド8の分解斜視図である。上述の通り、吐水ヘッド8は、導水部16、操作装置18及び吐出口22を有する。導水部16は、管状壁部16aとカートリッジ配置部16bとを有する。管状壁部16aは内部空間を形成している。この内部空間は、カートリッジ配置部16bを構成している。カートリッジ配置部16bに、浄水カートリッジ32が配置されている。浄水カートリッジ32は、後端部32aと、先端部32bと、中間部32cとを有する。中間部32cは、水を浄化する浄水機能部を有する。本実施形態では、浄水機能部は活性炭部を有する。活性炭部は管状に成形されている。この活性炭部を透過することで水が浄化される。中間部32cから先端部32bに亘って内部空洞が形成され、この内部空洞が浄水流路を構成している。先端部32bは、カートリッジ配置部16bの吐水ヘッド8側に設けられたカートリッジ接続部に接続される。先端部32bは、浄水出口32dと、2つのシール部材a1,a2とを有する。シール部材a1及びシール部材a2は、Oリングである。シール部材a1の外径は、シール部材a2の外径よりも小さい。シール部材a1は、シール部材a2よりも前側(下流側)に位置する。シール部材a1とシール部材a2との間に、浄水出口32dが形成されている。中間部32cの外面と管状壁部16aとの間が、原水流路を構成している。
【0020】
吐水ヘッド8は、ヘッド本体34を有している。ヘッド本体34に、導水部16及び操作装置18が取り付けられている。ヘッド本体34は、導水部16から吐出口22までの間において、複数の通水経路を形成している。ヘッド本体34は、後述される第1バルブ機構M1及び第2バルブ機構M2を収容している。
【0021】
操作装置18は、押圧操作体(押しボタン)26と、第1ノックカム機構K1と、第2ノックカム機構K2と、第1バルブ機構M1と、第2バルブ機構M2とを有する。更に、操作装置18は、押圧操作体26を突出側に付勢する付勢弾性体35を有する。
【0022】
第1ノックカム機構K1は、第1切替こま36、第2切替こま38、切替リング40、切替軸42、付勢部材(コイルスプリング)44、切替カバー46及びOリング48を有する。切替カバー46は、後端部50と、スライド保持部52とを有する。切替リング40は、切替カバー46の前側(前端部)に固定されている。切替軸42は、スライド保持部52にガイドされて第1方向に移動する。第1切替こま36及び第2切替こま38は、切替軸42とともに移動する。押圧操作体26の押圧操作に連動して、第1切替こま36、第2切替こま38及び切替軸42が第1方向に移動する。付勢部材44は、スライド保持部52に挿入されている。付勢部材44は、切替カバー46と切替軸42とを、互いに離間する方向に付勢している。すなわち付勢部材44は、切替軸42を前方に付勢している。切替軸42は、付勢部材44に挿通されつつ、スライド保持部52に挿入されている。第1切替こま36は、押圧操作体26の押圧操作毎に所定角度回転し、切替リング40との相対位置が切り替わる。この切り替わりにより、異なる2つの位置での保持が可能とされている。
【0023】
第2ノックカム機構K2は、第1切替こま56、第2切替こま58、切替リング60、切替軸62、付勢部材(コイルスプリング)64、切替カバー66及びOリング68を有する。切替カバー66は、後端部70と、スライド保持部72とを有する。切替リング60は、切替カバー66の前側(前端部)に固定されている。切替軸62は、スライド保持部72にガイドされて第1方向に移動する。第1切替こま56及び第2切替こま58は、切替軸62とともに移動する。押圧操作体26の押圧操作に連動して、第1切替こま56、第2切替こま58及び切替軸62が第1方向に移動する。付勢部材64は、スライド保持部72に挿入されている。付勢部材64は、切替カバー66と切替軸62とを、互いに離間する方向に付勢している。すなわち付勢部材64は、切替軸62を前方に付勢している。切替軸62は、付勢部材64に挿通されつつ、スライド保持部72に挿入されている。第1切替こま56は、押圧操作体26の押圧操作毎に所定角度回転し、切替リング60との相対位置が切り替わる。この切り替わりにより、異なる2つの位置での保持が可能とされている。
【0024】
切替軸62は、第2ノックカム機構K2の作動状態を表示しうる表示部62aを有する。押圧操作体26は、表示部62aを外部から視認するための窓部26aを有する。
【0025】
切替カバー46と切替カバー66とで、部材が共通化されている。すなわち、共通カバー部材80が、切替カバー46及び切替カバー66を有する。後端部50及び後端部70は、共通の後端部82を構成している。この後端部82から、スライド保持部52及びスライド保持部72のそれぞれが、前側に向かって延びている。この部材の共通化は、部品点数の低減及び製造コストの削減に寄与しうる。
【0026】
なお、ノックカム機構は、本開示の構造に限定されない。ノックカム機構は、例えばノック式ボールペンで用いられている公知技術であり、オルタネイト動作を実現する。すなわち、ノックカム機構は、押圧する毎に、突出位置(前側位置)と押し込み位置(後側位置)との2つの位置での保持を可能とする。押しボタンで浄水吐出と原水吐出とを切り替える従来の水栓装置では、1つのノックカム機構が用いられている。これに対して本実施形態では、2つのノックカム機構K1、K2が用いられている。
【0027】
上述の通り、第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2とは、同一の構造を有する。また、第1ノックカム機構K1及び第2ノックカム機構K2は、いずれも押圧操作体26の押圧操作により作動する。ただし、第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2とで、第1方向における位置が相違する。
図3が示すように、スライド保持部52とスライド保持部72とでは長さが相違しており、スライド保持部52の前端はスライド保持部72の前端よりも前側に位置している。切替リング40は切替リング60よりも前側に位置する。第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との間で、第1方向における作動範囲が相違している。
【0028】
吐水ヘッド8は、第1ノックカム機構K1及び第2ノックカム機構K2に連動するバルブ構造を有する。このバルブ構造は、弁体(ボール)90と、円形の開口弁座sを形成する弁座パッキン92と、各ボール90を開口弁座sに向かって押圧する弾性体94と、第1切替体96と、第2切替体98とを有する。更に、このバルブ構造は、大径シール部材100と、止水体102と、小径シール部材104と、止水軸106とを有する。大径シール部材100は、Oリングである。小径シール部材104は、Oリングである。
【0029】
各弁座パッキン92は、各流路口の入口に配置されて開口弁座sを構成し、この開口弁座sにボール90が嵌まり込むことで弁が閉じられる。これらの流路口は、ヘッド本体34に設けられている。弾性体94は、コイルスプリングである。ボール90は、第1ボール90a、第2ボール90b及び第3ボール90cにより構成されている。第1ボール90a、第2ボール90b及び第3ボール90cはそれぞれ2個ずつ設けられている。よってボール90は合計で6個である。弁座パッキン92及び弾性体94は、各ボール90に対して1つずつ設けられている。左右両側のそれぞれに、3つのボール90a~90cと、3つの弁座パッキン92と、3つの弾性体94とが配置されている。同一の弁構造を左右に配置することで、弁孔を小さくして開弁時の操作力を低下させつつ、この弁構造を通過する水の流量が高められている。
【0030】
大径シール部材100は止水体102に装着され、小径シール部材104は止水軸106に装着され、止水体102は止水軸106に取り付けられて、止水軸部材108が形成される。止水軸部材108が所定の弁座に当接することで、弁が閉じられる。
【0031】
第1バルブ機構M1は、第1ノックカム機構K1に連動して開閉状態が変更される。第1バルブ機構M1は、第1ボール90a及び第2ボール90bと、ボール90aにより塞がれる開口弁座s1と、第2ボール90bにより塞がれる開口弁座s2と、第1切替体96とを有する。ボール90a及びそれにより塞がれる開口弁座s1は、第1ボール弁V1を構成する。第2ボール90b及びそれにより塞がれる開口弁座s2は、第2ボール弁V2を構成する。第1切替体96は、第1開弁部96aを有する。
図3では一方の第1開弁部96aが隠れているが、第1開弁部96aは第1切替体96の左右両側に設けられている。第1切替体96は、第1ノックカム機構K1の切替軸42に連結されている。
【0032】
第2バルブ機構M2は、第2ノックカム機構K2に連動して開閉状態が変更される。第2バルブ機構M2は、第3ボール90cと、第3ボール90cにより塞がれる開口弁座s3と、第2切替体98と、止水軸部材108と、止水軸部材108により塞がれる弁座s4とを有する。第3ボール90c及びそれにより塞がれる開口弁座s3は、第3ボール弁V3を構成する。止水軸部材108及びそれにより塞がれる弁座s4は、軸弁V4を構成する。第2切替体98は、第2開弁部98aを有する。第2開弁部98aは、第2切替体98の左右両側に設けられている。第2切替体98は、第2ノックカム機構K2の切替軸62に連結されている。
【0033】
ヘッド本体34の内部に、全てのボール90、全ての弁座パッキン92、全ての弾性体94、第1切替体96及び第2切替体98が収容されている。ヘッド本体34の上側は、ヘッド上部110で覆われている。ヘッド上部110は、弾性体94のそれぞれを各ボール90の上側の位置で保持している。
【0034】
2つのノックカム機構K1,K2は、共通の押圧操作体26によって作動する。第1ノックカム機構K1の作動方向と第2ノックカム機構K2の作動方向とは同じである。この作動方向は、押圧操作体26の可動方向と同じ第1方向である。一方、第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との間で、第1方向における位置がズレている。よって、第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2とは、互いに異なる位置で切り替わる。2つのノックカム機構K1,K2により、一つの押圧操作体26の押圧操作のみで多様な切替が実現されうる。
【0035】
図4から
図7は、2つのノックカム機構K1,K2により達成される4つの切替状態での、吐水ヘッド8の部分断面図である。
【0036】
図4(a)は
図2のA-A線に沿った位置における第1切替状態の断面図であり、
図4(b)は
図2のB-B線に沿った位置における第1切替状態の断面図である。本実施形態では、第1切替状態は浄水シャワーである。すなわち、第1切替状態は、吐水の種類の選択が浄水であり、且つ、水形の選択がシャワーである。
【0037】
図5(a)は
図2のA-A線に沿った位置における第2切替状態の断面図であり、
図5(b)は
図2のB-B線に沿った位置における第2切替状態の断面図である。本実施形態では、第2切替状態は浄水ストレートである。すなわち、第2切替状態は、吐水の種類の選択が浄水であり、且つ、水形の選択がストレートである。
【0038】
図6(a)は
図2のA-A線に沿った位置における第3切替状態の断面図であり、
図6(b)は
図2のB-B線に沿った位置における第3切替状態の断面図である。本実施形態では、第3切替状態は原水シャワーである。すなわち、第3切替状態は、吐水の種類の選択が原水であり、且つ、水形の選択がシャワーである。
【0039】
図7(a)は
図2のA-A線に沿った位置における第4切替状態の断面図であり、
図7(b)は
図2のB-B線に沿った位置における第4切替状態の断面図である。本実施形態では、第4切替状態は原水ストレートである。すなわち、第4切替状態は、吐水の種類の選択が原水であり、且つ、水形の選択がストレートである。
【0040】
なお、
図4から
図7では、切替に係る水の流れが破線矢印で示されている。
【0041】
公知の通り、一般にノックカム機構は、押圧操作体が所定の位置以上にまで押し込まれることで切り替えられる。本願では、この所定の位置が、切替位置とも称される。切替位置以上にまで押圧操作される毎に、突出位置と押し込み位置とが交互に達成される。即ち、突出位置(前側位置)にあるノックカム機構において、切替位置以上にまで押圧操作がなされると、ノックカム機構は押し込み位置(後側位置)に移行する。押圧操作体から手を離しても、当該押し込み位置が保持される。押し込み位置にあるノックカム機構において、切替位置以上にまで押圧操作がなされると、ノックカム機構は突出位置に移行する。押圧操作体から手を離しても、当該突出位置が保持される。
【0042】
本願では、突出位置の状態がOFFとも称され、押し込み位置の状態がONとも称される。本実施形態では、2つのノックカム機構が設けられている。2つのノックカム機構K1,K2の組み合わせにより、複合ノックカム機構K12が形成されている。複合ノックカム機構K12は、第1切替状態から第4切替状態までの4つの状態を取ることができる。
図4(a)及び(b)に示される第1切替状態では、第1ノックカム機構K1がOFFであり、第2ノックカム機構K2がOFFである。
図5(a)及び(b)に示される第2切替状態では、第1ノックカム機構K1がONであり、第2ノックカム機構K2がOFFである。
図6(a)及び(b)に示される第3切替状態では、第1ノックカム機構K1がOFFであり、第2ノックカム機構K2がONである。
図7(a)及び(b)に示される第4切替状態では、第1ノックカム機構K1がONであり、第2ノックカム機構K2がONである。これら4つの切替状態は、押圧操作体26の押圧操作のみで選択される。
【0043】
図4(b)が示すように、第1ノックカム機構K1がOFFであるとき、第1開弁部96aが前側に動き、第1ボール90aを押し上げる。よって、第1ボール90aが開口弁座s1から離れて第1ボール弁V1が開く。同時に、第1開弁部96aは第2ボール90bから離れ、第2ボール90bが開口弁座s2に嵌まって第2ボール弁V2が閉じる。このため水は、第1ボール弁V1から吐出口22のシャワー孔120に至るシャワー流路122に流れ、第2ボール弁V2から吐出口22のストレート孔124に至るストレート流路126には流れない。この結果、吐水の水形はシャワー水形となる。
【0044】
図4(a)が示すように、第2ノックカム機構K2がOFFであるとき、止水軸106が前側に動き、大径シール部材100が弁座s4に当接すると共に、小径シール部材104が止水体102に形成された副弁座s5に当接する。この結果、軸弁V4が閉じられる。この軸弁V4は、原水流路134を遮断する原水遮断弁である。軸弁V4が閉じることで、原水流路134が遮断される。浄水流路136は、浄水出口32dから、弁座s4が配置されている流路とは別の流路を経由して、下流へと向かっている。
図4(b)が示すように、第2ノックカム機構K2がOFFであるとき、第2開弁部98aが前側に動き、第3ボール90cを押し上げる。よって、第3ボール90cが開口弁座s3から離れて第3ボール弁V3が開く。このため浄水が第3ボール弁V3を通過して下流へと流れる。この結果、原水は遮断され、吐水は浄水となる。
【0045】
このように、
図4(a)及び(b)に示される第1切替状態では、第1ノックカム機構K1がOFFで且つ第2ノックカム機構K2がOFFであり、吐水状態は浄水シャワーである。
【0046】
図5(b)が示すように、第1ノックカム機構K1がONであるとき、第1開弁部96aが後側に動き、第2ボール90bを押し上げる。よって、第2ボール90bが開口弁座s2から離れて第2ボール弁V2が開く。同時に、第1開弁部96aは第1ボール90aから離れ、第1ボール90aが開口弁座s1に嵌まって第1ボール弁V1が閉じる。このため水は、第2ボール弁V2から吐出口22のストレート孔124に至るストレート流路126に流れ、第1ボール弁V1から吐出口22のシャワー孔120に至るシャワー流路122には流れない。この結果、吐水はストレート水形となる。
図5(a)及び(b)では、
図4(a)及び(b)と同じく、第2ノックカム機構K2はOFFである。よって、原水は遮断され、吐水は浄水となる。このように、
図5(a)及び(b)に示される第2切替状態では、第1ノックカム機構K1がONで且つ第2ノックカム機構K2がOFFであり、吐水状態は浄水ストレートである。
【0047】
図6(a)及び(b)では、
図4(a)及び(b)と同じく、第1ノックカム機構K1はOFFである。よって、水はシャワー流路122に流れてストレート流路126には流れず、吐水はシャワー水形となる。
図6(a)が示すように、第2ノックカム機構K2がONであるとき、止水軸106が後側に動き、大径シール部材100が弁座s4から離れる。この結果、軸弁V4が開かれる。軸弁V4が開くことで、原水流路134に原水が流れる。更に、
図6(b)が示すように、第2ノックカム機構K2がONであるとき、第2開弁部98aが後側に動き、第3ボール90cが開口弁座s3に嵌まって第3ボール弁V3が閉じる。このため、浄水が遮断される。第3ボール弁V3は、浄水を遮断する浄水遮断弁である。このように、
図6(a)及び(b)に示される第3切替状態では、第1ノックカム機構K1がOFFで且つ第2ノックカム機構K2がONであり、吐水状態は原水シャワーである。
【0048】
図7(a)及び(b)では、
図5(a)及び(b)と同じく、第1ノックカム機構K1はONである。よって水は、シャワー流路122には流れず、ストレート流路126に流れる。また、
図7(a)及び(b)では、
図6(a)及び(b)と同じく、第2ノックカム機構K2はONである。よって、浄水が遮断されて原水が流れる。このように、
図7(a)及び(b)に示される第4切替状態では、第1ノックカム機構K1がONで且つ第2ノックカム機構K2がONであり、吐水状態は原水ストレートである。
【0049】
複合ノックカム機構K12では、押圧操作体26の押圧操作のみで、第1から第4の切替状態に切り換えることができる。本実施形態では、押圧操作体26の押圧操作のみで、浄水シャワー、浄水ストレート、原水シャワー及び原水ストレートの4段切替が可能である。
【0050】
本実施形態では、第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との間で、第1方向における切替位置が相違している。本実施形態では、第1ノックカム機構K1が第2ノックカム機構K2よりも前側に位置する。第1ノックカム機構K1の切替位置は、第2ノックカム機構K2の切替位置よりも前側に位置する。
【0051】
押圧操作体26を押し込むと、先ず第1ノックカム機構K1が作動し、更に押し込むと第2ノックカム機構K2が作動する。押圧操作体26の可動範囲は、第2ノックカム機構K2の切替位置を超える位置まで確保されている。
【0052】
押圧操作体26をその可動範囲の途中まで押圧操作する半押しにより、第1ノックカム機構K1を切り替えることができる。この半押しでは、押圧操作体26は、第1ノックカム機構K1の切替位置を超えて且つ第2ノックカム機構K2の切替位置を超えない位置まで押し込まれる。この半押しにより、第2ノックカム機構K2を切り替えることなく、第1ノックカム機構K1を切り替えることができる。
【0053】
押圧操作体26を前記半押しよりも深く押圧操作する全押しにより、第2ノックカム機構K2を切り替えることができる。この全押しでは、押圧操作体26は、第2ノックカム機構K2の切替位置を超える位置まで押し込まれる。この全押しでは、押圧操作体26がその可動範囲の限界まで押し込まれてもよい。
【0054】
本実施形態では、第1ノックカム機構K1は、水形を切り替える機構(水形切替機構)である。即ち、水形は、第1ノックカム機構K1がONかOFFかで切り替わる。また、第2ノックカム機構K2は、吐水の種類を切り替える機構(吐水種切替機構)である。即ち、吐水の種類は、第2ノックカム機構K2がONかOFFかで切り替わる。押圧操作体26の押圧操作のみで、水形及び吐水の種類が選択されうる。
【0055】
使用者が所望の切替状態を達成しようとする場合、例えば、先ず全押しを行うことができる。この全押しにより、第2ノックカム機構K2が切り替わる。次いで、必要に応じて、半押しを行うことができる。この半押しにより、第2ノックカム機構K2を切り替えることなく、第1ノックカム機構K1を切り替えることができる。本実施形態では、最大でも2回の押圧操作で、所望の切替状態が達成される。このように、本実施形態では、押圧操作のみ且つ2アクション以内で、所望の切替状態に行き着くことができる。
【0056】
本実施形態の場合、操作の詳細は、次の通りである。ある場面において、例えば吐水の種類(原水か浄水か)が使用者の意図と異なる場合、使用者は、全押しを行う。この全押しにより、吐水の種類が切り替わる。次いで、この全押し後の水形が使用者の意図と異なる場合、使用者は、半押しを行う。この半押しにより、吐水の種類は切り替わることなく、水形が切り替わる。別の場面において、例えば吐水の種類は使用者の意図に合致しているが、水形が使用者の意図と異なる場合、使用者は、半押しのみを行う。この半押しにより、吐水の種類を変えることなく、水形を切り替えることができる。このように、2回以内の押圧操作で、所望の吐水種及び水形が達成されうる。押圧操作のみ且つ2アクション以内で、所望の吐水種及び水形が選択される。
【0057】
押圧操作体26の押圧操作のみで切替が可能であるとしても、3アクションが必要であると、操作性が低下する。4段切替であるにも関わらず、2アクション以内で操作が完了することで、操作性及び利便性が高められている。
【0058】
切替状態に関わらず、押圧を解除すると、押圧操作体26は定位置に戻る。手を離す度に、押圧操作体26は定位置に戻る。すなわち、非操作状態では、押圧操作体26は定位置にある。この定位置は、押圧操作体26の可動範囲における最も突出側(前側)の位置である。すなわち、この定位置は、最突出位置である。
図4(b)等が示すように、付勢弾性体35は、その後端が固定部分(切換カバー66の後端部82)に当接しており、その前端が押圧操作体26に当接している。付勢弾性体35は、押圧操作体26を常時突出側(前側)に付勢している。
図3が示すように、押圧操作体26はストッパー26bを有している。押圧が解除されると、押圧操作体26は、ストッパー26bが固定部分(ヘッド本体34の特定部分)に係合するまで突出側に移動する。この結果、押圧操作体26は常に定位置(最突出位置)に戻る。なお、非操作状態において、押圧操作体26は常に定位置に戻らなくてもよい。例えば、非操作状態において、押圧操作体26は、第1ノックカム機構K1又は第2ノックカム機構K2に追従して移動してもよい。
【0059】
なお、本願において「固定部分」とは、押圧操作体26の押圧操作に連動しない部分を意味する。
【0060】
第2ノックカム機構K2がOFFであるとき(
図4(a)、
図5(a))、表示部62aが窓部26aから見える位置となり、第2ノックカム機構K2がOFFであるときの吐水状態が表示されうる。また、第2ノックカム機構K2がONであるとき(
図6(a)、
図7(a))、表示部62aが窓部26aから見えない位置となり、第2ノックカム機構K2がONであるときの吐水状態が表示されうる。本実施形態では、表示部62aには、例えば「浄水」との文字や浄水を示す色(青色等)が表示されうる。これにより、吐水が浄水か否かが窓部26aに表示される。
【0061】
本実施形態では、非操作状態における押圧操作体26と第2ノックカム機構K2との位置関係は、第2ノックカム機構K2の切替状態(ONかOFFか)に依存しており、第1ノックカム機構K1の切替状態には依存していない。このため、押圧操作体26において、第2ノックカム機構K2の切替状態の表示が可能となる。なお、非操作状態における押圧操作体26と第1ノックカム機構K1との位置関係は、第1ノックカム機構K1の切替状態(ONかOFFか)に依存しており、第2ノックカム機構K2の切替状態には依存していない。このため、本実施形態では採用されていないが、押圧操作体26において、第1ノックカム機構K1の切替状態を表示することも可能である。このように、非操作状体において常に定位置に戻る押圧操作体26は、切替状態の表示を容易とするのに寄与する。
【0062】
図8(a)は、第1ノックカム機構K1がONであり且つ第2ノックカム機構K2がOFFであるときの、水栓装置2の断面図である。
図8(a)は、
図5(a)と同じ断面図である。
図8(b)は、
図8(a)の円内の拡大図である。
図9(a)は、第1ノックカム機構K1がONであり且つ第2ノックカム機構K2がOFFからONへの移行の途中であるときの、水栓装置2の断面図である。
図9(b)は、
図9(a)の円内の拡大図である。
図10(a)は、第1ノックカム機構K1がONであり且つ第2ノックカム機構K2がONであるときの、水栓装置2の断面図である。
図10(a)は、
図7(a)と同じ断面図である。
図10(b)は、
図10(a)の円内の拡大図である。
【0063】
図8から
図10が示すように、ヘッド本体34は、止水軸106が挿通されている流路孔140を有している。流路孔140の中心線は、第1方向に沿っている。流路孔140は、前述した弁座s4を有している。弁座s4は、後側にいくにつれて拡径する円錐凹面を形成している。止水軸106は、この流路孔140に挿通されている。止水軸106の後端部に止水体102が取り付けられ、この止水体102に大径シール部材100が取り付けられている。止水体102は、止水軸106が貫通する貫通孔142を有する。貫通孔142の中心線は、止水軸106の中心線に一致している。貫通孔142は、前述した副弁座s5を有している。副弁座s5は、後側にいくにつれて拡径する円錐凹面を形成している。止水軸106は、この貫通孔142を貫通している。止水軸106の最後端部に、小径シール部材104が取り付けられている。
【0064】
図8(b)、
図9(b)及び
図10(b)が示すように、止水体102の貫通孔142と止水軸106との間には隙間144が形成されている。なお、これらの断面図では隙間144が示されているが、他の周方向位置での断面(図示されず)では貫通孔142の内面は止水軸106に接触している。
【0065】
止水体102は、止水軸106に対して所定の相対可動距離だけスライド移動しうる状態で、止水軸106に取り付けられている。
【0066】
第2ノックカム機構K2をOFFからONへと切り替えるには、押圧操作体26が押圧操作される。この押圧操作により、第2ノックカム機構K2は、
図8(a)の状態から、
図9(a)の状態を経て、
図10(a)の状態に至る。本実施形態では、
図8(a)から
図9(a)までの操作ストロークは、1mmである。なお、
図9(b)は押圧操作中の状態であるから、押圧操作体26は最突出位置よりも押し込まれた位置にあるのが実際であるが、
図8(a)及び
図10(a)との対比の容易性に鑑み、
図9(a)でも押圧操作体26は最突出位置とされている。
【0067】
OFFの状態にある第2ノックカム機構K2から押圧操作体26を押圧操作すると、先ず止水軸106が止水体102に対して(僅かに)後側に動き、小径シール部材104が副弁座s5から離れる。これにより、流体(原水)が隙間144を通る。更に押圧操作体26を押圧操作すると、止水軸106の後方への移動距離が上記相対可動距離を超え、大径シール部材100が弁座s4から離れる。これにより、軸弁V4が完全に開き、流体(原水)が流路孔140を通過する。流路孔140は原水流路として機能する。
【0068】
このように、軸弁V4は、流路面積が比較的小さい第1弁と、流路面積が比較的大きい第2弁とから構成されている。第1弁は、小径シール部材104と副弁座s5との離接により開閉する弁である。第2弁は、大径シール部材100と弁座s4との離接により開閉する弁である。軸弁V4を開く押圧操作の初期段階で、第2弁が閉じたまま第1弁が開く遷移状態(
図9(b))が達成されている。流路面積が比較的小さい第1弁は、小さい操作力で開くことができる。第1弁が開くことで流体圧(原水圧)が減少するため、流路面積が比較的大きい第2弁を開く際の操作力が低減される。このように、先ず第1弁が開き、次いで第2弁が開く構造により、開弁に要する操作力が低減されている。
【0069】
図11(a)から(d)は、第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との位置関係を示す模式図である。
【0070】
図11(a)が示すように、第1ノックカム機構K1は、作動開始位置P1と、切替位置T1とを有する。作動開始位置P1と切替位置T1との間のストロークは、第1ノックカム機構K1の切替ストロークS11である。切替位置T1よりも押し込み側のストロークは、オーバーストロークS12である。なお、作動開始位置P1は、突出位置(OFF状態)にある第1ノックカム機構K1が動きはじめるときの押圧操作体26の位置である。
【0071】
なお、オーバーストロークS12の後端位置Paにおいて、第1ノックカム機構K1の移動制限等の機械的制約は生じない。第1ノックカム機構K1でも、限界位置Pbまでのストロークが可能である。押圧操作体26は、後端位置Paを超える位置まで押圧操作されうる。後端位置Paは、オーバーストロークS12の適切な長さを考慮して設定されうる。例えば、
図11(a)から(d)の実施形態のように、オーバーストロークS12は、オーバーストロークS22と同じとされうる。しかし、第1ノックカム機構K1の可動範囲を考慮すると、切替位置T1から可動範囲の限界位置PbまでがオーバーストロークS12と考えることもできる。
【0072】
図11(a)が示すように、第2ノックカム機構K2は、作動開始位置P2と、切替位置T2とを有する。作動開始位置P2と切替位置T2との間のストロークは、第2ノックカム機構K2の切替ストロークS21である。切替位置T2よりも押し込み側のストロークは、オーバーストロークS22である。オーバーストロークS22は、切替位置T2から限界位置Pbまでである。なお、作動開始位置P2は、突出位置(OFF状態)にある第2ノックカム機構K2が動きはじめるときの押圧操作体26の位置である。
【0073】
なお、第2ノックカム機構K2がOFF(突出位置)であっても、押圧操作体26が最突出位置Pfから作動開始位置P2に達するまで、第2ノックカム機構K2には何も起こらない。押圧操作体26が作動開始位置P2に達して初めて、押圧操作体26による第2切替こま58の押圧が開始され、付勢部材64の圧縮が開始される(
図3及び
図4(a)参照)。第2ノックカム機構K2においては、最突出位置Pfから作動開始位置P2までの押圧操作体26の移動は、第2ノックカム機構K2が作動しないストロークである。このように、ノックカム機構を作動させないストロークが、空ストロークとも称される。第2ノックカム機構K2がON(押し込み位置)である場合、第2ノックカム機構K2における空ストロークはより長くなる。第1ノックカム機構K1においても、空ストロークが生じうる。本実施形態では、作動開始位置P1が最突出位置Pfに一致しているので、第1ノックカム機構K1がOFF(突出位置)である場合、空ストロークは生じない。しかし、第1ノックカム機構K1がON(押し込み位置)である場合には、第1ノックカム機構K1においても空ストロークが生じる。
【0074】
最突出位置Pfから限界位置Pbまでが、押圧操作体26の可動範囲である。本実施形態のように、最突出位置Pfが作動開始位置P1と一致していてもよい。最突出位置Pfが作動開始位置P1と一致しておらず、最突出位置Pfが作動開始位置P1より前側(突出側)であってもよい。押圧操作体26の可動範囲のストロークの長さが、全ストロークSmである。
【0075】
第1ノックカム機構K1を切り替えるには、切替位置T1を超える位置まで押圧操作体26を押し込む。この際、押し込みを切替位置T2を超えない位置までに留めることで、第2ノックカム機構K2を切り替えることなく、第1ノックカム機構K1のみを切り替えることができる。この押圧操作が、前述した半押しとなりうる。
【0076】
第1ノックカム機構K1がOFFの状態から半押しを行って手を離すと、第1ノックカム機構K1はONに切り替わる。第1ノックカム機構K1がONの状態から半押しを行って手を離すと、第1ノックカム機構K1はOFFに切り替わる。この半押しでは、第2ノックカム機構K2の切替は起こらない。
【0077】
第2ノックカム機構K2を切り替えるには、切替位置T2を超える位置まで押圧操作体26を押し込む。この押圧操作が、前述した全押しとなりうる。全押しでは、第2ノックカム機構K2の可動範囲の限界位置Pbに達するまで押圧操作体26が押し込まれてもよい。この全押しは、切替位置T1を超えるため、第1ノックカム機構K1の切替を伴う。この第1ノックカム機構K1の切替により、第1ノックカム機構K1の切替状態が所望の状態から外れる場合、その後に半押しを行えばよい。
【0078】
第1ノックカム機構K1がOFFで且つ第2ノックカム機構K2がOFFの状態から全押しを行って手を離すと、第2ノックカム機構K2がONに切り替わると同時に、第1ノックカム機構K1がONに切り替わる。その後に半押しを行うことで、第2ノックカム機構K2をONにしたまま第1ノックカム機構K1をOFFに切り替えることができる。
【0079】
第1ノックカム機構K1がOFFで且つ第2ノックカム機構K2がONの状態から全押しを行って手を離すと、第2ノックカム機構K2がOFFに切り替わると同時に、第1ノックカム機構K1がONに切り替わる。その後に半押しを行うことで、第2ノックカム機構K2をOFFにしたまま第1ノックカム機構K1をOFFに切り替えることができる。
【0080】
第1ノックカム機構K1がONで且つ第2ノックカム機構K2がONの状態から全押しを行って手を離すと、第2ノックカム機構K2がOFFに切り替わると同時に、第1ノックカム機構K1がOFFに切り替わる。その後に半押しを行うことで、第2ノックカム機構K2をOFFにしたまま第1ノックカム機構K1をONに切り替えることができる。
【0081】
第1ノックカム機構K1がONで且つ第2ノックカム機構K2がOFFの状態から全押しを行って手を離すと、第2ノックカム機構K2がONに切り替わると同時に、第1ノックカム機構K1がOFFに切り替わる。その後に半押しを行うことで、第2ノックカム機構K2をONにしたまま第1ノックカム機構K1をONに切り替えることができる。
【0082】
このように、最大でも2回の押圧操作で、4段階の切替が可能とされている。共通の押圧操作体26で作動する2つのノックカム機構を設けることで、押圧操作のみで多様な切替が可能とされている。
【0083】
図11(a)から(d)の各実施形態では、いずれも第1ノックカム機構K1が第2ノックカム機構K2よりも前側に位置している。いずれの実施形態でも、切替位置T1は切替位置T2よりも前側に位置している。いずれの実施形態でも、作動開始位置P1は作動開始位置P2よりも前側に位置する。これらの実施形態では、上述の通り、2回以内の押圧操作で、4段階の切替状態の中から使用者が望む切替状態に行き着くことができる。
【0084】
第1ノックカム機構K1を第2ノックカム機構K2よりも前側とする場合において、両者の位置関係は様々に設定することができる。
図11(a)から(d)に示す4つの実施形態は、この位置関係の例である。
図11(a)の実施形態では、作動開始位置P2が作動開始位置P1と切替位置T1との間に位置する。
図11(b)の実施形態では、作動開始位置P2が切替位置T1に一致している。
図11(c)及び
図11(d)の実施形態では、作動開始位置P2が切替位置T1よりも後側(押し込み側)に位置している。
【0085】
第1ノックカム機構K1の可動範囲と第2ノックカム機構K2の可動範囲とは、重複しているのが好ましい。この重複により、全ストロークSmを短くすることができる。全ストロークSmは、押圧操作体26の可動範囲である。短い全ストロークSmは、操作性を高める。短い全ストロークSmは、装置の小型化に寄与する。
図11(b)に示されるように、第1ノックカム機構K1の可動範囲において、後方基準位置Pcが定義される。後方基準位置Pcは、切替位置T1から後側に距離D1だけ隔てた位置である。距離D1は、第2ノックカム機構K2のオーバーストロークS22の長さと同じである。距離D1は、各ストロークの長さと同じく、第1方向に沿って測定される。なお、
図11(a)から(d)では、後方基準位置Pcは、後端位置Paと同じ位置である。全ストロークSmを短くする観点からは、
図11(a)から(d)の実施形態が好ましい。すなわち、作動開始位置P2が後方基準位置Pcと同じであるか、又は作動開始位置P2が後方基準位置Pcよりも前側であるのが好ましい。全ストロークSmを短くする観点からは、
図11(a)から(c)の実施形態がより好ましい。すなわち、作動開始位置P2が後方基準位置Pcよりも前側であるのがより好ましい。全ストロークSmを短くする観点からは、
図11(a)及び
図11(b)の実施形態がより好ましい。すなわち、作動開始位置P2が切替位置T1と同じであるか、又は、作動開始位置P2が切替位置T1よりも前側であるのが好ましい。なお、第1ノックカム機構K1の可動範囲は作動開始位置P1から限界位置Pbまでであり、第2ノックカム機構K2の可動範囲は作動開始位置P2から限界位置Pbまでである。
【0086】
図11(a)の実施形態では、第1ノックカム機構K1を切り替える半押しの途中で作動開始位置P2に達する。このため、半押しにおいて第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との両方が作動し、押圧操作力が増加する。半押しの押圧操作力を低下させる観点からは、
図11(a)の実施形態は好ましくない。半押しの押圧操作力を低下させる観点からは、作動開始位置P2は切替位置T1と同じか又は切替位置T1よりも後側であるのが好ましい。
【0087】
作動開始位置P1から作動開始位置P2に向かう押圧操作では、付勢部材44が圧縮される。作動開始位置P2からは、更に付勢部材64の圧縮が開始される。作動開始位置P2以上の押し込みでは、付勢部材44及び付勢部材64が圧縮される。よって作動開始位置P2では、押圧操作の操作感が変化する。操作感とは、押圧操作を行う使用者の手に伝わる感覚である。上記実施形態では、操作感の変化は、押圧操作に対する抵抗力の変化である。作動開始位置P2では、押圧操作に対する抵抗力が増加する。押圧操作を行っている使用者は、この操作感の変化を認識することができる。
【0088】
図11(b)の実施形態では、切替位置T1が作動開始位置P2に一致している。操作感が変化する作動開始位置P2を切替位置T1に一致させることで、切替位置T1がより明確に認識されうる。この認識は、半押し操作における押圧の停止時期の判断を容易としうる。
【0089】
図11(c)及び
図11(d)の実施形態では、作動開始位置P2が切替位置T1よりも後側(押し込み側)である。この場合、操作感の変化により、半押し操作における押圧の停止時期が告知されうる。この操作感の変化は、半押し操作における押圧の停止時期の判断を容易としうる。例えば、操作感が変化したら押圧操作を停止するという判断が可能となる。
【0090】
図11(c)及び
図11(d)の実施形態では、作動開始位置P2が切替位置T1よりも後側(押し込み側)である。この場合、作動開始位置P2の手前で第1ノックカム機構K1の切替を完了することができる。このため、第2ノックカム機構K2を作動させずに第1ノックカム機構K1を切り替えることができ、第1ノックカム機構K1の切替(半押し)における押圧操作力を低減することができる。
【0091】
第1ノックカム機構K1の切替ストロークS11の長さは限定されない、切替ストロークS11が過小であると、意図しない半押しが生じやすくなり、操作性が低下しうる。この観点から、切替ストロークS11は、2.5mm以上が好ましく、3.0mm以上がより好ましく、3.5mm以上がより好ましい。切替ストロークS11が過大であると、半押しの労力が増大し、全ストロークSmも増加しやすい。この観点から、切替ストロークS11は、5.5mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.5mm以下がより好ましい。上記実施形態では、切替ストロークS11は4.0mmとされた。
【0092】
第2ノックカム機構K2の切替ストロークS21の長さは限定されない、切替ストロークS21が過小であると、意図しない全押しが生じやすくなり、操作性が低下しうる。この観点から、切替ストロークS21は、2.5mm以上が好ましく、3.0mm以上がより好ましく、3.5mm以上がより好ましい。切替ストロークS21が過大であると、全押しの労力が増大し、全ストロークSmも増加しやすい。この観点から、切替ストロークS21は、5.5mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.5mm以下がより好ましい。上記実施形態では、切替ストロークS21は4.0mmとされた。
【0093】
図11(c)において両矢印Sdで示されるのは、切替位置T1と切替位置T2との間の距離である。距離Sdは限定されない。距離Sdが過小であると、半押しを意図した操作で誤って全押しとなる可能性が増加し、操作性が低下しうる。この観点から、距離Sdは、2.5mm以上が好ましく、3.0mm以上がより好ましく、3.5mm以上がより好ましい。距離Sdが過大であると、全押しの労力が増大し、全ストロークSmも増加しやすい。この観点から、距離Sdは、5.5mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.5mm以下がより好ましい。上記実施形態では、距離Sdは4.0mmとされた。
【0094】
全ストロークSmの長さは限定されない。切替ストロークS11及び距離Sdを確保する観点から、全ストロークSmは、7mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、9mm以上がより好ましい。全押しの労力を低減する観点、及び、装置の小型化の観点から、全ストロークSmは、13mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、11mm以下がより好ましい。上記実施形態では、全ストロークSmは10mmとされた。
【0095】
上記実施形態では、第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との間で、第1方向における切替位置が相違している。この切替位置は、第1ノックカム機構K1が第2ノックカム機構K2より前側であってもよいし、第2ノックカム機構K2が第1ノックカム機構K1より前側であってもよい。半押しで切り替わるノックカム機構は、第1ノックカム機構K1であってもよいし、第2ノックカム機構K2であってもよい。半押しで切り替わらず全押しで切り替わるノックカム機構は、第1ノックカム機構K1であってもよいし、第2ノックカム機構K2であってもよい。第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との間で、第1方向における切替位置が同じであってもよい。この場合も、1つの押圧操作体で2つのノックカム機構を作動させることにより、多様な弁構造或いは多様な切替が可能とされうる。
【0096】
上記実施形態では、押圧操作体26をその可動範囲の途中まで押圧操作する半押しにより、第1ノックカム機構K1が切り替えられる。半押しにより第2ノックカム機構K2が切り替えられてもよい。上記実施形態では、押圧操作体26を前記半押しよりも深く押圧操作する全押しにより、第2ノックカム機構K2が切り替えられる。全押しにより第1ノックカム機構K1が切り替えられてもよい。第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との相対的な位置関係により、半押しにより切り替わるノックカム機構が選択されうる。
【0097】
上記実施形態では、半押しによる切替は、全押しによる切替を伴うことなく実施可能である。すなわち、半押しによる切替は独立している。このため、使用者が意図する吐水状態に容易に到達することができる。
【0098】
上記実施形態では、第1ノックカム機構K1がONのときストレート水形であり、第1ノックカム機構K1がOFFのときシャワー水形である。これは逆でもよい。即ち、第1ノックカム機構K1がONのときシャワー水形であり、第1ノックカム機構K1がOFFのときストレート水形であってもよい。また、上記実施形態では、第2ノックカム機構K2がONのとき原水が吐出され、第2ノックカム機構K2がOFFのとき浄水が吐出される。これは逆でもよい。即ち、第2ノックカム機構K2がONのとき浄水が吐出され、第2ノックカム機構K2がOFFのとき原水が吐出されてもよい。第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との配置、及び、第1ノックカム機構K1及び第2ノックカム機構K2で切り替えられる通水経路の役割を変えることで、切替の機能は自由に選択されうる。
【0099】
上記実施形態では、第1ノックカム機構K1が第2ノックカム機構K2と同じ仕様とされたが、第1ノックカム機構K1が第2ノックカム機構K2と異なる仕様であってもよい。よって例えば、切替ストロークS11が切替ストロークS21と異なっていてもよい(
図11(a)から(d)を参照)。
【0100】
上記実施形態では、第1ノックカム機構K1により水形が切り替わり、第2ノックカム機構K2により吐水の種類(浄水が原水か)が切り替わる。本開示の操作装置は、この構成に限定されない。例えば、第1ノックカム機構K1により吐水の種類が切り替わり、第2ノックカム機構K2により水形が切り替わってもよい。また例えば、第1ノックカム機構K1及び第2ノックカム機構K2により水形が4種類に切り替わってもよい。第1ノックカム機構K1と第2ノックカム機構K2との配置、及び、第1ノックカム機構K1及び第2ノックカム機構K2で切り替えられる通水経路の役割を変えることで、切替の機能は自由に選択されうる。
【0101】
上記実施形態では、第1ノックカム機構K1に連動する第1バルブ機構M1の開閉状態により、通水経路の第1選択が達成される。この第1選択は、シャワー流路122かストレート流路126かの選択である。この第1選択により、水形の切替が達成される。選択される通水経路の役割を変えることで、第1選択により何を切り替えるかは、自由に設定されうる。
【0102】
上記実施形態では、第2ノックカム機構K2に連動する第2バルブ機構M2の開閉状態により、通水経路の第2選択が達成される。この第2選択は、原水流路134か浄水流路136かの選択である。この第2選択により、吐水種の切替が達成される。選択される通水経路の役割を変えることで、第2選択により何を切り替えるかは、自由に設定されうる。
【0103】
なお、第1選択は第2選択よりも下流側に位置する。このため、第2選択で選択された吐水種を、第2選択で選択された水形で吐出することができる。
【0104】
上記実施形態では、第1選択と第2選択との組み合わせにより、4種の通水経路が選択される。この4種の通水経路は、原水流路134からシャワー流路122に至る経路、原水流路134からストレート流路126に至る経路、浄水流路136からシャワー流路122に至る経路、及び、浄水流路136からストレート流路126に至る経路である。選択される通水経路の役割を変えることで、4段階の切替の種類は自由に設定されうる。第1選択と第2選択との組み合わせにより、4段切替が可能となる。4段切替により、第1の切替状態、第2の切替状態、第3の切替状態及び第4の切替状態の中から1つが選択されうる。これら4つの切替状態は、限定されない。
【0105】
上記実施形態では、第1バルブ機構M1が第1ボール弁V1及び第2ボール弁V2で構成され、第2バルブ機構M2が第3ボール弁V3及び軸弁V4で構成されている。各バルブ機構M1,M2のそれぞれを構成するバルブの数及び種類は限定されない。
【0106】
第1バルブ機構M1及び第2バルブ機構M2の少なくとも一方が、押圧操作体26に連動する切替体が弁体であるボールを動かすことにより前記ボールと開口弁座との離接が達成される第1弁構造を有していてもよい。第1ボール弁V1、第2ボール弁V2及び第3ボール弁V3が、この第1弁構造の例である。また、第1バルブ機構M1及び第2バルブ機構M2の少なくとも他方が、押圧操作体26に連動する弁体の動きにより当該弁体と弁座との離接が達成される第2弁構造を有していてもよい。軸弁V4が、この第2弁構造の例である。このような第1弁構造と第2弁構造との組み合わせにより、2つのノックカム機構で4つの通水経路を選択する構造を小型化することができる。
【0107】
第1弁構造における切替体が、前記押圧操作体に連動して第1方向に動くことでボールと開口弁座との間に入り込み前記ボールを乗り上げさせる開弁部を含んでいてもよい。第1切替体96及び第2切替体98が、この切替体の例である。第1開弁部96a及び第2開弁部98aが、この開弁部の例である。
図3の拡大部が示すように、開弁部96a及び開弁部98aは、その先端に向かうにつれて徐々に薄くなる入り込み部99を有している。入り込み部99は、ボールの乗り上げを容易とし、押圧操作力の低減に寄与する。
【0108】
図4(b)の拡大部が示すように、開弁部96aは、2つの入り込み部99を有している。開弁部96aは、前側に向かうにつれて徐々に薄くなる第1の入り込み部99aと、後側に向かうにつれて徐々に薄くなる第2の入り込み部99bとを有する。1つの開弁部96aで2つのボール弁V1,V2を開閉することで、部品点数が少なく省スペース化が可能な選択弁V12が構成されている。
【0109】
図4(b)の拡大部において両矢印θで示されるのは、入り込み部99の角度である。角度θは、第1方向に沿った断面図(
図4(b)等)において測定される。少ないストロークでボール90の移動量を増やし流量を高める観点から、角度θは、10°以上が好ましく、15°以上がより好ましく、20°以上がより好ましい。押圧操作力の低減の観点から、角度θは、35°以下が好ましく、30°以下がより好ましく、25°以下がより好ましい。
図4(b)の拡大部において両矢印Hで示されるのは、入り込み部99の高さである。高さHは、第1方向に沿った断面図(
図4(b)等)において測定される。ボール90の移動量を増やし流量を高める観点から、高さHは、1.2mm以上が好ましく、1.4mm以上がより好ましく、1.6mm以上がより好ましい。押圧操作力の低減の観点から、高さHは、3.0mm以下が好ましく、2.8mm以下がより好ましく、2.6mm以下がより好ましい。
【0110】
切替体(開弁部)を用いた上記第1弁構造では、ボールを上下方向に動かすことができる。この上下方向とは、開口弁座の孔の中心線の方向を意味しうる。
図4(b)、
図5(b)、
図6(b)及び
図7(b)が示すように、ボール90a,90b,90cは上下方向に動いている。ボール90a,90b,90cは、上下方向に対して垂直な方向(第1方向等)には動いていない。ボール90a,90b,90cを上下方向に動かすことで、ボール90a,90b,90cの周囲の空間を少なくすることができる。このため、省スペースが達成され、水栓装置2の小型化が可能となる。
【0111】
切替体(開弁部)を用いた上記第1弁構造は、開弁のための操作ストロークを低減するのに寄与する。比較技術として、ボールを保持するボールケースを用いて、当該ボールケースを第1方向に移動させることでボールを開口弁座から外す弁構造が考えられる。この場合、ボールの自由な動きを担保して閉弁を確実とする観点から、ボールとボールケースとの間に遊びが必要となる。開弁の際には、この遊びの分だけ操作ストロークを増やす必要がある。更に、この遊びに起因して、開弁時にボールが開口弁座側に吸い込まれようとするため、開弁時の流量が低下しやすい。この流量の低下を防ぐため、操作ストロークを更に増やす必要が生じる。これらの結果、操作ストロークが増加しやすく、装置が大型化しやすい。上記第1弁構造では、比較技術のような事情は生じず、ノックカム機構の操作ストロークを短くすることができる。このため、省スペースが達成され、水栓装置2の小型化が可能となる。
【0112】
第1ボール弁V1と第2ボール弁V2とは、1つの切替体(第1切替体96)により択一的に開弁される。第1ボール弁V1と第2ボール弁V2とで、流路を選択する選択弁V12が構成されている。
図4(b)、
図5(b)、
図6(b)及び
図7(b)が示すように、この選択弁V12は、第1方向の一方側(前側)に位置する第1ボール弁V1と、第1方向の他方側(後側)に位置する第2ボール弁V2と、第1ボール弁V1と第2ボール弁V2との間に位置する開弁部96aとを有する。開弁部96aは、ノックカム機構(第1ノックカム機構K1)に連動する。ノックカム機構K1がOFFであるとき、開弁部96aが一方側(前側)に動いて第1ボール弁V1を開き、第2ボール弁V2は閉じる。ノックカム機構K1がONであるとき、開弁部96aが他方側(後側)に動いて第2ボール弁V2を開き、第1ボール弁V1は閉じる。この選択弁V12では、2つの弁を択一的に開く構造が省スペースで実現されうる。また、この選択弁V12では、下流側に延びる2つの流路を択一的に選択できる構造をノックカム機構と連携させることができる。この選択弁V12は、第1バルブ機構M1の一例である。この選択弁V12は、上記第1弁構造の一例である。
【0113】
本開示の操作装置は、水栓装置、吐水ヘッド及び浄水器に適用されうる。上記実施形態では、操作装置は、水栓装置2に適用されている。また、操作装置は、吐水ヘッド8に適用されている。また上述の通り、操作装置は、吐水ヘッド8に含まれる蛇口一体型浄水器に適用されている。この操作装置は、蛇口直結型浄水器に適用されてもよい。さらに、この操作装置は、吐水装置等、流体を吐出するあらゆる装置に適用されうる。流体は、水等の液体でもよいし、気体でもよい。
【0114】
上記操作装置が適用された水栓装置の一例は、吐止水及び吐出量を調整しうるハンドルと、浄水機能部と、前記浄水機能部で浄化された水が通る浄水流路と、原水流路と、吐出口とを有している。前記吐出口が、第1水形で吐出する第1水形孔と、第2水形で吐出する第2水形孔とを有している。前記通水経路として、前記浄水流路から前記第1水形孔に至る第1経路と、前記浄水流路から前記第2水形孔に至る第2経路と、前記原水流路から前記第1水形孔に至る第3経路と、前記原水流路から前記第2水形孔に至る第4経路とが設けられている。前記押圧操作体の押圧操作により、前記4つの通水経路の中から1つが選択される。上記実施形態では、第1水形がシャワーであり、第1水形孔がシャワー孔120であり、第2水形がストレートであり、第2水形孔がストレート孔124である。第1水形及び第2水形は限定されない。吐水の多様性の観点から、第1水形は第2水形とは異なるのが好ましい。上記実施形態では、第1経路が浄水流路136からシャワー流路122を経てシャワー孔120に至る経路であり、第2経路が浄水流路136からストレート流路126を経てストレート孔124に至る経路であり、第3経路が原水流路134からシャワー流路122を経てシャワー孔120に至る経路であり、第4経路が原水流路134からストレート流路126を経てストレート孔124に至る経路である。各経路の役割は限定されない。これら4つの経路により、4段階切替が可能となる。
【0115】
第1バルブ機構M1に設けられるバルブの種類は限定されない。上記実施形態では、第1バルブ機構M1として第1ボール弁V1及び第2ボール弁V2(選択弁V12)が用いられたが、他のバルブが用いられてもよい。例えば、回転する円板を弁体とするバルブが用いられてもよい。第1バルブ機構M1に設けられるバルブの数は限定されない。上記実施形態では、第1バルブ機構M1におけるバルブの数は2つ(バルブV1,V2)であるが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0116】
第2バルブ機構M2に設けられるバルブの種類は限定されない。上記実施形態では、第2バルブ機構M2として第3ボール弁V3及び軸弁V4が用いられたが、他のバルブが用いられてもよい。例えば、回転する円板を弁体とするバルブが用いられてもよい。第2バルブ機構M2に設けられるバルブの数は限定されない。上記実施形態では、第2バルブ機構M2におけるバルブの数は2つ(バルブV3,V4)であるが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0117】
上記実施形態では、第1ノックカム機構K1及び第2ノックカム機構K2は、バルブ機構の開閉状態を切り替えている。第1ノックカム機構K1及び第2ノックカム機構K2はバルブ機構以外を切り替えてもよい。ノックカム機構に連動して切り替えることが可能なあらゆる構造が採用されうる。
【0118】
本開示の操作装置は、ノックカム機構を適用可能なあらゆる用途に用いられうる。この操作装置は、水栓装置及び浄水器に好ましく適用されうる。また、散水ノズル等、吐水の水形が複数である装置にも好ましく適用されうる。
【0119】
以下の付記は、本開示に含まれる発明の一部である。
[付記1]
押圧操作を受けて第1方向に可動な押圧操作体と、
前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第1ノックカム機構と、
前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第2ノックカム機構と、
前記第1ノックカム機構に連動して開閉状態が変更される第1バルブ機構と、
前記第2ノックカム機構に連動して開閉状態が変更される第2バルブ機構と、
前記第1バルブ機構の開閉状態及び前記第2バルブ機構の開閉状態により選択される複数の通水経路と、
を有する操作装置。
[付記2]
前記第1ノックカム機構と前記第2ノックカム機構との間で、前記第1方向における切替位置が相違している付記1に記載の操作装置。
[付記3]
前記押圧操作体をその可動範囲の途中まで押圧操作する半押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構のいずれか一方のみが切り替えられ、
前記押圧操作体を前記半押しよりも深く押圧操作する全押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構の他方が切り替えられる付記2に記載の操作装置。
[付記4]
前記押圧操作体の可動範囲が、前記第1ノックカム機構の作動開始位置と、前記第2ノックカム機構の作動開始位置とを有しており、
前記他方のノックカム機構の作動開始位置において、前記押圧操作の操作感が変化する付記1から3のいずれか1項に記載の操作装置。
[付記5]
前記第1バルブ機構の開閉状態により、前記通水経路の第1選択が達成され、
前記第2バルブ機構の開閉状態により、前記通水経路の第2選択が達成され、
前記第1選択と前記第2選択との組み合わせにより、4つの通水経路の中から1つが選択される付記1から4のいずれか1項に記載の操作装置。
[付記6]
前記第1バルブ機構及び前記第2バルブ機構の少なくとも一方が、前記押圧操作体に連動する切替体が弁体であるボールを動かすことにより前記ボールと開口弁座との離接が達成される第1弁構造を有しており、
前記第1バルブ機構及び前記第2バルブ機構の少なくとも他方が、前記押圧操作体に連動する弁体の動きにより当該弁体と弁座との離接が達成される第2弁構造を有している付記1から5のいずれか1項に記載の操作装置。
[付記7]
前記第1弁構造における前記切替体が、前記押圧操作体に連動して前記第1方向に動くことで前記ボールと前記開口弁座との間に入り込み前記ボールを乗り上げさせる開弁部を含む付記6に記載の操作装置。
[付記8]
付記1から7のいずれか1項に記載の操作装置を備える水栓装置。
[付記9]
吐止水及び吐出量を調整しうるハンドルと、浄水機能部と、前記浄水機能部で浄化された水が通る浄水流路と、原水流路と、吐出口とを有しており、
前記吐出口が、第1水形で吐出する第1水形孔と、第2水形で吐出する第2水形孔とを有しており、
前記通水経路として、前記浄水流路から前記第1水形孔に至る第1経路と、前記浄水流路から前記第2水形孔に至る第2経路と、前記原水流路から前記第1水形孔に至る第3経路と、前記原水流路から前記第2水形孔に至る第4経路とが設けられており、
前記押圧操作体の押圧操作により、前記4つの通水経路の中から1つが選択される付記8に記載の水栓装置。
[付記10]
付記1から7のいずれか1項に記載の操作装置を備える浄水器。
[付記11]
浄水機能部と、前記浄水機能部で浄化された水が通る浄水流路と、原水流路と、吐出口とを有しており、
前記吐出口が、第1水形で吐出する第1水形孔と、第2水形で吐出する第2水形孔とを有しており、
前記通水経路として、前記浄水流路から前記第1水形孔に至る第1経路と、前記浄水流路から前記第2水形孔に至る第2経路と、前記原水流路から前記第1水形孔に至る第3経路と、前記原水流路から前記第2水形孔に至る第4経路とが設けられており、
前記押圧操作体の押圧操作により、前記4つの通水経路の中から1つが選択される付記10に記載の浄水器。
[付記12]
押圧操作を受けて第1方向に可動な押圧操作体と、
前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第1ノックカム機構と、
前記押圧操作体の前記第1方向での動きで作動する第2ノックカム機構と、
を有しており、
前記第1ノックカム機構と前記第2ノックカム機構との間で、前記第1方向における切替位置が相違しており、
前記押圧操作体をその可動範囲の途中まで押圧操作する半押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構のいずれか一方のみが切り替えられ、
前記押圧操作体を前記半押しよりも深く押圧操作する全押しにより、前記第1ノックカム機構及び前記第2ノックカム機構の他方が切り替えられ、
前記半押しによる切替は、前記全押しによる切替を伴うことなく実施可能である操作装置。
【0120】
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も開示されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成及びそれらの組み合わせは、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。例えば、本願には、ノックカム機構が1つである操作装置も開示されている。本願には、ノックカム機構が第1ノックカム機構K1のみである操作装置が開示されており、ノックカム機構が第2ノックカム機構K2のみである操作装置も開示されている。
【0121】
前記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。
【符号の説明】
【0122】
2・・・水栓装置
6・・・レバーハンドル(ハンドル)
8・・・吐水ヘッド
18・・・操作装置
22・・・吐出口
26・・・押圧操作体
32・・・浄水カートリッジ
34・・・ヘッド本体
36・・・第1ノックカム機構の第1切替こま
38・・・第1ノックカム機構の第2切替こま
40・・・第1ノックカム機構の切替リング
42・・・第1ノックカム機構の切替軸
44・・・第1ノックカム機構の付勢部材
46・・・第1ノックカム機構の切替カバー
52・・・第1ノックカム機構のスライド保持部
56・・・第2ノックカム機構の第1切替こま
58・・・第2ノックカム機構の第2切替こま
60・・・第2ノックカム機構の切替リング
62・・・第2ノックカム機構の切替軸
64・・・第2ノックカム機構の付勢部材
66・・・第2ノックカム機構の切替カバー
72・・・第2ノックカム機構のスライド保持部
90・・・ボール
90a・・・第1ボール
90b・・・第2ボール
90c・・・第3ボール
92・・・弁座パッキン
94・・・弾性体
96・・・第1切替体(第1ノックカム機構の切替体)
96a・・・第1切替体の開弁部
98・・・第2切替体(第2ノックカム機構の切替体)
98a・・・第2切替体の開弁部
108・・・止水軸部材
120・・・シャワー孔
122・・・シャワー流路
124・・・ストレート孔
126・・・ストレート流路
134・・・原水流路
136・・・浄水流路
K1・・・第1ノックカム機構
K2・・・第2ノックカム機構
K12・・・複合ノックカム機構
M1・・・第1バルブ機構
M2・・・第2バルブ機構
V1・・・第1ボール弁
V2・・・第2ボール弁
V12・・・選択弁
V3・・・第3ボール弁
V4・・・軸弁
s1・・・第1ボールの開口弁座
s2・・・第2ボールの開口弁座
s3・・・第3ボールの開口弁座
s4・・・軸弁の弁座