IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電動車両の制御装置 図1
  • 特開-電動車両の制御装置 図2
  • 特開-電動車両の制御装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172013
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電動車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20241205BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20241205BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241205BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B60L3/00 N
B60L1/00 L
B60L53/14
H02J7/00 302D
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089421
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA13
5G503FA03
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE23
(57)【要約】
【課題】充放電インレットに接続された充電コネクタまたは給電コネクタを介して充電または放電されるバッテリと、補機に電力を供給する補機バッテリとを含む電動車両の使い勝手を向上させる
【解決手段】本開示の電動車両の制御装置は、充放電インレットに充電コネクタまたは給電コネクタが接続された後に、補機バッテリの電圧が予め定められた閾値未満になったときに、補機電圧低下フラグがオンされた旨を不揮発性メモリに記憶させ、前記補機バッテリが過放電状態から復帰したのに応じて補機電圧低下フラグがオンされているか否かを判定し、補機電圧低下フラグがオンされているときに、ロック装置による充電コネクタまたは給電コネクタのロックを解除すると共に、補機電圧低下フラグをオフする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電インレットに接続された充電コネクタを介して車外から供給される電力により充電可能であると共に、前記充放電インレットに接続された給電コネクタを介して車外に電力を供給可能なバッテリと、前記充放電インレットに接続された前記充電コネクタまたは前記給電コネクタをロックするロック装置と、補機に電力を供給する補機バッテリとを含む電動車両の制御装置であって、
前記充放電インレットに前記充電コネクタまたは前記給電コネクタが接続された後に、前記補機バッテリの電圧が予め定められた閾値未満になったときに、補機電圧低下フラグがオンされた旨を不揮発性メモリに記憶させ、
前記補機バッテリが過放電状態から復帰したのに応じて前記補機電圧低下フラグがオンされているか否かを判定し、前記補機電圧低下フラグがオンされているときに、前記ロック装置による前記充電コネクタまたは前記給電コネクタのロックを解除すると共に、前記補機電圧低下フラグをオフする電動車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車外からの電力により充電可能であると共に、車外に電力を供給可能なバッテリと、補機に電力を供給する補機バッテリとを含む電動車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動車両の充電リッドに接続される充電ガンを介して当該電動車両のバッテリに車外から電力を供給し、当該バッテリを充電する充電器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この充電器は、充電ガンが充電リッドに接続されると、当該充電ガンが充電リッドから離脱しないように、充電ガンおよび充電リッドに設けられた電磁ロック機構を作動(施錠)させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-106363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電動車両では、充電ガンが充電リッドに接続された状態で、当該電動車両の補機バッテリが過放電状態(バッテリ上がり)になってしまうこともあり得る。このような場合、電動車両のユーザにより補機バッテリが過放電状態から復帰させられても、充電ガンと充電リッドとのロックが維持されてしまい、ユーザによる電動車両の使用に支障をきたすおそれがある。また、充電ガンと充電リッドとのロックを解除する手動ロック解除機構等が存在していたとしても、当該手動ロック解除機構等の存在がユーザにより認識されていなければ、かかる問題が発生してしまう。
【0005】
そこで、本開示は、充放電インレットに接続された充電コネクタまたは給電コネクタを介して充電または放電されるバッテリと、補機に電力を供給する補機バッテリとを含む電動車両の使い勝手を向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電動車両の制御装置は、充放電インレットに接続された充電コネクタを介して車外から供給される電力により充電可能であると共に、前記充放電インレットに接続された給電コネクタを介して車外に電力を供給可能なバッテリと、前記充放電インレットに接続された前記充電コネクタまたは前記給電コネクタをロックするロック装置と、補機に電力を供給する補機バッテリとを含む電動車両の制御装置であって、前記充放電インレットに前記充電コネクタまたは前記給電コネクタが接続された後に、前記補機バッテリの電圧が予め定められた閾値未満になったときに、補機電圧低下フラグがオンされた旨を不揮発性メモリに記憶させ、前記補機バッテリが過放電状態から復帰したのに応じて前記補機電圧低下フラグがオンされているか否かを判定し、前記補機電圧低下フラグがオンされているときに、前記ロック装置による前記充電コネクタまたは前記給電コネクタのロックを解除すると共に、前記補機電圧低下フラグをオフするものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の制御装置を含む電動車両を示す概略構成図である。
図2】本開示の制御装置により実行されるルーチンを示すフローチャートである。
図3】本開示の制御装置により実行されるルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
図1は、本開示の制御装置である充電電子制御装置(以下、「充電ECU」という。)200を含む電動車両20を示す概略構成図である。同図に示す電動車両20は、充電ECU200に加えて、バッテリ21と、常開型のシステムメインリレーSMRと、電力制御装置22と、DC/DCコンバータ23と、バッテリ21よりも低電圧の補機バッテリ24と、モータジェネレータMGとを含むバッテリ電気自動車(BEV)である。ただし、電動車両20は、バッテリ21やモータジェネレータMG等に加えて、内燃機関(エンジン)を含むプラグイン式ハイブリッド車両(PHEV)であってもよい。
【0010】
バッテリ21は、例えば200~400Vの定格出力電圧を有するリチウムイオン二次電池またはニッケル水素二次電池等である。バッテリ21の正極端子には、システムメインリレーSMRの正極側リレーを介して正極側電力ラインPLが接続される。バッテリ21の負極端子には、システムメインリレーSMRの負極側リレーを介して負極側電力ラインNLが接続される。電力制御装置22は、モータジェネレータMGを駆動するインバータ(駆動回路)22i、昇圧コンバータ22c等を含み、正極側電力ラインPL、負極側電力ラインNLおよびシステムメインリレーSMRを介してバッテリ21に接続される。
【0011】
DC/DCコンバータ23は、システムメインリレーSMRと電力制御装置22との間で正極側電力ラインPLおよび負極側電力ラインNLに接続されると共に、低電圧電力ラインを介して補機バッテリ24および複数の補機Aに接続される。補機バッテリ24は、例えば12V程度の定格出力電圧を有する鉛蓄電池等である。DC/DCコンバータ23は、正極側電力ラインPL側、すなわちバッテリ21および電力制御装置22側の電力を目標電圧になるように降圧して補機バッテリ24や複数の補機Aに供給する。更に、DC/DCコンバータ23は、補機バッテリ24からの電力を昇圧して正極側電力ラインPL側、すなわちバッテリ21および電力制御装置22側に供給することもできる
【0012】
モータジェネレータMGは、同期発電電動機(三相交流電動機)である。モータジェネレータMGのロータは、減速機およびデファレンシャルギヤを含む動力伝達機構を介して駆動輪DWに連結されたドライブシャフトDSに連結される。モータジェネレータMGは、電力制御装置22(バッテリ21)からの電力により駆動され、ドライブシャフトDSに駆動トルク(駆動力)を出力する。また、モータジェネレータMGは、電動車両20の制動に際してドライブシャフトDSに回生制動トルクを出力する。
【0013】
更に、電動車両20は、図1に示すように、充放電インレット(レセプタクル)25と、アクセサリーコンセント26と、電力機器27とを含む。充放電インレット25は、電動車両20の車体に設けられ、電力機器27に接続される。充放電インレット25には、充電スタンド等に設置された交流式の充電装置30に充電ケーブル31を介して接続された充電コネクタ35や、家庭用電源(コンセント)に接続される充電ケーブル(EVSE)40の充電コネクタ45、外部給電コネクタ(VPC)55等が接続される。また、充放電インレット25の周辺には、充電コネクタ35,45または外部給電コネクタ55を充放電インレット25から離脱しないようにロックする電子制御式のコネクタロック装置28が設けられている。なお、充放電インレット25には、充電スタンド等に設置された直流式の急速充電装置(図示省略)に充電ケーブルを介して接続された充電コネクタが接続されてもよく、コネクタロック装置28は、当該急速充電装置の充電コネクタを充放電インレット25から離脱しないようにロックするものであってもよい。
【0014】
アクセサリーコンセント26は、例えば電動車両20の車室内に設けられ、電力機器27に接続される。電力機器27は、AC/DCコンバータおよびDC/DCコンバータを含み、リレーCHRを介して、システムメインリレーSMRと電力制御装置22との間で正極側電力ラインPLおよび負極側電力ラインNLに接続される。リレーCHRおよびシステムメインリレーSMRが閉成されたときに、充放電インレット25は、電力機器27等を介してバッテリ21に接続される。これにより、充放電インレット25に充電装置30の充電コネクタ35または充電ケーブル40の充電コネクタ45が接続されたときには、充電コネクタ35または45を介して車外から供給される電力によりバッテリ21を充電することが可能になる。また、充放電インレット25に外部給電コネクタ55が接続されたときには、外部給電コネクタ55を介してバッテリ21から車外に電力を供給(放電)することができる。
【0015】
電動車両20の充電ECU200は、図示しないCPUやROM,RAM、不揮発性メモリ210等を有するマイクロコンピュータ等を含む。充電ECU200は、バッテリ21を管理する図示しないバッテリ電子制御装置(バッテリECU)と相互に情報をやり取りする。また、充電ECU200は、補機バッテリ24の電圧(端子間電圧)Vaを検出する電圧センサ24vの検出値を取得する。更に、充電ECU200は、電力機器27を制御すると共に、リレーCHRを開閉制御する。また、充電ECU200は、充放電インレット25に充電コネクタ35,45または外部給電コネクタ55が接続されると、当該充電コネクタ35等を充放電インレット25に対してロックするようにコネクタロック装置28を制御する。更に、バッテリ21の充電等の完了に応じて電動車両20のユーザが予め定められた車両操作を実行すると、充電ECU200は、充放電インレット25に対する充電コネクタ35等のロックを解除するようにコネクタロック装置28を制御する。
【0016】
図2は、充電ECU200により実行されるルーチンを示すフローチャートである。図2のルーチンは、充放電インレット25に充電コネクタ35,45または外部給電コネクタ55が接続された後に充電ECU200により所定時間(微小時間)おきに実行される。より詳細には、図2のルーチンは、充放電インレット25に接続された充電装置30の充電コネクタ35または充電ケーブル40の充電コネクタ45を介して車外から供給される電力によりバッテリ21が充電される間、充電コネクタ35または45を介して車外からの電力によりバッテリ21が充電された後、充放電インレット25に接続された外部給電コネクタ55を介してバッテリ21から車外に電力が供給される間、および外部給電コネクタ55を介してバッテリ21から車外に電力が供給された後に、充電ECU200により所定時間おきに実行される。また、図2のルーチンは、電動車両20がシステム停止されている間にも充電ECU200により実行される。
【0017】
図2のルーチンの実行タイミングが到来すると、充電ECU200は、電圧センサ24vにより検出された補機バッテリ24の電圧Vaを取得する(ステップS100)。次いで、充電ECU200は、ステップS100にて取得した補機バッテリ24の電圧Vaが予め定められた閾値Vref未満であるか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110にて用いられる閾値Vrefは、補機バッテリ24が過放電状態、すなわち、いわゆるバッテリ上がり状態にあるか否かを判定することができるように、例えば0Vに近い値に予め定められる。
【0018】
補機バッテリ24の電圧Vaが閾値Vref以上であると判定した場合(ステップS110:NO)、充電ECU200は、補機バッテリ24が過放電状態にはないとみなして、補機電圧低下フラグFに値0(オフ)を設定すると共に、設定した補機電圧低下フラグFの値(=0)を不揮発性メモリ210に記憶させ(ステップS115)、図2のルーチンを一旦終了させる。また、補機バッテリ24の電圧Vaが閾値Vref未満であると判定した場合(ステップS110:YES)、充電ECU200は、補機バッテリ24が過放電状態にあるとみなして、補機電圧低下フラグFに値1(オン)に設定すると共に、設定した補機電圧低下フラグFの値(=1)を不揮発性メモリ210に記憶させ(ステップS120)、図2のルーチンを一旦終了させる。
【0019】
図2のルーチンが実行される結果、充電コネクタ35,45または外部給電コネクタ55が充放電インレット25に接続されると共にコネクタロック装置28によりロックされたまま電動車両20が放置され、補機バッテリ24が過放電状態(バッテリ上がり)になって電動車両20が動作不能になったとしても、不揮発性メモリ210には、補機バッテリ24の過放電に応じて補機電圧低下フラグFがオンされた旨が記憶されることになる。ここで、補機バッテリ24が過放電状態になった場合、それに気付いた電動車両20のユーザは、他車の補機バッテリあるいはロードサービス等を利用して補機バッテリ24を充電し、補機バッテリ24を過放電状態から復帰させるであろう。ただし、補機バッテリ24が過放電状態から復帰しても、充電コネクタ35等がコネクタロック装置28によりロックされたままであると、電動車両20のユーザがコネクタロック装置28によるロックの解除手順や覚えていなかったり、手動ロック解除機構等の存在を認識していなかったりした場合、充放電インレット25から充電コネクタ35等を取り外せなくなってしまい、電動車両20が使用不能になってしまう。
【0020】
これを踏まえて、電動車両20では、補機バッテリ24が過放電状態になった後、当該過放電状態から復帰したのに応じて、充電ECU200により、図3のルーチンが実行される。すなわち、補機バッテリ24が過放電状態から復帰すると、充電ECU200は、不揮発性メモリ210に記憶されている補機電圧低下フラグFの値を取得する(ステップS200)。続いて、充電ECU200は、ステップS100にて取得した補機電圧低下フラグFの値に基づいて、当該補機電圧低下フラグFがオンされているか否か(F=1であるか否か)を判定する(ステップS210)。
【0021】
補機電圧低下フラグFの値が“0”であって、当該補機電圧低下フラグFがオフされている場合(ステップS210:NO)、充電ECU200は、その時点で図3のルーチンを終了させる。これに対して、補機電圧低下フラグFの値が“1”であって、当該補機電圧低下フラグFがオンされている場合(ステップS210:YES)、充電ECU200は、充放電インレット25に対する充電コネクタ35等のロックを解除するようにコネクタロック装置28を制御する(ステップS220)。更に、ステップS220において、充電ECU200は、補機電圧低下フラグFに値0(オフ)を設定すると共に、設定した補機電圧低下フラグFの値(=0)を不揮発性メモリ210に記憶させ、図3のルーチンを終了させる。
【0022】
すなわち、補機電圧低下フラグFがオンされる可能性があるのは、充電コネクタ35,45または外部給電コネクタ55が充放電インレット25に接続された後、より詳細には、充電コネクタ35または45を介して車外から供給される電力によりバッテリ21が充電される間、車外からの電力によりバッテリ21が充電された後、外部給電コネクタ55を介してバッテリ21から車外に電力が供給される間、またはバッテリ21から車外に電力が供給された後である。そして、これらの場合、充電コネクタ35等が充放電インレット25に対してロックされたままになる可能性があるが、図3のルーチンが実行されることで、充電コネクタ35等が充放電インレット25に接続されてコネクタロック装置28によりロックされたまま補機バッテリ24が過放電状態になったとしても、その後に補機バッテリ24が過放電状態から復帰したのに応じて、充放電インレット25に対する充電コネクタ35等のロックを自動的に解除することが可能になる。
【0023】
これにより、電動車両20のユーザが、コネクタロック装置28によるロックの解除手順や覚えていなかったり、手動ロック解除機構等の存在を認識していなかったりしたとしても、補機バッテリ24の過放電状態からの復帰に応じて、充放電インレット25から充電コネクタ35等を取り外し、電動車両20を使用することができる。この結果、充放電インレット25に接続された充電コネクタ35,45または外部給電コネクタ55を介して充電または放電されるバッテリ21と、補機Aに電力を供給する補機バッテリ24とを含む電動車両20の使い勝手をより向上させることが可能になる。なお、図3のステップS220にてコネクタロック装置28によるロックが解除される時点では、それ以前に補機バッテリ24が過放電になったのに応じてシステムメインリレーSMRが開成されることで、バッテリ21と充放電インレット25との電気的接続は遮断され、充放電インレット25に高電圧が印加されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本開示の発明は、電動車両の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0025】
20 電動車両、21 バッテリ、24 補機バッテリ、25 充放電インレット、28 コネクタロック装置、35,45 充電コネクタ、55 外部給電コネクタ、200 充電電子制御装置(充電ECU)、210 不揮発性メモリ。
図1
図2
図3