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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172016
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/265 20180101AFI20241205BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20241205BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20241205BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20241205BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241205BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/143
F21S41/19
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089424
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】持丸 治美
(72)【発明者】
【氏名】井上 克彦
(72)【発明者】
【氏名】杉江 良裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
(72)【発明者】
【氏名】大橋 悠二
(72)【発明者】
【氏名】原尾 卓司
(57)【要約】
【課題】効率良く配光設計すること、及び部品点数や部品コストを抑えることを可能にする車両用前照灯を提供する。
【解決手段】車両用前照灯1は、車両前方側に光を出射する光源211と、光源211から出射された光が透過するレンズユニット10と、レンズユニット10を透過した光により車両前方にハイビームパターンを照射する投影レンズ2とを備え、レンズユニット10は、光源211から出射された光が入射する光入射部115に設けられたレンズ115Dと、レンズ115Dを通過した光を車両上下方向に反射する一次反射面112と、一次反射面112で反射された光を車両前方側に反射する二次反射面113と、二次反射面113で反射された光が出射する光出射部に設けられた出射レンズ111とを備え、投影レンズ2の焦点Fが、二次反射面113の所定位置に設定されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方側に光を出射する第1光源と、
前記第1光源から出射された光が透過するレンズユニットと、
前記レンズユニットを透過した光により車両前方にハイビームパターンを照射する非球面レンズと
を備え、
前記レンズユニットは、
前記第1光源から出射された光が入射する光入射部に設けられた第1レンズと、
前記第1レンズを通過した光を車両上下方向に反射する一次反射面と、
前記一次反射面で反射された光を車両前方側に反射する二次反射面と、
前記二次反射面で反射された光が出射する光出射部に設けられた第2レンズと
を備え、
前記非球面レンズの焦点が、前記二次反射面の所定位置に設定されている車両用前照灯。
【請求項2】
前記非球面レンズの前記焦点と車両前後方向に対向するように配され、光を車両前方側に出射する第2光源を備え、
前記二次反射面は、前記第2光源から出射された光を透過させ、
前記第2レンズは、前記二次反射面を透過した光を集光して前記非球面レンズに出射し、
前記非球面レンズは、前記第2レンズから出射された光により車両前方に配光パターンを照射する請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記第2光源と前記二次反射面との間に配され、前記第2光源から出射された光を集光する第3レンズを備える請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記第2光源から出射される光の光度は、前記第1光源から出射される光の光度よりも高く、
前記第1光源から出射される光の照射範囲は、前記第2光源から出射される光の照射範囲よりも広く、
前記第2光源は、前記第1光源と同時に点灯し、
前記非球面レンズは、前記第2光源から出射された光により車両前方に前記配光パターンを前記ハイビームパターンの中心部に重ねて照射する請求項2又は3に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記第2光源は、前記第1光源の消灯時に点灯し、
前記非球面レンズは、前記第2光源から出射された光により車両前方に前記ハイビームパターンとは機能が異なる前記配光パターンを照射する請求項2又は3に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記二次反射面の車両後方側の端部は、前記非球面レンズの前記焦点よりも車両後方側に位置する請求項1又は2に記載の車両用前照灯。
【請求項7】
前記第1レンズは、
前記第1光源から出射された光が前記一次反射面側に通過する中央部と、
前記中央部の外周側に設けられ、前記第1光源から出射された光を前記一次反射面側に反射する外側部と
を備え、
前記中央部は、前記外側部に比して相対的に光を拡散させ、
前記外側部は、前記中央部に比して相対的に集光させる請求項1又は2に記載の車両用前照灯。
【請求項8】
複数の前記第1光源が横に並べて配され、
複数の前記第1レンズのそれぞれが前記第1光源に対向して配され、
複数の前記第1レンズの少なくとも一つの前記中央部の面積が、他の前記第1レンズの前記中央部の面積と相違する請求項7に記載の車両用前照灯。
【請求項9】
前記レンズユニットは、前記一次反射面と車両前後方向に対向し、前記一次反射面で反射された光を前記二次反射面に向けて反射する背面側反射面を備える請求項1又は2に記載の車両用前照灯。
【請求項10】
前記背面側反射面は、前記第1レンズ側から前記二次反射面側にかけて車両前方側に傾斜している請求項9に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用照明灯具として、発光素子と、発光素子からの光が透過する透光ブロックとを備え、透光ブロックを透過する光を反射する第1反射面及び第2反射面が透光ブロックの表面に形成されているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両用照明灯具では、発光素子が、灯具前後方向に延びる光軸上に配置され、第1反射面が、発光素子からの光を上記光軸の径方向外方へ向けて反射し、第2反射面が、第1反射面で反射した光を前方へ向けて反射させる。
【0003】
ロービームパターンとハイビームパターンとを形成する車両用前照灯が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の車両用前照灯は、ロービーム用の第1光源と、ハイビーム用の第2光源と、第1反射面、第2反射面、及び第3反射面を備えるリフレクタと、投影レンズとを備える。特許文献2に記載の車両用前照灯では、第2光源が第1光源の上方に配され、第1反射面が、第1光源からの光を上方に反射し、第2反射面が、第1反射面からの光を前方に反射し、第3反射面が、第2反射面からの光を前方に反射する。投影レンズは、第1光源から出射されたロービーム用の光と第2光源から出射されたハイビーム用の光とを前方に照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-324013号公報
【特許文献2】特開2022-72894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の車両用照明灯具では、透光ブロックを透過する光を第1反射面と第2反射面とによりコリメートすることを目的として配光設計が行われているため、配光設計の制約が大きい。また、特許文献2に記載の車両用前照灯では、コリメータレンズ等のレンズを設ける場合、リフレクタに加えてレンズが必要となり、部品点数や部品コストが増加する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、効率良く配光設計すること、及び部品点数や部品コストを抑えることを可能にする車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用前照灯は、車両前方側に光を出射する第1光源と、前記第1光源から出射された光が透過するレンズユニットと、前記レンズユニットを透過した光により車両前方にハイビームパターンを照射する非球面レンズとを備え、前記レンズユニットは、前記第1光源から出射された光が入射する光入射部に設けられた第1レンズと、前記第1レンズを通過した光を車両上下方向に反射する一次反射面と、前記一次反射面で反射された光を車両前方側に反射する二次反射面と、前記二次反射面で反射された光が出射する光出射部に設けられた第2レンズとを備え、前記非球面レンズの焦点が、前記二次反射面の所定位置に設定されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、効率良く配光設計すること、及び部品点数や部品コストを抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る車両用前照灯を正面側から示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す車両用前照灯を正面側から示す斜視図である。
図3図3は、図1に示すレンズユニットを正面側から示す斜視図である。
図4図4は、図1に示すレンズユニットを背面側から示す斜視図である。
図5図5は、図1に示すレンズユニットを示す正面図である。
図6図6は、図5の6-6断面図である。
図7図7は、図1に示す車両用前照灯の光路を示す断面図である。
図8図8は、車両前方の仮想のスクリーンに照射されるハイビームパターンの一例を示す図である。
図9図9は、本発明の他の実施形態に係る車両用前照灯を正面側から示す分解斜視図である。
図10図10は、図9に示す車両用前照灯の光路を示す断面図である。
図11図11は、図10の11部分拡大図である。
図12図12は、本発明の他の実施形態に係る車両用前照灯の一部を正面側から示す分解斜視図である。
図13図13は、図12に示す車両用前照灯の光路を示す断面図である。
図14図14は、本発明の他の実施形態に係る車両用前照灯が備えるレンズユニットを示す背面図である。
図15図15は、図14に示すレンズユニットを備える車両用前照灯の光路を示す断面図である。
図16図16は、図14に示すレンズユニットのレンズを示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用前照灯1を正面側から示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示す車両用前照灯1を正面側から示す斜視図である。これらの図に示す車両用前照灯1は、ハイビームパターンを車両前方に照射するハイビーム用の前照灯である。
【0012】
図1に示すように、車両用前照灯1は、投影レンズ2と、レンズホルダ3と、レンズユニット10と、光源基板ユニット20と、ベース部4と、放熱部材5とを備える。投影レンズ2は、非球面レンズであり、レンズユニット10との共働により、光源基板ユニット20の光源部21から出射された光をコリメートし、車両前方にハイビームパターンを照射する。この投影レンズ2の背面側の周縁部にはフランジ部2Fが形成されている。なお、投影レンズ2の光軸AXと平行な方向を車両前後方向、投影レンズ2の光軸AXに対して直交する縦方向を車両上下方向、投影レンズ2の光軸AXに対して直交する横方向を車幅方向と定義する。
【0013】
レンズホルダ3は、正面側と背面側とに矩形状の開口が形成された枠体である。レンズホルダ3の正面側の開口30Aの周縁部には、複数の係止爪30Bが設けられている。投影レンズ2は、レンズホルダ3の前面に対して開口30Aを塞ぐように取り付けられている。複数の係止爪30Bが投影レンズ2のフランジ部2Fに対して係止することにより、投影レンズ2がレンズホルダ3の前面に固定されている。
【0014】
ベース部4は、レンズホルダ3の背面に対して開口を塞ぐように取り付けられている。レンズホルダ3とベース部4とは、ボルト・ナット等の締結部材により締結されている。
【0015】
放熱部材5は、並列された複数のフィン51により構成されている。これらの複数のフィン51は、ベース部4の背面に取り付けられている。ベース部4と放熱部材5とは、光源部21で発せられた熱を外部に放出する。
【0016】
光源基板ユニット20は、光源部21と、光源部21が実装された基板22とを備える。光源部21は、基板22の前面に車幅方向に並べて配された複数の光源211を備える。各光源211は、発光ダイオード等の発光素子である。なお、各光源211は、レーザー等の他の発光体でもよい。
【0017】
光源部21は、投影レンズ2の光軸AXよりも車両下側に配されており、車両前方側に光を出射する。光源部21から出射された光は、レンズユニット10に入射し、レンズユニット10に形成された反射面で全反射されてレンズユニット10から車両前方側に出射し、投影レンズ2に至る。
【0018】
レンズユニット10は、光源基板ユニット20と投影レンズ2との間に配されている。レンズユニット10は、レンズ本体部11と、一対のブラケット部12とを備える透明樹脂製の一体成形品である。一対のブラケット部12は、レンズ本体部11を車幅方向に挟むように設けられている。一対のブラケット部12と基板22とが、レンズホルダ3とベース部4との間に挟まれた状態で、レンズホルダ3とベース部4とが締結されている。
【0019】
図3は、図1に示すレンズユニット10を正面側から示す斜視図である。図4は、図1に示すレンズユニット10を背面側から示す斜視図である。図3に示すように、レンズ本体部11は、上部11Aと下部11Bとで構成されている。上部11Aの正面側には、出射レンズ111が形成され、下部11Bの正面側には、一次反射面112が形成されている。出射レンズ111は、車両上下方向及び車幅方向に対して正のパワーを持つ球面レンズや非球面レンズ等のレンズであり、上部11Aから車両前方側に出射される光を車両上下方向及び車幅方向に集光する。
【0020】
一次反射面112の上端は、出射レンズ111の下端に接続され、一次反射面112の下部は、光源部21と車両前後方向に対向している。一次反射面112は、下端から上端にかけて車両前方側に傾斜すると共に、車両前方側に膨らむように円弧状に湾曲しており、光源部21から車両前方側に出射された光を車両上方側へ反射する。
【0021】
図4に示すように、上部11Aの背面側には、二次反射面113が形成され、下部11Bの背面側には、背面側反射面114と光入射部115とが形成されている。二次反射面113は、出射レンズ111の背面側に位置する平坦な傾斜面であり、下端から上端にかけて車両前方側に傾斜しており、一次反射面112で反射された光を車両前方側へ反射する。
【0022】
背面側反射面114は、一次反射面112の背面側に位置する平坦な傾斜面であり、下端から上端にかけて車両前方側に傾斜しており、一次反射面112で反射された光を車両上方側へ反射する。二次反射面113と背面側反射面114との境界は、不連続になっており、二次反射面113の下端Eは、背面側反射面114の上端に対して車両後方側に位置する。なお、二次反射面113の下端Eと背面側反射面114の上端との高さは同じである。
【0023】
光入射部115は、車幅方向に並べて配された複数のレンズ115Dを備える。各レンズ115Dは、各光源211と対向して配されている。各レンズ115Dは、円錐台形状に形成されており、中央側の拡散部115Fと外周側の集光部115Gとを備える。光源211の光軸は、拡散部115Fの中心を通過する。拡散部115Fは、凸レンズ又凹レンズであり、各光源211から出射され拡散部115Fを通過する光を各レンズ115Dの縦軸方向及び横軸方向に拡散させる。拡散部115Fで拡散された光は、ビーム径が拡大された状態で投影レンズ2からコリメート光として車両前方に照射される。
【0024】
集光部115Gは、光源211側から一次反射面112側にかけて漸次的に拡径する円錐台形の斜面であり、各光源211から出射された拡散光を全反射により集光させる。集光部115Gで集光された光は、ビーム径が縮小された状態で投影レンズ2からコリメート光として車両前方に照射される。
【0025】
図5は、図1に示すレンズユニット10を示す正面図である。図6は、図5の6-6断面図である。図5に示すように、一次反射面112は、車幅方向に並んだ複数の反射面112A,112B,112Cを備える。反射面112Aは、中央の光源211に対応して設けられ、反射面112Bは、中央から2番目の光源211に対応して設けられ、反射面112Cは、最も外側の光源211に対応して設けられている。下部11Bの横断面における反射面112A,112B,112Cの形状は、円弧状である。
【0026】
ここで、下部11Bの横断面における中央の反射面112Aの形状は、車両前方側に凸で左右対称の円弧状であり、当該反射面112Aは、主に中央の光源211からの光をレンズユニット10の車幅方向中央側に反射する。また、下部11Bの横断面における中央から2番目の反射面112Bの形状は、斜め前方外側に凸の円弧状であり、当該反射面112Bは、主に中央から2番目の光源211からの光をレンズユニット10の車幅方向中央側に反射する。さらに、下部11Bの横断面における最も外側の反射面112Cの形状は、斜め前方外側に凸の円弧状であり、当該反射面112Cは、主に最も外側の光源211からの光をレンズユニット10の車幅方向中央側に反射する。
【0027】
図6に示すように、反射面112Aは、下端から上端にかけて車両前方側に傾斜した傾斜面である。また、反射面112Aは、前方斜め下方に凸の円弧状の曲面である。図示は省略するが、反射面112B,112Cも同様に、下端から上端にかけて車両前方側に傾斜した傾斜面であり、且つ、前方斜め下方に凸の円弧状の曲面である。
【0028】
反射面112Aは、主に中央の光源221からの光を車両上方側に向けて反射する。また、反射面112Bは、主に中央から2番目の光源221からの光を車両上方側に向けて反射する。さらに、反射面112Cは、主に最も外側の光源221からの光を車両上方側に向けて反射する。
【0029】
ここで、投影レンズ2の光軸AXは、二次反射面113上の所定位置を通過する。この所定位置は、二次反射面113の車幅方向中央部且つ車両上下方向中央部と下端Eとの間に位置する。また、投影レンズ2の焦点Fは、二次反射面113と光軸AXとの交差する上記所定位置に設定されている。
【0030】
レンズユニット10の各部は、車両前方側から、出射レンズ111の出射面、一次反射面112の上端、二次反射面113の上端、背面側反射面114の上端、二次反射面113の下端E、背面側反射面114の下端、レンズ115Dの順序で配されている。なお、一次反射面112の上端と二次反射面113の上端との車両前後方向の位置関係は逆になってもよい。また、二次反射面113の下端Eと背面側反射面114の下端との車両前後方向の位置関係も逆になってもよい。
【0031】
図7は、図1に示す車両用前照灯1の光路を示す断面図である。この図に示すように、光源211から出射された光は、レンズ115Dに入射する。レンズ115Dに入射した光は、拡散部115Fで拡散され又は集光部115Gで集光されて一次反射面112に至る。
【0032】
レンズ115Dからの光は、一次反射面112において、車幅方向についてはレンズユニット10の中央側に向けて反射され、車両上下方向については、主に車両上方側に反射される。一次反射面112で反射された光は、二次反射面113、又は背面側反射面114に至る。ここで、一次反射面112で反射されて二次反射面113に至る光の割合を高めることを目的として、一次反射面112が、前方斜め下方に凸の円弧状の曲面に形成されている。
【0033】
一次反射面112で光を全反射させることを目的として、一次反射面112の光の入射角が所定角度(例えば39°)以上となるように、レンズ115Dの車両前方側端部と一次反射面112との水平距離D、及び、背面側反射面114の傾斜角度αが設定されている。水平距離Dは、例えば、10mmであり、傾斜角度αは、例えば12°である。
【0034】
一次反射面112で二次反射面113に向けて反射された光は、二次反射面113で車両前方側に向けて反射されて出射レンズ111に至る。また、一次反射面112で背面側反射面114に向けて反射された光は、背面側反射面114で二次反射面113に向けて反射され、二次反射面113で車両前方側に向けて反射されて出射レンズ111に至る。なお、二次反射面113で光を全反射させることを目的として、二次反射面113の光の入射角度が所定角度(例えば39°)以上となるように、二次反射面113の傾斜角度(例えば、50°)が設定されている。
【0035】
出射レンズ111を通過する光は、出射レンズ111の車両上下方向及び車幅方向についての正のパワーにより集光されて、出射レンズ111の出射面から出射する。出射レンズ111の出射面から出射した光は、投影レンズ2によりコリメート光として車両前方に照射される。
【0036】
図8は、車両前方の仮想のスクリーンに照射されるハイビームパターンPの一例を示す図である。この図において、V-V線がスクリーンの垂直線を示し、H-H線がスクリーンの水平線を示している。さらに、V-V線とH-H線との交点が、水平方向の基準位置に相当する。
【0037】
図8に示すように、投影レンズ2から照射された光により、車両前方にハイビームパターンPが形成される。ここで、レンズ115Dの拡散部115Fにより拡散された光は、ハイビームパターンPの外周側の範囲Pを照射し、レンズ115Dの集光部115Gにより集光された光は、ハイビームパターンPの中央側の範囲Pを照射する。拡散部115Fの面積が広いほど、ハイビームパターンPの外周側の範囲Pが広くなり、中央側の範囲Pが狭くなる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の車両用前照灯1は、光源211と、レンズユニット10と、非球面レンズである投影レンズ2とを備える。光源211は、車両前方側に光を出射し、レンズユニット10は、光源211から出射された光が透過し、投影レンズ2は、レンズユニット10を透過した光により車両前方にハイビームパターンPを照射する。
【0039】
レンズユニット10は、複数のレンズ115Dと、一次反射面112と、二次反射面113と、出射レンズ111とを備える。レンズ115Dは、光源211から出射された光を拡散又は集光し、一次反射面112は、レンズ115Dで拡散又は集光された光を車両上下方向側に反射する。二次反射面113は、一次反射面112で反射された光を車両前方側に反射し、出射レンズ111は、二次反射面113で反射された光を集光して投影レンズ2に出射する。投影レンズ2は、出射レンズ111から出射された光により車両前方にハイビームパターンPを照射する。
【0040】
ここで、投影レンズ2の焦点Fが、二次反射面113の所定位置に設定されている。これにより、光源211と投影レンズ2との間にリフレクタを設けることなく、レンズ115D、一次反射面112、二次反射面113、及び出射レンズ111で配光を制御し、投影レンズ2からコリメート光を出射させてハイビームパターンPを照射することができる。従って、効率良い配光設計と、部品点数や部品コストの低減とを実現できる。
【0041】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、背面側反射面114が一次反射面112と対向するようにレンズユニット10に設けられており、一次反射面112で車両後方側に反射された光が、背面側反射面114で二次反射面113に向けて反射される。これにより、一次反射面112で反射されて二次反射面113に至る光量を増加させることができる。特に、背面側反射面114が、レンズ115D側から二次反射面113側にかけて車両前方側に傾斜し、背面側反射面114への光の入射角度が抑えられていることにより、背面側反射面114で全反射を生じさせることができ、背面側反射面114で反射されて二次反射面113に至る光量を増加させることができる。
【0042】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、二次反射面113の下端Eが、投影レンズ2の焦点Fよりも車両後方側且つ車両下側に位置し、二次反射面113が、投影レンズ2の焦点Fよりも車両後方側且つ車両下側まで延伸されている。これにより、投影レンズ2の焦点F(光軸AX)よりも下方に光を入射させて反射させることができるため、配光パターンをH-H線よりも上方に照射させることができ、ハイビームパターンPを照射することができる。また、一次反射面112で反射されて二次反射面113に至る光量を増加させることができ、ハイビームパターンPとして照射される光量を増加させることができる。
【0043】
図9は、本発明の他の実施形態に係る車両用前照灯1Aを正面側から示す分解斜視図である。この図に示す車両用前照灯1Aは、レンズユニット10と、光源基板ユニット20Aと、プライマリーレンズユニット30とを備える。車両用前照灯1Aの構成は、光源基板ユニット20Aに光源部23が設けられている点、プライマリーレンズユニット30を備える点を除いて、上記実施形態の車両用前照灯1と同様である。なお、上記実施形態と同様の構成については上記実施形態についての説明を援用する。
【0044】
図9に示すように、光源基板ユニット20Aでは、光源部23が、基板22に実装されている。この光源部23は、光源部21の車両上側に配されており、一又は複数の光源231を備える。光源231は、発光ダイオード等の発光素子である。なお、光源231は、レーザー等の他の発光体でもよい。
【0045】
光源部23は、投影レンズ2の光軸AXの高さに配されており、車両前方側に光を出射する。光源231から出射された光は、プライマリーレンズユニット30に入射し、プライマリーレンズユニット30で集光されてレンズユニット10に至る。
【0046】
光源部23の光源231から出射される光の光度は、光源部21の各光源211から出射される光の光度よりも高く設定されている。それに対して、光源部21の各光源211から出射される光の照射範囲は、光源部23の光源231から出射される光の照射範囲よりも広く設定されている。このため、光源部21の各光源211から出射される光によりハイビームパターンP図8参照)の全域が照射されるのに対して、光源部23の光源231から出射される光によりハイビームパターンPの中心部が照射される。これにより、中心部の光度が高いハイビームパターンPが形成される。
【0047】
プライマリーレンズユニット30は、レンズ本体部31とブラケット部32とを備える透明樹脂製の一体成形品である。ブラケット部32は、車幅方向に延びる横長の部材である。ブラケット部32と基板22とがレンズホルダ3とベース部4との間に挟まれた状態で、レンズホルダ3とベース部4とが締結されている。
【0048】
レンズ本体部31は、ブラケット部32の長手方向中央部から下方に延びており、レンズユニット10のレンズ本体部11と光源部23との間に配されている。このレンズ本体部31には、投影レンズ2の光軸AXが通過する。
【0049】
図10は、図9に示す車両用前照灯1Aの光路を示す断面図である。また、図11は、図10の11部分拡大図である。図10に示すように、プライマリーレンズユニット30のレンズ本体部31の先端部は、光源231と二次反射面113との間に配されている。また、投影レンズ2の光軸AXが、二次反射面113とレンズ本体部31の先端部と光源231とを通過している。投影レンズ2の焦点Fは、二次反射面113上に設定されており、レンズ本体部31の先端部は、光源231と焦点Fとの間に配されている。
【0050】
図11に示すように、レンズ本体部31の先端部には、光源231側に凸で車両上下方向及び車幅方向に正のパワーを持つレンズ部311が形成されている。光源231から出射された光は、レンズ部311で集光されて二次反射面113に至る。
【0051】
ここで、二次反射面113の下端側は、焦点Fよりも車両後方側且つ車両下側まで広がっており、二次反射面113の下端Eは、レンズ部311に対して近接している。このため、レンズ部311を透過して焦点Fと下端Eとの間に至る光を、二次反射面113からレンズユニット10に入射させることができる。
【0052】
車両用前照灯1Aの各部は、車両前方側から、投影レンズ2、出射レンズ111の出射面、一次反射面112の上端、二次反射面113の上端、背面側反射面114の上端、二次反射面113の下端E、背面側反射面114の下端、プライマリーレンズユニット30のレンズ本体部31、光源231の順序で配されている。光源211と光源231との車両前後方向の位置は同じである。なお、一次反射面112の上端と二次反射面113の上端との車両前後方向の位置関係は逆になってもよい。また、二次反射面113の下端Eと背面側反射面114の下端との車両前後方向の位置関係は逆になってもよい。
【0053】
図10に示すように、光源231から出射された光は、プライマリーレンズユニット30のレンズ部311により集光され二次反射面113を透過してレンズユニット10に入射する。当該光は、出射レンズ111の正のパワーにより集光されて投影レンズ2に至り、投影レンズ2によりコリメート光として車両前方に照射される。これにより、車両前方に追加の配光パターンが照射される。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の車両用前照灯1Aは、投影レンズ2の焦点Fと車両前後方向に対向するように配された光源231を備える。本実施形態の車両用前照灯1Aでは、光源231が、光を車両前方側に出射し、二次反射面113が、光源231から出射された光を透過させ、出射レンズ111が、二次反射面113を透過した光を集光して投影レンズ2に出射する。そして、投影レンズ2は、光源部21の各光源211から出射された光により車両前方にハイビームパターンP図8参照)を照射し、光源部23の各光源231から出射された光により車両前方に追加の配光パターンを照射する。これにより、例えば、照射範囲は広く中心部の光度は高いハイビームパターンPを形成したり、夜間に照射範囲が広いハイビームパターンPを形成し昼間に光度が高いデイライトの配光パターンを形成したりすること等が可能になる。
【0055】
また、本実施形態の車両用前照灯1Aは、光源231から出射された光を集光するレンズ部311を備える。これにより、光源231から出射されてレンズユニット10に入射する光量を増加させることができ、ハイビームパターンPの中心部の光度を高めることができる。特に、本実施形態の車両用前照灯1Aでは、二次反射面113の下端Eが投影レンズ2の焦点Fよりも車両後方側且つ車両下側に位置しレンズ部311に近接していることにより、光源231から出射されてレンズユニット10に入射する光量を増加させることができる。
【0056】
また、本実施形態の車両用前照灯1Aでは、光源部21と光源部23とを相互に離間して配したことにより、発熱部を分散させることができる。従って、光源部21,23の放熱のための基板22や放熱部材5の大型化が不要になり、基板22や放熱部材5の小型化やそれによる低コスト化が可能になる。
【0057】
図12は、本発明の他の実施形態に係る車両用前照灯1Bの一部を正面側から示す分解斜視図である。この図に示すように、本実施形態の車両用前照灯1Bは、光源基板ユニット20Bを備える。車両用前照灯1Bの構成は、光源基板ユニット20Bの光源部23の構成が相違する点を除いて、上記実施形態の車両用前照灯1Aと同様である。なお、上記実施形態と同様の構成については上記実施形態についての説明を援用する。
【0058】
図12に示すように、光源基板ユニット20Bでは、光源部23が、車幅方向に並べて配された複数の光源231A,231Bを備える。中央の光源231Aは、ハイビームパターンP図8参照)の中心部の光度を高めるための追加の配光パターンに対応する光を出射する。外側の複数(例えば図示するように4個)の光源231,231Bは、発光ダイオード等の発光素子である。なお、各光源231A,231Bは、レーザー等の他の発光体でもよい。
【0059】
図13は、図12に示す車両用前照灯1Bの光路を示す断面図である。この図に示すように、光源部23の中央の光源231Aから出射された光は、プライマリーレンズユニット30のレンズ部311により集光され二次反射面113を透過してレンズユニット10に入射する。当該光は、出射レンズ111の正のパワーにより集光されて投影レンズ2に至り、投影レンズ2によりコリメート光として車両前方に照射される。これにより、車両前方にハイビームパターンPの中心の光度を高めるための追加の配光パターンが照射される。
【0060】
また、図示は省略するが、光源部23の外側の光源231Bから出射された光は、プライマリーレンズユニット30のレンズ部311により集光され二次反射面113を透過してレンズユニット10に入射する。当該光は、出射レンズ111の正のパワーにより集光されて投影レンズ2に至り、投影レンズ2によりコリメート光として車両前方に照射される。これにより、車両前方にデイライト等の他機能の配光パターンが照射される。なお、光源部23の光源231Bから出射された光によりデイライトの配光パターンを照射する場合には、光源231Bの点灯時、光源部21の各光源211と光源部23の光源231Aとは消灯する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の車両用前照灯1Bでは、光源部23の光源231Aは、光源部21の各光源211と同時に点灯したり、光源部21の各光源211の消灯時に点灯したりする。光源部23の光源231Aと光源部21の各光源211とが同時に点灯した時、投影レンズ2は、光源231Aから出射された光により車両前方にハイビームパターンPの中心部と重なる追加の配光パターンを照射する。他方で、光源部23の光源231Bが光源部21の各光源211の消灯時に点灯した時、投影レンズ2は、光源231Bから出射された光により車両前方にハイビームパターンPとは機能が異なるデイライト等の配光パターンを照射する。これにより、ロービーム、ロービームの追加配光、及びデイライト等の他機能の3つの機能を一つの車両用前照灯1Bで実現することができる。
【0062】
なお、光源部23の光源231Aから出射された光によりハイビームパターンPと重なる追加の配光パターンを照射させ、光源部23の光源231Bから出射された光によりデイライト等の他機能の配光パターンを照射させることは必須ではない。例えば、光源部21の各光源221の点灯時に光源231A,231Bの双方を点灯させて、上記追加の配光パターンを照射させる一方、光源部21の各光源221の消灯時に光源231A,231Bの双方を点灯させて、上記他機能の配光パターンを照射させるようにしてもよい。
【0063】
図14は、本発明の他の実施形態に係る車両用前照灯1C(図15参照)が備えるレンズユニット10Cを示す背面図である。この図に示すように、レンズユニット10Cは、光入射部1150を備える。レンズユニット10Cの構成は、光入射部1150を除いて、上記実施形態のレンズユニット10と同様である。なお、上記実施形態と同様の構成については上記実施形態についての説明を援用する。
【0064】
光入射部1150は、車幅方向に並べて配された複数のレンズ115A,115B,115Cを備える。レンズ115Aは、中央の光源221に対向して配されている。また、2個のレンズ115Bは、レンズ115Aを左右に挟むように配され、各レンズ115Bは、中央から2番目の光源221に対向して配されている。さらに、2個のレンズ115Cは、3個のレンズ115A,115Bを左右に挟むように配され、各レンズ115Cは、最も外側の光源221に対向して配されている。
【0065】
各レンズ115A,115B,115Cは、円錐台形状に形成されており、中央側の拡散部115Fと外周側の集光部115Gとを備える。拡散部115Fと集光部115Gとの構成及び機能は、上記実施形態と同様である。
【0066】
図15は、図14に示すレンズユニット10Cを備える車両用前照灯1Cの光路を示す断面図である。この図には、投影レンズ2の焦点Fと中央のレンズ115Aの中心とを含む縦断面を示している。この図に示すように、レンズ115Aに入射した光は、拡散部115Fにより拡散され、集光部115Gにより集光される。同様に、図示は省略するが、レンズ115B,115Cに入射した光も、拡散部115Fにより拡散され、集光部115Gにより集光される。
【0067】
図16は、図14に示すレンズユニット10Cのレンズ115A,115B,115Cを示す背面図である。この図に示すように、レンズ115A,115B,115Cの拡散部115Fの面積が、相互に相違する。中央のレンズ115Aの拡散部115Fの面積が最小であり、最も外側のレンズ115Cの拡散部115Fの面積が最大である。即ち、レンズ115A,115B,115Cの拡散部115Fの面積は、車幅方向中央側から外側にかけて(焦点Fの車幅方向の位置からの距離が大きくなるほど)漸次的に大きくなる。他方で、集光部115Gの面積は、車幅方向中央側から外側にかけて漸次的に小さくなる。
【0068】
ここで、レンズ115A,115B,115Cの拡散部115Fの面積が大きくなるほど、拡散部115Fで拡散されたコリメート光の照射範囲(図8の範囲P)が広くなり、集光部115Gで集光されたコリメート光の照射範囲(図8の範囲P)が狭くなる。そのため、本実施形態では、中央のレンズ115Aで拡散されたコリメート光の照射範囲が、中央から2番目のレンズ115Bで拡散されたコリメート光の照射範囲よりも狭くなる。また、中央から2番目のレンズ115Bで拡散されたコリメート光の照射範囲が、最も外側のレンズ115Cで拡散されたコリメート光の照射範囲よりも狭くなる。他方で、中央のレンズ115Aで集光されたコリメート光の照射範囲が、中央から2番目のレンズ115Bで集光されたコリメート光の照射範囲よりも広くなる。また、中央から2番目のレンズ115Bで集光されたコリメート光の照射範囲が、最も外側のレンズ115Cで集光されたコリメート光の照射範囲よりも広くなる。これにより、車幅方向の中央側ほど集光されたコリメート光の照射範囲が広くなり、車幅方向の外側ほど拡散されたコリメート光の照射範囲が広くなるハイビームパターンPが形成される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の車両用前照灯1Cでは、レンズ115A,115B,115Cが、光源211の光軸が通過する拡散部115Fと、拡散部115Fの外周側に設けられた集光部115Gとを備える。拡散部115Fは、光源211から出射された光を拡散する。また、集光部115Gは、光源211から出射された光を集光する。これにより、ハイビームパターンPの中央側の範囲Pに、レンズ115A,115B,115Cで集光された光をコリメート光として照射させ、ハイビームパターンPの外周側の範囲Pにレンズ115A,115B,115Cで拡散された光をコリメート光として照射させることができる。
【0070】
また、本実施形態の車両用前照灯1Aでは、複数のレンズ15A,15B,15Cの拡散部115Fの面積が、相互に相違している。これにより、ハイビームパターンPのレンズ115A,115B,115Cで集光された光をコリメート光として照射させる範囲Pとレンズ115A,115B,115Cで拡散された光をコリメート光として照射させる範囲Pとを、レンズ115A,115B,115C毎に調整することができる。従って、配光設計の自由度が高くなる。なお、本実施形態では、中央のレンズ115Aと中央から2番目のレンズ115Bとの拡散部115Fの面積を相違させ、中央から2番目のレンズ115Bと最も外側のレンズ115Cとの拡散部115Fの面積を相違させたが、必須ではない。複数のレンズ115A,115B,115Cの少なくとも一つの拡散部115Fの面積が、他のレンズ115A,115B,115Cの拡散部115Fの面積と相違すればよい。
【0071】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、実施形態同士の技術や公知・周知技術を組み合わせてもよい。
【0072】
例えば、上記実施形態では、光源部21を投影レンズ2より車両下側に配し、光源部21から出射された光を一次反射面112により車両上方側に向けて反射させた。しかしながら、これは必須ではなく、光源部21を投影レンズ2より車両上側に配し、光源部21から出射された光を一次反射面112により車両下方側に向けて反射させてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、レンズ115A,115B,115C,115Dの中央部を拡散部115Fとし、レンズ115A,115B,115C,115Dの外側部を集光部115Gとした。しかしながら、レンズ115A,115B,115C,115Dの中央部は、光源211から出射された光が一次反射面112側に通過し、外側部に比して相対的に光を拡散させる部位であればよく、当該部位から出射される光が拡散光であることは必須ではない。また、レンズ115A,115B,115C,115Dの外側部は、光源211から出射された光を一次反射面112側に反射し、中央部に比して相対的に光を集光させる部位(反射面)であればよく、当該部位で反射された光が集光であることは必須ではない。
【符号の説明】
【0074】
1 :車両用前照灯
1A :車両用前照灯
1B :車両用前照灯
1C :車両用前照灯
2 :投影レンズ(非球面レンズ)
10 :レンズユニット
10C :レンズユニット
111 :出射レンズ(第2レンズ)
112 :一次反射面
113 :二次反射面
114 :背面側反射面
115 :光入射部
115A :レンズ(第1レンズ)
115B :レンズ(第1レンズ)
115C :レンズ(第1レンズ)
115D :レンズ(第1レンズ)
115F :拡散部(中央部)
115G :集光部(外側部)
1150 :光入射部
211 :光源(第1光源)
231 :光源(第2光源)
311 :レンズ部(第3レンズ)
E :下端(端部)
F :焦点
:ハイビームパターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図16