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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172031
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/44 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 47/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D35/44 100
B65D47/14 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089449
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】東内 義明
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA03
3E084AA12
3E084BA02
3E084DB12
3E084EA02
3E084EB02
3E084FB01
3E084FB03
3E084FB07
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB02
3E084JA20
3E084KA20
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】穿孔端部が封止部を意図せず破断させてしまう不具合を防止することができるとともに全長を維持することができるチューブ容器を提案する。
【解決手段】チューブ容器1は、口筒部2cに一体連結する封止部2fを備えるチューブ本体2と、装着筒部4aの内側に設けられ封止部2fに対向する穿孔端部4hを備える吐出キャップ4と、チューブ容器1を使用する前はチューブ本体2に対して吐出キャップ4を離隔位置で維持して穿孔端部4hでの封止部2fの開封を阻止する一方、チューブ容器1を使用開始する際はチューブ本体2に対する吐出キャップ4の接近位置への移動を可能として穿孔端部4hでの封止部2fの開封を許容する開封防止機構と、を備え、封止部2fは、封止部2fをチューブ本体2の内側に凹ませた凹部2mを有し、穿孔端部4hは、離隔位置において口筒部2cに挿入されて凹部2mの内側に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器であって、
外周面に第一雄ねじ部を有する口筒部と、該口筒部の先端開口を塞いで該口筒部に一体連結する封止部とを備えるチューブ本体と、
前記第一雄ねじ部に螺合する第一雌ねじを有する装着筒部と、該装着筒部の内側に設けられ前記封止部に対向する穿孔端部とを備え、前記チューブ本体からの内容物を吐出させる吐出口を有する吐出キャップと、
前記チューブ容器を使用する前は前記チューブ本体に対して前記吐出キャップを離隔位置で維持して前記穿孔端部での前記封止部の開封を阻止する一方、該チューブ容器を使用開始する際は該チューブ本体に対する該吐出キャップの接近位置への移動を可能として該穿孔端部での該封止部の開封を許容する開封防止機構と、を備え、
前記封止部は、該封止部を前記チューブ本体の内側に凹ませた凹部を有し、
前記穿孔端部は、前記離隔位置において前記口筒部に挿入されて前記凹部の内側に位置するチューブ容器。
【請求項2】
前記口筒部は円筒状であって、
前記封止部は、
前記口筒部の軸線に対して直交する向きに延在し、該口筒部の内周面に一体連結する円弧状縁部と該円弧状縁部につながる直線状縁部とを有する水平部と、
前記直線状縁部から前記チューブ本体の内側に向けて傾いて延在し、前記口筒部の内周面に一体連結する傾斜部と、を備え、
前記凹部は、前記傾斜部と前記口筒部との間に区画される、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記第一雄ねじ部と前記第一雌ねじのねじ山角度は45°以下である、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記第一雄ねじ部と前記第一雌ねじは一条ねじである、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項5】
前記開封防止機構は、前記チューブ容器を使用する前は前記チューブ本体に取り付けられ、該チューブ容器を使用開始する際は該チューブ本体から取り外されるスペーサを備え、
前記チューブ本体は、前記口筒部につながる肩部に設けられたチューブ本体側回り止め部を有し、
前記スペーサは、前記チューブ本体に取り付けられた際に前記チューブ本体側回り止め部に係合して該スペーサを該チューブ本体に対して回り止め保持するスペーサ側第一回り止め部を有し、
前記吐出キャップは、前記接近位置に移動した際に前記チューブ本体側回り止め部に係合して該吐出キャップを該チューブ本体に対して回り止め保持する吐出キャップ側第一回り止め部を有する、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項6】
更に、前記吐出口を内側に収めるオーバーキャップを備え、
前記オーバーキャップは、該オーバーキャップの内側に、第二雌ねじ部と、オーバーキャップ側回り止め部とを有し、
前記吐出キャップは、前記第二雌ねじ部に螺合する第二雄ねじ部と、前記離隔位置と前記接近位置において前記オーバーキャップ側回り止め部に係合して前記オーバーキャップを回り止め保持する吐出キャップ側第二回り止め部とを有する、請求項1に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用開始前の状態において収容した内容物を密封状態で維持できるチューブ容器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示されたチューブ容器は、チューブ本体の口筒部に、口筒部の先端開口を塞いで口筒部に一体連結する封止部を備えていて、この封止部によってチューブ本体の内側を密封状態で維持することができる。またチューブ容器の口筒部には、吐出キャップが装着されていて、吐出キャップの内側には、封止部に対向する穿孔端部が設けられている。そしてチューブ本体に対して吐出キャップを回転させて吐出キャップをチューブ本体に接近させると、穿孔端部が封止部を破断させて封止部が開封され、内容物の吐出が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-088206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、チューブ容器を使用する前の状態において封止部と穿孔端部との隙間が小さい場合には、例えば輸送中に吐出キャップに対して意図しない力が加わったり取扱中に不用意に吐出キャップを回転させたりすることによって、穿孔端部が封止部に近づいて封止部を破断させてしまうおそれがある。なお特許文献1には、このような意図しない封止部の破断を防止するものとして開封防止機構(バージン機構)が設けられているが、これを設ける場合でも、封止部と穿孔端部との隙間はある程度確保しておく必要がある。一方、封止部と穿孔端部との隙間を大きくすると、チューブ本体から吐出キャップを離隔させるために開封防止機構が大きく(長く)なり、それに伴いチューブ容器の全長も大きくなる。
【0006】
このような点に鑑み、本発明は、穿孔端部が封止部を意図せず破断させてしまう不具合を防止することができるとともに全長を維持することができるチューブ容器を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、チューブ容器であって、
外周面に第一雄ねじ部を有する口筒部と、該口筒部の先端開口を塞いで該口筒部に一体連結する封止部とを備えるチューブ本体と、
前記第一雄ねじ部に螺合する第一雌ねじを有する装着筒部と、該装着筒部の内側に設けられ前記封止部に対向する穿孔端部とを備え、前記チューブ本体からの内容物を吐出させる吐出口を有する吐出キャップと、
前記チューブ容器を使用する前は前記チューブ本体に対して前記吐出キャップを離隔位置で維持して前記穿孔端部での前記封止部の開封を阻止する一方、該チューブ容器を使用開始する際は該チューブ本体に対する該吐出キャップの接近位置への移動を可能として該穿孔端部での該封止部の開封を許容する開封防止機構と、を備え、
前記封止部は、該封止部を前記チューブ本体の内側に凹ませた凹部を有し、
前記穿孔端部は、前記離隔位置において前記口筒部に挿入されて前記凹部の内側に位置するチューブ容器である。
【0008】
前記口筒部は円筒状であって、
前記封止部は、
前記口筒部の軸線に対して直交する向きに延在し、該口筒部の内周面に一体連結する円弧状縁部と該円弧状縁部につながる直線状縁部とを有する水平部と、
前記直線状縁部から前記チューブ本体の内側に向けて傾いて延在し、前記口筒部の内周面に一体連結する傾斜部と、を備え、
前記凹部は、前記傾斜部と前記口筒部との間に区画されることが好ましい。
【0009】
前記第一雄ねじ部と前記第一雌ねじのねじ山角度は45°以下であることが好ましい。
【0010】
前記第一雄ねじ部と前記第一雌ねじは一条ねじであることが好ましい。
【0011】
前記開封防止機構は、前記チューブ容器を使用する前は前記チューブ本体に取り付けられ、該チューブ容器を使用開始する際は該チューブ本体から取り外されるスペーサを備え、
前記チューブ本体は、前記口筒部につながる肩部に設けられたチューブ本体側回り止め部を有し、
前記スペーサは、前記チューブ本体に取り付けられた際に前記チューブ本体側回り止め部に係合して該スペーサを該チューブ本体に対して回り止め保持するスペーサ側第一回り止め部を有し、
前記吐出キャップは、前記接近位置に移動した際に前記チューブ本体側回り止め部に係合して該吐出キャップを該チューブ本体に対して回り止め保持する吐出キャップ側第一回り止め部を有することが好ましい。
【0012】
更に、前記吐出口を内側に収めるオーバーキャップを備え、
前記オーバーキャップは、該オーバーキャップの内側に、第二雌ねじ部と、オーバーキャップ側回り止め部とを有し、
前記吐出キャップは、前記第二雌ねじ部に螺合する第二雄ねじ部と、前記離隔位置と前記接近位置において前記オーバーキャップ側回り止め部に係合して前記オーバーキャップを回り止め保持する吐出キャップ側第二回り止め部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のチューブ容器は、チューブ本体の内側に向けて凹ませた凹部を封止部に設け、穿孔端部は、上述した離隔位置において口筒部に挿入されて凹部の内側に位置するように構成しているため、封止部と穿孔端部との隙間はある程度して穿孔端部が封止部を意図せず破断させてしまう不具合を防止しつつ、チューブ容器の全長も維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るチューブ容器の一実施形態について、吐出キャップが離隔位置にある状態での口筒部の周辺を示した部分断面図である。
図2A図1に示したチューブ本体の半断面図である。
図2B図2Aに示した封止部の部分拡大図である。
図3図1に示した吐出キャップの半断面図である。
図4A図1に示した状態において、チューブ本体側回り止め部(肩部突起2d)とスペーサ側第一回り止め部(スペーサ下側突起3d)との関係を平面視で示した図である。
図4B図4Aに示した封止部の部分拡大図である。
図5図1に示した状態において、オーバーキャップ側回り止め部(リブ5f)、吐出キャップ側第二回り止め部(小突起4jと大突起4k)、及びスペーサ側第二回り止め部(スペーサ上側突起3e)との関係を平面視で示した図である。
図6図1に示したチューブ容器に関し、吐出キャップが接近位置にある状態での口筒部の周辺を示した部分断面図である。
図7図6に示した状態において、チューブ本体側回り止め部(肩部突起2d)と吐出キャップ側第一回り止め部(吐出キャップ下側突起4m)との関係を平面視で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明に係るチューブ容器の一実施形態であるチューブ容器1について説明する。なお、本明細書等において上下方向とは、図示した軸線O(後述する口筒部2cの中心軸線)に沿う向きである。また径方向とは、軸線Oに対して垂直な面内で軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で軸線Oを中心として周回する方向である。
【0016】
本実施形態のチューブ容器1は、チューブ本体2と、スペーサ3と、吐出キャップ4と、オーバーキャップ5で構成されている。
【0017】
チューブ本体2は、不図示の一端部が封止された胴部2aと、胴部2aの他端部に一体連結し、そこから径方向内側に向けて延在する肩部2bと、全体的に円筒状をなしていて、肩部2bの内縁部から軸線Oに沿って延在する口筒部2cを備えている。
【0018】
肩部2bは、図4Aに示すように平面視で楕円状になるものである。肩部2bには、図1に示すように肩部2bから上方に向けて突出する突起状の肩部突起2dが設けられている。肩部突起2dは、図4Aに示すように平面視においては軸線Oを中心として円弧状に延在していて、更に周方向端部が径方向外側に向けて突出する形状で形作られている。肩部突起2dは、軸線Oを中心として周方向に等間隔になる配置で合計2つ設けられている。なお肩部突起2dは、本明細書等の「チューブ本体側回り止め部」に相当するものである。
【0019】
口筒部2cは、図2Aに示すようにその外周面に第一雄ねじ部2eを備えている。第一雄ねじ部2eは、台形ねじに近い形状をなしていて、本実施形態のねじ山角度Aは45°である。ねじ山角度Aは、0°以上45°以下が好ましい。また本実施形態の第一雄ねじ部2eは、一条ねじである。
【0020】
口筒部2cの内側には、口筒部2cの先端開口を塞いで口筒部2cに一体連結する封止部2fが設けられている。封止部2fは、図2B図4Bに示すように、軸線Oに対して直交する向きに延在する水平部2gを備えている。水平部2gは、口筒部2cの内周面に一体連結する円弧状縁部2hと、円弧状縁部2hに対向する位置に設けられ直線状に延在する直線状縁部2jを備えている。また封止部2fは、直線状縁部2jから下方に向けて傾いて延在して口筒部2cの内周面に一体連結する傾斜部2kを備えている。このような口筒部2cと傾斜部2kによって封止部2fには、封止部2fをチューブ本体2の内側に凹ませた形態をなす凹部2mが形成されている。更に封止部2fが口筒部2cに一体に連結する部位には、周方向に延在して円環状になる薄肉連結部2nが設けられている。本実施形態の薄肉連結部2nは、封止部2fの上面を下方に向けて凹ませるようにして形作られていて、封止部2fにおける他の部位よりも厚みが薄くなっている。
【0021】
スペーサ3は、図1に示すように水平方向に延在する天壁部3aを備えている。天壁部3aは、図5に示すように平面視で楕円状になるものである。天壁部3aの中央部には、図1に示すように口筒部2cが挿入される円形の開口3bが設けられていて、天壁部3aの外縁部には、下方に向けて延在する周壁部3cが設けられている。
【0022】
更にスペーサ3は、図1において仮想線で示すように、天壁部3aの下面から下方に向けて突出する突起状のスペーサ下側突起3dを備えている。スペーサ下側突起3dは、図4Aに仮想線で示すように、軸線Oを中心として周方向に間隔をあけて合計4個設けられている。スペーサ下側突起3dは、図示したように肩部突起2dに対して周方向で接触するものであって、これによりスペーサ3は、チューブ本体2に対して回り止め保持される。なお本実施形態のスペーサ下側突起3dは、本明細書等の「スペーサ側第一回り止め部」に相当するものである。
【0023】
またスペーサ3は、図1に示すように天壁部3aの上面から下方に向けて突出する突起状のスペーサ上側突起3eを備えている。スペーサ上側突起3eは、図5に示すように平面視においては軸線Oを中心として円弧状に延在するものである。スペーサ上側突起3eの周方向中央部(図1において実線で示した部分)は、破線で示したスペーサ上側突起3eの他の部分よりも高さが低くなっている。なおスペーサ上側突起3eは、本明細書等の「スペーサ側第二回り止め部」に相当するものである。
【0024】
吐出キャップ4は、図1図3に示すように円筒状をなす装着筒部4aを備えている。装着筒部4aの上端部には、径方向内側に向けて延在した後に上方に向けて延在する筒状のノズル部4bが設けられている。ここで、ノズル部4bの上部における開口を吐出口4cと称する。装着筒部4aの下端部には、径方向外側に向けて延在した後に下方に向けて延在する下壁部4dが設けられている。
【0025】
装着筒部4aの内周面には、第一雌ねじ部4eが設けられている。第一雌ねじ部4eは、第一雄ねじ部2eに螺合するものであって、一条ねじである。第一雌ねじ部4eのねじ山角度Bは、第一雄ねじ部2eのねじ山角度Aに対応していて、本実施形態では45°である。装着筒部4aの外周面には、第二雄ねじ部4fが設けられている。第二雄ねじ部4fは、一般的なねじ結合に使用される三角ねじに近い形状をなすものである。なお一般的な三角ねじのねじ山角度は60°であり、第一雄ねじ部2eや第一雌ねじ部4eのねじ山角度はそれよりも小さくなっている。本実施形態の第二雄ねじ部4fは、二条ねじである。
【0026】
そして吐出キャップ4は、装着筒部4aの内側において、ノズル部4bの下面から下方に向けて延在する円筒状の内側筒部4gを備えている。内側筒部4gの下端部における周方向の一部には、下方に向けて延在するとともに図示したように先鋭状に形作られた穿孔端部4hが設けられている。
【0027】
更に吐出キャップ4は、下壁部4dの上面において装着筒部4aとの境界付近に設けられ、図5に示すように径方向への突出量が小さい小突起4jと、小突起4jよりも径方向への突出量が大きい大突起4kが設けられている。小突起4jと大突起4kは、周方向に間隔をあけて設けられている。本実施形態の吐出キャップ4は、小突起4jと大突起4kを合計2組備えている。なお小突起4jと大突起4kは、本明細書等の「吐出キャップ側第二回り止め部」に相当するものである。
【0028】
また吐出キャップ4は、下壁部4dの下面から下方に向けて突出する突起状の吐出キャップ下側突起4mを備えている。吐出キャップ下側突起4mは、図7に仮想線で示すように、軸線Oを中心として周方向に間隔をあけて合計4個設けられている。吐出キャップ下側突起4mは、後述するようにスペーサ3をチューブ本体2から取り外して吐出キャップ4をチューブ本体2に装着した状態において、図示したように肩部突起2dに対して周方向で接触する。これにより吐出キャップ4は、チューブ本体2に対して回り止め保持される。なお本実施形態の吐出キャップ下側突起4mは、本明細書等の「吐出キャップ側第一回り止め部」に相当するものである。
【0029】
オーバーキャップ5は、図1に示すように水平方向に延在する頂壁部5aを備えている。頂壁部5aは、天壁部3aと同様に平面視で楕円状になるものである。頂壁部5aの外縁部には、下方に向けて延在する外周壁部5bが設けられている。外周壁部5bの径方向内側には、頂壁部5aから下方に向けて延在する円筒状の内周壁部5cが設けられている。内周壁部5cの内周面には、第二雄ねじ部4fに螺合する第二雌ねじ部5dが設けられている。また頂壁部5aの中央部には、下方に向けて延在する円筒状のシール筒部5eが設けられている。シール筒部5eは、吐出口4cに挿入されてノズル部4bの内周面に液密に接触するものである。
【0030】
更にオーバーキャップ5は、内周壁部5cと外周壁部5bとの間で径方向に向けて延在する板状のリブ5fを備えている。リブ5fは、図5に示すように合計2つ設けられている。図示したように、リブ5fの径方向外側端部はスペーサ上側突起3eの中央部と係合し、リブ5fの径方向内側端部は小突起4jと大突起4kとの間に位置してこれらに係合している。なお本実施形態のリブ5fは、本明細書等の「オーバーキャップ側回り止め部」に相当するものである。
【0031】
このような部材によって構成されるチューブ容器1は、例えば輸送時や陳列時のようにこれを使用する前の状態においては、図1に示すようにチューブ本体2にスペーサ3を取り付け、第一雌ねじ部4eを第一雄ねじ部2eに螺合させて吐出キャップ4をチューブ本体2に装着し、更に第二雌ねじ部5dを第二雄ねじ部4fに螺合させてオーバーキャップ5を吐出キャップ4に取り付けた状態にある。ここでスペーサ3は、図4Aに示すようにスペーサ下側突起3dが肩部突起2dに対して周方向で接触しているため、チューブ本体2に対して回り止め保持されている。またオーバーキャップ5は、図5に示すようにリブ5fがスペーサ上側突起3eの中央部と係合し、また小突起4jと大突起4kにも係合しているため、スペーサ3と吐出キャップ4に対して回り止め保持されている。すなわちチューブ容器1を構成する各部材は、図1に示した状態で交互に回り止めされているため、意図せずオーバーキャップ5等が外れてしまう不具合を防止することができる。
【0032】
また図1に示す状態において吐出キャップ4は、スペーサ3がチューブ本体2との間に介在しているため、チューブ本体2に対して離隔した位置(離隔位置)にある。この離隔位置において穿孔端部4hは、口筒部2cに挿入されて凹部2mの内側に位置している。すなわち、封止部2fに凹部2mが設けられていない場合は、穿孔端部4hを封止部2fに対してその分上方に位置させなければならず、そのためにスペーサ3の高さを増やしてチューブ容器1の全長を大きくする必要があるが、本実施形態のように封止部2fに凹部2mを設ける場合は、穿孔端部4hは離隔位置において凹部2mの内側に収まるため、封止部2fと穿孔端部4hとの隙間はある程度して穿孔端部4hが封止部2fを意図せず破断させてしまう不具合を防止しつつ、スペーサ3の高さやチューブ容器1の全長を維持することができる。
【0033】
上述したように本実施形態の第一雄ねじ部2eと第一雌ねじ部4eは、一般的なねじ結合に使用される三角ねじに対してねじ山角度が小さくなっている。すなわち、第一雄ねじ部2eと第一雌ねじ部4eを螺合させた際のガタが、一般的なねじ結合の場合に比して小さくなっている。従って、チューブ本体2に対する吐出キャップ4のガタが抑えられるため、凹部2mに収まった穿孔端部4hがガタによって封止部2fを破断させてしまう不具合を防止することができる。また第一雄ねじ部2eと第一雌ねじ部4eは一条ねじであるため、チューブ本体2から吐出キャップ4を取り外した場合でも再び第一雄ねじ部2eと第一雌ねじ部4eを螺合させると、吐出キャップ4はチューブ本体2に対して周方向に同じ位置で装着されることになる。すなわち、吐出キャップ4を再び取り付けた際にも穿孔端部4hを凹部2mに確実に収めることができる。
【0034】
封止部2fを開封するにあたっては、図1に示した状態のチューブ容器1からオーバーキャップ5、吐出キャップ4、及びスペーサ3を取り外し、図6に示したようにスペーサ3は使用せずに吐出キャップ4をチューブ容器1に取り付ける。吐出キャップ4を口筒部2cに対して回転させて第一雌ねじ部4eを第一雄ねじ部2eに螺合させていくと、吐出キャップ4は、図6に示した位置(接近位置)までチューブ本体2に接近する。吐出キャップ4が接近位置に向けて移動する際、先鋭した形状になる穿孔端部4hでもって、封止部2fを破断させることができる。図2B図4Bに示したように本実施形態では、封止部2fに薄肉連結部2nを設けていて、厚みの薄い薄肉連結部2nは他の部位よりも強度が低いため、封止部2fをより確実に破断させて封止部2fを開封することができる。更に、本実施形態の封止部2fは傾斜部2kを備えているため、凹部2mに入り込んだ穿孔端部4hは、吐出キャップ4を回転させることで傾斜部2kに接触して傾斜部2kを強く押圧する。従って封止部2fを更に確実に破断させることができる。
【0035】
吐出キャップ4を図6に示した接近位置まで移動させた際、図7に示すように吐出キャップ下側突起4mは、肩部突起2dに対して周方向で接触する。従って吐出キャップ4を、チューブ本体2に対して回り止め保持することができる。
【0036】
封止部2fを破断させた後は、チューブ本体2の胴部2aを押圧することによって内容物を吐出口4cから吐出させることができる。また内容物を吐出させた後は、図6に示すようにオーバーキャップ5を装着すると、シール筒部5eは、吐出口4cに挿入されてノズル部4bの内周面に液密に接触するため、チューブ本体2に収容した内容物と外気との接触を抑制することができる。なおオーバーキャップ5を装着した状態において、リブ5fは小突起4jと大突起4kに係合するため、オーバーキャップ5は回り止め保持される。従って、オーバーキャップ5が意図せず外れてしまう不具合を防止することができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0038】
例えば本実施形態では、チューブ本体2に対して吐出キャップ4を離隔位置で維持して穿孔端部4hでの封止部2fの開封を阻止する開封防止機構としてスペーサ3を用いたが、開封防止機構はこれに限られず、例えば吐出キャップ4が離隔位置にある状態で肩部2bに接触するストッパーを吐出キャップ4に対して破断可能な弱化部を介して一体連結させたものでもよい。すなわちこのような開封防止機構によっても、弱化部を破断させてこのストッパーを取り外せば、吐出キャップ4を接近位置へ移動させて穿孔端部4hで封止部2fを開封することができる。
【0039】
またチューブ本体側回り止め部、スペーサ側第一回り止め部、吐出キャップ側第一回り止め部、オーバーキャップ側回り止め部、スペーサ側第二回り止め部、吐出キャップ側第二回り止め部の構成も上述した実施形態に限られない。例えばチューブ本体側回り止め部は肩部2bに設けた凹部であって、スペーサ側第一回り止め部や吐出キャップ側第一回り止め部は、この凹部に係合する凸部でもよい。
【符号の説明】
【0040】
1:チューブ容器
2:チューブ本体
2a:胴部
2b:肩部
2c:口筒部
2d:肩部突起(チューブ本体側回り止め部)
2e:第一雄ねじ部
2f:封止部
2g:水平部
2h:円弧状縁部
2j:直線状縁部
2k:傾斜部
2m:凹部
2n:薄肉連結部
3:スペーサ
3a:天壁部
3b:開口
3c:周壁部
3d:スペーサ下側突起(スペーサ側第一回り止め部)
3e:スペーサ上側突起(スペーサ側第二回り止め部)
4:吐出キャップ
4a:装着筒部
4b:ノズル部
4c:吐出口
4d:下壁部
4e:第一雌ねじ部
4f:第二雄ねじ部
4g:内側筒部
4h:穿孔端部
4j:小突起(吐出キャップ側第二回り止め部)
4k:大突起(吐出キャップ側第二回り止め部)
4m:吐出キャップ下側突起(吐出キャップ側第一回り止め部)
5:オーバーキャップ
5a:頂壁部
5b:外周壁部
5c:内周壁部
5d:第二雌ねじ部
5e:シール筒部
5f:リブ(オーバーキャップ側回り止め部)
O:軸線
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7