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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172034
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】身体用装具
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/015 20060101AFI20241205BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A41D19/015 210
A41D19/00 L
A41D19/015 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089453
(22)【出願日】2023-05-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社東京エンゼル本社が令和4年6月1日に楽天グループ株式会社の運営するウェブサイトにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】391052873
【氏名又は名称】株式会社東京エンゼル本社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 健司
【テーマコード(参考)】
3B033
【Fターム(参考)】
3B033AA03
3B033AB06
(57)【要約】
【課題】被介護者の手に装着した状態を長時間維持することが可能であるとともに、装着時における手の甲の保護が可能な身体用装具を提供する。
【解決手段】使用者の手を挿入可能に構成された筒状部と、筒状部に挿入された使用者の手の指の間に挿入可能に構成された少なくとも1つの突起部とを備え、筒状部は、少なくとも使用者の手の平側にクッション材が配されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の手を挿入可能に構成された筒状部と、
前記筒状部に挿入された使用者の手の指の間に挿入可能に構成された少なくとも1つの突起部と
を備え、
前記筒状部は、少なくとも使用者の手の平側にクッション材が配されている
ことを特徴とする身体用装具。
【請求項2】
前記筒状部は、使用者の手の甲側にクッション材が配されている
請求項1に記載の身体用装具。
【請求項3】
前記筒状部の内周面には、周方向に沿って延びる縫い目が形成されていない
請求項1又は2に記載の身体用装具。
【請求項4】
前記筒状部は、前記縫い目が形成されていない前記内周面が径方向外側に向くよう、前記内周面と外周面を反転させることが可能に構成されている
請求項3に記載の身体用装具。
【請求項5】
前記突起部は、前記筒状部の周方向に沿って複数設けられており、
互いに隣接する前記突起部のうちの少なくとも一方は、基端側に形成された小径部と、該小径部よりも先端側に形成された大径部とを有し、
該小径部は、使用者の指の間に挿入することが可能に構成されている
請求項1又は2に記載の身体用装具。
【請求項6】
前記筒状部は、前記クッション材を充填可能な袋状に形成されており、内部に充填される該クッション材の充填量を調整可能に構成されている
請求項1又は2に記載の身体用装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体用装具に関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞や事故後の後遺症として、筋肉が固まり、関節の動きが制限される拘縮に発展する事例が多く、このような拘縮が手指に発症した場合には、被介護者の手が常に握られた状態になるため、伸びた爪によって手のひらを傷つける等の弊害が発生するおそれがある。従来、この弊害を防止する目的で各指間に部材を挿入し、各指を離間した状態で維持する指矯正具が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登第3086716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の指矯正具は、使用時に被介護者が把持する必要があるため、長時間使用した場合には把持を維持できず矯正具本体を落としてしまう等の問題がある。また、特許文献1に記載の指矯正具は、使用時に手の甲側がむき出しの状態となるため、被介護者が手を動かした際に、壁等に手の甲を打ち付けることによって負傷するおそれもある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、被介護者の手に装着した状態を長時間維持することが可能であるとともに、装着時における手の甲の保護が可能な身体用装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、使用者の手を挿入可能に構成された筒状部と、前記筒状部に挿入された使用者の手の指の間に挿入可能に構成された少なくとも1つの突起部とを備え、前記筒状部は、少なくとも使用者の手の平側にクッション材が配されている身体用装具であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る身体用装具について、前記筒状部は、使用者の手の甲側にクッション材が配されていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る身体用装具について、前記筒状部の内周面には、周方向に沿って延びる縫い目が形成されていないことがより好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る身体用装具について、前記筒状部は、前記縫い目が形成されていない前記内周面が径方向外側に向くよう、前記内周面と外周面を反転させることが可能に構成されていることがより好ましい。
【0010】
また、本発明に係る身体用装具について、前記突起部は、前記筒状部の周方向に沿って複数設けられており、互いに隣接する前記突起部のうちの少なくとも一方は、基端側に形成された小径部と、該小径部よりも先端側に形成された大径部とを有し、該小径部は、使用者の指の間に挿通することが可能に構成されていることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る身体用装具について、前記筒状部は、前記クッション材を充填可能な袋状に形成されており、内部に充填される該クッション材の充填量を調整可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被介護者の手に装着した状態を長時間維持することが可能であるとともに、装着時における手の甲の保護が可能な身体用装具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る身体用装具を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る身体用装具を示す正面図である。
図3】本実施形態に係る身体用装具を示す上面図である。
図4】突起部の形状を示す拡大図である。
図5】クッション材の調節口を露出した状態を示す斜視図である。
図6】本実施形態に係る身体用装具の使用例を示す図である。
図7】筒状部を裏返す工程を説明する図である。
図8】筒状部を裏返した状態における身体用装具の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0015】
[身体用装具の全体構成]
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る身体用装具1は、使用者の手を挿入可能に構成された筒状部10と、該筒状部10に挿入された該使用者の指の間に挿入可能に構成された少なくとも1つの突起部20を備えている。なお、本実施形態において筒状部10と、突起部20は一体に形成されているものとして説明するが、これに限られず、突起部20が筒状部10の上縁部に外付けされる別部材であっても良い。また、本明細書において、「手」とは、使用者の手首から指先までの範囲を指すものとして説明する。さらに、本明細書において、「左右」とは、図2に示すように、本実施形態に係る身体用装具1を正面(突起部20が設けられた側)から視覚した際における左右の方向を指すものとして説明する。
【0016】
[筒状部の構成]
本実施形態に係る筒状部10は、概略的には、図1に示すように、内周面11と、外周面12と、クッション材の充填量を調節可能に構成する調節口13とを備える。
【0017】
具体的には、筒状部10は、使用者の手が挿入可能な筒状体で形成されており、内周面11と、外周面12を備える。また、筒状部10は、少なくとも使用者の手の平側にクッション材が配されている。本実施形態において、筒状部10は、使用者の手を周方向に囲うようにクッション材が配されており、これにより、手の平側だけではなく手の甲側にもクッション材が配されている。
【0018】
本実施形態において、筒状部10は、クッション材を充填可能な袋状に形成されており、その内部にクッション材が充填されている。筒状部10を袋状にするための縫い目14は、筒状部10の周方向においては頂部及び外周面12にのみ形成されており、筒状部10の内周面11には、図3に示すように、周方向に沿って延びる縫い目14が形成されていない。筒状部10は、例えば表面が抗菌加工されたポリエステル繊維で形成されることが好ましく、このような材質により形成されることにより、長時間使用しても手が蒸れにくく、菌の増殖も抑えることが可能に構成されている。
【0019】
クッション材は、使用者の手を保護するとともに柔らかい感触を付与することが可能な弾性を有することが好ましい。また、使用者の手を清潔に保つ観点から、クッション材は、通気性を有することが好ましい。このような弾性及び通気性を有するクッション材としては、例えば熱可塑性エラストマー等の樹脂材料により形成された筒状のビーズ(図示せず)等を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。また、筒状部10は、袋状に形成する構成に限定されず、例えば、筒状部10の全体をスポンジで形成する等のように、筒状部10自体をクッション材で形成しても良く、筒状部10にクッション材を外付けする構成としても良い。さらに、クッション材は、上述した筒状のビーズに限定されず、少なくとも使用者の手の平側にクッション性を付与可能な構成であれば、様々な構成を採用することができる。
【0020】
筒状部10は、使用者の手を挿入可能な開口を規定する環状に形成されている。筒状部10は、使用者の握力を要さずに使用者の手に装着可能に構成されている。具体的には、筒状部10は、伸縮性を備え、筒状部10に挿入した使用者の手を保持可能に構成されている。なお、該使用者の手に保持可能に構成される観点及び拘縮を備える手を挿入可能な大きさに伸張する観点から、筒状部10は、使用者の手の第二指(所謂人差し指)から第五指(所謂小指)までを挿入可能な伸縮性を備えることが好ましい。筒状部10の内周面11の径は、例えば16cm程度に設定されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0021】
筒状部10は、使用者の手の平及び甲を保護する観点から、使用者の手の平及び甲を被覆可能な高さ方向の長さを有することが好ましい。具体的には、図6に示すように、該使用者が手を挿入した状態において、該使用者の手の平及び甲の半分程度が被覆される長さを有することが好ましい。より具体的には、使用者が手を挿入した状態において、該使用者の手の平の上端から、母指球までが被覆されていることが好ましい。また、手の甲側に関しても、該使用者が手を挿入した状態において、手の甲の上端から、手の甲の半分以上が被覆されることが好ましい。なお、本実施形態において筒状部10の手の平側と、手の甲側の高さ方向の長さは均一であるが、これに限られるものではなく、例えば、筒状部10に該使用者が手を挿入した状態において、手の甲側の高さ方向の長さを手の平側よりも長めに形成しても良い。
【0022】
筒状部10は、内部に充填されるクッション材の充填量を調整可能に構成されている。具体的には、筒状部10の外周面12は、図1に示すように、筒状部10の内部に充填されたクッション材の量を調節するための調節口13を備える。調節口13は、図5に示すように、筒状に形成された部材であり、筒状部10の内部と連通することにより、該筒状部10の内部に充填されるクッション材を取り出すことが可能に構成されている。本実施形態において、調節口13は、図1に示すように、通常時においては筒状部10の内部に収納されており、クッション材の量を調整する際に筒状部10の内部から引き出して使用される。なお、本実施形態において、調節口13は、先端部が縫合されることにより、クッション材が外部に意図せず放出されることを防止している。このように調節口13の先端部が縫合されている場合には、縫合糸を解いてからクッション材の量の調整が行われる。
【0023】
[突起部の構成]
本実施形態において、突起部20は、図1図3に示すように、筒状部10の周方向に沿って複数設けられている。また、本実施形態において、突起部20は、筒状部10と同様の袋状に形成されており、内部にクッション材が充填されることにより、弾性と通気性を備える。
【0024】
本実施形態において、突起部20は、互いに隣接する位置に複数形成されている。複数の突起部20は、筒状部10の周方向の約半分の領域に設けられており、該筒状部10の上縁から上方に向けて突設されている。具体的には、突起部20は、図2に示すように、筒状部10の上縁部に形成される第一の突起部21及び第二の突起部22と、第一の突起部21と第二の突起部22との間に形成される第三の突起部23とを備えている。第一の突起部21及び第二の突起部22は、第三の突起部23を境として左右対称となるよう構成されることが好ましい。これら第一の突起部21、第二の突起部22及び第三の突起部23は、使用者の指の間に挿入されることが可能な間隔をおいて互いに離間している。
【0025】
互いに隣接する突起部20のうちの少なくとも一方は、基端側に形成された小径部24と、該小径部24よりも先端側に形成された大径部25とを有している。本実施形態では、第一の突起部21、第二の突起部22及び第三の突起部23がそれぞれ、小径部24及び大径部25を有している。小径部24は、使用者の指の間に挿入することが可能に構成されている。
【0026】
大径部25は、指の節を模した形状を有することが好ましい。また、大径部25は、突起部21~23毎に異なる形状で形成されることが好ましい。具体的には、図4に示すように、第一の突起部21及び第二の突起部22が備える大径部25は、第三の突起部23から離れる方向に向けてのみ隆起するように形成されている。一方、第三の突起部23が備える大径部25は、第一の突起部21に向かう方向及び第二の突起部22に向かう方向の双方に隆起するように形成されている。第三の突起部23の大径部25は、第一の突起部21及び第二の突起部22の大径部25よりも大きい幅を有することが好ましい。例えば、第三の突起部23の大径部25の外周径は、約9cm程度に設定されることが好ましく、第一の突起部21及び第二の突起部22の大径部25の外周径は、約6cm程度に設定されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0027】
[身体用装具の第一の使用方法]
次に、本実施形態に係る身体用装具1の使用方法について説明する。身体用装具1を使用者の手に装着する場合、使用者は筒状部10に手を挿入し、筒状部10に手を挿入した状態において各突起部20を各指の間に挿入する。より具体的には、図6に示すように、使用者は、筒状部10に手を挿入した後、第一の突起部21を第二指と第三指の指間に挿入し、第二の突起部22を第四指と第五指の指間に挿入し、第三の突起部23を第三指と第四指の指間に挿入する。その後、第一の突起部21の小径部24を、第二指及び第三指で挟み、第二の突起部22の小径部24を、第四指及び第五指で挟み、第三の突起部23の小径部24を、第三指及び第四指で挟むことにより、該身体用装具1を手に保持させることができる。なお、各突起部20を使用者の各指間に挿入する工程は、上述した順番に限られるものではなく、各順番が前後しても構わないし、同時に実行しても構わない。また、第一の突起部21を使用者の第四指及び第五指で挟み、第二の突起部22を使用者の第二指及び第三指で挟むことにより、該身体用装具を保持させても良い。
【0028】
上記の装着工程を経ることにより、図6に示すように、使用者の握力等の要因に左右されることなく、本実施形態に係る身体用装具1を装着した状態を維持できる。なお、筒状部10が使用者の手に密着せず、筒状部10が該使用者の手首付近まで移動してしまうような場合には、図5に示すように、調節口13を露出させ、先端の縫合を外し、内部に充填されたクッション材を放出することにより、筒状部10の径を縮小させ、使用者の手に密着させるように調節することが可能に構成されている。なお、調節口13は、先端を縫合等によって再度封止することにより、クッション材の外部放出を防ぐことが可能となる。
【0029】
[身体用装具の第二の使用方法]
以下において、本実施形態に係る身体用装具1の第二の使用方法について説明する。なお、基本的な構成要素は上述した第一の使用方法と同一であるため、説明は省略する。
【0030】
本実施形態に係る身体用装具1の筒状部10は、内周面11が径方向外側に向くよう、該内周面11と外周面12を反転させることが可能に構成されている。具体的には、図7に示すように、筒状部10は、使用者の操作によって、筒状部10の内周面11が外周に向くように、筒状部10を反転させることが可能に構成されている。このように、筒状部10を反転させることにより、周方向に沿って延びる縫い目14が形成されていない内周面11を、筒状部10の外周面とすることができる。このようにして筒状部10を反転させた場合には、使用者は、図8に示すように筒状部10の内周に手を挿入することなく、外周から筒状部10を把持し、上述のように指間に各突起部20を挿入して把持する。この使用方法により、例えば手の平側のクッション性を高めたい場合や、使用者の手が大きい場合や腫れ上がるなどして筒状部10に手を挿入できないような事例にも対応することが可能となる。
【0031】
[本実施形態に係る身体用装具の利点]
このように、本実施形態に係る身体用装具1は、使用者の手を挿入可能に構成された筒状部10と、該筒状部10に挿入された該使用者の指の間に挿入可能に構成された少なくとも1つの突起部20を備え、筒状部10は、少なくとも使用者の手の平側にクッション材が配されている。
【0032】
このような構成を有する身体用装具1によれば、使用者の手に挿入される筒状部10により身体用装具1が装着した状態を維持することが可能に構成されており、使用者の手指を長時間離間することが可能であるとともに、使用者が該身体用装具1を握持した際に、手の平側に配されるクッション材によって使用者の爪が食い込むことにより手の平が傷つく可能性を低減できるという利点を有する。
【0033】
また、本実施形態に係る身体用装具1は、手の平側にクッション材が配されることにより、素手のまま手を握り続ける場合と比較して、使用者の手を清潔に保つことができるという利点も有する。すなわち、素手のまま手を握り続ける場合には、皮膚の清潔が保てず水虫等の皮膚疾患や悪臭等を併発し、生活の質が低下するおそれがあるが、本実施形態に係る身体用装具1を用いることにより、これらのリスクを防止乃至低減することが可能となる。
【0034】
また、本実施形態に係る身体用装具1は、筒状部10の手の甲側にもクッション材が配されることにより、身体用装具1の装着時において、使用者が手の甲を打ち付けた際の衝撃を緩和することも可能であるという利点を有する。
【0035】
さらに、本実施形態に係る身体用装具1は、筒状部10の内周面11に周方向に沿って縫い目14が形成されていないため、身体用装具1の装着時及び筒状部10に使用者の手を挿入する際に、使用者の手に衣擦れが起こりづらいという利点も有する。
【0036】
また、本実施形態に係る身体用装具1は、突起部20が筒状部10の周方向に沿って複数設けられており、互いに隣接する該突起部20が、基端側に形成された小径部24と、該小径部24よりも先端側に形成された大径部25とを有し、隣接する突起部20と該小径部24との間に使用者の指を挿通させることが可能に構成されていることにより、身体用装具1の装着時において、該大径部25が係止部となり使用者の指の落脱を防止し、装着時の安定性を高めることが可能であるとともに、手指を打ち付けた際の衝撃を大径部25が緩和することが可能であるという利点を有する。また、大径部25が指の節の役割を果たすことにより、心理的に落ち着くという利点も有する。
【0037】
さらに、本実施形態に係る身体用装具1は、筒状部10が、クッション材を充填可能な袋状に形成されており、内部に充填される該クッション材の充填量を調整可能に構成する調節口13を備えることにより、使用者の手を挿入する際に筒状部10が手に適合しない場合であっても、調節口13を用いてクッション材の充填量を調節することで、筒状部10を使用者の手に適合するように大きさを調節することが可能であるため、使用者の手の大きさや変形の有無を問わず使用することが可能であるという利点も有する。
【0038】
[変形例]
本発明に係る身体用装具は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。
【0039】
例えば、上述した実施形態では、筒状部10が、使用者の手の甲側にクッション材が配されるものとして説明したが、これに限定されず、手の甲側にクッション材が配されない構成としても良い。
【0040】
また、上述した実施形態では、突起部20は、第一の突起部21、第二の突起部22及び第三の突起部23を備えているものとして説明したが、これに限定されず、さらに突起の本数を増加させても良く、反対に突起の本数を減少させても良い。さらに、各突起部20の全てが小径部24及び大径部25を有するものとして説明したが、これに限定されず、一部の突起部20のみが小径部24及び大径部25を有する構成であっても良いし、全ての突起部20が小径部24及び大径部25を有さない構成であっても良い。
【0041】
また、上述した実施形態では、内周面11には周方向に沿って延びる縫い目14が形成されていないものとして説明したが、これに限定されず、内周面11に周方向に沿って延びる縫い目14が形成されていても良い。
【0042】
また、上述した実施形態では、筒状部10が、縫い目14が形成されていない内周面11が径方向外側に向くよう、内周面11と外周面12を反転させることが可能に構成されるものとして説明したが、これに限定されず、内周面11と外周面12を反転させることが不能に構成されても良い。
【0043】
また、上述した実施形態では、筒状部10が、内部に充填されるクッション材の充填量を調整可能に構成されるものとして説明したが、これに限定されず、内部に充填されるクッション材の充填量を調整不能な構成であっても良い。さらに、上述した実施形態では、調節口13が、先端部が縫合されることにより封止されるものとして説明したが、これに限定されず、先端部に面ファスナーを備える構成や、先端部を結びつけることによって封止する構成を採用しても良いし、先端部が封止されない構成としても良い。さらに、調節口13が設けられない構成であっても良い。
【0044】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0045】
1 :身体用装具
10 :筒状部
11 :内周面
12 :外周面
13 :調節口
14 :縫い目
20 :突起部
21 :第一の突起部
22 :第二の突起部
23 :第三の突起部
24 :小径部
25 :大径部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8