(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172043
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20241205BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241205BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241205BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J29/00 H
B41J29/38 302
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J11/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089465
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】北山 佳央里
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EB12
2C056EB14
2C056EB30
2C056EC12
2C056EC37
2C056EC67
2C056HA30
2C056HA47
2C058AB16
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF20
2C058AF27
2C058AF31
2C058GA14
2C058GB05
2C058GB14
2C058GE19
2C061AQ05
2C061AR03
2C061AS02
2C061CK03
2C061CK10
2C061HJ10
2C061HK06
2C061HK11
(57)【要約】
【課題】カールの発生を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、画像形成部11と、第2搬送部13と、加熱部14と、供給部17とを備える。画像形成部11は、印刷用紙Pに画像を形成する。第2搬送部13は、画像が形成された印刷用紙Pを搬送する。加熱部14は、第2搬送部13により搬送される印刷用紙Pを加熱する。供給部17は、第2搬送部13に載置される印刷用紙Pを送り出すタイミングを変更する。供給部17は、前回の印刷用紙Pが第2搬送部13に載置される第1周期T1と今回の印刷用紙Pが第2搬送部13に載置される第2周期T2とを異ならせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像が形成された前記記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記記録媒体を加熱する加熱部と、
前記搬送部に載置される前記記録媒体を送り出すタイミングを変更する変更部と
を備え、
前記変更部は、前回の前記記録媒体が前記搬送部に載置される第1周期と今回の前記記録媒体が前記搬送部に載置される第2周期とを異ならせる、画像形成装置。
【請求項2】
前記変更部は、前記記録媒体を前記画像形成部に供給する供給部である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記変更部は、前記記録媒体を前記画像形成部から送り出す送出部である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記変更部は、第1載置領域と第2載置領域とが重複しないように前記記録媒体を送り出し、
前記第1載置領域は、前記変更部によって前回送り出された前記記録媒体が載置される前記搬送部の搬送面の一部領域を示し、
前記第2載置領域は、前記変更部によって今回送り出された前記記録媒体が載置される前記搬送部の搬送面の一部領域を示す、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送部の搬送面の温度を検出する検出部をさらに備え、
前記変更部は、前記第1載置領域の温度と前記第1載置領域以外の領域である第3載置領域の温度とが第1閾値以上の場合、前記記録媒体を前記第3載置領域に載置し、
前記第1閾値は、前記記録媒体に形状変化が生じるか否かを判定する温度である、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記変更部は、前記第1載置領域の温度と前記第3載置領域の温度とが第2閾値を越える場合、前記供給部による前記記録媒体の送り出しを停止し、
前記第2閾値は、前記第1閾値よりも高い温度である、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記変更部は、前記記録媒体を前記画像形成部から受け入れる前記搬送部である、請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置及び同装置が備える乾燥装置は、インクジェットヘッドと、搬送システムと、乾燥装置とを備える。インクジェットヘッドは、記録媒体に対して記録液を画像信号に応じて吐出する。搬送システムは、記録媒体を搬送する。乾燥装置は、インクジェットヘッドよりも搬送方向の下流側に配置され、記録媒体上に画像を形成している記録液から溶媒成分を加熱によって乾燥除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置及び同装置が備える乾燥装置では、記録媒体が搬送ベルトに載置された状態で乾燥装置に搬送される。搬送ベルトに対して記録媒体の送出タイミングが一定の場合、前回送り出された記録媒体が載置される搬送ベルトの載置領域(以下、第1載置領域と記載する)と、今回送り出された記録媒体が載置される搬送ベルトの載置領域(以下、第2載置領域と記載する)とが重複する虞がある。第1載置領域と第2載置領域とが重複する場合、第1載置領域と第1載置領域以外の領域との間に温度差が生じる。従って、記録媒体が第1載置領域と第1載置領域以外の領域とに亙って配置されると、記録媒体にカールが発生する虞がある。
【0005】
本開示の一局面は、上記課題に鑑み、カールの発生を抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面によれば、画像形成装置は、画像形成部と、搬送部と、加熱部と、変更部とを備える。前記画像形成部は、記録媒体に画像を形成する。前記搬送部は、前記画像が形成された前記記録媒体を搬送する。前記加熱部は、前記搬送部により搬送される前記記録媒体を加熱する。前記変更部は、前記搬送部に載置される前記記録媒体を送り出すタイミングを変更する。前記変更部は、前回の前記記録媒体が前記搬送部に載置される第1周期と今回の前記記録媒体が前記搬送部に載置される第2周期とを異ならせる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、例えば、カールの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態における画像形成装置の構成を示す図である。
【
図3】制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1モードにおける印刷用紙の送り出しを示す図である。
【
図5】第2モードにおける印刷用紙の送り出しを示す図である。
【
図6】第3モードにおける印刷用紙の送り出しを示す図である。
【
図7】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】変形例に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当する部分については同一の参照符号を附して説明を共通に参酌する。
【0010】
図1を参照して、画像形成装置100の構成を説明する。
図1は、本開示の一実施形態における画像形成装置100の構成を示す図である。
【0011】
画像形成装置100は、両面印刷可能なモノクロプリンター及びカラープリンター等、水性インクを用いて印刷用紙Pに画像形成を行うインクジェット記録装置である。また、印刷用紙Pは、例えば、普通紙、コピー紙、再生紙、薄紙、厚紙、又は光沢紙の何れの種類であってもよい。印刷用紙Pは、例えば、「記録媒体」の一例である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部11と、第2搬送部13と、加熱部14と、送出部15と、入力部16と、手差しトレイ21と、排出トレイ22と、制御部30とを備える。
【0013】
本実施形態では、画像形成装置100において、印刷用紙Pの供給部に相当する手差しトレイ21から排出部に相当する排出トレイ22に向かう搬送方向を前方X1とし、その反対側を後方X2と規定する。画像形成装置100を前方X1から視たときの左側を左方Y1とし、その反対側を右方Y2と規定する。また、画像形成装置100の前後方向X及び左右方向Yと直交する上下方向Zにおいて、画像形成装置100の天面が配置される側を上方Z1とし、その反対側を下方Z2と規定する。なお、これらの向きは、本発明の画像形成装置100の使用時の向きを限定するものではない。
【0014】
画像形成部11は、印刷用紙Pに画像を形成する。
図1に示すように、画像形成部11は、第1搬送部12と、記録ヘッド111と、用紙センサー112とを有する。
【0015】
第1搬送部12は、印刷用紙Pを画像形成部11に搬入し、印刷用紙Pを画像形成部11から搬出する。第1搬送部12は、手差しトレイ21又は給紙カセット23から供給された印刷用紙Pを、吸着しながら用紙搬送方向(後方X2側から前方X1側へ向かう方向)に沿って搬送する。詳しくは、第1搬送部12は、第1駆動ローラー121と、第1従動ローラー122と、無端状の第1搬送ベルト123と、吸引ユニット124とを有する。
【0016】
供給部17は、印刷用紙Pを第1搬送ベルト123に供給する。供給部17は、第1搬送ベルト123の後方X2側端部に近接した位置に配置される。供給部17は、例えば、上下方向Zに配置された排出ローラー対である。供給部17は、給紙カセット23から搬送路により搬送された印刷用紙Pの前方X1側端部を挟み込む。供給部17は、挟み込まれた印刷用紙Pを前方X1に移動させて、第1搬送ベルト123の後方X2側端部に載置する。供給部17は、第1搬送ベルト123に載置される印刷用紙Pを送り出すタイミングを変更する。
【0017】
第1搬送ベルト123は、第1駆動ローラー121と第1従動ローラー122とにより回転自在に張設される。第1搬送ベルト123には、多数の吸引孔(図示略)が形成される。第1搬送ベルト123の内側(第1搬送ベルト123の搬送面123Aの裏側)には、吸引ユニット124が設けられる。第1駆動ローラー121と第1従動ローラー122とが回転することで、第1搬送ベルト123が回転する。また、吸引ユニット124が負圧を発生させることで、印刷用紙Pが第1搬送ベルト123の搬送面123Aに吸着される。このようにして、第1搬送ベルト123の搬送面123Aに吸着された印刷用紙Pが用紙搬送方向に沿って搬送される。第1搬送ベルト123は、印刷用紙Pを一定速度で前方X1に搬送する。
【0018】
用紙センサー112は、印刷用紙Pを検知する。具体的には、用紙センサー112は、第1搬送ベルト123の搬送面123Aに吸着された印刷用紙Pを検知する。用紙センサー112は、例えば、透過型センサーであり、第1搬送ベルト123の搬送面123Aよりも上方Z1側に設けられる。用紙センサー112は、搬送面123A上における印刷用紙Pの有無を示す検知信号を出力する。
【0019】
記録ヘッド111は、第1搬送部12よりも上方Z1側に設けられる。記録ヘッド111は、用紙センサー112が印刷用紙Pを検知すると、画像データと印刷条件とに基づいて水性インクを印刷用紙Pの一面へ吐出する。具体的には、記録ヘッド111は、画像データと印刷条件とに基づいて、水性インクを、第1搬送ベルト123の搬送面123Aに吸着されている印刷用紙Pの一面へ吐出する。印刷条件は、ユーザーが入力部16を介して設定する。ユーザーは、入力部16を介して複数の印刷条件の内から特定の印刷条件を選択可能である。
【0020】
記録ヘッド111には、例えば、複数のノズルが形成されている。ノズルは、各々、記録ヘッド111の下面において開口し、印刷用紙Pの一面へ水性インクを吐出する。水性インクは、画像形成装置100が有するタンク(図示略)に収容され、必要なときにタンクから記録ヘッド111へ供給される。
【0021】
第2搬送部13は、画像が形成された印刷用紙Pを搬送する。具体的には、第2搬送部13は、第1搬送部12から搬送された印刷用紙Pを、吸着しながら用紙搬送方向(後方X2側から前方X1側へ向かう方向)に沿って搬送する。第2搬送部13は、第1搬送部12と同様に構成され、第1搬送部12と同様に機能する。第2搬送部13は、例えば、「搬送部」の一例である。
【0022】
図1に示すように、第2搬送部13は、第2駆動ローラー131と、第2従動ローラー132と、無端状の第2搬送ベルト133と、吸引ユニット(図示略)とを有する。第2駆動ローラー131と第2従動ローラー132とが回転することで、第2搬送ベルト133が回転する。印刷用紙Pは、第1搬送ベルト123によって前方X1に搬送され、第1搬送ベルト123の前方X1側端部から第2搬送ベルト133の後方X2側端部に受け渡される。また、吸引ユニットが負圧を発生させることで、印刷用紙Pが第2搬送ベルト133の搬送面133Aに吸着される。このようにして、第2搬送ベルト133の搬送面133Aに吸着された印刷用紙Pが用紙搬送方向に沿って搬送される。第2搬送ベルト133は、印刷用紙Pを第1搬送ベルト123と同じ速度で前方X1に搬送する。
【0023】
印刷用紙Pへ吐出された水性インクは、印刷用紙Pが第2搬送部13を通過する間に、乾燥する。第2搬送部13を通過した印刷用紙Pは、排出トレイ22へ排出される、又は用紙反転部24へ搬送される。
【0024】
用紙反転部24は、両面印刷を行う場合、水性インクが片面のみへ吐出された印刷用紙Pの表裏を反転させる。具体的には、用紙反転部24が印刷用紙Pの用紙搬送方向を反転させることで、印刷用紙Pの表裏が反転する。用紙反転部24が表裏を反転させた印刷用紙Pは、第1搬送部12へ搬送される。
【0025】
供給部17は、第1搬送ベルト123に載置される印刷用紙Pを送り出すタイミングを変更する。第1搬送ベルト123と第2搬送ベルト133とは同じ搬送速度であるため、供給部17は、第1搬送部12を介して第2搬送部13(第2搬送ベルト133)に載置される印刷用紙Pを送り出すタイミングを変更する。つまり、第2搬送ベルト133が1回転するときの前回の印刷用紙Pが第2搬送ベルト133に載置される周期を第1周期T1とし、第2搬送ベルト133が1回転するときの今回の印刷用紙Pが第2搬送ベルト133に載置される周期を第2周期T2とする場合、供給部17は、第1周期T1と第2周期T2とを異ならせる。供給部17は、例えば、「変更部」の一例である。なお、供給部17が印刷用紙Pを前方X1に押し出し、押し出された印刷用紙Pを第1搬送ベルト123が載置した状態で引き込むように構成しても良い。第1搬送ベルト123は、第2搬送ベルト133に載置される印刷用紙Pを送り出すタイミングを変更する。この場合、第1搬送部12が「変更部」に相当する。また、以下、印刷用紙Pが第2搬送ベルト133に載置される周期を総称する場合、周期Tと記載する。
【0026】
次に、
図2を参照して、加熱部14の構成を説明する。
図2は、加熱部14の構成の一例を示す断面図である。
【0027】
加熱部14は、第2搬送部13により搬送される印刷用紙Pを加熱する。従って、前回送り出された印刷用紙Pが載置される第2搬送部13の搬送面133Aの載置領域(以下、第1載置領域A1と記載する)と、今回送り出された印刷用紙Pが載置される第2搬送部13の搬送面133Aの載置領域(以下、第2載置領域A2と記載する)とが異なる。つまり、第2搬送部13において、印刷用紙Pによって被覆される領域を変化させているため、搬送面133Aの部位毎に発生する温度差を抑制できる。よって、搬送面133Aに載置される印刷用紙Pにおいて、印刷用紙Pの部位毎に発生する温度差を抑制できる。その結果、カールの発生を抑制できる。
【0028】
しかも、供給部17は、印刷用紙Pを画像形成部11に供給する。従って、画像形成部11における第1搬送ベルト123の搬送速度と加熱部14における第2搬送ベルト133の搬送速度とが同じ速度であっても、第1載置領域A1と第2載置領域A2とを異ならせることができる。
【0029】
図2に示すように、加熱部14は、例えば、複数の加熱ユニット14Aを有する。
図1に示すように、加熱部14は、第2搬送部13の上方Z1に配置される。
図2に示すように、複数の加熱ユニット14Aは、左右方向Yに配列される。加熱ユニット14Aは、ヒーター141と、フィン142と、ファン143と、ハウジング144とを有する。
【0030】
ハウジング144は、温風吹出口を有する筒状の部材である。ハウジング144は、ヒーター141と、フィン142と、ファン143とを収容する。ヒーター141は、例えば、セラミックヒーターである。ヒーター141は、ファン143の下方Z2に配置される。フィン142は、ヒーター141の周囲に設けられる。ファン143から送風される気流がヒーター141の周囲を通過することで加熱されて、温風を発生する。
【0031】
図1に示すように、加熱部14は、さらに、温度センサー145を有する。温度センサー145は、第2搬送部13の搬送面133Aの温度を検出する。温度センサー145は、搬送面133Aの表面を分割した領域毎に搬送面133Aの表面温度を検出する。は、例えば、加熱ユニット14Aと第2搬送部13との間に配置される。温度センサー145は、例えば、「検出部」に相当する。
【0032】
次に、
図3から
図6を参照して、画像形成装置100の制御系を説明する。
図3は、制御部30の構成の一例を示すブロック図である。
図4は、第1モードにおける印刷用紙Pの送り出しを示す図である。
図5は、第2モードにおける印刷用紙Pの送り出しを示す図である。
図6は、第3モードにおける印刷用紙Pの送り出しを示す図である。
【0033】
図3に示すように、制御部30は、記憶部31と、入力部16と、用紙センサー112と、温度センサー145と、画像形成部11と、第1搬送部12と、第2搬送部13と、加熱部14とをインターフェイス(図示略)を介して通信可能に接続される。
【0034】
記憶部31は、不揮発性メモリーで構成されている。例えば、記憶部31は、ハードディスクであることが好ましい。記憶部31には、例えば、印刷用の画像データと、各種制御に係る制御プログラムと、制御プログラムで使用されるデータとが、格納されていることが好ましい。制御プログラムとしては、例えば、印刷用紙Pへの画像形成を制御するプログラム(以下、「画像形成制御プログラム」と記載する)、画像形成部11から第2搬送部13に印刷用紙Pを送り出すタイミングを制御するプログラム(以下、「送出制御プログラム」と記載する)を挙げることができる。
【0035】
画像形成制御プログラムは、印刷用紙Pへの画像形成を実行するためのプログラムを意味する。画像形成制御プログラムで使用されるデータとしては、例えば、印字領域への水性インクの吐出量を挙げることができる。
【0036】
送出制御プログラムは、第2搬送部13の搬送面133Aにおける印刷用紙Pの配置位置を決定するためのプログラムを意味する。印刷用紙Pの配置位置は、搬送面133Aにおける前後方向Xの位置である。送出制御プログラムで使用されるデータとしては、例えば、搬送面133Aの表面温度を挙げることができる。
【0037】
入力部16は、ユーザーが入力する信号を受信する。入力部16は、各種の情報を表示する表示機能をさらに有する。
【0038】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサー、不揮発性メモリー(ROM:Read Only Memory)及び揮発性メモリー(RAM:Random Access Memory)によって構成される。また、制御部30は、画像形成処理用の集積回路を備える。画像形成処理用の集積回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成される。ROMには、各種の演算処理をCPUに実行させるための制御プログラムが、予め格納される。画像形成制御プログラム及び送出制御プログラムは、記憶部31ではなくROMに格納されていてもよい。RAMはCPUが実行する各種の演算処理を一時的に記憶する。制御部30は、制御プログラム(記憶部31又はROMに予め格納されている制御プログラム)を実行することで、画像形成装置100の動作を制御する。
【0039】
制御部30は、印刷用紙Pに対する画像形成を制御する。具体的には、制御部30は、少なくとも第1搬送部12と画像形成部11とを制御する。また、制御部30は、印刷用紙Pへの画像形成の要求時において、印刷用紙Pへの画像形成を制御するために使用される各種のパラメーターを初期化することが好ましい。ユーザーが入力部16を操作することで、印刷用紙Pへの画像形成が要求されてもよい。ユーザーが外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)を操作することで、印刷用紙Pへの画像形成が要求されてもよい。
【0040】
制御部30は、印刷用紙Pの第2搬送部13に対する送り出し周期Tを制御する。換言すれば、制御部30は、搬送面133Aに対する印刷用紙Pの載置位置を制御する。制御部30は、例えば、第1モードと、第2モードと、第3モードとを実行する。第1モードは、画像形成部11から第2搬送部13に印刷用紙Pを送り出すタイミングが最も速い。第3モードは、画像形成部11から第2搬送部13に印刷用紙Pを送り出すタイミングが最も遅い。第2モードは、第1モードと第3モードとの間の速度に設定される。
【0041】
第1モードを実行する場合、制御部30は、周期Tで印刷用紙Pを画像形成部11から第2搬送部13に送り出すように送出部15を制御する。周期Tは、例えば、隣り合って印刷用紙Pを配置できる最小間隔に対応する。
図4に示すように、前回送り出された印刷用紙Pの第1周期T1と、今回送り出された印刷用紙Pの第2周期T2とが同じであるため、供給部17は、今回の処理であっても、印刷用紙Pを第1搬送部12を介して第1載置領域A1に載置する。つまり、印刷用紙Pのサイズが変更されない場合、第1載置領域A1と第2載置領域A2とが重複する。換言すれば、第2載置領域A2は、第1載置領域A1以外の領域(以下、第3載置領域A3と記載する)を含まない。第1載置領域A1と第2載置領域A2とが完全に重複する場合、第1載置領域A1は常に被覆されて低温になる。また、第3載置領域A3は常に加熱されて高温になる。
【0042】
制御部30は、例えば、第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3との温度差が第1閾値K1未満の場合、第2モードが設定される。第2モードを実行する場合、制御部30は、第2周期T2として周期T+αで印刷用紙Pを第2搬送部13に送り出すように供給部17を制御する。
図5に示すように、前回送り出された印刷用紙Pの第1周期T1である周期Tと、今回送り出された印刷用紙Pの第2周期T2である周期T+αとが異なるため、供給部17は、第1載置領域A1と第2載置領域A2とが重複しないように印刷用紙Pを送り出す。第1載置領域A1は、供給部17によって第1搬送部12を介して前回送り出された印刷用紙Pが載置される第2搬送部13の搬送面133Aの一部領域である。また、第2載置領域A2は、供給部17によって第1搬送部12を介して今回送り出された印刷用紙Pが載置される第2搬送部13の搬送面133Aの一部領域である。従って、第1載置領域A1と第2載置領域A2とが完全には重複しない。つまり、印刷用紙Pにより連続して被覆される領域を減少できる。よって、連続して加熱される領域が減少する。その結果、搬送面133Aに発生する温度差を抑制できる。
【0043】
制御部30は、例えば、第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3との温度H3との温度差が第1閾値K1以上で且つ第2閾値K2以下の場合、第3モードが設定される。第3モードを実行する場合、制御部30は、第3載置領域A3の内に第2載置領域A2を設定する。つまり、制御部30は、印刷用紙Pを第3載置領域A3に送り出すように供給部17を制御する。
図6に示すように、供給部17は、第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3の温度とが第1閾値以上の場合、印刷用紙Pを第1搬送部12を介して第3載置領域A3に載置する。第1閾値K1は、印刷用紙Pに形状変化が生じるか否かを判定する温度である。従って、第2載置領域A2の全体を第3載置領域A3内に配置できる。つまり、第1載置領域A1と第3載置領域A3との温度差が大きい場合であっても、搬送面133Aに載置される印刷用紙Pにおいて、印刷用紙Pの部位毎に発生する温度差を抑制できる。
【0044】
制御部30は、例えば、第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3との温度H3との温度差が第2閾値K2を越える場合、供給部17による印刷用紙Pの送り出しを停止する。第2閾値K2は、第1閾値K1よりも高い温度である。従って、第2搬送部13の搬送面133Aを加熱部14により一様に加熱できる。つまり、第2搬送部13の搬送面133Aに存在する温度差を小さくできる。よって、印刷用紙Pを載置できる配置の自由度を拡大できる。その結果、印刷用紙Pを送り出すタイミングを短くできる。
【0045】
次に、
図7を参照して、制御部30が行う送出処理について説明する。
図7は、制御部30の処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、制御部30の処理は、ステップS1からステップS11を含む。制御部30のプロセッサーがコンピュータープログラムを実行することによって、ステップS1からステップS11が実行される。
【0046】
図7に示すように、ステップS1において、制御部30は、各種情報を読み込む。処理はステップS2に進む。
【0047】
ステップS2において、第2搬送部13が印刷用紙Pを搬送中か否か制御部30が判定する。第2搬送部13が印刷用紙Pを搬送中ではないと制御部30が判定した場合(ステップS2のNo)、処理は終了する。第2搬送部13が印刷用紙Pを搬送中であると制御部30が判定した場合(ステップS2のYes)、処理はステップS3に進む。
【0048】
ステップS3において、第1モードが設定されているか否か制御部30が判定する。第1モードが設定されていないと制御部30が判定した場合(ステップS3のNo)、処理はステップS5に進む。第1モードが設定されていると制御部30が判定した場合(ステップS3のYes)、処理はステップS4に進む。
【0049】
ステップS4において、制御部30は、印刷用紙Pを第1搬送部12に対して周期Tで送り出すように供給部17を制御する。処理は終了する。
【0050】
ステップS3でNoの場合、ステップS5において、第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3との温度H3との温度差が第1閾値K1未満か否か制御部30が判定する。第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3との温度H3との温度差が第1閾値K1以上であると制御部30が判定した場合(ステップS5のNo)、処理はステップS8に進む。第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3との温度H3との温度差が第1閾値K1未満であると制御部30が判定した場合(ステップS5のYes)、処理はステップS6に進む。
【0051】
ステップS6において、制御部30は、第2モードを設定する。処理はステップS7に進む。
【0052】
ステップS7において、制御部30は、印刷用紙Pを第2搬送部13に対して周期T+αで送り出すように供給部17を制御する。処理は終了する。
【0053】
ステップS5でNoの場合、ステップS8において、第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3との温度H3との温度差が第2閾値K2よりも大きいか否か制御部30が判定する。第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3との温度H3との温度差が第2閾値K2以下であると制御部30が判定した場合(ステップS8のNo)、処理はステップS10に進む。第1載置領域A1の温度H1と第3載置領域A3との温度H3との温度差が第2閾値K2よりも大きいと制御部30が判定した場合(ステップS8のYes)、処理はステップS9に進む。
【0054】
ステップS9において、制御部30は、供給部17による印刷用紙Pの送り出しを停止する。処理は終了する。
【0055】
ステップS8でNoの場合、ステップS10において、制御部30は、第3モードを設定する。処理はステップS11に進む。
【0056】
ステップS11において、制御部30は、第1載置領域A1を含まない第2載置領域A2を設定する。制御部30は、第3載置領域A3の内に第2載置領域A2を設定した後、印刷用紙Pを送り出す。処理は終了する。
【0057】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0058】
(1)
図1~
図7を参照して説明したように、本実施形態では、変更部が供給部17であったが、本発明はこれに限定されない。供給部17が印刷用紙Pを前方X1に押し出し、押し出された印刷用紙Pを第1搬送ベルト123が載置した状態で引き込むようにしても良い。この場合、第1搬送部12が「変更部」に相当する。
【0059】
また、
図8に示すように、第1搬送部12と第2搬送部13との間に送出部15を設けても良い。送出部15は、印刷用紙Pを画像形成部11から第2搬送ベルト133に送り出す。送出部15は、例えば、「変更部」に相当する。送出部15は、第2搬送ベルト133の後方X2側端部に近接した位置に配置される。送出部15は、例えば、上下方向Zに配置された排出ローラー対である。送出部15は、第1搬送ベルト123により搬送された印刷用紙Pの前方X1側端部を挟み込む。送出部15は、挟み込まれた印刷用紙Pを前方X1に移動させて、第2搬送ベルト133の後方X2側端部に載置する。送出部15は、第2搬送ベルト133に載置される印刷用紙Pを送り出すタイミングを変更する。加熱部14における搬送速度を変更することなく、第1載置領域A1と第2載置領域A2とを異ならせることができる。
【0060】
(2)
図1~
図7を参照して説明したように、本実施形態では、第2モードにおいて、印刷用紙Pを第2搬送部13に送り出す周期を周期Tから周期T+αに変更したが、本発明はこれに限定されない。第1載置領域A1と第2載置領域A2とが完全に重複しなければよく、印刷用紙Pを第2搬送部13に送り出す周期を周期Tから周期T-αに変更しても良い。また、印刷用紙Pの送り出しタイミングで、毎回周期を変更しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
11 :画像形成部
13 :第2搬送部
14 :加熱部
15 :送出部
17 :供給部
100 :画像形成装置
133A :搬送面
A1 :第1載置領域
A2 :第2載置領域
A3 :第3載置領域
H1 :温度
H3 :温度
K1 :第1閾値
K2 :第2閾値
P :印刷用紙
T1 :第1周期
T2 :第2周期