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特開2024-172047設計システム、設計プログラムおよび設計方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172047
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】設計システム、設計プログラムおよび設計方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20241205BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20241205BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241205BHJP
   G06F 111/04 20200101ALN20241205BHJP
   G06F 111/20 20200101ALN20241205BHJP
   G06F 119/20 20200101ALN20241205BHJP
【FI】
G06F30/10 200
G06F30/20
G05B19/418 Z
G06F111:04
G06F111:20
G06F119:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089472
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛
(72)【発明者】
【氏名】杉原 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】森 健一郎
【テーマコード(参考)】
3C100
5B146
【Fターム(参考)】
3C100AA05
3C100AA42
3C100BB06
3C100BB13
5B146AA15
5B146DC05
5B146DJ11
5B146DL02
(57)【要約】
【課題】設備を構成する装置をライブラリ化した設計資産を利用して、より効率的に、制御システム構成を生成できるシステムなどを提供する。
【解決手段】1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成を生成するための設計システムが提供される。設計システムは、設備の設備設計情報を取得する処理と、設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、特定の装置を構築するための設計資産を設計資産ライブラリから取得する処理と、設備設計情報と設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成する処理と、システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、生成された制御システム構成を検証する処理とを実行するように構成されている。設計資産は、システム構成ルールを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成を生成するための設計システムであって、
前記設備の設備設計情報を取得する処理と、
前記設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、特定の装置を構築するための設計資産を設計資産ライブラリから取得する処理とを実行するように構成されており、
前記設計資産は、システム構成ルールを含み、
前記設計システムはさらに
前記設備設計情報と前記設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成する処理と、
前記システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、前記生成された制御システム構成を検証する処理とを実行するように構成されている、設計システム。
【請求項2】
前記設計資産は、前記特定の装置に必要な機械要素を定義する機械構成と、前記特定の装置を動作させるために必要な制御機器を定義する制御システム機器構成と、前記特定の装置を動作させるためのソフトウェアを定義する制御ソフトウェア構成とを含む、請求項1に記載の設計システム。
【請求項3】
前記検証する処理は、前記機械構成において定義された機械要素と前記制御システム機器構成において定義された制御機器との関連付け、および、前記制御システム機器構成において定義された制御機器と前記制御ソフトウェア構成において定義されたソフトウェアとの関連付けのうち、少なくとも一方を検証する処理を含む、請求項2に記載の設計システム。
【請求項4】
ユーザ操作に応じて、前記設計資産に含まれるシステム構成ルールのうち、選択されたルールを前記検証ルールに追加する処理をさらに実行するように構成されている、請求項2に記載の設計システム。
【請求項5】
前記検証する処理は、前記生成された制御システム構成において、前記制御システム機器構成において定義されたコントローラに割り当てられたタスクが前記制御ソフトウェア構成において定義されたタスクと合致するか否かを判断する処理を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の設計システム。
【請求項6】
前記検証する処理は、前記生成された制御システム構成において、前記制御システム機器構成において定義されたコントローラのプロセスデータオブジェクトの内容がマッピングルールに適合するか否かを判断する処理を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の設計システム。
【請求項7】
前記検証する処理は、前記生成された制御システム構成において、前記制御システム機器構成において定義されたコントローラのプロセスデータオブジェクトにマッピングされた機械要素が機械要素定義に適合するか否かを判断する処理を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の設計システム。
【請求項8】
前記検証する処理は、前記生成された制御システム構成において、前記制御システム機器構成において定義されたコントローラの下位に接続された他の制御機器が接続形態ルールに適合するか否かを判断する処理を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の設計システム。
【請求項9】
1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成を生成するための設計プログラムであって、前記設計プログラムはコンピュータに、
前記設備の設備設計情報を取得するステップと、
前記設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、特定の装置を構築するための設計資産を設計資産ライブラリから取得するステップとを実行させ、
前記設計資産は、システム構成ルールを含み、
前記設計プログラムは前記コンピュータにさらに
前記設備設計情報と前記設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成するステップと、
前記システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、前記生成された制御システム構成を検証するステップとを実行させる、設計プログラム。
【請求項10】
1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成を生成するためのコンピュータが実行する設計方法であって、
前記設備の設備設計情報を取得するステップと、
前記設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、特定の装置を構築するための設計資産を設計資産ライブラリから取得するステップとを備え、
前記設計資産は、システム構成ルールを含み、
前記設計方法はさらに
前記設備設計情報と前記設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成するステップと、
前記システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、前記生成された制御システム構成を検証するステップとを備える、設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計システム、設計プログラムおよび設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な装置を含む設備の設計は、構想設計および基本設計を経て、具体的な仕様などを決定する必要がある。近年の自動化設備においては、装置の一例としてロボットが利用されることが多い。例えば、特開2015-033744号公報(特許文献1)は、ロボットが担う作業内容を示す作業プログラムを容易に作成することができるロボット制御装置などを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-033744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特定の用途に用いられるロボットは、様々な設備において共通的に利用できる可能性がある。
【0005】
本発明のある局面は、特定の装置を構築するための設計資産を利用して、より効率的に、制御システム構成を生成できるシステムなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従えば、1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成を生成するための設計システムが提供される。設計システムは、設備の設備設計情報を取得する処理と、設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、特定の装置を構築するための設計資産を設計資産ライブラリから取得する処理とを実行するように構成されている。設計資産は、システム構成ルールを含む。設計システムはさらに、設備設計情報と設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成する処理と、システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、生成された制御システム構成を検証する処理とを実行するように構成されている。
【0007】
この構成によれば、特定の装置を構築するための設計資産を利用して、設備設計情報から制御システム構成を生成できる。また、設計資産に含まれるシステム構成ルールの少なくとも一部に基づいて、生成された制御システム構成を検証できる。これによって、設計資産を利用して、より効率的に、制御システム構成を生成できる。
【0008】
設計資産は、特定の装置に必要な機械要素を定義する機械構成と、特定の装置を動作させるために必要な制御機器を定義する制御システム機器構成と、特定の装置を動作させるためのソフトウェアを定義する制御ソフトウェア構成とを含んでいてもよい。
【0009】
この構成によれば、機械構成と、制御システム機器構成と、制御ソフトウェア構成とを含むライブラリ化された設計資産を利用して、より効率的に、制御システム構成を生成できる。
【0010】
検証する処理は、機械構成において定義された機械要素と制御システム機器構成において定義された制御機器との関連付け、および、制御システム機器構成において定義された制御機器と制御ソフトウェア構成において定義されたソフトウェアとの関連付けのうち、少なくとも一方を検証する処理を含んでいてもよい。この構成によれば、機械構成において定義された機械要素が制御機器と適切に関連付けられること、および、制御システム機器構成において定義された制御機器がソフトウェアと適切に関連付けられることを保証できる。
【0011】
ユーザ操作に応じて、設計資産に含まれるシステム構成ルールのうち、選択されたルールを検証ルールに追加する処理をさらに実行するように構成されていてもよい。この構成によれば、設計資産に含まれるシステム構成ルールのうち、例えば、対象の設備に応じて選択されたルールのみを検証ルールに含めることができるので、不要な検証処理を防止できる。
【0012】
検証する処理は、生成された制御システム構成において、制御システム機器構成において定義されたコントローラに割り当てられたタスクが制御ソフトウェア構成において定義されたタスクと合致するか否かを判断する処理を含んでいてもよい。この構成によれば、生成された制御ソフトウェア構成において定義されたタスクが制御システム機器構成において定義されたタスクと合致することを保証できる。
【0013】
検証する処理は、生成された制御システム構成において、制御システム機器構成において定義されたコントローラのプロセスデータオブジェクトの内容がマッピングルールに適合するか否かを判断する処理を含んでいてもよい。この構成によれば、制御システム機器構成において定義されたコントローラのプロセスデータオブジェクトの内容が制御システム機器構成において定義されたマッピングルールに適合することを保証できる。
【0014】
検証する処理は、生成された制御システム構成において、制御システム機器構成において定義されたコントローラのプロセスデータオブジェクトにマッピングされた機械要素が機械要素定義に適合するか否かを判断する処理を含んでいてもよい。この構成によれば、制御システム機器構成において定義されたコントローラのプロセスデータオブジェクトにマッピングされた機械要素が機械要素定義に適合することを保証できる。
【0015】
検証する処理は、生成された制御システム構成において、制御システム機器構成において定義されたコントローラの下位に接続された他の制御機器が接続形態ルールに適合するか否かを判断する処理を含んでいてもよい。この構成によれば、生成された制御システム構成において、コントローラの下位に接続された他の制御機器の接続形態が予め定められたルールに適合していることを保証できる。
【0016】
別の実施の形態に従えば、1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成を生成するための設計プログラムが提供される。設計プログラムはコンピュータに、設備の設備設計情報を取得するステップと、設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、特定の装置を構築するための設計資産を設計資産ライブラリから取得するステップとを実行させる。設計資産は、システム構成ルールを含み。設計プログラムはコンピュータにさらに、設備設計情報と設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成するステップと、システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、生成された制御システム構成を検証するステップとを実行させる。
【0017】
さらに別の実施の形態に従えば、1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成を生成するためのコンピュータが実行する設計方法が提供される。設計方法は、1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成を生成するためのコンピュータが実行する設計方法であって、設備の設備設計情報を取得するステップと、設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、特定の装置を構築するための設計資産を設計資産ライブラリから取得するステップとを含む。設計資産は、システム構成ルールを含む。設計方法はさらに、設備設計情報と設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成するステップと、システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、生成された制御システム構成を検証するステップとを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定の装置を構築するための設計資産を利用して、より効率的に、制御システム構成を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に従う設計システムを用いた設計手順の一例を示す模式図である。
図2】本実施の形態に従う設計システムのハードウェア構成例を示す模式図である。
図3】本実施の形態に従う情報処理装置のハードウェア構成例を示す模式図である。
図4】本実施の形態に従う設計システムを用いた設計資産の作成例を示す模式図である。
図5】本実施の形態に従う設計システムにおいて作成される設備設計情報の一例を示す模式図である。
図6】本実施の形態に従う設計システムにおいて利用される設計資産の構成例を示す模式図である。
図7図6に示す設計資産の作業能力定義の一例を示す模式図である。
図8】本実施の形態に従う設計システムにおいて作成される制御システム構成の構成例を示す模式図である。
図9】本実施の形態に従う設計システムにおいて用いられるシステム構成ルールの構成例を示す模式図である。
図10】本実施の形態に従う設計システムにおいて用いられるシステム構成ルールのスキーマ構造の一例を示す模式図である。
図11】本実施の形態に従う設計システムを用いた制御システム構成の作成方法の一例を示すフローチャートである。
図12】本実施の形態に従う情報処理装置が提供するユーザインターフェイス画面の一例を示す模式図である。
図13】本実施の形態に従う情報処理装置が提供するユーザインターフェイス画面の別の一例を示す模式図である。
図14】本実施の形態に従う情報処理装置が提供する検証ルールの設定に関するユーザインターフェイス画面の一例を示す模式図である。
図15】本実施の形態に従う情報処理装置が提供する検証ルールの設定に関するユーザインターフェイス画面の別の一例を示す模式図である。
図16】本実施の形態に従う情報処理装置による検証処理の一例を示すフローチャートである。
図17】本実施の形態に従う情報処理装置が提供する検証結果の出力に関するユーザインターフェイス画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本技術の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
<A.設計手順>
まず、本実施の形態に従う設計システム1を用いた設計手順の一例について説明する。
【0022】
設計システム1は、設備を設計するための環境を提供する。以下では、主として、自動化設備を設計するためのシステムおよび処理について説明するが、本実施の形態に従う設計システム1は、自動化設備だけではなく、任意の設備の設計に用いることができる。設計システム1においては、1または複数の設計資産が適用可能である。
【0023】
図1は、本実施の形態に従う設計システム1を用いた設計手順の一例を示す模式図である。図1には、主として、設備の構想設計および基本設計における処理手順が示される。設備の構想設計および基本設計は、設備の物理的な構成および動作を検討するための設計工程である。設備の構想設計および基本設計においては、設計情報であるBOE12が作成される。BOE12は、設備設計情報リポジトリ10に格納される。
【0024】
設備の構想設計および基本設計の前段階において、生産される製品の設計(製品設計)、および、設計された製品を生産するための工程の設計(工程設計)が実行されている。設備設計者は、先に設計されている工程を実現できるように、設備構想シミュレータ2を用いて、設備に含めるべき装置を示す装置レイアウト、および、関連する設計情報を決定する(ステップS1)。BOE12は、決定された装置レイアウトおよび設計情報を含む。
【0025】
設備設計者に加えて、機械設備設計者、電気設備設計者および製造工程設計者がBOE12を構築してもよい。
【0026】
例えば、機械設備設計者は、機械設備CAD(Computer Aided Design)ツール4を用いて、機械設備に関する設計情報をBOE12に追加する(ステップS2)。電気設備設計者は、電気設備CAD(Computer Aided Design)ツール6を用いて、電気設備に関する設計情報をBOE12に追加する(ステップS3)。製造工程設計者は、製造工程計画ツール8を用いて、製造工程に関する情報をBOE12に追加する(ステップS4)。
【0027】
BOE12を作成するにあたって、設備設計者(または、他の設計者)は、設計資産ライブラリ14に登録されている1または複数の設計資産20を採用するか否かについても決定する(ステップS5)。
【0028】
設計資産20は、特定の装置を構築するための情報を含む。設計資産20は、事前設計されたパッケージ化された装置の情報を含む。設計資産20は、特定の装置を構築するためのものであり、用途別に作成されてもよい。特定の装置は、例えば、特定の用途に用いられるロボットを含んでいてもよい。
【0029】
設計資産20は、一例として、機械構成24と、制御システム機器構成26と、制御ソフトウェア構成28とを含む。機械構成24は、特定の装置に必要な機械要素を定義する。制御システム機器構成26は、特定の装置を動作させるために必要な制御機器を定義する。制御機器は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)などのコントローラ、IO(Input/Output)ユニット、および、通信ユニットを含む。制御ソフトウェア構成28は、特定の装置を動作させるためのソフトウェアを定義する。設計資産20は、設計資産20の適用範囲および制約などを記述した設計資産マニフェスト22をさらに含む。
【0030】
図1には、設計資産ライブラリ14には、嵌合挿入ロボットを定義する設計資産20Aと、ねじ締結ロボットを定義する設計資産20Bとが登録されている例を示す。設計資産ライブラリ14への設計資産20の登録は、設計資産管理者によって管理されていてもよい。
【0031】
嵌合挿入ロボットは、第1の部品を第2の部品に形成されている開口に嵌合させて挿入するためのロボットである。ねじ締結ロボットは、部品に形成されているねじ穴にねじを移動させて、当該ねじを当該ねじ穴に締結するためのロボットである。
【0032】
以上のような処理手順によって、BOE12が作成される。続いて、作成されたBOE12に従って、設備を実際に構築するために必要な粒度で定義された設計情報である制御システム構成(制御システムコンフィグレーション)60が作成される。制御システム構成60は、1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である。
【0033】
具体的には、制御システムの設計者は、制御システム開発環境50において、BOE12を取り込んで、制御システムを設計する(ステップS6)。このとき、制御システムの設計者は、BOE12に記述された設計資産20をインポートする(ステップS7)。作成される制御システム構成60は、制御機器および制御コンポーネント(例えば、IOユニットおよび通信ユニットなど)を定義する制御システム機器構成、ならびに、制御機器で実行されるソフトウェアを定義する制御ソフトウェア構成などを含む。
【0034】
本実施の形態に従う設計システム1において、設計資産20の各々は、制御システム機器構成26および制御ソフトウェア構成28に加えて、システム構成ルール70を含んでいる。システム構成ルール70は、設計資産マニフェスト22に含まれていてもよい。そのため、制御システム開発環境50においては、システム構成ルール70に従って、設計資産20の制御システム機器構成26および制御ソフトウェア構成28を利用しつつ、効率的に制御システム構成60を作成できる。また、制御システム開発環境50は、設計資産20のシステム構成ルール70に基づいて、作成された制御システム構成60を検証することもできる。さらに、制御システム開発環境50は、制御システム構成60の検証結果に基づいて、修正などを提案することもできる。システム構成ルール70の詳細については、後述する。
【0035】
<B.設計システム1のハードウェア構成例>
次に、本実施の形態に従う設計システム1のハードウェア構成例について説明する。
【0036】
図2は、本実施の形態に従う設計システム1のハードウェア構成例を示す模式図である。図2を参照して、設計システム1は、一例として、情報処理装置100と、設備設計サーバ300と、設計資産サーバ400とを含む。
【0037】
情報処理装置100は、制御システム開発環境50を提供する。設備設計サーバ300は、設備設計情報であるBOE12を格納している。設計資産サーバ400は、設計資産ライブラリ14を有している。
【0038】
なお、設備設計サーバ300および設計資産サーバ400の少なくとも一部の機能は、情報処理装置100に実装されてもよい。
【0039】
図3は、本実施の形態に従う情報処理装置100のハードウェア構成例を示す模式図である。図3を参照して、情報処理装置100は、コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサ102と、メインメモリ104と、入力部106と、表示部108と、USB(Universal Serial Bus)コントローラ110と、ネットワークコントローラ112と、光学ドライブ114と、ストレージ120とを含む。これらのコンポーネントは、バス118を介して接続される。
【0040】
プロセッサ102は、ストレージ120に格納された各種プログラムを読み出して、メインメモリ104に展開して実行することで、情報処理装置100で必要な処理を実現する。
【0041】
メインメモリ104は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置で構成される。ストレージ120は、例えば、SSD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性記憶装置で構成される。
【0042】
入力部106は、マウス、キーボード、タッチパネルなどで構成され、ユーザからの指示を受け付ける。表示部108は、ディスプレイ、各種インジケータなどで構成され、プロセッサ102からの処理結果などを出力する。
【0043】
USBコントローラ110は、USB接続を介して、任意のデバイスとデータをやり取りする。ネットワークコントローラ112は、任意のネットワークを介して、任意の情報処理装置とデータをやり取りする。
【0044】
光学ドライブ114は、コンピュータ読取可能なプログラムを非一過的に格納する記録媒体116(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体)からプログラムおよびデータを読み取って、ストレージ120などに格納する。
【0045】
情報処理装置100で実行される各種プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体116を介してインストールされてもよいが、ネットワーク上の任意のサーバからダウンロードする形でインストールするようにしてもよい。
【0046】
ストレージ120は、典型的には、プログラムを実行するための環境を実現するOS132と、設計プログラム130とが格納される。なお、ストレージ120には、図3に示すプログラム以外の必要なプログラムが格納されてもよい。
【0047】
設計プログラム130は、制御システム開発環境50を提供するためのコンピュータ読取可能なコードを含む。
【0048】
図3には、1または複数のプロセッサがプログラムを実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、ハードワイヤード回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)など)を用いて実装してもよい。
【0049】
情報処理装置100は、複数のコンピューティングリソースを用いて実現してもよい。
<C.設備の構想設計および基本設計における設計資産20の適用>
次に、設備の構想設計および基本設計における設計資産20の適用例について説明する。
【0050】
図4は、本実施の形態に従う設計システム1を用いた設計資産20の作成例を示す模式図である。図4に示される設備30は、仕掛かりワークと部品とを搭載したパレットを搬送するコンベア31(PalletTransfer)を含む。コンベア31の両側には、パレットに搭載された仕掛かりワークに部品を嵌合させて挿入するためのロボット32(HandlingRobot)と、仕掛かりワークに嵌合された部品をねじ締結するためのロボット33(ScrewingRobot)とが配置されている。
【0051】
ロボット32の設計情報として、設計資産ライブラリ14に登録されている設計資産20A(嵌合挿入ロボット)を適用できる。ロボット33の設計情報として、設計資産20B(ねじ締結ロボット)および設計資産20C(画像検査ロボット)を適用できる。
【0052】
図5は、本実施の形態に従う設計システム1において作成される設備設計情報の一例を示す模式図である。図5には、図4に示すような設計資産を適用した場合の例を示す。
【0053】
図5を参照して、BOE12は、設備30を構成する装置のレイアウト情報に加えて、設計資産20Aが適用された設計情報121と、設計資産20Bおよび設計資産20Cが適用された設計情報122とを含む。
【0054】
設計資産20A,20B,20Cの各々は、付加情報15として、各設計資産を特定するためのユニークな設計資産IDを含む。設計資産20A,20B,20Cの各々は、1または複数の構成要素を含む。付加情報15は、設計資産に含まれる各構成要素が当該設計資産においてどのようなロールを果たすのかを示すロールIDを含む。
【0055】
また、設計資産が適用されたBOE12の設計情報121および設計情報122は、付加情報として、適用された設計資産を示す設計資産IDと、リビジョン情報と、各構成要素が果たすロールを示すロールIDとを含む。リビジョン情報は、設計資産の設計資産マニフェスト22(図1など参照)に格納されている。
【0056】
制御システム開発環境50においては、BOE12に記述されている設計情報に基づいて、制御システム構成60が作成される。
【0057】
<D.設計資産20>
次に、設計資産ライブラリ14に登録される設計資産20の詳細について説明する。
【0058】
図6は、本実施の形態に従う設計システム1において利用される設計資産20の構成例を示す模式図である。図6を参照して、設計資産20は、設計資産マニフェスト22と、機械構成24と、制御システム機器構成26と、制御ソフトウェア構成28とを含む。
【0059】
設計資産マニフェスト22は、各設計資産を特定するための設計資産IDと、リビジョン情報と、作業能力定義と、システム構成ルール70と、マニュアルと、設定ユーティリティとを含む。
【0060】
機械構成24は、装置を構成する構成要素などを定義する。
制御システム機器構成26は、制御機器、IOユニット、および、通信ユニットなどを定義する。制御システム機器構成26の定義は、機械構成24に定義された構成要素に対応する。
【0061】
制御ソフトウェア構成28は、装置を動作させるためのソフトウェアを定義する。制御ソフトウェア構成28は、機械構成24に定義された構成要素、および、制御システム機器構成26に定義された構成要素に対応する。
【0062】
図7は、図6に示す設計資産20の作業能力定義の一例を示す模式図である。図7には、ねじ締結ロボットの作業能力定義の一例を示す。図7を参照して、作業能力定義は、設計資産20に定義されたねじ締結ロボットの能力に関する情報を含む。
【0063】
図7に示す作業能力定義は、例えば、実行可能な作業を特定するためのユニークな作業種IDと、ねじ締結可能なねじの諸元と、ねじ穴の諸元と、締付トルク許容誤差と、ねじ挿入/着座時速度の許容範囲と、ビット押し付け力の許容範囲と、タクトタイム要求値とを含む。
【0064】
設備設計者は、作業能力定義を確認した上で、設計資産20を適用するか否かを決定する。
【0065】
<E.制御システム構成60>
次に、制御システム開発環境50において作成される制御システム構成60について説明する。
【0066】
図8は、本実施の形態に従う設計システム1において作成される制御システム構成60の構成例を示す模式図である。
【0067】
図8を参照して、制御システム構成60は、機械構成24と、制御システム機器構成26と、制御ソフトウェア構成28とを含む。制御システム構成60において、システム構成ルール70に従って、機械構成24の少なくとも一部の構成要素と、制御システム機器構成26の少なくとも一部の構成要素と、制御ソフトウェア構成28の少なくとも一部の構成要素との間は、互いに関連付けられている。
【0068】
すなわち、設計資産20に固有の制御アルゴリズムを実現するためには、機械構成24の機械要素(具体的には、構成要素の位置などを検出するためのセンサ、および、構成要素を駆動するためのアクチュエータなど)と、制御システム機器構成26の電気要素(例えば、制御機器およびフィールドネットワークなど)と、制御ソフトウェア構成28のソフトウェア要素(例えば、制御機器で実行される制御プログラムおよび制御プログラムにおいて参照される変数など)とを適切に相互接続するための設定を行う必要がある。
【0069】
一例として、図8には、以下のような4種類の関連付けの例を示す。
(1)制御機器とタスクとの関連付け61
(2)タスクと制御対象(制御機器)との関連付け62
(3)制御機器のプロセスデータオブジェクトと変数の関連付け63
(4)制御機器のプロセスデータオブジェクトと機械構成(センサおよびアクチュエータなど)との関連付け64
なお、制御機器のプロセスデータオブジェクト(PDO)は、制御機器とセンサおよびアクチュエータとの間で送受信されるデータを管理するためのオブジェクトである。プロセスデータオブジェクトは、フィールドネットワークを周期的に伝送されるデータ構造を示す。
【0070】
また、制御アルゴリズムを実現するためには、接続された一連の制御系列毎に必要な制御周期(例えば、センサ値読み取り、制御演算実行、演算結果のアクチュエータへの反映という一連の制御系列)が制約として規定されている。制御資産が適用された制御システムにおいても当該制約を満たすように設定を行う必要がある。
【0071】
さらに、設計資産20に固有の観点(例えば、安全性、メンテナンス性、異常処理時の対応容易性など)から、構成要素および設定に制約が存在し得る。例えば、電源投入後に制御機器が起動する順序を考慮した上で、フィールドネットワークのトポロジーを決定する必要があるといった制約が挙げられる。
【0072】
<F.システム構成ルール70>
次に、システム構成ルール70の構成例について説明する。
【0073】
図9は、本実施の形態に従う設計システム1において用いられるシステム構成ルール70の構成例を示す模式図である。図9を参照して、システム構成ルール70の各々には、設計資産IDが付与されている。
【0074】
システム構成ルール70は、制御機器の定義71と、PDOマッピングルール72と、接続形態ルール73と、PDOエントリ74と、機械要素定義75と、タスク構成ルール76と、プログラム定義77と、タスク間共有変数定義78と、変数定義79とを含む。
【0075】
制御機器の定義71は、制御機器として登録されている構成要素毎に割り当てられたロールIDを含む。PDOマッピングルール72は、制御機器のプロセスデータオブジェクトの設定ルールを含む。接続形態ルール73は、制御機器の構成要素間の接続形態(トポロジー)についてのルールを含む。
【0076】
PDOエントリ74は、制御機器のプロセスデータオブジェクトの指定を含む。機械要素定義75は、プログラムデータオブジェクトに関連付けられるべき機械要素の指定を含む。タスク構成ルール76は、実行されるべきタスクの指定を含む。プログラム定義77は、タスクにおいて評価されるべきプログラムの指定を含む。タスク間共有変数定義78は、タスクにおいて排他アクセスされるべき共通変数の指定を含む。変数定義79は、プロセスデータオブジェクトにマッピングされるべき変数の指定を含む。
【0077】
図8に示す制御機器とタスクとの関連付け61は、制御機器の定義71とタスク構成ルール76とに基づいて決定される。図8に示すタスクと制御機器との関連付け62は、PDOマッピングルール72とタスク構成ルール76とに基づいて決定される。図8に示す制御機器のプロセスデータオブジェクトと変数の関連付け63は、PDOエントリ74と、変数定義79とに基づいて決定される。図8に示す制御機器のプロセスデータオブジェクトと機械構成との関連付け64は、PDOエントリ74と機械要素定義75とに基づいて決定される。
【0078】
図10は、本実施の形態に従う設計システム1において用いられるシステム構成ルール70のスキーマ構造の一例を示す模式図である。図10を参照して、システム構成ルール70は、設計資産ID毎に定義される。システム構成ルール70は、制御機器の定義71を含む。制御機器の定義71は、必要な制御機器を定義する。各制御機器にはロールIDが付与されている。すなわち、必要な制御機器は、ロールIDにより特定される。
【0079】
タスク構成ルール76は、各タスク構成ルールを特定するためのルールID761と、ルールを厳格に適用すべきか否かを示すフラグ762と、タスク種別763(例えば、定周期タスク、フリーサイクルタスク、イベント駆動タスクなど)とを含む。タスク構成ルール76は、関連付けられる制御機器がPLCなどのコントローラである場合に定義される。
【0080】
タスク構成ルール76は、サイクルタイム764(定周期タスクの場合)、および、タスク処理優先度765を含んでいてもよい。
【0081】
タスク構成ルール76は、タスクが制御する制御機器のリスト766を含む。タスク構成ルール76は、プログラム定義77およびタスク間共有変数定義78を含む。
【0082】
制御機器の定義71は、接続形態ルール73を含む。接続形態ルール73は、子要素として、適用確認済の制御機器のリスト731(制御機器の具体的なベンダおよびモデル名を含む)と、制御機器の下位に接続されるべき制御機器のリスト732(制御機器が接続ハブまたはネットワークマスタとして機能する場合)とを含む。
【0083】
制御機器の定義71は、制御機器のプロセスデータオブジェクトの設定ルールであるPDOマッピングルール72を含む。
【0084】
PDOマッピングルール72は、子要素として、プロセスデータオブジェクトの定義であるPDOエントリ74を含む。PDOエントリ74は、プログラムデータオブジェクトに関連付けられるべき機械要素(センサおよびアクチュエータなど)の指定である機械要素定義75と、プロセスデータオブジェクトにマッピングされるべき変数の指定である変数定義79とを含む。
【0085】
システム構成ルール70は、制御機器がサーボである場合に固有の設定701と、制御機器がロボットである場合に固有の設定702とを含んでいてもよい。
【0086】
<G.制御システム構成60の作成方法>
次に、設計システム1を用いた制御システム構成60の作成方法の一例について説明する。
【0087】
図11は、本実施の形態に従う設計システム1を用いた制御システム構成60の作成方法の一例を示すフローチャートである。図11に示す各ステップは、情報処理装置100のプロセッサ102が設計プログラム130(図3参照)を実行することで実現されてもよい。
【0088】
図11を参照して、情報処理装置100は、設備設計情報リポジトリ10に格納されたBOE12(設備構成情報)のインポートの指示を受けると(ステップS100においてYES)、指示されたBOE12をインポートする(ステップS102)。情報処理装置100は、インポートしたBOE12に含まれる構成要素および階層構造をユーザインターフェイス画面200の構成ペイン201に反映する(ステップS104)(図12参照)。このように、情報処理装置100は、ユーザ操作などに応じて、設備の設備設計情報(BOE12)を取得する。
【0089】
情報処理装置100は、インポートしたBOE12に設計資産IDおよびリビジョン情報が付与された構成要素が存在するか否かを判断する(ステップS106)。すなわち、情報処理装置100は、BOE12に設計資産20が適用されているか否かを判断する。
【0090】
インポートしたBOE12に設計資産IDおよびリビジョン情報が付与された構成要素が存在しなければ(ステップS106においてNO)、処理は終了する。
【0091】
インポートしたBOE12に設計資産IDおよびリビジョン情報が付与された構成要素が存在していれば(ステップS106においてYES)、情報処理装置100は、BOE12に含まれる構成要素に付与されている設計資産IDおよびリビジョン情報に基づいて、BOE12に適用された設計資産20が設計資産ライブラリ14に存在するか否かを判断する(ステップS108)。
【0092】
BOE12に適用された設計資産20が存在しなければ(ステップS108においてNO)、情報処理装置100は、存在しない設計資産20の設計資産IDおよびリビジョン情報を含むエラー情報を出力する(ステップS110)。そして、処理は終了する。
【0093】
BOE12に適用された設計資産20が存在していれば(ステップS108においてYES)、情報処理装置100は、BOE12に適用された設計資産20の実体をプロジェクトのプログラムとしてインポートする(ステップS112)(図13参照)。そして、情報処理装置100は、インポートした設計資産20の実体をプロジェクトの制御システム構成に追加する(ステップS114)(図13参照)。このように、情報処理装置100は、設備設計情報(BOE12)に含まれる識別情報(設計資産IDおよびリビジョン情報)に基づいて、設計資産ライブラリ14から設計資産20を取得する。
【0094】
情報処理装置100は、設備設計情報(BOE12)とインポートした1または複数の設計資産20とに基づいて、制御システム構成60を生成する(ステップS116)。制御システム構成60は、プロジェクトの少なくとも一部として生成されてもよい。また、制御システム構成60は、設計情報だけではなく、オブジェクト形式のプログラムを含んでいてもよい。
【0095】
なお、ステップS112~ステップS116の処理は、ユーザ操作に応じて、実行されてもよい。
【0096】
情報処理装置100は、インポートした設計資産20にシステム構成ルール70が含まれているか否かを判断する(ステップS118)。インポートした設計資産20にシステム構成ルール70が含まれていなければ(ステップS118においてNO)、処理は終了する。
【0097】
インポートした設計資産20にシステム構成ルール70が含まれていれば(ステップS118においてYES)、情報処理装置100は、作成中の制御システム構成60の検証ルールにシステム構成ルール70に含まれる検証ルールを追加する(ステップS120)。情報処理装置100は、検証ルールが追加された旨を出力する(ステップS122)。そして、処理は終了する。
【0098】
システム構成ルール70は、後述するような検証に用いる必要のない設定を含んでいる場合もある。以下では、システム構成ルール70に含まれるルールのうち、検証の対象となるルールを「検証ルール」とも称す。設計資産20に含まれるシステム構成ルール70に基づいて、検証ルールを設定することができる。また、検証ルールは、設計資産20に含まれるシステム構成ルール70とは独立して設定することもできる。
【0099】
後述するような検証などを経て、システム構成ルール70が最終的に出力される。
図12は、本実施の形態に従う情報処理装置100が提供するユーザインターフェイス画面200の一例を示す模式図である。ユーザインターフェイス画面200は、制御システム開発環境50において提供される。図12を参照して、ユーザインターフェイス画面200は、構成ペイン201と、プログラムペイン205とを含む。
【0100】
ユーザが設備設計情報であるBOE12を制御システム開発環境50にインポートすると、インポートされたBOE12に含まれる要素が構成ペイン201に表示される。インポートされたBOE12が作成される制御システム構成60に関連付けられる。
【0101】
ユーザは、構成ペイン201に表示されたBOE12に含まれる要素が示す設計資産IDを参照して、設計資産ライブラリ14から必要な設計資産20を制御システム開発環境50(プログラムペイン205)にインポートする。プログラムペイン205には、インポートされた設計資産20の内容が表示される。
【0102】
インポートされた設計資産20は、プログラムペイン205において、設計資産定義情報が付いたフォルダとして表現されてもよい。プログラムペイン205において、任意のフォルダを設計資産であると指定できるようにしてもよい。任意のフォルダが指定されると、制御システム開発環境50は、当該指定されたフォルダに関連付けて、設計資産マニフェスト22として必要な情報を受け付けるためのダイアログなどを表示してもよい。
【0103】
なお、制御システム開発環境50において作成または更新された設計資産は、設計資産ライブラリ14へとエクスポートできるようにしてもよい。
【0104】
制御システム開発環境50においては、プログラムおよび型を利用する場合と同様に、対象のフォルダまたは個々のアイテムをプログラムペイン205にドラッグアンドドロップすることで、制御システム構成60の作成に設計資産20を適用できる。設計資産20を適用することで、設計資産20において定義される制御機器が制御システム構成60に追加される。さらに、追加された制御機器に対応する設計資産IDおよび各制御機器のロールIDが記録される。設計資産IDおよびロールIDは、設計資産20に含まれるシステム構成ルール70に基づく検証において参照される。
【0105】
図13は、本実施の形態に従う情報処理装置100が提供するユーザインターフェイス画面200の別の一例を示す模式図である。
【0106】
図13を参照して、制御システム開発環境50において、適用されている設計資産20に含まれる制御システム機器構成26に定義された1または複数の制御機器が制御システム構成60に追加される。ユーザインターフェイス画面200には、追加された制御機器を反映した制御機器構成表示210が有効化される。
【0107】
より具体的には、ユーザが構成ペイン202において予め定められた操作を行うことで、プログラムペイン205に表示される制御システム機器構成26のフォルダに含まれる制御機器が構成ペイン202に追加される。制御システム機器構成26に含まれる各制御機器には、ロールID206が付与されている。また、プログラムペイン205において、設計資産20の設計資産ID207が表示されている。
【0108】
構成ペイン202に追加された各制御機器には、設計資産ID207およびロールID206を含む付加情報203が付与される。付加情報203は、制御機器に関する設定がシステム構成ルール70に従ったものであるかを検証するために利用される。
【0109】
<H.検証>
次に、検証ルール(システム構成ルール70)に基づく検証について説明する。
【0110】
図14は、本実施の形態に従う情報処理装置100が提供する検証ルールの設定に関するユーザインターフェイス画面200の一例を示す模式図である。図14を参照して、ユーザインターフェイス画面200のプログラムペイン205に表示されるシステム構成ルール70のフォルダが選択されると、システム構成ルール70を示すシステム構成ルール表示220が有効化される。
【0111】
システム構成ルール表示220に含まれる各ルールは、チェックボックス221がチェックされるか否かに応じて、検証ルールに含められるか否かが決定されてもよい。
【0112】
図15は、本実施の形態に従う情報処理装置100が提供する検証ルールの設定に関するユーザインターフェイス画面200の別の一例を示す模式図である。図15を参照して、制御システム構成60に設計資産20が適用されると、設計資産20に含まれるシステム構成ルール70も適用される。
【0113】
検証ペイン204に表示されるシステム構成ルール70のフォルダ208が選択されると、システム構成ルール70を示すシステム構成ルールリスト230が表示される。
【0114】
システム構成ルールリスト230に含まれる各ルールは、チェックボックス231がチェックされるか否かに応じて、検証ルールに含められるか否かが決定される。すなわち、情報処理装置100は、ユーザ操作に応じて、設計資産20に含まれるシステム構成ルール70のうち、選択されたルールを検証ルールに追加する。
【0115】
制御システム構成60に対して、任意のルールを検証ルールに追加することもできる。
図16は、本実施の形態に従う情報処理装置100による検証処理の一例を示すフローチャートである。図16に示す各ステップは、情報処理装置100のプロセッサ102が設計プログラム130(図3参照)を実行することで実現されてもよい。
【0116】
情報処理装置100は、システム構成ルール70の少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、生成された制御システム構成60を検証する。より具体的には、図16に示す処理が実行される。
【0117】
情報処理装置100は、検証を開始する条件が成立すると(ステップS200においてYES)、検証ルールに基づいて検証処理を実行する(ステップS202)。
【0118】
検証を開始する条件は、例えば、プロジェクトの保存、プロジェクトのコンパイル実行、プロジェクトのビルド実行、ユーザからの検証開始の明示的な指示などが挙げられる。
【0119】
情報処理装置100は、検証処理による検証結果240をユーザインターフェイス画面200の出力ウィンドウに出力する(ステップS204)(後述の図17参照)。
【0120】
情報処理装置100は、出力ウィンドウに出力された検証結果240に対するユーザ操作に応じて、検証ルールに適合しない部分を表示し(ステップS206)、ユーザからの制御システム構成60に対する変更操作を受け付ける(ステップS208)。
【0121】
情報処理装置100は、制御システム構成60に対する変更操作の終了が指示されるまで(ステップS210においてNO)、ステップS206以下の処理を繰り返す。
【0122】
図17は、本実施の形態に従う情報処理装置100が提供する検証結果の出力に関するユーザインターフェイス画面200の一例を示す模式図である。図17を参照して、検証を開始する条件が成立すると、設定されている検証ルールに基づいて検証が実行される。
【0123】
ユーザインターフェイス画面200の出力ウィンドウ内に検証結果240が表示される。検証結果240は、検証ルールに適合しない部分を特定するための情報を含んでいてもよい。また、適合しないと判断された検証ルールが設計資産20に由来するものであれば、検証結果240は、当該設計資産20を特定するための情報を含んでいてもよい。
【0124】
また、検証結果240に含まれるエラーの項目が選択されると、選択されたエラーが発生した部分が表示されてもよい。
【0125】
検証ルール(システム構成ルール70)に基づく検証(図16のステップS202)においては、図8に示す4つの関連付け61,62,63,64のうち少なくとも1つが検証されてもよい。すなわち、情報処理装置100は、(1)制御機器とタスクとの関連付け61、(2)タスクと制御対象との関連付け62、(3)制御機器のプロセスデータオブジェクトと変数の関連付け63、および、(4)制御機器のプロセスデータオブジェクトと機械構成との関連付け64のうち少なくとも1つを検証する。
【0126】
また、検証ルール(システム構成ルール70)に基づく検証(図16のステップS202)においては、以下のような処理手順が実行されてもよい。
(1)設計資産20毎にシステム構成ルール70をチェック
情報処理装置100は、作成された制御システム構成60に適用されている設計資産20毎にシステム構成ルール70を選択する。情報処理装置100は、選択されたシステム構成ルール70に従って、以下の検証を実行する。
(1-1)要求される制御機器の存在チェック
情報処理装置100は、システム構成ルール70に含まれる制御機器の定義71(図9参照)毎に、制御システム構成60の制御機器構成からロールIDが付与されている制御機器を抽出する。情報処理装置100は、抽出された制御機器毎に、以下の検証を実行する。
(1-1-1)制御機器毎に接続形態の適合チェック
情報処理装置100は、抽出された制御機器がシステム構成ルール70に含まれる接続形態ルール73のリスト731(図9参照)に定義された適用確認済の制御機器のいずれかと合致するか否かを判断する。抽出された制御機器が適用確認済の制御機器のいずれとも合致しなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、接続形態ルール73に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
【0127】
このように、情報処理装置100は、生成された制御システム構成60において、制御システム機器構成26において定義されたコントローラの下位に接続された他の制御機器が接続形態ルールに適合するか否かを判断する。
(1-1-2)制御機器毎に下位接続機器の適合チェック
情報処理装置100は、抽出された制御機器の下位に、システム構成ルール70に含まれる接続形態ルール73のリスト732(図9参照)に定義された制御機器(指定されたロールIDが付与されている制御機器)が存在するか否かを判断する。リスト732に定義された制御機器が存在しなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、接続形態ルール73に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
(1-1-3)制御機器毎にタスク構成ルール76の適合チェック
情報処理装置100は、抽出された制御機器に関連付けられるタスク構成ルール76において指定されたタスクが抽出された制御機器に存在するか否かを判断する。タスク構成ルール76において指定されたタスクが制御機器に存在しなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、タスク構成ルール76に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
【0128】
このように、情報処理装置100は、生成された制御システム構成60において、制御システム機器構成26において定義されたコントローラに割り当てられたタスクが制御ソフトウェア構成28において定義されたタスクと合致するか否かを判断する。
(1-1-3-1)タスク種別、サイクル周期、優先度
情報処理装置100は、制御機器に存在するタスクのタスク種別、サイクル周期、および、優先度がタスク構成ルール76に適合するか否かを判断する。タスク種別、サイクル周期、および、優先度がタスク構成ルール76に適合しなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、タスク構成ルール76に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
(1-1-3-2)プログラム割り当て
情報処理装置100は、制御機器に存在するタスクのプログラム割り当てがタスク構成ルール76に適合するか否かを判断する。タスクのプログラム割り当てがタスク構成ルール76に適合しなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、タスク構成ルール76に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
(1-1-3-3)タスク間共有変数の排他アクセス設定
情報処理装置100は、制御機器に存在するタスクのタスク間共有変数の排他アクセス設定がタスク構成ルール76に適合するか否かを判断する。タスクのタスク間共有変数の排他アクセス設定がタスク構成ルール76に適合しなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、タスク構成ルール76に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
(1-1-3-4)タスクの制御対象(制御機器)
情報処理装置100は、制御機器に存在するタスクの制御対象(制御機器)がタスク構成ルール76に適合するか否かを判断する。タスクのタスク間共有変数の排他アクセス設定がタスク構成ルール76に適合しなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、タスク構成ルール76に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
(2)制御機器毎にPDOマッピングをチェック
情報処理装置100は、制御機器のPDOマッピングがPDOマッピングルール72(図9参照)に適合するか否かを判断する。制御機器のPDOマッピングがPDOマッピングルール72に適合しなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、PDOマッピングルール72に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
【0129】
このように、情報処理装置100は、生成された制御システム構成60において、制御システム機器構成26において定義されたコントローラのPDOの内容がPDOマッピングルール72に適合するか否かを判断する。
(2-1)PDOエントリ毎に変数割り当てチェック
情報処理装置100は、制御機器のPDOエントリに関連付けられた変数が機械要素定義75(図9参照)に定義された変数名と合致するか否かを判断する。制御機器のPDOエントリに関連付けられた変数が機械要素定義75に定義された変数名と合致しなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、機械要素定義75に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
【0130】
このように、情報処理装置100は、生成された制御システム構成60において、制御システム機器構成26において定義されたコントローラのPDOにマッピングされた機械要素が機械要素定義75に適合するか否かを判断する。
(2-2)PDOエントリ毎に機械要素関連付けチェック
情報処理装置100は、制御機器のPDOエントリに関連付けられた機械要素(センサおよびアクチュエータなど)が機械要素定義75(図9参照)に定義されたロールIDを有しているか否かを判断する。制御機器のPDOエントリに関連付けられた機械要素が機械要素定義75に定義されたロールIDを有していなければ、情報処理装置100は、ルールIDとともに、機械要素定義75に適合しない旨のエラーメッセージを出力する。
【0131】
なお、システム構成ルール70(検証ルール)に基づく検証において、上述の処理の少なくとも一部のみを実行するようにしてもよいし、上述の処理以外の処理を実行してもよい。
【0132】
<I.付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0133】
[構成1]
1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成(60)を生成するための設計システム(1)であって、
前記設備の設備設計情報(12)を取得する処理(S102,S104)と、
前記設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、特定の装置を構築するための設計資産(20)を設計資産ライブラリ(14)から取得する処理とを実行するように構成されており、
前記設計資産は、システム構成ルール(70)を含み、
前記設計システムはさらに
前記設備設計情報と前記設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成する処理(S116)と、
前記システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、前記生成された制御システム構成を検証する処理(S202~S206)とを実行するように構成されている、設計システム。
【0134】
[構成2]
前記設計資産は、前記特定の装置に必要な機械要素を定義する機械構成(24)と、前記特定の装置を動作させるために必要な制御機器を定義する制御システム機器構成(26)と、前記特定の装置を動作させるためのソフトウェアを定義する制御ソフトウェア構成(28)とを含む、請求項1に記載の設計システム。
【0135】
[構成3]
前記検証する処理は、前記機械構成において定義された機械要素と前記制御システム機器構成において定義された制御機器との関連付け(64)、および、前記制御システム機器構成において定義された制御機器と前記制御ソフトウェア構成において定義されたソフトウェアとの関連付け(61)のうち、少なくとも一方を検証する処理を含む、構成2に記載の設計システム。
【0136】
[構成4]
ユーザ操作に応じて、前記設計資産に含まれるシステム構成ルールのうち、選択されたルールを前記検証ルールに追加する処理(S120)をさらに実行するように構成されている、構成2または3に記載の設計システム。
【0137】
[構成5]
前記検証する処理は、前記生成された制御システム構成において、前記制御システム機器構成において定義されたコントローラに割り当てられたタスクが前記制御ソフトウェア構成において定義されたタスクと合致するか否かを判断する処理を含む、構成2~4のいずれか1項に記載の設計システム。
【0138】
[構成6]
前記検証する処理は、前記生成された制御システム構成において、前記制御システム機器構成において定義されたコントローラのプロセスデータオブジェクトの内容がマッピングルールに適合するか否かを判断する処理を含む、構成2~5のいずれか1項に記載の設計システム。
【0139】
[構成7]
前記検証する処理は、前記生成された制御システム構成において、前記制御システム機器構成において定義されたコントローラのプロセスデータオブジェクトにマッピングされた機械要素が機械要素定義に適合するか否かを判断する処理を含む、構成2~6のいずれか1項に記載の設計システム。
【0140】
[構成8]
前記検証する処理は、前記生成された制御システム構成において、前記制御システム機器構成において定義されたコントローラの下位に接続された他の制御機器が接続形態ルールに適合するか否かを判断する処理を含む、構成2~7のいずれか1項に記載の設計システム。
【0141】
[構成9]
1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成(60)を生成するための設計プログラム(130)であって、前記設計プログラムはコンピュータ(100)に、
前記設備の設備設計情報(12)を取得するステップ(S102,S104)と、
前記設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、特定の装置を構築するための設計資産(20)を設計資産ライブラリ(14)から取得するステップとを実行させ、
前記設計資産は、システム構成ルール(70)を含み、
前記設計プログラムは前記コンピュータにさらに
前記設備設計情報と前記設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成するステップ(S116)と、
前記システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、前記生成された制御システム構成を検証するステップ(S202~S206)とを実行させる、設計プログラム。
【0142】
[構成10]
1または複数の装置を含む設備を構築するための設計情報である制御システム構成(60)を生成するためのコンピュータ(100)が実行する設計方法であって、
前記設備の設備設計情報(12)を取得するステップ(S102,S104)と、
前記設備設計情報に含まれる識別情報に基づいて、設計資産ライブラリ(14)から特定の装置を構築するための設計資産(20)を取得するステップ(S112,S114)とを備え、
前記設計資産は、システム構成ルール(70)を含み、
前記設計方法はさらに
前記設備設計情報と前記設計資産とに基づいて、制御システム構成を生成するステップ(S116)と、
前記システム構成ルールの少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、前記生成された制御システム構成を検証するステップ(S202~S206)とを備える、設計方法。
【0143】
<J.利点>
自動化設備(特に、ロボットを含むロボット応用設備)を構築するためには、高いテクニカルスキルが必要となる。そこで、必要なテクニカルスキルのレベルを低減するとともに、効率的な設備の設計および構築を実現できるように、設備を構成する装置をライブラリ化した設計資産20が提供される。
【0144】
実際に設備を構築するためには、機械要素と、制御機器と、ソフトウェアとが少なくとも必要である。各設備について、制御システム上において固有の制約が存在することが多い。作成した制御システム構成がこのような固有の制約を満たしているか否かを判断するのは煩雑な作業となる。また、何らかの見落としがあった場合には、作成された制御システム構成に基づく制御システムが意図された通りの性能を発揮できない可能性がある。
【0145】
本実施の形態においては、設計資産20がシステム構成ルール70を含んでおり、システム構成ルール70の少なくとも一部を含む検証ルールに基づいて、生成された制御システム構成が検証される。設計システムが検証ルールに基づく検証を行うことで、設備の設計を効率化できるとともに、制御システム構成に不具合などが含まれる可能性を低減できる。
【0146】
なお、設計資産20は、例えば、XML(Extensible Markup Language)形式で記述された、コンピュータ読取可能なデータであり、設計資産IDおよびリビジョン情報に加えて、システム構成ルール70を含む。
【0147】
任意の設備設計環境において、設計者が設備設計情報であるBOE12を作成したときに、適用する1または複数の設計資産20を特定するための設計資産IDをBOE12に記録する。制御システム開発環境50において、BOE12を利用するときに、BOE12に記録されている設計資産IDなどに基づいて、対象の1または複数の設計資産20が適用される。続いて、制御システム開発環境50において、BOE12および適用された1または複数の設計資産20に基づいて、制御システム構成60が生成される。さらに、生成された制御システム構成60は、検証ルールに基づいて検証される。検証の結果、制御システム構成60に存在するエラーが設計者に通知されてもよいし、通知されたエラーに対する修正提案が設計者に提供されてもよい。
【0148】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0149】
1 設計システム、2 設備構想シミュレータ、4 機械設備CADツール、6 電気設備CADツール、8 製造工程計画ツール、10 設備設計情報リポジトリ、14 設計資産ライブラリ、15,203 付加情報、20,20A,20B,20C 設計資産、22 設計資産マニフェスト、24 機械構成、26 制御システム機器構成、28 制御ソフトウェア構成、30 設備、31 コンベア、32,33 ロボット、50 制御システム開発環境、60 制御システム構成、61,62,63,64 関連付け、70 システム構成ルール、71 定義、72 PDOマッピングルール、73 接続形態ルール、74 PDOエントリ、75 機械要素定義、76 タスク構成ルール、77 プログラム定義、78 タスク間共有変数定義、79 変数定義、100 情報処理装置、102 プロセッサ、104 メインメモリ、106 入力部、108 表示部、110 USBコントローラ、112 ネットワークコントローラ、114 光学ドライブ、116 記録媒体、118 バス、120 ストレージ、121,122 設計情報、130 設計プログラム、132 OS、200 ユーザインターフェイス画面、201,202 構成ペイン、204 検証ペイン、205 プログラムペイン、206 ロールID、207 設計資産ID、208 フォルダ、210 制御機器構成表示、220 システム構成ルール表示、221,231 チェックボックス、230 システム構成ルールリスト、240 検証結果、300 設備設計サーバ、400 設計資産サーバ、701,702 設定、731,732,766 リスト、761 ルールID、762 フラグ、763 タスク種別、764 サイクルタイム、765 タスク処理優先度。
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