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特開2024-172063宝石に関する情報を提供する方法、プログラム及び情報提供装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172063
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】宝石に関する情報を提供する方法、プログラム及び情報提供装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/018 20230101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q30/018
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089539
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】503175966
【氏名又は名称】株式会社クロスフォー
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】土橋 秀位
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB21
5L049BB21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来の鑑定書や鑑別書に比べて宝石に関する情報を簡便に提供する方法、プログラム及び情報提供装置を提供する。
【解決手段】宝石に関する情報を提供する情報提供装置が実行する方法は、宝石の鑑定及び/又は鑑別を行う事業者の端末装置から一の宝石について行われた鑑定及び/又は鑑別の結果に関する情報を取得した場合、当該取得した情報に基づく当該一の宝石の鑑定・鑑別情報と当該一の宝石の宝石識別情報とを関連付けて記憶装置に格納する工程と、宝石の情報を求める第1ユーザの端末装置から、一の宝石識別情報により識別される一の宝石についての鑑定及び/又は鑑別の結果に関する情報を要求された場合、当該一の宝石識別情報に関連付けて記憶装置に記憶された鑑定・鑑別情報の少なくとも一部を当該第1ユーザの端末装置に提供する工程と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宝石に関する情報を提供する情報提供装置が実行する方法であって、
前記情報提供装置は、通信ネットワークを介して端末装置と通信可能であり、
前記情報提供装置は、1以上の記憶装置にアクセス可能であり、
1以上の前記記憶装置は、
それぞれ一の前記宝石を識別する複数の宝石識別情報と、
それぞれ一の前記宝石について行われた鑑定及び/又は鑑別の結果に関する情報を含んだ複数の鑑定・鑑別情報と
を記憶し、
前記宝石の鑑定及び/又は鑑別を行う事業者の前記端末装置から一の前記宝石について行われた鑑定及び/又は鑑別の結果に関する情報を取得した場合、当該取得した情報に基づく当該一の前記宝石の前記鑑定・鑑別情報と当該一の前記宝石の前記宝石識別情報とを関連付けて前記記憶装置に格納する第1工程と、
前記宝石の情報を求める第1ユーザの前記端末装置から、一の前記宝石識別情報により識別される一の前記宝石についての鑑定及び/又は鑑別の結果に関する情報を要求された場合、当該一の前記宝石識別情報に関連付けて前記記憶装置に記憶された前記鑑定・鑑別情報の少なくとも一部を当該第1ユーザの前記端末装置に提供する第2工程と
を有する方法。
【請求項2】
1以上の前記記憶装置は、それぞれ一の前記宝石識別情報に関連付けられた情報であって、それぞれ一の前記宝石の所有者のみに提供されるべき情報である複数の秘密情報を記憶し、
一の前記宝石識別情報により識別される一の前記宝石の新たな所有者として登録されることを要求する第2ユーザの前記端末装置から前記秘密情報を取得した場合、当該一の前記宝石識別情報に関連付けられた前記秘密情報と当該端末装置から取得した前記秘密情報とを照合する第3工程と、
前記第3工程の照合において2つの前記秘密情報が一致するならば、当該一の前記宝石識別情報に関連付けられた前記秘密情報を、前記新たな所有者としての登録を要求する前記第2ユーザのみに提供されるべき別の前記秘密情報へ更新する第4工程を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第4工程において前記第2ユーザの前記端末装置からの要求に応じて更新した前記秘密情報を、当該第2ユーザの前記端末装置に提供する第5工程を有する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1以上の前記記憶装置は、
それぞれ一の前記第2ユーザを識別する複数のユーザ識別情報と、
それぞれ一の前記宝石の所有者に関する情報を含んだ複数の所有者情報と
を記憶し、
一の前記宝石の前記所有者情報は、当該一の前記宝石の前記宝石識別情報と、当該一の前記宝石を所有する前記第2ユーザの前記ユーザ識別情報と、当該一の前記宝石の所有者のみに提供されるべき前記秘密情報とを含み、
前記第4工程は、一の前記宝石識別情報により識別される一の前記宝石の所有者として登録されることを要求する一の前記第2ユーザの前記端末装置から前記秘密情報を取得したことに応じて当該一の前記宝石の前記秘密情報を更新する場合、当該一の前記宝石識別情報と、当該一の前記第2ユーザの前記ユーザ識別情報と、更新後の前記秘密情報とを含んだ一の前記所有者情報を生成し、前記記憶装置に記憶させることを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記情報提供装置は、ブロックチェーンネットワークにアクセス可能であり、
前記ブロックチェーンネットワークにおいて、それぞれ一の前記宝石に対応する複数の非代替性トークンが発行されており、
一の前記宝石に対応する一の前記非代替性トークンは、当該一の前記宝石の前記宝石識別情報に紐づけられており、
1以上の前記記憶装置は、
それぞれ一の前記宝石に関する情報を含んだ複数の宝石情報と、
それぞれ一の前記宝石の所有者に関する情報を含んだ複数の所有者情報と、
を記憶し、
一の前記宝石の前記宝石情報は、
当該一の前記宝石の前記宝石識別情報と、
当該一の前記宝石の前記宝石識別情報に紐づけられた前記非代替性トークンを前記ブロックチェーンネットワークにおいて特定するためのトークン情報と
を含んでおり、
一の前記宝石の前記所有者情報は、
当該一の前記宝石の前記宝石識別情報と、
前記ブロックチェーンネットワークにおいて1以上の前記非代替性トークンの所有者を示すウォレットアドレスと、
当該ウォレットアドレスに対応する秘密鍵と
を含んでおり、
一の前記ウォレットアドレスに対応する一の前記秘密鍵は、当該一の前記ウォレットアドレスから他の前記ウォレットアドレスへ1以上の前記非代替性トークンを移動させるために用いられる情報であり、
前記第3工程は、一の前記宝石識別情報により識別される一の前記宝石の所有者として登録されることを要求する一の前記第2ユーザの前記端末装置から前記秘密情報として前記秘密鍵を取得した場合、当該端末装置から取得した前記秘密鍵と、当該一の前記宝石の前記所有者情報に含まれる前記秘密鍵とを照合することを含み
前記第4工程は、
前記第3工程の照合において2つの前記秘密鍵が一致した場合、前記ブロックチェーンネットワークにおいて、当該端末装置から取得した前記秘密鍵を用いて、当該一の前記宝石の前記宝石情報に含まれた前記トークン情報により特定される前記非代替性トークンを、当該非代替性トークンについて登録中の前記ウォレットアドレスとは別の前記ウォレットアドレスに移動させることと、
当該一の前記宝石の前記所有者情報に含まれる前記ウォレットアドレスと前記秘密鍵とのペアを、当該別の前記ウォレットアドレスと当該別の前記ウォレットアドレスに対応する前記秘密鍵とのペアに更新することとを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第4工程は、
前記第3工程の照合において2つの前記秘密鍵が一致した場合、前記ブロックチェーンネットワークから前記ウォレットアドレスと前記秘密鍵とのペアを新規に取得することと、
前記ブロックチェーンネットワークにおいて、前記端末装置から取得した前記秘密鍵を用いて、当該一の前記宝石の前記宝石情報に含まれた前記トークン情報により特定される前記非代替性トークンを、当該新規に取得した前記ウォレットアドレスに移動させることと、
当該一の前記宝石の前記所有者情報に含まれる前記ウォレットアドレスと前記秘密鍵とのペアを、当該新規に取得した前記ウォレットアドレスと前記秘密鍵とのペアに更新することとを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第4工程において前記第2ユーザの前記端末装置からの要求に応じて1以上の前記非代替性トークンが移動された先の前記ウォレットアドレスに対応する前記秘密鍵を、当該第2ユーザの前記端末装置に提供する第5工程を有する、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
宝石に関する情報を提供する情報提供装置が実行可能な命令を含むプログラムであって、
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載された方法の各工程を前記情報提供装置に行わせる前記命令を含んだ
プログラム。
【請求項9】
宝石に関する情報を提供する情報提供装置であって、
処理部と、
前記処理部が実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、
前記プログラムが、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載された方法の各工程を行う前記命令を含み、
前記処理部が、前記プログラムを実行する、
情報提供装置。
【請求項10】
宝石に関する情報を提供する情報提供装置であって、
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載された方法の各工程を行う手段を備えた
情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宝石に関する情報を提供する方法、プログラム及び情報提供装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドなどの宝石には、専門の機関により作成された鑑定書や鑑別書が添付される場合がある。鑑定書は、色、透明度、形状、重量などによって宝石のグレードを判定した結果を証明する書面であり、一般にはダイヤモンドについて作成される。宝石の鑑別書は、宝石を科学的に分析することによって宝石の起源(天然、合成の区別)や、カットの種類、重量、寸法、屈折率などを検査した結果を示す書面であり、ダイヤモンド以外の宝石についても作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-23869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の宝石の鑑定書や鑑別書は紙などに印刷された書面であり、通常はオリジナルの書面のみが存在する。同じ宝石について2以上の鑑定書や鑑別書を得るためには、それぞれ専門の機関に作成を依頼する必要がある。従って、宝石が転売される場合、鑑定書や鑑別書も宝石と一緒に譲渡する必要がある。また、宝石についての鑑定結果や鑑別結果を示すためには、書面の鑑定書や鑑別書を持ち運んで提示しなくてはならない。従って、従来の鑑定書や鑑別書は取り扱いか面倒であるという不利益がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の鑑定書や鑑別書に比べて宝石に関する情報を簡便に提供することができる方法、プログラム及び情報提供装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、宝石に関する情報を提供する情報提供装置が実行する方法であって、前記情報提供装置は、通信ネットワークを介して端末装置と通信可能であり、前記情報提供装置は、1以上の記憶装置にアクセス可能であり、1以上の前記記憶装置は、それぞれ一の前記宝石を識別する複数の宝石識別情報と、それぞれ一の前記宝石について行われた鑑定及び/又は鑑別の結果に関する情報を含んだ複数の鑑定・鑑別情報とを記憶し、前記宝石の鑑定及び/又は鑑別を行う事業者の前記端末装置から一の前記宝石について行われた鑑定及び/又は鑑別の結果に関する情報を取得した場合、当該取得した情報に基づく当該一の前記宝石の前記鑑定・鑑別情報と当該一の前記宝石の前記宝石識別情報とを関連付けて前記記憶装置に格納する第1工程と、前記宝石の情報を求める第1ユーザの前記端末装置から、一の前記宝石識別情報により識別される一の前記宝石についての鑑定及び/又は鑑別の結果に関する情報を要求された場合、当該一の前記宝石識別情報に関連付けて前記記憶装置に記憶された前記鑑定・鑑別情報の少なくとも一部を当該第1ユーザの前記端末装置に提供する第2工程とを有する方法である。
【0007】
本発明の第2の態様は、宝石に関する情報を提供する情報提供装置が実行可能な命令を含むプログラムであって、上記第1の態様に係る方法の各工程を前記情報提供装置に行わせる前記命令を含んだプログラムである。
【0008】
本発明の第3の態様は、宝石に関する情報を提供する情報提供装置であって、処理部と、前記処理部が実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、前記プログラムが、上記第1の態様に係る方法の各工程を行う前記命令を含み、前記処理部が、前記プログラムを実行する、情報提供装置である。
【0009】
本発明の第4の態様は、宝石に関する情報を提供する情報提供装置であって、上記第1の態様に係る方法の各工程を行う手段を備えた情報提供装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の鑑定書や鑑別書に比べて宝石に関する情報を簡便に提供することができる方法、プログラム及び情報提供装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2図2A図2B図2C図2D及び図2Eは、それぞれ事業者情報、ユーザ情報、宝石情報、所有者情報及び鑑定・鑑別情報に含まれる情報の一例を説明するための図である。
図3図3は、ユーザ端末装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るシステムにおいて鑑定・鑑別の結果を登録する処理の一例を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るシステムにおいて宝石の所有者を登録する処理の一例を説明するための図である。
図6図6は、第2の実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図7図7A及び図7Bは、それぞれ宝石情報及び所有者情報に含まれる情報の一例を説明するための図である。
図8図8は、第2の実施形態に係るシステムにおいて新たな宝石情報を登録する処理の一例を説明するための図である。
図9図9は、第2の実施形態に係るシステムにおいて宝石の所有者を登録する処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。図1の例に示すシステムは、インターネットなどの通信ネットワーク9を介して互いに通信可能な情報提供装置1、ユーザ端末装置3及び事業者端末装置4を有する。
情報提供装置1は、本発明の情報提供装置の一例である。
ユーザ端末装置3及び事業者端末装置4は、それぞれ本発明の端末装置の一例である。
【0013】
図1に示すシステムは、宝石に関する鑑定や鑑別の結果を閲覧可能に登録する処理や、宝石の所有者を登録する処理などを行う。
【0014】
[情報提供装置1]
情報提供装置1は、宝石に関する鑑定や鑑別の結果を受け付けて登録する処理や、その鑑定・鑑別結果を通信ネットワーク9上で提供する処理、宝石の所有者を登録する処理などを行う。図1の例に示す情報提供装置1は、通信部11と、記憶部15と、処理部16を有する。
【0015】
通信部11は、通信ネットワーク9を介して他の装置(ユーザ端末装置3、事業者端末装置4など)と通信を行う。通信部11は、例えばイーサネット(登録商標)や無線LANなどの所定の通信規格に準拠して通信を行う装置(ネットワークインターフェースカードなど)を含む。
【0016】
記憶部15は、処理部16において実行可能な命令を含む1以上のプログラム151や、処理部16による処理の過程で一時的に保存されるデータ、処理部16の処理に利用されるデータ、処理部16の処理の結果として得られたデータなどを記憶する。記憶部15は、例えば、主記憶装置(RAM、ROMなど)と補助記憶装置(フラッシュメモリ、SSD、ハードディスク、メモリカード、光ディスク)を含んでよい。記憶部15は、1つの記憶装置から構成されてもよいし、複数の記憶装置から構成されてもよい。記憶部15が複数の記憶装置から構成される場合、各記憶装置は、コンピュータのバスや他の任意のデータ伝送手段を介して処理部16に接続される。
【0017】
処理部16は、情報提供装置1の全体的な動作を統括的に司り、所定の情報処理を実行する。処理部16は、例えば、記憶部15に格納された1以上のプログラム151の命令に応じて処理を実行する1以上のプロセッサ(CPU(central processing unit)、MPU(micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)など)を含む。処理部16は、記憶部15に記憶される1以上のプログラム151の命令を1以上のプロセッサが実行することにより、1以上のコンピュータとして動作する。
【0018】
処理部16は、特定の機能を実現するように構成された1以上の専用のハードウェア(ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)など)を含んでもよい。この場合、処理部16は、本実施形態において説明する全ての処理をコンピュータにおいて実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェアにおいて実行してもよい。
【0019】
プログラム151は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体(光ディスク、メモリカード、USBメモリ、その他の非一時的な有形の媒体)に記録されていてもよい。処理部16は、そのような記録媒体に記録された1以上のプログラム151の少なくとも一部を不図示の記録媒体読み取り装置(光ディスク装置など)やインターフェース装置(USBインターフェースなど)により読み込んで、記憶部15に書き込んでもよい。あるいは処理部16は、通信ネットワーク9に接続される他の装置から通信部11により1以上のプログラム151の少なくとも一部をダウンロードして、記憶部15に書き込んでもよい。1以上のプログラム151は、後述する本実施形態に係る処理の少なくとも一部を処理部16において実行させる命令を含んでよい。
【0020】
記憶装置2は、情報提供装置1の処理において使用される種々の情報を記憶する。情報提供装置1と記憶装置2は、任意の通信路(LAN、専用回線網、インターネットなど)介して通信可能である。例えば記憶装置2は、複数の装置からのアクセスを受け付けるファイルサーバやデータベースサーバなどに含まれていてもよいし、情報提供装置1のみアクセス可能な専用の記憶装置でもよい。図1の例において、記憶装置2は、事業者データベース21と、ユーザデータベース22と、宝石情報データベース23と、所有者情報データベース24と、それぞれ宝石の鑑定・鑑別の結果を示す複数の鑑定・鑑別情報25とを記憶する。以下の説明では、データベースを「DB」と省略して記載する場合がある。
【0021】
事業者DB21は、宝石の鑑定や鑑別を行う事業者に関する複数の事業者情報を含む。一の事業者情報は、例えば図2Aに示すように、一の事業者に関する情報として、「事業者ID」と、「登録日」と、「名前・連絡先」と、「認証情報」を含む。
「事業者ID」は、個々の事業者を識別するための情報であり、一の事業者を示す。
「登録日」は、事業者情報が登録された日を示す。
「名前・連絡先」は、事業者の名前や名称と、電話や電子メールアドレスなどの連絡先に関する情報を示す。
「認証情報」は、事業者が情報提供装置1へログインする際に用いられるパスワードなどの認証用の情報を示す。
【0022】
ユーザDB22は、宝石に関する情報の提供を要求したり、宝石の所有者として登録されることを要求したりするユーザに関する複数のユーザ情報を含む。一のユーザ情報は、例えば図2Bに示すように、一のユーザに関する情報として、「ユーザID」と、「登録日」と、「名前・連絡先」と、「認証情報」を含む。
「ユーザID」は、個々のユーザを識別するための情報であり、一のユーザを示す。
「登録日」は、ユーザ情報が登録された日を示す。
「名前・連絡先」は、ユーザの名前と、電話や電子メールアドレスなどの連絡先に関する情報を示す。
「認証情報」は、ユーザが情報提供装置1へログインする際に用いられるパスワードなどの認証用の情報を示す。
【0023】
宝石情報DB23は、事業者によって鑑定や鑑別が行われた宝石に関する複数の宝石情報を含む。一の宝石情報は、例えば図2Cに示すように、一の宝石に関する情報として、「宝石ID」と、「登録日」と、「検索タグ」を含む。
「宝石ID」は、個々の宝石を識別するための情報であり、一の宝石を示す。
「登録日」は、宝石情報が登録された日を示す。
「検索タグ」は、宝石を検索するために参照されるタグ情報であり、例えば宝石の種類(原石の種類、合成物である場合の材質名など)、重量の範囲、寸法の範囲、色の種類などを含む。
【0024】
所有者情報DB24は、宝石の所有者に関する複数の所有者情報を含む。一の所有者情報は、例えば図2Dに示すように、一の宝石の所有者に関する情報として、「宝石ID」と、「登録日」と、「ユーザID」と、「秘密情報」を含む。
「宝石ID」は、宝石情報DB23に登録された一の宝石を示す。
「登録日」は、所有者情報が登録された日を示す。
「ユーザID」は、ユーザDB22に登録された一のユーザを示す。このユーザIDに対応するユーザが、宝石IDに対応する宝石の所有者である。
「秘密情報」は、宝石の所有者のみに提供されるべき秘密の情報を示す。
【0025】
鑑定・鑑別情報25は、事業者により行われた宝石の鑑定や鑑別の結果を示す情報である。一の鑑定・鑑別情報25は、例えば図2Eに示すように、一の宝石についての鑑定結果や鑑別結果に関する情報として、「鑑定・鑑別結果」と、「電子署名」と、「電子証明書」を含む。
「鑑定・鑑別結果」は、事業者によって行われた鑑定結果の情報や鑑別結果の情報(テキストデータ、数値データ、画像データなど)を含む。
「電子署名」は、「鑑定・鑑別結果」に含まれる情報について事業者が行った電子署名であり、例えば「鑑定・鑑別結果」に含まれる情報のハッシュ値を事業者の秘密鍵により暗号化することで生成される。
「電子証明書」は、「電子署名」を検証するための情報であり、認証局によって証明された事業者の公開鍵を含む。
【0026】
一の鑑定・鑑別情報25は、鑑定や鑑別の対象となった一の宝石を示す「宝石ID」に関連付けて記憶装置2に記憶される。
【0027】
[ユーザ端末装置3]
ユーザ端末装置3は、宝石に関する情報(鑑定・鑑別結果など)の提供を求めるユーザによって操作される端末装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの情報通信機能を備えた装置である。ユーザ端末装置3は、例えば図3に示すように、通信部31と、入力部32と、表示部33と、撮像部34と、記憶部35を有する。
【0028】
通信部31は、通信ネットワーク9を介して他の装置(情報提供装置1等)と通信を行うための装置であり、例えば所定の通信規格(無線LAN、イーサネット(登録商標)など)に準拠して通信を行う通信機器(ネットワークインターフェースカードなど)を含む。
【0029】
入力部32は、ユーザの操作に応じた指示やその他の情報を処理部36に入力する。例えば、入力部32は、タッチパネル、タッチパッド、キーボード、マウス、ボタン、スイッチ、マイク、カメラなどの入力機能を備えた機器を少なくとも1つ含む。
【0030】
表示部33は、処理部36において生成される映像信号に応じた映像を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクタなどの表示機器を含む。
【0031】
撮像部34は、画像を撮像する装置であり、例えばCMOS素子などの撮像素子を含んだカメラと、撮像素子において撮像された画像データを処理する画像処理回路を含む。撮像部34は、例えばQRコード(登録商標)やバーコードなどの光学コードを読み取ることが可能である。
【0032】
記憶部35は、処理部36において実行可能な命令を含む1以上のプログラム351や、処理部36による処理の過程で一時的に保存されるデータ、処理部36の処理に利用されるデータ、処理部16の処理の結果として得られたデータなどを記憶する。
【0033】
処理部36は、ユーザ端末装置3の全体的な動作を統括的に司り、所定の情報処理を実行する。処理部36は、例えば、記憶部35に格納された1以上のプログラム351の命令に応じて処理を実行する1以上のプロセッサを含む。処理部36は、記憶部35に記憶される1以上のプログラム351の命令を1以上のプロセッサが実行することにより、1以上のコンピュータとして動作する。処理部36は、特定の機能を実現するように構成された1以上の専用のハードウェアを含んでもよい。この場合、処理部36は、本実施形態において説明する全ての処理をコンピュータにおいて実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェアにおいて実行してもよい。
【0034】
プログラム351は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよいし、記録媒体から記憶部15に書き込んでもよいし、通信ネットワーク9に接続される他の装置からダウンロードして記憶部15に書き込んでもよい。
【0035】
[事業者端末装置4]
事業者端末装置4は、宝石の鑑定や鑑別を行う事業者によって操作される端末装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの情報通信機能を備えた装置である。事業者端末装置4は、例えば図3に示すユーザ端末装置3と同様な構成(通信部、入力部、表示部、撮像部、記憶部、処理部など)を有する。
【0036】
ここで、上述した構成を有する図1に示すシステムの動作について説明する。図4は、図1に示すシステムにおいて鑑定・鑑別の結果を登録する処理の一例を説明するための図である。
【0037】
ユーザDB22に登録されたユーザのユーザ端末装置3が情報提供装置1にアクセスし、ユーザの保有する宝石についての鑑定や鑑別を事業者に依頼する所定の依頼フォームにおいて依頼情報を入力し、情報提供装置1に送信する(ST100)。ユーザ端末装置3から依頼情報を取得した情報提供装置1の処理部16は、宝石の鑑定や鑑別を行う事業者の事業者端末装置4に対して、依頼情報に係る宝石の鑑定や鑑別を発注する発注情報を電子メールなどにより送信する(ST105)。事業者端末装置4が発注情報を受信すると、事業者は発注情報に基づいて発注元のユーザと直接コンタクトを取り、鑑定や鑑別の対象となる宝石をユーザから受け取って、鑑定や鑑別を行う。発注された宝石の鑑定や鑑別を行った事業者は、事業者端末装置4によって情報提供装置1ににアクセスし、その鑑定や鑑別の結果に関する情報(テキストデータ、数値データ、画像データなど)を情報提供装置1にアップロードする(ST110)。
【0038】
情報提供装置1の処理部16は、一の宝石について行われた鑑定や鑑別の結果に関する情報を事業者端末装置4から取得すると、取得した情報に基づく鑑定・鑑別情報(図2E)を生成し、当該一の宝石を示す宝石IDと関連付けて記憶装置2に格納する(ST115)。このとき情報提供装置1の処理部16は、当該一の宝石の宝石情報が宝石情報DB23にない場合、当該一の宝石の宝石情報を生成して宝石情報DB23に登録する。
【0039】
また情報提供装置1の処理部16は、ステップST115において生成した鑑定・鑑別情報に関わる宝石の所有者情報が所有者情報DB24にない場合、その所有者情報(図2D)を生成して所有者情報DB24に登録する(ST120)。
【0040】
なお情報提供装置1の処理部16は、ステップST120において所有者情報(図2D)を生成する場合、所有者のみに提供されるべき秘密情報を生成する。処理部16は、例えば所有者が操作するユーザ端末装置3からの要求に応じて、生成した秘密情報を要求元のユーザ端末装置3に提供してもよい。あるいは、情報提供装置1の管理者が、秘密情報の記載された書面を郵便などによって所有者に送付してもよい。
【0041】
情報提供装置1の処理部16は、一の宝石IDに関連付けられた鑑定・鑑別情報を記憶装置2に格納した場合、この鑑定・鑑別情報を閲覧するための閲覧用情報(例えば情報提供装置1によるウェブサーバのURIなど)をユーザ端末装置3に提供する(ST125)。鑑定・鑑別情報の閲覧用情報は、例えばウェブサーバのURIを示すQRコード(登録商標)などの光学コードでもよい。
【0042】
宝石の情報を求めるユーザのユーザ端末装置3から、上述した閲覧用情報(ウェブサーバのURIなど)に基づいて、一の宝石IDにより識別される一の宝石についての鑑定結果や鑑別結果に関する情報を要求された場合(ST130)、情報提供装置1の処理部16は、当該一の宝石IDに関連付けて記憶装置2に記憶された鑑定・鑑別情報(図2E)の少なくとも一部を、要求元のユーザ端末装置3に提供する(ST135)。ユーザ端末装置3は、情報提供装置1から提供された情報(鑑定・鑑別情報)に基づいて、当該一の宝石についての鑑定結果や鑑別結果を表示部33において表示する。
【0043】
図5は、図1に示すシステムにおいて宝石の所有者を登録する処理の一例を説明するための図である。図5に示す例は、一の宝石を所有するユーザBが、当該一の宝石を別のユーザAへ譲渡した場合に、ユーザAを当該一の宝石の新たな所有者として登録する処理の例を示す。以下では、ユーザAが操作するユーザ端末装置3を「ユーザ端末装置3A」とし、ユーザBが操作するユーザ端末装置3を「ユーザ端末装置3B」とする。
【0044】
ユーザBのユーザ端末装置3Bは、ユーザAへ譲渡した一の宝石に関する所有者情報DB24(図2D)に含まれた秘密情報を、当該一の宝石の宝石IDと共に、ユーザAのユーザ端末装置3Aへ電子メールなどにより送信する(ST200)。
【0045】
ユーザ端末装置3Aは、一の宝石の所有者情報(図2D)に含まれた秘密情報を宝石IDと共に取得すると、情報提供装置1にアクセスして、当該一の宝石の新たな所有者として登録されること求める所有者登録要求を情報提供装置1に送信する(ST205)。この所有者登録要求は、例えば、当該一の宝石の宝石IDと秘密情報を含む。
【0046】
情報提供装置1の処理部16は、ユーザ端末装置3Aから所有者登録要求を受信すると、所有者登録要求において指定された一の宝石の宝石IDが含まれる所有者情報を所有者情報DB24において検索する。目的とする宝石IDが含まれた所有者情報が複数存在する場合、処理部16は、その中で登録日が最も新しい所有者情報を更に検索する。そして処理部16は、検索により見つかった所有者情報に含まれる秘密情報と、所有者登録要求において指定された秘密情報とを照合する(ST210)。
【0047】
ステップST210の照合において2つの秘密情報が一致している場合(ST215のYes)、情報提供装置1の処理部16は、所有者登録要求において指定された宝石IDを含む所有者情報における秘密情報を、新たな所有者としての登録を要求するユーザAにのみ提供されるべき別の秘密情報へ更新する(ST220)。この場合、例えば処理部16は、所有者登録要求において指定された宝石IDと、新たな所有者としての登録を要求するユーザAのユーザIDと、更新後の秘密情報とを含んだ一の所有者情報(図2D)を生成し、所有者情報DB24に登録する。
【0048】
その後、情報提供装置1の処理部16は、一の宝石の新たな所有者となったユーザAのユーザ端末装置3Aから、更新後の秘密情報を提供することを求める秘密情報要求を受けると(ST225)、当該一の宝石の宝石IDとユーザAのユーザIDとを含む所有者情報を所有者情報DB24において検索する。そして、処理部16は、この検索により見つかった所有者情報(複数の所有者情報が見つかった場合は、登録日が最も新しい所有者情報)に含まれる秘密情報を、要求元のユーザ端末装置3Aに提供する(ST230)。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、事業者による宝石の鑑定や鑑別の結果に関する鑑定・鑑別情報が記憶装置2において宝石IDに関連付けて格納されており、ユーザ端末装置3からの要求に応じて、この鑑定・鑑別情報の少なくとも一部がユーザ端末装置3に提供される。従って、オリジナルの書面でしか内容を見ることができない従来の鑑定書や鑑別書に比べて、鑑定結果や鑑別結果に関する情報を任意のユーザへ簡便に提供することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、一の宝石の所有者が変更された場合、新たな所有者は、前の所有者から取得した秘密情報を用いて、自分が新たな所有者であることを示す所有者情報を記憶装置2の所有者情報DB24に登録させることができる。これにより、一の宝石の所有者となったユーザは、所有者情報DB24に登録された所有者情報(図2E)の秘密情報を保持することによって、自分が当該一の宝石の所有者であることを証明し易くなる。しかも、自分が所有する宝石についての鑑定・鑑別情報を任意のユーザに対して簡便に提供できるため、自分が特定の宝石の所有者であることを任意のユーザに対して証明し易くなる。
【0051】
また、本実施形態によれば、一の宝石の所有者が変更された場合、新たな所有者のための所有者情報(図2D)が新規に生成されて所有者情報DB24に登録される。これにより、一の宝石に関する所有者の変遷の履歴を記録することが可能となる。
【0052】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、第2の実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。図6の例に示すシステムは、図1のシステムと同様の構成(情報提供装置1、ユーザ端末装置3、事業者端末装置4)に加えて、ブロックチェーンネットワーク8を有する。ブロックチェーンネットワーク8は、分散型台帳技術に基づくブロックチェーンによって非代替性トークン(non fungible token:NFT)を管理する多数のコンピュータのネットワークである。情報提供装置1、ユーザ端末装置3、事業者端末装置4は、それぞれブロックチェーンネットワーク8にアクセス可能であり、非代替性トークンに紐づけられた情報の閲覧や、非代替性トークンの所有権の取得、譲渡などを行うことができる。
【0053】
ブロックチェーンネットワーク8では、それぞれ一の宝石に対応する複数の非代替性トークンが発行されている。一の宝石に対応する一の非代替性トークンは、宝石情報DB23に登録された当該一の宝石の宝石IDに紐づけられている。
【0054】
図7Aは、本実施形態において宝石情報に含まれる情報の一例を説明するための図である。図7Aに示す宝石情報は、図2Cに示す宝石情報と同様な「宝石ID」、「登録日」、「検索タグ」を含むとともに、「トークン情報」を含む。
【0055】
一の宝石情報に含まれる一のトークン情報は、一の宝石の宝石IDに紐づけられた一の非代替性トークンをブロックチェーンネットワーク8において特定するための情報であり、例えばコントラクトアドレスとトークン番号を含む。
【0056】
図7Bは、本実施形態において所有者情報に含まれる情報の一例を説明するための図である。図7Bに示す所有者情報は、図2Dに示す所有者情報と同様な「宝石ID」、「登録日」、「ユーザID」を含むとともに、「ウォレット情報」を含む。
【0057】
一の所有者情報に含まれるウォレット情報は、一のユーザIDが示す一のユーザに対して割り当てられたウォレットアドレスと秘密鍵のペアを含む。
【0058】
一のウォレットアドレスは、ブロックチェーンネットワーク8において1以上の非代替性トークンの所有者を示す公開情報である。一の所有者情報における一のウォレットアドレスは、一のユーザが所有する一の宝石の宝石IDに紐づけられた非代替性トークンの所有者を示す。
【0059】
一のウォレットアドレスに対応する一の秘密鍵は、当該一のウォレットアドレスから他のウォレットアドレスへ非代替性トークンを移動させるために用いられる情報であり、当該一のウォレットアドレスにおいて非代替性トークンを所有するユーザのみが知るべき秘密情報である。一の所有者情報における一の秘密鍵は、一のユーザが所有する一の宝石の宝石IDに紐づけられた非代替性トークンを他のウォレットアドレスへ移動させるために用いられる。
【0060】
図8は、図6に示すシステムにおいて新たな宝石情報を登録する処理の一例を説明するための図である。
【0061】
情報提供装置1の処理部16は、一の宝石を所有するユーザのユーザ端末装置3から当該一の宝石の宝石情報を新規に登録することを求める宝石登録要求を受信すると(ST300)、当該一の宝石の宝石IDに紐づけられる一の非代替性トークンをブロックチェーンネットワーク8において発行させる処理を行う(ST305)。このとき処理部16は、発行した非代替性トークンを所有するためのウォレットアドレスと秘密鍵のペアを生成するようにブロックチェーンネットワーク8に対して指示する。
【0062】
ブロックチェーンネットワーク8は、情報提供装置1からの指示に応じて、非代替性トークンを発行するとともに、その非代替性トークンを所有するためのウォレットアドレスと秘密鍵のペアを生成する(ST310)。ブロックチェーンネットワーク8は、発行した非代替性トークンを特定するためのトークン情報、及び、その非代替性トークンを所有するために生成したウォレットアドレスと秘密鍵のペア(ウォレット情報)を情報提供装置1に提供する(ST315)。
【0063】
情報提供装置1の処理部16は、ステップST315においてブロックチェーンネットワーク8から取得したトークン情報に基づいて、このトークン情報が含まれた宝石情報(図7A)を生成し、宝石情報DB23に登録する(ST320)。また処理部16は、ステップST315においてブロックチェーンネットワーク8から取得したウォレット情報(ウォレットアドレスと秘密鍵のペア)に基づいて、このウォレット情報が含まれた所有者情報(図7B)を生成し、所有者情報DB24に登録する(ST325)。このとき処理部16は、宝石登録要求(ST300)を行ったユーザのユーザIDが含まれた所有者情報を生成する。
【0064】
ユーザ端末装置3は、一の宝石の宝石情報(図7A)に含まれるトークン情報に基づいて、このトークン情報により特定される非代替性トークンについての情報(ウォレットアドレス、宝石IDなど)をブロックチェーンネットワーク8に要求する(ST330)。この要求を受けたブロックチェーンネットワーク8は、ブロックチェーンにおいて管理された非代替性トークンの情報を取得し、要求元のユーザ端末装置3に提供する。ユーザ端末装置3は、ブロックチェーンネットワーク8から提供された非代替性トークンの情報(ウォレットアドレス、宝石IDなど)を表示部33に表示させる(ST340)。ユーザ端末装置3を利用するユーザは、ブロックチェーンネットワーク8から非代替性トークンの情報として提供された宝石IDに基づいて、宝石IDが示す一の宝石についての更に詳しい情報(鑑定・鑑別情報など)を情報提供装置1から取得して閲覧することができる。
【0065】
図9は、図6に示すシステムにおいて宝石の所有者を登録する処理の一例を説明するための図である。図9に示す例は、図5に示す例と同様に、ユーザBがユーザAへ一の宝石を譲渡した場合に、ユーザAを当該一の宝石の新たな所有者として登録する処理の例を示す。
【0066】
ユーザBのユーザ端末装置3Bは、ユーザAへ譲渡した一の宝石に関する所有者情報DB24(図7B)に含まれた秘密鍵を、当該一の宝石の宝石IDと共に、ユーザAのユーザ端末装置3Aへ電子メールなどにより送信する(ST400)。
【0067】
ユーザ端末装置3Aは、一の宝石の所有者情報(図7B)に含まれた秘密鍵を宝石IDと共に取得すると、情報提供装置1にアクセスして、当該一の宝石の新たな所有者として登録されること求める所有者登録要求を情報提供装置1に送信する(ST405)。この所有者登録要求は、例えば、所有者としての登録を要求するユーザAのユーザIDと、当該一の宝石の宝石IDと、秘密鍵を含む。
【0068】
情報提供装置1の処理部16は、ユーザ端末装置3Aから所有者登録要求を受信すると、所有者登録要求において指定された一の宝石の宝石IDが含まれる所有者情報を所有者情報DB24において検索する。そして処理部16は、検索により見つかった所有者情報に含まれる秘密鍵と、所有者登録要求において指定された秘密鍵とを照合する(ST410)。
【0069】
ステップST410の照合において2つの秘密情報が一致している場合(ST415のYes)、情報提供装置1の処理部16は、ブロックチェーンネットワーク8において、ユーザ端末装置3Aから取得した秘密鍵を用いて、所有者登録要求により指定された一の宝石の宝石情報(図7A)に含まれたトークン情報により特定される非代替性トークンを、当該非代替性トークンについて登録中のウォレットアドレスとは別の前記ウォレットアドレスに移動させる処理を行う(ST420)。
【0070】
例えば、情報提供装置1の処理部16は、ステップST410の照合において2つの秘密情報が一致している場合(ST415のYes)、ブロックチェーンネットワーク8からウォレットアドレスと秘密鍵とのペアを新規に取得する。そして処理部16は、ブロックチェーンネットワーク8において、ユーザ端末装置3Aから取得した秘密鍵を用いて、所有者登録要求により指定された一の宝石の宝石情報(図7A)に含まれたトークン情報により特定される非代替性トークンを、当該新規に取得したウォレットアドレスに移動させる。
【0071】
ブロックチェーンネットワーク8において非代替性トークンのウォレットアドレスの移動が行われると(ST425)、情報提供装置1の処理部16は、所有者登録要求により指定された一の宝石の所有者情報(図7B)に含まれるウォレットアドレスと秘密鍵とのペア(ウォレット情報)を、移動先のウォレットアドレスとこれに対応する秘密鍵とのペアに更新する。例えば処理部16は、移動先のウォレットアドレスを新規に取得した場合、所有者登録要求により指定された一の宝石の所有者情報(図7B)に含まれるウォレットアドレスと秘密鍵とのペア(ウォレット情報)を、新規に取得したウォレットアドレスとこれに対応する秘密鍵とのペアに更新する。また処理部16は、当該一の宝石の所有者情報に含まれるユーザIDを、所有者登録要求(ST405)に含まれたユーザAのユーザIDに更新する。
【0072】
その後、情報提供装置1の処理部16は、一の宝石の新たな所有者となったユーザAのユーザ端末装置3Aから、更新後の秘密鍵を提供することを求める秘密鍵要求を受けると(ST435)、当該一の宝石の宝石IDとユーザAのユーザIDとを含む所有者情報を所有者情報DB24において検索する。そして、処理部16は、この検索により見つかった所有者情報に含まれる秘密情報を、要求元のユーザ端末装置3Aに提供する(ST440)。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、ブロックチェーンネットワーク8において管理される非代替性トークンが宝石IDと紐づけられており、記憶装置2に記憶される宝石IDがウォレット情報(ウォレットアドレスと秘密鍵とのペア)とトークン情報とに関連付けられている。一の宝石の所有者を変更する場合、当該一の宝石の宝石IDに紐づけられた非代替性トークンが、ブロックチェーンネットワーク8において登録中のウォレットアドレスから別のウォレットアドレスに移転される。非代替性トークンの移転の際、所有者情報において宝石IDに関連付けられた秘密鍵が利用される。非代替性トークンが移転されると、所有者情報(図7B)に含まれる元のウォレット情報が移転先のウォレット情報に更新される。これにより、非代替性トークンの所有者(非代替性トークンの所有者のみが知る秘密鍵を保持したユーザ)を、非代替性トークンに紐づけられた宝石IDが示す宝石の所有者とみなすことが可能になるため、ブロックチェーンに裏付けられた高い信頼性の元で宝石の所有者を管理することができる。
【0074】
また本実施形態によれば、任意のユーザが、ブロックチェーンネットワーク8にアクセスして、宝石IDと紐づけられた非代替性トークンの所有者を示す情報(ウォレットアドレス)を確認できるとともに、情報提供装置1にアクセスして、宝石IDが示す宝石の鑑定・鑑別情報を閲覧できる。そのため、ブロックチェーンに裏付けられた高い信頼性の元で、自分が特定の宝石の所有者であることを任意のユーザに対して証明し易くなる。
【0075】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0076】
例えば、上述した各実施形態において、宝石の売買のオファーを情報提供装置1が仲介してもよい。これにより、閲覧可能な鑑定・鑑別情報に基づいて宝石の売買を行うことが可能になるため、信頼性と利便性の高い宝石の売買を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…情報提供装置1、11…通信部、15…記憶部、151…プログラム、16…処理部、2…記憶装置、21…事業者DB、22…ユーザDB、23…宝石情報DB、24…所有者情報DB、25…鑑定・鑑別情報、3,3A,3B…ユーザ端末装置、4…事業者端末装置、8…ブロックチェーンネットワーク、9…通信ネットワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9