(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172069
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/327 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
E06B9/327
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089551
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂上 健太
(72)【発明者】
【氏名】堀川 耕平
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA02
2E043BB04
2E043BC02
2E043CA03
2E043DA01
2E043DA03
2E043DA06
(57)【要約】
【課題】昇降ボックスをより安定した状態で支持することができる技術を提供する。
【解決手段】ヘッドボックスと、ヘッドボックスから昇降可能に吊り下げられる昇降ボックスと、昇降ボックスから吊り下げられる遮蔽材と、長尺に形成された昇降ボックスの長手方向に離間して設けられる2つの上方コードガイドと、長手方向に離間して2つの上方コードガイドの下方に設けられる2つの下方コードガイドと、ヘッドボックスに一端が連結され、遮蔽材より下方において設置される下部固定部に他端が連結される2つの第1ガイドコードとを備え、2つの第1ガイドコードは、長手方向に互いに離間するようにヘッドボックスに連結され、それぞれ、長手方向における同一方向側に設けられた上方コードガイドにより長手方向における逆方向側に引き回され、長手方向における逆方向側の下方コードガイドにより下方に垂下されて下部固定部に連結されることを特徴とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定的に設置されるヘッドボックスと、該ヘッドボックスから垂下される昇降コードにより昇降可能に吊り下げられる昇降ボックスと、該昇降ボックスから吊り下げられる遮蔽材とを備える遮蔽装置であって、
長尺に形成された昇降ボックスの長手方向に離間して設けられる2つの上方コードガイドと、
前記長手方向に離間して前記2つの上方コードガイドの下方に設けられる2つの下方コードガイドと、
前記ヘッドボックスに一端が連結されるとともに、前記遮蔽材より下方において固定的に設置される下部固定部に他端が連結される線状部材である2つの第1ガイドコードとを備え、
前記2つの第1ガイドコードは、前記長手方向に互いに離間するように前記ヘッドボックスに連結され、それぞれ、前記長手方向における同一方向側に設けられた上方コードガイドにより前記長手方向における逆方向側に引き回され、前記長手方向における逆方向側の下方コードガイドにより下方に垂下されて前記下部固定部に連結されることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記2つの下方コードガイドは、それぞれ、前記長手方向における同一方向側に設けられた上方コードガイドと前記長手方向に同一の位置、または前記長手方向における外方側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記2つの上方コードガイド及び前記2つの下方コードガイドは、前記昇降ボックスの背面側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記ヘッドボックスに一端が連結されるとともに前記下部固定部に他端が連結され、前記遮蔽材に上下方向に挿通される2つの第2ガイドコードを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記2つの上方コードガイド及び前記2つの下方コードガイドは、前記昇降ボックスにより画成される内部空間内に設けられることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記2つの第1ガイドコードは、前記遮蔽材を挿通するように設けられることを特徴とする請求項5に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
固定的に設置されるヘッドボックスと、該ヘッドボックスから垂下される昇降コードにより昇降可能に吊り下げられる昇降ボックスと、該昇降ボックスから吊り下げられる遮蔽材とを備える遮蔽装置であって、
長尺に形成された昇降ボックスの長手方向に離間して設けられる2つのコードガイドと、
前記ヘッドボックスに一端が連結されるとともに、前記遮蔽材より下方において固定的に設置される下部固定部に他端が連結される線状部材である2つの第1ガイドコードとを備え、
前記2つの第1ガイドコードは、前記長手方向に互いに離間するように前記ヘッドボックスに連結され、それぞれ、前記長手方向における同一方向側に設けられたコードガイドにより前記長手方向における逆方向側に引き回され、前記長手方向における逆方向側のコードガイドにより下方に垂下されて前記下部固定部に連結され、前記コードガイドは前記昇降ボックスの背面側に設けられることを特徴とする遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、遮蔽材を吊り下げ支持する遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遮蔽装置として、特許文献1に示されるものが知られている。この特許文献1には、巻取りヘッドボックスから垂下される昇降コードで昇降ボックスを吊下支持し、昇降コードの操作に基づいて昇降ボックスを昇降することにより、昇降ボックスから吊下支持されるスラットを昇降し、昇降ボックスの両端部に案内ワイヤーを挿通し、昇降ボックスの両端部の上部に上部滑車を設けるとともに下部に下部滑車を設け、滑車を案内ワイヤーの両側に当接するように配設したこと、が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される上述の技術によれば、上部滑車と下部滑車が昇降ボックスの上部及び下部で案内ワイヤーを挟むように支持するため、昇降ボックスの昇降動作時に昇降ボックスの回動を確実に防止して美観を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1においては、案内ワイヤーは昇降ボックスの回動を防止する効果を有するものの、案内ワイヤーに昇降ボックスの重量はかかっていない。昇降ボックスは、巻取りヘッドボックスの左右両端部から垂下される2本の昇降コードによって吊下支持される。このため、2本の昇降コードのみに昇降ボックス及びスラットの全重量がかかることになり、特に製品サイズが大きいものになると昇降ボックスの吊下支持状態が不安定になるという課題があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、昇降ボックスをより安定した状態で支持することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、固定的に設置されるヘッドボックスと、該ヘッドボックスから垂下される昇降コードにより昇降可能に吊り下げられる昇降ボックスと、該昇降ボックスから吊り下げられる遮蔽材とを備える遮蔽装置であって、長尺に形成された昇降ボックスの長手方向に離間して設けられる2つの上方コードガイドと、前記長手方向に離間して前記2つの上方コードガイドの下方に設けられる2つの下方コードガイドと、前記ヘッドボックスに一端が連結されるとともに、前記遮蔽材より下方において固定的に設置される下部固定部に他端が連結される線状部材である2つの第1ガイドコードとを備え、前記2つの第1ガイドコードは、前記長手方向に互いに離間するように前記ヘッドボックスに連結され、それぞれ、前記長手方向における同一方向側に設けられた上方コードガイドにより前記長手方向における逆方向側に引き回され、前記長手方向における逆方向側の下方コードガイドにより下方に垂下されて前記下部固定部に連結されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、固定的に設置されるヘッドボックスと、該ヘッドボックスから垂下される昇降コードにより昇降可能に吊り下げられる昇降ボックスと、該昇降ボックスから吊り下げられる遮蔽材とを備える遮蔽装置であって、長尺に形成された昇降ボックスの長手方向に離間して設けられる2つのコードガイドと、前記ヘッドボックスに一端が連結されるとともに、前記遮蔽材より下方において固定部に他端が連結される線状部材である2つの第1ガイドコードとを備え、前記2つの第1ガイドコードは、前記長手方向に互いに離間するように前記ヘッドボックスに連結され、それぞれ、前記長手方向における同一方向側に設けられたコードガイドにより前記長手方向における逆方向側に引き回され、前記長手方向における逆方向側のコードガイドにより下方に垂下されて前記下部固定部に連結され、前記コードガイドは前記昇降ボックスの背面側に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、昇降ボックスをより安定した状態で支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す背面図である。
【
図3】第1実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す側面図である。
【
図4】第1実施形態に係る、昇降ボックスが下降される状態にある遮蔽装置を示す背面図である。
【
図5】第1実施形態に係る、昇降ボックスが下限位置まで下降された状態にある遮蔽装置を示す背面図である。
【
図6】第1実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す要部拡大側面図である。
【
図7】第1実施形態に係る、昇降ボックスが上限位置まで上昇された状態にある遮蔽装置のヘッドボックス内部の構成を示す背面図である。
【
図8】第1実施形態に係る、昇降ボックスが下降される状態にある遮蔽装置のヘッドボックス内部の構成を示す背面図である。
【
図9】第1実施形態に係る、昇降ボックスが途中高さ位置で停止された状態にある遮蔽装置を示す概略背面図である。
【
図10】第1実施形態に係る、一方の昇降コードが断裂した状態にある遮蔽装置を示す概略背面図である。
【
図11】第1実施形態に係る、昇降ボックスが傾いた状態にある遮蔽装置を示す概略背面図である。
【
図12】第1実施形態に係る、傾いた昇降ボックスが上限位置まで上昇された状態にある遮蔽装置を示す概略背面図である。
【
図13】第2実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図である。
【
図14】第2実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態においては、遮蔽装置が設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面と背面とからなる方向を前後方向、前後方向及び上下方向に直交する方向を左右方向と称して説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<第1実施形態>
(遮蔽装置の全体構成)
【0013】
第1実施形態に係る遮蔽装置の全体構成について説明する。
図1~
図3は、それぞれ、本実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図、背面図、側面図である。
図4、
図5は、それぞれ、本実施形態に係る、昇降ボックスが下降される状態、昇降ボックスが下限位置まで下降された状態にある遮蔽装置を示す背面図である。
図6は、本実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す要部拡大側面図である。
図7、
図8は、それぞれ、本実施形態に係る、昇降ボックスが上限位置まで上昇された状態、昇降ボックスが下降される状態にある遮蔽装置のヘッドボックス内部の構成を示す背面図である。なお、
図1には、ヘッドボックスの一部が透過された遮蔽装置が示される。
【0014】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る遮蔽装置1は、横型ブラインドとして構成され、ヘッドボックス2、下部フレーム3、昇降ボックス4、ボトムレール5、複数のスラット6を備える。
【0015】
ヘッドボックス2は、内部に収容空間を画成する略直方体状に形成され、複数のブラケット21を介して窓枠の上枠や壁面等に固定される。
図1に示すように、ヘッドボックス2内には、駆動軸201、モーター202、エンコーダー203、電源ユニット204、制御ユニット205、駆動ユニット206、2つのガイドローラ207、2つの昇降ドラム210が設けられる。また、ヘッドボックス2の底面には、2つのスイッチ208が設けられる。なお、
図1には、一方のガイドローラ207、一方の昇降ドラム210のみが示される。
【0016】
下部フレーム3は、長尺な略板状に形成され、ヘッドボックス2の下方に位置する窓枠の下枠、床面、壁面等に固定される下部固定部である。下部フレーム3には、ボトムレール受け51、2つの収容ガイド52が設けられる。
【0017】
昇降ボックス4は、内部に収容空間を画成する略直方体状に形成され、ヘッドボックス2から垂下する2つの昇降コード22によってヘッドボックス2の直下に位置するように吊り下げ支持される。
図6に示すように、昇降ボックス4内には、その軸方向が昇降ボックス4の長手方向を向く回転軸401と、回転軸401と一体回転する2つのプーリ42とが設けられる。昇降ボックス4は、2つのプーリ42に2つの昇降コード22が巻き掛けられることによって吊り下げ支持される。
【0018】
ボトムレール5は、昇降ボックス4と下部フレーム3との間に位置付けられるように設けられる。複数のスラット6は、昇降ボックス4とボトムレール5との間に位置付けられるように設けられる。ボトムレール5及び複数のスラット6は、昇降ボックス4から垂下する3つのラダーコード41によって、上下方向に整列されるように支持される。
【0019】
駆動軸201は、その軸方向がヘッドボックス2の長手方向、即ち左右方向を向くように、ヘッドボックス2内において回転可能に支持される。モーター202は、駆動軸201を回転させる。エンコーダー203は、モーター202による駆動軸201の回転量を検出する。電源ユニット204は、モーター202及びエンコーダー203に電力を供給する。駆動ユニット206は、モーター202を駆動する。制御ユニット205は、遮蔽装置1の使用者が操作可能なコントローラーCN(
図12参照)から送出される動作指示、エンコーダー203により検出された回転量、及び後述する2つのスイッチ208による検出結果に基づいて、駆動ユニット206を介してモーター202を制御する。
【0020】
図7、
図8に示すように、2つの昇降ドラム210は、それぞれ、ドラム受け211、巻取ドラム212、ネジ軸213を備える。巻取ドラム212は、略円柱状に形成されて駆動軸201と一体回転可能に設けられ、昇降コード22の巻き取り、巻き解きを行う。ドラム受け211は、駆動軸201周りに回転可能に、且つ駆動軸201の軸方向に所定距離だけ移動可能に巻取ドラム212を支持する。ネジ軸213は、巻取ドラム212の回転力を駆動軸201の軸方向への直線運動に変換する。2つのガイドローラ207は、2つの昇降ドラム210に対応して設けられる。2つのガイドローラ207は、それぞれ、対応する昇降ドラム210よりも左右方向外方側に設けられ、対応する昇降ドラム210から導出される昇降コード22をヘッドボックス2の下方から導出するように案内する。
【0021】
図3、
図6に示すように、ヘッドボックス2から導出された2つの昇降コード22は、それぞれ、昇降ボックス4内に上方から導入され、対応するプーリ42に巻き掛けられ、昇降ボックス4から導出されて、その一端部がヘッドボックス2の底面に連結される。これによって、2つの昇降コード22が2つの昇降ドラム210に巻き取られると昇降ボックス4が上昇し、2つの昇降コード22が2つの昇降ドラム210から巻き解かれると昇降ボックス4が下降する。
【0022】
図3、
図6~
図8に示すように、2つのスイッチ208は、それぞれ、ヘッドボックス2の左右方向端部に設けられ、下方から押上可能にヘッドボックス2から突出するように設けられた押しボタンスイッチである。
図7に示すように、昇降ボックス4が上昇されて2つのスイッチ208を押上げた場合、制御ユニット205は、昇降ボックス4が上限位置に達したと判定し、2つの昇降ドラム210それぞれの巻取ドラム212を回転するモーター202の駆動を停止する。
【0023】
ボトムレール受け51は、可撓性を有する部材が略直方体状に形成されたものであり、下部フレーム3の上面における左右方向略中央部に設けられる。
図3に示すように、2つの収容ガイド52は、それぞれ、上下方向に延在する2つの板状部材を有する。2つの板状部材は、ボトムレール5及び複数のスラット6の前後幅以上の距離を空けて互いに離間するように下部フレーム3に設けられる。
【0024】
遮蔽装置1は、昇降ボックス4が昇降されることによって、昇降ボックス4により吊り下げ指示されるボトムレール5及び複数のスラット6も昇降される。
図4に示すように、ボトムレール5は、下部フレーム3に近接されるまで昇降ボックス4が下降されると、ボトムレール受け51上に載置されて下部フレーム3との直接の接触が防止される。この際、下部フレーム3は、ボトムレール5が2つの収容ガイド52それぞれの2つの板状部材の間に挿入されることによって前後方向への移動が規制される。
図5示すように、昇降ボックス4が下限位置まで下降されると、更に複数のスラット6が2つの収容ガイド52それぞれの2つの板状部材の間に挿入されることによって、前後方向への移動が規制される。
【0025】
(ガイド機構の構成)
第1実施形態に係るガイド機構の構成について説明する。
【0026】
遮蔽装置1はガイド機構を備え、ガイド機構は、上下方向のみに移動されるように昇降ボックス4を案内するとともに、昇降ボックス4を支持する第1ガイド機構と、上下方向のみに移動されるように昇降ボックス4、複数のスラット6及びボトムレール5を案内する第2ガイド機構とを有する。
【0027】
第1ガイド機構は、2つの第1ガイドコード71L,71Rと、2つの上方コードガイド72L,72Rと、2つの下方コードガイド73L,73Rと、2つの第1ガイドコード固定部74L,74Rとを備える。第2ガイド機構は、2つの第2ガイドコード81と、2つの第2コード固定部82とを備える。なお、第1ガイド機構が備える部材についてのみ、説明上、後方側から見て左側に位置する部材に参照符号の末尾に「L」が付され、後方側から見て右側に位置する部材に参照符号の末尾に「R」が付される。なお、以降の説明において、第1ガイド機構が備える部材に関して、左右の同一種類の部材を分別しない、または総称する場合、参照符号の末尾の「L」及び「R」を省略する。
【0028】
(第1ガイド機構の詳細構成及び動作)
第1実施形態に係る第1ガイド機構の詳細構成及び動作について説明する。
図9~
図12は、それぞれ、本実施形態に係る、昇降ボックスが途中高さ位置で停止された状態、一方の昇降コードが断裂した状態、昇降ボックスが傾いた状態、傾いた昇降ボックスが上限位置まで上昇された状態にある遮蔽装置を示す概略背面図である。
【0029】
図2~
図8に示すように、2つの上方コードガイド72、2つの下方コードガイド73は、昇降ボックス4の背面に設けられる。2つの第1ガイドコード固定部74、2つの第2コード固定部82は、下部フレーム3に設けられる。2つの第1ガイドコード71、2つの第2ガイドコード81は、いずれも線状に形成される部材である。ここで、線状とは、例えば、紐状またはテープ状であることを意味する。
【0030】
2つの上方コードガイド72、2つの下方コードガイド73は、いずれも、前後方向を向く軸周りに回転可能に設けられた真円状のベアリングとして構成され、その外周全域に亘って第1ガイドコード71の太さ以上の幅を有する溝が形成される。2つの上方コードガイド72、2つの下方コードガイド73のそれぞれに形成された溝によれば、外周に巻き掛けられた第1ガイドコード71を前後方向に移動しないように案内することができる。
【0031】
このように2つの上方コードガイド72、2つの下方コードガイド73は、昇降ボックス4の背面に露出した状態で設けられることで、昇降ボックス4に内蔵される他部品に影響されることなく配設できる。また、上方コードガイド72及び下方コードガイド73に対する第1ガイドコード71の引き回し作業が容易となる。
【0032】
上方コードガイド72L、下方コードガイド73Lは、後方側から見て昇降ボックス4の左側端部近傍に設けられ、上方コードガイド72R、下方コードガイド73Rは、後方側から見て昇降ボックス4の右側端部近傍に設けられる。昇降ボックス4が水平状態にある場合、上方コードガイド72Lは、下方コードガイド73Rよりも上方側に位置し、上方コードガイド72Rは、下方コードガイド73Lよりも上方側に位置する。
【0033】
2つの第1ガイドコード71は、それぞれ、
図7、
図8に示すように、一端がヘッドボックス2の底面に連結され、
図2~
図5に示すように、他端が対応する第1ガイドコード固定部74に連結される。
【0034】
第1ガイドコード71Lは、ヘッドボックス2の後方側から見て左側端部近傍から垂下し、上方コードガイド72Lに対して後方側から見て左上側から右下側に向かって巻き掛けられ、後方側から見て右側に引き回される。引き回された第1ガイドコード71Lは、下方コードガイド73Rに対して後方側から見て左上側から右下側に向かって巻き掛けられ、スラット6を挿通することなく下方に引き回されて第1ガイドコード固定部74Rに連結される。
【0035】
第1ガイドコード71Rは、ヘッドボックス2の後方側から見て右側端部近傍から垂下し、上方コードガイド72Rに対して後方側から見て右上側から左下側に向かって巻き掛けられ、後方側から見て左側に引き回される。引き回された第1ガイドコード71Rは、下方コードガイド73Lに対して後方側から見て右上側から左下側に向かって巻き掛けられ、スラット6を挿通することなく下方に引き回されて第1ガイドコード固定部74Lに連結される。
【0036】
このように構成された第1ガイド機構によれば、平常時においては、
図9に示すように、2つの昇降コード22の巻き取り/巻き解きによって上下方向のみに移動するように昇降ボックス4を水平状態に保ったまま案内することができる。
【0037】
また、
図10に示すように、何らかの要因で片側の昇降コード22に破断が生じてしまうと、昇降ボックス4は一方の昇降コードに吊り下げられた状態で破断した側に傾くことになる。このとき、一方の下方コードガイド73の上端が他方の上方コードガイド72の下端と略同じ高さとなることで、これらに巻き掛けられる第1ガイドコード71に張力が付与される。これによって、
図11に示すように、昇降ボックス4が更に傾くことが規制され、昇降ボックス4の落下が防止される。
【0038】
更に、
図12に示すように、コントローラーCNからの上昇動作指示があっても、昇降ボックス4は落下せず、第1ガイド機構により防止された傾き以上に傾くことなく、昇降ボックス4を上昇させることができる。
【0039】
なお、上方コードガイド72と下方コードガイド73との左右方向位置は同一でなくとも良く、下方コードガイド73は、上方コードガイド72と左右方向に同一位置であるか、上方コードガイド72よりも左右方向外方側に位置するように設けられることが望ましい。下方コードガイド73を上方コードガイド72よりも左右方向外方側に位置するように配置した場合、片側の昇降コード22が破断したときの昇降ボックス4の傾きを小さくできる。
【0040】
また、本実施形態において、2つの上方コードガイド72及び2つの下方コードガイド73は、いずれもベアリングとして構成されているが、線状部材を引き回すように巻き掛けられることができるものであれば良く、線状部材との間に生じる摩擦を軽減させるものであることが望ましい。
【0041】
また、本実施形態において、第1ガイドコード71は、一端がヘッドボックス2に連結され、他端が第1ガイドコード固定部74に連結されるようにしたが、ボトムレール5が窓枠の下枠、床面、壁面等に固定されていれば、他端をボトムレール5に連結してもよい。この場合、ボトムレール5が下部固定部となる。
【0042】
(第2ガイド機構の詳細構成及び動作)
第1実施形態に係る第2ガイド機構の詳細構成及び動作について説明する。
【0043】
2つの第2ガイドコード81は、それぞれ、
図7、
図8に示すように、一端がヘッドボックス2の底面に連結され、
図1~
図5に示すように、他端が対応する第2コード固定部82に固定される。昇降ボックス4及び複数のスラット6のそれぞれには、上下方向に貫通する2つの孔が左右方向両端部近傍に形成される。
【0044】
2つの第2ガイドコード81は、ヘッドボックス2と下部フレーム3との間において、昇降ボックス4及び複数のスラット6の両端部にそれぞれに形成された孔に挿通される。より具体的には、左右方向一方側の第2ガイドコード81は、左右方向一方側に形成された孔に挿通され、左右方向他方側の第2ガイドコード81は、左右方向他方側に形成された孔に挿通される。
【0045】
このような2つの第2ガイドコード81及び2つの第2コード固定部82を備える第2ガイド機構によれば、昇降ボックス4及び複数のスラット6が前後左右に揺れることを防止し、特に複数のスラット6が上下方向のみに移動するように案内される。
【0046】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る遮蔽装置の構成について説明する。
図13、
図14は、それぞれ、本実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図、要部拡大側面図である。
【0047】
図13、
図14に示すように、本実施形態に係る遮蔽装置1Aは、ハニカムスクリーンとして構成される点が、横型ブラインドとして構成される第1実施形態に係る遮蔽装置1とは異なる。このため、遮蔽装置1Aは、複数のスラット6に代えてスクリーン6Aを備える点が遮蔽装置1とは異なる。スクリーン6Aは、上下方向に畳み込み可能な断面6角形の複数の筒状のセルが連結された遮蔽部材であり、その上端が昇降ボックス4の下面に連結されるとともに、その下端がボトムレール5の上面に連結される。
【0048】
更に、遮蔽装置1Aは、2つの上方コードガイド72及び2つの下方コードガイド73が、昇降ボックス4Aの背面ではなく、昇降ボックス4Aにより画成される内部空間内に設けられる点、第2ガイド機構が省略されている点が遮蔽装置1とは異なる。また、この差異に伴って、2つの第1ガイドコード71は、それぞれ、昇降ボックス4A、スクリーン6A、ボトムレール5を貫通するように設けられる点が遮蔽装置1とは異なる。
【0049】
このように、ガイド機構は、横型ブラインドだけでなく、ハニカムスクリーン、又はプリーツスクリーン等の遮蔽装置にも適用することができる。更に、遮蔽材を貫通するように2つの第1ガイドコード71を設けることによって、第2ガイド機構を省略して遮蔽材を上下方向のみに移動するように案内することができる。
【0050】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0051】
1,1A 遮蔽装置
2 ヘッドボックス
3 下部フレーム(下部固定部)
4 昇降ボックス
5 ボトムレール
6 スラット(遮蔽材)
6A スクリーン(遮蔽材)
71 第1ガイドコード
72 上方コードガイド
73 下方コードガイド
81 第2ガイドコード