(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172070
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ケーブル作業車
(51)【国際特許分類】
B65H 75/34 20060101AFI20241205BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20241205BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65H75/34
H02G1/02
B60P3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089552
(22)【出願日】2023-05-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 令和5年3月14日 販売した場所 株式会社関電工 神奈川支店 藤沢営業所(神奈川県藤沢市大庭837)
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】八鍬 政和
(72)【発明者】
【氏名】須田 元昭
(72)【発明者】
【氏名】松平 功介
【テーマコード(参考)】
3F068
5G352
【Fターム(参考)】
3F068AA12
3F068AA13
3F068BA20
3F068CA02
3F068DA05
3F068EA08
3F068FA06
3F068GA00
5G352AA09
5G352AA10
(57)【要約】
【課題】一旦回転停止したケーブルドラムの回転速度を、回転停止前の回転速度に容易に戻すことができるケーブル作業車を提供する。
【解決手段】走行可能な車体と、車体上に設けられ、ケーブルを巻き取り可能なケーブルドラムを回転可能に保持するアームと、アームに保持されたケーブルドラムの回転開始および回転停止、回転方向ならびに回転速度を指示する遠隔操作装置11と、遠隔操作装置11の指示に基づいてアームに保持されたケーブルドラムの回転を制御するコントローラ60と、を備え、コントローラ60は、遠隔操作装置11の指示に基づいて、一方向に回転しているケーブルドラムを回転停止させた後に、再度、ケーブルドラムを一方向へ回転させる場合は、ケーブルドラムの回転速度をケーブルドラムの回転停止を指示した時点の回転速度となるように制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車体と、
前記車体上に設けられ、ケーブルを巻き取り可能なケーブルドラムを回転可能に保持するドラム保持装置と、
前記ドラム保持装置に保持されたケーブルドラムの回転開始および回転停止、回転方向ならびに回転速度を指示する回転指示装置と、
前記回転指示装置の指示に基づいて前記ドラム保持装置に保持されたケーブルドラムの回転を制御する回転制御装置と、を備え、
前記回転制御装置は、前記回転指示装置の指示に基づいて、一方向に回転している前記ケーブルドラムを回転停止させた後に、再度、前記ケーブルドラムを前記一方向へ回転させる場合は、前記ケーブルドラムの回転速度を前記ケーブルドラムの回転停止を指示した時点の回転速度となるように制御することを特徴とするケーブル作業車。
【請求項2】
前記回転制御装置は、前記回転指示装置の指示に基づいて、前記ケーブルドラムの回転速度を前記ケーブルドラムの回転停止を指示した時点の回転速度とする場合は、前記ケーブルドラムを所定の初期回転速度で、所定時間の間、回転させた後に、前記ケーブルドラムの回転停止を指示した時点の回転速度へ移行させることを特徴とする請求項1に記載のケーブル作業車。
【請求項3】
前記回転制御装置は、前記回転指示装置の指示に基づいて、前記一方向へ回転している前記ケーブルドラムを回転停止させてから、再度前記ケーブルドラムを前記一方向へ回転させるまでの間に、前記回転指示装置によって前記ケーブルドラムを前記一方向とは逆方向に回転させる指示がされた場合は、前記ケーブルドラムを再度、前記一方向に回転させる際に、前記ケーブルドラムを前記所定の初期回転速度で回転させ、前記回転指示装置によって新たに回転速度が指示されるまでは、前記所定の初期回転速度を維持することを特徴とする請求項2に記載のケーブル作業車。
【請求項4】
前記回転指示装置とは別に、前記ケーブルドラムの回転開始および回転停止、回転方向、ならびに回転速度を指示する第2の回転指示装置を備え、
前記回転制御装置は、前記回転指示装置の指示に基づいて、前記一方向へ回転している前記ケーブルドラムを回転停止させてから、再度前記ケーブルドラムを前記一方向へ回転させるまでの間に、前記第2の回転指示装置を用いて指示が行われた場合は、前記ケーブルドラムを再度、前記一方向に回転させる際に、前記ケーブルドラムを前記所定の初期回転速度で回転させ、前記回転指示装置によって新たに回転速度が指示されるまでは、前記所定の初期回転速度を維持することを特徴とする請求項2に記載のケーブル作業車。
【請求項5】
前記回転制御装置は、前記回転指示装置の指示に基づいて、前記一方向へ回転している前記ケーブルドラムを回転停止させてから、再度前記ケーブルドラムを前記一方向へ回転させるまでの間に、前記車体に設けられたエンジンを停止し、その後、前記エンジンを再始動する操作が行われた場合は、前記ケーブルドラムを再度、前記一方向に回転させる際に、前記ケーブルドラムを前記所定の初期回転速度で回転させ、前記回転指示装置によって新たに回転速度が指示されるまでは、前記所定の初期回転速度を維持することを特徴とする請求項2に記載のケーブル作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの敷設および撤去作業に用いられるケーブル作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来ケーブル作業車は、例えば特許文献1に記載されているように、トラックの車体にケーブルが巻回されたケーブルドラムを回転可能に支持するスイングアームを設け、このスイングアームの側面には、上述したケーブルドラムを回転駆動する駆動装置が設けられている。このようなケーブル作業車を用いて、例えば2本の電柱の間に架設されている古いケーブルを新しいケーブルに交換する場合、まず、一方の電柱の近くに上述したケーブル作業車を駐車し、他方の電柱の近くに古いケーブルを巻き取るためのウインチを備えた他の作業車を駐車させる。
【0003】
そして、一方の電柱に架け渡されている古いケーブルの一方端をケーブル作業車のケーブルドラムに取り付け、他方の電柱に架け渡されている古いケーブルの他方端を他の作業車のウインチのワイヤに取り付ける。この状態で、ケーブル作業車の駆動装置によってケーブルドラムを巻取り方向に回転させることで、古いケーブルをケーブルドラムに巻き取るとともに、古いケーブルの他方端に取り付けられたウインチのワイヤをケーブルドラムの近傍まで引き寄せる。
【0004】
次に、ケーブル作業車において、古いケーブルを巻き取ったケーブルドラムを、新しいケーブルが巻回されたケーブルドラムに交換し、新しいケーブルの先端に引き寄せたワイヤを取り付ける。そして、他の作業車のウインチを巻取駆動するとともに、駆動装置によってケーブル作業車のケーブルドラムから新しいケーブルが繰り出される速度を制御することで、他の作業車のウインチによってワイヤを巻き取りつつ、ケーブル作業車のケーブルドラムから新しいケーブルが繰り出されて、一方の電柱から他方の電柱へ架け渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したようなケーブル作業車では、通常、ケーブルの敷設または撤去作業の進行状況や、当該作業の過程で変化するケーブルドラムにおけるケーブルの巻取径などに応じて、作業者がケーブルドラムの回転速度を調整することができるようになっている。ここで、ケーブルの敷設または撤去作業の状況に適した回転速度でケーブルドラムを回転駆動しているときに、たとえば、駆動装置の連続作動時間に関する制約や、ケーブルの位置合わせのためにケーブルドラムの回転駆動を一旦停止させることがある。このような場合、ケーブルドラムの回転駆動を再開したときにケーブルドラムの回転速度を一旦停止する前の回転速度に戻すには、作業者がケーブルドラムの回転速度を再度調整する必要があるため、作業者の操作が煩雑となりケーブルの敷設または撤去作業の作業性が低下することになる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ケーブルドラムの回転駆動を一旦停止した後、再度ケーブルドラムを回転駆動する際に、回転停止前の回転速度に容易に戻すことができるケーブル作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るケーブル作業車は、走行可能な車体と、前記車体上に設けられ、ケーブルを巻き取り可能なケーブルドラムを回転可能に保持するドラム保持装置(例えば、実施形態におけるアーム40およびシャフト43)と、前記ドラム保持装置に保持されたケーブルドラムの回転開始および回転停止、回転方向ならびに回転速度を指示する回転指示装置(例えば、実施形態における遠隔操作装置11)と、前記回転指示装置の指示に基づいて前記ドラム保持装置に保持されたケーブルドラムの回転を制御する回転制御装置(例えば、実施形態におけるコントローラ60)と、を備え、前記回転制御装置は、前記回転指示装置の指示に基づいて、一方向に回転している前記ケーブルドラムを回転停止させた後に、再度、前記ケーブルドラムを前記一方向へ回転させる場合は、前記ケーブルドラムの回転速度を前記ケーブルドラムの回転停止を指示した時点の回転速度となるように制御することを特徴とする。
【0009】
また、上記構成のケーブル作業車において、前記回転制御装置は、前記ケーブルドラムの回転速度を、前記回転指示装置の指示に基づいて、前記ケーブルドラムの回転停止を指示した時点の回転速度とする場合は、前記ケーブルドラムが所定の初期回転速度で、所定時間の間、回転させた後に、前記ケーブルドラムの回転停止を指示した時点の回転速度へ移行させることが好ましい。
【0010】
また、上記構成のケーブル作業車において、前記回転制御装置は、前記回転指示装置の指示に基づいて、前記一方向へ回転している前記ケーブルドラムを回転停止させてから、再度前記ケーブルドラムを前記一方向へ回転させるまでの間に、前記回転指示装置によって前記ケーブルドラムを前記一方向とは逆方向に回転させる指示がされた場合は、前記ケーブルドラムを再度、前記一方向に回転させる際に、前記ケーブルドラムを前記所定の初期回転速度で回転させ、前記回転指示装置によって新たに回転速度が指示されるまでは、前記所定の初期回転速度を維持することが好ましい。
【0011】
また、上記構成のケーブル作業車において、前記回転指示装置とは別に、前記ケーブルドラムの回転開始および回転停止、回転方向、ならびに回転速度を指示する第2の回転指示装置(例えば、実施形態における下部操作装置25)を備え、前記回転制御装置は、前記一方向へ回転している前記ケーブルドラムを回転停止させてから、再度前記ケーブルドラムを前記一方向へ回転させるまでの間に、前記第2の回転指示装置を用いて指示が行われた場合は、前記ケーブルドラムを再度、前記一方向に回転させる際に、前記ケーブルドラムを前記所定の初期回転速度で回転させ、前記回転指示装置によって新たに回転速度が指示されるまでは、前記所定の初期回転速度を維持することが好ましい。
【0012】
また、上記構成のケーブル作業車において、前記回転制御装置は、前記回転指示装置の指示に基づいて、前記一方向へ回転している前記ケーブルドラムを回転停止させてから、再度前記ケーブルドラムを前記一方向へ回転させるまでの間に、前記車体に設けられたエンジンを停止し、その後、前記エンジンを再始動する操作が行われた場合は、前記ケーブルドラムを再度、前記一方向に回転させる際に、前記ケーブルドラムを前記所定の初期回転速度で回転させ、前記回転指示装置によって新たに回転速度が指示されるまでは、前記所定の初期回転速度を維持することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るケーブル作業車によれば、回転制御装置が、前記回転指示装置の指示に基づいて、一方向に回転しているケーブルドラムを回転停止させた後に、再度、ケーブルドラムを一方向へ回転させる場合は、ケーブルドラムの回転速度をケーブルドラムの回転停止を指示した時点の回転速度となるように制御するので、ケーブルドラムの回転を再開し
たときに、ケーブルドラムの回転速度を回転停止前の回転速度に復帰させるための前記回転指示装置による指示が不要となる。したがって、作業者は、ケーブルドラムの回転速度が回転停止前の回転速度となるように前記回転指示装置を操作する必要が無いため、ケーブルの敷設または撤去作業の作業性の低下を防ぐことができる。
【0014】
また、上記構成の作業車において、回転制御装置は、前記回転指示装置の指示に基づいて、ケーブルドラムの回転速度をケーブルドラムの回転停止を指示した時点の回転速度とする場合は、ケーブルドラムを所定の初期回転速度で、所定時間の間、回転させた後に、回転停止を指示した時点の回転速度に戻すように構成してもよい。これにより、所定の初期回転速度および所定時間を適宜定めることで、ケーブルドラムの回転速度が急激に上昇するのを避けることができ、ケーブルの敷設または撤去作業の安全性を向上させることができる。
【0015】
また、上記構成の作業車において、回転制御装置は、一方向へ回転しているケーブルドラムを回転停止させてから、再度ケーブルドラムを一方向へ回転させるまでの間に、ケーブルドラムを逆方向に回転させた場合、上記の回転指示装置とは別に第2の回転指示装置を設けて当該第2の回転指示装置で操作が行われた場合、または、車体のエンジンを停止してから再始動した場合は、前記回転指示装置の指示に基づいて、ケーブルドラムを再度、一方向に回転させる際に、ケーブルドラムを所定の初期回転速度で回転させ、前記回転指示装置によって新たに回転速度が指示されるまでは、所定の初期回転速度を維持するように構成してもよい。ここで、上述したケーブルドラムを逆方向に回転させた場合、上記の回転指示装置とは別に第2の回転指示装置を設けて当該第2の回転指示装置で指示された場合、および、車体のエンジンを停止してから再始動した場合は、それまで行っていた作業とは異なる作業が行われたことが考えられる。このため、その後ケーブルドラムを再度一方向に回転させる際は、前記回転指示装置によって新たに回転速度が指示されるまでは、初期回転速度を維持することで、ケーブルドラムの回転速度が急激に上昇するのを避けることができ、ケーブルの敷設または撤去作業の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るケーブル作業車の左側面を示す側面図である。
【
図2】上記ケーブル作業車の背面を示す背面図である。
【
図3】上記ケーブル作業車の遠隔操作装置の外観を示す正面図である。
【
図4】上記ケーブル作業車に取り付けられたケーブルドラムの回転速度を制御する駆動制御部の構成を示すブロック図である。
【
図5】上記ケーブル作業車に取り付けられたケーブルドラムの回転速度の制御内容を示すグラフである。
【
図6】上記ケーブル作業車に取り付けられたケーブルドラムの回転速度の制御内容を示すグラフである。
【
図7】上記ケーブル作業車に取り付けられたケーブルドラムの回転速度の制御内容を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るケーブル作業車1の全体構成について
図1および
図2を参照して説明する。ここで、
図1は本実施形態のケーブル作業車1の側面図、
図2はケーブル作業車1の背面図である。また、前後左右上下方向については、
図1および
図2に示す矢印の方向に従う。具体的には、
図1に示す側面図において、後述する運転キャビン3側を「前」、後述するジャッキ6側を「後」とし、
図2に示す背面図において、ケーブル作業車1の前進方向に向かって右側を「右」、左側を「左」とする。
【0018】
ケーブル作業車1は、
図1に示すように、車体2の前部に運転キャビン3を有し、車体2の前後に配設された左右一対のタイヤ車輪5により走行可能なトラック車両をベースに構成されている。なお、車輪5について前輪と後輪とを区別して参照する場合は、前輪5f、後輪5rと称する。車体2の後側左右には、
図2に示すように、車体2を安定した状態にするためのジャッキ6が配設されている。ジャッキ6の内部にはジャッキシリンダ(図示略)が設けられており、ケーブルの敷設または撤去作業時は、このジャッキシリンダを駆動して下方に伸長駆動することでジャッキ6の下端を接地させ、それにより車体2を安定させた状態にする。
【0019】
運転キャビン3の後方の架装領域には、車体2の左右側において対向するように2本のアーム40が設けられている。ここで、
図2に示すように、車体2の左側に設けられたアーム40を左アーム40L、車体2の右側に設けられたアーム40を右アーム40Rという。左アーム40Lおよび右アーム40Rは、
図2に示す回転シャフト41の両端部を回転可能に軸支し、回転シャフト41は、ケーブルドラムDの胴部の中心に設けられた貫通孔へ挿入され、ケーブルドラムD内を貫通した状態で、その両端部が左右一対のアーム40によって回転可能に支持される。また、左アーム40Lおよび右アーム40Rの基端部は連結部材42の両端部に各々定されており、連結部材42は、
図2に示すように、取付部材43L,43Rが固定されている。そして、取付部材43L,43Rは、車体2の架装領域後部に取り付けられた軸支部材44L,44Rの揺動軸Oaによって軸支されており、起伏シリンダ45を伸縮駆動することによってアーム40が揺動軸Oaを中心に
図1に示す矢印aの方向(前後方向)に揺動作動する。これにより、左アーム40Lおよび右アーム40Rを後方へ揺動作動させて回転シャフト41の位置を車体2よりも後方へ移動させることで、回転シャフト41へのケーブルドラムDの取付作業や取外作業を地上で行うことができる。
【0020】
回転シャフト41の右端部にはスプラインが形成されており、このスプラインは、駆動プレート46の基端部に形成されたスプライン穴に噛合する。駆動プレート46の先端部側は、
図1に示すように、木製ドラム用アタッチメント46aと鉄製ドラム用アタッチメント46bとを備えている。木製ドラム用アタッチメント46aは、駆動プレート46を木製のケーブルドラムの鍔部に固定するための固定具であり、鉄製ドラム用アタッチメント46bは、駆動プレート46を鉄製のケーブルドラムの鍔部に固定するための固定具である。回転シャフト41の右端部に形成されたスプラインには、駆動プレート46に加えて、中心に駆動プレート46と同様のスプライン穴が形成された被動ギヤ47が噛合している。
【0021】
図2に示す右アーム40Rには、回転シャフト41およびアーム40によって支持されたケーブルドラムDを回転させるための駆動装置50(
図1参照)が設けられている。駆動装置50の内部には、駆動源となる油圧モータ51(
図1において破線で示す)と、上述した被動ギヤ47と噛合して油圧モータ51の駆動軸の回転を伝達する駆動ギヤ52と、駆動ギヤ52の回転を制動する制動装置53とが設けられている。
【0022】
以上の構成により、駆動プレート46を木製ドラム用アタッチメント46aまたは鉄製ドラム用アタッチメント46bによってケーブルドラムDの鍔部に固定し、その状態で油圧モータ51を駆動すると、油圧モータ51の回転は駆動ギヤ52を介して被動ギヤ47に伝達され、被動ギヤ47の回転に伴って回転シャフト41および駆動プレート46も回転する。そして、駆動プレート46の回転に伴って駆動プレート46が固定されているケーブルドラムDも回転することになる。
【0023】
図1において、運転キャビン3とアーム40との間には、トラバーサ48が設けられている。トラバーサ48の先端には、
図2に示すように上下方向に対向して設けられた一対
のローラと、左右方向に対向して設けられた一対のローラとで構成された4つのローラからなる四面ローラ48aが設けられており、四面ローラ48aの中央部の空間内にケーブルCを通し、ケーブルドラムDからケーブルCを繰り出す、またはケーブルCをケーブルドラムDに巻き取る際にケーブルCをガイドする。
【0024】
トラバーサ48の内部には伸縮シリンダ48b(
図4参照)が設けられており、この伸縮シリンダ48bを伸縮駆動することで、ケーブルの繰り出しまたは巻き取り中に変化するケーブルドラムDにおけるケーブルの巻取径に応じて四面ローラ48aの位置を上下方向に移動させることができる。また、
図2の矢印bに示すように、トラバーサ48は基端部を軸として左右方向に揺動可能となっており、トラバーサ48の基端部近傍に設けられた揺動シリンダ48c(
図4参照)を伸縮駆動することで、ケーブルドラムDにおけるケーブルの巻取位置の変化に応じて四面ローラ48aの位置を左右方向に移動させることができる。
【0025】
また
図1に示すように、トラバーサ48と起伏シリンダ45との間には、アーム40の揺動作動、ケーブルドラムDの回転方向(巻取/繰出)、トラバーサ48の揺動作動および伸縮作動などを操作するための下部操作装置25が設けられている。前輪5fと後輪5rとの間には、起伏シリンダ45、トラバーサ48の内部に設けられた伸縮シリンダ48b、および油圧モータ51などの、油圧によって作動するアクチュエータ(以下、「油圧アクチュエータ」という。)に供給する作動油を貯蔵する作動油タンク30が設けられている。さらに後輪5rとジャッキ6との間には、次に説明する遠隔操作装置11を収容する収納ボックス10が設けられている。
【0026】
遠隔操作装置11は、
図3に示すように、コントロールケーブルCCBによって後述するコントローラ60(
図4参照)と電気的に接続されており、遠隔操作装置11に設けられた各種スイッチに対して行われた操作に応じた操作信号をコントローラ60へ出力する。遠隔操作装置11に設けられた各種スイッチには、次のようなものがある。まずイネーブルスイッチ12はモーメンタリタイプの押ボタン式スイッチであり、矢印dの方向へ押し込むとオンになる。
【0027】
イネーブルスイッチ12は、後述するアーム揺動スイッチ13、ドラム速度切替スイッチ14、トラバーサ揺動スイッチ15、ドラム繰出スイッチ16およびドラム巻取スイッチ18のオン状態を有効または無効にするスイッチである。例えば、イネーブルスイッチ12がオンになっているときに、アーム揺動スイッチ13をオンにした場合は、後述するコントローラ60においてアーム揺動スイッチ13のオン状態は有効となるが、この状態でイネーブルスイッチ12がオフになった場合は、アーム揺動スイッチ13のオン状態が無効となる(すなわちオフ状態として扱われる)。
【0028】
アーム揺動スイッチ13は、モーメンタリタイプの押ボタン式スイッチである前方揺動スイッチ13aと後方揺動スイッチ13bとで構成されている。イネーブルスイッチ12がオンになっている状態で前方揺動スイッチ13aがオンにされると、その間アーム40が前方へ傾いていき、イネーブルスイッチ12がオンになっている状態で後方揺動スイッチ13bがオンにされると、その間アーム40が後方へ傾いていく。
【0029】
ドラム速度切替スイッチ14は、モーメンタリタイプの押ボタン式スイッチである速度増加スイッチ14aと速度減少スイッチ14bとで構成されている。イネーブルスイッチ12がオンになっており、かつ、ケーブルドラムDが回転している状態で速度増加スイッチ14aがオンにされると、オンされるごとにケーブルドラムDの回転速度が所定のステップ分だけ速くなっていく。また、イネーブルスイッチ12がオンになっており、かつ、ケーブルドラムDが回転している状態で速度減少スイッチ14bがオンにされると、オン
されるごとにケーブルドラムDの回転速度が所定のステップ分だけ遅くなっていく。
【0030】
トラバーサ揺動スイッチ15は、モーメンタリタイプの押ボタン式スイッチである左揺動スイッチ15aと右揺動スイッチ15bとで構成されている。イネーブルスイッチ12がオンになっている状態で左揺動スイッチ15aがオンにされると、その間トラバーサ48が左方へ傾いていき、イネーブルスイッチ12がオンになっている状態で右揺動スイッチ15bがオンにされると、その間トラバーサ48が右方へ傾いていく。
【0031】
ドラム繰出スイッチ16は、モーメンタリタイプの押ボタン式スイッチであり、イネーブルスイッチ12がオンになっている状態でオンにされると、その間ケーブルドラムDが
図1中、反時計回りに回転してケーブルCが繰り出される。また、この間、ドラム繰出表示灯17が点灯する。ドラム巻取スイッチ18は、モーメンタリタイプの押ボタン式スイッチであり、イネーブルスイッチ12がオンになっている状態でオンにされると、その間ケーブルドラムDが
図1中、時計回りに回転してケーブルCが巻き取られる。また、この間ドラム巻取表示灯19が点灯する。
【0032】
なお、下部操作装置25にも上述したイネーブルスイッチ12、アーム揺動スイッチ13、ドラム繰出スイッチ16およびドラム巻取スイッチ18と同様の機能を有するスイッチに加え、トラバーサ48を伸縮作動させるトラバーサ伸縮スイッチが設けられている。下部操作装置25のイネーブルスイッチは、オンとオフの2ポジションを有するモーメンタリタイプのトグルスイッチで、何ら操作されていない状態ではオフになっている。また、下部操作装置25のアーム揺動スイッチは、前方、オフ、後方の3ポジションを有する一つのモーメンタリタイプのトグルスイッチにまとめられており、何ら操作されていない状態ではオフになっている。さらに、下部操作装置25のドラム繰出スイッチおよびドラム巻取スイッチは、繰出、オフ、巻取の3ポジションを有する一つのモーメンタリタイプのトグルスイッチ(以下、「ケーブル繰出/巻取スイッチ」と称する)にまとめられており、何ら操作されていない状態ではオフになっている。なお、下部操作装置25には、遠隔操作装置11に設けられているドラム速度切替スイッチ14およびトラバーサ揺動スイッチ15に相当するスイッチは設けられていない。
【0033】
次に
図4を参照して、遠隔操作装置11および下部操作装置25の操作に応じてケーブルドラムDの回転速度を制御するための構成について説明する。
図4に示すように、ケーブル作業車1は、作動油タンク30(
図1参照)と、作動油タンク30に貯蔵された作動油を各油圧アクチュエータへ供給するための油圧ポンプ31と、油圧ポンプ31から各油圧アクチュエータに供給する作動油の供給方向および供給量を制御する制御バルブ32と、遠隔操作装置11および下部操作装置25からの操作信号に基づいて制御バルブ32を制御し、各油圧アクチュエータを駆動制御するコントローラ60とを備えている。
【0034】
油圧ポンプ31は、車体2の走行用のエンジン4の駆動力によって作動する。エンジン4のトランスミッション8にはパワーテイクオフ機構9が組み込まれており、運転キャビン3内にあるPTO操作レバー7がオフからオンに操作されるとパワーテイクオフ機構9の機構部が作動し、エンジン4の駆動力が油圧ポンプ31に伝達されるようになる。また、PTO操作レバー7がオンからオフに操作されると、エンジン4の駆動力はトランスミッション8を介して車体2の後輪5rに伝達されるようになる。制御バルブ32は、油圧モータ51に対応する電磁比例制御バルブV1、起伏シリンダ45に対応する電磁比例制御バルブV2、伸縮シリンダ48bに対応する電磁比例制御バルブV3、および揺動シリンダ48cに対応する電磁比例制御バルブV4を有している。
【0035】
遠隔操作装置11または下部操作装置25から出力された操作信号がコントローラ60へ入力されると、コントローラ60は、その操作信号に応じた指令信号を制御バルブ32
へ出力する。制御バルブ32は、コントローラ60からの指令信号に基づき、各電磁比例制御バルブV1~V4のスプールを電磁駆動して、油圧ポンプ31から各油圧アクチュエータに供給される作動油の供給方向および供給量を制御し、各油圧アクチュエータの作動方向および作動速度を制御する。
【0036】
例えば、遠隔操作装置11のイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16(
図3参照)とが共にオンにされると、その間コントローラ60は、電磁比例制御バルブV1を制御してケーブルドラムDが
図1中、反時計回りに初期回転速度で回転するように油圧モータ51を駆動する。これに対して、イネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18(
図3参照)とが同時にオンにされると、その間コントローラ60は、電磁比例制御バルブV1を制御してケーブルドラムDが
図1中、時計回りに初期回転速度で回転するように油圧モータ51を駆動する。
【0037】
本実施形態ではケーブルドラムDの初期回転速度を最大駆動速度の20%としている。この初期回転速度は、危険がなく、かつ、ケーブルの敷設または撤去作業を進める上で支障を生じることなく遅すぎず速過ぎない速度を官能評価によって適宜定めたものであるが、この速度に限定されるものではない。なお、イネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とを共にオンにする操作、および、イネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とを共にオンにする操作を「回転開始操作」とも称する。
【0038】
また、コントローラ60は、イネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16またはドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされている状態で、どちらかのスイッチがオフにされると、電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51の駆動を停止する。また、下部操作装置25のイネーブルスイッチおよびケーブル繰出/巻取スイッチが操作された場合も同様に電磁比例制御バルブV1を制御する。なお、イネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16またはドラム巻取スイッチ18とを共にオンにしている状態でどちらかのスイッチをオフにする操作を「回転停止操作」とも称する。
【0039】
また、コントローラ60は、イネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16またはドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされている状態で、さらに速度増加スイッチ14a(
図3参照)がオンにされると、速度増加スイッチ14aがオンにされるごとにケーブルドラムDの回転速度が所定ステップ分ずつ増速するように電磁比例制御バルブV1を制御する。なお、イネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16またはドラム巻取スイッチ18とを共にオンにしている状態で、さらに速度増加スイッチ14aをオンにする操作を「増速操作」とも称する。
【0040】
一方、イネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16またはドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされている状態で、さらに速度減少スイッチ14b(
図3参照)がオンにされると、速度減少スイッチ14bがオンにされるごとにケーブルドラムDの回転速度が所定ステップ分ずつ減少するように電磁比例制御バルブV1を制御する。なお、イネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16またはドラム巻取スイッチ18とを共にオンにしている状態で、速度減少スイッチ14bをさらにオンにする操作を「減速操作」とも称する。また、本実施形態では所定ステップ分の回転速度を最大駆動速度の4%としている。
【0041】
次に、遠隔操作装置11のイネーブルスイッチ12と前方揺動スイッチ13a(
図3参照)とが共にオンにされると、その間コントローラ60は、電磁比例制御バルブV2を制御して起伏シリンダ45を縮小駆動し、この結果、アーム40が前方へ揺動する。また、イネーブルスイッチ12と後方揺動スイッチ13bとが共にオンにされると、その間コントローラ60は、電磁比例制御バルブV2を制御して起伏シリンダ45を伸長駆動し、こ
の結果、アーム40が後方へ揺動する。なお、イネーブルスイッチ12と前方揺動スイッチ13aまたは後方揺動スイッチ13bとが共にオンにされている状態で、どちらかのスイッチがオフにされると、コントローラ60は、電磁比例制御バルブV2を制御して起伏シリンダ45の駆動を停止する。また、下部隔操作装置25のイネーブルスイッチおよびアーム揺動スイッチが操作された場合も同様に電磁比例制御バルブV2を制御する。
【0042】
次に、下部隔操作装置25のイネーブルスイッチがオンにされている状態で、トラバーサ伸縮スイッチが伸長側に操作されると、その間コントローラ60は、電磁比例制御バルブV3を制御して伸縮シリンダ48bを伸長駆動し、この結果、トラバーサ48が上方へ伸長する。また、下部隔操作装置25のイネーブルスイッチがオンにされている状態で、トラバーサ伸縮スイッチが縮小側に操作されると、その間コントローラ60は、電磁比例制御バルブV3を制御して伸縮シリンダ48bを縮小駆動し、この結果、トラバーサ48が下方へ縮小する。なお、下部隔操作装置25のイネーブルスイッチがオンにされ、トラバーサ伸縮スイッチが伸長側または縮小側に操作されている状態で、どちらかのスイッチがオフにされると、コントローラ60は、電磁比例制御バルブV3を制御して伸縮シリンダ48bの駆動を停止する。
【0043】
次に、遠隔操作装置11のイネーブルスイッチ12と左揺動スイッチ15a(
図3参照)とが共にオンにされると、その間コントローラ60は、電磁比例制御バルブV4を制御して揺動シリンダ48cを伸長駆動し、この結果、トラバーサ48が左方へ揺動する。また、イネーブルスイッチ12と右揺動スイッチ15bとが共にオンにされると、その間コントローラ60は、電磁比例制御バルブV4を制御して揺動シリンダ48cを縮小駆動し、この結果、トラバーサ48が右方へ揺動する。なお、イネーブルスイッチ12と左揺動スイッチ15aまたは右揺動スイッチ15bとが共にオンにされている状態で、どちらかのスイッチがオフにされると、コントローラ60は、電磁比例制御バルブV4を制御して揺動シリンダ48cの駆動を停止する。
【0044】
コントローラ60は、回転情報記憶部61を備えており、ケーブルドラムDの回転中に遠隔操作装置11において回転停止操作が行われたときに、そのときのケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶させる。ここで、ケーブルドラムDの回転方向は、例えばケーブルの巻取中(
図1においてケーブルドラムDが時計回りに回転)だった場合を「0」、ケーブルの繰出中(
図1においてケーブルドラムDが反時計回りに回転)だった場合を「1」で表すものとする。また、回転速度は、前述した初期回転速度を20%として、この値に対して増速操作が行われるごとに回転速度を4%加算し、減速操作が行われるごとに回転速度を4%減算した値とする。なお、回転情報記憶部61に記憶するケーブルドラムDの回転方向および回転速度は、センサなどを用いて測定した値であってもよい。この場合、測定値は、遠隔操作装置11において回転停止操作が行われた時点のものに限らず、回転停止操作を受けて油圧モータ51の駆動停止を開始する時点のものでもよいし、回転停止操作が行われてから油圧モータ51の駆動停止を開始するまでの間における所定のタイミングのものであってもよい。
【0045】
コントローラ60は、ケーブルドラムDが回転しているときに、遠隔操作装置11で回転停止操作が行われ、その後回転開始操作が行われると、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度に基づいて油圧モータ51を駆動する場合がある。以下、コントローラ60が、回転情報記憶部61に記憶されている回転方向および回転速度に基づいて油圧モータ51を駆動する場合について、
図5~
図7のグラフを参照しつつ説明する。
図5~
図7のグラフは、時間を横軸とし、ケーブルドラムDの回転速度を縦軸で示している。またケーブルドラムDの回転速度は停止状態から最大速度までを0から100パーセントで表しており、プラス側はケーブルを巻き取るときの回転方向(以下、「巻取方向」とも称する)、マイナス側はケーブルを繰り出すときの回転方向
(以下、「繰出方向」とも称する)としている。
【0046】
まず、
図5に示すように、遠隔操作装置11のイネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされると、コントローラ60は電磁比例制御バルブV1を制御してケーブルドラムDが初期回転速度で巻取方向に油圧モータ51を駆動する。ケーブルドラムDの初期回転速度は、
図5のグラフにおいて20%の回転速度で示されている。この状態で遠隔操作装置11の速度増加スイッチ14aがオンにされると、オンにされるごとにケーブルドラムDの回転速度が4%ずつ増速するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する(
図5中、「増速操作1」参照)。
【0047】
そして、回転速度が100%に達したところで増速操作が終了し、その後、ケーブルの敷設または撤去作業に携わっている他の作業と同調させるためや、油圧モータ51の連続駆動時間の制約、作業者が遠隔操作装置11を持ち替えたい場合などの事情で回転停止操作が行われると、コントローラ60はその時点のケーブルドラムDの回転方向と回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。その後再び遠隔操作装置11のイネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。そして、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とが一致し、かつ、記憶されていた回転速度が初期回転速度を超えていた場合(より具体的には、記憶されていた回転速度の値が「0」を超えていた場合)は、回転情報記憶部61に記憶されている回転速度でケーブルドラムDが回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。
【0048】
回転情報記憶部61に記憶されている回転方向と回転速度で油圧モータ51を駆動する場合、コントローラ60は、まず電磁比例制御バルブV1を制御してケーブルドラムDを巻取方向へ初期回転速度で3秒間回転させる。この3秒間という時間は、ケーブルドラムDの回転速度を回転停止前の回転速度に復帰させるのに遅過ぎず、早過ぎない時間を官能評価によって適宜定めたものであるが、この時間に限定されるものではない。そして、ケーブルドラムDを初期回転速度で3秒間回転させると、速度増加スイッチ14aの操作に依らずに、回転情報記憶部61に記憶されている回転速度(100%)となるように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する(
図5中、「回転速度復帰制御1」参照)。
【0049】
なお、回転情報記憶部61に記憶されている回転速度となるように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動している間に、遠隔操作装置11において回転停止操作が行われた場合は、コントローラ60は電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。また、遠隔操作装置11において増速操作が行われた場合は、コントローラ60はその増速操作を無効としてもよい。一方、減速操作が行われた場合は、その減速操作を無効としてもよいし、回転速度の復帰制御を中止して、その時点の回転速度から所定ステップ分だけ減速し、新たに増速操作または減速操作が行われるまで減速後の回転速度を維持するようにしてもよい。
【0050】
図5に戻り、ケーブルドラムDの回転速度が回転情報記憶部61に記憶されている回転速度(この場合は100%)になると、コントローラ60は電磁比例制御バルブV1を制御してその回転速度を維持する。そして、遠隔操作装置11において回転停止操作が行われた場合は、コントローラ60はその時点のケーブルドラムDの回転方向と回転速度とを回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0051】
遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とが共にオンにされた場合も、コントローラ60は巻取時と同様の制御を行う。まず、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。この場合、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向は巻取方向であり、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向は繰出方向であるから、回転方向は不一致となる。これにより、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を共にクリアし、ケーブルドラムDが遠隔操作装置11のスイッチによって指定された回転方向へ初期回転速度(
図5中、-20%の回転速度)で回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。
【0052】
この状態で遠隔操作装置11の速度増加スイッチ14aがオンにされると、オンにされるごとにケーブルドラムDの回転速度が4%ずつ増速するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する(
図5中、「増速操作2」参照)。そして、回転速度が-80%に達したところで増速操作が終了し、その後、遠隔操作装置11において回転停止操作が行われると、コントローラ60はその時点のケーブルドラムDの回転方向と回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0053】
その後再び遠隔操作装置11のイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。そして、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とが一致し、かつ、記憶されていた回転速度が初期回転速度を超えていた場合は、ケーブルドラムDを繰出方向へ初期回転速度で3秒間回転させた後、速度増加スイッチ14aの操作に依らずに、回転情報記憶部61に記憶されている回転速度(-80%)となるように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する(
図5中、「回転速度復帰制御2」参照)。そして、ケーブルドラムDの回転速度が回転情報記憶部61に記憶されている回転速度(この場合は-80%)になると、コントローラ60はその回転速度を維持し、その後、遠隔操作装置11において回転停止操作が行われた場合は、コントローラ60はその時点のケーブルドラムDの回転方向と回転速度とを回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0054】
次に、
図6に示すように、遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とが共にオンにされ、さらに、速度増加スイッチ14aの操作によって回転速度が-70%まで増速され(
図6中、「増速操作1」参照)、その後、回転停止操作が行われると、コントローラ60は、回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0055】
次いで、遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされると、まず、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。この場合、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向は繰出方向であり、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向は巻取方向であるから、回転方向は不一致となる。これにより、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を共にクリアし、ケーブルドラムDが巻取方向へ初期回転速度で回転するように油圧モータ51を駆動する。そして、遠隔操作装置11において回転停止操作が行われると、コントローラ60は、回転停止操作時のケ
ーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0056】
その後、遠隔操作装置11において再びイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照し、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とが異なるため、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を共にクリアし、ケーブルドラムDが繰出方向へ初期回転速度で回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。そして、遠隔操作装置11において回転停止操作が行われると、コントローラ60は、回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0057】
次に、遠隔操作装置11において再びイネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照し、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とが異なるため、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を共にクリアし、ケーブルドラムDが巻取方向へ初期回転速度で回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。そして、速度増加スイッチ14aの操作によって回転速度が50%まで増速され(
図6中、「増速操作2」参照)、その後、回転停止操作が行われると、コントローラ60は、回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0058】
その後、再び遠隔操作装置11のイネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とが一致し、かつ、記憶されていた回転速度が初期回転速度を超えていることから、回転情報記憶部61に記憶されている回転速度でケーブルドラムDが回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。この場合、コントローラ60は、まずケーブルドラムDを巻取方向へ初期回転速度で3秒間回転させ、その後、速度増加スイッチ14aの操作に依らずに、回転情報記憶部61に記憶されている回転速度(50%)となるように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する(
図6中、「回転速度復帰制御」参照)。そして、遠隔操作装置11において回転停止操作が行われた場合は、コントローラ60はその時点のケーブルドラムDの回転方向と回転速度とを回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0059】
次に、遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。この場合、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とが異なるため、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を共にクリアし、ケーブルドラムDが繰出方向へ初期回転速度で回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。そして、遠隔操作装置11において回転停止操作が行
われた場合は、コントローラ60はその時点のケーブルドラムDの回転方向と回転速度とを回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0060】
その後、遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。この場合も、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とが異なるため、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を共にクリアし、ケーブルドラムDが巻取方向へ初期回転速度で回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。そして、遠隔操作装置11において回転停止操作が行われた場合は、コントローラ60はその時点のケーブルドラムDの回転方向と回転速度とを回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0061】
このように、コントローラ60は、ケーブルドラムDを或る方向に回転させてから、再度ケーブルドラムDを或る方向に回転させるまでの間に、ケーブルドラムDを逆方向に回転させていた場合は、ケーブルドラムDを再度或る方向に回転させるときに、前回或る方向に回転させたときの回転速度に復帰させるのではなく、初期回転速度で回転させる。すなわち、ケーブルドラムDを一旦、逆方向に回転させるということは、それまで行っていた作業とは異なる作業が行われたことが考えられるため、改めて初期回転速度からケーブルドラムDを回転させることで、ケーブルドラムの回転速度が急激に上昇するのを避けることができ、ケーブルの敷設または撤去作業の安全性を向上させることができる。なお、同様の理由から、ケーブルドラムDを或る方向に回転させてから、再度ケーブルドラムDを或る方向に回転させるまでの間に、ケーブルドラムDを逆方向に回転させていた場合だけでなく、車体2に設けられたエンジン4(
図4参照)を停止して、その後、再始動した場合や、下部操作装置25からケーブルドラムDを回転させる操作を行った場合にも、改めて初期回転速度からケーブルドラムDを回転させるようにしてもよい。
【0062】
次に、
図7を参照して、ケーブルドラムDの回転速度を初期回転速度よりも遅くした状態で回転停止操作が行われ、その後ケーブルドラムDを再度回転させた場合について説明する。まず、遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とが共にオンにされ、さらに、速度増加スイッチ14aの操作によって回転速度が-100%まで増速され(
図7中、「増速操作1」参照)、その後、回転停止操作が行われると、コントローラ60は、回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0063】
次いで、遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。この場合、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とが異なるため、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を共にクリアし、ケーブルドラムDが巻取方向へ初期回転速度で回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。
【0064】
この状態で速度増加スイッチ14aがオンされると、オンされるごとに回転速度が4%ずつ増速し(
図7中、「増速操作2」参照)、その後、速度減少スイッチ14bがオンさ
れると、オンされるごとに回転速度が4%ずつ減速する(
図7中、「減速操作1」参照)。そして、回転速度が初期回転速度よりも遅い速度vaで回転停止操作が行われると、コントローラ60は、回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0065】
その後、再び遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。この場合、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とは一致するが、回転情報記憶部61に記憶されていた回転速度は初期回転速度よりも遅いため、コントローラ60は、ケーブルドラムDが回転情報記憶部61に記憶されていた回転速度vaで巻取方向へ回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。
【0066】
そして、回転速度vaを維持した状態で速度増加スイッチ14aがオンされ(
図7中、「増速操作3」参照)、回転速度が初期回転速度よりもわずかに遅い速度まで増速した後に回転停止操作が行われた場合、コントローラ60は、回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。その後、再び遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム巻取スイッチ18とが共にオンにされると、コントローラ60は、ケーブルドラムDが回転情報記憶部61に記憶されていた初期回転速度よりもわずかに遅い回転速度で巻取方向へ回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。そして、回転停止操作が行われるとコントローラ60は回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0067】
次に、遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。この場合、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とが異なるため、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を共にクリアし、ケーブルドラムDが繰出方向へ初期回転速度で回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。
【0068】
この状態で速度減少スイッチ14bがオンされると、オンされるごとに回転速度が4%ずつ減速し(
図7中、「減速操作2」参照)、回転速度が初期回転速度よりも遅い速度vbで回転停止操作が行われると、コントローラ60は、回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。その後、再び遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とが共にオンにされると、コントローラ60は、回転情報記憶部61に記憶されているケーブルドラムDの回転方向および回転速度を参照する。この場合、回転情報記憶部61に記憶されていたケーブルドラムDの回転方向と、遠隔操作装置11のスイッチによって指定されたケーブルドラムDの回転方向とは一致するが、回転情報記憶部61に記憶されていた回転速度は初期回転速度よりも遅いため、コントローラ60は、ケーブルドラムDが回転情報記憶部61に記憶されていた回転速度vbで繰出方向へ回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。
【0069】
そして、回転速度vbを維持した状態で速度増加スイッチ14aがオンされ(
図7中、「増速操作4」参照)、回転速度が初期回転速度まで増速した後に回転停止操作が行われた場合、コントローラ60は、回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。その後、再び遠隔操作装置11においてイネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16とが共にオンにされると、コントローラ60は、初期回転速度で巻取方向へ回転するように電磁比例制御バルブV1を制御して油圧モータ51を駆動する。また、この状態で速度増加スイッチ14aがオンされ(
図7中、「増速操作5」参照)、回転速度が増速した後に回転停止操作が行われた場合、コントローラ60は、回転停止操作時のケーブルドラムDの回転方向および回転速度を回転情報記憶部61に記憶し、電磁比例制御バルブV1を中立にして油圧モータ51の駆動を停止する。
【0070】
このように、ケーブルドラムDが初期回転速度よりも遅い速度で回転しているときに回転停止操作が行われ、その後、同じ方向にケーブルドラムDを回転させる場合は、初期回転速度ではなく、回転停止操作が行われた時点の初期回転速度よりも遅い回転速度で回転させる。これにより、より安全性の高いケーブルの敷設または撤去作業を行うことができる。
【0071】
なお、ケーブルドラムDを初期回転速度よりも遅い回転速度で回転を開始させる場合、初期回転速度で回転を開始させる場合と同様に、3秒間が経過してから速度増加スイッチ14aの操作を有効にしてもよいし、3秒間が経過する前に速度増加スイッチ14aの操作を有効にしてもよい。
【0072】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。例えば、上述したケーブル作業車1は、ケーブルドラムDが回転停止している状態から回転を開始する場合、最初に初期回転速度で回転させていたが、このように初期回転速度で回転させる段階を設けなくてもよい。この場合、回転情報記憶部61に記憶された回転方向および回転速度に基づいてケーブルドラムDを回転させないときは、イネーブルスイッチ12とドラム繰出スイッチ16またはドラム巻取スイッチ18とがオンにされただけでは回転を開始しないようにして、速度増加スイッチ14aがオンにされるごとに回転速度を0(回転停止状態)から所定ステップごとに回転速度を増速させてもよい。また、アームの操作等異なる操作が間に行われた場合も所定の初期回転速度で回転させ、新たに回転速度が指示されるまでは所定の初期回転速度を維持するように構成してもよい。さらに、上記実施形態においては、油圧ポンプ31の動力源として、エンジン4の動力をパワーテイクオフ機構9(PTO機構)によって取り出していたが、バッテリによる電気駆動型の油圧ポンプを用いてもよいし、PTO機構とバッテリの双方を具備して油圧ポンプの動力源を選択的に切り替えられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 ケーブル作業車
2 車体
11 遠隔操作装置
25 下部操作装置
30 作動油タンク
31 油圧ポンプ
32 制御バルブ
40 アーム
50 駆動装置
51 油圧モータ
60 コントローラ
61 回転情報記憶部