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  • 特開-レーザ加工装置 図1
  • 特開-レーザ加工装置 図2
  • 特開-レーザ加工装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172073
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/142 20140101AFI20241205BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20241205BHJP
【FI】
B23K26/142
B23K26/364
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089556
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉城 怜士
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD01
4E168CA06
4E168CB04
4E168CB22
4E168EA15
4E168FC04
(57)【要約】
【課題】レーザ加工によって生じるスパッタを的確に吹き飛ばすことが可能なレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザ加工装置1は、ワーク60の表面を走査しながらワーク60にレーザ加工を施すことによってワーク60に加工溝61を形成するレーザ照射装置2と、加工溝61に対して第1位置から気体W1を噴射するノズル70と、加工溝61に対して第1位置とは異なる第2位置から気体W2を噴射するノズル40と、制御装置10とを備える。制御装置10は、レーザ照射装置2の照射に対応してノズル70およびノズル40から気体が噴射されるように制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面を走査しながら前記ワークにレーザ加工を施すことによって前記ワークに加工溝を形成するレーザ照射装置と、
前記加工溝に対して第1位置から気体を噴射する第1噴射装置と、
前記加工溝に対して前記第1位置とは異なる第2位置から気体を噴射する第2噴射装置と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記レーザ照射装置の照射に対応して前記第1噴射装置および前記第2噴射装置から気体が噴射されるように制御する、レーザ加工装置。
【請求項2】
前記第1噴射装置は、前記加工溝に沿って気体が流れる第1方向に気体を噴射し、
前記第2噴射装置は、前記加工溝に対して前記第1方向と交差する第2方向に気体を噴射する、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記第1噴射装置から噴射される気体の流速は、前記第2噴射装置から噴射される気体の流速よりも速い、請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記レーザ照射装置の照射位置を検出するセンサと、
前記第1噴射装置の気体の噴射位置を変更するアクチュエータとをさらに備え、
前記制御装置は、前記センサの出力値に基づいて前記アクチュエータを制御し前記第1噴射装置の気体の噴射位置を変更する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記第1噴射装置は、ラバールノズルで構成されている、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工装置に関し、より特定的には、レーザ加工装置におけるスパッタを除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークに対してレーザ光により加工溝を形成するレーザ加工装置が知られている。特許第7081050号公報(特許文献1)には、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)で形成されるワークをレーザ加工する際に発生するプルーム(高温の蒸気)を除去することで熱の影響を低減する技術が開示されている。特許第7081050号公報(特許文献1)に開示の技術では、ノズル部に細かな加工(例えば、ノズル部の複数の流路において流路毎に断面形状を変更すること等)を施し位置に応じて噴射する気体の流速を変化させることによって、レーザ照射範囲のプルームを効率的に除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7081050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ワークに金属が用いられる場合、レーザ加工による加工溝の形成によって加工溝に溶融した金属であるスパッタが生じることがある。スパッタは、プルームと異なり重いため加工溝に溜まってしまうことがある。スパッタの発生は、溶接において品質の低下の原因となる。例えば、加工溝に溶融した樹脂が入り込み金属と樹脂とを接合するような異材接合において、スパッタが加工溝に付着して凝固してしまうことによって接合強度が低下してしまう。特許第7081050号公報(特許文献1)に開示の技術は、プルームを効率的に除去することはできるものの体積の大きいスパッタの発生を考慮していないため、的確にスパッタを吹き飛ばすことは難しい。
【0005】
本開示の目的は、レーザ加工によって生じるスパッタを的確に吹き飛ばすことが可能なレーザ加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のレーザ加工装置は、ワークの表面を走査しながらワークにレーザ加工を施すことによってワークに加工溝を形成するレーザ照射装置と、加工溝に対して第1位置から気体を噴射する第1噴射装置と、加工溝に対して第1位置とは異なる第2位置から気体を噴射する第2噴射装置と、制御装置とを備える。制御装置は、レーザ照射装置の照射に対応して第1噴射装置および第2噴射装置から気体が噴射されるように制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、レーザ照射装置の照射に対応して第1噴射装置および第2噴射装置から気体が噴射されるため、レーザ加工によって生じたスパッタに対し二箇所から気体を噴射することができる。これによって、レーザ加工によって生じるスパッタを的確に吹き飛ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のレーザ加工装置の構成を概略的に示す図である。
図2】ノズルによる気体の噴射について説明するための図である。
図3】制御装置が実行する制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
図1は、本開示のレーザ加工装置1の構成を概略的に示す図である。レーザ加工装置1は、レーザ照射装置2と、ノズル70と、モータ71と、ノズル40と、制御装置10とを備える。レーザ照射装置2は、図示しないテーブルに設置されたワーク60に対してレーザ加工を行なうための装置である。レーザ照射装置2は、ガルバノスキャナ20と、レーザ発振装置30とを含む。図1中の座標軸は、X軸、Y軸、Z軸に対応している。
【0011】
ガルバノスキャナ20は、レンズ21と、スキャンミラー22と、モータ23と、エンコーダ24と、本体部27とを含む。スキャンミラー22は、レーザ発振装置30から受けるレーザ光Lを反射してレンズ21へ出力する。スキャンミラー22は、アクチュエータであるモータ23によって向きを変更可能に構成されており、レンズ21を通じて照射されるレーザ光Lの照射位置を変更することができる。スキャンミラー22は、例えば、照射位置をX方向に変更可能なXスキャンミラーと、照射位置をY方向に変更可能なYスキャンミラーとを含む。
【0012】
モータ23は、例えば、サーボモータで構成され、Xスキャンミラーを回転駆動するX軸モータと、Yスキャンミラーを回転駆動するY軸モータとを含む。モータ23には、回転位置を検出するセンサであるエンコーダ24が接続されている。ガルバノスキャナ20は、本体部27にレンズ21、スキャンミラー22、モータ23、およびエンコーダ24が内蔵されているが図面上、モータ23およびエンコーダ24を本体部27の外側に図示している。ガルバノスキャナ20は、図1に示すようにワーク60のXY平面上でレーザ光Lを走査することによってワーク60に加工溝を形成する。
【0013】
ノズル70は、気体W1を噴射する第1噴射装置として機能し、気体W1の流速を調整する調整機構である流量調整弁72を介して気体W1の供給源であるボンベ51と接続されている。なお、気体W1の供給源は、ボンベ51以外の構成であってもよく気体W1を供給可能な装置であればどのような装置であってもよい。ボンベ51には、例えば、圧縮した空気が充填されている。流量調整弁72は、開度が変更可能な構造である。流量調整弁72は、制御装置10からの信号に基づいてボンベ51から送られてくる気体W1の流量を調整する。ノズル70は、アクチュエータであるモータ71と接続されている。調整機構は、流量調整弁72以外の機構であってもよい。例えば、調整機構として開度の調整が可能なバルブ、電磁弁を用いてもよい。調整機構としてボンベ51の代わりに流量が変更可能なポンプを用いてもよい。モータ71は、例えば、ステッピングモータで構成されている。なお、モータ71は、サーボモータで構成されてもよい。
【0014】
ノズル40は、気体W2を噴射する第2噴射装置として機能し、気体W2の流速を調整する調整機構である流量調整弁42を介して気体W2の供給源であるボンベ50と接続されている。なお、気体W2の供給源は、ボンベ50以外の構成であってもよく気体W2を供給可能な装置であればどのような装置であってもよい。ボンベ50には、例えば、圧縮した空気が充填されている。なお、気体W1,W2は、空気以外であってもよく、例えば、アルゴン等の不活性ガスであってもよい。
【0015】
流量調整弁42は、開度が変更可能な構造である。流量調整弁42は、制御装置10からの信号に基づいてボンベ50から送られてくる気体W2の流量を調整する。流量調整弁42は、例えば、開度の調整が可能なバルブ、電磁弁等により構成される。なお、ノズル40は、移動可能としてもよく、ノズル40を移動させるためのアクチュエータと接続される構造でもよい。
【0016】
ノズル70およびモータ71は、支持部77に固定されている。ノズル70は、支持部47のX方向の前後に移動可能である。ノズル40は、支持部47に固定されている。支持部は、ガルバノスキャナ20の本体部27と接続されている。支持部77と支持部47とは、連結部48の両端に各々接続されている。支持部77,連結部48,支持部47は、例えば、ロボットアームの先端に接続される。なお、支持部77は、ワーク60が取付けられるテーブル側に設置されてもよい。
【0017】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリ12(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))と、各種信号を入出力するための図示しない入出力装置等を含んで構成される。CPU11は、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、制御装置10の処理手順が記されたプログラムである。制御装置10は、これらのプログラムに従って、各機器の制御を実行する。この制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0018】
制御装置10は、レーザ発振装置30を制御することによって、ガルバノスキャナ20にレーザ光Lを照射する。制御装置10は、モータ23を制御することによってスキャンミラー22の反射角度を変更する。制御装置10は、モータ71を制御することによってノズル70の位置を変更する。制御装置10は、流量調整弁72を制御し気体W1の流量を調整することによって、ノズル70から噴射される気体W1の流速を調整する。制御装置10は、流量調整弁42を制御し気体W2の流量を調整することによって、ノズル40から噴射される気体W2の流速を調整する。
【0019】
次に、図2を用いて、ノズル40,70による気体W1,W2の噴射について説明する。図2に示すように、ワーク60上をレーザ光Lが走査する際、加工溝61が形成されるとともに溶融した金属粉であるスパッタ62が加工溝61に生じる。スパッタ62は、体積が大きいため何も対策をしなければ加工溝61に付着する可能性がある。
【0020】
第1噴射装置としてのノズル70は、図示しないロボットアームにより加工溝61の正面位置に移動される。図2に示すように、ノズル70は、加工溝61に沿って気体W1が流れる第1方向である略水平方向に気体W1を噴射する。図1,2に示すように、第2噴射装置としてのノズル40は、加工溝61に対して第1方向と交差する第2方向である斜め方向に気体W2を噴射する。第2方向は、ワーク60の上方から加工溝61に対して斜めに向かうように気体W2を噴射する方向である。第2方向は、気体W1により飛び出したスパッタ62をワーク60の外へ吹き飛ばすことのできる方向であればよい。
【0021】
図2に示すように、ノズル70の断面は、入口部70aから中央部70bにかけて幅が狭まり、出口部70cにおいて再度幅が広がっている。このような構造のノズルは、ラバールノズルと称される。ラバールノズルは、直進性を持たせた気体を高速で噴射することができるノズルである。ノズル70は、出口部70cから気体W1を高速で加工溝61に沿って噴射することができる。ノズル70は、加工溝61に沿った方向に移動可能である。これによって、レーザ光Lの走査に対応してノズル70が移動できるため、直進性を持たせた気体W1を加工溝61の先端に一定の流速で噴射することができる。
【0022】
レーザ加工装置1は、レーザ照射装置2のレーザ光Lの照射に対応してノズル70およびノズル40から気体が噴射されるため、レーザ加工によって生じたスパッタ62に対し二箇所から気体を噴射することができる。これによって、レーザ加工によって生じるスパッタ62を的確に吹き飛ばすことができる。
【0023】
具体的に、ラバールノズルで構成されているノズル70が加工溝61に沿った方向から気体W1を噴射することによって、加工溝61内に溜まっている溶融したスパッタ62をワーク60の上方へと吹き上げる。そして、ノズル40を用いて加工溝61に対して斜め上方となる方向から気体W2を噴射することによって、気体W1によって加工溝61の上方に舞い上がったスパッタ62を気体W2によって吹き飛ばすことができる。なお、気体W2の流速の方が気体W1の流速よりも速いと、スパッタ62の上方への舞い上がりが抑制される可能性がある。そのため、気体W1の流速を気体W2の流速よりも速く設定することによって、舞い上がったスパッタ62が再び加工溝61へ落ちることを防止することができる。
【0024】
なお、ノズル70は、ラバールノズル以外の構成であってもよい。このような場合であっても、ノズル70から噴射される気体W1の流速がノズル40から噴射される気体W2の流速よりも速くすることが好ましい。これによって、舞い上がったスパッタ62が再び加工溝61へ落ちることを防止することができる。
【0025】
次に、制御装置10が実行する制御内容について説明する。図3は、制御装置10が実行する制御内容を示すフローチャートである。図3のフローチャートの処理は、制御装置10の制御におけるメインルーチンから、サブルーチンとして繰返し呼び出されて実行される。制御装置10は、まずステップS(以下、単に「S」と示す)1において、ワーク60に形成する加工溝61に対応するレーザ光Lの出力値をレーザ発振装置30に設定する処理を実行する。
【0026】
次いで、制御装置10は、ワーク60に形成する加工溝61に対応するレーザ光Lの照射位置をレーザ発振装置30に設定する処理を実行する(S2)。制御装置10は、例えば、加工溝をワーク60に対してどのように形成するかを示すデータをレーザ発振装置30に送信する。次いで、制御装置10は、レーザ光Lの照射位置に対応した第1ノズルであるノズル70の気体W1の噴射位置を設定する(S3)。具体的に、制御装置10は、レーザ照射装置2の照射位置に対応する気体W1の噴出位置に関する噴出データに基づいてモータ71が駆動するように設定する。
【0027】
次いで、制御装置10は、S3の設定に基づいて、レーザ光Lの設定に対応する気体W1,W2の噴射を実行する(S4)。次いで、制御装置10は、レーザ照射装置2によってワーク60に対してレーザ光Lの照射を実行する(S5)。次いで、制御装置10は、センサであるエンコーダ24の出力値からワーク60における実際のレーザ光Lの照射位置を検出する(S6)。
【0028】
次いで、制御装置10は、S6におけるレーザ光Lの実際の照射位置に基づいて、スパッタ62を加工溝61から除去可能な適切な位置で気体W1が噴射されるようにノズル70を制御し、気体W1の噴射を調整する(S7)。ここで、制御装置10は、S7の処理においてレーザ光Lの実際の照射位置を検出した際、実際の照射位置から次に照射する位置を算出し、レーザ光Lの照射に遅れずに気体W1の噴射が追従されるようにするための調整を実行している。これによって、制御装置10は、レーザ光Lの走査に追従して好適に気体W1を噴射することができる。なお、制御装置10は、レーザ光Lの実際の照射位置に対応してノズル40から噴射される気体W2の噴射を調整(位置および流速を調整)してもよい。
【0029】
次いで、制御装置10は、レーザ加工が終了したか否かを判定する(S8)。制御装置10は、S8においてレーザ加工が終了していないと判定した場合(S8のNO)、S6以降の処理を繰返す。制御装置10は、レーザ加工が終了したと判定した場合(S8のYES)、レーザ光Lの照射を停止する(S9)。次いで、制御装置10は、気体W1,W2の噴射を停止し(S10)、処理をサブルーチンからメインルーチンに戻す。
【0030】
<変形例>
制御装置10は、レーザ光Lの照射位置の検出に基づかずに一旦設定されたレーザ光Lの照射位置の設定に基づいて気体W1の噴射を実行してもよい。つまり、制御装置10は、予め定められたレーザ光の照射位置に対応して気体W1の噴射位置に関するデータを一旦設定した後は、レーザ加工が終了するまでそのデータに沿った噴射を実行すればよい。
【0031】
レーザ光Lの照射位置は、エンコーダ24により検出するのではなく、カメラによって撮影した画像から検出してもよい。具体的に、制御装置10は、撮影した画像から輝度の高い位置をレーザ光Lの照射位置と特定し、特定したレーザ光Lの照射位置に対応する気体の噴射を実行すればよい。
【0032】
ノズル70は、加工溝61に沿った方向に移動可能であり、加工溝61に対して略水平方向に位置していた。ノズル70は、ノズル40と同様にワーク60の上面に対して斜めとなる位置に配置されるようにしてもよい。このような場合、レーザ光Lの走査に対応して加工溝61の先端に気体W1が噴射されるようにしてもよい。
【0033】
ノズル40とノズル70とを上下に並列となるように設置し、気体W1と気体W2とが平行流となるようにしてもよい。このようにすれば、下方のノズル70の気体W1の噴射により舞い上がったスパッタ62を上方のノズル40の気体W2により吹き飛ばすことができる。
【0034】
<まとめ>
(1) 本開示のレーザ加工装置1は、ワーク60の表面を走査しながらワーク60にレーザ加工を施すことによってワーク60に加工溝61を形成するレーザ照射装置2と、加工溝61に対して第1位置から気体W1を噴射するノズル70と、加工溝61に対して第1位置とは異なる第2位置から気体W2を噴射するノズル40と、制御装置10とを備える。制御装置10は、レーザ照射装置2の照射に対応してノズル70およびノズル40から気体が噴射されるように制御する。
【0035】
(2) (1)のノズル70は、加工溝61に沿って気体が流れる第1方向に気体W1を噴射し、ノズル40は、加工溝61に対して第1方向と交差する第2方向に気体W2を噴射する。
【0036】
(3) (1)または(2)のノズル70から噴射される気体W1の流速は、ノズル40から噴射される気体W2の流速よりも速い。
【0037】
(4) (1)から(3)のいずれかのレーザ加工装置1は、レーザ照射装置2の照射位置を検出するエンコーダ24と、ノズル70の気体の噴射位置を変更するモータ71とをさらに備える。制御装置10は、エンコーダ24の出力値に基づいてモータ71を制御しノズル70の気体W1の噴射位置を変更する。
【0038】
(5) (1)から(4)のいずれかのノズル70は、ラバールノズルで構成されている。
【0039】
本開示のレーザ加工装置1は、レーザ照射装置2の照射に対応してノズル70およびノズル40から気体が噴射されるため、レーザ加工によって生じたスパッタ62に対し二箇所から気体を噴射することができる。これによって、レーザ加工によって生じるスパッタ62を的確に吹き飛ばすことができる。
【0040】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0041】
1 レーザ加工装置、2 レーザ照射装置、10 制御装置、11 CPU、12 メモリ、20 ガルバノスキャナ、21 レンズ、22 スキャンミラー、23,71 モータ、24 エンコーダ、27 本体部、30 レーザ発振装置、40,70 ノズル、42,72 流量調整弁、47,77 支持部、48 連結部、50,51 ボンベ、60 ワーク、61 加工溝、62 スパッタ、70a 入口部、70b 中央部、70c 出口部、L レーザ光、W1,W2 気体。
図1
図2
図3