(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172076
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B23D 29/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B23D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089589
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】市毛 太祐
【テーマコード(参考)】
3C039
【Fターム(参考)】
3C039FA06
(57)【要約】
【課題】加工物に対する加工精度を高くする。
【解決手段】切断工具10では、上下一対の照明装置91U、91Lがハウジング20の前端部に設けられている。トリガ30の操作により切断工具10の切断加工が開始されると、コントローラ80の制御によって、照明装置91U、91LのLED93が発光して、発光した光を前側へ照射する。LED93から前側へ照射された光は、ブレードホルダ71における左右一対のホルダプレート72の間を通過して、ブレードホルダ71の前端部から前側へ照射される。このため、ブレードホルダ71の前端部から照射された光によって、加工物Wの後面が照明され、照明された部分が、上下方向に沿う線状に延在される。その結果、照明装置91U、91Lによって照明された部分が、ブレード60の加工物Wへの加工位置として指し示され、作業者が、加工物Wへの加工位置を把握しながら加工物Wに切断加工を施すことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源を収容するハウジングと、
前記動力源によって前記ハウジングに対して相対移動するとともに、移動方向の一方側へ移動して加工物に当接することで加工を施す加工部と、
前記加工部の前記加工物への加工位置を指し示す加工位置指示手段と、
を備えた作業機。
【請求項2】
前記加工位置指示手段は、前記動力源を制御して前記加工部の移動位置を決めるコントローラと、前記加工部と、を含んでおり、
前記コントローラは、前記加工部を前記加工物への加工直前の手前位置で停止する指示制御を実行可能であり、
前記コントローラによって前記指示制御が実行されることで、前記手前位置の前記加工部によって前記加工位置を指し示す請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記ハウジングには、トリガが操作可能に設けられており、
作業者による前記トリガへの操作に基づいて、前記コントローラが前記指示制御を実行する請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
作業者による前記トリガへの操作態様に応じて、前記コントローラによる前記指示制御の実行の有無を選択可能に構成されている請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
作業者による前記トリガへの操作量又は操作速度に応じて、前記コントローラによる前記指示制御の実行の有無を選択可能に構成されている請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記ハウジングには、検出部が設けられており、前記検出部によって前記トリガへの操作態様を検出し、
前記コントローラが、前記検出部の検出信号に基づいて、前記指示制御の実行の有無を判別する請求項4又は請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記検出部は、前記トリガへの操作によってオン又はオフに切替わる2つのスイッチを有しており、
前記検出部では、2つの前記スイッチが異なるタイミングでオン又はオンに切替わるように設定されている請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記加工位置指示手段は、光源を有する照明装置を含んで構成され、前記照明装置は前記ハウジングに設けられており、
前記光源から照射された光によって前記加工物を照明することで、前記加工位置を指し示す請求項1に記載の作業機。
【請求項9】
前記加工部がブレードであり、
前記ブレードは、前記移動方向に直交する方向を板厚方向とする板状に形成され、前記移動方向及び前記板厚方向と直交する方向を幅方向とし、
前記加工物における前記光によって照明される部分が前記幅方向に沿って延在される請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記ブレードの板厚方向両側には、前記板厚方向に対向する一対のプレートが設けられ、一対の前記プレートによって前記ブレードを板厚方向両側から覆っており、
前記光源から照射された光が、一対の前記プレートを通過すると共に、前記ブレードの移動方向一方側に配置された加工物を照明する請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
一対の前記照明装置が、前記ブレードの移動方向他方側に設けられると共に、前記ブレードの幅方向に並んで配置されている請求項10に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の電動往復動工具(作業機)では、天井に設けられた軽天材等の加工物を切断する工具として構成されている。具体的には、受け板が電動往復動工具の前端部(先端部)に設けられており、加工物を受け板にセットする。そして、ハンドルのメインスイッチを操作することで、可動刃(ブレード)がホルダから前方へ移動して、可動刃と受け板とによって加工物を挟み込む。これにより、加工物に対して切断加工を施す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電動往復動工具では、上述のように、加工物を電動往復動工具の先端部にセットするため、電動往復動工具を把持する作業者の目から離れた位置に加工物が配置されることがある。このため、作業者において、可動刃の加工物への加工位置が把握し難くなり、目標とする加工位置からずれた位置に加工が施される可能性がある。この場合には、加工物に対する加工精度が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、加工物に対する加工精度を高くすることができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、動力源を収容するハウジングと、前記動力源によって前記ハウジングに対して相対移動するとともに、移動方向の一方側へ移動して加工物に当接することで加工を施す加工部と、前記加工部の前記加工物への加工位置を指し示す加工位置指示手段と、を備えた作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記加工位置指示手段は、前記動力源を制御して前記加工部の移動位置を決めるコントローラと、前記加工部と、を含んでおり、前記コントローラは、前記加工部を前記加工物への加工直前の手前位置で停止する指示制御を実行可能であり、前記コントローラによって前記指示制御が実行されることで、前記手前位置の前記加工部によって前記加工位置を指し示す作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングには、トリガが操作可能に設けられており、作業者による前記トリガへの操作に基づいて、前記コントローラが前記指示制御を実行する作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、作業者による前記トリガへの操作態様に応じて、前記コントローラによる前記指示制御の実行の有無を選択可能に構成されている作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、作業者による前記トリガへの操作量又は操作速度に応じて、前記コントローラによる前記指示制御の実行の有無を選択可能に構成されている作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングには、検出部が設けられており、前記検出部によって前記トリガへの操作態様を検出し、前記コントローラが、前記検出部の検出信号に基づいて、前記指示制御の実行の有無を判別する作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記検出部は、前記トリガへの操作によってオン又はオフに切替わる2つのスイッチを有しており、前記検出部では、2つの前記スイッチが異なるタイミングでオン又はオンに切替わるように設定されている作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記加工位置指示手段は、光源を有する照明装置を含んで構成され、前記照明装置は前記ハウジングに設けられており、前記光源から照射された光によって前記加工物を照明することで、前記加工位置を指し示す作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記加工部がブレードであり、前記ブレードは、前記移動方向に直交する方向を板厚方向とする板状に形成され、前記移動方向及び前記板厚方向と直交する方向を幅方向とし、前記加工物における前記光によって照明される部分が前記幅方向に沿って延在される作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ブレードの板厚方向両側には、前記板厚方向に対向する一対のプレートが設けられ、一対の前記プレートによって前記ブレードを板厚方向両側から覆っており、前記光源から照射された光が、一対の前記プレートを通過すると共に、前記ブレードの移動方向一方側に配置された加工物を照明する作業機である。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、一対の前記照明装置が、前記ブレードの移動方向他方側に設けられると共に、前記ブレードの幅方向に並んで配置されている作業機である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、加工物に対する加工精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る切断工具の内部を示す右側から見た断面図である。
【
図2】
図1に示される切断工具のヘッド部の後端部を示す前側から見た断面図(
図1の2-2線断面図)である。
【
図3】
図1に示されるヘッド部の下端部を示す下側から見た断面図(
図1の3-3線断面図)である。
【
図4】
図1に示される加工指示手段の変形例を示す右側から見た断面図である。
【
図5】
図1に示される加工指示手段の他の変形例を示す右側から見た断面図である。
【
図6】第2実施形態に係る切断工具の前部を示す右側から見た断面図である。
【
図7】第2実施形態に係る切断工具の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図3を用いて、第1実施形態に係る作業機としての切断工具10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印RHは、それぞれ切断工具10の上側、前側、及び右側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、切断工具10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0020】
図1に示されるように、切断工具10は、建物の吊り天井に用いられる軽天材等の加工物Wに切断加工を施す電動工具として構成されている。加工物Wは、長尺柱状に形成されており、その長手方向から見て、略U字形状に形成されている。切断工具10は、ハウジング20と、モータ40と、送りネジ機構50(広義には、移動機構として把握される要素である)と、ヘッド部70と、コントローラ80と、を含んで構成されている。また、切断工具10は、加工物Wに切断加工を施す加工部としてのブレード60と、ブレード60の加工物Wへの加工位置を指し示す加工位置指示手段90と、を有している。以下、切断工具10の各構成について説明する。
【0021】
(ハウジング20について)
ハウジング20は、切断工具10の前端部を除く外郭を構成しており、全体として前後方向に延在されている。ハウジング20は、ハウジング20の前部を構成するハンドルハウジング部20Aと、ハウジング20の後部を構成するモータハウジング部20Bと、を含んで構成されている。ハンドルハウジング部20Aは、前後方向に延在された略矩形筒状に形成されている。ハンドルハウジング部20Aの前端部には、上下方向両側へ張り出された一対の張出部20Cが形成されている。
【0022】
ハンドルハウジング部20Aの下側には、ハンドルガード20Dが設けられている。ハンドルガード20Dは、前後方向に延在された略矩形筒状に形成されている。ハンドルガード20Dの前端部が、下側の張出部20Cの下端部に接続されており、ハンドルガード20Dの後端部は、上斜め後方側へ屈曲されて、ハンドルハウジング部20Aの後端部に接続されている。そして、ハンドルハウジング部20Aにおけるハンドルガード20Dの前端部と後端部との間の部分が、作業者が把持する把持部20Eとして構成されている。
【0023】
把持部20Eの前端部には、切断工具の切断加工の開始を指示するためのトリガ30が設けられている。トリガ30は、上側へ引き操作可能に把持部20Eから下側へ突出している。ハンドルハウジング部20Aの前端部には、トリガ30の前端部の下側において、トリガスイッチ32が設けられている。トリガ30が引き操作されることで、トリガスイッチ32が、オフからオンに切替わり、トリガ30への引き操作を解除することで、トリガスイッチ32がオンからオフに切替わる。トリガスイッチ32は、後述するコントローラ80に電気的に接続されており、トリガ30への操作に応じた出力信号をコントローラ80に出力する。
【0024】
ハンドルハウジング部20Aの前端部には、支持ガイド34が設けられており、支持ガイド34は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。支持ガイド34の後部が、ハンドルハウジング部20Aに回転可能に支持されており、支持ガイド34の前部は、ハウジング20から前側へ突出している。支持ガイド34の前部には、後述するブレード60を配置するための上下一対のスリット34Aが形成されている。スリット34Aは、前後方向に延在され且つ上下方向に貫通しており、スリット34Aの前端部が、前側へ開放されている。
【0025】
モータハウジング部20Bは、左右方向を厚み方向とする略偏平状に形成されている。モータハウジング部20Bの下端部には、ハンドルガード20Dの後側において、バッテリ装着部20Gが設けられている。バッテリ装着部20Gには、バッテリターミナル22が設けられており、バッテリターミナル22は、後述するコントローラ80に電気的に接続されている。バッテリ装着部20Gには、バッテリ24が着脱可能に装着されており、バッテリ24は、バッテリターミナル22と接続されるコネクタ(図示省略)を有している。これにより、コントローラ80を介して後述するモータ40に電力が供給される。
【0026】
(モータ40について)
モータ40は、ブラシレスモータとして構成されて、モータハウジング部20Bに収容されている。モータ40は、前後方向を軸方向とする駆動軸40Aを有しており、駆動軸40Aの後端部が、ハウジング20に保持されたモータ軸受42に回転可能に支持され、駆動軸40Aの前端側部分が、ハウジング20に保持されたモータ軸受44に回転可能に支持されている。駆動軸40Aの前端部には、ピニオンギヤ40Bが形成されている。モータ40は、コントローラ80に電気的に接続されて、コントローラ80の制御によって駆動する。
【0027】
(送りネジ機構50について)
送りネジ機構50は、伝達ギヤ51と、ドライブシャフト53(広義には、出力軸として把握される要素である)と、リフタ55(広義には、移動部材として把握される要素である)と、リフタ55の初期位置を検出するためのリフタ検出スイッチ58と、を含んで構成されている。
【0028】
伝達ギヤ51は、前後方向を軸方向とする略段付き円柱状に形成されており、伝達ギヤ51の前部の直径が、伝達ギヤ51の後部の直径よりも大きく設定されている。伝達ギヤ51の前面の中央部には、前側へ開放されたギヤ凹部51Aが形成されている。伝達ギヤ51は、モータ40の駆動軸40Aにおける前端部の下側に配置され、伝達ギヤ51の後部が、ハウジング20に保持されたギヤ軸受52によって回転可能に支持されている。伝達ギヤ51の前部の外周部には、ギヤ部51Bが形成されており、ギヤ部51Bが駆動軸40Aのピニオンギヤ40Bに噛合されている。
【0029】
ドライブシャフト53は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。ドライブシャフト53は、ハンドルハウジング部20A内に収容されると共に、伝達ギヤ51の前側で且つ伝達ギヤ51と同軸上に配置されている。そして、ドライブシャフト53の後端部が、伝達ギヤ51のギヤ凹部51A内に一体回転可能に嵌入されており、ドライブシャフト53の後端側部分が、ハウジング20に保持されたシャフト軸受54によって回転可能に支持されている。これにより、モータ40が駆動することで、ドライブシャフト53が回転する。ドライブシャフト53の外周部には、後端部を除く部分において、雄ネジ53Aが形成されている。
【0030】
リフタ55は、全体として前後方向に延在された略長尺状に形成されている。リフタ55は、リフタ本体56と、リフタ55の後端部を構成するナット部57と、を含んで構成されている。ナット部57は、前後方向を軸方向とする略段付き円筒状に形成されている。ナット部57の後部の内周部には、雌ネジ57Aが形成されている。そして、ドライブシャフト53の前部が、ナット部57の内部に挿入され、ドライブシャフト53の雄ネジ53Aとナット部57の雌ネジ57Aとが螺合されている。すなわち、ドライブシャフト53とリフタ55とがネジ嵌合している。
【0031】
リフタ本体56は、後側へ開放された略有底円筒状に形成されている。リフタ本体56の後端部はナット部57の前部内に嵌入されて、リフタ本体56及びナット部57が相対移動不能に連結されている。リフタ本体56の前端部は、支持ガイド34に挿入されて、支持ガイド34によって前後方向に相対移動可能に支持されている。
【0032】
そして、ドライブシャフト53とリフタ55とがネジ嵌合により、ドライブシャフト53が回転することで、リフタ55が前後方向に移動する。具体的には、リフタ55が、初期位置(
図1において実線にて示される位置)と、停止位置(
図1において2点鎖線にて示される位置)と、の間を往復移動する。リフタ55の初期位置では、ドライブシャフト53の前部が、リフタ本体56の内部に相対移動可能に挿入されている。また、ナット部57における後端部の外周部は、被検出部57Bとして構成されている。
【0033】
リフタ検出スイッチ58は、レバー式のマイクロスイッチとして構成されて、ハンドルガード20Dの後端部に収容されている。リフタ検出スイッチ58の上側には、球状のボール59が設けられており、ボール59は、ハンドルハウジング部20Aの外周下端部に形成されたボール用孔部20H内に配置されている。ボール用孔部20Hは、上下方向に貫通しており、ボール用孔部20Hの直径が下側へ向かうに従い大きくなっている。リフタ検出スイッチ58のオフ状態では、ボール59の外周面が、リフタ検出スイッチ58のレバー部及びボール用孔部20Hの内周面に当接している。また、この状態では、ボール59の外周部の一部が、ハンドルハウジング部20A内に配置されるように、ハンドルハウジング部20Aの内周面に対して径方向内側へ突出している。一方、リフタ55の初期位置では、リフタ55の被検出部57Bがボール59を介してリフタ検出スイッチ58のレバー部を下側へ押圧して、リフタ検出スイッチ58がオフからオンに切替わるようになっている。リフタ検出スイッチ58は、コントローラ80に電気的に接続されており、検出信号をコントローラ80に出力する。
【0034】
(ブレード60について)
ブレード60は、左右方向を板厚方向とし且つ上下方向を幅方向とする略矩形板状に形成されている。ブレード60の後端部は、リフタ55の前端部にネジ61によって固定されている。これにより、ブレード60が、リフタ55と一体に初期位置(
図1において実線にて示される位置)と停止位置(
図1において2点鎖線にて示される位置)との間を移動する。なお、ブレード60の後端部は、支持ガイド34のスリット34Aに挿入されており、支持ガイド34内においてブレード60がリフタ55に固定されている。ブレード60の前端部には、刃部60Aが形成されており、刃部60Aは、左右方向から見て、前側へ凸となる略V字形状に形成されている。
【0035】
ブレード60の初期位置では、ブレード60が、ハウジング20の前側に隣接配置されると共に、加工物Wの後側に配置される。そして、ブレード60が、初期位置から前側へ移動して、加工物Wに当接することで、加工物Wに対する切断加工が施される。さらに、ブレード60の停止位置では、加工物Wに対する切断加工が完了する設定になっている。
【0036】
(ヘッド部70について)
図1~
図3に示されるように、ヘッド部70は、ブレードホルダ71と、メインプレート73と、支持ヘッド部74と、を含んで構成されている。ブレードホルダ71は、左右一対のホルダプレート72を有している。ホルダプレート72は、金属板材で構成されると共に、左右方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されている。ホルダプレート72の上下方向中間部には、プレート固定部72A(
図2参照)が形成されており、プレート固定部72Aは、前側から見て、左右方向外側へ凸となる略円弧状に形成されている。そして、プレート固定部72Aが、支持ガイド34における前部の径方向外側(左右方向外側)に配置され、ボルトBL1によって支持ガイド34に締結固定されている。これにより、ホルダプレート72が支持ガイド34に固定されて、ヘッド部70が、前後方向を軸方向として、ハウジング20に回転可能に連結されている。なお、ハウジング20の前端部に固定された上下一対のストッパ26が、ホルダプレート72に当接することで、ヘッド部70が、
図1に示される位置、又は当該位置から180度回転した位置(図示省略)に保持される。
【0037】
一対のホルダプレート72は、左右方向に所定の隙間を空けて対向して配置されている。一対のホルダプレート72の上端部の対向距離は、ブレード60の板厚よりも僅かに長く設定されており、ブレード60が、一対のホルダプレート72の間に配置されている。これにより、ブレードホルダ71が、ブレード60を左右方向両側から覆って、ブレード60の前後方向の往復移動をガイドするようになっている。また、ドライブシャフト53の回転時には、ブレード60が一対のホルダプレート72の一方に当接して、リフタ55及びブレード60の回転を制限している。このため、厳密には、ブレード60が、左右方向を板厚方向として配置された状態から回転方向の一方側に若干回転した状態で、一対のホルダプレート72の間に配置される(
図2では、前側から見て、ブレード60が、左右方向を板厚方向として配置された状態から時計回りに若干回転した状態で図示している)。なお、一対のホルダプレート72の上端部は、ボルトBL2によって互いに連結されている。
【0038】
メインプレート73は、金属板材で構成されると共に、左右方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在された略長尺板状に形成されている。そして、メインプレート73の後部が、一対のホルダプレート72の下端部の間に配置されて、ボルトBL3によってホルダプレート72に締結固定されている。また、一対のホルダプレート72の下端部の対向距離(すなわち、メインプレート73の板厚)が、一対のホルダプレート72の上端部の対向距離よりも長く設定されている。ブレード60は、メインプレート73の上側に近接して配置されており、メインプレート73の前部は、ブレードホルダ71よりも前側に突出している。
【0039】
支持ヘッド部74は、ブレードホルダ71の前側に離間して配置されている。支持ヘッド部74は、左右一対の支持プレート75を有しており、支持プレート75は、金属板材で構成されると共に、左右方向を板厚方向とする板状に形成されている。一対の支持プレート75は、メインプレート73の前部の左右方向外側に配置されており、支持プレート75の下端部が、ボルトBL3によってメインプレート73に締結固定されている。これにより、一対の支持プレート75が左右方向に所定の間隔を空けて対向して配置されている。また、一対の支持プレート75の上端部は、ボルトBL2によって互いに連結されている。
【0040】
支持プレート75の後端部には、メインプレート73よりも上側において、複数(本実施の形態では、4箇所)の支持凹部75Aが形成されており、支持凹部75Aは、後側へ開放された凹状に切り欠かれると共に、左右方向に貫通している。加工材Wへの切断加工時には、加工材Wの長手方向から見た加工材Wの両端部を支持凹部75Aに挿入して、加工材Wを支持ヘッド部74にセット(支持)する。
【0041】
(コントローラ80について)
図1に示されるように、コントローラ80は、ハウジング20のモータハウジング部20Bの後端部に収容されて、ハウジング20に保持されている。コントローラ80には、トリガスイッチ32、モータ40、及びリフタ検出スイッチ58が電気的に接続されている。コントローラ80は、リフタ検出スイッチ58の検出信号に基づいて、リフタ55の初期位置を検知する。また、コントローラ80は、トリガスイッチ32及びリフタ検出スイッチ58からの出力信号に基づいて、モータ40を駆動制御する。そして、コントローラ80がモータ40を正転駆動させることで、リフタ55(ブレード60)が前方側へ移動する。一方、コントローラ80がモータ40を逆転駆動させることで、リフタ55(ブレード60)が後方側へ移動する。
【0042】
また、モータ40の正転駆動中にトリガ30の操作が解除されてトリガスイッチ32がオンからオフに切替わったときには、コントローラ80がモータ40を逆転駆動させるようになっている。さらに、コントローラ80は、モータ40の正転駆動時における駆動軸40Aの回転数を検出するモータ駆動検出部を有している。モータ駆動検出部からの検出信号によって、モータ40が初期位置から何回転したかを、コントローラ80が検知する。これによって、コントローラ80は、リフタ55の初期位置を起点としたモータ40の回転数に基づいてリフタ55(ブレード60)の停止位置を検知する。さらに、コントローラ80は、リフタ55(ブレード60)の停止位置を検知すると、モータ40の駆動を停止するようになっている。
【0043】
(加工位置指示手段90について)
加工位置指示手段90は、上下一対の照明装置91U、91Lを有しており、一対の照明装置91U、91Lは、ハウジング20の前端部に設けられている。照明装置91U、91Lは、照明基板92と、光源としてのLED93と、を含んで構成されている。照明基板92は、前後方向を板厚方向として配置されており、LED93が、照明基板92の前面に実装されている。LED93は、コントローラ80に電気的に接続されており、コントローラ80の制御によって発光して、発光した光を前側に照射するようになっている。
【0044】
上側の照明装置91Uは、ハウジング20における上側の張出部20Cに設けられており、リフタ55の上側で且つブレード60の上部の後側に位置している。具体的には、前側から見て、照明装置91UのLED93が左右一対のホルダプレート72の上端部の間に配置されている(
図2において、2点鎖線にて示されたLED93を参照)。これにより、照明装置91UのLED93によって発光された光が、左右一対のブレードホルダ71の上端部間を通過し、当該光によって、ブレード60の前側に配置された加工物Wの後面を照明するようになっている。
【0045】
下側の照明装置91Lは、ハウジング20における下側の張出部20Cに設けられており、リフタ55の下側で且つブレード60の下部の後側に位置している。照明装置91U、91Lは、リフタ55を挟んでブレード60の幅方向に並んで配置されている。そして、前側から見て、照明装置91LのLED93が左右一対のホルダプレート72の下端部の間に配置されている(
図2において、2点鎖線にて示されたLED93を参照)。これにより、照明装置91LのLED93によって発光された光が、左右一対のブレードホルダ71の下端部間を通過し、当該光によって、ブレード60の前側に配置された加工物Wの後面を照明するようになっている。これにより、照明装置91U、91Lによって、加工物Wに対するブレード60の加工位置を指し示すようになっている。
【0046】
(作用効果)
次に、本実施の形態の切断工具10の作用効果について説明する。
【0047】
上記のように構成された切断工具10の加工物Wへの切断加工時には、加工物Wが、ヘッド部70の支持ヘッド部74に支持され、ブレード60の前側に配置される。そして、トリガ30が操作され、トリガスイッチ32がオンされると、コントローラ80の制御によってモータ40が正転駆動する。これにより、送りネジ機構50が作動し、リフタ55によってブレード60が前方側(往路側であり、移動方向の一方側)へ移動する。このため、ブレード60が加工物Wに接近し、支持ヘッド部74に支持された加工物Wを、ブレード60及び支持ヘッド部74によって挟み込むことで、ブレード60による加工物Wに対する切断加工が施される。コントローラ80が、ブレード60の停止位置を検知すると、モータ40の正転駆動を停止させる。これにより、加工物Wに対する切断加工が完了する。
【0048】
切断加工の完了後、モータ40の駆動が自動停止され、再度、トリガスイッチ32がオンされると、コントローラ80の制御によってモータ40が逆転し、送りネジ機構50が再度作動して、送りネジ機構50のリフタ55によってブレード60が後側(復路側であり、移動方向の他方側)へ移動する。コントローラ80が、リフタ検出スイッチ58の検出信号に基づいて、リフタ55の初期位置を検知すると、コントローラ80によって、モータ40の駆動が停止される。
【0049】
ここで、切断工具10では、上下一対の照明装置91U、91Lがハウジング20の前端部に設けられている。トリガ30の操作により切断工具10の切断加工が開始されると、コントローラ80の制御によって、照明装置91U、91LのLED93が発光して、発光した光を前側へ照射する。LED93から前側へ照射された光は、ブレードホルダ71における左右一対のホルダプレート72の間を通過して、ブレードホルダ71の前端部から前側へ照射される。このため、ブレードホルダ71の前端部から照射された光によって、加工物Wの後面が照明され、照明された部分が、上下方向に沿う線状に延在される。その結果、照明装置91U、91Lによって照明された部分が、ブレード60の加工物Wへの加工位置として指し示され、作業者が、加工物Wへの加工位置を把握しながら加工物Wに切断加工を施すことができる。したがって、加工物Wに対する加工精度を高くすることができる。
【0050】
また、上述のように、上下一対の照明装置91U、91Lが、ブレード60を左右方向両側から覆うブレードホルダ71の後側に配置されており、前後方向(ブレード60の移動方向)から見て、LED93が、ブレードホルダ71を構成する左右一対のホルダプレート72の間に位置している。そして、LED93が、発光された光を前側(すなわち、一対のホルダプレート72の間)へ照射する。このため、LED93によって発光された光を、左右一対のホルダプレート72間において収束させて、ブレードホルダ71の前端部から加工物Wに向けて照射させることができる。すなわち、LED93から前側へ照射された光は、ブレード60の左右両側面と一対のホルダプレート72の左右方向内側面(互いに対向する面)とによって反射しながらブレードホルダ71の前端部に到達し、当該前端部から前側へ照射される。これにより、LED93から前側へ照射された光が、一対のホルダプレート72の間で収束されて、ブレードホルダ71の前端部から前側へ照射される。その結果、加工物WにおいてLED93により照明される部分を、ブレード60の幅方向に沿った線状に延在させることができる。したがって、加工物Wに対する加工精度を一層高くすることができる。
【0051】
また、加工位置指示手段90は、上下一対の照明装置91U、91Lを含んで構成されており、照明装置91U、91Lがブレード60の後側でブレード60の幅方向(上下方向)に並んで配置されている。これにより、加工物WにおいてLED93により照明される部分を、ブレード60の幅方向の全体に亘って延在させることができる。したがって、加工物Wに対する加工精度をより一層高くすることができる。
【0052】
(加工位置指示手段90の変形例について)
以下、
図4を用いて加工位置指示手段90の変形例1について説明する。この加工位置指示手段90の変形例1では、第1実施形態と比べて、上側の照明装置91Uが省略されており、加工位置指示手段90が、下側の照明装置91Lのみで構成されている。加工位置指示手段90の変形例1では、ハウジング20における下側の張出部20Cの下端側部分が第1実施形態と比べて、前側へ突出しており、照明装置91Lが、この突出部分に配置されている。具体的には、照明装置91Lが、メインプレート73の後端部及びブレード60の後部の下側に配置されている。
【0053】
変形例1の照明装置91Lでは、照明基板92が、左右方向から見て、前側へ向かうに従い下側へ傾斜する方向に沿って配置されており、LED93が照明基板92の上面に実装されている。LED93は、発光された光を上斜め前方側に照射するようになっている。
【0054】
また、加工位置指示手段90の変形例1では、メインプレート73が、前後に2分割された分割プレート部材73F、73Rによって構成されており、分割プレート部材73Fと分割プレート部材73Rとは、所定の隙間を空けて配置されている。LED93から照射された光は、ブレードホルダ71の下側から左右一対のホルダプレート72の間に入射され、一対のホルダプレート72の間で且つ前後の分割プレート部材73F、73Rの間を通過して、ブレードホルダ71の前端部から前側の加工物Wへ向けて照射される。
【0055】
このため、加工位置指示手段90の変形例1においても、ブレードホルダ71の前端部から照射された光によって、加工物Wの後面が照明されると共に、照明される部分が上下方向に沿う線状に延在される。その結果、照明装置91Lによって照明された部分が、ブレード60の加工物Wへの加工位置として指し示され、作業者が、加工物Wへの加工位置を把握しながら加工物Wに切断加工を施すことができる。したがって、加工位置指示手段90の変形例1においても、加工物Wに対する加工精度を高くすることができる。
【0056】
次に、
図5を用いて加工位置指示手段90の変形例2について説明する。加工位置指示手段90の変形例2では、第1実施形態と比べて、下側の照明装置91Lが省略されており、加工位置指示手段90が、上側の照明装置91Uのみで構成されている。加工位置指示手段90の変形例2では、ハウジング20における上側の張出部20Cが、第1実施形態と比べて上側へさらに張り出されると共に、張出部20Cの前端部が、前側へ突出して、ブレードホルダ71の後端部の上側に配置されている。そして、照明装置91Uが、上側の張出部20Cの前端部に配置されている。
【0057】
変形例2の照明装置91Uでは、照明基板92が、左右方向から見て、前側へ向かうに従い上側へ傾斜する方向に沿って配置されており、LED93が照明基板92の下面に実装されている。LED93は、発光された光を下斜め前方側に照射するようになっている。
【0058】
そして、LED93から照射された光が、ブレードホルダ71の上側から左右一対のホルダプレート72の間に入射され、一対のホルダプレート72の間を通過して、ブレードホルダ71の前端部から前側の加工物Wへ向けて照射される。
【0059】
このため、加工位置指示手段90の変形例2においても、ブレードホルダ71の前端部から照射された光によって、加工物Wの後面が照明されると共に、照明される部分が上下方向に沿う線状に延在される。その結果、照明装置91Uによって照明された部分が、ブレード60の加工物Wへの加工位置として指し示され、作業者が、加工物Wへの加工位置を把握しながら加工物Wに切断加工を施すことができる。したがって、加工位置指示手段90の変形例2においても、加工物Wに対する加工精度を高くすることができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、
図6を用いて第2実施形態の作業機として切断工具100について説明する。切断工具100は、以下に示す点を除いて第1実施形態の切断工具10と同様に構成されている。なお、
図5では、本実施の形態の切断工具10と同様に構成されている部分については、同一の符号を付している。
【0061】
この図に示されるように、第2実施形態の切断工具100では、トリガスイッチ32の代わりに、検出部としての操作検出部110が、ハウジング20における下側の張出部20Cに設けられている。操作検出部110は、スイッチとしての第1スイッチ112及び第2スイッチ114を有している。第1スイッチ112及び第2スイッチ114は、前後方向に並んで配置されており、第1スイッチ112が第2スイッチ114の前側に隣接している。第1スイッチ112は、レバー式のマイクロスイッチとして構成され、第2スイッチ114が、プッシュ形のマイクロスイッチとして構成されている。
【0062】
そして、トリガ30への操作時において、第1スイッチ112及び第2スイッチ114が異なるタイミングでオンに切替わるように設定されている。具体的には、トリガ30への操作時には、先に第1スイッチ112がオンされ、第1スイッチ112のオン後に、第2スイッチ114がオンされるように設定されている。すなわち、操作検出部110によって、トリガ30への操作量(操作態様)を検出するようになっている。そして、トリガ30によって第1スイッチ112がオンされる操作を、トリガ30の第1操作と称し、トリガ30によって第2スイッチ114がオンされる操作を、トリガ30の第2操作と称する。なお、トリガ30への第2操作では、第1スイッチ112及び第2スイッチ114の何れもがオンになる。
【0063】
ここで、以下の説明では、初期位置から前側へ移動するブレード60が加工物Wに当接(接触)する位置を、ブレード60の加工開始位置と称しており、ブレード60が加工開始位置を超えることで、ブレード60による加工物Wへの切断加工が施される。そして、第2実施形態では、加工位置指示手段90が、第1実施形態の照明装置91U、91Lの代わりに、コントローラ80(
図6では、不図示)及びブレード60を含んで構成されている。この加工位置指示手段90では、詳細については後述するが、コントローラ80が、駆動源としてのモータ40を制御することで、ブレード60を加工開始位置の手前の手前位置(
図6において2点鎖線にて示されるブレード60の位置)において停止させて、加工物Wに対する加工位置をブレード60によって指し示すようになっている(以下、コントローラ80のこの制御を、指示制御という)。
【0064】
前述した第1スイッチ112及び第2スイッチ114は、コントローラ80に電気的に接続されており、第1スイッチ112及び第2スイッチ114からの出力信号に基づいて、コントローラ80がトリガ30への第1操作及び第2操作を検知する。また、コントローラ80は、モータ40の駆動電流を検出しており、モータ40の駆動電流に基づいて、ブレード60の加工開始位置への到達を検知するようになっている。すなわち、ブレード60の加工開始位置では、ブレード60が加工物Wに当接するため、モータ40の駆動電流が上昇する。このため、駆動電流における所定値を閾値として設定し、駆動電流が所定値以上となることで、コントローラ80がブレード60の加工開始位置への到達を検知する。
【0065】
さらに、詳細については後述するが、コントローラ80は、トリガ30への操作量(操作態様)に応じて、指示制御への指示の有無を判別するようになっている。具体的には、トリガ30への第1操作に応じてコントローラ80が指示制御を実行する。一方、ブレード60の加工開始位置への到達前にトリガ30が第2操作されたときには、コントローラ80は、指示制御を実行せずに、加工物Wに対する切断加工を行うように設定されている。すなわち、第1スイッチ112は、切断工具100の動作開始及び指示制御の指示を検出するスイッチとして構成され、第2スイッチ114は、ブレード60による加工物Wへの切断加工の指示を検出するスイッチとして構成されているともいえる。
【0066】
次に、
図7に示されるフローチャートを用いて、切断工具100の動作について説明する。
【0067】
この図に示されるように、切断工具100の動作では、ステップ1(S1)において、コントローラ80が、第1スイッチ112からの出力信号に基づいて、第1スイッチ112がオンであるか否かを判別する。すなわち、トリガ30が操作されたか否かを、コントローラ80が判別する。ステップ1において、第1スイッチ112がオンされていない場合(ステップ1のNoの場合)には、ステップ1に戻る。ステップ1において、第1スイッチ112がオンされた場合(ステップ1のYesの場合)には、ステップ2(S2)に移行する。
【0068】
ステップ2では、コントローラ80が、リフタ検出スイッチ58からの出力信号に基づいて、リフタ検出スイッチ58がオンされたか否かを判別する。すなわち、リフタ55が初期位置に配置されているか否かを、コントローラ80が判別する。ステップ2において、リフタ検出スイッチ58がオンである場合(ステップ2のYesの場合)には、ステップ3(S3)に移行する。
【0069】
ステップ3では、コントローラ80によってモータ40を正転駆動させる。すなわち、コントローラ80が、トリガ30の操作及びリフタ55の初期位置を検知すると、モータ40を正転駆動させる。これにより、リフタ55及びブレード60が前方側へ移動する。ステップ3の処理後、ステップ4(S4)に移行する。
【0070】
ステップ4では、コントローラ80が、第1スイッチ112からの出力信号に基づいて、第1スイッチ112のオン状態が継続されているか否かを判別する。すなわち、トリガ30への操作が継続されているか否かを、コントローラ80が判別する。ステップ4において、第1スイッチ112のオン状態が継続されている場合(ステップ4のYesの場合)には、ステップ5(S5)に移行する。
【0071】
ステップ5では、コントローラ80が、リフタ検出スイッチ58からの出力信号に基づいて、リフタ検出スイッチ58がオンからオフに切替わったか否かを判別する。ステップ5において、リフタ検出スイッチ58がオフに切替わった場合(ステップ5のYesの場合)には、ステップ6(S6)に移行する。一方、ステップ5において、リフタ検出スイッチ58がオフに切替わっていない場合(ステップ5のNoの場合)には、ステップ3に戻る。すなわち、モータ40の正回転が継続される。
【0072】
ステップ6では、コントローラ80が、モータ駆動検出部によるモータ40の駆動軸40Aの回転数検出を開始する。ステップ6の処理後、ステップ7(S7)に移行する。
【0073】
ステップ7では、コントローラ80が、第1スイッチ112からの出力信号に基づいて、第1スイッチ112のオン状態が継続されているか否かを判別する。すなわち、トリガ30への操作が継続されているか否かを、コントローラ80が判別する。ステップ7において、第1スイッチ112のオン状態が継続されている場合(ステップ7のYesの場合)には、ステップ8(S8)に移行する。
【0074】
ステップ8では、コントローラ80が、第2スイッチ114からの出力信号に基づいて、第2スイッチ114がオフであるか否かを判別する。すなわち、トリガ30への操作が第1操作及び第2操作の何れの操作であるのかを、コントローラ80が判別する。ステップ8において、第2スイッチ114のオフである場合(ステップ8のYesの場合であり、トリガ30への操作が第1操作である場合)には、ステップ9(S9)に移行する。
【0075】
ステップ9では、コントローラ80が、モータ40の駆動電流が所定値以上であるか否かを判別する。すなわち、ブレード60が加工開始位置に到達したか否かをコントローラ80が判別する。ステップ9において、モータ40の駆動電流が所定値未満である場合(ステップ9のNoの場合)には、ステップ7に戻る。一方、ステップ9において、モータ40の駆動電流が所定値以上である場合(ステップ9のYesの場合)には、ステップ10(S10)に移行する。
【0076】
ステップ10では、コントローラ80よって、モータ40を所定回数分だけ逆回転させて、ブレード60を手前位置に配置させると共に、モータ40を停止させる。これにより、コントローラ80による指示制御が実行される。ステップ10の処理後、ステップ11(S11)に移行する。
【0077】
ステップ11では、コントローラ80が、第2スイッチ114からの出力信号に基づいて、第2スイッチ114がオフからオンに切替わったか否かを判別する。すなわち、トリガ30への操作が第1操作から第2操作に切替わったか否かを、コントローラ80が判別する。第2スイッチ114がオンに切替わった場合(ステップ11のYesの場合)には、ステップ12(S12)に移行する。
【0078】
ステップ12では、コントローラ80によってモータ40を正転駆動させる。すなわち、ブレード60の手前位置においてトリガ30への操作が第2操作に切替わると、モータ40が正転駆動して、ブレード60が手前位置から前方側へ移動する。これにより、ブレード60による加工物Wへの切断加工が行われる。ステップ12の処理後、ステップ13(S13)に移行する。
【0079】
ステップ13では、コントローラ80が、モータ40の正転駆動時における回転数が所定回転数以上になったか否かを判別する。すなわち、リフタ55が停止位置に到達したか否かを、コントローラ80が判別する。ステップ13において、モータ40の回転数が所定回転数以上でない場合(ステップ13のNoの場合)には、ステップ12に戻る。ステップ13において、モータ40の回転数が所定回転数以上である場合(ステップ13のYesの場合)には、ステップ14(S14)に移行する。
【0080】
ステップ14では、コントローラ80によって、モータ40の正転駆動を停止する。これにより、ブレード60による加工物Wへの切断が完了する。ステップ14の処理後、ステップ15(S15)に移行する。
【0081】
ステップ15では、コントローラ80が、第1スイッチ112の出力信号に基づいて、第1スイッチ112がオフからオンに切替わったか否かを判別する。すなわち、コントローラ80が、トリガ30が再び操作されたか否かを判別する。第1スイッチ112がオンに切替わっていない場合(ステップ15のNoの場合)には、ステップ14に戻る。一方、第1スイッチ112がオンに切替わった場合(ステップ15のYesの場合)には、ステップ16に移行する。すなわち、切断作業が完了した際、トリガ30を操作し続けている(引きっぱなし)の場合には、次のステップには進まないように構成される。
【0082】
ステップ16では、コントローラ80によって、モータ40を逆転駆動させる。これにより、リフタ55及びブレード60が後方側(復路側)へ移動して加工物Wから離間する。ステップ16の処理後、ステップ17(S17)に移行する。
【0083】
ステップ17では、コントローラ80が、リフタ検出スイッチ58からの出力信号に基づいて、リフタ検出スイッチ58がオンされたか否かを検出する。すなわち、リフタ55が初期位置に到達したか否かを、コントローラ80が判別する。ステップ17において、リフタ検出スイッチ58がオンでない場合(ステップ17のNoの場合)には、ステップ16に戻る。一方、ステップ17において、リフタ検出スイッチ58がオンである場合(ステップ17のYesの場合)には、ステップ18(S18)に移行する。
【0084】
ステップ18では、コントローラ80によるモータ40の逆転駆動を停止する。これにより、リフタ55が初期位置において停止し、切断工具100の動作が終了する。
【0085】
なお、ステップ2において、リフタ検出スイッチ58がオンでない場合(ステップ2のNoの場合)には、ステップ16に移行する。すなわち、この場合には、切断工具100の動作開始時において、リフタ55が初期位置に復帰していないため、ステップ16に移行させて、リフタ55を初期位置に復帰させる。
【0086】
また、ステップ4及びステップ7において、第1スイッチ112のオン状態が継続されていない場合(ステップ4及びステップ7のNoの場合)には、ステップ16に移行する。すなわち、この場合は、リフタ55の往路移動中に作業者のトリガ30への操作が解除された場合である。このため、コントローラ80によってモータ40を逆転駆動させて、リフタ55を初期位置に戻す。
【0087】
また、ステップ8において、第2スイッチ114がオフでない場合(ステップ8のNoの場合)には、ステップ12に移行する。すなわち、ブレード60の加工開始位置への到達前にトリガ30への操作が第1操作及び第2操作の何れかであるかを判別し、トリガ30への操作が第2操作である場合には、コントローラ80による指示制御を行わずにステップ12に移行する。これにより、モータ40の正転駆動が継続されて、ブレード60による加工物Wへの切断加工が施される。
【0088】
また、ステップ11において、第2スイッチ114がオンに切替わっていない場合(ステップ11のNoの場合)には、ステップ19(S19)に移行する。すなわち、ブレード60の手前位置において、トリガ30への操作が第1操作から第2操作へ切替わっていない場合は、ステップ19に移行する。
【0089】
ステップ19では、コントローラ80が、第1スイッチ112の出力信号に基づいて、第1スイッチ112がオン状態であるか否かを判別する。第1スイッチ112がオン状態でない場合(ステップ19のNoの場合)には、ステップ16に移行する。すなわち、ブレード60の手前位置において、トリガ30への第1操作が解除されると、モータ40を逆転駆動させて、ブレード60を初期位置に戻す。一方、第1スイッチ112がオン状態である場合(ステップ19のYesの場合)には、ステップ11に戻る。
【0090】
以上説明したように、第2実施形態の切断工具100では、加工位置指示手段90が、モータ40を制御してブレード60の移動位置を決めるコントローラ80と、ブレード60と、を含んで構成されている。また、上述のように、コントローラ80は、ブレード60を加工物Wへの加工直前の手前位置で停止する指示制御を実行可能である。そして、コントローラ80による指示制御が実行されることで、ブレード60が手前位置に配置されて、ブレード60の先端部である刃部60Aが加工物Wの後側に隣接配置される。これにより、ブレード60の刃部60Aによって、加工物Wに対する加工位置が指し示される。このため、第2実施形態においても、作業者が、加工物Wへの加工位置を把握しながら加工物Wに切断加工を施すことができる。したがって、加工物Wに対する加工精度を高くすることができる。
【0091】
また、上述のように、切断工具100の動作開始後では、ブレード60の加工開始位置への到達前に、コントローラ80がトリガ30への操作が第1操作及び第2操作の何れの操作であるのかを判別する。そして、トリガ30への操作が第1操作である場合には、コントローラ80の指示制御が実行され、トリガ30への操作が第2操作である場合には、指示制御が実行されず、ブレード60による加工物Wへの切断加工が実行される。このため、コントローラ80の指示制御の実行の有無を作業者によって選択することができる。したがって、切断工具100の利便性を向上することができる。
【0092】
また、操作検出部110は、第1スイッチ112及び第2スイッチ114を有しており、トリガ30への操作時において、第1スイッチ112及び第2スイッチ114が異なるタイミングでオンに切替わるように設定されている。このため、切断工具100の動作指示するためのトリガ30を活用して、コントローラ80の指示制御の実行の有無を選択することができる。すなわち、作業者による操作部を1箇所にして、切断工具100の動作指示と、指示制御の実行の有無指示と、を行うことができる。
【0093】
なお、第2実施形態では、トリガ30への操作量に応じて、トリガ30の操作が第1操作又は第2操作になるように設定されているが、トリガ30への操作速度に応じて、トリガ30の操作が第1操作又は第2操作になるように設定してもよい。例えば、トリガ30への操作時における第1スイッチ112のオン時から第2スイッチ114のオン時までの時間によって、トリガ30の操作が第1操作又は第2操作になるように設定してもよい。
【0094】
また、第2実施形態では、コントローラ80が、トリガ30への第1操作又は第2操作を判別して、指示制御の実行の有無を判別しているが、指示制御の実行の有無を判別する方法はこれに限らない。例えば、ハウジング20に指示制御の実行の有無を選択するためのボタン等を設けて、当該ボタンへの操作の有無によって、指示制御の実行の有無をコントローラ80によって判別してもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 切断工具(作業機)
20 ハウジング
30 トリガ
40 モータ(動力原)
60 ブレード(加工部)
72 ホルダプレート(プレート)
80 コントローラ
90 加工位置指示手段
91U 照明装置
91L 照明装置
93 LED(光源)
100 切断工具(作業機)
110 操作検出部(検出部)
112 第1スイッチ(スイッチ)
114 第2スイッチ(スイッチ)
W 加工物