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  • 特開-ブラケット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172089
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ブラケット
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20241205BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H02G3/30
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089609
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 恵太
(72)【発明者】
【氏名】横山 喜一
(72)【発明者】
【氏名】門司 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】植田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】酒井 達也
【テーマコード(参考)】
5G363
5H605
【Fターム(参考)】
5G363BA01
5G363DA13
5G363DC02
5H605CC03
5H605CC06
5H605EC04
(57)【要約】
【課題】回転電機等の部品にハーネスが干渉するのを防止することができるブラケットを提供すること。
【解決手段】本発明のブラケットは、板状のブラケット本体部と、ブラケット本体部から延在して設けられ、複数のセンサにそれぞれ接続される複数のハーネスを保持するハーネス保持部と、を有するブラケットであって、ブラケット本体部には、複数のセンサのうちの1つが内壁面に囲まれて配置される切り欠き部と、締結部材を挿通するための貫通孔とが設けられており、ハーネス保持部には、複数のハーネスがそれぞれ嵌まり込む、略U字形状の窪み部が2つ以上連続して設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のブラケット本体部と、
前記ブラケット本体部から延在して設けられ、複数のセンサにそれぞれ接続される複数のハーネスを保持するハーネス保持部と、
を有するブラケットであって、
前記ブラケット本体部には、前記複数のセンサのうちの1つが内壁面に囲まれて配置される切り欠き部と、締結部材を挿通するための貫通孔とが設けられており、
前記ハーネス保持部には、前記複数のハーネスがそれぞれ嵌まり込む、略U字形状の窪み部が2つ以上連続して設けられている、
ことを特徴とするブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサに接続されるハーネスを保持するブラケットが開示されている。このブラケットには、センサを配置するための切り欠き部が形成されている。さらに、前記ブラケットには、ハーネスの延びる方向に略U字形状のハーネス保持部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-047002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたブラケットの構成では、複数のセンサに接続される複数のハーネスが、回転電機等の部品に近接して配置される場合、回転電機等の部品にハーネスが干渉し、ハーネスが断線するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、回転電機等の部品にハーネスが干渉するのを防止することができるブラケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るブラケットは、板状のブラケット本体部と、前記ブラケット本体部から延在して設けられ、複数のセンサにそれぞれ接続される複数のハーネスを保持するハーネス保持部と、を有するブラケットであって、前記ブラケット本体部には、前記複数のセンサのうちの1つが内壁面に囲まれて配置される切り欠き部と、締結部材を挿通するための貫通孔とが設けられており、前記ハーネス保持部には、前記複数のハーネスがそれぞれ嵌まり込む、略U字形状の窪み部が2つ以上連続して設けられている、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るブラケットは、ハーネス保持部に2つ以上連続して設けられた窪み部にそれぞれ嵌め込まれた複数のハーネスの間隔が固定されるので、回転電機等の部品にハーネスが干渉するのを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るブラケット1の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係るブラケットの実施形態について説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態に係るブラケット1の概略構成を示す図である。実施形態に係るブラケット1は、第1センサ31及び第2センサ32にそれぞれ接続される第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22を保持する保持部材である。第1センサ31及び第2センサ32は、例えば、電動車両に搭載される回転電機であるモータを構成する回転部品であるロータの近傍に配置される。第1センサ31及び第2センサ32は、前記モータなどを内部に収容するケース5に取り付けられる。第1センサ31は、締結部材であるボルト42などによってケース5に固定されている。第1センサ31及び第2センサ32によって検出された情報の信号は、第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22を介して前記電動車両に搭載された電子制御装置などに出力される。また、第1センサ31及び第2センサ32は、第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22を介して前記電動車両に設けられたバッテリなどから電力が供給される。
【0011】
実施形態に係るブラケット1は、金属製であって、例えば、プレス加工(せん断、曲げ)などによって作製される。実施形態に係るブラケット1は、板状のブラケット本体部13と、2つのハーネス保持部である第1ハーネス保持部11Aと第2ハーネス保持部11Bとを有する。
【0012】
ブラケット本体部13の長手方向で第1ハーネス保持部11Aが設けられた側の端部には、前記長手方向に切りかかれた切り欠き部12が設けられている。切り欠き部12には、ケース5の図示しない第2センサ保持部に嵌め込まれる第2センサ32が、切り欠き部12の内壁面で囲まれるように配置される。
【0013】
また、ブラケット本体部13の長手方向で第2ハーネス保持部11Bが設けられた側の端部には、締結部材であるボルト41を挿通するための図示しない貫通孔であるボルト孔が設けられている。ブラケット1は、ブラケット本体部13の前記ボルト孔とケース5のボルト穴51とに、ボルト41を挿通して締結することによってケース5に固定される。
【0014】
第1ハーネス保持部11Aと第2ハーネス保持部11Bとは、それぞれブラケット本体部13の長手方向の両端側であって、ブラケット本体部13の長辺側からブラケット本体部13の短手方向外側に向かって延在するように設けられている。なお、本実施形態においては、第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bが、ケース5の形状に沿って適宜屈曲している。
【0015】
第1ハーネス保持部11Aは、2つの略U字形状の窪み部である第1窪み部10aAと第2窪み部10bAとを有する。第1ハーネス保持部11Aは、第1窪み部10aAと第2窪み部10bAが連続して設けられて略S字形状を形成している。また、第2ハーネス保持部11Bは、2つの略U字形状の窪み部である第1窪み部10aBと第2窪み部10bBとを有する。第2ハーネス保持部11Bは、第1窪み部10aBと第2窪み部10bBが連続して設けられて略S字形状を形成している。なお、第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bには、保持する複数のワイヤハーネスの本数に対応させて、略U字形状の窪み部が2つ以上連続して設けられていればよい。
【0016】
第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bのそれぞれの第1窪み部10aA,10aBには、第1ワイヤハーネス21が嵌って保持される。また、第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bのそれぞれの第2窪み部10bA,10bBには、第2ワイヤハーネス22が嵌って保持される。これにより、第1窪み部10aA,10aB及び第2窪み部10bA,10bBにそれぞれ嵌め込まれた第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22の間隔が固定されるので、回転電機等の部品に第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22が干渉するのを防止することができる。
【0017】
実施形態に係るブラケット1においては、第1窪み部10aA,10aB及び第2窪み部10bA,10bBの大きさ(窪みの深さや幅)を、第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22との太さ(直径)に応じて異ならせている。すなわち、本実施形態においては、第1ワイヤハーネス21の太さ(直径)が第2ワイヤハーネス22の太さ(直径)よりも太い(大きい)ため、第1窪み部10aA,10aBの大きさ(窪みの深さや幅)を第2窪み部10bA,10bBの大きさ(窪みの深さや幅)よりも大きくしている。そのため、第1窪み部10aA,10aBに第2ワイヤハーネス22を嵌め込もうとしても、第1窪み部10aA,10aBの内壁面と第2ワイヤハーネス22との間に隙間ができ、第2ワイヤハーネス22を第1窪み部10aA,10aBで固定することができない。また、第2窪み部10bA,10bBに第1ワイヤハーネス21を嵌め込もうとしても、第2窪み部10bA,10bBの幅(窪みの幅)が狭すぎて、第1ワイヤハーネス21を第2窪み部10bA,10bBに嵌め込むことができない。これにより、実施形態に係るブラケット1においては、第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bに対する、第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22の誤組み付けを防止することができる。
【0018】
次に、実施形態に係るブラケット1を用いて、第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22と、第1センサ31及び第2センサ32とを、ケース5に組み付ける手順の一例について説明する。
【0019】
まず、手順1としては、ブラケット1の切り欠き部12に第2センサ32を挿入する。次に、手順2としては、切り欠き部12に第2センサ32を挿入した状態で、第2センサ32をケース5の第2センサ保持部に嵌め込む。次に、手順3としては、ブラケット1をボルト41によってケース5に固定する。次に、第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bのそれぞれの第1窪み部10aA,10aBに、第1ワイヤハーネス21を通して嵌め込み、第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bで第1ワイヤハーネス21を保持する。次に、手順4としては、第1ワイヤハーネス21の一端側に設けられたコネクタ211を、第1センサ31に設けられたコネクタ311に接続する。次に、手順5としては、第1センサ31をボルト42によってケース5に固定する。次に、手順6としては、第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bのそれぞれの第2窪み部10bA,10bBに、一端が第2センサ32に接続された第2ワイヤハーネス22を通して嵌め込み、第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bで第2ワイヤハーネス22を保持する。次に、手順7としては、第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22のたるみを無くす。次に、手順8としては、第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22のそれぞれの他端部に接続された共通コネクタ6を、ケース5に設けられた図示しないコネクタに接続する。
【0020】
実施形態に係るブラケット1においては、ケース5の前記第2センサ保持部に嵌め込まれた第2センサ32が、ブラケット本体部13における切り欠き部12の内壁面と接することによって、ボルト41を回転中心としたブラケット1の回転を規制することができる。すなわち、本実施形態においては、切り欠き部12と第2センサ32とによってブラケット1の回転止め機構が構成されている。なお、第2センサ32としては、ブラケット1の回転止めの使用に耐え得るものを用いている。これにより、実施形態に係るブラケット1においては、ボルト41を回転中心としたブラケット1の回転を、切り欠き部12と第2センサ32とによって規制しつつ、1本のボルト41によってケース5に固定することができ、部品点数を減らして低コスト化を図ることができる。また、ブラケット1がボルト41を回転中心として回転し、第1ハーネス保持部11A及び第2ハーネス保持部11Bに保持された第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22が変位して、回転電機等の部品に干渉するのを防止することができる。
【0021】
また、実施形態に係るブラケット1においては、回転部品(ロータ)の近傍に配線される第1ワイヤハーネス21及び第2ワイヤハーネス22と前記回転部品との干渉防止を、省スペースで実現することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 ブラケット
5 ケース
6 共通コネクタ
10aA,10aB 第1窪み部
10bA,10bB 第2窪み部
11A 第1ハーネス保持部
11B 第2ハーネス保持部
12 切り欠き部
13 ブラケット本体部
21 第1ワイヤハーネス
22 第2ワイヤハーネス
31 第1センサ
32 第2センサ
41,42 ボルト
51 ボルト穴
211,311 コネクタ
図1