IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空気調和機の制御システム 図1
  • 特開-空気調和機の制御システム 図2
  • 特開-空気調和機の制御システム 図3
  • 特開-空気調和機の制御システム 図4
  • 特開-空気調和機の制御システム 図5
  • 特開-空気調和機の制御システム 図6
  • 特開-空気調和機の制御システム 図7
  • 特開-空気調和機の制御システム 図8
  • 特開-空気調和機の制御システム 図9
  • 特開-空気調和機の制御システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172091
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】空気調和機の制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/80 20180101AFI20241205BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20241205BHJP
   F24F 1/42 20110101ALI20241205BHJP
   F25D 21/14 20060101ALI20241205BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20241205BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241205BHJP
   F24F 140/60 20180101ALN20241205BHJP
【FI】
F24F11/80
F24F11/46
F24F1/42
F25D21/14 P
F25B39/04 M
F25B1/00 397E
F24F140:60
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089612
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】古賀 恒治
【テーマコード(参考)】
3L048
3L054
3L260
【Fターム(参考)】
3L048AA01
3L048CA02
3L048CB02
3L048DA01
3L054BF20
3L260AB02
3L260BA42
3L260BA74
3L260CB78
3L260DA13
3L260FA05
3L260FA07
3L260FA16
3L260FB73
3L260FC39
(57)【要約】
【課題】ドレン水を用いて室外の凝縮器を冷却する場合に、ドレン水の不足に起因して消費電力量のピークが大きくなることを抑制することが可能な空気調和機の制御システムを提供する。
【解決手段】この空気調和機の制御システム100では、制御部3は、第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するドレン水の量が不足している場合に第1蒸発器1aの冷却温度を下げて、ドレン水の量を増加させる制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を冷却する空気調和機と、
室内に配置され、物品を冷却する冷却庫と、
前記空気調和機と前記冷却庫とを制御する制御部と、を備え、
前記空気調和機は、室内に配置され、室内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより室内空気を冷却する第1蒸発器と、室外に配置され、前記第1蒸発器を通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第1凝縮器を有する第1室外機と、を含み、
前記冷却庫は、室内に配置され、庫内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより庫内空気を冷却する第2蒸発器と、前記第2蒸発器を通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第2凝縮器を有する第2室外機と、を含み、
前記制御部は、前記第1凝縮器および前記第2凝縮器の少なくとも一方を冷却するドレン水の量が不足している場合に前記第1蒸発器の冷却温度を下げて、ドレン水の量を増加させる制御を行う、空気調和機の制御システム。
【請求項2】
前記空気調和機は、室内に複数配置され、
前記制御部は、前記第1蒸発器において結露したドレン水の量が不足している場合に、前記複数の空気調和機のうち一部の運転を停止または弱めるとともに、前記複数の空気調和機のうち残りの冷房運転の前記第1蒸発器の冷却温度を下げる制御を行う、請求項1に記載の空気調和機の制御システム。
【請求項3】
前記空気調和機は、室内に1台配置され、
前記制御部は、ドレン水の量を増加させるために、前記空気調和機の設定温度に応じた前記第1蒸発器の冷却温度よりも前記第1蒸発器の冷却温度を低くする制御と、前記空気調和機の設定温度に応じた前記第1蒸発器の冷却温度よりも前記第1蒸発器の冷却温度を高くする制御とを交互に行う、請求項1に記載の空気調和機の制御システム。
【請求項4】
ドレン水を溜める貯水部をさらに備え、
前記制御部は、前記貯水部内のドレン水の量および前記空気調和機の運転によって得られるドレン水の量のうちいずれか一方、または前記貯水部内のドレン水の量および前記空気調和機の運転により得られるドレン水の量の合計が、前記第1凝縮器および前記第2凝縮器の少なくとも一方を冷却するために必要なドレン水の量よりも少ない場合に、前記第1蒸発器の冷却温度を下げて前記空気調和機の運転を行う制御を行う、請求項1に記載の空気調和機の制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、消費電力量を所定時間毎に取得するとともに、取得した消費電力から予測される単位時間あたりの消費電力量が、閾値を超えると予測される場合に、前記第1蒸発器において結露したドレン水により前記第2凝縮器を冷却する制御を行う、請求項1に記載の空気調和機の制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、消費電力量を所定時間毎に取得するとともに、取得した消費電力から予測される単位時間の消費電力量が小さくなる早朝または夜間の時間帯に、前記第1蒸発器の冷却温度を下げる制御を行う、請求項1に記載の空気調和機の制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1蒸発器において結露したドレン水により前記第2凝縮器を冷却する制御を行う、請求項1に記載の空気調和機の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の制御システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、室外機と室内機とからなるエアコンと、室外機を冷却する冷却水が貯水されている貯水機構と、冷却水を室外機の放熱フィンに散水する散水機構とを備える省エネ装置が開示されている。室内機は、冷媒と内部空気との間で熱交換することにより内部空気を冷却する。また、室外機は、放熱フィンを含み、室内機により温められた冷媒と外部空気との間で放熱フィンを介して熱交換することにより冷媒を冷却する。特許文献1の省エネ装置は、室内機において結露されたドレン水を冷却水として貯水機構に溜めるとともに、溜められたドレン水を散水機構によって室外機の放熱フィンに散水し、放熱フィンを冷却することにより熱交換効率を上げて消費電力量が大きくなることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-216709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されているように室外機の冷却にドレン水を用いる場合に、室外機の冷却に用いることができるドレン水の量は室内機の運転状態によって異なる。たとえば、夜間の気温が低い場合に空気調和機(エアコン)を停止した場合、第1蒸発器(室内機)の運転が停止されるため、ドレン水が発生しない。この場合、第1凝縮器(室外機)を冷却するためのドレン水が不足し、第1凝縮器を冷却して消費電力量が大きくなることを抑制することができないため、消費電力量のピークが大きくなるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ドレン水を用いて室外の凝縮器を冷却する場合に、ドレン水の不足に起因して消費電力量のピークが大きくなることを抑制することが可能な空気調和機の制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による空気調和機の制御システムは、室内を冷却する空気調和機と、室内に配置され、物品を冷却する冷却庫と、空気調和機と冷却庫とを制御する制御部と、を備え、空気調和機は、室内に配置され、室内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより室内空気を冷却する第1蒸発器と、室外に配置され、第1蒸発器を通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第1凝縮器を有する第1室外機と、を含み、冷却庫は、室内に配置され、庫内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより庫内空気を冷却する第2蒸発器と、第2蒸発器を通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第2凝縮器を有する第2室外機と、を含み、制御部は、第1凝縮器および第2凝縮器の少なくとも一方を冷却するドレン水の量が不足している場合に第1蒸発器の冷却温度を下げて、ドレン水の量を増加させる制御を行う。
【0008】
この発明の一の局面による空気調和機の制御システムでは、上記のように、制御部は、室外に配置される第1凝縮器および第2凝縮器の少なくとも一方を冷却するドレン水の量が不足している場合に第1蒸発器の冷却温度を下げて、ドレン水の量を増加させる制御を行う。これにより、ドレン水の量が不足する場合に、ドレン水の量を増加させる制御が行われるため、室外に配置される第1凝縮器および第2凝縮器の少なくとも一方を冷却するためのドレン水の不足を抑制することができる。この結果、消費電力量のピークが大きくなると予測される場合に、ドレン水の量を増加して、第1凝縮器および第2凝縮器の少なくとも一方を冷却することができるため、ドレン水を用いて室外の凝縮器を冷却する場合に、ドレン水の不足に起因して消費電力量のピークが大きくなることを抑制することができる。さらに、第1蒸発器の冷却温度を下げることにより結露するドレン水を用いることにより、ドレン水以外を用いて冷却する場合と異なり、冷却水を供給する装置を別途用意する必要がないとともに、ユーザが冷却水を補充する手間を省くことができる。
【0009】
上記一の局面による空気調和機の制御システムにおいて、好ましくは、空気調和機は、室内に複数配置され、制御部は、第1蒸発器において結露したドレン水の量が不足している場合に、複数の空気調和機のうち一部の運転を停止または弱めるとともに、複数の空気調和機のうち残りの冷房運転の第1蒸発器の冷却温度を下げる制御を行う。このように構成すれば、第1蒸発器の冷却温度を下げることにより、室内空気に含まれる水分が結露し、ドレン水が発生する。また、複数の空気調和機のうち一部の運転を停止または弱めることにより、室内を設定温度にするために残りの空気調和機の第1蒸発器の冷却温度を大きく下げることができる。この結果、第1蒸発器の冷却温度と室内空気の温度との差が大きくなるため、室内空気が冷却された際に結露するドレン水の量を増加させることができる。
【0010】
上記一の局面による空気調和機の制御システムにおいて、好ましくは、空気調和機は、室内に1台配置され、制御部は、ドレン水の量を増加させるために、空気調和機の設定温度に応じた第1蒸発器の冷却温度よりも第1蒸発器の冷却温度を低くする制御と、空気調和機の設定温度に応じた第1蒸発器の冷却温度よりも第1蒸発器の冷却温度を高くする制御とを交互に行う。このように構成すれば、空気調和機の設定温度に応じた第1蒸発器の冷却温度よりも第1蒸発器の冷却温度を低くすることにより、設定温度に応じて第1蒸発器の冷却温度を設定した場合と比べて、室内空気に含まれる水分が結露する量が増えるため、ドレン水の量を増加させることができる。また、空気調和機の設定温度に応じた第1蒸発器の冷却温度よりも第1蒸発器の冷却温度を低くする制御と、空気調和機の設定温度に応じた第1蒸発器の冷却温度よりも第1蒸発器の冷却温度を高くする制御とを交互に行うことにより、空気調和機から吹き出される空気の温度が低く、室内が設定温度よりも低くなった場合に、冷房運転を弱くして室内温度を設定温度に調整することができる。
【0011】
上記一の局面による空気調和機の制御システムにおいて、好ましくは、ドレン水を溜める貯水部をさらに備え、制御部は、貯水部内のドレン水の量および空気調和機の運転によって得られるドレン水の量のうちいずれか一方、または貯水部内のドレン水の量および空気調和機の運転により得られるドレン水の量の合計が、第1凝縮器および第2凝縮器の少なくとも一方を冷却するために必要なドレン水の量よりも少ない場合に、第1蒸発器の冷却温度を下げて空気調和機の運転を行う制御を行う。このように構成すれば、貯水部を備えることにより、予め第1凝縮器および第2凝縮器の少なくとも一方を冷却するドレン水を溜めておくことができる。また、第1凝縮器および第2凝縮器の少なくとも一方を冷却するために必要なドレン水の量よりも少ない場合に第1蒸発器の冷却温度を下げて空気調和機の運転を行う制御を行うことにより、ドレン水の量を増やして、貯水部内のドレン水の量を室外に配置された第1凝縮器および第2凝縮器の少なくとも一方を冷却するために必要なドレン水の量に調整することができる。
【0012】
上記一の局面による空気調和機の制御システムにおいて、好ましくは、制御部は、消費電力量を所定時間毎に取得するとともに、取得した消費電力から予測される単位時間あたりの消費電力量が、閾値を超えると予測される場合に、第1蒸発器において結露したドレン水により第2凝縮器を冷却する制御を行う。このように構成すれば、消費電力量が閾値を超える場合を予め取得して、ドレン水により室外に配置された第1凝縮器または第2凝縮器を冷却することができるため、ピーク時の消費電力量の増加を効果的に抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による空気調和機の制御システムにおいて、好ましくは、制御部は、消費電力量を所定時間毎に取得するとともに、取得した消費電力から予測される単位時間の消費電力量が小さくなる早朝または夜間の時間帯に、第1蒸発器の冷却温度を下げる制御を行う。このように構成すれば、消費電力量が小さくなる早朝または夜間の時間帯に空気調和機の冷房運転を強くすることにより、単位時間の消費電力量が大きくなる時間帯に空気調和機の冷房運転を強くする場合と異なり、第1蒸発器の冷却温度を下げることによって消費電力量が増加したとしても一日当たりの消費電力量のピークが大きくなることを抑制することができる。
【0014】
上記一の局面による空気調和機の制御システムにおいて、好ましくは、制御部は、第1蒸発器において結露したドレン水により第2凝縮器を冷却する制御を行う。このように構成すれば、たとえば、冷却庫が店舗内に複数配置されるショーケースの場合に、室外に配置された第2凝縮器を冷却することにより、消費電力量のピークが大きくなることを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、ドレン水を用いて室外の凝縮器を冷却する場合に、ドレン水の不足に起因して消費電力量のピークが大きくなることを抑制することが可能な空気調和機の制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態による制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態による空気調和機および冷却庫を店舗内に配置した店舗を示す上面図である。
図3】空気調和機の冷凍サイクルと冷却庫の冷凍サイクルとを示す図である。
図4】空気調和機の一日の電力量と、冷却庫の一日の電力量と、空気調和機の電力量および冷却庫の電力量の合計の電力量とを示すグラフである。
図5】消費電力量と必要なドレン水との関係を示す図である。
図6】室内の設定温度と、冷房運転台数と、空気調和機の冷却温度との関係を示す図である。
図7】ドレン水の量を判断する定時処理のフローチャートである。
図8】ドレン水の量を判断する常時処理のフローチャートである。
図9】第2実施形態による空気調和機の一日の電力量と、冷却庫の一日の電力量と、空気調和機の電力量および冷却庫の電力量の合計の電力量とを示すグラフである。
図10】第3実施形態による空気調和機および冷却庫を店舗内に配置した店舗を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1を参照して、第1実施形態による空気調和機1の制御システム100の構成について説明する。
【0019】
図1および図2に示すように、空気調和機1の制御システム100は、複数の空気調和機1と、複数の冷却庫2と、制御部3とを備える。空気調和機1の制御システム100は、店舗50において使用される。以下、店舗50の内部を室内とする。
【0020】
図2に示すように、空気調和機1の吹き出し口は、室内の天井に複数配置される。第1実施形態では、空気調和機1が、4台設けられている例を示す。なお、図2では、天井側をZ1とし、床側をZ2とする。また、床および壁に配置される機器は実線で表し、天井に配置される機器は破線で表す。図2は、店舗50の配置を模式的に示している。空気調和機1は、冷房運転と、送風運転と、暖房運転とを行うように構成されている。
【0021】
図2および図3に示すように、空気調和機1は、室外(店舗外)に配置される第1室外機11を含む。第1室外機11は、第1凝縮器1bを有する。空気調和機1の冷凍サイクルは、第1蒸発器1aと、第1凝縮器1bと、第1圧縮機1cと、第1膨張部1dとを含む。第1蒸発器1aは、室内に配置される室内機の一部である。
【0022】
冷房運転時には、第1蒸発器1aは、室内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより室内空気を冷却する。具体的には、冷媒が室内空気の熱によって蒸発(気化)することにより、室内空気が冷却される。また、室内空気が冷却されることにより、空気中の水分が結露し、冷媒が供給される配管の外表面に結露水(ドレン水)が発生する。発生した結露水は、ドレン管5により排水される。また、冷房運転時に、第1凝縮器1bは、第1蒸発器1aを通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより、冷媒を冷却して凝縮(液化)させる。具体的には、第1凝縮器1bには、冷媒が通過する配管に放熱フィンが設けられており、放熱フィンによって熱が空気中に放出されることにより冷媒が冷却される。第1圧縮機1cは、冷媒を圧縮して、第1凝縮器1bに供給する。第1圧縮機1cの運転条件を変更することにより、第1蒸発器1aの温度を変更することができる。また、第1膨張部1dは、第1凝縮器1bを通過した冷媒を低温低圧の冷媒に変化させて、第1蒸発器1aに供給する。
【0023】
図2に示すように、冷却庫2は、店舗50内に設けられるショーケースである。ショーケースは、冷蔵ショーケースと、冷凍ショーケースとを含む。冷却庫2は、運転モードとして冷却運転と、停止とを行うように構成されている。
【0024】
図2および図3に示すように、冷却庫2は、室外(店舗外)に配置される第2室外機21を含む。第2室外機21は、第2凝縮器2bを含む。冷却庫2の冷凍サイクルは、第2蒸発器2aと、第2凝縮器2bと、第2圧縮機2cと、第2膨張部2dとを含む。
【0025】
第2蒸発器2aは、冷却庫2内に配置され、庫内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより庫内空気を冷却する。具体的には、冷媒が庫内空気の熱によって蒸発(気化)することにより、庫内空気が冷却される。また、庫内空気が冷却されることにより、空気中の水分が結露し、冷媒が供給される配管の外表面に結露水(ドレン水)が発生する。第2凝縮器2bは、第2蒸発器2aを通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより、冷媒を冷却して凝縮(液化)させる。第2蒸発器2aは、冷媒が通る配管に放熱フィンが設けられており、放熱フィンによって冷媒の熱が空気中に放熱される。第2圧縮機2cは、冷媒を圧縮して、第2凝縮器2bに供給する。第2圧縮機2cの運転条件を変更することにより、第2蒸発器2aの温度を変更することができる。また、第2膨張部2dは、第2凝縮器2bを通過した冷媒を低温低圧の冷媒に変化させて、第2蒸発器2aに供給する。
【0026】
図1に示すように、制御部3は、空気調和機1と冷却庫2とを制御する。空気調和機1は、室内が設定温度になるように、第1蒸発器1aの温度を調整するとともに、空気調和機1から室内に供給する空気の風量および風向きを調整する。第1蒸発器1aの温度を調整する方法は、たとえば、第1圧縮機1cの運転を調整することにより行われる。
【0027】
図2に示すように、第1蒸発器1aから排水されたドレン水は、ドレン管5を介して貯水部4に貯められる。貯水部4は、たとえば、タンクである。
【0028】
(制御部の制御)
制御部3は、第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水を用いて、第2凝縮器2bを冷却する。具体的には、制御部3は、ドレン水を用いて第2凝縮器2bの放熱フィンを冷却する。
【0029】
制御部3は、貯水部4内のドレン水の量と、空気調和機1の運転により得られるドレン水の量との合計が、第2凝縮器2bを冷却するために必要なドレン水の量よりも大きいか否かにより、ドレン水の量を増加させる制御を行うか否かを判断する。制御部3は、決まった時間にドレン水の量を増加させるか否かを判断する定時処理と、定時処理を行う時間以外の時間に一定時間毎にドレン水の量を増加させるか否かを判断する常時処理とを行う。定時処理は、たとえば、所定時間範囲内の0分毎に行う。常時処理は、たとえば、一定時間が1分であり、1分毎にドレン水の量を増加させるか否か判断される。
【0030】
第2凝縮器2bを冷却するために必要なドレン水の量は、実測値に基づいて算出する方法と、予測値に基づいて算出する方法とがある。実測値は、前日または過去1週間を含む所定期間において使用したドレン水の使用量である。使用量に基づいて算出する場合、天候の影響を受けなければ、正確な値を算出することができるとともに、ドレン水の量を容易に算出することができる。予測値は、天気予報に基づいて予測する。天気予報のデータは、上位サーバから供給される。上位サーバは、たとえば、複数の店舗50を一括して管理する管理サーバである。天気予報が晴れの場合は、制御部3は、気温が高くなると予測され、空気調和機1の運転が強くなりドレン水を多く使用すると予測する。また、天気予報が雨の場合は、制御部3は、空気調和機1の運転が晴れの場合よりも弱くなり、ドレン水をあまり多く使用しないと予測する。天気予報に基づいて算出する場合、梅雨のように天候が大きく変化する時期でも正しく予測することができる。
【0031】
貯水部4内のドレン水の量は、実測値で算出する方法と、予測値で算出する方法とがある。実測値は、貯水部4に取り付けたセンサの測定値である。センサは、重量を測定する重量センサでもよく、フロート式の水位センサであってもよい。センサにより、正確にドレン水の量を取得することができる。予測値は、稼働中の空気調和機1における第1蒸発器1aの温度と、第1蒸発器1aを通過した室内空気の量と、室内温度と、湿度とに基づいて予測される。たとえば、制御部3は、室内空気の温度および湿度から、室内空気が第1蒸発器1aの温度に冷却された場合に、空気1kgあたり結露するドレン水の量を求めるとともに、求めた1kgあたりのドレン水の量に第1蒸発器1aを通過した空気の量を掛けることにより求められる。予測値を算出する場合、センサが不要となるため、部品点数を少なくすることができる。
【0032】
空気調和機1の運転により得られるドレン水の量は、実測値で算出する方法と、予測値で算出する方法とがある。実測値は、過去の所定時間において溜めることができたドレン水の量に基づいて算出される。実測値に基づいて算出する場合、気温の変化が少ない程、小さな誤差で算出することができる。予測値は、天気予報に基づいて算出される。天気予報に基づいて、制御部3は、空気調和機1の運転条件(蒸発器の温度、風量)を予測し、予測した運転条件によって得られるドレン水の量を取得する。天気予報に基づく場合、センサが不要となるため、部品点数を少なくすることができる。
【0033】
図4に示すように、制御部3は、消費電力量を所定時間毎に取得するとともに、取得した消費電力量から予測される単位時間当たりの消費電力量の予測値が、閾値を超える場合に、第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水により第2凝縮器2bを冷却する制御を行う。所定時間とは、たとえば、15分毎であり、単位時間は、たとえば、30分である。また、単位時間の消費電力は、30分間に消費した電力量の合計である。制御部3は、15分間の消費電力量から30分間の消費電力量を予測し、予測値が閾値を超えると予測される場合に第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水により第2凝縮器2bを冷却する制御を行う。図4の場合、一点鎖線で示す空気調和機1の消費電力量と、破線で示す冷却庫2の消費電力量との合計である実線で示す合計の消費電力量のピークが大きい午後12時から午後14時の間において第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水により第2凝縮器2bを冷却する制御を行う。これにより、図4において矢印で示すように、冷却庫2の消費電力量が小さくなり、消費電力量のピークを実線の位置から破線の位置に下げることができる。
【0034】
図5に示すように、制御部3は、消費電力量に応じて、必要なドレン水の量が記憶されている。たとえば、予測される消費電力量がA1の場合は、必要なドレン水の量がx1リットルとなり、予測される消費電力量がA2の場合は、必要なドレン水の量がx2リットルとなる。
【0035】
図1および図2に示すように、制御部3は、第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水の量が不足している場合に、複数の空気調和機1のうち一部の運転を停止または弱めるとともに、複数の空気調和機1のうち残りの冷房運転の第1蒸発器1aの冷却温度を下げる制御を行う。運転を停止または弱める空気調和機1は、たとえば、店舗50の入り口51および窓52から離れた、温度の変化がほとんどない位置に設けられた空気調和機1から行われる。
【0036】
たとえば、図2の場合は、まず、Y1側に配置される2つの空気調和機1のうちX2側に配置される空気調和機1の運転が停止または弱められる。次に、Y1側に配置される空気調和機1のうちX1側に配置される空気調和機1の運転が停止または弱められる。
【0037】
空気調和機1の運転を弱めるとは、設定温度を高くして運転する場合と、室内空気を冷却せずに送風する送風運転とを含む。
【0038】
一部の空気調和機1の運転を停止または弱めることにより、室温に偏りが出る場合は、制御部3は、以下の4つの制御のうち少なくとも1つを行ってもよい。1つ目は、制御部3は、一部の空気調和機1を停止させるのではなく、弱めて送風運転を行うことにより、室内空気を循環させて、室温を均一化させる制御である。2つ目は、冷房運転を行う空気調和機1を一定時間毎に入れ替えて、冷却される場所を入れ替える制御である。たとえば、制御部3は、Y1側の空気調和機1を一定時間停止または弱めた後、Y2側の空気調和機1を一定時間停止または弱める制御を行う。3つ目は、制御部3は、空気調和機1の一部を停止または弱める制御を、外気温が高い時(たとえば、日中)を避けて、外気温が低い時(たとえば、夜間)に行う制御である。4つ目は、制御部3は、空気調和機1以外の換気システムまたは外気取り込みシステムにより室内の空気を循環させる制御である。
【0039】
図6に示すように、制御部3は、室内の設定温度と、空気調和機1の運転台数とに応じて、第1蒸発器1aの冷却温度が設定されている。室内の設定温度が15℃であり、冷房運転を行う空気調和機1の運転台数が1台の場合は、第1蒸発器1aの冷却温度をa1℃に設定する。室内の設定温度が15℃であり、冷房運転を行う空気調和機1の運転台数が2台の場合は、第1蒸発器1aの冷却温度をa2℃に設定する。室内の設定温度が20℃であり、冷房運転を行う空気調和機1の運転台数が1台の場合は、第1蒸発器1aの冷却温度をb1℃に設定する。室内の設定温度が25℃であり、冷房運転を行う空気調和機1の運転台数が1台の場合は、第1蒸発器1aの冷却温度をc1℃に設定する。
【0040】
制御部3が、ドレン水を増量しつつ、室内を設定温度に冷却する温度制御を説明する。空気の状態が乾球温度25℃、相対湿度50%、露点温度13.9℃、絶対湿度9.9g/kg、比エンタルピ50.3kJ/kgであって、外気温および日射の影響により500m/時間で空気が35℃に加熱される条件下で、室温を25℃に保つ場合を例に説明する。なお、相対湿度は、ある温度において空気が含むことができる最大水蒸気量に対する現在の水蒸気量の割合を指す。また、絶対湿度とは、空気1kg当たりに含まれる水蒸気の割合を指す。露点温度は、ある空気を冷却した場合に結露し始める温度である。
【0041】
空気調和機1を冷房運転で4台稼働させて、500m/時間の室内空気を吸い込み、第1蒸発器1aで15℃に冷却することにより室温は25℃に保つことができる。しかしながら、15℃では露点温度以上であるため、ドレン水が発生しない。
【0042】
一方で、空気調和機1を冷房運転で2台稼働させて、250m/時間の室内空気を吸い込み、第1蒸発器1aで5℃に冷却することにより室温は25℃に保つことができる。これにより、露点温度(13.9℃)以下にすることができるため、ドレン水を発生させることができる。この場合、絶対湿度は、5.4g/kgとなるため、冷却前の絶対湿度と冷却後の絶対湿度との差から4.5g/kgがドレン水として発生する。空気の密度は、1.2kg/mであるため、通過する空気の重量は、1時間あたり300kgとなる。以上のことから、300kgの空気に4.5g/kgを掛けた1.35リットルのドレン水が1時間あたりに発生するドレン水の量となる。
【0043】
また、空気調和機1を冷房運転で2台稼働させて、250m/時間の室内空気を吸い込み、5℃に冷却する場合に、室内の空気の3分の1が冷却されたとすると、相対湿度が42.6%、絶対湿度が8.4g/kgとなる。これにより、空気調和機1の一部の運転を停止させる前の25℃で相対湿度50%のときは、体感温度が23.2℃になるのに対して、空気調和機1の運転の一部を停止した後であって、25℃で相対湿度42.6%のときは、体感温度が22.7℃となる。そうすると、空気調和機1の一部の運転を停止した後は、体感温度が低くなる。また、空気調和機1の一部の運転の停止後に体感温度を23.3℃にするためには、25.8℃に設定すればよいため、空気調和機1の設定温度が高くなり、空気調和機1の運転が弱まるため、消費電力量をさらに抑制することができる。
【0044】
図4に示すように、制御部3は、消費電力量を所定時間毎に取得するとともに、取得した消費電力から予測される単位時間の消費電力量が小さくなる早朝または夜間の時間帯に、第1蒸発器1aの温度を下げる制御を行う。図4の場合、午後20時~午前7時の間に行われる。
【0045】
(空気調和機の制御システム)
図7に基づいて、空気調和機1の制御システム100における制御部3の定時処理の詳細について説明する。
【0046】
制御部3は、ステップS1として、ドレン水の量を判断する時刻であるか否かで進むステップが異なる。具体的には、ステップS1では、ドレン水の量を増加させるか否かを判断する。ドレン水の量を判断する時刻である場合は、ステップS2に進み、そうでない場合は、ステップS1を繰り返す。なお、時刻については上位サーバから取得してもよい。
【0047】
ステップS2では、ドレン水の必要量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS3では、ドレン水の溜まっている量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS4では、ドレン水を溜められる量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS2~S4は、この順番と異なる順番で行ってもよく、同時に行ってもよい。
【0048】
ステップS5では、ステップS2で算出されたドレン水の必要量が、ステップS3で算出されたドレン水の溜まっている量と、ステップS4で算出されたドレン水を溜められる量との合計よりも大きいか否かにより進むステップが異なる。大きい場合は、ステップS6に進み、大きくない場合は、必要なドレン水が貯水部4に貯水されているため、終了する。
【0049】
ステップS6では、ドレン水の増量を開始する。具体的には、室内の設定温度に基づいて複数の空気調和機1の一部の冷房運転を停止または弱める制御を行う。
【0050】
ステップS7では、ドレン水の必要量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS8では、ドレン水の溜まっている量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS9では、ドレン水を溜められる量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS7~S9は、この順番と異なる順番で行ってもよく、同時に行ってもよい。
【0051】
ステップS10では、ステップS7で算出されたドレン水の必要量が、ステップS8で算出されたドレン水の溜まっている量と、ステップS9で算出されたドレン水を溜められる量との合計よりも大きいか否かにより進むステップが異なる。大きくない場合は、ステップS11に進み、大きい場合は、ステップS7に戻る。ステップS11では、ドレン水の量を増加させる制御を終了し、通常の運転に戻す。
【0052】
図8に基づいて、空気調和機1の制御システム100における制御部3の常時処理の詳細について説明する。制御部3は、ステップS21として、一定時間が経過か否かを判断する。一定時間が経過している場合は、ステップS22に進み、そうでない場合は、ステップS21を繰り返す。
【0053】
ステップS22では、ドレン水の必要量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS23では、ドレン水の溜まっている量を算出する。算出する方法は、実測値を用いる方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS24では、ドレン水を溜められる量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS22~S24は、この順番と異なる順番で行ってもよく、同時に行ってもよい。
【0054】
ステップS25では、ステップS22で算出されたドレン水の必要量が、ステップS23で算出されたドレン水の溜まっている量と、ステップS24で算出されたドレン水を溜められる量との合計よりも大きいか否かにより進むステップが異なる。大きい場合は、ステップS26に進み、大きくない場合は、ステップS21に戻る。
【0055】
ステップS26では、ドレン水の増量を開始する。具体的には、複数の空気調和機1の一部の冷房運転を停止または弱める制御を行う。
【0056】
ステップS27では、ドレン水の必要量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS28では、ドレン水の溜まっている量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS29では、ドレン水を溜められる量を算出する。算出する方法は、実測値を用いて算出する方法でもよく、予測値を用いて算出する方法でもよい。ステップS27~S29は、この順番と異なる順番で行ってもよく、同時に行ってもよい。
【0057】
ステップS30では、ステップS27で算出されたドレン水の必要量が、ステップS28で算出されたドレン水の溜まっている量と、ステップS29で算出されたドレン水を溜められる量との合計よりも大きいか否かにより進むステップが異なる。大きくない場合は、ステップS31に進み、大きい場合は、ステップS27に戻る。ステップS31では、ドレン水の量を増加させる制御を終了し、通常の運転に戻す。
【0058】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0059】
第1実施形態では、上記のように、空気調和機1の制御システム100は、室内を冷却する空気調和機1と、室内に配置され、物品を冷却する冷却庫2と、空気調和機1と冷却庫2とを制御する制御部3と、を備え、空気調和機1は、室内に配置され、室内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより室内空気を冷却する第1蒸発器1aと、室外に配置され、第1蒸発器1aを通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第1凝縮器1bを有する第1室外機11と、を含み、冷却庫2は、室内に配置され、庫内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより庫内空気を冷却する第2蒸発器2aと、第2蒸発器2aを通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第2凝縮器2bを有する第2室外機21と、を含み、制御部3は、室外に配置される第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するドレン水の量が不足している場合に第1蒸発器1aの冷却温度を下げて、ドレン水の量を増加させる制御を行う。これにより、ドレン水の量が不足する場合に、ドレン水の量を増加させる制御が行われるため、第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するためのドレン水の不足を抑制することができる。この結果、消費電力量のピークが大きくなると予測される場合に、ドレン水の量を増加して、第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却することができるため、ドレン水を用いて室外の凝縮器を冷却する場合に、ドレン水の不足に起因して消費電力量のピークが大きくなることを抑制することができる。さらに、第1蒸発器1aの冷却温度を下げることにより結露するドレン水を用いることにより、ドレン水以外を用いて冷却する場合と異なり、冷却水を供給する装置を別途用意する必要がないとともに、ユーザが冷却水を補充する手間を省くことができる。
【0060】
また、第1実施形態では、上記のように、空気調和機1は、室内に複数配置され、制御部3は、第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水の量が不足している場合に、複数の空気調和機1のうち一部の運転を停止または弱めるとともに、複数の空気調和機1のうち残りの冷房運転の第1蒸発器1aの冷却温度を下げる制御を行う。これにより、第1蒸発器1aの冷却温度を下げることにより、室内空気に含まれる水分が結露し、ドレン水が発生する。また、複数の空気調和機1のうち一部の運転を停止または弱めることにより、室内を設定温度にするために残りの空気調和機1の第1蒸発器1aの冷却温度を大きく下げることができる。この結果、第1蒸発器1aの冷却温度と室内空気の温度との差が大きくなるため、室内空気が冷却された際に結露するドレン水の量を増加させることができる。
【0061】
また、第1実施形態では、上記のように、ドレン水を溜める貯水部4をさらに備え、制御部3は、貯水部4内のドレン水の量および空気調和機1の運転によって得られるドレン水の量のうちいずれか一方、または貯水部4内のドレン水の量および空気調和機1の運転により得られるドレン水の量の合計が、第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するために必要なドレン水の量よりも少ない場合に、第1蒸発器1aの冷却温度を下げて空気調和機1の運転を行う制御を行う。これにより、貯水部4を備えることにより、予め第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するドレン水を貯水しておくことができる。また、第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するために必要なドレン水の量よりも少ない場合に第1蒸発器1aの冷却温度を下げて空気調和機1の運転を行う制御を行うことにより、ドレン水の量を増やして、貯水部4内のドレン水の量を室外に配置された第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するために必要なドレン水の量に調整することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部3は、消費電力量を所定時間毎に取得するとともに、取得した消費電力から予測される単位時間あたりの消費電力量が、閾値を超えると予測される場合に、第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水により第2凝縮器2bを冷却する制御を行う。これにより、消費電力量が閾値を超える場合を予め取得して、ドレン水により室外に配置された第1凝縮器1bまたは第2凝縮器2bを冷却することができるため、ピーク時の消費電力量の増加を効果的に抑制することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部3は、消費電力量を所定時間毎に取得するとともに、取得した消費電力から予測される単位時間の消費電力量が小さくなる早朝または夜間の時間帯に、第1蒸発器1aの冷却温度を下げる制御を行う。これにより、消費電力量が小さくなる早朝または夜間の時間帯に空気調和機1の冷房運転を強くすることにより、単位時間の消費電力量が大きくなる時間帯に空気調和機1の冷房運転を強くする場合と異なり、第1蒸発器1aの冷却温度を下げることによって消費電力量が増加したとしても一日当たりの消費電力量のピークが大きくなることを抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部3は、第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水により第2凝縮器2bを冷却する制御を行う。これにより、たとえば、冷却庫2が店舗内に複数配置されるショーケースの場合に、室外に配置された第2凝縮器2bを冷却することにより、消費電力量のピークが大きくなることを効果的に抑制することができる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、図9を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、取得した消費電力から予測される単位時間の消費電力量が小さくなる早朝または夜間の時間帯に、第1蒸発器1aの温度を下げる制御を行うともに、消費電力量のピークが閾値を超える場合に第1蒸発器1aの温度を下げる制御を行う。
【0066】
図9に示すように、消費電力量のピークが閾値を超える場合に第2凝縮器2bをドレン水によって冷却するが、ドレン水の量が十分でない場合がある。この場合に、制御部3は、稼働している空気調和機1の第1蒸発器1aの冷却温度を下げる制御を行う。
【0067】
稼働している空気調和機1の第1蒸発器1aの冷却温度を下げる制御が行われることにより、図9において一点鎖線で示す空気調和機1の消費電力量のピークが上昇するが、第2凝縮器2bをドレン水で冷却することにより破線で示す冷却庫2の消費電力量のピークが下がるため、実線で示す合計の消費電力量のピークを下げることができる。なお、矢印は電力量の変化を示す。
【0068】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、空気調和機1の制御システム100は、室内を冷却する空気調和機1と、室内に配置され、物品を冷却する冷却庫2と、空気調和機1と冷却庫2とを制御する制御部3と、を備え、空気調和機1は、室内に配置され、室内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより室内空気を冷却する第1蒸発器1aと、室外に配置され、第1蒸発器1aを通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第1凝縮器1bを有する第1室外機11と、を含み、冷却庫2は、室内に配置され、庫内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより庫内空気を冷却する第2蒸発器2aと、第2蒸発器2aを通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第2凝縮器2bを有する第2室外機21と、を含み、制御部3は、第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するドレン水の量が不足している場合に第1蒸発器1aの冷却温度を下げて、ドレン水の量を増加させる制御を行う。これにより、ドレン水の量が不足する場合に、ドレン水の量を増加させる制御が行われるため、室外に配置される第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するためのドレン水の不足を抑制することができる。この結果、消費電力量のピークが大きくなると予測される場合に、ドレン水の量を増加して、室外に配置される第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却することができるため、ドレン水を用いて室外の凝縮器を冷却する場合に、ドレン水の不足に起因して消費電力量のピークが大きくなることを抑制することができる。さらに、第1蒸発器1aの冷却温度を下げることにより結露するドレン水を用いることにより、ドレン水以外を用いて冷却する場合と異なり、冷却水を供給する装置を別途用意する必要がなくなるとともに、ユーザが冷却水を補充する手間を省くことができる。
【0070】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0071】
[第3実施形態]
次に、図1および図3図10を参照して、本発明の第3実施形態による空気調和機1の制御システム200の構成について説明する。第3実施形態では、室内に空気調和機1が複数設けられる第1実施形態とは異なり、空気調和機1が室内に1台設けられている。
【0072】
図10に示すように、空気調和機1が室内に1台設けられる場合は、制御部3は、ドレン水の量を増加させるために、空気調和機1の設定温度に応じた第1蒸発器1aの冷却温度よりも第1蒸発器1aの冷却温度を低くする制御と、空気調和機1の設定温度に応じた第1蒸発器1aの冷却温度よりも第1蒸発器1aの冷却温度を高くする制御とを交互に行う。制御部3は、冷却温度を低くする制御によりドレン水の量を増やす。制御部3は、冷却温度を高くする制御により空気調和機1の冷房運転を弱めて、室内温度が過度に低くなることを抑制することができる。
【0073】
たとえば、室内の設定温度が25℃の場合、通常は第1蒸発器1aの冷却温度が20℃とすると、第1蒸発器1aの冷却温度を23℃にする制御と、第1蒸発器1aの冷却温度を18℃にする制御とを交互に行う。
【0074】
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記のように、空気調和機1の制御システム200は、室内を冷却する空気調和機1と、室内に配置され、物品を冷却する冷却庫2と、空気調和機1と冷却庫2とを制御する制御部3と、を備え、空気調和機1は、室内に配置され、室内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより室内空気を冷却する第1蒸発器1aと、室外に配置され、第1蒸発器1aを通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第1凝縮器1bを有する第1室外機11と、を含み、冷却庫2は、室内に配置され、庫内空気と冷媒との間において熱交換を行うことにより庫内空気を冷却する第2蒸発器2aと、第2蒸発器2aを通過した冷媒と外部空気との間において熱交換を行うことにより冷媒を冷却する第2凝縮器2bを有する第2室外機21と、を含み、制御部3は、第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するドレン水の量が不足している場合に第1蒸発器1aの冷却温度を下げて、ドレン水の量を増加させる制御を行う。これにより、ドレン水の量が不足する場合に、ドレン水の量を増加させる制御が行われるため、室外に配置される第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するためのドレン水の不足を抑制することができる。この結果、消費電力量のピークが大きくなると予測される場合に、ドレン水の量を増加して、室外に配置される第1凝縮器1bおよび第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却することができるため、ドレン水を用いて室外の凝縮器を冷却する場合に、ドレン水の不足に起因して消費電力量のピークが大きくなることを抑制することができる。さらに、第1蒸発器1aの冷却温度を下げることにより結露するドレン水を用いることにより、ドレン水以外を用いて冷却する場合と異なり、冷却水を供給する装置を別途用意する必要がなくなるとともに、ユーザが冷却水を補充する手間を省くことができる。
【0076】
また、第3実施形態では、空気調和機1は、室内に1台配置され、制御部3は、ドレン水の量を増加させるために、空気調和機1の設定温度に応じた第1蒸発器1aの冷却温度よりも第1蒸発器1aの冷却温度を低くする制御と、空気調和機1の設定温度に応じた第1蒸発器1aの冷却温度よりも第1蒸発器1aの冷却温度を高くする制御とを交互に行う。これにより、空気調和機1の設定温度に応じた第1蒸発器1aの冷却温度よりも第1蒸発器1aの冷却温度を低くすることにより、設定温度に応じて第1蒸発器1aの冷却温度を設定した場合と比べて、室内空気に含まれる水分が結露する量が増えるため、ドレン水の量を増加させることができる。また、空気調和機1の設定温度に応じた第1蒸発器1aの冷却温度よりも第1蒸発器1aの冷却温度を低くする制御と、空気調和機1の設定温度に応じた第1蒸発器1aの冷却温度よりも第1蒸発器1aの冷却温度を高くする制御とを交互に行うことにより、空気調和機1から吹き出される空気の温度が低く、室内が設定温度よりも低くなった場合に、冷房運転を弱くして室内温度を設定温度に調整することができる。
【0077】
また、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0078】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0079】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、空気調和機1が店舗50内に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、空気調和機1がオフィスまたは病院などの店舗以外に配置されてもよい。この場合、オフィスまたは病院などの内部の空気調和機1が配置される箇所を室内とする。
【0080】
また、第1~第3実施形態では、冷却庫2がショーケースである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、冷却庫2は、ショーケース以外の冷蔵庫または自動販売機などの物品を冷却する装置であってもよい。
【0081】
また、第1~第3実施形態では、制御部3は、第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水により第2凝縮器2bを冷却する例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部3は、空気調和機1の第1蒸発器1aにおいて結露したドレン水を用いて空気調和機1の第1凝縮器1bを冷却してもよく、空気調和機1の第1凝縮器1bと冷却庫2の第2凝縮器2bとの両方を冷却してもよい。
【0082】
また、第1~第3実施形態では、制御部3は、貯水部4内のドレン水の量および空気調和機1の運転により得られるドレン水の量の合計と、空気調和機1の第1凝縮器1bおよび冷却庫2の第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するために必要なドレン水の量とを比較する例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部3は、貯水部4内のドレン水の量または空気調和機1の運転により得られるドレン水の量のいずれかと、空気調和機1の第1凝縮器1bおよび冷却庫2の第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却するために必要なドレン水の量とを比較してもよい。
【0083】
また、第1~第3実施形態では、制御部3は、空気調和機1の第1蒸発器1aで結露したドレン水を用いて空気調和機1の第1凝縮器1bおよび冷却庫2の第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却する例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部3は、空気調和機1の第1蒸発器1aで結露したドレン水に加えて、冷却庫2の第2蒸発器2aで結露したドレン水を用いて空気調和機1の第1凝縮器1bおよび冷却庫2の第2凝縮器2bの少なくとも一方を冷却してもよい。
【0084】
また、第3実施形態は、第1実施形態と構成の一部が同じである例を示したが、第2実施形態と構成の一部が同じであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 空気調和機
1a 第1蒸発器
1b 第1凝縮器
2 冷却庫
2a 第2蒸発器
2b 第2凝縮器
3 制御部
4 貯水部
11 第1室外機
21 第2室外機
100、200 空気調和機の制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10