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特開2024-172096電力調達計画策定支援装置、電力調達計画策定支援方法、及び電力調達計画策定支援システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172096
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電力調達計画策定支援装置、電力調達計画策定支援方法、及び電力調達計画策定支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089617
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽柴 聡一朗
(72)【発明者】
【氏名】池本 悠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘起
(72)【発明者】
【氏名】森木 俊臣
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】発電電力の不確実性を考慮した電力調達計画を策定することを支援する。
【解決手段】需要家3が利用可能な電力を発電する発電機42に関するコストの情報である発電機コスト情報を記憶する記憶装置、及び、需要家3における電力の需要量の予測値を算出する需要量予測処理と、発電機42の発電量の予測値を算出する発電量予測処理と、需要量の予測値と、発電量の予測値と、発電機コスト情報とに基づき、需要量の予測値に対応する電力を少なくとも発電機42から調達するために必要な需要家3のコストを確率的に算出し、算出したコストに関する情報を出力するコスト算出処理とを実行する演算装置を備える、電力調達計画策定支援装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家が利用可能な電力を発電する発電機に関するコストの情報である発電機コスト情報を記憶する記憶装置、及び、
前記需要家における電力の需要量の予測値を算出する需要量予測処理と、
前記発電機の発電量の予測値を算出する発電量予測処理と、
前記需要量の予測値と、前記発電量の予測値と、前記発電機コスト情報とに基づき、前記需要量の予測値に対応する電力を少なくとも前記発電機から調達するために必要な前記需要家のコストを確率的に算出し、算出したコストに関する情報を出力するコスト算出処理とを実行する演算装置を備える、電力調達計画策定支援装置。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記需要家における過去の各期間の電力使用量の変化、及び、前記発電機の過去の各期間の発電量の変化をそれぞれ記憶し、
前記演算装置は、
前記需要量予測処理において、前記過去の各期間の電力使用量の変化を複数のパターンに分類すると共に、各前記パターンの電力使用量の変化の出現確率をそれぞれ算出することにより、将来における前記各パターンの電力使用量の変化及び前記各パターンの出現確率を予測し、予測した前記各パターンの電力使用量の変化及び出現確率を、前記電力の需要量の予測値とし、
前記発電量予測処理において、前記各期間の発電量の変化を複数のパターンに分類すると共に、各前記パターンの発電量の変化の出現確率をそれぞれ算出することにより、将来における前記各パターンの発電量の変化及び前記各パターンの出現確率を予測し、予測した前記各パターンの発電量の変化及び出現確率を、前記発電機の発電量の予測値とする、
請求項1に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項3】
前記記憶装置は、過去の各期間の気象データを記憶し、
前記演算装置は、
前記需要量予測処理において、前記各期間の電力使用量の変化の各パターンを、さらに過去の気象データに基づき複数のパターンに分類することにより、将来における各パターンの電力使用量の変化及び前記各パターンの出現確率を予測し、予測した前記各パターンの電力使用量の変化及び出現確率を、前記電力の需要量の予測値とし、
前記発電量予測処理において、前記各期間の発電量の変化の各パターンを、さらに過去の気象データに基づき複数のパターンに分類することにより、将来における各パターンの発電量の変化及び前記各パターンの出現確率を予測し、予測した前記各パターンの発電量の変化及び出現確率を、前記発電機の発電量の予測値とする、
請求項2に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項4】
前記演算装置は、前記需要量予測処理において、前記パターンに属する各期間の電力使用量の変化を平均化した変化を、前記パターンの電力使用量の予測値とし、
前記発電量予測処理において、前記パターンに属する各期間の発電量の変化を平均化した変化を、前記パターンの発電量の予測値とする、
請求項2に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記需要家が利用可能な電力を前記需要家に供給可能な設備に関するコストの情報である設備コスト情報を記憶し、
前記コスト算出処理において、前記需要量の予測値と、前記発電量の予測値と、前記発電機コスト情報と、前記設備コスト情報とに基づき、前記需要量の予測値に対応する電力を少なくとも前記発電機及び前記設備から調達するために必要な前記需要家のコストを、確率的に算出する、
請求項1に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項6】
前記記憶装置は、前記設備コスト情報として、前記需要家との間で電力を授受可能な蓄電池に関するコストの情報である蓄電設備コスト情報を記憶し、
前記演算装置は、前記コスト算出処理において、前記予測した需要量と、前記予測した発電量と、前記発電機コスト情報と、前記蓄電設備コスト情報とに基づき、前記需要量の予測値に対応する電力を少なくとも前記発電機から供給される電力及び前記蓄電池と授受される電力により前記需要家に維持する場合に必要な前記需要家のコストを、確率的に算出する、
請求項5に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項7】
前記演算装置は、
前記コスト算出処理において、前記各パターンの電力使用量の変化と、前記各パターンの発電量の変化と、前記発電機コスト情報とに基づき、前記需要家のコストを各パターンについてそれぞれ算出し、算出した各パターンの需要家のコストと当該各パターンの出現確率とに基づき、前記需要家のコストが所定コスト値になる確率を算出する、
請求項2に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項8】
前記演算装置は、
前記コスト算出処理において、前記需要家のコストが各所定コスト値になる確率を算出することにより、前記各所定コスト値を第1軸とし、前記各所定コスト値に係る各確率の値を第2軸としたグラフを出力する、
請求項7に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項9】
前記演算装置は、
将来の所定時点での前記需要家の電力の需要量及び前記発電機の発電量をそれぞれ予測し、予測した需要量及び発電量に基づき、前記予測した電力の需要量に対応する電力を少なくとも前記発電機から供給される電力及び前記蓄電池と授受される電力により前記需要家に維持する場合に必要な、前記蓄電池と授受される電力を予測し、予測した電力に基づき、前記蓄電池を制御する分散型エネルギー源制御処理を実行する、
請求項6に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項10】
前記演算装置は、
前記分散型エネルギー源制御処理において、前記将来の所定時点での前記需要家の電力の需要量及び前記発電機の発電量をそれぞれ、前記需要家の過去の電力使用量及び前記発電機の過去の発電量に基づいて算出する、
請求項9に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項11】
前記記憶装置は、前記需要家における過去の各期間の電力使用量の変化、及び、前記発電機の過去の各期間の発電量の変化をそれぞれ記憶し、
前記演算装置は、
前記需要量予測処理において、前記過去の各期間の電力使用量の変化を複数のパターンに分類すると共に、各前記パターンの電力使用量の変化の出現確率をそれぞれ算出することにより、将来における前記各パターンの電力使用量の変化及び前記各パターンの出現確率を予測し、予測した前記各パターンの電力使用量の変化及び出現確率を、前記電力の需要量の予測値とし、
前記発電量予測処理において、前記各期間の発電量の変化を複数のパターンに分類すると共に、各前記パターンの発電量の変化の出現確率をそれぞれ算出することにより、将来における前記各パターンの発電量の変化及び前記各パターンの出現確率を予測し、予測した前記各パターンの発電量の変化及び出現確率を、前記発電機の発電量の予測値とし、
前記分散型エネルギー源制御処理において、前記将来の所定時点での前記需要家の電力の需要量を、前記各パターンの電力使用量の変化のいずれかのパターンから選択することにより予測し、前記将来の所定時点での前記発電機の発電量を、前記各パターンの発電量の変化のいずれかのパターンから選択することにより予測する、
請求項9に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項12】
前記演算装置は、
前記分散型エネルギー源制御処理において、前記予測した需要量及び発電量と、前記蓄電池の蓄電量及び性能の情報に基づき、前記蓄電池と授受される電力を予測し、予測した電力に基づき、前記蓄電池を制御する、
請求項9に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項13】
前記演算装置は、
前記分散型エネルギー源制御処理において、前記予測した電力に基づき、前記蓄電池の前記需要家からの充電又は前記需要家への放電を行う、請求項9に記載の電力調達計画策定支援装置。
【請求項14】
演算装置及び、需要家が利用可能な電力を発電する発電機に関するコストの情報である発電機コスト情報を記憶する記憶装置を備える情報処理装置による電力調達計画策定支援方法であって、
前記演算装置が、
前記需要家における電力の需要量の予測値を算出する需要量予測処理と、
前記発電機の発電量の予測値を算出する発電量予測処理と、
前記需要量の予測値と、前記発電量の予測値と、前記発電機コスト情報とに基づき、前記需要量の予測値に対応する電力を少なくとも前記発電機から調達するために必要な前記需要家のコストを確率的に算出し、算出したコストに関する情報を出力するコスト算出処理とを実行する、
電力調達計画策定支援方法。
【請求項15】
需要家端末、発電所事業者端末、需要家との間で電力を授受可能な蓄電池、及び計画立案支援装置を含んで構成される電力調達計画策定支援システムであって、
前記需要家端末は、前記需要家における電力の過去の使用量を前記計画立案支援装置に送信する送信装置を備え、
前記発電所事業者端末は、前記需要家が利用可能な電力を発電する発電機の過去の発電量を前記計画立案支援装置に送信する送信装置を備え、
前記計画立案支援装置は、
前記発電機に関するコストの情報である発電機コスト情報と、前記蓄電池に関するコストの情報である蓄電設備コスト情報とを記憶する記憶装置、及び、
前記需要家端末から受信した電力の過去の使用量に基づき、前記需要家における電力の需要量の予測値を算出する需要量予測処理と、
前記発電所事業者端末から受信した発電機の過去の発電量に基づき、前記発電機の発電量の予測値を算出する発電量予測処理と、
前記需要量の予測値と、前記発電量の予測値と、前記発電機コスト情報と、前記蓄電設備コスト情報とに基づき、前記需要量の予測値に対応する電力を少なくとも前記発電機から調達するために必要な前記需要家のコストを確率的に算出し、算出したコストに関する情報を出力するコスト算出処理と、
将将来の所定時点での前記需要家の電力の需要量及び前記発電機の発電量をそれぞれ予測し、予測した需要量及び発電量に基づき、前記予測した電力の需要量に対応する電力を少なくとも前記発電機から供給される電力及び前記蓄電池と授受される電力により前記需要家に維持する場合に必要な、前記蓄電池と授受される電力を予測し、予測した電力に基づき、前記蓄電池を制御する情報を前記蓄電池に送信する分散型エネルギー源制御処理とを実行する演算装置を備え、
前記蓄電池は、前記計画立案支援装置から受信した前記情報に基づき動作する、
電力調達計画策定支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力調達計画策定支援装置、電力調達計画策定支援方法、及び電力調達計画策定支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界的な環境意識の高まりを受けて、企業は使用電力を再生可能エネルギーで賄うことが求められるようになりつつある。これを背景として、電力小売事業者は様々な環境配慮型電力プランを提供するようになっている。また、需要家である企業の側も、追加性のある再生可能エネルギー由来の電力を長期に渡って調達することを目的として、再生可能エネルギーを用いて発電を行う発電所に対して、長期間固定価格で発電した電力の全量を買い取るという相対契約(コーポレートPPA:Corporate Power Purchase Agreement)を締結する例が増えている。
【0003】
このように電力の調達手段が多様化するにつれ、需要家が自身にとって最適な電力調達計画を立案することはますます困難になっている。電力調達計画を誤った場合、必要の無い過剰な分まで電力を購入してしまうことになったり、不足分の電力を高値で購入せざるを得ない状況に陥ったりして金銭的な損害を被るおそれがある。さらに、十分な量の再生可能エネルギー由来の電力を調達できなかった場合は、企業としてのブランドを毀損する可能性さえある。
【0004】
こうした中で需要家の電力調達計画立案を支援する技術として、特許文献1及び特許文献2が開示されている。
【0005】
特許文献1には、「少ない消費実績からでも、その電力消費者の消費特性に近似する電力使用モデルを活用することで、最適の電気料金プランを選定することができる。その結果、経済合理的な電力使用を実現することができる。」と記載されており、需要家の電力使用量をモデル化することで電気料金を試算し、太陽光発電や蓄電設備の導入も考慮して多様な電気料金プランの中から電気料金を最も安くするようなプランを選定する旨、開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、「安定性、経済性、環境性及び安全性を考慮し、電力会社と需要家の利得バランス最適化の発電及び送電の最適組合せを求める数理モデルと再生可能エネルギーの「環境価値」考慮の電力市場の長期的需給確率計画問題に対処し、VPP Cityを考慮した電力市場の需給バランス最適化を行う決定システム、決定方法及びアルゴリズムを提供する。」と記載されており、発送電、追加発電能力、及びサプライヤーからの電力買取及び蓄電の電力制約、要求される再生エネルギーの割合の所定の制約を満たした、電力会社と需要量の総コストを最小化する、各発電方式の発電量と送電量、及び、サプライヤーからの調達量及び蓄電量の最適組み合わせを求める旨、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開第2016-45560号
【特許文献2】特開第2022-15383号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、再生可能エネルギーとして最も一般的な太陽光発電又は風力発電などは出力を制御することが困難であり、出力の変動リスクが本質的に内在している。また、これらの電力が国内の発電全体に占める割合が増えるに従い、電力の卸市場における価格の変動幅は拡大の一途を辿っている。従って、再生可能エネルギーで電力を調達する際には、これらの変動リスクを如何にして管理するかという課題が常に存在する。
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2が開示するいずれの方法においても、電力調達計画立案の策定にあたって指標とする評価関数は電力調達にかかるコストの期待値であり、一義的な値が提供される。すなわち、太陽光発電又は風力発電などの発電所が内在する電力の変動リスクが充分に考慮されないため、場合によっては結果として巨額のコストを要するような計画になってしまう可能性がある。また、その可能性を需要家が把握できないおそれもある。
【0010】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電電力の不確実性を考慮した電力調達計画を策定することを支援することが可能な電力調達計画策定支援装置、電力調達計画策定支援方法、及び電力調達計画策定支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の一つは、需要家が利用可能な電力を発電する発電機に関するコストの情報である発電機コスト情報を記憶する記憶装置、及び、前記需要家における電力の需要量の予測値を算出する需要量予測処理と、前記発電機の発電量の予測値を算出する発電量予測処理と、前記需要量の予測値と、前記発電量の予測値と、前記発電機コスト情報とに基づき、前記需要量の予測値に対応する電力を少なくとも前記発電機から調達するために必要な前記需要家のコストを確率的に算出し、算出したコストに関する情報を出力するコスト算出処理とを実行する演算装置を備える、電力調達計画策定支援装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発電電力の不確実性を考慮した電力調達計画を策定することを支援することができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る電力調達計画策定支援システムの構成の一例を示す図である。
図2】電力調達計画立案部を構成するプログラムの詳細の一例を示す図である。
図3】分散型エネルギー源制御部を構成するプログラムの詳細の一例を示す図である。
図4】電力計画支援処理の概要を説明するフロー図である。
図5】電力調達計画立案処理の詳細を説明するフロー図である。
図6】需要曲線モデル化処理の詳細を説明するフロー図である。
図7】パターンデータの一例を示す図である。
図8】需要曲線データの一例を示す図である。
図9】気象データの一例を示す図である。
図10】需要曲線モデルの一例を示す図である。
図11】発電曲線モデル化処理の詳細を説明するフロー図である。
図12】発電機データの一例を示す図である。
図13】発電曲線データの一例を示す図である。
図14】発電曲線モデルの一例を示す図である。
図15】コスト確率分布算出処理の詳細を説明するフロー図である。
図16】PPA価格データの一例を示す図である。
図17】電力プランデータの一例を示す図である。
図18】再エネ証書価格データの一例を示す図である。
図19】蓄電池データの一例を示す図である。
図20】蓄電所データの一例を示す図である。
図21】設備投資データの一例を示す図である。
図22】電力調達プラン仮データの一例を示す図である。
図23】マッチング結果判定処理の詳細を説明するフロー図である。
図24】リスク許容度データの一例を示す図である。
図25】電力調達計画立案画面の一例を示す図である。
図26】分散型エネルギー源制御処理の概要を説明するフロー図である。
図27】需要予測処理の詳細を説明するフロー図である。
図28】リアルタイム需要データの一例を示す図である。
図29】気象予報データの一例を示す図である。
図30】発電予測処理の詳細を説明するフロー図である。
図31】リアルタイム発電データの一例を示す図である。
図32】蓄電池運用計画立案処理の詳細を説明するフロー図である。
図33】リアルタイム蓄電データの一例を示す図である。
図34】蓄電設備データの一例を示す図である。
図35】スポット市場約定結果テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る電力調達計画策定支援システムは、需要家の電力使用量と、再生可能エネルギーを用いて、環境に配慮した電力を提供する様々な発電所(以下、単に発電所という)の発電量とをそれぞれ予測することで、各発電所と買電契約を結んだ場合(場合により、後述する蓄電池も用いた場合に)に必要な、需要家に発生する総コスト(需要家の需要電力を発電所等から供給される電力により需要家に必要十分に維持ないし確保するためのコスト)を、確率分布の形で試算する。電力調達計画策定支援システムは、この試算したコストが、需要家が許容するコスト以上のコストとなる確率を算出することで、最適な発電所の契約先(以下、買電相対契約先という)を特定する。
【0015】
なお、上記契約は特段断りの無い限り、コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement)であるものとする。
【0016】
その後、電力調達計画策定支援システムは、買電相対契約先の発電所の発電状況、需要家の電力使用状況、及び各種の蓄電池の充放電状況と、所定の気象予報データとに基づき、発電所の発電量及び需要家の電力使用量を予測し、これらの予測値に基づき蓄電池を操作した際に発生するコストを試算し、そのコストが低くなる(最も経済的になる)ように蓄電池の制御を行う。
【0017】
図1は、本実施形態に係る電力調達計画策定支援システム100の構成の一例を示す図である。電力調達計画策定支援システム100は、電力調達計画策定支援装置1と、仲介事業者6が管理する仲介事業者端末61と、各需要家3が管理する需要家端末31及び需要家蓄電池32と、各発電所事業者4が管理する発電所事業者端末41及び発電機42と、蓄電所事業者5が管理する蓄電所事業者端末51及び事業者蓄電池52と、電力小売事業者7が管理する電力設備71とを含んで構成される。これらの装置及び情報処理システムの間は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN、又は専用線等の有線又は無線の通信ネットワーク2により通信可能に接続される。
【0018】
需要家端末31は、電力調達計画策定支援装置1から受信した情報を表示し、また、需要家3の情報(例えば、需要家3の過去の使用電力量の情報)を電力調達計画策定支援装置1へ送信する。需要家蓄電池32は、電力調達計画策定支援装置1からの指令を受けて蓄電又は放電を行う蓄電設備である。需要家蓄電池32は、放電を行うことで需要家3に電力を供給可能な設備である。
【0019】
発電所事業者端末41は、電力調達計画策定支援装置1から受信した情報を表示し、また、発電所事業者4の情報(例えば、発電機42の過去の発電量の情報)を電力調達計画策定支援装置1へ送信する。発電機42は、例えば、電力調達計画策定支援装置1からの指令を受けて遠隔で発電を行う発電設備である。
【0020】
発電機42は、環境に配慮した発電機であり、例えば、風力発電機、太陽光発電機、地熱発電機、バイオマス発電機等の、再生可能エネルギーを用いて発電を行う発電設備である。発電機42は、需要家が利用可能な電力を発電する。なお、発電機42は現に発電が可能な設備であってもよいし、発電が可能になる予定(例えば、建設中または建設前)の設備であってもよい。発電機42は、発電所事業者4が管理する各エリアに配置されている。
【0021】
蓄電所事業者端末51は、電力調達計画策定支援装置1から受信した情報を表示し、また、蓄電所事業者5の情報(例えば、事業者蓄電池52の蓄電量の情報)を電力調達計画策定支援装置1へ送信する。事業者蓄電池52は、需要家3との間で電力を授受可能(充放電可能)な蓄電設備である。事業者蓄電池52は、電力調達計画策定支援装置1からの指令を受けて遠隔で操作可能な機能を有し、蓄電及び放電等を行う。事業者蓄電池52は、放電を行うことで需要家3に電力を供給可能な設備である。
【0022】
仲介事業者端末61は電力調達計画策定支援装置1から受信した情報を表示し、また、仲介事業者6の入力した情報を電力調達計画策定支援装置1へ送信する。
【0023】
電力小売事業者7は、各需要家3と契約して需要家3に電力を供給する事業者である。電力小売事業者7は、各需要家3に電力を供給するための各種の電力設備71を有している。電力設備71は、需要家3に電力を供給可能な設備である。電力設備71は、再生可能エネルギーを用いて発電を行う発電設備を含んでいてもよいし、再生可能エネルギーを用いずに発電を行う発電設備を含んでいてもよい。
【0024】
次に、電力調達計画策定支援装置1は、電力調達計画立案部101及び分散型エネルギー源制御部102の各プログラムを記憶している。
【0025】
電力調達計画立案部101は、需要家端末31又は需要家蓄電池32から取得した情報に基づき、需要家3の電力の需要量を予測する。また、電力調達計画立案部101は、発電所事業者端末41又は発電機42から取得した情報に基づき、各発電機42の発電量を予測する。
【0026】
そして、電力調達計画立案部101は、需要家3の電力の需要量の予測値及び需要家蓄電池32の情報と、各発電機42の発電量の予測値と、蓄電所事業者5の事業者蓄電池52の情報とに基づき、選択された各発電機42から、需要家3が必要な電力(需要量)に対応する電力をなるべく発電機42から調達する(すなわち、環境に配慮して電力を調達する)ために必要な総コスト(以下、電力総コストという)を算出する。
【0027】
なお、電力総コストは、発電機42からの電力の調達コスト(以下、発電電力調達コストという)と、発電電力調達コストでは電力総コストに不足する分の電力の調達コスト(以下、不足分電力調達コストという)と、需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の維持費用(以下、蓄電設備費用という)との和である。なお、電力調達計画立案部101は、発電電力調達コスト、不足分電力調達コストと、及び電力総コストを確率分布のデータとして算出する。
【0028】
電力調達計画立案部101は、電力総コストが低くなるような、発電機42(すなわち、需要家3とコーポレートPPAを結ぶべき発電所事業者4。以下、買電相対契約先という。)と需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52(すなわち、使用すべき需要家3の需要家蓄電池32又は蓄電所事業者5の事業者蓄電池52。以下、利用蓄電設備という。)とを特定し、特定した内容の情報を電力計画情報として生成する。
【0029】
なお、仲介事業者端末61は、電力調達計画策定支援装置1が生成した電力計画情報及び締結すべきコーポレートPPAの情報等を表示する。
【0030】
次に、分散型エネルギー源制御部102は、買電相対契約先に係る発電機42の発電量及び需要家3の電力使用量をそれぞれ予測することで、需要家3の電力の需要量と電力の調達量(発電機42、需要家蓄電池32、及び事業者蓄電池52からの調達量)がなるべく同じになるように、すなわち最も経済的となるように、需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の制御を行う。
【0031】
ここで、電力調達計画策定支援装置1は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)10、入出力装置11、通信装置12、及び記憶装置13などを備える。CPU10は、電力調達計画策定支援装置1全体の動作制御を司るプロセッサである。入出力装置11は、入力装置及び出力装置から構成される。入力装置は、ユーザが各種操作入力を行うためのハードウェアであり、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネルなどが適用される。出力装置は、画像や音声を出力するハードウェアであり、例えば液晶ディスプレイ及びスピーカなどが適用される。通信装置12は、所定の通信規格に準拠した通信方式で外部端末との間で通信を行う機能を有する。記憶装置13は、半導体メモリなどから構成され、主として各種プログラムを記憶保持するために利用される。
【0032】
記憶装置13に格納されたプログラムをCPU10が実行することにより、後述のような電力調達計画策定支援装置1全体としての各種処理が実行される。電力調達計画策定支援装置1は、特定の場所に設置されたローカルサーバでも良いし、クラウドサーバでも良い。
【0033】
なお、需要家端末31、発電所事業者端末41、蓄電所事業者端末51、及び仲介事業者端末61も電力調達計画策定支援装置1と同様のハードウェアを備える。
【0034】
(電力調達計画立案部)
次に、図2は、電力調達計画立案部101を構成するプログラムの詳細の一例を示す図である。同図に示すように、電力調達計画立案部101は、需要曲線モデル化部201と、発電曲線モデル化部202と、発電所・需要家マッチング部203と、コスト確率分布算出部204と、マッチング結果判定部205とを有する。
【0035】
また、電力調達計画立案部101は、必要な情報を管理するためのデータベースとして、パターンデータDB1と、需要曲線データDB2と、気象データDB3と、発電曲線データDB4と、発電機データDB5と、PPA価格データDB6と、電力卸市場価格データDB7と、電力プランデータDB8と、再エネ証書価格データDB9と、蓄電池データDB10と、蓄電所データDB11と、リスク許容度データDB12と、需要曲線モデルDB13と、発電曲線モデルDB14と、電力調達プラン仮データDB15と、設備投資データDB21、電力調達プランDB22とを記憶する。
【0036】
需要曲線モデル化部201は、需要家3の将来の電力使用量を予測する需要曲線モデルを算出する機能を有するモジュールである。需要曲線モデル化部201により予測された需要曲線モデルは、需要曲線モデルDB13に入力される。
【0037】
発電曲線モデル化部202は、発電機42の将来の発電量を予測する発電曲線モデルを算出する機能を有するモジュールである。発電曲線モデル化部202により予測された発電曲線モデルは、発電曲線モデルDB14に入力される。
【0038】
発電所・需要家マッチング部203は、発電所事業者4と需要家3との組み合わせを生成する(発電所事業者4と需要家3とをマッチングさせる)機能を有するモジュールである。発電所・需要家マッチング部203によりマッチングした発電所事業者4と需要家3の組み合わせの情報は、コスト確率分布算出部204に入力される。
【0039】
コスト確率分布算出部204は、上記マッチングされた組み合わせにおいて、需要家3が発電所事業者4とコーポレートPPAを結んだ場合の各コスト(電力総コスト、発電電力調達コスト、不足分電力調達コスト)を確率分布の形式で算出する。コスト確率分布算出部204により算出された各コストは、マッチング結果判定部205に入力される。
【0040】
マッチング結果判定部205は、各コストに基づき、発電所・需要家マッチング部203で生成した組み合わせにおいて、需要家3が発電所事業者4とコーポレートPPAを締結することが適切か(発電所事業者4が買電相対契約先として適切か)を判断する機能を有するモジュールである。
【0041】
(分散型エネルギー源制御部)
次に、図3は、分散型エネルギー源制御部102を構成するプログラムの詳細の一例を示す図である。同図に示すように、分散型エネルギー源制御部102は、需要予測部301と、発電予測部302と、蓄電池運用計画立案部303と、蓄電池制御部304とを有する。
【0042】
また、分散型エネルギー源制御部102は、必要な情報を管理するためのデータベースとして、パターンデータDB1と、需要曲線モデルDB13と、発電曲線モデルDB14と、リアルタイム需要データDB16と、気象予報データDB17と、リアルタイム発電データDB18と、リアルタイム蓄電データDB19と、蓄電設備データDB20とを記憶する。
【0043】
需要予測部301は、需要家3の将来の所定時点(例えば30分後)の電力使用量を予測する機能を有するモジュールである。需要予測部301により予測された電力使用量は、蓄電池運用計画立案部303に入力される。
【0044】
発電予測部302は、発電機42の将来の所定時点(例えば30分後)の発電量を予測する機能を有するモジュールである。発電予測部302により予測された発電量は、蓄電池運用計画立案部303に入力される。
【0045】
蓄電池運用計画立案部303は、需要予測部301及び発電予測部302からそれぞれ受信した電力使用量の予測値及び発電量の予測値に基づき、需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の運用計画(以下、蓄電池運用計画という)を立案する機能を有するモジュールである。蓄電池運用計画立案部303により立案された蓄電池運用計画は、蓄電池制御部304に入力される。
【0046】
蓄電池制御部304は、蓄電池運用計画に基づいて需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52を制御する機能を有するモジュールである。
【0047】
以上に説明した、電力調達計画策定支援システム100における各情報処理装置の機能部の機能は、演算装置が、メモリ又は外部記憶装置からプログラムを読み出すことにより実現される。また各プログラムは、例えば、可搬性の又は固定された記録媒体に記録して配布することができる。なお、これらのプログラムは、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、これらのプログラムの全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI (Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。
次に、電力調達計画策定支援システム100で行われる処理について説明する。
【0048】
<電力計画支援処理>
図4は、需要家3に対する電力計画情報を生成すると共にその電力計画情報に基づいて電力設備を制御する処理(以下、電力計画支援処理という)の概要を説明するフロー図である。電力計画支援処理は、例えば、需要家端末31から電力調達計画策定支援装置1に所定の実行指示の入力がなされたことを契機に開始される。
【0049】
まず、電力調達計画策定支援装置1の電力調達計画立案部101は、買電相対契約先及び、利用蓄電設備を決定して電力計画情報を生成する電力調達計画立案処理S101を実行する。電力調達計画立案処理S101は、例えば、需要家端末31から、決定された買電相対契約先及び利用蓄電設備に関して承諾の入力があるまで繰り返し実行される。
【0050】
そして、分散型エネルギー源制御部102は、電力調達計画立案部101が決定した(需要家端末31によって承諾された)買電相対契約先に係る発電機42及び利用蓄電設備に関して、需要家3に最も経済的となるように利用蓄電設備を制御する分散型エネルギー源制御処理S102を実行する。分散型エネルギー源制御処理S102は、例えば、需要家3が電力を使用している間、所定のタイミング(例えば、所定の時刻又は、所定の時間間隔(例えば30分ごと))に繰り返し実行される。
次に、電力調達計画立案処理S101及び分散型エネルギー源制御処理S102の詳細を説明する。
【0051】
<電力調達計画立案処理>
図5は、電力調達計画立案処理S101の詳細を説明するフロー図である。
【0052】
まず、需要曲線モデル化部201は、需要家3の需要曲線モデルを算出する需要曲線モデル化処理S201を実行する。
【0053】
また、発電曲線モデル化部202は、発電所事業者4の発電曲線モデルを算出する発電曲線モデル化処理S202を実行する。
【0054】
そして、発電所・需要家マッチング部203は、発電所事業者4と需要家3の組み合わせを生成する(S203)。例えば、発電所・需要家マッチング部203は、複数の発電所事業者4からランダムで発電所事業者4を選択し、選択した発電所事業者(以下、選択発電所事業者という)及び、実行指示が入力された需要家端末31に係る需要家3の組み合わせを生成する。
【0055】
コスト確率分布算出部204は、上記需要家3が選択発電所事業者とコーポレートPPAを締結して選択発電所事業者から電力の供給を受ける場合の各コストを確率分布の形式で算出を予測するコスト確率分布算出処理S204を実行する。
【0056】
次に、マッチング結果判定部205は、コスト確率分布算出部204が算出した各コストに基づき、選択発電所事業者が買電相対契約先として適切か否かを判定するマッチング結果判定処理S205を実行する。
【0057】
選択発電所事業者が買電相対契約先として適切でない場合は(S205:NO)、発電所・需要家マッチング部203は、発電所事業者4と需要家3の新たな組み合わせを生成すべく、S203の処理を繰り返す。
【0058】
選択発電所事業者が買電相対契約先として適切である場合は(S205:YES)、マッチング結果判定部205は、コスト確率分布算出部204が算出した発電電力調達コスト等の各コストの情報を電力計画情報として生成し、生成した電力計画情報に関する画面(電力調達計画立案画面という)を出力する(S206)。電力調達計画立案画面は、例えば、需要家端末31、発電所事業者端末41、蓄電所事業者端末51、又は仲介事業者端末61に表示される。電力調達計画立案画面の詳細は後述する。
【0059】
<需要曲線モデル化処理>
図6は、需要曲線モデル化処理S201の詳細を説明するフロー図である。
【0060】
まず需要曲線モデル化部201は、パターンデータDB1と、需要曲線データDB2と、気象データDB3とを取得する(S211)。
【0061】
(パターンデータ)
ここで、図7は、パターンデータDB1の一例を示す図である。パターンデータDB1は、ある期間(本実施形態では1日とする)を特徴づけるデータ(特徴量)及びその特徴量を有する期間が発生する確率を定義したデータである。具体的には、パターンデータDB1は、複数の気象データの組み合わせからなるパターン(気象パターン)のID(パターンID)が設定されるパターンID701と、その気象パターンの出現確率が設定される出現確率702、その気象パターンを特徴付ける気象データとして月のデータが設定される月703と、曜日のデータが設定される曜日704と、天気のデータが設定される天気705とを含む各データ項目を有する。なお、本実施形態では、このように特徴量として気象データを用いたが、これらに限定する趣旨ではなく、発電機42の発電量に影響を与えうる特徴量であればよい。
【0062】
(需要曲線データ)
図8は、需要曲線データDB2の一例を示す図である。需要曲線データDB2は、各需要者の過去の電力使用量の時間変化(すなわち、電力需要量の実績値)を記録している。具体的には、需要曲線データDB2は、時刻のデータが設定されるタイムスタンプ801と、各需要家3の使用電力量の値が設定される電力使用量実測値802とを含む各データ項目を有する。
【0063】
(気象データ)
図9は、気象データDB3の一例を示す図である。気象データDB3は、各エリアの過去の気象パターンのデータを記録したデータである。具体的には、気象データDB3は、エリアのIDが設定されるエリアID901と、日時が設定されるタイムスタンプ902と、気象パターンのデータとしての各日時の気温が設定される気温903と、各日時の降水量が設定される降水量904と、各日時の日射量が設定される日射量905と、各日時の相対湿度が設定される相対湿度906と、各日時の天気が設定される天気907とを含む各データ項目を有する。なお、他にも、風速等の気象データが設定されてもよい。
【0064】
次に、図6のS212に示すように、需要曲線モデル化部201は、パターンデータDB1及び気象データDB3に基づいて、需要曲線データDB2が示す需要家の過去の各期間の電力使用量の変化を、その変化パターン及び気象データDB3が示す気象パターンの組み合わせからなる複数のパターンのいずれかに分類すると共に、各パターンの出現確率をそれぞれ算出する。
【0065】
例えば、需要曲線モデル化部201は、過去の各日の電力使用量の変化を所定のクラスタリング処理により複数のパターンに分類すると共に、分類した各パターンが現れる確率を算出する。また、需要曲線モデル化部201は、パターンデータDB1及び気象データDB3を参照し、過去の各日が属していた気象パターンを特定することにより、上記分類した各パターンの電力使用量変化を観測した日が各気象パターンであった確率を算出する。これにより、需要曲線モデル化部201は、各パターンの電力使用量の変化の出現確率をさらに各気象パターンごとに算出する。
【0066】
そして、需要曲線モデル化部201は、S212で分類した各パターンの電力使用量の変化を表す需要モデル曲線をそれぞれ算出する(S213)。例えば、需要曲線モデル化部201は、パターンiの日(ある電力使用量の変化パターンを有するある気象パターンの日)における時刻tでの需要家cの電力使用量を表す関数DemandModel_(c,i) (t)を、下記の数1により相加平均を取る形で算出する(すなわち、各グループにおいて各変化を平均化した値を採用する)。
【数1】
【0067】
ここで、電力需要量DemandData_(c,day) (t)は、パターンiに属する日(day∈Pt_i)の時刻tにおける需要家cの電力需要量である(需要曲線データDB2に対応)。
【0068】
そして、需要曲線モデル化部201は、S213で算出した各需要モデル曲線を、各パターンと対応づけて需要曲線モデルDB13に格納する(S214)。
【0069】
(需要曲線モデルDB)
図10は、需要曲線モデルDB13の一例を示す図である。需要曲線モデルDB13は、各需要家の電力使用量の時間変化をパターンごとに記録したデータである。具体的には、需要曲線モデルDB13は、需要家のIDが設定される需要家ID1001と、電力使用量の時間変化のパターンのIDが設定されるパターンID1002と、日時のデータが設定されるタイムスタンプ1003と、その日時における電力使用量の値が設定される電力消費量1004とを含む各データ項目を有する。
【0070】
<発電曲線モデル化処理>
次に、図11は、発電曲線モデル化処理S202の詳細を説明するフロー図である。
【0071】
まず発電曲線モデル化部202は、選択発電所事業者に係る発電機42が運転を開始しているか否かを判定する(S221)。例えば、発電曲線モデル化部202は、発電機42と通信することにより発電機42の運転状態を判定してもよいし、発電所事業者端末41から発電機42の運転状態に関する情報を取得することで発電機42の運転状態を判定してもよい。
【0072】
選択発電所事業者に係る発電機42が運転を開始している場合は(S221:YES)、発電曲線モデル化部202はS222の処理を実行し、選択発電所事業者に係る発電機42が運転を開始していない場合は(S221:NO)、発電曲線モデル化部202はS224の処理を実行する。
【0073】
S222において発電曲線モデル化部202は、パターンデータDB1と、発電機データDB5と、気象データDB3とを取得する。
【0074】
(発電機データ)
ここで、図12は、発電機データDB5の一例を示す図である。発電機データDB5は、各発電機42の出力特性(発電量の影響を与える因子)のデータを記録したデータである。具体的には、発電機データDB5は、各発電機42の名称又は識別が設定される発電機名1201と、その発電機42の出力特性としての風速が設定される風速1202と、その風速の際の出力値が設定される出力1203とを含む各データ項目を有する。
【0075】
次に、図11のS223に示すように、発電曲線モデル化部202は、発電機データDB5と、気象データDB3とから、S221で運転を開始していると判定された発電機42(対象発電機)の発電量の時間変化を表す発電曲線モデルを算出する。その後は、S227の処理が行われる。
【0076】
例えば、発電曲線モデル化部202は、S212で特定した各日の気象パターンと、上記及び発電機データDB5とに基づき、発電機42の過去の各日の発電量の変化を、所定のクラスタリング処理により、発電量の変化のパターン及び気象パターンの組み合わせのパターンのいずれかにそれぞれ分類する。
【0077】
そして、例えば、発電曲線モデル化部202は、太陽光発電所gのパターンiの日における時刻tでの発電量を表す関数GenerationModel_(g,i) (t)を、パターンiに属する日(day∈Pt_i)における気象データの値WeatherData_day (t)(例えば、気象データDB3における太陽光発電所gが属するエリアの風速又は日射量の値)と、その気象データの値に対応する発電機データDB5(例えば、風速又は日射量の値に対応した出力値)とに基づき、算出する。
【0078】
一方、S224において発電曲線モデル化部202は、パターンデータDB1と、発電曲線データDB4と、気象データDB3とを取得する。
【0079】
(発電曲線データ)
図13は、発電曲線データDB4の一例を示す図である。発電曲線データDB4は、各発電機42の過去の発電量の時間変化(実績値)を記録している。具体的には、発電曲線データDB4は、日時が設定されるタイムスタンプ1301と、その日時における発電機42の発電量が設定される発電量実測値1302とを含む各データ項目を有する。
【0080】
そして、発電曲線モデル化部202は、S224で取得した発電曲線データDB4が示す発電量の時間変化を、パターンデータDB1及び気象データDB3に基づいて複数のパターンに分類する(S225)。
【0081】
例えば、発電曲線モデル化部202は、S212と同様の処理により、発電量の変化の出現確率をその変化パターン及び各気象パターンごとに算出する。
【0082】
そして、需要曲線モデル化部201は、分類した各パターンの発電量の変化を表す発電曲線モデルをそれぞれ算出する(S226)。例えば、需要曲線モデル化部201は、発電所gのパターンiの日における時刻tでの発電量を表す発電モデル曲線GenerationModel_(g,i) (t)を、下記の数2のように、相加平均を取る形で算出する(すなわち、各グループにおいて各変化を平均化した値を採用する)。
【数2】
【0083】
ここで、GenerationData_(g,day) (t)は、パターンiに属する日(day∈Pt_i)における発電所gの発電量である(発電曲線データDB4に対応)。
【0084】
発電曲線モデル化部202は、S226で算出した各発電曲線モデルを、各パターンと対応づけて発電曲線モデルDB14に格納する(S227)。
【0085】
(発電曲線モデルDB)
図14は、発電曲線モデルDB14の一例を示す図である。発電曲線モデルDB14は、各発電機42の発電量の予測値をパターンごとに記録したデータである。具体的には、発電曲線モデルDB14は、発電機42のIDが設定される発電所ID1401と、発電量の時間変化のパターンのIDが設定されるパターンID1402と、日時が設定されるタイムスタンプ1403と、その日時における発電機42の発電量が設定される発電量1404とを含む各データ項目を有する。
【0086】
<コスト確率分布算出処理>
図15は、コスト確率分布算出処理S204の詳細を説明するフロー図である。
【0087】
コスト確率分布算出部204は、S201で算出した需要曲線モデルと、S202で算出した発電曲線モデルとを取得する(S241)。
【0088】
また、コスト確率分布算出部204は、PPA価格データDB6を取得する(S242)。
【0089】
(PPA価格データ)
ここで、図16は、PPA価格データDB6の一例を示す図である。PPA価格データDB6は、各発電設備の事業者のコーポレートPPAの電力価格に関するデータ(発電機42に係る発電機コスト情報)を記録している。具体的には、PPA価格データDB6は、発電所事業者4の名称又は識別子が設定される発電所ID1601、及び、その発電所事業者4がコーポレートPPAにより提供する電力の売却単価が設定される売電単価1602の各データ項目を有する。
【0090】
そして、図15のS243に示すように、コスト確率分布算出部204は、S241で取得した発電曲線モデルと、S242で取得したPPA価格データDB6とに基づいて、発電電力調達コストを算出する。
【0091】
例えば、コスト確率分布算出部204は、選択発電所事業者に係る発電機42(発電所g)に係る、パターンiの日における発電電力調達コストを表す関数PPACost_(g,i)を、下記の数3により算出する。
【数3】
【0092】
ここで、GenerationModel_(g,i) (t)は、発電所gのパターンiの日における時刻tでの発電量を予測する発電モデル曲線(発電曲線モデル化処理S202で算出)、PPAPrice_gは、PPA価格データDB6が示す発電所gの売電単価である。
【0093】
続いて、コスト確率分布算出部204は、電力プランデータDB8と、再エネ証書価格データDB9と、蓄電池データDB10と、蓄電所データDB11と、設備投資データDB21とを取得する(S244)。
【0094】
(電力プランデータ)
図17は、電力プランデータDB8の一例を示す図である。電力プランデータDB8は、各電力小売事業者7が需要家3に提供する電力プランについての情報を記録したデータ(電力小売事業者7に係る設備コスト情報)である。具体的には、電力プランデータDB8は、電力プランのIDが設定されるプランID1701、その電力プランの名称が設定されるプラン名1702、その電力プランが対象とする電力の契約容量(需要家3が利用できる電力量)が設定される契約容量1703、その契約容量に係る電力の計算単位が設定される契約容量単位1704、その電力プランの基本料金が設定される基本料金1705、及び、その電力プランの上乗せ料金(ここでは、単位電力当たりの加算額)が設定される電力量料金1706の各データ項目を有する。
【0095】
(再エネ証書価格データ)
図18は、再エネ証書価格データDB9の一例を示す図である。再エネ証書価格データDB9は、再生可能エネルギーを利用して電力を調達したことを証明する証書(以下、再エネ証書という)の過去の各時点での市場価格(取得価格)を記録したデータである(発電機42に係る発電機コスト情報)。具体的には、再エネ証書価格データDB9は、日時が設定されるタイムスタンプ1801と、その日時における再エネ証書の価格が設定される約定価格1802とを含む各データ項目を有する。
【0096】
(蓄電池データ)
図19は、蓄電池データDB10の一例を示す図である。蓄電池データDB10は、各需要家3の需要家蓄電池32の特性に関するデータを記録したデータである(需要家蓄電池32に係る蓄電設備コスト情報)。具体的には、蓄電池データDB10は、需要家蓄電池32の名称又は識別子が設定される蓄電池名1901、その需要家蓄電池32の最大の充電出力が設定される最大充電出力1902、その需要家蓄電池32の最大の放電出力が設定される最大放電出力1903、その需要家蓄電池32の最大の充電量が設定される最大充電量1904、及び、その種類の需要家蓄電池32の導入費用が設定される導入費用1905の各データ項目を有する。
【0097】
(蓄電所データ)
図20は、蓄電所データDB11の一例を示す図である。蓄電所データDB11は、各蓄電所事業者5の事業者蓄電池52の特性に関するデータを記録したデータである(事業者蓄電池52に係る蓄電設備コスト情報)。具体的には、蓄電所データDB11は、事業者蓄電池52の名称又は識別子が設定される蓄電所ID2001、その事業者蓄電池52の特性としての契約可能出力が設定される契約可能出力2002、特性としての契約可能容量が設定される契約可能容量2003、日時が設定されるタイムスタンプ2004、及び、その日時における使用料金が設定される使用料2005の各データ項目を有する。
【0098】
(設備投資データ)
図21は、設備投資データDB21の一例を示す図である。設備投資データDB21は、各需要家3の発電機42、需要家蓄電池32、及び事業者蓄電池52等の各設備に対する投資意欲を示すデータが記録される。具体的には、設備投資データDB21は、需要家3の名称又は識別子が設定される需要家ID2101、及び、その需要家3が各設備に投資可能な最大額が設定される設備投資可能額2102の各データ項目を有する。
【0099】
図15に示すように、コスト確率分布算出部204は、電力プランデータDB8と、再エネ証書価格データDB9とに基づいて、選択発電所事業者の発電機42だけでは需要家3の電力需要量に不足する分の電力を調達するためのコストである不足分調達コストを算出する(S245)。
【0100】
例えば、コスト確率分布算出部204は、需要家cが発電所gを選択発電所事業者としている場合の、パターンiの日における不足分調達コストを表す関数SupplementalCost_(c,g,i)を、以下の数4により算出する。
【数4】
【0101】
ここで、DemandModel_(c,i) (t)は、パターンiの日における時刻tでの需要家cの電力使用量を表す関数(需要曲線モデル化処理S201で算出)、GenerationModel_(g,i) (t)は、発電所gの発電量を表す関数(発電曲線モデル化処理S202で算出)、Base_eは電力小売事業者7の電力プランeにおける基本料金、Rate_eは当該電力プランeにおける従量料金、RECPrice(t)は当該電力プランeにおける再エネ証書の発行価格である。なお、RECPrice(t)は、電力プランeが再エネ証書の発行価格をも含んでいる場合は、0である。
【0102】
また、需要家cがさらに需要家蓄電池32を導入して電力を調達する場合又は事業者蓄電池52から電力を調達する場合は、コスト確率分布算出部204は、数4における発電モデル曲線GenerationModel_(g,i) (t)を、所定の拘束条件が設定された実効発電モデル曲線EffectiveGenerationModel_(g,i) (t)に修正する。
【0103】
具体的には、コスト確率分布算出部204は、新たに導入する需要家蓄電池32(蓄電池b)について、実効発電モデル曲線EffectiveGenerationModel_(g,i) (t)を以下の数5により、所定の拘束条件(数6、数7、数8)の下で算出する。コスト確率分布算出部204は、拘束条件を満たす様々なEffectiveGenerationModel_(g,i) (t)を算出する(例えば、ランダムに算出する)。
【数5】
【数6】

【数7】

【数8】
【0104】
ここで、MaxChargePower_bは需要家蓄電池32の最大充電出力、MaxDischargePower_bは需要家蓄電池32の最大放電出力、MaxCapacity_bは需要家蓄電池32の最大充電量、BatteryCost_bは需要家蓄電池32の導入費用、Budget_cは需要家cの設備投資可能額(設備投資データDB21より取得)TotalCostは総コスト、PPACostは発電電力調達コスト、SupplementalCostは不足分調達コストである。
【0105】
一方、蓄電所事業者5の事業者蓄電池52を導入する場合は、コスト確率分布算出部204は、実効発電モデル曲線EffectiveGenerationModel_(g,i) (t)を、数5と、上記取得した蓄電所データDB11のデータとに基づき算出する。すなわち、コスト確率分布算出部204は、事業者蓄電池52の契約可能出力、契約可能容量、及び使用料をそれぞれを拘束条件とした、発電モデル曲線GenerationModel_(g,i) (t)に基づく実効発電モデル曲線EffectiveGenerationModel_(g,i) (t)を算出する。
【0106】
そして、コスト確率分布算出部204は、算出した各実効発電モデル曲線EffectiveGenerationModel_(g,i) (t)に基づく、需要家cにおける各不足分電力調達コストSupplementalCost_(c,g,i)に関して、総コストTotalCost_(c,g,b,i)を、以下の数9により算出する。
【数9】
【0107】
ここで、BatteryCost_bは事業者蓄電池52の導入費用である。
【0108】
そして、コスト確率分布算出部204は、各パターンiの日における総コストTotalCost_(c,g,b,i)と、S212で算出したパターンiの日の出現確率p_iとに基づき、以下の数10により、総コストの期待値ExpTotalCost_(c,g,b)を算出する。
【数10】
【0109】
コスト確率分布算出部204は、総コストの期待値ExpTotalCost_(c,g,b)を評価関数として使い、数10の値が最小値となる場合の実効発電モデル曲線EffectiveGenerationModel_(g,i) (t)、総コストTotalCost_(c,g,b,i)、及び総コストの期待値ExpTotalCost_(c,g,b)を、記憶装置13に一時的に保存する。
【0110】
コスト確率分布算出部204は、以上の処理を、蓄電池データDB10及び蓄電所データDB11により特定される需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の全ての組み合わせについて実行する。そして、コスト確率分布算出部204は、総コストの期待値ExpTotalCost_(c,g,b)が最も小さい場合の需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の組み合わせにおける需要家蓄電池32の導入費用及び事業者蓄電池52の利用料の合計値を、調整力確保コストとして算出する(S246)。
【0111】
そして、コスト確率分布算出部204は、選択発電所事業者と、需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の組み合わせと、需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の容量とに関する各情報を、電力調達プラン仮データDB15に格納する(S247)。
【0112】
また、コスト確率分布算出部204は、パターンiの日におけるPPAコストPPACost_(g,i)及び不足分電力調達コストSupplementalCost_(c,g,i)の和である電力調達コストElectricityCost_(c,g,b,i)と、パターンiの日の出現確率p_iとを対応付けたデータ(電力調達コストの確率分布データ)を、算出して記憶する(S248)。以上でコスト確率分布算出処理S204は終了する。
【0113】
(電力調達プラン仮データ)
図22は、電力調達プラン仮データDB15の一例を示す図である。電力調達プラン仮データDB15は、各需要家3が電力を調達すべき発電機42、需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の情報を記録したデータである。具体的には、電力調達プラン仮データDB15は、各需要家3のID又は名称が設定される需要家ID2201、その需要家3に関する選択発電所事業者が設定されるPPA締結先2202、選択発電所事業者が提供する電力プランが設定される電力プラン2203、利用する需要家蓄電池32が設定される蓄電池名2204、利用する需要家3の需要家蓄電池32の出力が設定される蓄電池出力2205、利用する需要家3の需要家蓄電池32の契約可能容量が設定される蓄電池容量2206、利用する蓄電所事業者5の事業者蓄電池52のIDが設定される蓄電所ID2207、利用する蓄電所事業者5の事業者蓄電池52の出力が設定される蓄電所出力2208、及び、利用する事業者蓄電池52の容量が設定される蓄電所容量2209の各データ項目を有する。
【0114】
<マッチング結果判定処理>
図23は、マッチング結果判定処理S205の詳細を説明するフロー図である。
まず、マッチング結果判定部205は、コスト確率分布算出処理S204で算出した電力調達コストの確率分布データと、リスク許容度データDB12とを取得する(S251)。
【0115】
(リスク許容度データ)
ここで、図24は、リスク許容度データDB12の一例を示す図である。リスク許容度データDB12は、各需要家3が許容するコストに関するリスクの情報を記録したデータである。具体的には、リスク許容度データDB12は、各需要家3の名称又は識別子が設定される需要家ID2401と、電力調達コストの上限値が設定される電力調達コスト閾値2402と、その上限値まで許容される確率が設定される許容確率2403の各データ項目を有する。
【0116】
次に、図23のS252に示すように、マッチング結果判定部205は、S251で取得した電力調達コストの確率分布が、需要家3の許容範囲内であるか否かを判定する。
【0117】
具体的には、マッチング結果判定部205は、リスク許容度データDB12が示す需要家cの電力調達コスト閾値ElectricityCostThreshold_c及び許容確率Tolerance_cについて、下記の数11が成立しない場合は確率分布が許容範囲内でないとし、成立する場合は確率分布が許容範囲内であるとする。
【数11】
【0118】
確率分布が許容範囲内でない場合は(S252:NO)、マッチング結果判定部205はS203の処理を実行し(S253)、確率分布が許容範囲内でない場合は(S252:YES)、マッチング結果判定部205はS254の処理を実行する。
【0119】
S254においてマッチング結果判定部205は、S251で取得した電力調達コストの確率分布データに対応する電力調達プランの情報を電力調達プラン仮データDB15から取得し、取得した電力調達プランの情報を電力調達プランDB22に設定し、S206の処理を実行する(S255)。
その後、マッチング結果判定部205は、電力調達計画立案画面を表示させる。
【0120】
(電力調達計画立案画面)
図25は、電力調達計画立案画面2500の一例を示す図である。電力調達計画立案画面2500には、S201で算出した需要曲線モデルDB13のグラフ2501と、S202で算出した発電曲線モデルDB14のグラフ2502と、S204で算出した電力調達プランの内容2503と、総コストの確率分布のグラフ2504とが表示される。ユーザである需要家3は、電力調達計画立案画面2500を参照することにより、電力調達計画を立案することができる。
【0121】
なお、総コストの確率分布のグラフ2504は、需要家3のコストの値(価格帯)を一方の軸(横軸)とし、そのコストが発生する確率を他方の軸(縦軸)としたグラフである。すなわち、マッチング結果判定部205は、コスト確率分布算出部204で算出した各パターンの需要家3のコストと各パターンの出現確率とに基づき、需要家3のコストが各価格帯のコストになる確率を算出する。
【0122】
<分散型エネルギー源制御処理>
図26は、分散型エネルギー源制御処理S102の概要を説明するフロー図である。
【0123】
まず需要予測部301は、需要家3の将来の所定時点(例えば30分後)の電力使用量を予測する需要予測処理S301を実行する。また、発電予測部302は、発電所事業者4の将来の所定時点(例えば30分後)の発電量を予測する発電予測処理S302を実行する。
【0124】
蓄電池運用計画立案部303は、需要予測処理S301で予測した電力使用量と、発電予測処理S302で予測した発電量とに基づき、需要家3の需要家蓄電池32及び蓄電所事業者5の事業者蓄電池52の制御計画(以下、蓄電池運用計画という)を生成する蓄電池運用計画立案処理S303を実行する。
【0125】
そして、蓄電池制御部304は、蓄電池運用計画立案処理S303で生成した蓄電池運用計画に基づいて、需要家3の需要家蓄電池32及び蓄電所事業者5の事業者蓄電池52を制御する(充放電を行う)蓄電池制御処理S304を実行する。なお、蓄電池制御部304は蓄電池運用計画立案処理S303を、通信ネットワーク2を介して実行してもよいし、分散型エネルギー源制御部102を実現するプログラムを需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52に組み込んでおきこのプログラムを実行してもよい。
【0126】
<需要予測処理>
図27は、需要予測処理S301の詳細を説明するフロー図である。
需要予測部301は、パターンデータDB1と、リアルタイム需要データDB16と、気象予報データDB17とを取得する(S311)。
【0127】
(リアルタイム需要データ)
図28は、リアルタイム需要データDB16の一例を示す図である。リアルタイム需要データDB16は、各需要家3の各時刻でのリアルタイムな電力使用量の履歴のデータである。具体的には、リアルタイム需要データDB16は、各時刻のデータが設定されるタイムスタンプ2801と、その時刻における各需要家3の電力使用量の値が設定される電力使用量実測値2802とを含む各データ項目を有する。
【0128】
(気象予報データ)
図29は、気象予報データDB17の一例を示す図である。気象予報データDB17は、各エリアの将来の各日時における気象データの予測値(予報値)についてのデータである。具体的には、気象予報データDB17は、各エリアのIDが設定されるエリアID2901と、日時の情報が設定されるタイムスタンプ2902と、各エリアの各時刻の気温のデータが設定される気温2903と、各エリアの各日時の降水量のデータが設定される降水量2904と、各エリアの各日時の日射量のデータが設定される日射量2905と、各エリアの各日時の相対湿度のデータが設定される相対湿度2906と、各エリアの各日時の天気が設定される天気2907を含む各データ項目を有する。
【0129】
需要予測部301は、S311で取得した各データに基づき、需要モデル曲線の各パターンのうち、現在の気象及び発電量の変化に係るパターンに最も近いパターンを選択する(S312)。
【0130】
需要予測部301は、需要曲線モデルDB13に登録されている各需要曲線モデルから、S312で選択したパターンの需要曲線モデルを取得する(S313)。そして、需要予測部301は、取得した需要モデル曲線を、電力使用量の予測値として記憶する(S314)。
【0131】
<発電予測処理>
図30は、発電予測処理S302の詳細を説明するフロー図である。
【0132】
発電予測部302は、パターンデータDB1と、リアルタイム発電データDB18と、気象予報データDB17とを取得する(S321)。
【0133】
(リアルタイム発電データ)
図31は、リアルタイム発電データDB18の一例を示す図である。リアルタイム発電データDB18は、各発電機42の各時刻でのリアルタイムな発電量の履歴のデータである。具体的には、リアルタイム発電データDB18は、各日時が設定されるタイムスタンプ3101と、その日時における各発電機42の発電量の値が設定される発電量実測値3102の各データ項目を有する。
【0134】
発電予測部302は、S321で取得した各データに基づき、需要モデル曲線の各パターンのうち、現在の気象及び発電量の変化に係るパターンに最も近いパターンを選択する(S322)。
【0135】
発電予測部302は、発電曲線モデルDB14に登録されている各発電曲線モデルから、S322で選択したパターンの発電曲線モデルを取得する(S323)。そして、発電予測部302は、取得した発電モデル曲線を、発電量の予測値として記憶する(S324)。
【0136】
<蓄電池運用計画立案処理>
図32は、蓄電池運用計画立案処理S303の詳細を説明するフロー図である。
【0137】
蓄電池運用計画立案部303は、需要予測部301及び発電予測部302がそれぞれ算出した、需要家3の電力使用量の予測値及び発電所事業者4の発電量の予測値を取得する(S331)。
【0138】
また、蓄電池運用計画立案部303は、リアルタイム蓄電データDB19と、蓄電設備データDB20とを取得する(S332)。
【0139】
(リアルタイム蓄電データ)
ここで、図33は、リアルタイム蓄電データDB19の一例を示す図である。リアルタイム蓄電データDB19は、各需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の各時刻での蓄電量(充電量)の履歴のデータである。具体的には、リアルタイム蓄電データDB19は、各日時のデータが設定されるタイムスタンプ3301と、その日時における各需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の充電量の値が設定される蓄電池充電量3302とを含む各データ項目を有する。
【0140】
(蓄電設備データ)
また、図34は、蓄電設備データDB20の一例を示す図である。蓄電設備データDB20は、各需要家蓄電池32及び事業者蓄電池52の蓄電量及び性能等のデータである。具体的には、各需要家蓄電池32又は事業者蓄電池52のID又は識別子が設定される蓄電池ID3401と、その需要家蓄電池32又は事業者蓄電池52の実出力が設定される実出力3402と、その需要家蓄電池32又は事業者蓄電池52の実容量が設定される実容量3403とを含む各データ項目を有する。
【0141】
蓄電池運用計画立案部303は、S332で取得したデータを拘束条件として、S331で取得した予測値(需要家3の電力使用量の予測値及び発電所事業者4の発電量の予測値)に基づいて、蓄電池の充放電操作(電力の授受)を決定する(S333)。
【0142】
例えば、蓄電池運用計画立案部303は、時刻tにおける蓄電池bの充放電出力BatteryControl_b (t)(正値は充電、負値は放電を表すものとする)を以下の数12で算出する。その後、蓄電池制御部304は、数12に従った充放電制御を、蓄電池bに対して行う。すなわち、蓄電池制御部304は充放電制御を行うための制御情報を蓄電池bに送信する。蓄電池bは、受信した制御情報が示す制御(充放電)を実施する。
【数12】
【0143】
ここで、MaxChargePower_bは最大充電出力、MaxDischargePower_bは最大放電出力、MaxCapacity_bは最大充電量、ExpGeneration_g (t)は発電所gの発電量の予測値、ExpDemand_c (t)は需要家cの電力使用量の予測値、BatteryLeft_b (t)は蓄電池bの残充電量である。ただし、蓄電池bの残充電量BatteryLeft_b (t)が最大充電量MaxCapacity_bに対してBatteryLeft_b (t)=MaxCapacity_bを満たしている場合はBatteryControl_b (t)≦0となるように、また、BatteryLeft_b (t)=0である場合はBatteryControl_b (t)≧0になるようにそれぞれ、正値と負値の結果を切り捨てて0にするものとする。
【0144】
なお、ここで示した充放電制御に係る算出式は一例であり、需要家cの電力使用量の予測値を発電所gの発電量の予測値に近づけるような任意の式を用いることができる。
【0145】
なお、以上の説明では、需要家3と発電所事業者4との間の契約は、電力が発電機42から需要家3へと系統線を介して物理的に託送されるとみなして電力の相対売買を行うことを前提とした、「フィジカルコーポレートPPA」と呼ばれる契約形態を取るものとしたが、その他の契約形態であってもよい。
【0146】
例えば、需要家3が使用する電力自体は需要家3が独自に契約する電力小売事業者7から購入し、発電所事業者4は発電した電力の全量を電力市場で売却し、後から市場価格と契約固定価格との差を需要家3と発電所事業者4との間の差金決済で精算する「バーチャルコーポレートPPA」と呼ばれる契約形態を取る場合にも本発明を適用することができる。この場合は、コスト確率分布算出処理S204のS242、S243、及びS245において以下の処理が実行される。
【0147】
すなわち、電力調達計画策定支援装置1は、発電所事業者4が売電によって得る収益を算出するために、スポット市場での約定結果をスポット市場約定結果テーブルDB21によって管理する。
【0148】
(スポット市場約定結果テーブル)
図35は、スポット市場約定結果テーブルDB21の一例を示す図である。スポット市場約定結果テーブルDB21は、日時が設定されるタイムスタンプ3501と、その日時における各スポット市場での約定価格が設定される約定価格3502とを含む各データ項目を有する。
【0149】
コスト確率分布算出部204は、S242において、PPA価格データDB6と共にスポット市場約定結果テーブルDB21を取得する。また、コスト確率分布算出部204は、S243において、PPA価格データDB6が示すPPA締結価格と、スポット市場約定結果テーブルDB21が示す市場価格との差額を、PPAコストとして算出する。
【0150】
続いて、コスト確率分布算出部204は、S245において、(発電量と需要量の差分の電力を調達するコストではなく、)需要量の全量を電力小売事業者7から購入するという条件の下で不足分調達コストを計算する。
【0151】
このようにして、電力調達計画策定支援装置1は、バーチャルコーポレートPPAに対応した処理を行うことができる。
【0152】
以上に説明したように、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、需要家3における電力の需要量の予測値と、発電機42の発電量の予測値とをそれぞれ算出し、需要量の予測値と、発電量の予測値と、発電機コスト情報とに基づき、予測した電力の需要量に対応する電力を少なくとも発電機42から調達するために必要な需要家3のコストを確率的に算出し、算出したコストに関する情報を出力する(電力調達計画立案画面2500)。
【0153】
これにより、需要家3は、発電機42からの電力を用いて需要家3の電力需要を満たすためにコストの情報を確率的に(例えば、期待値のような一意に定まる値に基づくのではなく、値の分散ないし変動リスクの観点から)得ることができる。例えば、発電機42が再生可能エネルギーを用いた発電機であって出力の変動リスクがある場合であっても、発電機42の電力を需要家3の電力需要を満たすために有効に活用するような電力調達計画(特に、環境に配慮した電力を調達する計画)を柔軟且つ適切に策定することができる。
以上のように、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1によれば、発電電力の不確実性を考慮した電力調達計画を策定することを支援することができる。
【0154】
また、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、過去の各日の電力使用量の変化を複数のパターンに分類すると共に、各パターンの電力使用量の変化の出現確率をそれぞれ算出することにより、将来における各パターンの電力使用量の変化及び各パターンの出現確率を予測し、予測した各パターンの電力使用量の変化及び出現確率を、需要家3における電力の需要量の予測値とする。また、電力調達計画策定支援装置1は、過去の各日の発電量の変化を複数のパターンに分類すると共に、各パターンの発電量の変化の出現確率をそれぞれ算出することにより、将来における各パターンの発電量の変化及び各パターンの出現確率を予測し、予測した各パターンの発電量の変化及び出現確率を、発電機42の発電量の予測値とする。
【0155】
このように、電力調達計画策定支援装置1は、電力使用量の変化及び発電量の変化をそれぞれ日毎のパターンに分類してパターンごとの出現確率を算出して予測値とすることで、環境に配慮した電力を調達し利用する際に存在する、日毎にその大きさが異なるリスクを適切に判断することができる。
【0156】
また、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、各日の電力使用量の各パターンの変化を、さらに過去の気象データに基づき複数のパターンに分類することにより、将来における各パターンの電力使用量の変化及び各パターンの出現確率を予測し、予測した各パターンの電力使用量の変化及び出現確率を、需要家3における電力の需要量の予測値とする。また、電力調達計画策定支援装置1は、各日の発電量の各パターンの変化を、さらに過去の気象データに基づき複数のパターンに分類することにより、将来における各パターンの発電量の変化及び各パターンの出現確率を予測し、予測した各パターンの発電量の変化及び出現確率を、発電機42の発電量の予測値とする。
【0157】
このように、電力調達計画策定支援装置1は、電力使用量の変化及び発電量の変化をそれぞれ気象パターンに分類してパターンごとの出現確率を算出して予測値とすることで、環境に配慮した電力を調達し利用する際に存在する、各日の気象条件によってその大きさが異なるリスクを適切に判断することができる。
【0158】
また、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、あるパターンに属する各日の電力使用量の変化を平均化することにより、そのパターンの電力使用量の予測値とする。また、電力調達計画策定支援装置1は、あるパターンに属する各日の発電量の変化を平均化することにより、そのパターンの発電量の予測値とする。
【0159】
これにより、発電力の変化及び電力使用量の変化のそれぞれの各パターンについて、特徴のあるパターンデータを用いることができる。
【0160】
また、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、需要家3が利用可能な電力を需要家3に供給可能な設備(電力小売事業者の発電設備、蓄電池(需要家蓄電池32、事業者蓄電池52)等)に関するコストの情報である設備コスト情報に基づき、需要量の予測値に対応する電力を少なくとも発電機42から調達するために必要な需要家3のコストを、確率的に算出する。
【0161】
このように、需要家3が発電機42以外の設備による電力を用いて電力需要を満たすような場合であっても、需要家3にかかるコストを確率的に算出し、電力調達の計画を柔軟に立案することができる。
【0162】
特に、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、需要家3との間で電力を授受可能な蓄電池に関するコストの情報である設備コスト情報に基づき、需要量の予測値に対応する電力を少なくとも発電機42及び蓄電池から調達するために必要な需要家3のコストを、確率的に算出する。
【0163】
このように、需要家3が発電機42以外に蓄電池を用いて電力需要を満たすような場合であっても、需要家3にかかるコストを確率的に算出し、電力調達の計画を柔軟に立案することができる。
【0164】
また、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、各パターンの電力使用量の変化及び発電量の変化に基づき、需要家3のコストを各パターンについてそれぞれ算出し、算出した各パターンの需要家のコストと各パターンの出現確率とに基づき、需要家3のコストが所定コスト値になる確率を算出する。
【0165】
これにより、例えば確率的に高いコストを需要家3に提示することができるので、需要家3は、電力調達の計画を柔軟に立案することができる。
【0166】
さらに、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、需要家3のコスト値が各値になる確率を算出することにより、各コストの値を横軸とし、各コスト値に係る各確率の値を縦軸とした確率分布グラフを出力する(電力調達計画立案画面2500)。
【0167】
これにより、需要家3は、各コストがかかる確率の高さに基づいて、発電機42のリスク(例えば、再生可能エネルギーを用いた発電機42からの電力を利用することによる不安定リスク)を適切に評価して、電力調達計画を立案することができる。
【0168】
また、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、将来の所定時点(例えば、30分後)での需要家3の電力の需要量及び発電機42の発電量をそれぞれ予測し、予測した需要量及び発電量に基づき、その電力の需要量に対応する電力を少なくとも発電機42から供給される電力及び蓄電池と授受される電力により需要家3に確保する場合に必要な、蓄電池と授受される電力を予測し、予測した電力に基づき、蓄電池を制御する。
【0169】
このように、需要家3の需要量及び発電機42の発電量のそれぞれの予測値に基づいて、蓄電池に対して必要な電力制御内容を特定し、その制御を行うことで、需要家3に対して、需要を満たすために必要十分な電力を確保させることができる。
【0170】
この際、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、将来の所定時点(例えば、30分後)での需要家3の電力の需要量及び発電機42の発電量をそれぞれ、需要家3の過去の電力使用量及び発電機42の過去の発電量に基づいて算出する。
【0171】
これにより、需要家3の電力の需要量及び発電機42の発電量を的確に予測することができる。
【0172】
さらに、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、将来の所定時点(例えば、30分後)での需要家3の電力の需要量及び発電機42の発電量をそれぞれ、各パターンの電力使用量の変化及び発電量の、いずれかのパターンから選択することにより予測する。
【0173】
これにより、将来の所定時点での需要家3の電力の需要量及び発電機42の発電量を、各日の気象パターン等に応じて的確に予測することができる。
【0174】
また、本実施形態の電力調達計画策定支援装置1は、予測した需要量及び発電量と、蓄電池の蓄電量及び性能の情報に基づき、蓄電池と授受される電力を予測し、予測した電力に基づき、蓄電池を制御する。
【0175】
これにより、蓄電池の属性に応じた適切な制御を行い、需要家3に対して必要十分な電力を確保させることができる。
【0176】
また、本実施形態の電力調達計画策定支援システム100では、需要家端末31は、需要家3における電力の過去の使用量を計画立案支援装置1に送信し、発電所事業者端末41は、需要家3が利用可能な電力を発電する発電機42の過去の発電量を計画立案支援装置1に送信する。計画立案支援装置1は、これらの情報に基づいて、需要家3の電力需要量に対応する電力を発電機42及び蓄電池からの電力により確保する場合に必要な充放電制御の情報を蓄電池に送信し、蓄電池は受信した情報に基づき動作する。
【0177】
これにより、需要家3は、発電機42及び蓄電池と連携して適切な電力利用を行うことができる。
【0178】
具体的には、本実施形態の電力調達計画策定支援システム100では、計画立案支援装置1は、蓄電池の需要家3からの充電又は需要家3への放電を行う。
【0179】
これにより、需要家3は、蓄電池を利用して適切な電力制御を行うことができる。
【0180】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0181】
例えば、本実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい。
【0182】
また、各装置の各プログラムは他の装置に設けてもよいし、あるプログラムを複数のプログラムからなるものとしてもよいし、複数のプログラムを一つのプログラムに統合してもよい。
【0183】
また、本実施形態では、需要家3が使用する電力に関する制御対象の設備として蓄電池を挙げたが、その他の設備を利用してもよい。例えば、ポンプ又は冷暖房装置などの一般的な電気機器において、最大放電出力を0とすることで、最大充電量が無限大の装置とみなすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0184】
1 電力調達計画策定支援装置、3 需要家、42 発電機、100 電力調達計画策定支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35