(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172106
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】シート製造装置、およびクリーニング装置
(51)【国際特許分類】
D04H 1/736 20120101AFI20241205BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20241205BHJP
B08B 1/32 20240101ALI20241205BHJP
【FI】
D04H1/736
D04H1/732
B08B1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089628
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】田村 哲也
【テーマコード(参考)】
3B116
4L047
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB53
3B116BA02
3B116BA08
3B116BA15
3B116CD23
4L047AA08
4L047EA01
4L047EA22
(57)【要約】
【課題】清掃ローラーの耐久性を向上させるシート製造装置、およびクリーニング装置を提供すること。
【解決手段】シート製造装置1は、繊維が含まれるウェブWを加熱および加圧する第1成形ローラー71と、第1成形ローラー71に当接して、第1成形ローラー71を清掃する第1清掃ローラー131と、第1成形ローラー71に対する第1清掃ローラー131の当接および離間を切り替える第1当接機構120と、を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維が含まれるウェブを加熱および加圧する成形ローラーと、
前記成形ローラーに当接して、前記成形ローラーを清掃する清掃ローラーと、
前記成形ローラーに対する前記清掃ローラーの当接および離間を切り替える当接機構と、を有することを特徴とするシート製造装置。
【請求項2】
前記当接機構を制御する制御部を有することを特徴とする、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記清掃ローラーを駆動する清掃ローラー駆動モーターを有し、
前記清掃ローラー駆動モーターを介して、前記清掃ローラーの回転方向および回転速度を制御することを特徴とする、請求項2に記載のシート製造装置。
【請求項4】
前記当接機構は、前記清掃ローラーの前記当接および前記離間を、回動によって切り替えるカム部材を含み、
前記制御部は、
前記成形ローラーを駆動するモーターと、
前記カム部材の回転位置を検出するカム位置検出センサーと、を有し、
前記モーターの稼働量から、前記成形ローラーの回転角度を検出し、
任意の前記成形ローラーの前記回転角度において、前記清掃ローラーを前記成形ローラーから離間させることを特徴とする、請求項3に記載のシート製造装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記成形ローラーが数回転するうちの少なくとも1回転以上にて、前記清掃ローラーを前記成形ローラーに当接させることを特徴とする、請求項4に記載のシート製造装置。
【請求項6】
前記清掃ローラーに当接して、前記清掃ローラーを清掃するブラシ部を有することを特徴とする、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項7】
前記ブラシ部に当接して、前記ブラシ部を清掃するブレード部を有することを特徴とする、請求項6に記載のシート製造装置。
【請求項8】
前記清掃ローラーにおいて、前記成形ローラーと当接する表面部はフェルト材であることを特徴とする、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項9】
前記成形ローラーは、第1成形ローラーと第2成形ローラーとを含み、
前記ウェブは、前記第1成形ローラーと前記第2成形ローラーとの間に挟まれて加熱および加圧され、
前記清掃ローラーは、前記第1成形ローラーを清掃する第1清掃ローラーと、前記第2成形ローラーを清掃する第2清掃ローラーと、を含み、
前記当接機構は、前記第1清掃ローラーに対応する第1当接機構と、前記第2清掃ローラーに対応する第2当接機構と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項10】
紙粉が付着する成形部材を清掃する清掃ローラーと、
前記成形部材に対する前記清掃ローラーの当接および離間を切り替える当接機構と、
前記当接機構を制御する制御部と、を有することを特徴とするクリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート製造装置、およびクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙由来の繊維が含まれるウェブを圧縮成形して、シートなどを製造する装置が知られていた。例えば、特許文献1では、成形用のカレンダーローラーに付着した紙粉を除去するクリーニング機構が開示されている。上記機構は、繊維構造体製造装置において、カレンダーローラーにクリーニング用のフェルトローラーを当接させて、カレンダーローラーのクリーニングを行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、フェルトローラーの耐久性を向上させることが難しいという課題があった。詳しくは、フェルトローラーは、カレンダーローラーに常時当接しているため、カレンダーローラーに押し当てられて常に荷重がかかっている。また、フェルトローラーは、カレンダーローラーに回転しながら当接する。これらにより、フェルトローラーにおいて、表面の摩耗や変形による偏芯が生じ易く、クリーニング性能が低下する場合があった。フェルトローラーのクリーニング性能が低下すると、製造されるシートの品質を確保することが難しくなる。すなわち、クリーニング用ローラーの耐久性を向上させるシート製造装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
シート製造装置は、繊維が含まれるウェブを加熱および加圧する成形ローラーと、前記成形ローラーに当接して、前記成形ローラーを清掃する清掃ローラーと、前記成形ローラーに対する前記清掃ローラーの当接および離間を切り替える当接機構と、を有することを特徴とする。
【0006】
クリーニング装置は、紙粉が付着する成形部材をクリーニングする清掃ローラーと、前記成形部材に対する前記清掃ローラーの当接および離間を切り替える当接機構と、前記当接機構を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係るシート製造装置の構成を示す模式図。
【
図2】成形部およびクリーニング装置の配置を示す斜視図。
【
図5】第2クリーニング装置によるクリーニング機能を示す模式側面図。
【
図6】第2クリーニング装置によるクリーニング機能を示す模式側面図。
【
図7】第2クリーニング装置によるクリーニング機能を示す模式側面図。
【
図8】第2クリーニング装置によるクリーニング機能を示す模式側面図。
【
図9】第1当接機構の構成、および当接時の姿勢を示す模式側面図。
【
図10】第1当接機構の離間時の姿勢を示す模式側面図。
【
図11】第2当接機構の構成、および当接時の姿勢を示す模式側面図。
【
図12】第2当接機構の離間時の姿勢を示す模式側面図。
【
図13】第2当接機構の作動メカニズムを示す斜視図。
【
図14】第2当接機構の作動メカニズムを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の実施形態では、乾式にて古紙などの紙片を再生するシート製造装置1を例示し、図面を参照して説明する。本発明のシート製造装置は、乾式であることに限定されず、湿式であってもよい。なお、本明細書において乾式とは、液体中で実施されずに、大気などの空気中で実施されることをいう。
【0009】
以下の各図においては、相互に直交する座標軸としてXYZ軸を付し、各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。Z軸は鉛直方向に沿う仮想軸であって+Z方向を上方とし、-Z方向を下方とする。-Z方向は重力が作用する方向である。また、シート製造装置1において、原料、ウェブ、およびシートなどの搬送方向の先を下流、搬送方向を遡る側を上流ということもある。図示の便宜上、各部材の大きさを実際とは異ならせている。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係るシート製造装置1は、第1ユニット群101、第2ユニット群102、および第3ユニット群103を有する。第1ユニット群101、第2ユニット群102、および第3ユニット群103は、図示しないフレームに支持される。なお、
図1においては、古紙C、シートP3、スリット片S、および不要な端材などが移動する方向を白抜きの矢印で示している。
【0011】
シート製造装置1は古紙CからシートP3を製造する。シート製造装置1では、-X方向からの側面視にて、-Y方向から+Y方向に向かって、第1ユニット群101、第3ユニット群103、および第2ユニット群102が配置される。
【0012】
古紙Cは、第1ユニット群101から、第3ユニット群103内を横断する配管21を介して第2ユニット群102へ搬送される。そして古紙Cは、第2ユニット群102にて解繊などが施されて繊維と成ってから、結着材などを含む混合物とされる。混合物は、配管24を介して第3ユニット群103へ搬送される。混合物は、第3ユニット群103にてウェブWとされてから、帯状のシートP1に成形される。帯状のシートP1は、第1ユニット群101にて切断されてシートP3と成る。
【0013】
第1ユニット群101は、バッファータンク13、定量供給部15、合流部17、および配管21を有する。第1ユニット群101では、上流から下流に向かって、これらの構成が上記の順番にて配置される。また、第1ユニット群101は、第1切断部81、第2切断部82、トレイ91、および細断部95も有する。第1切断部81および第2切断部82は、帯状のシートP1を所定の形状のシートP3に切断する。さらに、第1ユニット群101は給水部67を有する。給水部67は貯水タンクである。給水部67は、後述する第1加湿部65および第2加湿部66の各々へ、図示しない給水管にて加湿用の水を供給する。
【0014】
古紙Cは、原料投入口11からバッファータンク13へ投入される。古紙Cは、セルロースなどの繊維を含み、例えば細断された古紙の紙片である。バッファータンク13の内部には、第3ユニット群103に備わる第2加湿部66から、加湿された空気が供給される。
【0015】
解繊される古紙Cは、バッファータンク13にて一時的に貯留された後、シート製造装置1の稼働に応じて定量供給部15へ搬送される。シート製造装置1は、バッファータンク13の上流側に、古紙Cなどを細断するシュレッダーを備えてもよい。
【0016】
定量供給部15は、計量器15a、および図示しない供給機構を有する。計量器15aは古紙Cの質量を計量する。供給機構は、計量器15aにて計量された古紙Cを、下流の合流部17に供給する。すなわち、定量供給部15は、計量器15aにて古紙Cを所定の質量毎に計量して、供給機構にて下流の合流部17へ供給する。
【0017】
計量器15aには、デジタル式およびアナログ式の何れの計量機構も適用可能である。具体的には、計量器15aとして、ロードセルなどの物理センサー、およびバネ秤や天秤などが挙げられる。本実施形態では計量器15aとしてロードセルを用いる。計量器15aが古紙Cを計量する所定の質量とは、例えば、数gから数10g程度である。
【0018】
供給機構には、振動式フィーダーなどの公知の技術を適用可能である。供給機構は、計量器15aに含まれる構成であってもよい。
【0019】
定量供給部15での古紙Cの計量および供給はバッチ処理である。すなわち、定量供給部15から合流部17への古紙Cの供給は、間欠的に実施される。定量供給部15は、計量器15aを複数有してもよく、複数の計量器15aを時差稼働させて、計量の効率を向上させてもよい。
【0020】
合流部17では、定量供給部15から供給される古紙Cに対して、細断部95から供給されるスリット片Sの細断片が合流して混合される。スリット片Sおよび細断部95については後述する。上記細断片が混合された古紙Cは、合流部17から配管21へと流入する。
【0021】
配管21は、図示しないブロアーが発生させる気流によって、古紙Cを第1ユニット群101から第2ユニット群102へ搬送する。
【0022】
第2ユニット群102は、乾式解繊機である解繊部31、分離部32、配管23、混合部33、および配管24を有する。第2ユニット群102では、上流から下流に向かって、これらの構成が上記の順番にて配置される。また、第2ユニット群102は、分離部32に接続される配管25、回収部35、コンプレッサー38、および電源部39も有する。
【0023】
配管21を搬送された古紙Cは、解繊部31に流入する。解繊部31は、定量供給部15から供給される古紙Cを乾式にて解繊して繊維にする。解繊部31には、公知の解繊機構が適用可能である。
【0024】
解繊部31としては、例えば以下の構成が挙げられる。解繊部31は、ステーターおよびローターを備える。ステーターは略円筒状の内側面を有する。ローターは、ステーターの内部に設置されて、ステーターの内側面に沿って回転する。古紙Cの細片は、ステーターの内側面とローターとの間に挟まれて、これらの間に生じるせん断力によって解繊される。これにより、古紙Cは、紙片に含まれる絡まった繊維が解きほぐされる。古紙Cは繊維とされて分離部32に搬送される。
【0025】
分離部32は解繊された繊維を分別する。詳しくは、分離部32は、繊維に含まれる、シートP3の製造に不要な成分を取り除く。具体的には、分離部32は、比較的に長い繊維と、比較的に短い繊維とを分別する。比較的に短い繊維は、シートP3の強度低下を招く場合があるため、分離部32にて分別される。また、分離部32は、古紙Cに含まれる色材や添加剤なども分別して排除する。分離部32には、円盤メッシュ方式などの公知の技術が適用可能である。
【0026】
分離部32の内部には、第3ユニット群103の第2加湿部66から加湿された空気が供給される。
【0027】
解繊された繊維は、比較的に短い繊維などが排除されて、配管23を介して混合部33へ搬送される。比較的に短い繊維や色材などの不要分は、配管25を介して回収部35へ排出される。
【0028】
混合部33は、繊維に結着材などを空気中で混合して混合物とする。図示を省略するが、混合部33は、繊維が搬送される流路、ファン、ホッパー、供給管、およびバルブを備える。
【0029】
ホッパーは、供給管を介して繊維の流路に連通する。バルブは、ホッパーと流路との間の供給管に設けられる。ホッパーは、でんぷんなどの結着材を流路内へ供給する。バルブは、ホッパーから流路に供給される結着材の質量を調整する。これにより、繊維と結着材との混合比が調整される。
【0030】
混合部33は、結着材を供給する上記構成の他に、色材や添加剤などを供給する同様な構成を備えてもよい。
【0031】
混合部33のファンは、発生させる気流により、繊維を下流へ搬送しながら結着材などを空気中で混入させて混合物とする。混合物は、混合部33から配管24へ流入する。
【0032】
回収部35は、図示しないフィルターを備える。フィルターは、配管25を気流にて搬送された比較的に短い繊維などの不要分を濾し取る。
【0033】
コンプレッサー38は圧縮空気を生成する。上記フィルターでは、不要分のうちの微細な粒子などによって目詰まりが生じる場合がある。コンプレッサー38が生成する圧縮空気をフィルターに吹き付けて、付着した粒子を吹き飛ばしてフィルターをクリーニングすることが可能である。
【0034】
電源部39は、制御部5、および図示しないシート製造装置1に電力を供給する電力供給装置を含む。電源部39は、外部から供給される電力をシート製造装置1の各構成に分配する。制御部5は、シート製造装置1の各構成と電気的に接続され、これらの構成の稼働を統合的に制御する。
【0035】
第3ユニット群103は、繊維を含む混合物を堆積させて圧縮し、再生紙である帯状のシートP1に成形する。第3ユニット群103は、堆積部50、第1搬送部61、第2搬送部62、第1加湿部65、第2加湿部66、排水部68、成形部70、およびクリーニング装置40を有する。
【0036】
第3ユニット群103では、上流から下流に向かって、堆積部50、第1搬送部61、第2搬送部62、第1加湿部65、成形部70およびクリーニング装置40が、上記の順番にて配置される。第2加湿部66は、第1加湿部65の下方に配置される。
【0037】
堆積部50は、分別された繊維が含まれる混合物を空気中で堆積させてウェブWを生成する。堆積部50は、ドラム部材53、ドラム部材53内に設置される羽根部材55、ドラム部材53を収容するハウジング51、吸引部59を有する。混合物は、配管24からドラム部材53の内部に取り込まれる。
【0038】
堆積部50の下方には、第1搬送部61が配置される。第1搬送部61は、メッシュベルト61a、メッシュベルト61aを張架する図示しない5つの張架ローラーを有する。吸引部59は、Z軸に沿う方向において、メッシュベルト61aを挟んでドラム部材53と対向する。
【0039】
羽根部材55は、ドラム部材53の内部にあって、図示しないモーターによって回転駆動される。ドラム部材53は半円柱状の篩である。ドラム部材53の下方を向く側面には、篩の機能を有する網が設けられる。ドラム部材53は、篩の網の目開きの大きさより小さい繊維や混合物などの粒子を、内部から外側に通過させる。
【0040】
混合物は、ドラム部材53内において、回転する羽根部材55に撹拌されながらドラム部材53の外側に放出される。ドラム部材53の内部には、第2加湿部66から加湿された空気が供給される。
【0041】
吸引部59はドラム部材53の下方に配置される。吸引部59は、メッシュベルト61aが有する複数の穴を介して、ハウジング51内の空気を吸引する。メッシュベルト61aの複数の穴は、空気を通し、混合物に含まれる繊維や結着材などを通し難い。これにより、ドラム部材53の外側に放出された混合物は、空気と共に下方に吸引される。吸引部59はブロアーなどの公知の吸引装置である。
【0042】
混合物は、ハウジング51内の空気中に分散されて、重力と吸引部59の吸引によって、メッシュベルト61aの上方の面に堆積してウェブWとなる。
【0043】
メッシュベルト61aは、無端ベルトであって、5つの張架ローラーによって張り架けられる。メッシュベルト61aは、張架ローラーの自転によって、
図1において反時計回りに回動する。これにより、メッシュベルト61aに連続して混合物が堆積し、ウェブWが形成される。ウェブWは、空気を比較的に多く含み、柔らかく膨らんでいる。第1搬送部61は、形成されたウェブWを、メッシュベルト61aの回動により下流へ搬送する。
【0044】
第2搬送部62は、第1搬送部61の下流において、第1搬送部61に代わってウェブWを搬送する。第2搬送部62は、メッシュベルト61aの上方の面からウェブWを剥離させて、成形部70に向けて搬送する。第2搬送部62は、ウェブWの搬送経路の上方にあって、メッシュベルト61aのリターン側の起点よりもやや上流側に配置される。第2搬送部62の+Y方向と、メッシュベルト61aの-Y方向とは、鉛直方向において一部が重なる。
【0045】
第2搬送部62は、図示しない輸送ベルト、複数のローラー、およびサクション機構を有する。輸送ベルトには空気を通す複数の穴が設けられる。輸送ベルトは、複数のローラーによって張り架けられ、ローラーの回転により回動する。
【0046】
第2搬送部62は、サクション機構が発生させる負圧により、ウェブWの上方の面を輸送ベルトの下方の面に吸着させる。この状態にて輸送ベルトが回動することによって、ウェブWは、輸送ベルトに吸着されて下流へ搬送される。
【0047】
第1加湿部65は、第3ユニット群103の堆積部50にて堆積された繊維を含むウェブWを加湿する。詳しくは、第1加湿部65は、例えば、ミスト式加湿器であって、第2搬送部62によって搬送されるウェブWへ下方からミストMを供給して加湿する。第1加湿部65は、第2搬送部62の下方に配置され、第2搬送部62が搬送するウェブWとZ軸に沿う方向に対向する。第1加湿部65には、例えば超音波式などの公知の加湿装置が適用可能である。
【0048】
ウェブWがミストMにて加湿されることにより、でんぷんの結着材としての機能が促進されて、シートP3の強度が向上する。また、ウェブWに対して下方から加湿するため、ミスト由来の雫のウェブWへの落下が防止される。さらに、輸送ベルトとウェブWとの接触面の反対側から加湿するため、輸送ベルトに対するウェブWの貼り付きが低減される。第2搬送部62はウェブWを成形部70へ搬送する。
【0049】
成形部70は、繊維が含まれるウェブWを加熱および加圧して帯状のシートP1に成形する。成形部70は、成形ローラーとして、第1成形ローラー71および第2成形ローラー72を有する。第1成形ローラー71および第2成形ローラー72の各々は、電熱ヒーターを内蔵し、ローラー表面の温度を上昇させることが可能である。
【0050】
第1成形ローラー71および第2成形ローラー72は、略円柱状の部材である。第1成形ローラー71の回転軸および第2成形ローラー72の回転軸は、X軸に沿って配置される。ウェブWの搬送経路に対して、第1成形ローラー71は略上方に配置され、第2成形ローラー72は略下方に配置される。第1成形ローラー71の側面と、第2成形ローラー72の側面との間には、製造するシートP3の厚さに応じた隙間が設けられている。
【0051】
第1成形ローラー71および第2成形ローラー72は、後述する成形ローラー駆動モーターによって回転駆動される。ウェブWは、第1成形ローラー71と第2成形ローラー72との間に挟まれて加熱および加圧されながら、下流へ送り出される。つまり、ウェブWは、成形部70を連続的に通過して、加熱されながらプレス成形される。対を成す第1成形ローラー71および第2成形ローラー72を、成形ローラーとして用いることにより、ウェブWの加熱および加圧を効率よく行うことができる。
【0052】
ウェブWは、成形部70を通過することにより、比較的に空気を多く含んで柔らかい状態から、内包する空気が低減されると共に結着材によって繊維同士が結着され、帯状のシートP1に成形される。帯状のシートP1は、図示しない搬送ローラーにより、第1ユニット群101へ搬送される。
【0053】
クリーニング装置40は、第1成形ローラー71に対応する第1クリーニング装置41と、第2成形ローラー72に対応する第2クリーニング装置42と、を含む。図示を省略するが、クリーニング装置40は清掃ローラーを含む。
【0054】
上述したように、第1成形ローラー71および第2成形ローラー72は、ウェブWに接触して加圧する。そのため、第1成形ローラー71および第2成形ローラー72には、ウェブWに含まれる古紙Cに由来する紙粉や繊維などが付着し易い。紙粉などが付着したまま成形を続けると、製造されるシートP3において、表面の汚れや荒れ、あるいはシート強度の低下などの不具合が発生する場合がある。上記清掃ローラーは、紙粉などが付着する成形部材である第1成形ローラー71および第2成形ローラー72に当接して清掃を実施する。
【0055】
従来技術では、成形用ローラーにクリーニング用のフェルトローラーを当接させて、成形用ローラーのクリーニンングを行っていた。しかしながら、成形用ローラーに常時フェルトローラーを当接させているため、フォルトローラーの表面の摩耗が進み易かった。また、成形用ローラーが加熱機能を備える場合には、フェルトローラーの表面が常時加熱されているため、熱によってフェルトの劣化が進行することがあった。そのため、従来技術ではフォルトローラーの耐久性が確保し難い場合があった。
【0056】
これに対して、本実施形態のシート製造装置1は図示しない当接機構を有する。該当接機構は、第1成形ローラー71および第2成形ローラー72に対する上記清掃ローラーの当接および離間を切り替える。これにより、第1成形ローラー71および第2成形ローラー72から、上記清掃ローラーを適宜離間させることが可能となっている。清掃ローラーおよび当接機構の詳細については後述する。
【0057】
第2加湿部66は、第1加湿部65の下方に配置される。第2加湿部66には、公知の気化式の加湿装置が適用可能である。気化式の加湿装置としては、例えば、湿らせた不織布などに風をあてて水分を気化させ、加湿した空気を発生させるものが挙げられる。
【0058】
第2加湿部66は、シート製造装置1の所定の領域を加湿する。所定の領域とは、バッファータンク13、分離部32、および堆積部50のドラム部材53内のうちの1つ以上である。具体的には、図示しない複数の管を介して、第2加湿部66から上記領域へ加湿された空気が供給される。加湿された空気は、上記の各構成において、古紙Cや繊維などの帯電を抑制して、これらの静電気による部材への付着を抑える。
【0059】
排水部68は排水タンクである。排水部68は、第1加湿部65および第2加湿部66などで使用され、古くなった水分を集めて貯留する。排水部68は、必要に応じてシート製造装置1から取り外して、溜まった水を廃棄することが可能である。
【0060】
第1ユニット群101に搬送される帯状のシートP1は、第1切断部81に至る。第1切断部81は、帯状のシートP1を搬送方向と交差する方向、例えばX軸に沿う方向に切断する。帯状のシートP1は、第1切断部81にて単票状のシートP2に切断される。単票状のシートP2は、第1切断部81から第2切断部82へ搬送される。
【0061】
第2切断部82は、単票状のシートP2を搬送方向、例えばY軸に沿う方向に切断する。詳しくは、第2切断部82は、単票状のシートP2において、X軸に沿う方向の両側の辺近傍を切断する。これにより、単票状のシートP2は、例えばA4判やA3判などの所定の形状のシートP3と成る。
【0062】
第2切断部82にて、単票状のシートP2をシートP3に切断する際に、端材であるスリット片Sが生じる。スリット片Sは、略-Y方向へ搬送されてシュレッダーである細断部95に至る。細断部95は、スリット片Sを細断して細断片として、合流部17へ供給する。細断部95と合流部17との間には、スリット片Sの細断片を計量して合流部17へ供給する機構が設置されてもよい。
【0063】
シートP3は、略上方に搬送されてトレイ91に集積される。以上によって、シート製造装置1にてシートP3が製造される。シートP3は、例えばコピー用紙などの代替品として適用可能である。
【0064】
図2に示すように、第1クリーニング装置41は、第1成形ローラー71の-Y方向のやや上方にあって、第1成形ローラー71に沿って配置される。第2クリーニング装置42は、第2成形ローラー72の下方の-Y方向寄りにあって、第2成形ローラー72に沿って配置される。
【0065】
X軸に沿う方向において、第1クリーニング装置41の長さは、第1成形ローラー71の側面の長さと略等しい。同様に、第2クリーニング装置42の長さは、第2成形ローラー72の長さと略等しい。
【0066】
図3に示すように、第1クリーニング装置41は、第1当接機構120、第1清掃ローラー131、ブラシ部133、ブレード部141、歯車群110、支持部材135、およびフレーム部115を含む。なお、
図3では、制御部5に含まれる清掃ローラー駆動モーター541も図示している。
【0067】
第1清掃ローラー131は、上述した清掃ローラーのうち、第1成形ローラー71を清掃するものである。第1当接機構120は、上述した当接機構のうち、第1清掃ローラー131に対応するものである。
【0068】
第1当接機構120は、シャフト部121、カム部材123a,123bを含む。シャフト部121は、X軸に沿って配置される棒状の部材である。シャフト部121において、+X方向の端部付近にカム部材123aが取り付けられ、-X方向の端部付近にカム部材123bが取り付けられる。
【0069】
シャフト部121は、フレーム部115に支持され、X軸に沿う回転軸を中心に回転する。シャフト部121の-X方向の端部は、歯車群110のうちの歯車の1つに直結されている。歯車群110が駆動されると、シャフト部121が回転駆動される。カム部材123a,123bは、シャフト部121の回転に連動して、シャフト部121を回転中心として回転する。
【0070】
第1清掃ローラー131は、略円柱状の部材であって、円柱の高さ方向がX軸に沿って配置される。第1清掃ローラー131は、X軸に沿う方向の両端が支持部材135に支持され、X軸に沿う回転軸を中心として回転する。第1清掃ローラー131は、歯車群110のうちの歯車の1つに回転駆動される。
【0071】
ブラシ部133は、第1清掃ローラー131に当接して、第1清掃ローラー131を清掃する。ブラシ部133は、略円柱状の部材であって、円柱の高さ方向がX軸に沿うと共に、第1清掃ローラー131とY軸に沿う方向に並んで配置される。ブラシ部133は、X軸に沿う方向の両端が支持部材135に支持され、X軸に沿う回転軸を中心として回転する。ブラシ部133も、歯車群110のうちの歯車の1つに回転駆動される。
【0072】
ブレード部141は、ブラシ部133に下方から当接して、ブラシ部133を清掃する。ブレード部141は、略矩形の板状部材であって、ブラシ部133の側面に沿って延在する。ブレード部141は支持部材135に支持される。
【0073】
歯車群110は複数の歯車を含む。複数の歯車は、清掃ローラー駆動モーター541の駆動によって回転して、シャフト部121、第1清掃ローラー131、およびブラシ部133を回転させる。歯車群110および清掃ローラー駆動モーター541は、フレーム部115の-X方向の端部に設置される。
【0074】
支持部材135は、上方からの平面視にて、XZ平面に沿う図示しない本体部と、本体部のX軸に沿う方向の両端から+Y方向に突出する支持部135a,135bを含む。支持部135a,135bはX軸に沿う方向に対向する。第1当接機構120、第1清掃ローラー131、ブラシ部133、およびブレード部141は、支持部135a,135bの間に配置される。すなわち、支持部135a,135bが第1当接機構120、第1清掃ローラー131、ブラシ部133、およびブレード部141を支持する。
【0075】
支持部材135は、フレーム部115に支持されながら、フレーム部115に対して相対的に姿勢が変更可能である。支持部材135の姿勢変化については後述する。
【0076】
フレーム部115は、上方からの平面視にて略枠状の部材であって、内側に支持部材135が配置される。フレーム部115の-X方向の端部に対して、外側である-X方向に歯車群110が配置され、内側である+X方向に清掃ローラー駆動モーター541が配置される。清掃ローラー駆動モーター541は、出力軸である図示しないシャフトを含む。該シャフトは、フレーム部115を貫通して-X方向に延在し、歯車群110の複数の歯車の1つに直結される。フレーム部115は、シート製造装置1の第3ユニット群103のフレームに支持される。
【0077】
図4に示すように、第2クリーニング装置42は、第2当接機構220、第2清掃ローラー231、ブラシ部233、ブレード部241、歯車群210、支持部材235、およびフレーム部215を含む。なお、
図4では、制御部5に含まれる清掃ローラー駆動モーター542も図示している。
【0078】
第2清掃ローラー231は、上述した清掃ローラーのうち、第2成形ローラー72を清掃するものである。第2当接機構220は、上述した当接機構のうち、第2清掃ローラー231に対応するものである。
【0079】
第2当接機構220は、シャフト部221、カム部材223a,223bを含む。シャフト部221は、X軸に沿って配置される棒状の部材である。シャフト部221において、+X方向の端部付近にカム部材223aが取り付けられ、-X方向の端部付近にカム部材223bが取り付けられる。
【0080】
シャフト部221は、フレーム部215に支持され、X軸に沿う回転軸を中心に回転する。シャフト部221の-X方向の端部は、歯車群210のうちの歯車の1つに直結されている。歯車群210が駆動されると、シャフト部221が回転駆動される。カム部材223a,223bは、シャフト部221の回転に連動して、シャフト部221を回転中心として回転する。
【0081】
第2清掃ローラー231は、略円柱状の部材であって、円柱の高さ方向がX軸に沿って配置される。第2清掃ローラー231は、X軸に沿う方向の両端が支持部材235に支持され、X軸に沿う回転軸を中心として回転する。第2清掃ローラー231は、歯車群210のうちの歯車の1つに回転駆動される。
【0082】
ブラシ部233は、第2清掃ローラー231に当接して、第2清掃ローラー231を清掃する。ブラシ部233は、略円柱状の部材であって、円柱の高さ方向がX軸に沿うと共に、第2清掃ローラー231の下方に並んで配置される。ブラシ部233は、X軸に沿う方向の両端が支持部材235に支持され、X軸に沿う回転軸を中心として回転する。ブラシ部233も、歯車群210のうちの歯車の1つに回転駆動される。
【0083】
ブレード部241は、ブラシ部233に当接して、ブラシ部233を清掃する。ブレード部241は、略矩形の板状部材であって、ブラシ部233の側面に沿って延在する。ブレード部241は支持部材235に支持される。
【0084】
歯車群210は複数の歯車を含む。複数の歯車は、清掃ローラー駆動モーター542の駆動によって回転して、シャフト部221、第2清掃ローラー231、およびブラシ部233を回転させる。歯車群210および清掃ローラー駆動モーター542は、フレーム部215の-X方向の端部に設置される。
【0085】
支持部材235は、上方からの平面視にて、XZ平面に沿う図示しない本体部と、本体部のX軸に沿う方向の両端から上方に突出する支持部235a,235bを含む。支持部235a,235bはX軸に沿う方向に対向する。第2当接機構220、第2清掃ローラー231、ブラシ部233、およびブレード部241は、支持部235a,235bの間に配置される。すなわち、支持部235a,235bが第2当接機構220、第2清掃ローラー231、ブラシ部233、およびブレード部241を支持する。
【0086】
支持部材235は、フレーム部215に支持されながら、フレーム部215に対して相対的に姿勢が変更可能である。支持部材235の姿勢変化については後述する。
【0087】
フレーム部215は、上方からの平面視にて略枠状の部材であって、内側に支持部材235が配置される。フレーム部215の-X方向の端部に対して、外側である-X方向に歯車群210が配置され、内側である+X方向に清掃ローラー駆動モーター542が配置される。清掃ローラー駆動モーター542は、出力軸である図示しないシャフトを含む。該シャフトは、フレーム部215を貫通して-X方向に延在し、歯車群210の複数の歯車の1つに直結されている。フレーム部215は、シート製造装置1の第3ユニット群103のフレームに支持される。
【0088】
図5から
図8を参照して、クリーニング装置40の機能について説明する。第1クリーニング装置41および第2クリーニング装置42は、配置こそ異なるもののクリーニング機能は同様である。そのため、第2クリーニング装置42をクリーニング装置40の代表例として述べる。なお、
図5から
図8は、第2成形ローラー72と第2清掃ローラー231とが当接した状態を示している。また、
図5から
図8の説明では、特に断りがない限り、-X方向から側面視した状態を述べることとする。
【0089】
図5に示すように、第2成形ローラー72の側面には、シート製造装置1の稼働によって図示しないウェブWから紙粉Dが付着することがある。
【0090】
第2清掃ローラー231において、円柱の側面に相当する表面部が、第2成形ローラー72の側面に当接する。第2成形ローラー72に第2清掃ローラー231が当接している間には、第2成形ローラー72、第2清掃ローラー231、およびブラシ部233は回転する。このとき、第2成形ローラー72は反時計回りに回転し、第2清掃ローラー231およびブラシ部233も反時計回りに回転する。
【0091】
支持部材235の下方には、バネ部材251がY軸に沿って配置される。バネ部材251において、-Y方向の端部は支持部材235の下方の端部に固定され、+Y方向の端部はフレーム部215に固定される。これにより、支持部材235の下方の端部は、バネ部材251によって+Y方向に付勢される。
【0092】
ブラシ部233では、回転中心から略放射状に複数の毛材が設置される。第2清掃ローラー231の側面とブラシ部233の側面とは、重なるように配置される。そのため、第2清掃ローラー231の側面とブラシ部233の毛材とが比較的に強く接触する。これにより、ブラシ部233の毛材が第2清掃ローラー231の側面を擦るように当接する。
【0093】
ブラシ部233の下方には、ブレード部241が配置される。ブレード部241は、固定部材243を介して支持部材235に支持され、上方の端部がブラシ部233の側面の複数の毛材の中に埋没するように配置される。ブラシ部233に対してブレード部141が埋没する距離は、例えば約1mmである。
【0094】
次に、
図6に示すように、第2成形ローラー72の側面に付着した紙粉Dは、第2成形ローラー72の回転により、第2成形ローラー72と第2清掃ローラー231とが当接する領域へ至る。そして、第2清掃ローラー231が回転しながら第2成形ローラー72と当接することによって、第2成形ローラー72の側面が清掃される。すなわち、第2成形ローラー72の側面に付着した紙粉Dは、第2清掃ローラー231の側面に絡め取られて、第2清掃ローラー231へ移行する。
【0095】
第2清掃ローラー231の表面部である側面はフェルト材である。そのため、紙粉Dなどが第2清掃ローラー231に絡め取られ易くなる。また、第2清掃ローラー231の側面が第2成形ローラー72の側面の形状に追従し易くなる。これらにより、第2清掃ローラー231によるクリーニング性能が向上する。
【0096】
次に、
図7に示すように、第2清掃ローラー231の側面に移行した紙粉Dは、ブラシ部233の毛材に絡め取られて、ブラシ部233へ移行する。これにより、第2清掃ローラー231の側面を清浄にして、第2清掃ローラー231のクリーニング性能を維持することができる。
【0097】
そして、
図8に示すように、ブラシ部233の側面に移行した紙粉Dは、ブラシ部233の回転によってブレード部241にかき取られる。これにより、ブラシ部233を清浄にして、第2清掃ローラー231に対するブラシ部233のクリーニング性能を維持することができる。
【0098】
以上によって、第2成形ローラー72の側面に付着した紙粉Dなどが清掃される。第2成形ローラー72に対応する第2クリーニング装置42が備わることから、第2成形ローラー72の側面が清浄に保たれる。
【0099】
なお、上述した通り、第1クリーニング装置41の機能は第2クリーニング装置42と同様であるため、第1クリーニング装置41の機能については説明を省略する。第2クリーニング装置42と同様にして、第1成形ローラー71に対応する第1クリーニング装置41が備わることから、第1成形ローラー71の側面が清浄に保たれる。
【0100】
図9および
図10を参照して、第1クリーニング装置41における第1当接機構120の構成および機能について説明する。
図9および
図10では、特に断りがない限り、-X方向から側面視した状態を述べる。
【0101】
図9に示すように、第1成形ローラー71に対して、第1清掃ローラー131は、-Y方向のやや上方にあって当接して配置される。
図9は、第1清掃ローラー131が当接して、第1成形ローラー71の側面の清掃が行われる状態を示している。
【0102】
ブラシ部133では、回転中心から略放射状に複数の毛材が設置される。第1清掃ローラー131の側面とブラシ部133の側面とは、互いに重なるように配置される。
【0103】
第1成形ローラー71は時計回りに回転する。第1清掃ローラー131およびブラシ部133も時計回りに回転する。
【0104】
第1当接機構120は、支持部材135の上方の端部に対して、-Y方向に配置され、Y軸に沿う方向に対向する。カム部材123aおよび図示しないカム部材123bは、第1成形ローラー71に対して、第1成形ローラー71の当接および離間を回動によって切り替える。
【0105】
カム部材123a,123bは、回転中心となるシャフト部121に対して非対称な形状であり、図示しない突出部を有する。第1清掃ローラー131を第1成形ローラー71に当接させる際には、上記突出部は、支持部材135の上方の端部の略反対方向に位置する。
【0106】
支持部材135は、回動軸137を回転中心として、回転可能にフレーム部115に支持される。支持部材135の-Y方向には、バネ部材151がZ軸に沿って配置される。バネ部材151において、上方の端部が支持部材135に固定され、下方の端部がフレーム部115に固定される。
【0107】
支持部材135は、バネ部材151により、回動軸137を回転中心とする反時計回り方向に付勢される。そのため、第1清掃ローラー131は、バネ部材151の付勢力によって、第1成形ローラー71に当接する。
【0108】
図10に示すように、第1清掃ローラー131が第1成形ローラー71から離間する際には、支持部材135が姿勢変化する。詳しくは、シャフト部121が回転して、カム部材123aの突出部が支持部材135の上端に-Y方向から当接する。このとき、カム部材123aの突出部の当接によって支持部材135の上端が略+Y方向へ付勢される力は、バネ部材151の付勢力よりも大きい。そのため、支持部材135は、回動軸137を回転中心として時計回りに一定距離だけ回転して姿勢変化する。これによって、第1清掃ローラー131が第1成形ローラー71から離間する。
【0109】
なお、上記の構成および作用は、支持部材135の+X方向の端部を主に述べたものである。支持部材135の-X方向の端部にも、上記構成に対して、カム部材123bを含む同様な構成が配置される。カム部材123bを含む構成は、上記構成と同様にして上記構成と連動して作動する。そのため、カム部材123bを含む構成の作用については、説明を省略する。
【0110】
図11および
図12を参照して、第2クリーニング装置42における第2当接機構220の構成および機能について説明する。
図11および
図12では、特に断りがない限り、-X方向から側面視した状態を述べる。
【0111】
図11に示すように、第2成形ローラー72に対して、第2清掃ローラー231は、下方のやや-Y方向にあって当接して配置される。
図11は、第2清掃ローラー231が当接して、第2成形ローラー72の側面の清掃が行われる状態を示している。
【0112】
第2当接機構220は、支持部材235の下方の端部に対して、+Y方向に配置され、Y軸に沿う方向に対向する。カム部材223aおよび図示しないカム部材223bは、第2成形ローラー72に対して、第2成形ローラー72の当接および離間を回動によって切り替える。
【0113】
カム部材223a,223bは、回転中心となるシャフト部221に対して非対称な形状であり、図示しない突出部を有する。第2清掃ローラー231を第2成形ローラー72に当接させる際には、上記突出部は、支持部材235の下方の端部の略反対方向に位置する。
【0114】
支持部材235は、回動軸237を回転中心として、回転可能にフレーム部215に支持される。支持部材235の+Y方向には、バネ部材251がY軸に沿って配置される。バネ部材251において、-Y方向の端部が支持部材235の下端に固定され、+Y方向の端部がフレーム部215に固定される。
【0115】
支持部材235は、バネ部材251により、回動軸237を回転中心とする反時計回り方向に付勢される。そのため、第2清掃ローラー231は、バネ部材251の付勢力によって、第2成形ローラー72に当接する。
【0116】
図12に示すように、第2清掃ローラー231が第2成形ローラー72から離間する際には、支持部材235が姿勢変化する。詳しくは、シャフト部221が回転して、カム部材223aの突出部が支持部材235の下端に+Y方向から当接する。このとき、カム部材223aの当接によって支持部材235の下端が略-Y方向へ付勢される力は。バネ部材251の付勢力よりも大きい。そのため、支持部材235は、回動軸237を回転中心として時計回りに一定距離だけ回転する。これによって、第2清掃ローラー231が第2成形ローラー72から離間する。
【0117】
なお、上記の構成および作用は、支持部材235の+X方向の端部を主に述べたものである。支持部材235の-X方向の端部にも、上記構成に対して、カム部材223bを含む同様な構成が配置される。カム部材223bを含む構成は、上記構成と同様にして、上記構成と連動して作動する。そのため、カム部材223bを含む構成の作用については、説明を省略する。
【0118】
図13および
図14を参照して、第2当接機構220の作動メカニズムについて説明する。第2成形ローラー72に対して、
図13は第2清掃ローラー231が当接している状態を示し、
図14は第2清掃ローラー231が離間している状態を示している。なお、第1当接機構120の作動メカニズムは第2当接機構220と同様であるため、第1当接機構120の作動メカニズムについては、説明を省略する。
【0119】
図13に示すように、歯車群210は歯車G1,G2,G3,G4,G5,G6,G7を含む。歯車G1から歯車G7は上記の順番で互いにかみ合って配置される。歯車G1は清掃ローラー駆動モーター542の出力軸に直結される。歯車群210の各歯車は、X軸に沿う回転軸にて回転する。
【0120】
清掃ローラー駆動モーター542の回転駆動力は、歯車G1から歯車G2に伝達される。歯車G2は、歯車G1とかみ合う歯車の+X方向に、歯車G3とかみ合う図示しない歯車を含む。そのため、上記回転駆動力は、歯車G2から歯車G3に伝達され、さらに歯車G3から歯車G4、歯車G5、歯車G6、歯車G7へと順次伝達される。
【0121】
第2当接機構220のシャフト部221の-X方向の端部は、歯車G7に固定される。そのため、歯車G7に伝達される回転駆動力は、シャフト部221およびカム部材223a,223bを回動させる。つまり、第2当接機構220は、清掃ローラー駆動モーター542によって駆動される。
【0122】
歯車G7の外周には、カム位置検出センサー521が配置される。カム位置検出センサー521は、歯車G7の回転を光学的にセンシングして、カム部材223a,223bの回転位置を検出する。
【0123】
なお、第2清掃ローラー231およびブラシ部233は、歯車G3から歯車群210の図示しない歯車を介して、清掃ローラー駆動モーター542によって回転駆動される。
【0124】
図14に示すように、清掃ローラー駆動モーター542を駆動させると、支持部材235が姿勢変化する。詳しくは、清掃ローラー駆動モーター542を、-X方向からの側面視にて反時計回りに回転させる。回転駆動力は順次伝達されて、-X方向からの側面視にて、歯車G6を時計回りに回転させて、歯車G7を反時計回りに回転させる。
【0125】
歯車G7に伝達される回転駆動力は、-X方向からの側面視にて、シャフト部221およびカム部材223a,223bを反時計回りに回転させる。上述したように、カム部材223aの突出部およびカム部材223bの突出部が支持部材235を、各々略-Y方向へ押して付勢する。そのため支持部材235は、-X方向からの側面視にて、回動軸237を中心に時計回りに一定距離回転する。これにより、第2清掃ローラー231は、第2成形ローラー72に対して、略+Y方向かつ下方に移動して離間する。なお、-X方向からの側面視にて、シャフト部221およびカム部材223a,223bの回転方向は、反時計回りの一方向である。
【0126】
第2成形ローラー72から第2清掃ローラー231が離間した状態から、さらに清掃ローラー駆動モーター542が反時計回りに回転すると、カム部材223a,223bの各突出部が支持部材235から離間する。これにより、支持部材235は、上述したバネ部材251の付勢によって、-X方向からの側面視にて反時計回りに回転する。そして、第2清掃ローラー231が第2成形ローラー72に当接して、
図13に示した状態に戻る。
【0127】
図15を参照して制御部5の機能について、第1クリーニング装置41および第2クリーニング装置42のうち、第2クリーニング装置42を代表例として説明する。なお、
図15では、第1クリーニング装置41および関連する構成の図示を省略している。制御部5は、第2クリーニング装置42と同様にして、第1クリーニング装置41を制御する。そのため、第1クリーニング装置41の制御に関する詳細な説明は省略する。
【0128】
図15に示すように、シート製造装置1は、制御部5、および第2クリーニング装置42を有する。制御部5は、システムバス510、入出力部511、CPU(Central Processing Unit)512、RAM(Random Access Memory)513、ROM(Read Only Memory)514、モーター駆動部515、カム位置検出センサー521、成形ローラー駆動モーター531、清掃ローラー駆動モーター542を有する。成形ローラー駆動モーター531は、本発明の成形ローラーを駆動するモーターの一例である。
【0129】
制御部5は、上述した第1当接機構120および第2当接機構220を含むシート製造装置1の各構成の稼働を統合的に制御する。制御部5が第1当接機構120および第2当接機構220を制御することから、第1成形ローラー71に対して第1清掃ローラー131を、第2成形ローラー72に対して第2清掃ローラー231を、各々適宜離間させることができる。
【0130】
CPU512はシート製造装置1の全体の制御を司る。CPU512は、システムバス510を介して、入出力部511、RAM513、ROM514、モーター駆動部515、およびカム位置検出センサー521と電気的に接続される。
【0131】
RAM513は一時的にデータを格納する。ROM514には、CPU512が実行する各種制御プログラムやメンテナンスシーケンスなどが格納される。入出力部511は、パーソナルコンピューターなどの外部の情報端末から操作指示を受け付けると共に、シート製造装置1の各種情報を情報端末に送信する。
【0132】
モーター駆動部515は、第2成形ローラー72に対応する成形ローラー駆動モーター531、および清掃ローラー駆動モーター542と電気的に接続される。成形ローラー駆動モーター531は、第2成形ローラー72の回転を駆動する。これにより、第2成形ローラー72が回転して、上述したウェブWが加熱および加圧される。
【0133】
成形ローラー駆動モーター531は、ステッピングモーターであって、ステップ数によって稼働量が制御される。該ステップ数は、駆動される周波数によって規定される。制御部5は、第2成形ローラー72を稼働させるステップ数から、第2成形ローラー72の回転角度を検出することが可能である。したがって、カム位置検出センサー521が検出するカム部材223a,223bの回転位置、および上記回転角度から、制御部5は、任意の第2成形ローラー72の回転角度において、第2清掃ローラー231を第2成形ローラー72から離間させることが可能となる。すなわち、所望のタイミングにて、第2清掃ローラー231を第2成形ローラー72に対して、離間または当接させることができる。
【0134】
清掃ローラー駆動モーター542は、第2清掃ローラー231を駆動する。制御部5は、清掃ローラー駆動モーター542を介して、第2清掃ローラー231の回転方向および回転速度を制御する。そのため、第2清掃ローラー231の回転方向および回転速度が可変となって、第2清掃ローラー231のクリーニング条件が変更される。これにより、第2清掃ローラー231によるクリーニング性能を向上させることができる。
【0135】
制御部5は、第2成形ローラー72が数回転するうちの少なくとも1回転以上にて、第2清掃ローラー231を第2成形ローラー72に当接させることが好ましい。すなわち、第2成形ローラー72が少なくとも1回転する間に、第2清掃ローラー231が当接する。これにより、第2成形ローラー72の側面の全周が第2清掃ローラー231によって清掃されて、第2成形ローラー72の清浄度を確保しつつ、第2清掃ローラー231の耐久性を向上させることができる。
【0136】
図示を省略するが、制御部5は、第1当接機構120に対応するカム位置検出センサー、第1成形ローラー71に対応する成形ローラー駆動モーター531、および清掃ローラー駆動モーター541を有する。
【0137】
モーター駆動部515は、第1成形ローラー71に対応するモーターである成形ローラー駆動モーター531、および第1清掃ローラー131に対応するモーターである清掃ローラー駆動モーター541と電気的に接続される。上記成形ローラー駆動モーター531は、第1成形ローラー71の回転を駆動し、駆動周波数にて規定されるステップ数によって稼働量が制御される。すなわち、制御部5は、第1成形ローラー71を稼働させるステップ数から、第1成形ローラー71の回転角度を検出することが可能である。したがって、上記カム位置検出センサーが検出するカム部材123a,123bの回転位置、および上記回転角度から、制御部5は、任意の第1成形ローラー71の回転角度において、第1清掃ローラー131を第1成形ローラー71から離間させることが可能となる。
【0138】
第1清掃ローラー131に対応する清掃ローラー駆動モーター541は、第1清掃ローラー131を駆動する。制御部5は、清掃ローラー駆動モーター541を介して、第1清掃ローラー131の回転方向および回転速度を制御する。
【0139】
制御部5は、第1成形ローラー71が数回転するうちの少なくとも1回転以上にて、第1清掃ローラー131を第1成形ローラー71に当接させることが好ましい。すなわち、第1成形ローラー71が少なくとも1回転する間に、第1清掃ローラー131が当接する。これにより、第1成形ローラー71の側面の全周が第1清掃ローラー131によって清掃されて、第1成形ローラー71の清浄度を確保しつつ、第1清掃ローラー131の耐久性を向上させることができる。
【0140】
第1クリーニング装置41においても、制御部5による制御により、第2クリーニング装置42と同様な効果が得られる。
【0141】
本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0142】
第1清掃ローラー131および第2清掃ローラー231の耐久性を向上させることができる。詳しくは、第1成形ローラー71に対して第1清掃ローラー131を、第2成形ローラー72に対して第2清掃ローラー231を、適宜離間させることが可能となる。そのため、第1清掃ローラー131および第2清掃ローラー231の表面部である側面の摩耗や変形が抑えられる。これにより、第1清掃ローラー131および第2清掃ローラー231の耐久性を向上させるシート製造装置1、第1クリーニング装置41および第2クリーニング装置42を提供することができる。
【0143】
また、第1成形ローラー71および第2成形ローラー72は、第1清掃ローラー131および第2清掃ローラー231と比べて耐久性が高いものの、これらと常時当接していることから表面の摩耗などが進行する可能性があった。これに対して、第1清掃ローラー131および第2清掃ローラー231を適宜離間させることにより、第1成形ローラー71および第2成形ローラー72の耐久性をも向上させることができる。
【符号の説明】
【0144】
1…シート製造装置、5…制御部、40…クリーニング装置、41…第1クリーニング装置、42…第2クリーニング装置、71…第1成形ローラー、72…第2成形ローラー、120…第1当接機構、123a,123b,223a,223b…カム部材、131…第1清掃ローラー、133,233…ブラシ部、141,241…ブレード部、220…第2当接機構、231…第2清掃ローラー、521…カム位置検出センサー、531…成形ローラー駆動モーター、541、542…清掃ローラー駆動モーター、D…紙粉、W…ウェブ。