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特開2024-17211画像処理シーケンスの生成方法、生成装置、および、コンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017211
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】画像処理シーケンスの生成方法、生成装置、および、コンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240201BHJP
【FI】
G06T7/00 350D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119709
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 秀明
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096FA31
5L096GA51
5L096GA53
5L096JA03
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】所望とする画像処理シーケンスを得るための処理時間を短縮できる技術を提供する。
【解決手段】画像処理シーケンスの生成方法は、学習セットを選択するとき、前回のルーチンにおける工程(g)で算出した、2以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択確率を大きくする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理シーケンスの生成方法であって、
(a)学習画像と前記学習画像に関連付けられた目標画像の学習セットを複数準備する工程と、
(b)シーケンス要素としての、(i)画像を入力する画像入力層、(ii)複数の画像処理層の少なくとも一つ、および(iii)画像処理後の前記画像を出力する画像出力層、の組み合わせを示す複数の画像処理シーケンスであって、前記組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスによって構成されるシーケンスセットを生成する工程と、
(c)複数の前記学習セットのうち、前記複数の学習セットよりも少ない数の前記学習セットを選択する工程と、
(d)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれによって、前記工程(c)において選択した前記学習セットにおける前記学習画像を画像処理し、前記複数の画像処理シーケンスごとに前記画像処理後の画像である出力画像を生成する工程と、
(e)前記複数の画像処理シーケンスごとに、前記出力画像と、前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記出力画像と前記目標画像との類似の程度を示す評価値を算出する工程と、
(f)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれに対応する複数の前記評価値の中から、最も前記類似の程度の高い前記画像処理シーケンスである対象画像処理シーケンスを特定する工程と、
(g)前記対象画像処理シーケンスによって、前記複数の学習セットのうちで前記工程(c)で選択した前記学習セットの数よりも多く、かつ、前記工程(c)で選択した前記学習セットを含む2セット以上の前記学習セットのそれぞれの前記学習画像を画像処理して前記出力画像を生成し、前記出力画像と前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記評価値としての対象評価値を算出する工程と、
(h)前記対象評価値を用いて、前記対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定する工程と、を備え、
前記画像処理シーケンスの生成方法は、前記対象画像処理シーケンスが前記基準条件を満たすまで、前記工程(b)~前記工程(h)を繰り返し実行し、
前記工程(c)において、前記学習セットを選択するとき、前回のルーチンにおける前記工程(g)で算出した、前記2セット以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択確率を大きくする、画像処理シーケンスの生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理シーケンスの生成方法であって、
前記工程(b)は、前回のルーチンにおける前記工程(e)で算出した複数の前記評価値の中から前記類似の程度が高いことを示す評価条件を満たす前記評価値の算出元である前記画像処理シーケンスと、前記前回のルーチンの前記シーケンスセットを構成する前記画像処理シーケンスとは異なる前記画像処理シーケンスと、を含むシーケンスセットを生成する、画像処理シーケンスの生成方法。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理シーケンスの生成方法であって、
前記工程(g)は、前記工程(a)において準備した前記複数の学習セットの全ての前記学習画像を画像処理して前記出力画像を出力して、前記全ての前記学習画像に対して前記対象評価値を算出する、画像処理シーケンスの生成方法。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理シーケンスの生成方法であって、
前記工程(h)は、前記複数の学習セットに対応した複数の前記対象評価値の統計量を算出して、前記統計量が示す前記類似の程度が予め定めた閾値以上である場合に、前記基準条件を満たすと判定する、画像処理シーケンスの生成方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の画像処理シーケンスの生成方法であって、
前記工程(c)において、前記学習セットを選択するとき、前記前回のルーチンにおける前記工程(g)で算出した、前記2セット以上の前記学習セットに対応した複数の前記対象評価値がそれぞれ示す前記類似の程度が低いほど、前記学習セットの選択確率を大きくする、画像処理シーケンスの生成方法。
【請求項6】
請求項1に記載の画像処理シーケンスの生成方法であって、
前記工程(b)において、前記複数の画像処理シーケンスはそれぞれ、前記画像入力層および前記画像処理層のそれぞれに対応した複数の遺伝子を配列した個体と、前記シーケンス要素の接続関係を規定した遺伝子テーブルと、によって表される、画像処理シーケンスの生成方法。
【請求項7】
画像処理シーケンスの生成装置であって、
シーケンス要素としての、(i)画像を入力する画像入力層、(ii)複数の画像処理層の少なくとも一つ、および(iii)画像処理後の前記画像を出力する画像出力層、の組み合わせを示す複数の画像処理シーケンスであって、前記組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスによって構成されるシーケンスセットを生成するシーケンス生成部と、
予め準備された学習画像と目標画像との組み合わせを学習セットとする複数の前記学習セットのうち、前記複数の学習セットよりも少ない数の前記学習セットを選択する選択部と、
前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれによって、前記選択部が選択した前記学習セットにおける前記学習画像を画像処理し、前記複数の画像処理シーケンスごとに前記画像処理後の画像である出力画像を生成する画像処理部と、
前記複数の画像処理シーケンスごとに、前記出力画像と、前記出力画像の元となる前記学習画像と前記学習セットを構成する前記目標画像とを比較して、前記出力画像と前記目標画像との類似の程度を示す評価値を算出する算出部と、
前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれに対応する複数の前記評価値の中から、最も前記類似の程度の高い前記画像処理シーケンスである対象画像処理シーケンスを特定する特定部と、
前記画像処理部は、前記対象画像処理シーケンスによって、前記複数の学習セットのうちで前記選択部が選択した前記学習セットの数よりも多く、かつ、前記選択部が選択した前記学習セットを含む2セット以上の前記学習セットのそれぞれの前記学習画像を画像処理して前記出力画像としての対象出力画像を生成し、
前記算出部は、前記対象出力画像と前記対象出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記評価値としての対象評価値を算出し、
前記特定部は、前記対象評価値を用いて、前記対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定し、
前記対象画像処理シーケンスが前記基準条件を満たさない場合には、
前記選択部は、前記算出部が算出した、前記2セット以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択率を大きくして、新たに前記学習セットを選択し、
前記シーケンス生成部は、新たに選択された前記学習セットのための前記シーケンスセットであって、前回生成した前記シーケンスセットとは異なる前記シーケンスセットを生成する、画像処理シーケンスの生成装置。
【請求項8】
コンピュータープログラムであって、
(a)シーケンス要素としての、(i)画像を入力する画像入力層、(ii)複数の画像処理層の少なくとも一つ、および(iii)画像処理後の前記画像を出力する画像出力層、の組み合わせを示す複数の画像処理シーケンスであって、前記組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスによって構成されるシーケンスセットを生成するシーケンス生成機能と、
(b)予め準備された学習画像と前記学習画像に関連付けられた目標画像との組み合わせである複数の学習セットのうち、前記複数の学習セットよりも少ない数の前記学習セットを選択する機能と、
(c)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれによって、前記機能(b)が選択した前記学習セットにおける前記学習画像を画像処理し、前記複数の画像処理シーケンスごとに前記画像処理後の画像である出力画像を生成する機能と、
(d)前記複数の画像処理シーケンスごとに、前記出力画像と、前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記出力画像と前記目標画像との類似の程度を示す評価値を算出する機能と、
(e)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれに対応する複数の前記評価値の中から、最も前記類似の程度の高い画像処理シーケンスである対象画像処理シーケンスを特定する機能と、
(f)前記対象画像処理シーケンスによって、前記複数の学習セットのうちで前記機能(b)が選択した前記学習セットの数よりも多く、かつ、前記機能(b)が選択した前記学習セットを含む2学習セット以上の前記学習セットのそれぞれの前記学習画像を画像処理して前記出力画像を生成し、前記出力画像と前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記評価値としての対象評価値を算出する機能と、
(g)前記対象評価値を用いて、前記対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定する機能と、をコンピューターに実行させ、
前記コンピュータープログラムは、前記対象画像処理シーケンスが前記基準条件を満たすまで、前記機能(a)~前記機能(g)を繰り返し前記コンピューターに実行させ、
前記機能(b)は、前記学習セットを選択するとき、前回のルーチンにおける前記機能(f)で算出した、前記2セット以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択確率を大きくする機能を有する、コンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理シーケンスを生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遺伝的プログラミングを用いることにより、個体を木構造のように構造的に表現する技術が知られている(特許文献1)。また、従来、検査領域を有する教示用画像に対して、検査領域内の欠陥を有する検査領域画像の特徴量を算出し、算出した特徴量を変化させて変化検査領域画像を生成する技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-87055号公報
【特許文献2】特開2006-337152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、遺伝的プログラミングを用いることにより、複数の画像処理フィルターを木構造に組み合わせた画像処理シーケンスを生成している。そして、学習画像を画像処理シーケンスで画像処理した結果画像と、目標画像とを比較することで、現世代の複数の画像処理シーケンスを評価している。評価の高い画像処理シーケンスは次世代でも維持される。一方で、評価の低い画像処理シーケンスについては、交叉や突然変異などの手法を用いて、新たな画像処理シーケンスを生成する。そして、現世代において維持された画像処理シーケンスと、新たに生成された画像処理シーケンスとによって次世代の画像処理シーケンス群が生成される。そして、所望とする画像処理シーケンスが得られるまで、画像処理シーケンス群の生成と評価とが繰り返される。特許文献1の技術において、過学習を抑制するために、評価に用いる学習画像の数を増やすと、画像処理シーケンスによる画像処理の回数や評価の回数が増大する。これにより、特許文献1の技術では、所望とする画像処理シーケンスを得るまでに必要な処理時間が長くなる場合があった。
【0005】
また、特許文献2の技術では、生成した変化検査領域画像を検査領域画像と同じ1枚の画像上に配置しているが、1枚の画像上に配置可能な検査領域画像の数や種類には限度がある。また、特許文献2の技術では、欠陥のある検査領域画像の特徴量を変化させて新たな変化検査領域画像を生成しているため、欠陥の無い良品画像を複数種類準備する場合には、この技術は適用できない。よって、評価精度の向上のために、欠陥の無い良品画像を複数種類準備して、画像処理シーケンスを用いて評価するためには、処理時間が長くなる場合があった。
【0006】
上記のごとく、従来から、所望とする画像処理シーケンスを得るための処理時間を短縮できる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1形態によれば、画像処理シーケンスの生成方法が提供される。この画像処理シーケンスの生成方法は、(a)学習画像と前記学習画像に関連付けられた目標画像の学習セットを複数準備する工程と、(b)シーケンス要素としての、(i)画像を入力する画像入力層、(ii)複数の画像処理層の少なくとも一つ、および(iii)画像処理後の前記画像を出力する画像出力層、の組み合わせを示す複数の画像処理シーケンスであって、前記組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスによって構成されるシーケンスセットを生成する工程と、(c)複数の前記学習セットのうち、前記複数の学習セットよりも少ない数の前記学習セットを選択する工程と、(d)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれによって、前記工程(c)において選択した前記学習セットにおける前記学習画像を画像処理し、前記複数の画像処理シーケンスごとに前記画像処理後の画像である出力画像を生成する工程と、(e)前記複数の画像処理シーケンスごとに、前記出力画像と、前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記出力画像と前記目標画像との類似の程度を示す評価値を算出する工程と、(f)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれに対応する複数の前記評価値の中から、最も前記類似の程度の高い前記画像処理シーケンスである対象画像処理シーケンスを特定する工程と、(g)前記対象画像処理シーケンスによって、前記複数の学習セットのうちで前記工程(c)で選択した前記学習セットの数よりも多く、かつ、前記工程(c)で選択した前記学習セットを含む2セット以上の前記学習セットのそれぞれの前記学習画像を画像処理して前記出力画像を生成し、前記出力画像と前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記評価値としての対象評価値を算出する工程と、(h)前記対象評価値を用いて、前記対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定する工程と、を備え、前記画像処理シーケンスの生成方法は、前記対象画像処理シーケンスが前記基準条件を満たすまで、前記工程(b)~前記工程(h)を繰り返し実行し、前記工程(c)において、前記学習セットを選択するとき、前回のルーチンにおける前記工程(g)で算出した、前記2セット以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択確率を大きくする。
【0008】
本開示の第2形態によれば、画像処理シーケンスの生成装置が提供される。この生成装置は、シーケンス要素としての、(i)画像を入力する画像入力層、(ii)複数の画像処理層の少なくとも一つ、および(iii)画像処理後の前記画像を出力する画像出力層、の組み合わせを示す複数の画像処理シーケンスであって、前記組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスによって構成されるシーケンスセットを生成するシーケンス生成部と、予め準備された学習画像と目標画像との組み合わせを学習セットとする複数の前記学習セットのうち、前記複数の学習セットよりも少ない数の前記学習セットを選択する選択部と、前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれによって、前記選択部が選択した前記学習セットにおける前記学習画像を画像処理し、前記複数の画像処理シーケンスごとに前記画像処理後の画像である出力画像を生成する画像処理部と、前記複数の画像処理シーケンスごとに、前記出力画像と、前記出力画像の元となる前記学習画像と前記学習セットを構成する前記目標画像とを比較して、前記出力画像と前記目標画像との類似の程度を示す評価値を算出する算出部と、前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれに対応する複数の前記評価値の中から、最も前記類似の程度の高い前記画像処理シーケンスである対象画像処理シーケンスを特定する特定部と、前記画像処理部は、前記対象画像処理シーケンスによって、前記複数の学習セットのうちで前記選択部が選択した前記学習セットの数よりも多く、かつ、前記選択部が選択した前記学習セットを含む2セット以上の前記学習セットのそれぞれの前記学習画像を画像処理して前記出力画像としての対象出力画像を生成し、前記算出部は、前記対象出力画像と前記対象出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記評価値としての対象評価値を算出し、前記特定部は、前記対象評価値を用いて、前記対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定し、前記対象画像処理シーケンスが前記基準条件を満たさない場合には、前記選択部は、前記算出部が算出した、前記2セット以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択率を大きくして、新たに前記学習セットを選択し、前記シーケンス生成部は、新たに選択された前記学習セットのための前記シーケンスセットであって、前回生成した前記シーケンスセットとは異なる前記シーケンスセットを生成する。
【0009】
本開示の第3形態によれば、コンピュータープログラムが提供される。このコンピュータープログラムは、(a)シーケンス要素としての、(i)画像を入力する画像入力層、(ii)複数の画像処理層の少なくとも一つ、および(iii)画像処理後の前記画像を出力する画像出力層、の組み合わせを示す複数の画像処理シーケンスであって、前記組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスによって構成されるシーケンスセットを生成するシーケンス生成機能と、(b)予め準備された学習画像と前記学習画像に関連付けられた目標画像との組み合わせである複数の学習セットのうち、前記複数の学習セットよりも少ない数の前記学習セットを選択する機能と、(c)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれによって、前記機能(b)が選択した前記学習セットにおける前記学習画像を画像処理し、前記複数の画像処理シーケンスごとに前記画像処理後の画像である出力画像を生成する機能と、(d)前記複数の画像処理シーケンスごとに、前記出力画像と、前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記出力画像と前記目標画像との類似の程度を示す評価値を算出する機能と、(e)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれに対応する複数の前記評価値の中から、最も前記類似の程度の高い画像処理シーケンスである対象画像処理シーケンスを特定する機能と、(f)前記対象画像処理シーケンスによって、前記複数の学習セットのうちで前記機能(b)が選択した前記学習セットの数よりも多く、かつ、前記機能(b)が選択した前記学習セットを含む2学習セット以上の前記学習セットのそれぞれの前記学習画像を画像処理して前記出力画像を生成し、前記出力画像と前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記評価値としての対象評価値を算出する機能と、(g)前記対象評価値を用いて、前記対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定する機能と、をコンピューターに実行させ、前記コンピュータープログラムは、前記対象画像処理シーケンスが前記基準条件を満たすまで、前記機能(a)~前記機能(g)を繰り返し前記コンピューターに実行させ、前記機能(b)は、前記学習セットを選択するとき、前回のルーチンにおける前記機能(f)で算出した、前記2セット以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択確率を大きくする機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の生成システムを説明するための図。
図2】記憶装置を説明するための図。
図3】学習データの一例を示す図。
図4】遺伝子テーブルを説明するための図。
図5】一つの世代の個体群を説明するための図。
図6】遺伝子翻訳部によって生成された木構造の画像処理シーケンスを示す図。
図7】生成装置が実行する処理を示すフローチャート。
図8】ステップS10の生成工程の詳細なフローチャート。
図9】ステップS10の生成工程を説明するための第1図。
図10】ステップS10の生成工程を説明するための第2図。
図11図8のステップS94の詳細なフローチャート。
図12図11のステップS96,S97を説明するための図。
図13】利用処理工程のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.実施形態:
図1は、実施形態の生成システム10を説明するための図である。生成システム10は、生成装置20と撮像装置200とを備える。生成装置20と撮像装置200とは、有線や無線によってデータを送受信可能である。撮像装置200は、カメラであり、対象物を撮像して撮像画像を取得する。撮像装置200によって取得された撮像画像は、生成装置20に送信される。
【0012】
生成装置20は、画像処理後の所望とする画像を得るための特定画像処理シーケンスDSqを生成するシーケンス生成機能と、シーケンス生成機能によって生成した特定画像処理シーケンスDSqによって画像を画像処理して処理後画像を出力する画像処理機能と、を有する。本実施形態の生成装置20は、撮像画像を元に、所望の目的を達成するための画像を得るための特定画像処理シーケンスDSqを自動で生成する。例えば、生成装置20は、撮像装置200によって撮像された工業製品である回路基板の画像を、特定画像処理シーケンスDSqを用いて画像処理することで、欠陥部分が黒画像、それ以外の部分が白画像で表された二値化画像を処理後画像として出力する。この二値化画像を元に、欠陥部分の有無や位置がユーザーや装置によって特定されることで、工業製品の検査が行われる。
【0013】
シーケンス生成機能は、複数の画像処理シーケンスSqを、遺伝的プログラミングを用いて生成する。また、シーケンス生成機能は、生成した複数の画像処理シーケンスSqの中から所望とする画像処理後の画像を得るための特定画像処理シーケンスDSqを特定する。本実施形態では、シーケンス生成機能と画像処理機能とは、一つの生成装置20に搭載されているが、これに限定されるものではない。他の実施形態では、シーケンス生成機能と画像処理機能とは、別々の装置に搭載されていてもよいし、クラウド上に存在していてもよい。
【0014】
生成装置20は、パーソナルコンピューターなどの電子計算機である。生成装置20は、プロセッサー25と、記憶装置70と、入力部150と、表示部160とを備える。プロセッサー25は、記憶装置70に記憶された各種プログラムを実行することで、生成装置20の動作を制御する。プロセッサー25の詳細な機能は後述する。記憶装置70は、RAMやROMなどのメモリーにより構成されている。記憶装置70には、プロセッサー25の各機能を実現するための各種プログラムと、画像処理シーケンスSqの生成のために用いる各種データとが記憶されている。記憶装置70の詳細は後述する。入力部150は、外部からの情報を受け付けるインターフェースである。入力部150は、例えば、撮像装置200からの撮像画像の入力を受け付けたり、ユーザーが他の装置を用いて生成した画像の入力を受け付けたりする。表示部160は、各種情報を表示する。表示部160は、例えば、液晶モニターである。
【0015】
プロセッサー25は、記憶装置70の各種プログラムを実行することで、シーケンス生成部30と、選択部36と、画像処理部40と、算出部42と、特定部46と、表示制御部60として機能する。なお、プロセッサー25によって実行される機能の一部は、ハードウェア回路によって実現されてもよい。ここで、本開示において、「プロセッサー」は、CPUやGPUを包含する用語である。
【0016】
シーケンス生成部30は、個体IVによって示された遺伝子の配列を木構造のように構造的に表現することで、シーケンス要素の組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスSqによって構成されるシーケンスセットを生成する。画像処理シーケンスSqは、複数のシーケンス要素の組み合わせによって表されている。シーケンス要素としては、(i)画像を入力するノードである画像入力層と、(ii)画像入力層と画像出力層との間の中間のノードである、画像処理フィルターとしての画像処理層と、(iii)画像処理後、すなわち最終的な画像処理後の画像である出力画像PMを出力するノードである画像出力層とがある。
【0017】
シーケンス生成部30は、個体生成部32と、遺伝子翻訳部34とを備える。個体生成部32は、一次元または二次元に配列された複数の遺伝子によって構成される個体IVを生成する。個体IVを構成する各遺伝子は、画像入力層と、画像処理層の種類、本実施形態では画像処理フィルターとをそれぞれ表す数値である。数値範囲ごとに、画像入力層や異なる画像処理フィルターが割り当てられる。つまり、個体IVは、画像入力層および画像処理層のそれぞれに対応した遺伝子を配列することで生成される。個体生成部32は、一つの世代Gごとに、予め定めた数の個体IVを生成する。本実施形態では、個体生成部32は、一次元に遺伝子を配列することで、予め定めた遺伝子長の個体IVを生成する。一つの世代Gごとにおいて、複数の画像処理シーケンスSqのシーケンス要素の組み合わせは異なる。個体生成部32は、一番初めの1世代目については、個体IVの各遺伝子座に、0から1までの小数点第3位までの数値を遺伝子としてランダムに配置することで、複数の個体IVから構成される個体群84を生成する。個体生成部32は、二世代目以降については、前回の親世代の個体IVから交叉と突然変異との少なくとも一つの手法を用いて個体IVを新たに生成することで、新たに生成した個体IVと、親世代で維持、すなわち親世代の個体IVを複製した個体IVとの集合である個体群84を生成する。つまり、2世代目以降で新たに生成されるシーケンスセットを構成する複数の画像処理シーケンスSqはそれぞれ、前回のルーチンで生成された画像処理シーケンス、すなわち親世代の画像処理シーケンスSqを元に、複製や交叉や突然変異によって生成される。
【0018】
遺伝子翻訳部34は、記憶装置70に記憶された後述する遺伝子テーブル82を参照することで、個体IVの各遺伝子を翻訳して木構造で表された画像処理シーケンスSqを生成する。遺伝子テーブル82は、遺伝子である数値の数値範囲ごとに対応する画像処理フィルターと、各シーケンス要素の接続関係を規定したテーブルである。
【0019】
選択部36は、予め準備された学習画像LMと目標画像TMとの組み合わせを1つの学習セットSMとする複数の学習セットSMによって構成される学習データ74のうち、複数の学習セットSMよりも少ない数の学習セットSMを選択する。学習データ74は、記憶装置70に記憶されている。学習データ74の詳細は後述する。
【0020】
画像処理部40は、遺伝子翻訳部34が生成した複数の画像処理シーケンスSqのそれぞれによって、選択部36が選択した学習セットSMにおける学習画像LMを画像入力層に入力して画像処理し、複数の画像処理シーケンスSqごとに画像処理後の画像である出力画像PMを画像出力層から出力することで生成する。また画像処理部40は、記憶装置70に記憶された特定画像処理シーケンスDSqを用いて、検査対象である画像を画像入力層に入力して画像処理し、画像処理後の画像である出力画像PMを画像出力層から出力することで生成する。
【0021】
算出部42は、画像処理部40によって生成された出力画像PMと、出力画像PMの元となる学習画像LMに関連付けられた、すなわち学習画像LMと1つの学習セットSMを構成する目標画像TMとを比較して、類似の程度SDを示す評価値EVを算出する。例えば、算出部42は、1つの世代Gの個体群の各個体IVによって表された複数の画像処理シーケンスSqごとに、出力画像PMと、出力画像PMの元となる学習画像LMに関連付けられた目標画像TMとを比較する。そして、算出部42は、出力画像PMと目標画像TMとの類似の程度SDを示す評価値EVを算出する。1つの画像処理シーケンスSqによって複数の学習画像LMが画像処理されて、複数の出力画像PMが生成される場合には、各出力画像PMに対応する評価値EVを算出して、各評価値EVの統計量を最終的な評価値EVとして算出する。各評価値EVの統計量としては、平均値や中央値などの値が用いられる。本実施形態では、統計量として平均値が用いられる。
【0022】
評価値EVとしては、2つの画像の類似の程度SDを表す指標値であればよく、例えば、平均二乗誤差(MSE:Mean Squared Error)や、ピーク信号対雑音比(PSNR:Peak signal-to-noise ratio)や、構造的類似度(SSIM:Structural Similarity)の一つを用いることができる。MSEが評価値EVとして用いられる場合、MSEの値が小さい程、出力画像PMと目標画像TMとの類似の程度SDは高い。つまり、MSEの逆数が、類似の程度SDを示す。PSNRが評価値EVとして用いられる場合には、PSNRが大きい程、出力画像PMと目標画像TMとの類似の程度SDは高い。つまり、PSNRは類似の程度SDを示す。SSIMが用いられる場合には、例えば、画像を小領域に分割して、小領域ごとに算出されたSSIMの平均値であるMSSIM(Mean SSIM)が評価値EVとして用いられる。MSSIMが評価値EVとして用いられる場合、MSSIMが大きい程、類似の程度SDは高い。つまり、MSSIMは類似の程度SDを示す。なお、「類似の程度SD」は「類似度SD」とも呼ぶ。
【0023】
特定部46は、複数の画像処理シーケンスSqのそれぞれに対応する複数の評価値EVの中から、最も類似の程度SDが高い画像処理シーケンスSqである対象画像処理シーケンスTSqを特定する。また、特定部46は、画像処理後の所望とする画像を得るための、予め定めた基準条件を満たす対象画像処理シーケンスTSqを特定画像処理シーケンスDSqとして特定する。特定画像処理シーケンスDSqは、記憶装置70に記憶される。特定画像処理シーケンスDSqの特定方法の詳細は後述する。
【0024】
表示制御部60は、各種情報を表示部160に表示させる。表示制御部60は、例えば、特定画像処理シーケンスDSqや、個体IVによって表された画像処理シーケンスSqによって画像処理された処理後画像や、目標画像TMや、評価値EVを表示部160に表示させる。
【0025】
図2は、記憶装置70を説明するための図である。記憶装置70は、学習データ74と、画像フィルター群80と、遺伝子テーブル82と、個体群84と、選択テーブル89と、特定画像処理シーケンスDSqと、各種プログラム94とを記憶する。特定画像処理シーケンスDSqは、特定部46によって予め定めた基準条件を満たすと判定された画像処理シーケンスSqである。特定画像処理シーケンスDSqは、例えば、複数の画像処理層である複数の画像処理フィルターを識別する層識別子と、層識別子の順番、すなわち接続関係とによって表される。各種プログラム94は、プロセッサー25によって実行されるプログラムである。選択テーブル89は、選択部36によって学習セットSMを選択するときに用いられるテーブルである。選択テーブル89の詳細は後述する。
【0026】
図3は、学習データ74の一例を示す図である。学習データ74は、(i)画像処理シーケンスSqによる画像処理対象である学習画像LMと、(ii)学習画像LMに関連付けられた所望とする目標画像TMと、によって構成された学習セットSMを複数セット有する。本実施形態では、学習データ74が有する学習セットSMは、8セット準備されている。学習画像LMは、例えば、工業製品である回路基板の画像である。目標画像TMは、欠陥部分DAが黒画像、それ以外の部分が白画像で表された二値化画像である。目標画像TMは、例えば、予め欠陥部分の箇所が特定できている学習画像LMを参考に、ユーザーが欠陥部分DAを黒画像に設定し、それ以外の部分を白画像に設定することで生成される。なお、複数の学習セットSMは、欠陥部分DAを有する画像を有する複数の学習セットSMと、欠陥部分DAが含まれない画像である良品を示す複数の画像を有する複数の学習セットSMとから構成される。複数の学習画像LMはそれぞれ、製造番号が異なる同種の回路基板を撮像装置200で撮像した画像である。各学習セットSMには識別番号TIDが付与されている。なお、図3に示す学習セットSMには、識別番号TIDとして、「T01」が付与されている。
【0027】
図2に示す画像フィルター群80は、画像処理シーケンスSqにおいてシーケンス要素の候補となる複数の画像フィルターの集合である。画像フィルターとしては、平均値フィルター、最大値フィルター、最小値フィルター、二値化フィルター、移動平均フィルター、ラプラシアンフィルター、ガウシアンフィルター、ソーベルフィルター、ガンマ補正フィルター、2つの画像を一つの画像に合成するフィルターなどが挙げられる。なお、画像処理フィルターは、同じ種類のフィルターであっても、カーネルサイズや係数が異なる場合には、異なる画像処理フィルターとして画像フィルター群80に記憶される。
【0028】
遺伝子テーブル82は、画像処理シーケンスSqの候補となるシーケンス要素の接続関係と、遺伝子が示す数値に対応する画像処理フィルターの種別との対応関係とを示すテーブルである。
【0029】
図4は、遺伝子テーブル82を説明するための図である。以下では、理解の容易の為に、画像フィルター群80は、5つの画像処理フィルターFtA~FtEで構成されているとする。実際には、5つよりも多い数の画像処理フィルターが、画像処理フィルター群に記憶されている。遺伝子テーブル82は、画像処理フィルターの種別を示すフィルター種別ごとに、入力数と出力数と出現範囲とが規定されている。フィルター種別は、画像フィルター群80の各画像処理フィルターや、画像入力層を識別する識別子である。図4では、画像入力層は、フィルター種別が「in」で表されている。入力数は、画像処理フィルターや画像入力層の入力側に接続されるシーケンス要素の数を示す。入力数が「2」である場合には、2つのシーケンス要素から出力されたデータが、画像処理フィルターに入力される。出力数は、画像処理フィルターの出力側に接続されるシーケンス要素の数を示す。本実施形態では、出力数は全て「1」であり、画像処理層や画像入力層は、一つの出力側のシーケンス要素に接続される。
【0030】
遺伝子テーブル82の出現範囲には、遺伝子の数値VGの範囲が規定されている。本実施形態では、各画像処理フィルターが概ね均等な確率でランダムに画像処理シーケンスSq中に出現するように、0~1の数値を6等分している。例えば、遺伝子の数値VGが0以上0.167未満の値である場合には、この遺伝子には画像処理フィルターFtAが割り当てられる。
【0031】
図2に示す個体群84は、個体生成部32によって生成された1つの世代Gにおける複数の個体IVの集合である。図5は、一つの世代Gの個体群84を説明するための図である。本実施形態では、1つの世代Gで10個の個体IV1~IV10が生成される例を説明する。各個体IV1~IV10は、遺伝子を配置する複数の遺伝子座が一次元的に配列されている。各個体IV1~IV10の遺伝子長は同じであり、各個体IV1~IV10はNo.1~No.10の遺伝子座に遺伝子を順に配列することで構成されている。個体生成部32は、各遺伝子座に、0から1までの小数点第3位までの数値で表された遺伝子を配置する。つまり、本実施形態では、各遺伝子座で遺伝子が取りうる値は、0以上1以下の小数点第3位までの数値である。
【0032】
図2のさらなる説明を行う前に、図6を用いて、遺伝子翻訳部34による画像処理シーケンスSqの生成処理を説明する。図6は、遺伝子翻訳部34によって生成された木構造の画像処理シーケンスSqを示す図である。図6に示す画像処理シーケンスSqは、図5に示す個体IV1を元に生成された画像処理シーケンスSq1である。
【0033】
遺伝子翻訳部34は、個体IVと、遺伝子テーブル82と、画像フィルター群80とを用いて、画像出力層out側から順に木構造の画像処理シーケンスSqを生成する。まず遺伝子翻訳部34は、画像出力層outを終端ノードに設定し、個体IVの遺伝子の配列順にシーケンス要素を接続していく。シーケンス要素の接続は、予め定めた接続ルールに従い実行される。本実施形態では、遺伝子の配列順に、終端ノード側から優先して配置すると共に、図6に示す左側の接続先を右側の接続先よりも優先して配置するというルールに従って、画像処理シーケンスSqが生成される。つまり、遺伝子の配列順に、画像出力層out側から画像処理層または画像入力層inを配置すると共に、入力側が複数に分かれている場合には、左側のシーケンスが画像入力層inとなるまで、左側を優先させる。なお、本実施形態では、画像出力層outの入力数は、「1」に予め設定されている。
【0034】
遺伝子翻訳部34は、個体VI1のNo.1の遺伝子の数値VGである「0.534」と、遺伝子テーブル82とを参照して、「0.534」が画像処理フィルターFtDの出現範囲内にあることを特定する。これにより、画像出力層outの入力側に、画像処理フィルターFtDを接続する。次に、遺伝子翻訳部34は、遺伝子テーブル82を参照して画像処理フィルターFtDの入力数が「2」であることを特定することで、画像処理フィルターFtDの入力側に2つのシーケンス要素を配置する。具体的には、遺伝子翻訳部34は、個体VI1のNo.2の遺伝子に対応するシーケンス要素を図6に示す左側の入力側接続先に配置する。つまり、遺伝子翻訳部34は、No.2の遺伝子の数値VGである「0.292」と、遺伝子テーブル82とを参照して、「0.292」が画像処理フィルターFtBの出現範囲内であることを特定する。これにより、画像処理フィルターFtDの左側の入力側接続先に画像処理フィルターFtBを配置する。
【0035】
次いで、遺伝子翻訳部34は、No.2の遺伝子が表す画像処理フィルターFtBと、遺伝子テーブル82とを参照して、画像処理フィルターFtBの入力数が「1」であることを特定することで、画像処理フィルターFtBの入力側に1つのシーケンス要素を配置する。具体的には、遺伝子翻訳部34は、No.3の遺伝子の数値VGである「0.462」と、遺伝子テーブル82とを参照して、「0.462」が画像処理フィルターFtCの出現範囲内であることを特定する。これにより、No.3の遺伝子が示す画像処理フィルターFtBの入力側接続先に画像処理フィルターFtCを配置する。
【0036】
次に、遺伝子翻訳部34は、No.3の遺伝子が表す画像処理フィルターFtCと、遺伝子テーブル82とを参照して、画像処理フィルターFtCの入力数が「1」であることを特定することで、画像処理フィルターFtCの入力側に1つのシーケンス要素を配置する。具体的には、遺伝子翻訳部34は、No.4の遺伝子の数値VGである「0.856」と、遺伝子テーブル82とを参照して、「0.856」が画像入力層inの出現範囲内であることを特定する。これにより、No.3の遺伝子が示す画像処理フィルターFtCの入力側接続先に画像入力層inを配置する。これにより、図6の画像処理シーケンスSqの左側のシーケンスの生成は終了する。
【0037】
ついで、遺伝子翻訳部34は、個体VI1のNo.5の遺伝子に対応するシーケンス要素を図6に示す右側の入力側接続先に配置する。つまり、遺伝子翻訳部34は、No.5の遺伝子の数値VGである「0.138」と、遺伝子テーブル82とを参照して、「0.138」が画像処理フィルターFtAの出現範囲内であることを特定する。これにより、画像処理フィルターFtDの右側の入力側接続先に画像処理フィルターFtAを配置する。
【0038】
また、遺伝子翻訳部34は、No.5の遺伝子が表す画像処理フィルターFtAと、遺伝子テーブル82とを参照して、画像処理フィルターFtAの入力数が「1」であることを特定することで、画像処理フィルターFtAの入力側に1つのシーケンス要素を配置する。具体的には、遺伝子翻訳部34は、No.6の遺伝子の数値VGである「0.932」と、遺伝子テーブル82とを参照して、「0.932」が画像入力層inの出現範囲内であることを特定する。これにより、No.5の遺伝子が示す画像処理フィルターFtAの入力側接続先に画像入力層inを配置する。これにより、図6の画像処理シーケンスSqの右側のシーケンスの生成は終了する。以上のように、遺伝子翻訳部34は、出力側シーケンス要素に接続される入力側接続先である入力側シーケンス要素が、全て画像入力層inになった場合には、個体IV1の全ての遺伝子を用いていない場合であっても、画像処理シーケンスSqの生成処理を終了する。なお、遺伝子翻訳部34は、個体IV1の全ての遺伝子を用いた場合において、入力側接続先である入力側シーケンス要素が全て画像入力層inになっていない場合には、残りの未接続の入力側シーケンス要素に画像入力層inを設定することで、画像処理シーケンスSqの生成を終了する。
【0039】
個体VI1で表される画像処理シーケンスSq1は、2つの画像入力層inを有する。一方の画像入力層inに入力された画像は、画像処理フィルターFtCによって画像処理された後に、次いで画像処理フィルターFtBによって画像処理され、第1処理画像が生成される。他方の画像入力層inに入力された画像は、画像処理フィルターFtAによって画像処理されて第2処理画像が生成される。第1処理画像と第2処理画像とは、画像処理フィルターFtDによって画像処理されて、画像出力層outによって最終的な処理後画像が出力される。
【0040】
上記のごとく、複数の画像処理シーケンスSqを個体IVと遺伝子テーブル82とによって容易に表すことができる。
【0041】
図7は、生成装置20が実行する処理を示すフローチャートである。この処理は、ステップS10の特定画像処理シーケンスDSqの生成工程と、ステップS10の後に実行されるステップS50の特定画像処理シーケンスDSqを利用した利用処理工程とを有する。特定画像処理シーケンスDSqの生成工程は、生成装置20が有するシーケンス生成機能によって実行される。また、利用処理工程は、生成装置20が有する画像処理機能によって実行される。
【0042】
図8は、ステップS10の生成工程の詳細なフローチャートである。図9は、ステップS10の生成工程を説明するための第1図である。図10は、ステップS10の生成工程を説明するための第2図である。
【0043】
まず図8に示すように、記憶装置70は、ステップS90において、複数の画像処理フィルターを画像フィルター群80として記憶する。ステップS90は、ユーザーが、特定画像処理シーケンスDSqで用いる候補となる複数の画像処理フィルターを生成装置20に入力することで実行される。ステップS91において、学習画像LMと目標画像TMとを学習セットSMとする複数の学習セットSMから構成される学習データ74が準備される。準備された学習データ74は記憶装置70に記憶される。ステップS91は、ユーザーが、複数の学習セットSMを生成装置20に入力することで実行される。なお、ステップS90とステップS91の順序はこれに限定されるものではない。
【0044】
次に、ステップS92において、個体生成部32は、現世代Gmについての複数の個体IVから構成される個体群84を生成する。個体群84は、図5に説明したように、複数の個体IV1~IV10によって構成されている。生成された個体群84は、記憶装置70に記憶される。
【0045】
次に、ステップ94において、選択部36は、学習データ74が有する複数の学習セットSMの中から、学習データ74が有する複数の学習セットSMの数よりも少ない数の学習セットSMを選択する。本実施形態では、ステップS94において、2つの学習セットSMが選択される。図9に示すように、本ルーチンである現世代Gmでは、識別番号T01~T08のうちで、識別番号T02と識別番号T04の2つの学習セットSMが選択される。なお、ステップS94は、ステップS92よりも前に実行されてもよいし、後述するステップS104の次に実行されてもよい。ステップS94の詳細については後述する。
【0046】
次に図8に示すように、ステップS105において、遺伝子翻訳部34は、各個体IVと遺伝子テーブル82とを参照することで、各個体IVの各遺伝子を翻訳して、各個体IVから画像処理シーケンスSqを生成する。つまり、ステップS104は、組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスSqによって構成されるシーケンスセットを生成する工程である。
【0047】
次に、ステップS106において、画像処理部40は、本ルーチンである現世代Gmの複数の画像処理シーケンスSqのそれぞれによって、学習画像LMを画像処理し、複数の画像処理シーケンスSqごとに画像処理後の画像である出力画像PMを生成する第1画像処理を実行する。出力画像PMは、記憶装置70に記憶される。
【0048】
ステップS106の次に、ステップS107において算出部42は、現世代Gmにおける複数の画像処理シーケンスSqごとに、ステップS106の第1画像処理によって出力された出力画像PMと、出力画像PMの元となる学習画像LMに関連付けられた目標画像TMとを比較する。そして、ステップS107において算出部42は、出力画像PMと目標画像TMとの類似の程度SDを示す評価値EVを算出する。図9に示すように、ステップS106では、ステップS94で選択された識別番号TIDが「T02」と「T04」の学習セットSMに対して、識別番号IDとして「I001」~「I010」が付与された現世代Gmの各個体IVが表す画像処理シーケンスSqを用いた評価値EVが、算出される。算出された評価値EVは、個体IVと学習セットSMとに関連付けられて記憶装置70に記憶される。例えば、識別番号TIDが「T02」の学習セットSMに対して、識別番号IDが「I010」が付与された個体IVが表す画像処理シーケンスSqを用いた評価値EVは、「0.843」である。
【0049】
また図9に示すように、ステップS94によって選択された学習セットSMが複数ある場合には、ステップS107において、算出部42は、画像処理シーケンスSqごとについて、選択された学習セットSMごとの評価値EVの統計量を最終的な評価値EVとして算出する。本実施形態では、算出部42は、選択された2つの学習セットSMの各評価値EVの平均値を最終的な評価値EVとして算出する。なお、他の実施形態では、算出部42は、画像処理シーケンスSqごとについて、選択された複数の学習セットSMの複数の評価値EVの中央値や最頻値や最大値などの統計量を最終的な評価値EVとして算出してもよい。この最終的な評価値EVを評価値FEVとも呼ぶ。なお、本実施形態では、評価値FEVの値が大きい程、類似の程度SDが高い関係を有する評価値EVの指標を用いている。
【0050】
図8に示すように、ステップS109において、特定部46は、各個体IVに応じた複数の画像処理シーケンスSqのそれぞれに対応する複数の評価値FEVの中から、最も類似の程度SDの高い画像処理シーケンスSqである対象画像処理シーケンスTSqを特定する。図9に示す例では、特定部46は、評価値FEVが最も大きく、類似の程度SDが最も高いので、個体IDが「I001」の画像処理シーケンスSqを対象画像処理シーケンスTSqとして特定する。
【0051】
図8に示すように、ステップS109の次にステップS110において、画像処理部40は、ステップS94で選択した学習セットSMの数よりも多く、かつ、ステップS94で選択した学習セットSMを含む2セット以上の学習セットSMのそれぞれの学習画像LMを、対象画像処理シーケンスTSqによって画像処理して出力画像PMとしての対象出力画像PMを生成する第2画像処理を実行する。本実施形態では、ステップS110では、ステップS91によって準備した学習データ74が有する複数の学習セットSMの全てに対して第2画像処理を実行して対象出力画像PMを生成する。なお、ステップS110において、ステップS106によって既に対象出力画像PMが生成されている学習セットSMの学習画像LMに対しては、ステップS106で生成された対象出力画像PMを用いることで、再び画像処理シーケンスSqによる画像処理を行うことなく、対象出力画像PMを生成してもよい。こうすることで、画像処理の時間を短縮できるので、生成工程の処理時間を短縮できる。
【0052】
ステップS110の次にステップS111において、算出部42は、ステップS110において生成された学習画像LMごとの対象出力画像PMと、対象出力画像PMの元となる学習画像LMとに関連付けられた目標画像TMとを比較して、評価値EVとしての対象評価値EVを算出する。なお、ステップS107によって既に算出した評価値EVについては、ステップS107で算出した評価値EVを対象評価値EVとして用いることで、対象評価値EVを算出してもよい。さらに、ステップS110において、ステップS107で算出した評価値EVに対応する学習セットSMの学習画像LMに対しては、再び画像処理シーケンスSqによる画像処理を行わなくてもよい。こうすることで、画像処理の時間、および対象評価値EVの算出時間を短縮できるので、生成工程の処理時間を短縮できる。図9に示すように、ステップS111が実行されることで、個体IVの識別番号IDが「I001」である対象画像処理シーケンスTSqにおける、学習セットSMの識別番号TIDが「T01」~「T08」が付与された8セット全ての学習セットSMの対象評価値EVが算出される。
【0053】
次に図8に示すように、特定部46は、ステップS112において、ステップS111で算出された対象評価値EVを用いて、対象画像処理シーケンスTSqが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、特定部46は、ステップS111で算出した複数の学習セットSMの対象評価値EVの統計量を算出する。統計量としては、平均値や中央値や最頻値や最大値などが挙げられる。本実施形態では、対象評価値EVの統計量は、平均値である。また判定処理では、特定部46は、統計量が示す類似の程度SDが予め定めた閾値以上である場合に、基準条件を満たすと判定する。具体的には、特定部46は、類似の程度SDが閾値以上となる統計量の値であれば、基準条件を満たすと判定する。本実施形態では、特定部46は、統計量である平均値が評価基準値以上であれば、類似の程度SDが閾値以上であるため、基準条件を満たすと判定する。
【0054】
上記のごとく、全ての学習セットSMに対して対象評価値EVを算出して、算出した対象評価値EVを用いて対象画像処理シーケンスTSqが基準条件を満たすか否かを判定するため、様々な画像に適した所望とする特定画像処理シーケンスDSqを得ることができる。また、上記のごとく、対象評価値EVの統計量を元に基準条件を満たすか否かが判定されるので、複数の学習セットSMに対応する複数の対象評価値を元に基準条件を満たすか否かを判定できる。これにより、対象画像処理シーケンスTSqが、様々な学習画像LMに対して目標画像TMに近づくような画像処理ができるシーケンスであるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0055】
ステップS112における判定処理において、対象画像処理シーケンスTSqが基準条件を満たすと判定された場合には、特定部46は、基準条件を満たす対象画像処理シーケンスTSqを特定画像処理シーケンスDSqとして出力する。出力された特定画像処理シーケンスDSqは、記憶装置70に記憶される。
【0056】
一方で、ステップS112における判定処理において、対象画像処理シーケンスTSqが基準条件を満たさないと判定された場合には、次にルーチンにおけるステップS92以降が実行される。つまり、対象画像処理シーケンスTSqが基準条件を満たすまで、シーケンスセットを生成する工程、学習セットSMを選択する工程、出力画像PMを生成する工程、評価値EVを算出する工程、対象画像処理シーケンスを特定する工程、対象評価値を算出する工程、基準条件を満たすか否かを判定する工程が繰り返し実行される。
【0057】
ステップS112において「No」の判定が成された後の次のルーチンにおけるステップS92では、個体生成部32は、前回のルーチンで生成した世代Gmの個体群84を用いて今回のルーチンにおける世代Gnの個体群84を生成する。世代Gnの個体群84は、前世代Gmの個体IVに対して、複製や交叉や突然変異を行うことで生成される。具体的には、個体生成部32は、前回のルーチンで算出した複数の画像処理シーケンスSqごとの評価値FEVのうちで、類似の程度SDが高いことを示す評価条件を満たす評価値FEVの算出元である画像処理シーケンスSqの個体IVを複製する。また、個体生成部32は、前回のルーチンで算出した複数の画像処理シーケンスSqごとの評価値FEVのうちで、評価条件を満たさない画像処理シーケンスSqの個体IVについては、評価条件を満たす個体IVに対して交叉や突然変異を行うことで新たな個体IVを生成する。複製した個体IVと、交叉や突然変異によって新たに生成した個体IVによって、世代Gnの個体群84が構成される。つまり、個体生成部32は、前回生成したシーケンスセットとは、複数の画像処理シーケンスSqの組み合わせが異なるシーケンスセットを新たに生成する。新たに生成されたシーケンスセットは、本ルーチンで新たに選択される学習セットSMの画像処理のために用いられる。評価条件は、前回のルーチンで用いた親世代Gmの複数の個体IVのうちで、類似の程度SDが上位J番目であるという条件である。ここで、「J」は1以上の整数であり、本実施形態では「J」は「4」である。なお、評価条件としては、前回のルーチンで用いた親世代Gmの複数の個体IVのうちで、平均値である最終的な評価値FEVが示す類似の程度SDが、複製閾値以上であるという条件であってもよい。こうすることで、類似の程度SDが高いことを示す評価条件を満たす画像処理シーケンスSqを残し、評価条件を満たさない画像処理シーケンスSqは新たな画像処理シーケンスSqに置き換えられることで、画像を画像処理して目的とする画像を得るために用いる、所望とする特定画像処理シーケンスDSqを効率良く得ることができる。
【0058】
図10に示すように、世代Gnでは、前世代Gmのうち類似の程度SDが上位4番目までの個体ID001、個体ID002,個体ID004,個体ID008の4つの個体IVが複製され、残りの6つの個体IVは、複製された4つの個体IVに対して交叉や突然変異を行うことで生成されている。また本ルーチンの世代Gnでは、選択部36はステップS94において、識別番号TIDが「T03」と「T08」の学習セットSMを選択している。また本ルーチンの世代Gnでは、ステップS109において、特定部46は、個体IDが「I008」の個体IVにより表される画像処理シーケンスSqを対象画像処理シーケンスTSqとして特定している。
【0059】
以上のように、次のルーチンにおけるステップS92では、個体生成部32は、前回のルーチンにおいて算出した複数の評価値FEVの中から類似の程度SDが高いことを示す評価条件を満たす評価値FEVの算出元である画像処理シーケンスSqと、前回のルーチンのシーケンスセットを構成する画像処理シーケンスSqとは異なる画像処理シーケンスSqと、を含むシーケンスセットを表す個体群84を生成する。
【0060】
図11は、図8のステップS94の詳細なフローチャートである。図12は、図11のステップS96,S97を説明するための図である。選択部36がステップS94において学習データ74の複数の学習セットSMの中から予め定められた数の学習セットSMを選択するときには、以下の処理が実行される。まず選択部36は、ステップS95において、本ルーチンが初回のルーチンであるか否かを判定する。初回のルーチンである場合には、選択部36は、ステップS96において学習データ74の複数の学習セットSMの中からランダムに2つの学習セットSMを選択する。一方で、本ルーチンが初回のルーチンではなく2回目以降のルーチンである場合には、選択部36は、ステップS97において、前回のルーチンにおいて算出部42が算出した2以上の学習セットSM、本実施形態では学習データ74が有する全ての学習セットSMの対象評価値EVのうちで、所定の値の学習セットSMが選択される選択確率を大きく設定して、選択処理を実行して新たな学習セットSMを選択する。本実施形態では、ステップS97で用いられる所定の値は、対象評価値EVが示す類似の程度SDがより低い値を意味する。つまり、選択部36は、ステップS97において、前回のルーチンにおいて算出部42が算出した2以上の学習セットSM、本実施形態では学習データ74が有する全ての学習セットSMの対象評価値EVがそれぞれ示す類似の程度SDが低いほど、学習セットSMが選択される選択確率を大きく設定する。類似の程度SDが低い値を示す学習セットSMほど、選択確率を大きくすることで、次ルーチンにおいて選択される可能性が高くなるため、様々な画像に適した所望とする特定画像処理シーケンスDSqを生成工程によって得ることができる。
【0061】
図12を用いて図11に示すステップS96およびステップS97の具体例について説明する。選択テーブル89には、学習セットSMの識別番号TIDと、識別番号TIDごとに設定された選択範囲が規定されている。識別番号TIDごとにおいて、選択範囲は重複しないように設定される。選択部36は、0~1までの小数点第3位までの選択値SRである数値をランダムに2つ発生させる。そして、選択部36は、選択値SRが選択テーブル89のどの選択範囲内にあるのかを判定し、選択範囲に対応する学習セットSMを選択する。例えば図12の例では、選択値SRが「0.123」と「0.911」である場合には、学習セットSMの識別番号TIDが「T01」と「T08」の学習セットSMが選択される。なお、選択部36は、選択される2つの学習セットSMが同じになる場合には、一方の選択値SRを維持し、他方の選択値SRを一方の選択値SRによって決定される学習セットSMとは異なる学習セットSMが選択されるまでランダムに発生させる。
【0062】
選択部36は、識別番号TIDごとの選択範囲の幅である上限値および下限値を変更することで、各学習セットSMが選択される選択確率を変更できる。例えば、選択部36は、図11のステップS96では、全ての学習セットSMがランダムに選択されるように、識別番号TIDが「T01」~「T08」のそれぞれの選択範囲の幅が均等になるように上限値および下限値を設定する。一方で、図11のステップS97では、選択部36は、前回のルーチンで算出された対象評価値EVの類似の程度SDが低いほど、算出元の学習セットSMの選択確率が大きくなるように、選択範囲の幅を大きくする。例えば、選択部36は、前回のルーチンで算出された対象評価値EVの類似の程度SDの逆数の大きさに幅が比例するように、各識別番号TIDに応じた選択範囲を設定する。
【0063】
図13は、利用処理工程のフローチャートである。利用処理工程は、図8の生成工程によって、特定画像処理シーケンスDSqが特定された後に実行される。まず記憶装置70は、ステップS200において、入力部150によって受け付けた複数の画像処理フィルターを画像フィルター群80として記憶する。利用処理工程において記憶される画像フィルター群80の複数の画像処理フィルターは、特定画像処理シーケンスDSqで用いられる画像処理フィルターのみであってもよい。なお、利用処理工程と、図8の生成工程とが同じ生成装置20で実行される場合には、ステップS200は省略でき、図8に示すステップS90によって記憶装置70に記憶された画像フィルター群80を用いることができる。
【0064】
次に、ステップS201において、記憶装置70は、図8のステップS113で出力された特定画像処理シーケンスDSqを記憶する。なお、ステップS200とステップS201の順番は上記に限定されるものではない。
【0065】
次に、ステップS203において、画像処理部40は、入力部150を介して記憶装置70に記憶された画像であって特定画像処理シーケンスDSqの画像処理の対象となる画像を読み出すことで取得する。ステップS203によって取得される画像は、例えば、学習画像LMと同種の対象物を撮像した画像である。なお、画像処理部40は、画像処理の対象となる画像が複数ある場合には、記憶装置70に予め記憶された複数の画像のうちの一つを読み出すことで画像を取得してもよいし、後述する画像処理を実行するタイミングで対象となる画像を撮像装置200からその都度取得してもよい。
【0066】
次に、画像処理部40は、ステップS204において、ステップS203によって取得された画像に対して特定画像処理シーケンスDSqを用いた画像処理を実行する。つまり、画像に対して、特定画像処理シーケンスDSqが示す順番に従って、記憶装置70の画像フィルター群80に記憶された画像処理フィルターを適用して画像処理を実行する。
【0067】
次に、ステップS205において、特定画像処理シーケンスDSqを用いた画像処理後の画像である出力画像PMが出力される。ステップS205は、例えば、出力画像PMが記憶装置70に記憶されることで実行されたり、表示部160に表示されたりすることで実行される。
【0068】
次に、画像処理部40は、ステップS206において、特定画像処理シーケンスDSqを用いた画像処理を継続するかどうかを判定する。例えば、画像処理部40は、ユーザーから画像処理の継続を示す情報が入力された場合や、画像処理の対象となる未処理の画像が記憶装置70にまだ残っている場合に、画像処理を継続すると判定する。画像処理を継続する場合には、再びステップS203以降の処理が実行される。一方で、画像処理部40は、ユーザーから画像処理の終了を示す情報が入力された場合や、画像処理の対象となる未処理の画像が記憶装置70に残っていない場合には、利用処理工程を終了する。
【0069】
上記実施形態によれば、図8に示す生成工程では、複数の学習セットSMよりも少ない数の学習セットSMを選択して、選択した学習セットSMを用いて対象画像処理シーケンスTSqが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定している。これにより、特定画像処理シーケンスDSqを得るまでの計算量を少なくできるので、特定画像処理シーケンスDSqを得るための処理時間を短縮できる。また、学習セットSMを選択する場合には、前回のルーチンにおける対象評価値のうちで所定の値の学習セットSMの選択確率を大きくすることで、各ルーチンにおいて選択される学習セットSMが同じような特徴量を有する画像を有する学習セットSMに偏る可能性を低減できるので、様々な画像に適した所望とする特定画像処理シーケンスDSqを得ることができる。
【0070】
B.他の実施形態:
B-1.他の実施形態1:
上記実施形態では、一つの世代Gに属する複数の個体IVが示す複数の画像処理シーケンスSqによる学習画像LMの画像処理は、一つの生成装置20で順次行っていたが、複数の生成装置20を用いて並列に行ってもよい。
【0071】
B-2.他の実施形態2:
上記実施形態では、画像処理シーケンスSqは、個体IVと遺伝子テーブル82とによって表されていていたが、これに限定されるものではない。例えば、画像処理シーケンスSqは、複数のシーケンス要素と、各シーケンス要素の接続関係を規定したテーブルによって表されていてもよい。
【0072】
B-3.他の実施形態3:
上記実施形態では、図8のステップS94で選択される学習セットSMは2つであったが、これに限定されるものではなく、1つであってよいし、ルーチンごとに異なる数であってもよい。
【0073】
B-4.他の実施形態4:
上記実施形態によれば、選択部36は、前回のルーチンにおいて算出した複数の対象評価値FEVがそれぞれ示す類似の程度SDのうちで値が低い学習セットSMほど、次ルーチンでの選択確率を大きくしていたが、これに限定されるものではない。例えば、選択部36は、前回のルーチンにおいて算出した複数の対象評価値FEVがそれぞれ示す類似の程度SDのうちで、予め定めた値以下の学習セットSMを次のルーチンで選択してもよいし、類似の程度SDが下位K番目(Kは1以上の整数)までの学習セットSMを次のルーチンで選択してもよい。
【0074】
B-5.他の実施形態5:
上記実施形態によれば、算出部42は、複数の画像処理シーケンスSq、および、対象画像処理シーケンスTSqのそれぞれによって、学習画像LMを画像処理し、出力画像PM、および、対象出力画像PMを生成し、学習画像LMに関連付けられた目標画像TMと比較して、評価値EV、および、対象評価値EVを算出しているが、現世代より前の世代で既に算出した評価値EV、および、対象評価値EVを用いることで算出してよい。こうすることで、画像処理の時間、および、評価値EV、および、対象評価値EVの算出時間を短縮できるので、生成工程の処理時間を短縮できる。
【0075】
C.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態(aspect)によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0076】
(1)本開示の第1形態によれば、画像処理シーケンスの生成方法が提供される。この画像処理シーケンスの生成方法は、(a)学習画像と前記学習画像に関連付けられた目標画像の学習セットを複数準備する工程と、(b)シーケンス要素としての、(i)画像を入力する画像入力層、(ii)複数の画像処理層の少なくとも一つ、および(iii)画像処理後の前記画像を出力する画像出力層、の組み合わせを示す複数の画像処理シーケンスであって、前記組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスによって構成されるシーケンスセットを生成する工程と、(c)複数の前記学習セットのうち、前記複数の学習セットよりも少ない数の前記学習セットを選択する工程と、(d)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれによって、前記工程(c)において選択した前記学習セットにおける前記学習画像を画像処理し、前記複数の画像処理シーケンスごとに前記画像処理後の画像である出力画像を生成する工程と、(e)前記複数の画像処理シーケンスごとに、前記出力画像と、前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記出力画像と前記目標画像との類似の程度を示す評価値を算出する工程と、(f)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれに対応する複数の前記評価値の中から、最も前記類似の程度の高い前記画像処理シーケンスである対象画像処理シーケンスを特定する工程と、(g)前記対象画像処理シーケンスによって、前記複数の学習セットのうちで前記工程(c)で選択した前記学習セットの数よりも多く、かつ、前記工程(c)で選択した前記学習セットを含む2セット以上の前記学習セットのそれぞれの前記学習画像を画像処理して前記出力画像を生成し、前記出力画像と前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記評価値としての対象評価値を算出する工程と、(h)前記対象評価値を用いて、前記対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定する工程と、を備え、前記画像処理シーケンスの生成方法は、前記対象画像処理シーケンスが前記基準条件を満たすまで、前記工程(b)~前記工程(h)を繰り返し実行し、前記工程(c)において、前記学習セットを選択するとき、前回のルーチンにおける前記工程(g)で算出した、前記2セット以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択確率を大きくする。この形態によれば、複数の学習セットよりも少ない数の学習セットを選択して、選択した学習セットを用いて対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定するため、計算量を少なくできるので、所望とする画像処理シーケンスを得るための処理時間を短縮できる。また、学習セットを選択する場合には、前回のルーチンにおける対象評価値のうちで所定の値の学習セットの選択確率を大きくすることで、各ルーチンにおいて選択される学習セットが偏る可能性を低減できるので、様々な画像に適した所望とする画像処理シーケンスを得ることができる。
【0077】
(2)上記形態において、前記工程(b)は、前回のルーチンにおける前記工程(e)で算出した複数の前記評価値の中から前記類似の程度が高いことを示す評価条件を満たす前記評価値の算出元である前記画像処理シーケンスと、前記前回のルーチンの前記シーケンスセットを構成する前記画像処理シーケンスとは異なる前記画像処理シーケンスと、を含むシーケンスセットを生成してもよい。この形態によれば、類似の程度が高いことを示す評価条件を満たす画像処理シーケンスを残し、評価条件を満たさない画像処理シーケンスは新たな画像処理シーケンスに置き換えられることで、所望とする画像処理シーケンスを効率良く得ることができる。
【0078】
(3)上記形態において、前記工程(g)は、前記工程(a)において準備した前記複数の学習セットの全ての前記学習画像を画像処理して前記出力画像を出力して、前記全ての前記学習画像に対して前記対象評価値を算出してもよい。この形態によれば、全ての学習セットに対して対象評価値を算出して、算出した対象評価値を用いて対象画像処理シーケンスが基準条件を満たすか否かを判定するため、様々な画像に適した所望とする画像処理シーケンスを得ることができる。
【0079】
(4)上記形態において、前記工程(h)は、前記複数の学習セットに対応した複数の前記対象評価値の統計量を算出して、前記統計量が示す前記類似の程度が予め定めた閾値以上である場合に、前記基準条件を満たすと判定してもよい。この形態によれば、複数の学習セットに対応する複数の対象評価値を元に基準条件を満たすか否かを判定できる。
【0080】
(5)上記形態において、前記工程(c)において、前記学習セットを選択するとき、前記前回のルーチンにおける前記工程(g)で算出した、前記2セット以上の前記学習セットに対応した複数の前記対象評価値がそれぞれ示す前記類似の程度が低いほど、前記学習セットの選択確率を大きくしてもよい。この形態によれば、類似の程度が低い値を示す学習セットほど、選択確率を大きくすることで、次ルーチンにおいて選択される可能性が高くなるため、様々な画像に適した所望とする画像処理シーケンスを得ることができる。
【0081】
(6)上記形態において、前記工程(b)において、前記複数の画像処理シーケンスはそれぞれ、前記画像入力層および前記画像処理層のそれぞれに対応した複数の遺伝子を配列した個体と、前記シーケンス要素の接続関係を規定した遺伝子テーブルと、によって表されていてもよい。この形態によれば、複数の画像処理シーケンスを個体と遺伝子テーブルとによって容易に表すことができる。
【0082】
(7)本開示の第2形態によれば、画像処理シーケンスの生成装置が提供される。この生成装置は、シーケンス要素としての、(i)画像を入力する画像入力層、(ii)複数の画像処理層の少なくとも一つ、および(iii)画像処理後の前記画像を出力する画像出力層、の組み合わせを示す複数の画像処理シーケンスであって、前記組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスによって構成されるシーケンスセットを生成するシーケンス生成部と、予め準備された学習画像と目標画像との組み合わせを学習セットとする複数の前記学習セットのうち、前記複数の学習セットよりも少ない数の前記学習セットを選択する選択部と、前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれによって、前記選択部が選択した前記学習セットにおける前記学習画像を画像処理し、前記複数の画像処理シーケンスごとに前記画像処理後の画像である出力画像を生成する画像処理部と、前記複数の画像処理シーケンスごとに、前記出力画像と、前記出力画像の元となる前記学習画像と前記学習セットを構成する前記目標画像とを比較して、前記出力画像と前記目標画像との類似の程度を示す評価値を算出する算出部と、前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれに対応する複数の前記評価値の中から、最も前記類似の程度の高い前記画像処理シーケンスである対象画像処理シーケンスを特定する特定部と、前記画像処理部は、前記対象画像処理シーケンスによって、前記複数の学習セットのうちで前記選択部が選択した前記学習セットの数よりも多く、かつ、前記選択部が選択した前記学習セットを含む2セット以上の前記学習セットのそれぞれの前記学習画像を画像処理して前記出力画像としての対象出力画像を生成し、前記算出部は、前記対象出力画像と前記対象出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記評価値としての対象評価値を算出し、前記特定部は、前記対象評価値を用いて、前記対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定し、前記対象画像処理シーケンスが前記基準条件を満たさない場合には、前記選択部は、前記算出部が算出した、前記2セット以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択率を大きくして、新たに前記学習セットを選択し、前記シーケンス生成部は、新たに選択された前記学習セットのための前記シーケンスセットであって、前回生成した前記シーケンスセットとは異なる前記シーケンスセットを生成する。この形態によれば、上記の第1形態と同様の効果を奏する。
【0083】
(8)本開示の第3形態によれば、コンピュータープログラムが提供される。このコンピュータープログラムは、(a)シーケンス要素としての、(i)画像を入力する画像入力層、(ii)複数の画像処理層の少なくとも一つ、および(iii)画像処理後の前記画像を出力する画像出力層、の組み合わせを示す複数の画像処理シーケンスであって、前記組み合わせが異なる複数の画像処理シーケンスによって構成されるシーケンスセットを生成するシーケンス生成機能と、(b)予め準備された学習画像と前記学習画像に関連付けられた目標画像との組み合わせである複数の学習セットのうち、前記複数の学習セットよりも少ない数の前記学習セットを選択する機能と、(c)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれによって、前記機能(b)が選択した前記学習セットにおける前記学習画像を画像処理し、前記複数の画像処理シーケンスごとに前記画像処理後の画像である出力画像を生成する機能と、(d)前記複数の画像処理シーケンスごとに、前記出力画像と、前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記出力画像と前記目標画像との類似の程度を示す評価値を算出する機能と、(e)前記複数の画像処理シーケンスのそれぞれに対応する複数の前記評価値の中から、最も前記類似の程度の高い画像処理シーケンスである対象画像処理シーケンスを特定する機能と、(f)前記対象画像処理シーケンスによって、前記複数の学習セットのうちで前記機能(b)が選択した前記学習セットの数よりも多く、かつ、前記機能(b)が選択した前記学習セットを含む2学習セット以上の前記学習セットのそれぞれの前記学習画像を画像処理して前記出力画像を生成し、前記出力画像と前記出力画像の元となる前記学習画像に関連付けられた前記目標画像とを比較して、前記評価値としての対象評価値を算出する機能と、(g)前記対象評価値を用いて、前記対象画像処理シーケンスが予め定めた基準条件を満たすか否かを判定する機能と、をコンピューターに実行させ、前記コンピュータープログラムは、前記対象画像処理シーケンスが前記基準条件を満たすまで、前記機能(a)~前記機能(g)を繰り返し前記コンピューターに実行させ、前記機能(b)は、前記学習セットを選択するとき、前回のルーチンにおける前記機能(f)で算出した、前記2セット以上の学習セットのそれぞれに対応した複数の前記対象評価値のうちで、所定の値の前記学習セットの選択確率を大きくする機能を有する。この形態によれば、上記の第1形態と同様の効果を奏する。
【0084】
本開示は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、コンピュータープログラムを記録した一時的でない記録媒体(non-transitory storage medium)の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0085】
10…生成システム、20…生成装置、25…プロセッサー、30…シーケンス生成部、32…個体生成部、34…遺伝子翻訳部、36…選択部、40…画像処理部、42…算出部、46…特定部、60…表示制御部、70…記憶装置、74…学習データ、80…画像フィルター群、82…遺伝子テーブル、84…個体群、89…選択テーブル、94…各種プログラム、150…入力部、160…表示部、200…撮像装置、DA…欠陥部分、DSq…特定画像処理シーケンス、TSq…対象画像処理シーケンス、FtA~FtE…画像処理フィルター、G,Gm,Gn…世代、IV,IV1~IV10…個体、LM…学習画像、PM…出力画像、SD…類似の程度、SM…学習セット、SR…選択値、Sq…画像処理シーケンス、TSq…対象画像処理シーケンス、DSq…特定画像処理シーケンス、TM…目標画像、in…画像入力層、out…画像出力層
図1
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図10
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