(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172110
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電波吸収体を備える装置及び測色装置
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20241205BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20241205BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H05K9/00 M
H05K9/00 L
H05K7/00 F
G01J3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089632
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 健志
【テーマコード(参考)】
2G020
4E352
5E321
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA05
2G020DA23
2G020DA42
4E352AA01
4E352AA07
4E352BB02
4E352CC08
4E352CC52
4E352DD01
4E352DD05
4E352DD11
4E352DR02
4E352DR25
4E352DR33
4E352DR37
4E352DR42
4E352EE03
4E352FF04
4E352GG16
4E352GG25
4E352GG27
5E321AA32
5E321BB51
5E321CC30
5E321GG09
5E321GG11
(57)【要約】
【課題】フェライトコアの位置を保持するために固定部材が用いられるが、それではに部品点数が多くなりコストアップに繋がる。
【解決手段】電波吸収体を備える装置は、第1筐体と、前記第1筐体に取り付けられる第2筐体と、配線部材と、前記配線部材が挿通される貫通孔を有する電波吸収体とを備え、前記第1筐体は、前記電波吸収体の一部を保持する第1保持部を備え、前記第2筐体は、前記電波吸収体の他部を保持する第2保持部を備え、前記電波吸収体は、前記第1保持部と前記第2保持部によって挟まれて保持される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
前記第1筐体に取り付けられる第2筐体と、
配線部材と、
前記配線部材が挿通される貫通孔を有する電波吸収体と、を備え、
前記第1筐体は、前記電波吸収体の一部を保持する第1保持部を備え、
前記第2筐体は、前記電波吸収体の他部を保持する第2保持部を備え、
前記電波吸収体は、前記第1保持部と前記第2保持部によって挟まれて保持される、
ことを特徴とする、電波吸収体を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電波吸収体を備える装置において、
前記第1保持部と前記第2保持部の一方が、前記配線部材が敷設される方向に沿う一つの面内における2方向に前記電波吸収体が移動するのを制限し、
前記第1保持部と前記第2保持部の他方が、前記一つの面と交差する方向への移動を制限する、
ことを特徴とする、電波吸収体を備える装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電波吸収体を備える装置において、
前記第1保持部と前記電波吸収体との間に隙間が形成され、
前記第2保持部と前記電波吸収体との間に隙間が形成されている、
ことを特徴とする、電波吸収体を備える装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電波吸収体を備える装置において、
前記電波吸収体は、フェライトコアである、
ことを特徴とする、電波吸収体を備える装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電波吸収体を備える装置において、
前記配線部材は、複数のフレキシブルフラットケーブルであり、
前記フェライトコアは、複数の前記フレキシブルフラットケーブルに対してそれぞれ並んで配置され、
前記第1保持部と前記第2保持部は、複数の前記フェライトコアに対してそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする、電波吸収体を備える装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電波吸収体を備える装置において、
複数の前記フェライトコアは同じ構造である、
ことを特徴とする、電波吸収体を備える装置。
【請求項7】
底面と第1側面と第2側面とを有し、電気部品を囲うカバー体と、
前記カバー体内の前記底面と前記第1側面と前記第2側面の3つの面が交わるコーナー領域に配置され、配線部材が挿通される貫通孔を有する電波吸収体と、を備え、
前記第1側面は、前記電波吸収体が前記第2側面から離れる方向への移動を制限する第1壁部を備え、
前記第2側面は、前記電波吸収体が前記第1側面から離れる方向への移動を制限する第2壁部を備え、
前記電波吸収体は、前記第1壁部と前記第2壁部によって移動が制限されるように保持される、
ことを特徴とする、電波吸収体を備える装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電波吸収体を備える装置と、
測定対象物を測色する測色器と、
前記測色器を支持し、前記測色器を走査可能なキャリッジと、を備えた測色装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波吸収体を備える装置及び測色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電波吸収体を備える装置の一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、フェライトコアを取付対象の最適な位置に固定可能にする固定具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、特許文献1のようにハーネス等の配線部に装着するフェライトコアの位置を保持するためには、固定部材が用いられる。そのために部品点数が多くなりコストアップに繋がる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る電波吸収体を備える装置は、第1筐体と、前記第1筐体に取り付けられる第2筐体と、配線部材と、前記配線部材が挿通される貫通孔を有する電波吸収体とを備え、前記第1筐体は、前記電波吸収体の一部を保持する第1保持部を備え、前記第2筐体は、前記電波吸収体の他部を保持する第2保持部を備え、前記電波吸収体は、前記第1保持部と前記第2保持部によって挟まれて保持されることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る電波吸収体を備える装置は、底面と第1側面と第2側面とを有し、電気部品を囲うカバー体と、前記カバー体内の前記底面と前記第1側面と前記第2側面の3つの面が交わるコーナー領域に配置され、配線部材が挿通される貫通孔を有する電波吸収体とを備え、前記第1側面は、前記電波吸収体が前記第2側面から離れる方向への移動を制限する第1壁部を備え、前記第2側面は、前記電波吸収体が前記第1側面から離れる方向への移動を制限する第2壁部を備え、前記電波吸収体は、前記第1壁部と前記第2壁部によって移動が制限されるように保持されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る測色装置は、後述する第1の態様から第7の態様のいずれか一つの態様に記載の電波吸収体を備える装置と、測定対象物を測色する測色器と、前記測色器を支持し、前記測色器を走査可能なキャリッジとを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る測色装置の外観を上方から見た斜視図。
【
図3】実施形態1と2の電波吸収体を備える装置を-Z側から見た要部の図。
【
図4】実施形態1と2の電波吸収体を備える装置を+Y側から見た要部の図。
【
図5】実施形態1と2の電波吸収体を備える装置を+Y側から見た要部斜視図。
【
図6】実施形態3の電波吸収体を備える装置を-Z側から見た要部の図。
【
図7】実施形態3の電波吸収体を備える装置を+Y側から見た要部の図。
【
図8】実施形態3の電波吸収体を備える装置を+Y側から見た要部斜視図。
【
図9】実施形態4のキャリッジの部分を-Z側から見た要部の図。
【
図13】実施形態のキャリッジの部分を+Z側から見た要部の図。
【
図15】実施形態のキャリッジの部分を-X側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について先ず概略的に説明する。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る電波吸収体を備える装置は、第1筐体と、前記第1筐体に取り付けられる第2筐体と、配線部材と、前記配線部材が挿通される貫通孔を有する電波吸収体とを備え、前記第1筐体は、前記電波吸収体の一部を保持する第1保持部を備え、前記第2筐体は、前記電波吸収体の他部を保持する第2保持部を備え、前記電波吸収体は、前記第1保持部と前記第2保持部によって挟まれて保持されることを特徴とする。
ここで、「前記電波吸収体は、前記第1保持部と前記第2保持部によって挟まれて保持される、」における「挟まれて保持される」とは、前記電波吸収体が、交差する3つの軸方向に対して移動が制限されるようにその位置が保持されるように構成されることを意味する。
【0010】
本態様によれば、前記電波吸収体は、前記第1筐体が備える前記第1保持部と、前記第2筐体が備える前記第2保持部によって挟まれて保持される。言い換えると、前記第1筐体と前記第2筐体に、前記電波吸収体の移動を制限して保持する機能を具備させたものである。これにより、前記電波吸収体の移動を制限してその位置を保持することを、部品点数を増加することなく簡単な構造で実現することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記第1保持部と前記第2保持部の一方が、前記配線部材が敷設される方向に沿う一つの面内における2方向に前記電波吸収体が移動するのを制限し、前記第1保持部と前記第2保持部の他方が、前記一つの面と交差する方向への移動を制限することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記第1保持部が前記配線部材が敷設される方向に沿う一つの面内における2方向、例えば水平な2方向に前記電波吸収体が移動するのを制限する。更に前記第2保持部が前記一つの面と交差する方向、例えば鉛直方向への移動を制限する。これにより、前記電波吸収体の前記3方向への移動を効果的に制限することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記第1保持部と前記電波吸収体との間に隙間が形成され、前記第2保持部と前記電波吸収体との間に隙間が形成されていることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記第1保持部と前記電波吸収体との間に隙間が形成され、前記第2保持部と前記電波吸収体との間に隙間が形成されている。前記隙間の存在により、製造寸法のバラツキの影響を受けにくくなり、また前記電波吸収体に過度な荷重が加わることを抑制でき、不用意に破損する虞を低減することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記電波吸収体は、フェライトコアであることを特徴とする。
本態様によれば、前記電波吸収体はフェライトコアであるので、前記配線部材に流れるノイズを効果的にシャットアウトすることができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記配線部材は、複数のフレキシブルフラットケーブル(以下、「FFC」とも言う)であり、前記フェライトコアは、複数の前記FFCに対してそれぞれ並んで配置され、前記第1保持部と前記第2保持部は、複数の前記フェライトコアに対してそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、複数の前記FFCに対して、前記フェライトコアはそれぞれ並んで配置されている。そして、前記第1保持部と前記第2保持部は、複数の前記フェライトコアに対してそれぞれ設けられている。これにより、コンパクト化を進めることができる。
【0018】
本発明の第6の態様は、第5の態様に従属する態様であって、複数の前記フェライトコアは同じ構造であることを特徴とする。
本態様によれば、複数の前記フェライトコアは同じ構造であるので、部品の共通化によりコストダウンを図ることができる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る電波吸収体を備える装置は、底面と第1側面と第2側面とを有し、電気部品を囲うカバー体と、前記カバー体内の前記底面と前記第1側面と前記第2側面の3つの面が交わるコーナー領域に配置され、配線部材が挿通される貫通孔を有する電波吸収体と、を備え、前記第1側面は、前記電波吸収体が前記第2側面から離れる方向への移動を制限する第1壁部を備え、前記第2側面は、前記電波吸収体が前記第1側面から離れる方向への移動を制限する第2壁部を備え、前記電波吸収体は、前記第1壁部と前記第2壁部によって移動が制限されるように保持されることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記電波吸収体は、電気部品を囲うカバー体内の前記底面と前記第1側面と前記第2側面の3つの面が交わるコーナー領域に配置されている。そして、前記電波吸収体は、前記第1側面が備える前記第1壁部と前記第2側面が備える前記第2壁部によって、前記第1側面及び前記第2側面から離れる方向への移動が制限されるように保持されている。これにより、前記電波吸収体の移動を制限してその位置を保持することを、部品点数を増加することなく簡単な構造で実現することができる。
【0021】
また、本発明の第8の態様に係る測色装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか一つの態様に記載の電波吸収体を備える装置と、測定対象物を測色する測色器と、前記測色器を支持し、前記測色器を走査可能なキャリッジと、を備えたことを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、測色装置として、第1の態様から第7の態様のいずれか一つの態様に記載の電波吸収体を備える装置により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0023】
[実施形態]
以下、本発明に係る電波吸収体を備える装置及び前記電波吸収体を備える装置を備える測色装置の実施形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。Z軸方向は鉛直方向即ち重力が作用する方向に相当し、+Z方向が鉛直上方を示し、-Z方向が鉛直下方を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。+Y方向が装置の背面方向を示し、-Y方向が装置の正面方向を示す。+X方向が装置の右方向を示し、-X方向が装置の左方向を示す。
【0024】
図1及び
図2に基づいて、先ず本実施形態の電波吸収体を備える装置30を備える測色装置1の全体構造を説明する。測色装置1は、X軸方向及びY軸方向に延設される支持台2を有する第1筐体3としての本体部3(同じ符号を用いる)を備え、また、支持台2の一部を+Z方向側から覆うようにY軸方向に延設されるガントリー4を備えている。ガントリー4には、測色器5を収容可能なキャリッジ6が取り付けられている。キャリッジ6は、駆動装置13(
図1)によって、ガントリー4に対してY軸方向に移動可能である。更にキャリッジ6は、Z軸方向にも移動可能である。
ガントリー4は、駆動装置14(
図2)によって支持台2に対してX軸方向に移動可能である。これらの移動は、走査とも言われる。キャリッジ6をガントリー4に対してY軸方向に移動させる動力源となる駆動モーター11は、ガントリー4の-Y方向側の端部に設けられている。
図1において、符号12は外装である。
ガントリー4にはUSBケーブル7の一端が接続されている。USBケーブル7の他端は、キャリッジ6に収容された測色器5に接続される。
【0025】
支持台2には、測定対象物の一例である図示を省くカラーチャートが載置可能である。カラーチャートは例えば複数のカラーパッチと黒枠等で構成される。カラーチャートは、例えば粘着テープをカラーチャートの周囲に貼り付けることで支持台2に固定される。
本体部3の-Y方向側には支持台2よりも下がった位置にフロント面8が設けられ、本体部3の+Y方向側には支持台2よりも下がった位置にリア面9が設けられている。フロント面8には、測色装置1の操作部の一例である電源ボタン10が設けられている。
【0026】
図2に示したように、測色装置1は、第1筐体3の下面15を覆うように第2筐体16としての下ケース16(同じ符号を用いる)がネジ等で取り付けられる。尚、
図2では、第2筐体16は、内部の部品が透けて見えるように透明にして記載されている。
第1筐体3の下面15には、内部部品としての複数の配線部材17とが敷設され、複数の電波吸収体18が配設されている。本実施形態では、電波吸収体18が6つ設けられている場合を示している。即ち、
図2に示したように、6つの電波吸収体181、182、183、184、185、186が設けられている場合を示している。勿論、電波吸収体18は、6つに限定されるものではなく、必要に応じて増減できるものである。
【0027】
図2おいては、図面の複雑化を避けて見易くする観点から、配線部材17は、電波吸収体181、182にそれぞれ挿通される配線部材171、172だけが図示され、他の電波吸収体183、184、185、186に挿通される配線部材17はその図示が省かれている。符号22は基板を示し、配線部材171、172は基板22に接続されている。符号23も基板を示し、符号24も基板を示す。
図2において、符号19は駆動モーターである。駆動モーター19が回転すると、タイミングベルト20、21が周回移動し、ガントリー4がX軸方向に移動する。
【0028】
[実施形態1]
次に、実施形態1に係る電波吸収体を備える装置30について
図3から
図5に基いて説明する。
図4と
図5においては、配線部材17の図示は省かれている。これらの図において、右側に位置する2つの電波吸収体18(181、182)の部分を実施形態1として説明し、左側に位置する電波吸収体18(183)の部分は実施形態2として分けて説明する。
実施形態1の電波吸収体を備える装置30は、第1筐体3(
図1、
図4)と、第1筐体3に取り付けられる第2筐体16(
図2、
図4)と、配線部材17と、配線部材17が挿通される貫通孔31(
図4、
図5)を有する電波吸収体18とを備えている。
第1筐体3は、電波吸収体18の一部を保持する第1保持部32を備えている。更に、第2筐体16は、電波吸収体18の他部を保持する第2保持部33を備えている。そして、
図4と
図5に示したように、電波吸収体18は、第1保持部32と第2保持部33によって挟まれて保持されている。ここで、「挟まれて保持されている」とは、電波吸収体18が、交差する3つの軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に対して移動が制限されるようにその位置が保持されるように構成されることを意味する。
【0029】
本実施形態では、第1保持部32が、配線部材17が敷設される方向に沿う一つの面(XY面)内における2方向(X軸方向とY軸方向)に電波吸収体18が移動するのを制限するように第1筐体3の底面15から突設されている。また、第2保持部33が、前記一つの面(XY面)と交差する方向(Z軸方向)への移動を制限するように第2筐体16から突設されている。第1保持部32は、第1筐体3と樹脂の一体成形により作られている。第2保持部33は、第2筐体16と樹脂の一体成形により作られている。
更に、
図3に示したように、第1保持部32と電波吸収体18との間に隙間G1、G2が形成され、
図4に示したように、第2保持部33と電波吸収体18との間に隙間G3が形成されている。これらの隙間G1、G2,G3は、電波吸収体18の前記移動を制限する要件を満たす範囲において離間している状態である。尚、隙間G1と隙間G2は同じでも異なっていてもよい。
【0030】
本実施形態では、電波吸収体18は、フェライトコア18(同じ符号を用いる)である。また、配線部材17は、FFC17(同じ符号を用いる)である。
本実施形態では、配線部材17として、2つのFFC171、172が敷設されている。そのため、フェライトコア18も、2つのFFC171、172に対してそれぞれ設けられている。ここでは、2つのフェライトコア181、182は、各図に示したように、X軸方向に並んで配置されている。そして、第1保持部32と第2保持部33は、2つのフェライトコア181、182に対してそれぞれ設けられている。
【0031】
本実施形態では、フェライトコア181とフェライトコア182は、
図3から
図5に示したように同じ構造に構成されている。
ここでは、一方のフェライトコア181用の第1保持部32は、
図3に示したように、フェライトコア181の各コーナー部に位置する平面視でL字形状の4つの保持部321、322、323、324で構成されている。他方のフェライトコア182用の第1保持部32も、
図3に示したように、フェライトコア182の各コーナー部に位置する平面視でL字形状の4つの保持部325、326、327、328で構成されている。
フェライトコア181とフェライトコア182が同じ構造であることに基づいて、保持部323と保持部326は、一部を共用する形で樹脂の一体成形により作られている。更に、フェライトコア181とフェライトコア182が同じ構造であることに基づいて、保持部324と保持部325も一部を共用する形で樹脂の一体成形により作られている。
【0032】
また、第2保持部33は、一方のフェライトコア181用のものとして、
図4と
図5に示したように、フェライトコア181と隙間G3を有して対向するように-Z側に位置する保持部331が配置されている。更に、他方のフェライトコア182用のものとして、フェライトコア182と隙間G3を有して対向するように-Z側に位置する保持部332が配置されている。ここでは、保持部331と保持部332は、同じ円筒形状であり、同じ隙間G3を有して配置されている。
ここでは、保持部331と保持部332は、同じ突出長さの連結部板34で連結されて一体化されている。
【0033】
<実施形態1の効果の説明>
(1)本実施形態では、電波吸収体18は、第1筐体3が備える第1保持部32と、第2筐体16が備える第2保持部33によって挟まれて保持される。言い換えると、第1筐体3と第2筐体16に、電波吸収体18の移動を制限して保持する機能を具備させたものである。これにより、電波吸収体18の移動を制限してその位置を保持することを、部品点数を増加することなく簡単な構造で実現することができる。
(2)また、本実施形態では、第1保持部32が配線部材17が敷設される方向に沿う一つの面内における2方向、例えば水平な2方向(X軸方向とY軸方向)に電波吸収体18が移動するのを制限する。更に第2保持部33が前記一つの面と交差する方向、例えば鉛直方向(Z軸方向)への移動を制限する。これにより、電波吸収体18の前記3方向(X軸方向とY軸方向とZ軸方向)への移動を効果的に制限することができる。
【0034】
(3)また、本実施形態では、第1保持部32と電波吸収体18との間に隙間G1、G2が形成され、第2保持部33と電波吸収体18との間に隙間G3が形成されている。隙間G1、G2、G3の存在により、製造寸法のバラツキの影響を受けにくくなり、また電波吸収体18に過度な荷重が加わることを抑制でき、不用意に破損する虞を低減することができる。
(4)また、本実施形態では、電波吸収体18はフェライトコア18であるので、配線部材17に流れるノイズを効果的にシャットアウトすることができる。
【0035】
(5)また、本実施形態では、複数のFFC171、172に対して、フェライトコア181、182はそれぞれ並んで配置されている。そして、第1保持部32と第2保持部33は、複数のフェライトコア181、182に対してそれぞれ設けられている。これにより、コンパクト化を進めることができる。
(6)また、本実施形態では、複数のフェライトコア181、182は同じ構造であるので、部品の共通化によりコストダウンを図ることができる。
【0036】
[実施形態2]
次に、
図3から
図5に基いて、実施形態2に係るに電波吸収体を備える装置30について説明する。実施形態1と同一部分については同一符号を付して、その構成及び対応する効果の説明は省略する。
本実施形態では、配線部材17は、FFCではなくハーネス等の円形ケーブルである。
図4と
図5の左位置に示したように、この電磁吸収体183は、円形の貫通孔31を有する円筒形状に形成されている。この電磁吸収体183もフェライトコア183である。尚、
図4と
図5は、配線部材17の図示が省かれている。
【0037】
第1保持部32は、実施形態1と同様に、配線部材17が敷設される方向に沿う一つの面(XY面)内における2方向(X軸方向とY軸方向)に電波吸収体183が移動するのを制限するように第1筐体3の底面15から突設されている。ここでは、各図に示したように、第1保持部32は、図の左に位置する保持部329と、右に位置する保持部330の2つで構成されている。電磁吸収体183は、2つの保持部329と保持部330で挟まれる領域に収容されている。
第2保持部33は、実施形態1と同様に、前記一つの面(XY面)と交差する方向(Z軸方向)への移動を制限するように、第2筐体16から電磁吸収体183に向かって1つ突設されている。第1保持部32は、第1筐体3と樹脂の一体成形により作られている。第2保持部33は、第2筐体16と樹脂の一体成形により作られている。
更に、
図3に示したように、第1保持部32と電波吸収体18との間に隙間G1、G2が形成され、
図4に示したように、第2保持部33と電波吸収体18との間に隙間G3が形成されている。
【0038】
[実施形態3]
次に、
図6から
図8に基いて、実施形態3に係るに電波吸収体を備える装置30について説明する。実施形態1及び実施形態2と同一部分については同一符号を付して、その構成及び対応する効果の説明は省略する。
本実施形態では、各図に示したように、電波吸収体18は、実施形態2のものより配線部材17を貫通孔31に通す方向に沿って長いこと、第2保持部33は、実施形態2のものと違って、単一体として形成されていることが相違するだけである。そのため、他の構造の説明は省く。尚、本実施形態でも配線部材17の図示は省かれている。
【0039】
[実施形態4]
次に、
図9から
図12に基いて、実施形態3に係るに電波吸収体を備える装置30について説明する。実施形態1から実施形態3と同一部分については同一符号を付して、その構成及び対応する効果の説明は省略する。
実施形態4の電波吸収体を備える装置30は、
図12に示した構造のカバー体44を備えている。このカバー体44は、底面40と第1側面41と第2側面42とを有し、電気部品43(
図10及び
図11)を囲うハウジングである。電波吸収体18は、カバー体44内の底面40と第1側面41と第2側面42の3つの面が交わるコーナー領域45に配置されている。この電波吸収体18は、実施形態2の電波吸収体183と同形状のものである。配線部材17は、貫通孔31を通される。尚、各図において、配線部材17の図示は省かれている。
【0040】
更に、第1側面41は、電波吸収体18が前記第2側面42から離れる方向(+X方向)への移動を制限する第1壁部46を備え、第2側面42は、電波吸収体18が第1側面41から離れる方向(+Y方向)への移動を制限する第2壁部47を備えている。第2壁部47は、第1壁部46の先端部に一体化され、全体でL字形状を成している。また、第1壁部46及び第2壁部47は、カバー体44と樹脂の一体成形で作られている。
電波吸収体18は、第1壁部46と第2壁部47によってX軸方向及びY軸方向への移動が制限されるように保持される。即ち、電波吸収体18は、第1壁部46と第2側面42でX軸方向への移動が制限されるように挟まれており、第2壁部47と第1側面41でY軸方向への移動が制限されるように挟まれている。電波吸収体18は、鉛直下方である-Z軸方向への移動は底面40で制限され、鉛直上方である+Z軸方向への移動は、重力によって制限されている。
【0041】
<実施形態4の効果の説明>
本実施形態によれば、電波吸収体18は、駆動モーター43等の電気部品を囲うカバー体44内の底面40と第1側面41と第2側面42の3つの面が交わるコーナー領域45に配置されている。そして、電波吸収体18は、第1側面41が備える第1壁部46と第2側面42が備える第2壁部47によって、第1側面41及び第2側面42から離れる方向(+X方向と+Y方向)への移動が制限されるように保持されている。これにより、電波吸収体18の移動を制限してその位置を保持することを、部品点数を増加することなく簡単な構造で実現することができる。
【0042】
<その他の構造の説明>
図13から
図15に基いて、その他の構造について説明する。
実施形態1から実施形態4と同一部分については同一符号を付して、その構成及び対応する効果の説明は省略する。
図13に示したように、キャリッジ6は、支持台2上に載置される前記カラーチャート等の用紙の幅を検出する幅検出センサー60を備えている。フェライトコア(電波吸収体)18は、幅検出センサー60が配置されるエリア61に搭載されている。
これにより、フェライトコア18は、幅検出センサー60の近くに位置することになるので、電磁両立性(Electromagnetic Compatibility EMC)を効果的にすることができる。
【0043】
また、
図14に示したように、フェライトコア18は、幅検出センサー60に対して装置高さ方向(Z軸方向)で位置が重なるように配置されている。符号62は幅検出センサー60の存在範囲、符号63はフェライトコア18の存在範囲、符号64は幅検出センサー60とフェライトコア18との重なり範囲を示す。
これにより、装置高さ方向における大型化を抑制することができる。
【0044】
また、
図13に示したように、フェライトコア18は、幅検出センサー60に対して装置前後方向(Y軸方向)で位置が重なるように配置されている。符号65はフェライトコア18の存在範囲であり、ここでは、フェライトコア18は、装置前後方向(Y軸方向)における全長が幅検出センサー60と重なっている。これにより、装置前後方向における大型化を抑制することができる。
また、
図14に示したように、フェライトコア18は、幅検出センサー60の保持カバー66により高さ方向(+Z方向)への移動が規制されている。これにより、フェライトコア18の不用意な移動を抑制することができる。
【0045】
〔他の実施形態〕
本発明に係る電波吸収体を備える装置30及び測色装置1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
上記実施形態では、第1保持部32が、配線部材17が敷設される方向に沿う一つの面内における2方向に電波吸収体18が移動するのを制限し、第2保持部33が前記一つの面と交差する方向への移動を制限する構造を説明した、逆の配置でもよい。即ち、第2保持部33が、配線部材17が敷設される方向に沿う一つの面内における2方向に電波吸収体18が移動するのを制限し、第1保持部32が前記一つの面と交差する方向への移動を制限するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…測色装置、2…支持台、3…第1筐体(本体部)、4…ガントリー、5…測色器、
6…キャリッジ、7…USBケーブル、8…フロント面、9…リア面、
10…電源ボタン、11…駆動モーター、12…外装、15…下面、
16…第2筐体(下ケース)、17…配線部材、18…電波吸収体、
19…駆動モーター、20…タイミングベルト、21…タイミングベルト、
22…基板、23…基板、24…基板、30…電波吸収体を備える装置、
31…貫通孔、32…第1保持部、33…第2保持部、34…連結部板、
40…底面、41…第1側面、42…第2側面、43…電気部品、44…カバー体、
45…3つの面が交わるコーナー領域、46…第1壁部、47…第2壁部、
60…幅検出センサー、61…幅検出センサーが配置されるエリア、
62…幅検出センサーの存在範囲、63…フェライトコアの存在範囲、
64…幅検出センサーとフェライトコアとの重なり範囲、
65…フェライトコアの存在範囲、66…保持カバー、
G1、G2,G3…隙間