(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172111
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】キャリングケース、測色システム
(51)【国際特許分類】
G01J 3/50 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G01J3/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089633
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】磯部 成明
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 興
(72)【発明者】
【氏名】木下 芳樹
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA36
2G020DA43
(57)【要約】
【課題】走査型測色装置は試料台を備える為全体的なサイズが大きく、キャリングケースも大型化し、寝かせた状態に置かれたキャリングケースの上に他の物品が載せられたり、複数のキャリングケースが積み重ねられたりして、キャリングケース内の走査型測色装置に過度な荷重が掛かり、破損や故障を招き易い。
【解決手段】走査用ステージに置かれた測色対象を走査する測色用走査装置を収容可能なキャリングケースは、測色用走査装置の底部と対向するケース本体と、ケース本体に接続される蓋部であって、測色用走査装置を覆う状態と開放する状態とに切り換え可能な蓋部と、を備え、蓋部は、測色用走査装置の最厚部を覆う第1領域と、第1領域から最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査用ステージに置かれた測色対象を走査する測色用走査装置を収容可能なキャリングケースであって、
前記測色用走査装置の底部と対向するケース本体と、
前記ケース本体に接続される蓋部であって、前記測色用走査装置を覆う状態と開放する状態とに切り換え可能な前記蓋部と、を備え、
前記蓋部は、
前記測色用走査装置の最厚部を覆う第1領域と、
前記第1領域から前記最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域と、
を有する、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項2】
請求項1に記載のキャリングケースにおいて、
前記測色用走査装置の前記最厚部は、前記走査用ステージに対し第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に移動可能な走査部であり、
前記蓋部の前記第1領域は、前記走査部を覆う、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項3】
請求項2に記載のキャリングケースにおいて、
前記走査部は、前記第1方向に沿って延びる形状を成すとともに前記第2方向に移動可能なガントリーに設けられ、
前記第1領域は、前記ガントリーの上部を覆う様に前記第1方向に延びる、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項4】
請求項3に記載のキャリングケースにおいて、
前記第1領域は、前記蓋部において前記第2方向の一方の端部に位置し、
前記第2領域は、前記第1領域から前記蓋部の前記第2方向の他方の端部に至るまで直線状に下がる、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項5】
請求項3に記載のキャリングケースにおいて、
前記第1領域は、前記蓋部において前記第2方向の一方の端部に位置し、
前記蓋部は、前記第2方向の他方の端部に、前記走査用ステージに平行な第3領域を有し、
前記第2領域は、前記第2方向において前記第1領域と前記第3領域との間に位置する、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項6】
請求項2に記載のキャリングケースにおいて、
前記蓋部の周囲を構成する側面のうち、前記第1方向の一方の側面に、前記第1方向が鉛直方向に沿った状態で前記キャリングケースを把持する為の把持部が設けられる、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項7】
請求項2に記載のキャリングケースにおいて、
前記測色用走査装置が前記キャリングケースに収容された状態において、前記走査部の前記第1方向及び前記第2方向の少なくともいずれかへの移動を規制する移動規制体が、前記走査部の移動領域を利用して配置される、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項8】
請求項7に記載のキャリングケースにおいて、
前記第1方向が鉛直方向に沿った状態で前記キャリングケースを把持する為の把持部を備え、
前記移動規制体は、前記走査部が鉛直下方の移動限度に位置する状態で前記走査部を避ける形状を成す、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項9】
請求項7に記載のキャリングケースにおいて、
前記移動規制体は、物品を収容可能な凹部を備える、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項10】
請求項1に記載のキャリングケースにおいて、
前記蓋部が、前記ケース本体に対して着脱可能である、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項11】
請求項1に記載のキャリングケースにおいて、
前記ケース本体と前記蓋部とを接続するファスナーを備え、
前記ファスナーは、前記ケース本体を前記キャリングケースの載置面に載置した際に、鉛直方向において、前記走査用ステージのステージ面よりも低い位置に設けられる、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項12】
請求項1に記載のキャリングケースにおいて、
前記ケース本体と前記蓋部とを接続するファスナーを備え、
前記ファスナーは、前記測色用走査装置の側面に設けられたコネクタ接続部を覆わない位置に設けられる、
ことを特徴とするキャリングケース。
【請求項13】
走査用ステージに置かれた測色対象を走査する測色用走査装置と、
前記測色用走査装置に設けられる測色装置と、
前記測色用走査装置を収容可能なキャリングケースと、を含む測色システムであって、
前記キャリングケースは、
前記測色用走査装置の底部と対向するケース本体と、
前記測色用走査装置を覆う状態と開放する状態とに切り換え可能な蓋部と、を備え、
前記蓋部は、
前記測色用走査装置の最厚部を覆う第1領域と、
前記第1領域から前記最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域と、
を有する、
ことを特徴とする測色システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測色用走査装置を持ち運ぶ為のキャリングケースに関する。また本発明は測色システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1に示される様に、複数のカラーパッチがマトリクス状に配置されて成るカラーチャートを走査して前記カラーパッチを順次測色する走査型測色装置が提案されている。
特許文献1記載の走査型測色装置は、カラーチャートを載置する為の試料台と、試料台に載置されたカラーチャートを測色する測色ヘッドとを備えている。測色ヘッドは、モーターの動力を得てX方向に移動する。測定試料は、試料台に設けられたチャート給送機構によってY方向に給送される。測色ヘッドのX方向への移動とカラーチャートのY方向への移動とによって、マトリクス状に配置されたカラーパッチが測色される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の様な走査型測色装置は持ち運び難い形状であり、持ち運びを考慮すると、専用のキャリングケースが用意されることが望ましい。カメラその他の電子機器では、その機器を持ち運ぶ為の専用のキャリングケースが用意されることがある。
ここで上述の様な走査型測色装置は試料台を備える為全体的なサイズが大きく、キャリングケースも大型化し易くなる。キャリングケースが大型化すると、寝かせた状態に置かれたキャリングケースの上に他の物品が載せられたり、複数のキャリングケースが積み重ねられたりして、キャリングケース内の走査型測色装置に過度な荷重が掛かり、破損や故障を招き易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明のキャリングケースは、走査用ステージに置かれた測色対象を走査する測色用走査装置を収容可能なキャリングケースであって、前記測色用走査装置の底部と対向するケース本体と、前記ケース本体に接続される蓋部であって、前記測色用走査装置を覆う状態と開放する状態とに切り換え可能な前記蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記測色用走査装置の最厚部を覆う第1領域と、前記第1領域から前記最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域と、を有することを特徴とする。
【0006】
また本発明の測色システムは、走査用ステージに置かれた測色対象を走査する測色用走査装置と、前記測色用走査装置に設けられる測色装置と、前記測色用走査装置を収容可能なキャリングケースと、を含む測色システムであって、前記キャリングケースは、前記測色用走査装置の底部と対向するケース本体と、前記測色用走査装置を覆う状態と開放する状態とに切り換え可能な蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記測色用走査装置の最厚部を覆う第1領域と、前記第1領域から前記最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】蓋部を開いた状態のキャリングケースの斜視図。
【
図4】ケース本体から蓋部を取り外した状態のキャリングケースの斜視図。
【
図6】蓋部と移動規制体を開いた状態のキャリングケースの斜視図。
【
図9】測色用走査装置とキャリングケースの断面図。
【
図10】他の実施形態に係るキャリングケースを表側から見た斜視図。
【
図11】測色用走査装置と他の実施形態に係るキャリングケースの断面図。
【
図13】測色用走査装置の側面に設けられたコネクタ接続部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係るキャリングケースは、走査用ステージに置かれた測色対象を走査する測色用走査装置を収容可能なキャリングケースであって、前記測色用走査装置の底部と対向するケース本体と、前記ケース本体に接続される蓋部であって、前記測色用走査装置を覆う状態と開放する状態とに切り換え可能な前記蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記測色用走査装置の最厚部を覆う第1領域と、前記第1領域から前記最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域と、を有することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、前記蓋部は、前記測色用走査装置の最厚部を覆う第1領域と、前記第1領域から前記最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域とを有することから、前記第2領域によって、寝かせた状態に置かれた前記キャリングケースの上に他の物品が載せられたり、複数の前記キャリングケースが積み重ねられたりすることを抑制できる。その結果、前記キャリングケース内の前記測色用走査装置に過度な荷重が掛かって破損や故障を招くことを抑制できる。
尚、前記測色用走査装置の最厚部とは、前記走査用ステージに対する法線方向において前記測色用走査装置の最も寸法の大きい部位である。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記測色用走査装置の前記最厚部は、前記走査用ステージに対し第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に移動可能な走査部であり、前記蓋部の前記第1領域は、前記走査部を覆うことを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記測色用走査装置の前記最厚部が、前記走査用ステージに対し第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に移動可能な走査部である場合、前記走査部に外部から荷重が掛かると前記走査部が故障し易い。しかしながら上述した第1の態様の作用効果により、前記走査部の故障を抑制できる。
加えて前記蓋部の前記第2領域により、前記走査部が前記キャリングケース内で大きく動いてしまうことを抑制でき、この観点からも前記走査部の故障を抑制できる。
【0012】
第3の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記走査部は、前記第1方向に沿って延びる形状を成すとともに前記第2方向に移動可能なガントリーに設けられ、前記第1領域は、前記ガントリーの上部を覆う様に前記第1方向に延びることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、前記走査部は、前記第1方向に沿って延びる形状を成すとともに前記第2方向に移動可能なガントリーに設けられ、前記第1領域は、前記ガントリーの上部を覆う様に前記第1方向に延びることから、前記ガントリーの全体を前記第1領域によって保護することができる。
【0014】
第4の態様は、第3の態様に従属する態様であって、前記第1領域は、前記蓋部において前記第2方向の一方の端部に位置し、前記第2領域は、前記第1領域から前記蓋部の前記第2方向の他方の端部に至るまで直線状に下がることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記第1領域が、前記蓋部において前記第2方向の一方の端部に位置し、前記第2領域が、前記第1領域から前記蓋部の前記第2方向の他方の端部に至るまで直線状に下がる為、寝かせた状態に置かれた前記キャリングケースの上に他の物品が載せられたり、複数の前記キャリングケースが積み重ねられたりすることを抑制する為の前記第2領域が広く確保される。その結果、寝かせた状態に置かれた前記キャリングケースの上に他の物品が載せられたり、複数の前記キャリングケースが積み重ねられたりすることを効果的に抑制できる。
【0016】
第5の態様は、第3の態様に従属する態様であって、前記第1領域は、前記蓋部において前記第2方向の一方の端部に位置し、前記蓋部は、前記第2方向の他方の端部に、前記走査用ステージに平行な第3領域を有し、前記第2領域は、前記第2方向において前記第1領域と前記第3領域との間に位置することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記第1領域が、前記蓋部において前記第2方向の一方の端部に位置し、前記蓋部が、前記第2方向の他方の端部に、前記走査用ステージに平行な第3領域を有し、前記第2領域が、前記第2方向において前記第1領域と前記第3領域との間に位置することから、全体として前記キャリングケースの小型化を図ることができる。
【0018】
第6の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記蓋部の周囲を構成する側面のうち、前記第1方向の一方の側面に、前記第1方向が鉛直方向に沿った状態で前記キャリングケースを把持する為の把持部が設けられることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記蓋部の周囲を構成する側面のうち、前記第1方向の一方の側面に、前記第1方向が鉛直方向に沿った状態で前記キャリングケースを把持する為の把持部が設けられることから、前記キャリングケースの持ち運び性が向上する。
尚、本態様は上記第2の態様に限らず、上記第1の態様或いは第3から第5の態様のいずれかに従属しても良い。
【0020】
第7の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記測色用走査装置が前記キャリングケースに収容された状態において、前記走査部の前記第1方向及び前記第2方向の少なくともいずれかへの移動を規制する移動規制体が、前記走査部の移動領域を利用して配置されることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、前記測色用走査装置が前記ケース本体に収容された状態において、前記走査部の前記第1方向及び前記第2方向の少なくともいずれかへの移動を規制する移動規制体を備えることから、前記測色用走査装置を前記キャリングケースに収容して持ち運ぶ際に前記キャリングケース内で前記走査部が意図せず動くことを抑制できる。そしてその結果、前記走査部の破損等を抑制できる。
尚、本態様は上記第2の態様に限らず、上記第3から第5の態様のいずれかに従属しても良い。
【0022】
第8の態様は、第7の態様に従属する態様であって、前記第1方向が鉛直方向に沿った状態で前記キャリングケースを把持する為の把持部を備え、前記移動規制体は、前記走査部が鉛直下方の移動限度に位置する状態で前記走査部を避ける形状を成すことを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、前記第1方向が鉛直方向に沿った状態で前記キャリングケースを把持する為の把持部を備え、前記移動規制体は、前記走査部が鉛直下方の移動限度に位置する状態で前記走査部を避ける形状を成すことから、前記把持部を把持して前記キャリングケースを持ち運ぶ際、前記走査部が鉛直下方の移動限度に位置することとなり、前記走査部の鉛直方向における位置が安定し易い構成とすることができる。
【0024】
第9の態様は、第7の態様に従属する態様であって、前記移動規制体は、物品を収容可能な凹部を備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記移動規制体は、物品を収容可能な凹部を備えることから、前記キャリングケースの利便性が向上する。
尚、本態様は上記第7の態様に限らず、上記第8の態様に従属しても良い。
【0025】
第10の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記蓋部が、前記ケース本体に対して着脱可能であることを特徴とする。
本態様によれば、前記蓋部が、前記ケース本体に対して着脱可能であることから、前記測色用走査装置を使用する際に前記蓋部が邪魔になり難く、前記測色用走査装置の使い勝手が向上する。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2から第9の態様のいずれかに従属しても良い。
【0026】
第11の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記ケース本体と前記蓋部とを接続するファスナーを備え、前記ファスナーは、前記ケース本体を前記キャリングケースの載置面に載置した際に、鉛直方向において、前記走査用ステージのステージ面よりも低い位置に設けられることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、前記ケース本体と前記蓋部とを接続するファスナーを備え、前記ファスナーは、前記ケース本体を前記キャリングケースの載置面に載置した際に、鉛直方向において、前記走査用ステージのステージ面よりも低い位置に設けられることから、前記走査用ステージのステージ面に前記測色対象を置く際に前記ファスナーが邪魔になり難い。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2から第10の態様のいずれかに従属しても良い。
【0028】
第12の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記ケース本体と前記蓋部とを接続するファスナーを備え、前記ファスナーは、前記測色用走査装置の側面に設けられたコネクタ接続部を覆わない位置に設けられることを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、前記ケース本体と前記蓋部とを接続するファスナーを備え、前記ファスナーは、前記測色用走査装置の側面に設けられたコネクタ接続部を覆わない位置に設けられることから、前記コネクタ接続部に接続されるコネクタ、或いは前記コネクタが取り付けられたケーブルと前記ファスナーとの干渉を抑制できる。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2から第11の態様のいずれかに従属しても良い。
【0030】
第13の態様に係る測色システムは、走査用ステージに置かれた測色対象を走査する測色用走査装置と、前記測色用走査装置に設けられる測色装置と、前記測色用走査装置を収容可能なキャリングケースと、を含む測色システムであって、前記キャリングケースは、前記測色用走査装置の底部と対向するケース本体と、前記測色用走査装置を覆う状態と開放する状態とに切り換え可能な蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記測色用走査装置の最厚部を覆う第1領域と、前記第1領域から前記最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域と、を有することを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、前記蓋部は、前記測色用走査装置の最厚部を覆う第1領域と、前記第1領域から前記最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域とを有することから、前記第2領域によって、寝かせた状態に置かれた前記キャリングケースの上に他の物品が載せられたり、複数の前記キャリングケースが積み重ねられたりすることを抑制できる。その結果、前記キャリングケース内の前記測色用走査装置に過度な荷重が掛かって破損や故障を招くことを抑制できる。
【0032】
以下、本発明を具体的に説明する。
尚、
図1、
図3、
図4、
図6において符号100は後述する測色用走査装置1を使用する際に測色用走査装置1を載置する装置載置面であり、一例として水平な平坦面である。また各図において示すX-Y-Z座標系のうち、Z軸方向は測色用走査装置1を装置載置面100に載置した場合に、鉛直方向に沿った方向となる。Z軸方向のうち、+Z方向は鉛直上方、-Z方向は鉛直下方となる。以下、測色用走査装置1、測色装置50、及びキャリングケース30の構成を上記X-Y-Z座標系を用いて説明する場合がある。
【0033】
図1~
図3において、測色用走査装置1はキャリングケース30に収容される。キャリングケース30は、測色用走査装置1を収容して持ち運ぶ為に設計された専用のケースである。測色用走査装置1、キャリングケース30、及び測色装置50(
図7参照)は、測色システム60を構成する。
【0034】
キャリングケース30は、測色用走査装置1の底部を構成するステージ下部材4(
図9参照)と対向するケース本体31と、測色用走査装置1を覆う状態と開放する状態とに切り換え可能な蓋部32と、を備えている。
本実施形態においてケース本体31は、X-Y平面に沿った板状の本体板31aの外周が僅かに+Z方向に立ち上がる様なトレイ状を成している。ケース本体31は、形状を維持できる範囲で或る程度柔軟性を有する材料で形成されており、例えば可撓性を有する樹脂板等のベースを内側に有し、表面がナイロン、ポリエステル、布等の素材で構成することができる。
尚、測色用走査装置1の底部を構成するステージ下部材4は、樹脂材料で形成されているとともに厚みがケース本体31の本体板31aより厚い。従ってケース本体31の本体板31aは、ステージ下部材4よりも剛性が低い。
【0035】
蓋部32は閉じた際に測色用走査装置1の周囲を覆う様に、第1側面32a、第2側面32b、第3側面32c、及び第4側面32dを備える。第1側面32aと第4側面32dは、X-Z平面に平行な面である。第2側面32bと第3側面32cは、Y-Z平面に平行な面である。
また蓋部32の表面は、X-Y平面に平行な第1領域32e1と、第1領域32e1から-X方向に向かって下がり傾斜状となる第2領域32e2とを備える。
【0036】
蓋部32は、
図3に示す様に内側から視た場合ケース本体31よりも深さの深いトレイ状を成している。
蓋部32は、形状を維持できる範囲で或る程度柔軟性を有する材料で形成されており、例えば可撓性を有する樹脂板等のベースを内側に有し、表面をナイロン、ポリエステル、布等の素材で構成することができる。
【0037】
蓋部32の第1側面32aには把持部40が設けられており、キャリングケース30を持ち運ぶユーザーが把持部40を把持することができ、キャリングケース30の持ち運び性が向上する。ユーザーが把持部40を把持した場合、第1側面32aが上面となり、第4側面32dが下面となる。
【0038】
尚、把持部40は蓋部32のその他の側面に設けても良く、例えば第2側面32bに設けても良い。この場合においてユーザーが把持部40を把持した場合、第2側面32bが上面となり、第3側面32cが下面となる。第3側面32cは厚みが厚い部分の側面である為、第3側面32cを下にしてキャリングケース30を置いた際にキャリングケース30が自立し易くなる。またガントリー10が下方に位置することで、測色用走査装置1の重心が下方に位置する状態となり、これによって第3側面32cを下にしてキャリングケース30を置いた際に安定し易くなる。加えて厚みが薄い部分である-X方向部位をユーザーが脇に挟んで持ち運び易くなる。
【0039】
蓋部32はファスナー37によってケース本体31と接続される。ファスナー37は一例として線ファスナーであり、キャリングケース30の側面の全周に亘って設けられている。ファスナー37を開くことで、
図1から
図3への変化で示す様に内部を露呈させることができる。
またこの状態から更にファスナー37を全て開くことで、
図3から
図4への変化で示す様に蓋部32をケース本体31から取り外すことができる。図示は省略するが、ファスナー37の接続開始位置となる蝶棒(不図示)は蓋部32の第4側面32dに設けられており、前記蝶棒(不図示)が嵌合する箱(不図示)は、ケース本体31において第4側面32dと接続される位置に設けられている。
【0040】
キャリングケース30は、蓋部32の第1領域32e1及び第2領域32e2に対し反対の裏面が、ケース本体31の本体板31a(
図5参照)により構成される。本体板31aには、
図2に示す様に脚部の一例であるゴム脚35が本体板31aの四隅と中央部とに設けられる。ゴム脚35は、本体板31aよりも僅かに-Z方向に突出し、装置載置面100と接触する。ゴム脚35が設けられることで、装置載置面100に多少の凹凸が存在していても、測色用走査装置1の姿勢を安定させることができる。
【0041】
ゴム脚35と装置載置面100との間の摩擦係数は、本体板31aと装置載置面100との間の摩擦係数より高い。よって本構成によれば、ゴム脚35を備えずに本体板31aが直接装置載置面100と接触する構成に比べて、測色用走査装置1が装置載置面100に対して滑りにくく、安定した状態で使用できる。
尚、本実施形態ではゴム脚35は本体板31aの四隅と中央部とに設けられるが、ゴム脚35の配置位置や配置数はこれに限られず、適宜変更できる。
【0042】
ファスナー37を開き、蓋部32を開くと、
図3に示す様に移動規制体34、及び測色用走査装置1の一部が露呈する。
移動規制体34は、一例としてスポンジ等の弾性材で形成することができる。
図3に示す様に移動規制体34には第1収容部34a、第2収容部34b、第3収容部34c、第4収容部34d、第5収容部34e、第6収容部34f、第7収容部34g、及び第8収容部34hが設けられている。各収容部は凹部で形成され、物品を収容可能である。
【0043】
第1収容部34aには、一例として後述する測色装置50を収容することができる。従って第1収容部34aは、大きさ、形状、深さが測色装置50の収容を想定して設計されている。これにより測色装置50を第1収容部34aに収容した際に、測色装置50と蓋部32との間で大きな隙間が形成されないとともに、測色装置50が移動規制体34から上に飛び出さない様になっている。尚、第1収容部34aには蓋部材36が設けられており、第1収容部34aに収容された測色装置50を蓋部材36によって覆うことができる。
その他の収容部には、一例として測色用走査装置1に使用するケーブル等の備品を収容することができる。
この様に移動規制体34は、物品を収容可能な収容部を複数備える。このことにより、キャリングケース30の利便性が向上する。
【0044】
尚、第5収容部34eと第6収容部34fとに対し、第5収容部34eと第6収容部34fのそれぞれの一部を覆う覆い部材33が設けられる。このことにより、特に、把持部40を把持してキャリングケース30を持ち運ぶ際に第5収容部34eと第6収容部34fに収容した物品が抜け出てしまうことを抑制できる。
【0045】
移動規制体34は、後述する測色用走査装置1のガントリー10及びキャリッジ16の移動領域を利用する様に走査用ステージ2の上部に配置される。
移動規制体34には切り欠き部34jが形成されており、切り欠き部34jの内側にキャリッジ16が配置される。
また、移動規制体34に対し+X方向にガントリー10が配置される。
移動規制体34は、蓋部32と一体に設けられており、蓋部32をケース本体31から取り外すと、
図4に示す様に蓋部32とともに移動規制体34がケース本体31から離間する。
【0046】
また移動規制体34は、蓋部32とともに開閉可能であり、蓋部32をケース本体31から取り外さずに蓋部32と移動規制体34とを
図6に示す様に開放すると、ケース本体31から測色用走査装置1を取り出すことなく測色用走査装置1を装置載置面100に載置して使用することができる。
但し本実施形態では蓋部32がケース本体31に対して着脱可能である為、蓋部32をケース本体31から取り外すことで、測色用走査装置1を使用する際に蓋部32や移動規制体34が邪魔になり難く、測色用走査装置1の使い勝手が向上する。
但し、蓋部32がケース本体31から取り外しできない構造であっても良いことは勿論である。
また移動規制体34は省略しても良い。
【0047】
尚、
図6に示す様に移動規制体34には凹部34nがX軸方向に沿って延びる様に形成されている。
図6において符号59は測色装置50と測色用走査装置1とを接続する通信ケーブルであり、通信ケーブル59はキャリッジ16から+Y方向に突出している。
ガントリー10のX軸方向への移動に伴って通信ケーブル59がX軸方向に移動する場合、凹部34nが形成されていることにより、通信ケーブル59が移動規制体34と干渉することを回避できる。
【0048】
尚、ゴム脚35を、本体板31aの外側から本体板31aを挟んで測色用走査装置1のステージ下部材4に対して固定可能に構成することも好適である。これにより測色用走査装置1と、本体板31aと、ゴム脚35とが一体化された状態となる。この場合ゴム脚35は、ねじによって測色用走査装置1のステージ下部材4に対して固定することができる。この様に構成することで、装置載置面100とゴム脚35との間の摩擦により、装置載置面100に対して測色用走査装置1が動き難くなる。加えて測色用走査装置1と本体板31aとのずれも無くすことができ、より一層測色用走査装置1を安定して使用することができる。
【0049】
続いて
図4、
図8を参照して測色用走査装置1の構成について概説する。測色用走査装置1は、大略的にはキャリッジ16に測色装置50(
図7参照)をセットし、走査用ステージ2のステージ面2aに測定対象の一例であるカラーチャート19を載置した状態で、キャリッジ16即ち測色装置50が走査用ステージ2上のカラーチャート19を走査する装置である。
一例としてカラーチャート19は、複数のカラーパッチ(不図示)がマトリクス状に配置されて成る。複数のカラーパッチには異なる色が付されている。
【0050】
走査用ステージ2のステージ面2aはX-Y平面に平行な面である。走査用ステージ2は、ステージ面2aを形成するステージ上部材3と、ステージ上部材3に対し下側に位置するステージ下部材4(
図9参照)とで構成される。ステージ下部材4は、測色用走査装置1の底部を構成する。
【0051】
測色用走査装置1は、走査用ステージ2のステージ面2aをY軸方向で跨ぐガントリー10を備える。ガントリー10は、
図9に示すガントリーモーター22の動力を受けてX軸方向に移動する。より詳しくは、ガントリー10の下端部にはフロントスライダー26が設けられている。フロントスライダー26は、X軸方向に移動可能に設けられている。
フロントスライダー26は、無端ベルト25の一部に固定されている。無端ベルト25は、+X方向の端部に位置する駆動プーリー24と、-X方向の端部に位置する不図示の従動プーリーとに掛け回されている。駆動プーリー24には、ガントリーモーター22から駆動力が伝達される。ガントリーモーター22が回転すると、無端ベルト25が周回し、これによりガントリー10がX軸方向に移動する。
【0052】
次に、ガントリー10には、
図8に示す様にキャリッジモーター20が設けられている。キャリッジモーター20のモーター軸には駆動プーリー27が設けられている。またガントリー10において+Y方向の端部には従動プーリー28が設けられている。駆動プーリー27と従動プーリー28とには無端ベルト17が掛け回されている。無端ベルト17の一部には、キャリッジスライダー15が固定されている。キャリッジスライダー15は、ガントリー10の基体を構成するフレーム11に対しY軸方向にスライド可能に設けられている。キャリッジスライダー15には、キャリッジ16が固定されている。
従ってキャリッジモーター20が回転すると無端ベルト17が周回し、キャリッジスライダー15即ちキャリッジ16がY軸方向に移動する。
【0053】
ガントリー10のX軸方向への移動とキャリッジ16のY軸方向への移動とにより、キャリッジ16にセットされた測色装置50(
図7参照)がカラーチャート19を走査することができる。このことによりキャリッジ16は、走査用ステージ2に対しY軸方向及びX軸方向に移動可能な走査部の一例となる。Y軸方向は、第1方向の一例であり、X軸方向は、第1方向に交差する第2方向の一例である。
【0054】
尚、キャリッジ16はガントリー10に対し不図示のモーターの動力を受けてZ軸方向に変位可能に設けられている。キャリッジ16に測色装置50をセットする際、キャリッジ16は走査用ステージ2から+Z方向に大きく離間する装着位置(
図9参照)に位置決めされる。
【0055】
ここで上述した様に測色用走査装置1がキャリングケース30に収容された状態において、キャリッジ16のX軸方向とY軸方向の移動を規制する移動規制体34が、キャリッジ16の移動領域を利用して配置される。このことにより、測色用走査装置1をキャリングケース30に収容して持ち運ぶ際にキャリングケース30内でキャリッジ16が意図せず動くことを抑制できる。そしてその結果、キャリッジ16の破損等を抑制できる。
尚、移動規制体34に対し+Y方向には
図3に示す様にパッド部材38が設けられている。パッド部材38は弾性材により形成される。パッド部材38は、把持部40を把持してキャリングケース30を持ち運ぶ際、ガントリー10やキャリッジ16に対して下側に位置し、ガントリー10やキャリッジ16に対して衝撃干渉効果を発揮する。
【0056】
尚、本実施形態においてキャリッジ16のホームポジションは、X軸方向において+X方向の移動限度にあり、Y軸方向において+Y方向の移動限度にある。測色用走査装置1がキャリングケース30に収容される際、キャリッジ16がホームポジションに位置することを前提とする。
そして移動規制体34は、測色用走査装置1がキャリングケース30に収容された状態において、第1規制面34kによってガントリー10即ちキャリッジ16の-X方向への移動を規制し、第2規制面34mによってキャリッジ16の-Y方向への移動を規制する。これにより、キャリッジ16がホームポジションに保持される。
【0057】
この状態においてガントリー10は+X方向の移動限度位置にあり、ガントリー10は不図示の移動規制部によって+X方向への移動が規制される。またキャリッジ16は+Y方向への移動限度位置にあり、+Y方向への移動が規制される。
図8に示す様にガントリー10の基体を構成するフレーム11において+Y方向の端部には規制部材12が設けられている。キャリッジスライダー15が規制部材12に当接することで、キャリッジスライダー15即ちキャリッジ16の+Y方向への移動が規制される。
この様な構成により、Y軸方向が鉛直方向に沿った状態でキャリングケース30が把持されると、キャリッジスライダー15ー即ちキャリッジ16は、規制部材12によって鉛直下方への移動が規制されることとなる。
【0058】
尚、キャリッジ16のホームポジションは、その他の位置であっても良い。また移動規制体34がキャリッジ16の移動を規制する際のキャリッジ16の位置は、ホームポジションに限られず、その他の位置であっても良い。
また測色用走査装置1がキャリングケース30に収容された状態において、移動規制体34は、キャリッジ16の-X方向への移動を規制するが、+X方向への移動を規制しても良いし、+X方向と-X方向の双方向の移動を規制しても良い。
同様に本実施形態では、移動規制体34はキャリッジ16の-Y方向への移動を規制するが、+Y方向への移動を規制しても良いし、+Y方向と-Y方向の双方向の移動を規制しても良い。
また、本実施形態において移動規制体34は、箱状に形成されたキャリッジ16の側面と当接する構成であるが、これに限らず、例えばキャリッジ16が箱状に形成されていなくともキャリッジ16の一部と係わり合ってキャリッジ16の移動を規制できれば良い。
【0059】
またキャリングケース30は、Y軸方向が鉛直方向に沿った状態でキャリングケース30を把持する為の把持部40を備えている。移動規制体34は、キャリッジ16が鉛直下方の移動限度に位置する状態でキャリッジ16を避ける形状を成し、具体的には切り欠き部34jによってキャリッジ16を避ける。このことにより、把持部40を把持してキャリングケース30を持ち運ぶ際、キャリッジ16が鉛直下方の移動限度に位置することとなり、キャリッジ16の鉛直方向における位置が安定し易い構成とすることができる。
【0060】
次に、
図7を参照して測色装置50について概説する。
測色装置50はカラーチャート19を測色し、測色結果を不図示のコンピューターに送信する装置である。
本実施形態に係る測色装置50はユーザーが片手でつかんで取り扱うことが可能なハンドタイプとされている。測色装置50は、装置本体51の内部に、装置の電力供給源であるバッテリー(不図示)や、入射光を処理する入射光処理部54を備えている。入射光処理部54についての詳細な説明は省略するが、本実施形態において入射光処理部54は不図示の光学フィルターを備える。
【0061】
この光学フィルターは、装置内部に入射した光から、任意の波長成分を選択的に透過させる。この光学フィルターを透過した光は、不図示の受光素子、具体的にはフォトダイオードに入射する。そして入射した光の強度が電圧値に変換されて、制御部(不図示)に出力される。測色装置50は、上記光学フィルターによる波長選択と受光強度の取得とを繰り返し行うことで、測色対象のスペクトルを測定する。光学フィルターは、本実施形態では波長可変型のファブリペローエタロンであり、二つの対向する反射面の多重干渉を利用した波長フィルターである。勿論、入射光処理部54はこの様な光学フィルターを備える構成に限られない。波長可変型のファブリペローエタロンは、光軸方向に間隔を空けて対向配置された一対のミラー(不図示)の光軸方向間隔を制御することで波長選択する構成である。
【0062】
装置の底面51aには開口部51bが形成されており、測色対象から入射光処理部54に向かう入射光は、開口部51bを介して装置内部に取り入れられる。開口部51bの内部には不図示の発光部が設けられており、この発光部から発せられる光は、開口部51bを介して装置外部に向かい、底面51aと対向する測色対象を照射する。
装置本体51の上面51cには各種操作を行う為の操作部57と、各種情報を表示する表示部58とが設けられている。
以上の様に構成された測色装置50が、測色用走査装置1のキャリッジ16に収容される。キャリッジ16は、測色装置50を収容可能な大きさ及び形状に形成されている。
【0063】
続いて蓋部32の形状について詳説する。
図1、
図9において、上述した様に蓋部32の表面は、X-Y平面に平行な第1領域32e1と、第1領域32e1から-X方向に向かって下がり傾斜状となる第2領域32e2とを備える。
第1領域32e1は、測色用走査装置1の最厚部を覆う。本実施形態において測色用走査装置1の最厚部はキャリッジ16である。
図9において符号Z1はキャリッジ16の部位における測色用走査装置1のZ軸方向寸法、即ち厚みである。厚みZ1は、キャリッジ16が上述した装着位置にある場合の厚みである。符号X0は、キャリッジ16のX軸方向寸法である。
そして第2領域32e2は、第1領域32e1から、測色用走査装置1の最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる。符号Z2は、走査用ステージ2を含む測色用走査装置1のZ軸方向寸法、即ち厚みである。厚みZ2は、厚みZ1より薄い。
尚、符号X1は第1領域32e1のX軸方向寸法であり、符号X2は第2領域32e2のX軸方向寸法である。
【0064】
この様に蓋部32は、測色用走査装置1の最厚部であるキャリッジ16を覆う第1領域32e1と、第1領域32e1から前記最厚部より厚みの薄い部位に向かって下がる第2領域32e2とを有することから、第2領域32e2によって、寝かせた状態に置かれたキャリングケース30の上に他の物品が載せられたり、複数のキャリングケース30が積み重ねられたりすることを抑制できる。その結果、キャリングケース30内の測色用走査装置1に過度な荷重が掛かって破損や故障を招くことを抑制できる。
【0065】
特に測色用走査装置1の最厚部が、走査用ステージ2に対しY軸方向及びX軸方向に移動可能なキャリッジ16である場合、キャリッジ16に外部から荷重が掛かるとキャリッジ16が故障し易い。しかしながら上述した第2領域32e2による作用効果により、キャリッジ16の故障を抑制できる。
加えて蓋部32の第2領域32e2により、移動規制体34が設けられていない場合であってもキャリッジ16即ちガントリー10がキャリングケース30内で-X方向に大きく動いてしまうことを抑制でき、この観点からもキャリッジ16の故障を抑制できる。
【0066】
またキャリッジ16は、Y軸方向に沿って延びる形状を成すとともにX軸方向に移動可能なガントリー10に設けられ、第1領域32e1は、ガントリー10の上部を覆う様にY軸方向に延びる。これによりガントリー10の全体を第1領域32e1によって保護することができる。
【0067】
また第1領域32e1は、蓋部32において+X方向の端部に位置し、第2領域32e2は、第1領域32e1から蓋部32の-X方向の端部に至るまで直線状に下がる。このことにより、寝かせた状態に置かれたキャリングケース30の上に他の物品が載せられたり、複数のキャリングケース30が積み重ねられたりすることを抑制する為の第2領域32e2が広く確保される。その結果、寝かせた状態に置かれたキャリングケース30の上に他の物品が載せられたり、複数のキャリングケース30が積み重ねられたりすることを効果的に抑制できる。
尚、第2領域32e2は、本実施形態では平らな面であるが、凹状の面であっても良いし、凸状の面であっても良い。
【0068】
また上記実施形態において第2領域32e2は第1領域32e1から蓋部32の-X方向の端部に至るまで直線状に下がるが、
図10、
図11に示す蓋部32Aの様に、第2領域32eが途中で終了しても良い。
本実施形態において蓋部32Aは、-X方向の端部に、走査用ステージ2に平行な第3領域32e3を有している。そして第2領域32e2は、X軸方向において第1領域32e1と第3領域との間に位置する。符号X3は、X軸方向における第3領域32e3の寸法である。
この様な構成によれば、キャリングケース30Aの小型化を図ることができる。
【0069】
以下、本実施形態に係るキャリングケース30のその他の特徴について説明する。
キャリングケース30は、ケース本体31と蓋部32とを接続するファスナー37を備える。ファスナー37は、ケース本体31を装置載置面100に載置した際に、鉛直方向において、走査用ステージ2のステージ面2aよりも低い位置に設けられる。これにより、走査用ステージ2のステージ面2aに測色対象を置く際にファスナー37が邪魔になり難い。
【0070】
また
図13に示す様に、ファスナー37は、測色用走査装置1の側面に設けられたコネクタ接続部41を覆わない位置に設けられる。コネクタ接続部41は、本実施形態において走査用ステージ2の+X方向の側面に設けられている。ファスナー37がコネクタ接続部41を覆わないことで、コネクタ接続部41に接続されるコネクタ(不図示)、或いは前記コネクタが取り付けられたケーブル(不図示)とファスナー37との干渉を抑制できる。
【0071】
また、
図12に示す様にケース本体31にはファスナー37より内側に内側縁部31bが設けられており、同様に蓋部32にはファスナー37より内側に内側縁部32fが設けられている。そしてファスナー37によってケース本体31と蓋部32とが接続されると、ケース本体31の内側縁部31bと蓋部32の内側縁部32fとが密着する。このことにより、ファスナー37から内側への水の侵入を抑制できる。
【0072】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1…測色用走査装置、2…走査用ステージ、2a…ステージ面、3…ステージ上部材、4…ステージ下部材、10…ガントリー、11…フレーム、12…規制部材、15…キャリッジスライダー、16…キャリッジ、17…無端ベルト、19…カラーチャート、20…キャリッジモーター、22…ガントリーモーター、24…駆動プーリー、25…無端ベルト、26…フロントスライダー、27…駆動プーリー、28…従動プーリー、
30…キャリングケース、31…ケース本体、31a…本体板、31b…内側縁部、32…蓋部、32a…第1側面、32b…第2側面、32c…第3側面、32d…第4側面、32e1…第1領域、32e2…第2領域、32e3…第3領域、32f…内側縁部、33…覆い部材、34…移動規制体、34a…第1収容部、34b…第2収容部、34c…第3収容部、34d…第4収容部、34e…第5収容部、34f…第6収容部、34g…第7収容部、34h…第8収容部、34j…切り欠き部、34k…第1規制面、34m…第2規制面、34n…凹部、35…ゴム脚、36…蓋部材、37…ファスナー、38…パッド部材、40…把持部、
50…測色装置、51…装置本体、51a…底面、51b…開口部、51c…上面、54…入射光処理部、57…操作部、58…表示部、59…通信ケーブル、60…測色システム、100…装置載置面