(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172119
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/20 20220101AFI20241205BHJP
F24H 9/02 20060101ALI20241205BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20241205BHJP
【FI】
F24H9/20 B
F24H9/02 302Z
F24H1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089644
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3L034
3L037
【Fターム(参考)】
3L034BA25
3L034BB03
3L037AA02
3L037AB02
(57)【要約】
【課題】給湯器において電装基板にかかる作業を行う際に着脱するカバーの損傷を抑制する。
【解決手段】給湯器は、筐体と、筐体内に配されるコントローラと、を備え、コントローラは、電装基板と、電装基板を収容するとともに、前面に設けられる開口から電装基板を露出する基板ケースと、基板ケースを前方から覆うフィルム状のカバー83と、を備え、基板ケースは突起部82Cを備え、カバー83は、突起部82Cが挿通される開口部86と、開口部86に連通する少なくとも1つの切込部87と、を有し、切込部87は、開口部86寄りに配されて第1方向に延びる直線部87Aと、直線部87Aにおける開口部86と反対側の端部から第1方向と異なる方向に延びる応力緩和部87Bと、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配されるコントローラと、を備え、
前記コントローラは、電装基板と、前記電装基板を収容するとともに、前面に設けられる開口から前記電装基板を露出する基板ケースと、前記基板ケースを前方から覆うフィルム状のカバーと、を備え、
前記基板ケースは突起部を備え、
前記カバーは、前記突起部が挿通される開口部と、前記開口部に連通する少なくとも1つの切込部と、を有し、
前記切込部は、前記開口部寄りに配されて第1方向に延びる直線部と、前記直線部における前記開口部と反対側の端部から前記第1方向と異なる方向に延びる応力緩和部と、を有する、給湯器。
【請求項2】
前記応力緩和部は曲線状をなしている、請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記応力緩和部は、前記直線部から枝分かれして延びる第1応力緩和部と第2応力緩和部とを有する、請求項1または請求項2に記載の給湯器。
【請求項4】
前記開口部は、第1角部、第2角部、第3角部、及び第4角部を有する四角形状であり、
前記第1角部と前記第3角部とは、前記第1方向に向かい合う対角であり、
前記第2角部と前記第4角部とは、前記第1方向に交差する第2方向に向かい合う対角であり、
前記切欠部は、1つの前記開口部に対して2つ形成され、前記第1角部と前記第3角部とから延びており、
前記第2角部及び前記第4角部は、丸みを帯びた形状をなしている、請求項1または請求項2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2019-66114号公報(下記特許文献1)に記載の給湯器が知られている。特許文献1に記載の給湯器は、前面が開口する筐体と、筐体内の上部に配され、バーナ及び熱交換器を有する燃焼室と、筐体の下部に配され、バーナの燃焼や器具内の通水量等を制御するコントローラと、を備える。コントローラは、電装基板と、電装基板を収容し、前面が開口するボックス本体と、ボックス本体の前面を開閉可能な前カバーと、を備える。前カバーはボックス本体に対して着脱可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような給湯器において、コントローラの電装基板の配線作業やメンテナンスを行う場合、まずボックス本体から前カバーを取り外して、電装基板を露出させる。そして、電装基板の配線作業やメンテナンスを行った後、ボックス本体に前カバーを取り付ける。
【0005】
特許文献1には詳細に記載されていないものの、例えばボックス本体は突起部を備え、この突起部が前カバーに形成される開口部に挿通されることで、前カバーをボックス本体に対して取り付ける態様がありうる。このような構成においては、前カバーをボックス本体に対して繰り返し着脱することにより、開口部の口縁部が変形したり、裂けたりする場合がありうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の給湯器は、筐体と、前記筐体内に配されるコントローラと、を備え、前記コントローラは、電装基板と、前記電装基板を収容するとともに、前面に設けられる開口から前記電装基板を露出する基板ケースと、前記基板ケースを前方から覆うフィルム状のカバーと、を備え、前記基板ケースは突起部を備え、前記カバーは、前記突起部が挿通される開口部と、前記開口部に連通する少なくとも1つの切込部と、を有し、前記切込部は、前記開口部寄りに配されて第1方向に延びる直線部と、前記直線部における前記開口部と反対側の端部から前記第1方向と異なる方向に延びる応力緩和部と、を有する、給湯器である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、給湯器において電装基板にかかる作業を行う際に着脱するカバーの損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる給湯暖房機の正面図である。
【
図2】
図2は、フロントカバーを除いた給湯暖房機の正面図である。
【
図4】
図4は、カバーの可動部をめくった状態を示すコントローラの斜視図である。
【
図5】
図5は、カバーを除いたコントローラの斜視図であって、突起部の周辺について拡大して示す図である。
【
図6】
図6は、開口部に突起部が挿通された状態について示すコントローラの拡大斜視図である。
【
図7】
図7は、開口部に突起部が挿通された状態について示すコントローラの拡大平面図である。
【
図8】
図8は、開口部を示すカバーの拡大平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態2にかかる開口部を示すカバーの拡大平面図である。
【
図11】
図11は、他の実施形態にかかる開口部を示すカバーの拡大平面図である。
【
図12】
図12は、他の実施形態にかかる開口部を示すカバーの拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示の給湯器は、筐体と、前記筐体内に配されるコントローラと、を備え、前記コントローラは、電装基板と、前記電装基板を収容するとともに、前面に設けられる開口から前記電装基板を露出する基板ケースと、前記基板ケースを前方から覆うフィルム状のカバーと、を備え、前記基板ケースは突起部を備え、前記カバーは、前記突起部が挿通される開口部と、前記開口部に連通する少なくとも1つの切込部と、を有し、前記切込部は、前記開口部寄りに配されて第1方向に延びる直線部と、前記直線部における前記開口部と反対側の端部から前記第1方向と異なる方向に延びる応力緩和部と、を有する。
【0011】
このような構成によると、応力緩和部は直線部が延びる第1方向と異なる方向に延びているから、外力等が加わった場合に切込部からカバーが裂けることを抑制することができる。
【0012】
(2)(1)に記載の給湯器において、前記応力緩和部は曲線状をなしていることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、応力緩和部が曲線状をなしているから、外力等が加わった場合に切込部からカバーが裂けることをより一層抑制することができる。
【0014】
(3)(1)または(2)に記載の給湯器において、前記応力緩和部は、前記直線部から枝分かれして延びる第1応力緩和部と第2応力緩和部とを有することが好ましい。
【0015】
このような構成によると、応力緩和部が第1応力緩和部と第2応力緩和部とを有するから、外力等が加わった場合に切込部からカバーが裂けることをより一層抑制することができる。
【0016】
(4)(1)から(3)に記載のいずれか1つの給湯器において、前記開口部は、第1角部、第2角部、第3角部、及び第4角部を有する四角形状であり、前記第1角部と前記第3角部とは、前記第1方向に向かい合う対角であり、前記第2角部と前記第4角部とは、前記第1方向に交差する第2方向に向かい合う対角であり、前記切欠部は、1つの前記開口部に対して2つ形成され、前記第1角部と前記第3角部とから延びており、前記第2角部及び前記第4角部は、丸みを帯びた形状をなしていることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、開口部は四角形状であるから、突起部と開口部の口縁部とが係止可能となるように開口部の径を適切に設定しやすい。また、第1方向に向かい合う第1角部と第3角部のそれぞれから切込部が延びているから、突起部を開口部に挿通しやすい。さらに、第2方向に向かい合う第2角部及び第4角部が丸みを帯びた形状をなしているから、第2角部及び第4角部からカバーが裂けることを抑制することができる。
【0018】
[本開示の実施形態1の詳細]
本開示の実施形態1について、
図1から
図9を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[給湯暖房機の全体構造]
本実施形態の給湯暖房機1(給湯器の一例)は、供給された水道水を加熱して外部に湯を供給する給湯機能と、湯を外部の室内や床下に設置された放熱器に供給し、室内や床を暖房する暖房機能と、を併せ持つ。詳細には、給湯暖房機1は、給湯回路Aと、暖房回路Bと、風呂回路Cと、を有する。
【0020】
図2に示すように、給湯暖房機1は、筐体70、筐体70内に収容される内胴2、コントローラ80等を備えている。筐体70は、前面に開口71Aを有する箱状の筐体本体71と、筐体本体71の開口71Aを閉塞するフロントカバー72(
図1参照)と、を備える。筐体本体71は、正面視で下側に位置する底板部71Bと、正面視で左側に位置する左側板部71Cと、正面視で右側に位置する右側板部71Dと、正面視で上側に位置する天板部71Eと、背面側に位置する背面壁71Fと、を備えている。
図1に示すように、フロントカバー72は、排気筒16が収容される排気口73や、外気を取り込むための給気口74等を有している。
【0021】
図2に示すように、内胴2は、給湯燃焼室4、暖房燃焼室5、給湯一次熱交換器11、暖房一次熱交換器13、給湯二次熱交換器12、暖房二次熱交換器14、排気フード15等を備えている。内胴2は左右に仕切られており、右側に給湯燃焼室4、給湯一次熱交換器11、給湯二次熱交換器12が、左側に暖房燃焼室5、暖房一次熱交換器13、暖房二次熱交換器14が設けられている。
【0022】
図9に示すように、給湯暖房機1は、内胴2内に、仕切部材3によって仕切り形成される給湯燃焼室4及び暖房燃焼室5と、バーナ6と、を有している。バーナ6は、給湯燃焼室4の下部に配される給湯バーナ6Aと、暖房燃焼室5の下部に配される暖房バーナ6Bと、を備えている。また、各燃焼室4,5には、点火プラグ8とフレームロッド9とがそれぞれ設けられている。内胴2の下部には、各バーナ6A,6Bへ燃焼用空気を供給する燃焼ファン10が設けられている。
【0023】
給湯燃焼室4内の上部には、給湯バーナ6Aの燃焼排気が通過する給湯一次熱交換器11及び給湯二次熱交換器12が設けられている。暖房燃焼室5の上部には、暖房バーナ6Bの燃焼排気が通過する暖房一次熱交換器13及び暖房二次熱交換器14が設けられている。各二次熱交換器12,14は、内胴2の上部に設けられた排気フード15内に収容されている。排気フード15には、各二次熱交換器12,14を通過した燃焼排気を排出する排気筒16が形成されている。
【0024】
筐体70の底板部71Bに設けたガス入口には、外部からのガス配管が接続されるガス管17が接続されている。各給湯バーナ6Aと暖房バーナ6Bとには、ガス管17から分岐するガス分岐管18,18・・がそれぞれ接続されると共に、各ガス分岐管18には、ガス流路を開閉するガス電磁弁19がそれぞれ設けられている。また、分岐前のガス管17には、上流側から元ガス電磁弁20、ガス比例弁21がそれぞれ設けられている。
【0025】
給湯二次熱交換器12の吸熱管の入口には、底板部71Bの水入口に接続される給水管22が接続される。給水管22には、上流側から、水抜き栓を備えたストレーナ23と、給水管22を流れる水量を検出する給湯水量センサ24と、入水温度を検出する給湯入水サーミスタ25と、給水管22を流れる水量を制御する水量制御弁26とが設けられている。吸熱管の出口は、給湯一次熱交換器11の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には、底板部71Bの湯出口に接続される出湯管27が接続される。出湯管27には、給湯一次熱交換器11からの出口温度を検出する給湯熱交換器サーミスタ28と、給湯熱交換器サーミスタ28より下流側で器具からの出湯温度を検出する給湯出湯サーミスタ29と、が設けられている。出湯管27における給湯出湯サーミスタ29の上流側と、給水管22における水量制御弁26の下流側との間には、給湯一次、二次熱交換器11,12をバイパスするバイパス管30が接続され、バイパス管30には、バイパス流量を制御する水分配弁31が設けられている。
【0026】
こうして筐体70内には、給水管22からの水が給湯二次熱交換器12、給湯一次熱交換器11の順に通過して給湯バーナ6Aの燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管27から出湯される給湯回路Aが形成される。
【0027】
一方、暖房二次熱交換器14の吸熱管の入口には、底板部71Bの暖房戻り口に接続された暖房戻り管32が接続される。暖房戻り口は、給湯暖房機1外部の高温放熱器33及び低温放熱器34から延びる配管の下流端と接続される。高温放熱器33は例えば室内へと温風を吹き出す暖房送風機である。低温放熱器34は例えば床暖房である。暖房二次熱交換器14の吸熱管の出口は中間配管35に接続されている。中間配管35には、暖房タンク69及び暖房循環ポンプ36が設けられている。暖房タンク69は、暖房回路Bを循環する液体(本実施形態では水)が加熱されて膨張した場合に、暖房回路Bを構成する配管等が破損することを防止するためのものである。暖房タンク69には、暖房低温サーミスタ37が設けられている。
【0028】
中間配管35の下流側の端部は、暖房低温往き管38及び暖房一次熱交換器13の伝熱管の入口に接続されている。暖房低温往き管38は内蔵熱動弁39を介して低温放熱器34に接続されている。暖房一次熱交換器13の伝熱管の出口は、暖房高温往き管40に接続されている。暖房高温往き管40は高温放熱器33と接続されている。暖房高温往き管40には、暖房高温サーミスタ41が設けられている。暖房高温往き管40と暖房戻り管32との間は、風呂加熱用配管42によって接続されている。風呂加熱用配管42には、追い炊き流量制御弁43が設けられている。中間配管35における暖房タンク69の上流側と、暖房高温往き管40との間には、暖房一次、暖房二次熱交換器13,14をバイパスする暖房バイパス管44が接続され、暖房バイパス管44には、バイパス流量を制御するバイパス熱動弁45が設けられている。
【0029】
よって、暖房回路Bでは、暖房二次熱交換器14で加熱された湯は、中間配管35、暖房タンク69、暖房低温往き管38、低温放熱器34を介して暖房戻り管32へと循環するとともに、中間配管35を介して、暖房一次熱交換器13へと流入する。暖房一次熱交換器13で加熱された湯は、暖房高温往き管40、高温放熱器33を介して、暖房戻り管32へ戻り、暖房二次熱交換器14、中間配管35、暖房タンク69を介して、暖房一次熱交換器13へと循環する。
【0030】
風呂回路Cには、風呂加熱用配管42が内挿される風呂熱交換器46が設けられている。風呂熱交換器46の入口は、底板部71Bの風呂戻り口に接続された風呂戻り管47が接続される。風呂戻り口は、外部風呂戻り管48を介して浴槽49と接続される。風呂戻り管47の下流側には風呂循環ポンプ50が設けられている。風呂循環ポンプ50の上流側には、風呂戻り温度を検出する風呂戻りサーミスタ51が設けられている。風呂循環ポンプ50の下流側には、水流スイッチ52と水位センサ53とが設けられている。風呂熱交換器46の出口は、底板部71Bの風呂往き口に接続される風呂往き管54に接続されている。風呂往き口は、外部風呂往き管55を介して浴槽49と接続されている。風呂往き管54には、風呂往き温度を検出する風呂往きサーミスタ56が設けられている。
【0031】
また、出湯管27におけるバイパス管30より下流側と、風呂戻り管47における風呂循環ポンプ50よりも上流側との間には、落とし込み管57が接続される。この落とし込み管57には、上流側(出湯管27側)から、落とし込み管57を開閉する落とし込み水電磁弁58と、落とし込み管57を流れる水量を検出する風呂水量センサ59とがそれぞれ設けられている。落とし込み管57により、給湯回路Aで加熱された湯を浴槽49へ供給可能となっている。風呂水量センサ59の下流側には、3つの逆止弁60,60,60が設けられている。これらの逆止弁60の間には、縁切弁61が接続されている。この縁切弁61は、底板部71Bに設けたオーバーフロー排出口に接続される排水管62と、給水管22におけるストレーナ23の下流側と接続された導入管63とが接続されている。落とし込み管57内の湯水の内圧が、風呂戻り管47からの逆圧によって高まり、導入管63からの背圧よりも大きくなると、縁切弁61は、落とし込み管57から逆流した湯水を、排水管62を介してオーバーフロー排出口へと排出するようになっている。
【0032】
このように、風呂熱交換器46、風呂往き管54、風呂戻り管47等によって、浴槽49の湯水を循環させる風呂回路Cが形成される。
【0033】
筐体70内には、給湯二次熱交換器12及び暖房二次熱交換器14で生じたドレンを中和するための中和器64が設けられている。この中和器64は、ドレン導入管65を介して排気フード15の底面に設けたドレン受け66と接続されるとともに、ドレン排出管67を介して縁切弁61の排水管62と接続されている。中和器64には、水位を検出する水位電極68が設けられている。
【0034】
コントローラ80(
図9では不図示)は、各サーミスタやセンサ等の検出信号を受けて各弁等を動作させて出湯温制御や浴槽49への湯張り制御、暖房に関する温度制御等を行う。図示しないものの、給湯暖房機1は、コントローラ80と通信可能に接続されるリモコン等を備えている。
【0035】
[コントローラ]
コントローラ80は、
図4に示すように、電装基板81と、電装基板81を収容する基板ケース82と、基板ケース82を前方から覆うフィルム状のカバー83と、を備えている。電装基板81は、例えばコネクタやスイッチ等を備えている。電装基板81は、給水管22や出湯管27等の各配管に取り付けられるサーミスタや水量センサ等の検出部品や、モータや電磁弁等のアクチュエータ等の複数の電気部品と電気的に接続されている。
【0036】
基板ケース82は箱状をなし、基板ケース82の前面には開口82Dが設けられている。カバー83がめくられる、もしくは基板ケース82から取り外されることにより、開口82Dから電装基板81が前方に露出するようになっている。基板ケース82の上壁及び右壁には、基板ケース82を筐体70内において固定するための取付片82Aが突設されている。取付片82Aはネジ止め等により筐体70内部の他の部材(例えば内胴2等)に固定される。基板ケース82の下壁には、脚部82Bが突設されている。脚部82Bの先端部には係合突起82B1が形成されている。係合突起82B1は筐体70の底板部71Bに設けられる係合孔(図示しない)に挿通されるようになっている。
【0037】
図5に示すように、基板ケース82は、基板ケース82の上壁から上方に突出する突起部82Cを備えている。突起部82Cは、軸部82C1と、軸部82C1の先端部(上端部)に配される頭部82C2と、を備えている。軸部82C1は円柱状をなし、上下方向に延びている。頭部82C2は円盤状をなし、軸部82C1の延び方向(上下方向)に直交する径方向(水平方向)について軸部82C1よりも外側に広がっている。
図7に示すように、頭部82C2の径方向の寸法L2は軸部82C1の径方向の寸法L1より大きくなっている。
【0038】
カバー83は絶縁性の樹脂から構成され、柔軟性を有している。
図3に示すように、カバー83は、基板ケース82に固定される固定部84と、固定部84に接続され、固定部84に対して移動可能な可動部85と、を備えている。固定部84は、本体部84Aと、本体部84Aの上端縁から後方に延びる固定片84Bと、を備えている。本体部84Aは、左右方向に長い第1部分84A1と、第1部分84A1の右側略三分の一の部分から下方に延びる第2部分84A2と、を備えている。本体部84Aは、正面視で略L字状をなしている。固定片84Bは本体部84Aに対して略直角に折り曲げられている。
【0039】
可動部85は、第1部分84A1の左側略三分の二に配される部分から延びている。可動部85と第1部分84A1との境界には左右方向に延びる折り目85Aが形成されている。この折り目85Aで可動部85を折り曲げることで、
図4に示すように、固定部84を移動させずに、可動部85をめくるようにして動かすことができる。可動部85をめくることにより、電装基板81の一部を前方に露出させることができる。
図3に示すように、可動部85が固定部84に対して折り曲げられていない状態では、電装基板81の全体は前方からカバー83によって覆われる。また、可動部85の下端と固定部84の下端とは略同じ高さ位置に配される。
【0040】
図6に示すように、固定部84は、固定片84Bを貫通する開口部86を有している。開口部86には突起部82Cが挿通されるようになっている。
図8に示すように、開口部86は、平面視において第1角部86A、第2角部86B、第3角部86C、及び第4角部86Dを有する略正方形状をなしている。
図7に示すように、開口部86の孔径は最大径R1と最小径R2との間の大きさを有して構成されている。開口部86を正方形として見た場合に、最大径R1は正方形の対角線の長さに対応し、最小径R2は正方形の辺の長さに対応している。開口部86の最大径R1は頭部82C2の径方向の寸法L2より大きい。開口部86の最小径R2は頭部82C2の径方向の寸法L2より小さく、軸部82C1の径方向の寸法L1より大きい。このような寸法設定によれば、開口部86に突起部82Cを挿通した状態を維持しやすくなる。
【0041】
図8に示すように、固定片84Bには開口部86に連通可能とされる切込部87が形成されている。開口部86の口縁部を撓ませることにより開口部86に連通する切込部87を広げて、突起部82Cを開口部86に容易に挿通することができる。本実施形態では、1つの開口部86に対して切込部87は2つ形成されている。2つの切込部87は、略正方形状の開口部86の第1角部86Aと第3角部86Cとにそれぞれ連通している。第1角部86A及び第3角部86Cは、前後方向に向かい合う対角とされている。すなわち、第1角部86A及び第3角部86Cは、前後方向に延びる対角線上に位置している。
【0042】
第2角部86B及び第4角部86Dは、左右方向(第2方向の一例)に向かい合う対角とされている。すなわち、第2角部86B及び第4角部86Dは、左右方向に延びる対角線上に位置している。第2角部86B及び第4角部86Dは、切込部87と連通しない配置とされている。第2角部86B及び第4角部86Dは、丸みを帯びた形状となっている。これにより、突起部82Cを開口部86に挿通する際等に、第2角部86B及び第4角部86Dからカバー83が裂けることを抑制することができる。
【0043】
各切込部87は、開口部86寄りに配される直線部87Aと、開口部86と反対側に配される直線部87Aの端部から延びる応力緩和部87Bと、を有している。直線部87Aは前後方向(第1方向の一例)に延びている。1つの開口部86に設けられる2つの直線部87Aは、前後方向に並んで配置されている。より詳細には、2つの直線部87Aは、開口部86の中心を通る同一直線上に配置されている。
【0044】
応力緩和部87Bは、直線部87Aの延び方向(前後方向)とは異なる方向に延びている。換言すると、応力緩和部87Bは、直線部87Aの延び方向とは異なる方向に延びる部分を有していればよく、応力緩和部87Bの一部が直線部87Aの延び方向に延びていてもよい。本実施形態では、応力緩和部87Bは曲線状をなしている。例えば、応力緩和部87Bは、平面視において略U字状をなしている。
【0045】
本実施形態とは異なり、切込部が応力緩和部を有さない場合、例えば開口部に突起部を挿通する際等に、開口部の口縁部に外力が働き、切込部が直線部の延び方向に広がり、カバーが割けることが考えられる。しかしながら、本実施形態では、切込部87は直線部87Aと異なる方向に延びる応力緩和部87Bを有するから、外力により切込部87が直線部87Aの延び方向に広がり、カバー83が割けることを抑制することができる。
【0046】
[実施形態1の作用効果]
以上のように、実施形態1の給湯器(給湯暖房機1)は、筐体70と、筐体70内に配されるコントローラ80と、を備え、コントローラ80は、電装基板81と、電装基板81を収容するとともに、前面に設けられる開口82Dから電装基板81を露出する基板ケース82と、基板ケース82を前方から覆うフィルム状のカバー83と、を備え、基板ケース82は突起部82Cを備え、カバー83は、突起部82Cが挿通される開口部86と、開口部86に連通する少なくとも1つの切込部87と、を有し、切込部87は、開口部86寄りに配されて第1方向(前後方向)に延びる直線部87Aと、直線部87Aにおける開口部86と反対側の端部から第1方向と異なる方向に延びる応力緩和部87Bと、を有する。
【0047】
このような構成によると、応力緩和部87Bは直線部87Aが延びる第1方向と異なる方向に延びているから、外力等が加わった場合に切込部87からカバー83が裂けることを抑制することができる。
【0048】
実施形態1では、応力緩和部87Bは曲線状をなしている。
【0049】
このような構成によると、応力緩和部87Bが曲線状をなしているから、外力等が加わった場合に切込部87からカバー83が裂けることをより一層抑制することができる。
【0050】
実施形態1では、開口部86は、第1角部86A、第2角部86B、第3角部86C、及び第4角部86Dを有する四角形状であり、第1角部86Aと第3角部86Cとは、第1方向に向かい合う対角であり、第2角部86Bと第4角部86Dとは、第1方向に交差する第2方向(左右方向)に向かい合う対角であり、切欠部87は、1つの開口部86に対して2つ形成され、第1角部86Aと第3角部86Cとから延びており、第2角部86B及び第4角部86Dは、丸みを帯びた形状をなしている。
【0051】
このような構成によると、開口部86は四角形状であるから、突起部82Cと開口部86の口縁部とが係止可能となるように開口部86の径を適切に設定しやすい。また、第1方向に向かい合う第1角部86Aと第3角部86Cのそれぞれから切込部87が延びているから、突起部82Cを開口部86に挿通しやすい。さらに、第2方向に向かい合う第2角部86B及び第4角部86Dが丸みを帯びた形状をなしているから、第2角部86B及び第4角部86Dからカバー83が裂けることを抑制することができる。
【0052】
[本開示の実施形態2の詳細]
本開示の実施形態2について、
図10を参照しつつ説明する。実施形態2の構成は、切込部187の応力緩和部187Bを除いて、実施形態1の構成と同様となっている。以下、実施形態1と同様の部材には実施形態1と同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
【0053】
実施形態2にかかる応力緩和部187Bは、第1応力緩和部187B1と、第2応力緩和部187B2と、を有している。第1応力緩和部187B1及び第2応力緩和部187B2は、直線部87Aから枝分かれするように延びている。平面視において、切込部187は全体として略Y字状をなしている。第1応力緩和部187B1及び第2応力緩和部187B2は、それぞれ直線部87Aと鈍角をなして放射状に広がっている。
【0054】
[実施形態2の作用効果]
以上のように、実施形態2では、応力緩和部187Bは、直線部87Aから枝分かれして延びる第1応力緩和部187B1と第2応力緩和部187B2とを有する。
【0055】
このような構成によると、応力緩和部187Bが第1応力緩和部187B1と第2応力緩和部187B2とを有するから、外力等が加わった場合に切込部187からカバー83が裂けることをより一層抑制することができる。
【0056】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態1では、応力緩和部87Bは曲線状をなしていたが、
図11に示すように、切込部287の応力緩和部287Bは直線状であってもよい。また
図11では、応力緩和部287Bは直線部87Aと直角に配されており、切込部287は全体として略L字状をなしているが、応力緩和部は直線部と交差する配置であればよい。
【0057】
(2)上記実施形態2では、応力緩和部187Bは直線状の第1応力緩和部187B1と第2応力緩和部187B2とを有していたが、
図12に示すように、切込部387の応力緩和部387Bは曲線状の第1応力緩和部387B1と第2応力緩和部387B2とを有していてもよい。
【0058】
(3)上記実施形態2では、切込部187は全体として略Y字状をなしていたが、第1応力緩和部と第2応力緩和部とは直線部に直交する方向に延びており、切込部は全体として略T字状をなしていてもよい。
【0059】
(4)上記実施形態1,2と異なり、応力緩和部は直線部から3本以上に枝分かれしていてもよい。
【0060】
(5)上記実施形態1,2では、1つの開口部86に対して、それぞれ2つの切込部87,187が形成されていたが、1つの開口部に対して1つまたは3つ以上の切込部が形成されていてもよい。また、1つの開口部に複数の切込部が設けられる場合、複数の切込部の相対的な配置は、本開示の目的が達成可能な範囲において適宜修正することができる。
【0061】
(6)上記実施形態1,2では、開口部86は平面視において略正方形状をなしていたが、開口部は他の形状をなしていてもよい。例えば、開口部の形状は、長方形や菱形、その他の多角形状、円形状、楕円形等であってもよい。
【0062】
(7)上記実施形態1では、本開示の給湯器として、給湯回路A、暖房回路B、及び風呂回路Cを含む給湯暖房機1を例示したが、給湯器は暖房回路及び風呂回路を含まなくてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1:給湯暖房機(給湯器)
2:内胴、3:仕切部材、4:給湯燃焼室、5:暖房燃焼室、6:バーナ、6A:給湯バーナ、6B:暖房バーナ、8:点火プラグ、9:フレームロッド、10:燃焼ファン、11:給湯一次熱交換器、12:給湯二次熱交換器、13:暖房一次熱交換器、14:暖房二次熱交換器、15:排気フード、16:排気筒、17:ガス管、18:ガス分岐管、19:ガス電磁弁、20:元ガス電磁弁、21:ガス比例弁、22:給水管、23:ストレーナ、24:給湯水量センサ、25:給湯入水サーミスタ、26:水量制御弁、27:出湯管、28:給湯熱交換器サーミスタ、29:給湯出湯サーミスタ、30:バイパス管、31:水分配弁、32:暖房戻り管、33:高温放熱器、34:低温放熱器、35:中間配管、36:暖房循環ポンプ、37:暖房低温サーミスタ、38:暖房低温往き管、39:内蔵熱動弁、40:暖房高温往き管、41:暖房高温サーミスタ、42:風呂加熱用配管、43:追い炊き流量制御弁、44:暖房バイパス管、45:バイパス熱動弁、46:風呂熱交換器、47:風呂戻り管、48:外部風呂戻り管、49:浴槽、50:風呂循環ポンプ、51:風呂戻りサーミスタ、52:水流スイッチ、53:水位センサ、54:風呂往き管、55:外部風呂往き管、56:風呂往きサーミスタ、57:落とし込み管、58:落とし込み水電磁弁、59:風呂水量センサ、60:逆止弁、61:縁切弁、62:排水管、63:導入管、64:中和器、65:ドレン導入管、66:ドレン受け、67:ドレン排出管、68:水位電極、69:暖房タンク
A:給湯回路、B:暖房回路、C:風呂回路
70:筐体、71:筐体本体、71A:開口、71B:底板部、71C:左側板部、71D:右側板部、71E:天板部、71F:背面壁、72:フロントカバー、73:排気口、74:給気口
80:コントローラ
81:電装基板
82:基板ケース、82A:取付片、82B:脚部、82B1:係合突起、82C:突起部、82C1:軸部、82C2:頭部、82D:開口
83:カバー、84:固定部、84A1:第1部分、84A2:第2部分、84A:本体部、84B:固定片、85:可動部、85A:折り目、86:開口部、86A:第1角部、86B:第2角部、86C:第3角部、86D:第4角部、87:切込部、87A:直線部、87B:応力緩和部
L1:軸部の径方向の寸法、L2:頭部の径方向の寸法
R1:開口部の最大径、R2:開口部の最小径
187:切込部、187B:応力緩和部、187B1:第1応力緩和部、187B2:第2応力緩和部
287:切込部、287B:応力緩和部
387:切込部、387B:応力緩和部、387B1:第1応力緩和部、387B2:第2応力緩和部