(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172123
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】プロピレン系重合体
(51)【国際特許分類】
C08F 10/06 20060101AFI20241205BHJP
C09J 123/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C08F10/06
C09J123/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089650
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】596133485
【氏名又は名称】日本ポリプロ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北浦 快人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正顕
(72)【発明者】
【氏名】福田 敬治
【テーマコード(参考)】
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4J040DA091
4J040HD30
4J040HD36
4J040JB01
4J040KA16
4J040KA17
4J040KA23
4J040KA26
4J040KA29
4J040KA36
4J040KA42
4J040LA01
4J040LA02
4J040MA11
4J100AA03P
4J100CA01
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA19
4J100DA24
4J100DA43
4J100FA03
4J100FA10
4J100FA18
4J100FA28
4J100FA29
4J100FA43
4J100GB05
4J100JA01
(57)【要約】
【課題】分子量が制御され、かつ、ポリマー鎖末端に二重結合を有し、その二重結合が高い割合でビニル構造となる高度に末端構造が制御されたプロピレン系重合体を提供する。
【解決手段】下記(1)~(3)の特性を有することを特徴とするプロピレン系重合体(A)。特性(1):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)が1000~30万。特性(2):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が2.0~4.0。特性(3):末端に二重結合を持ち、全ポリマー鎖のうち末端に二重結合を持つポリマー鎖の割合(末端二重結合率(R)、R=[V]/[(総末端数-LCB数)÷2])が、0.7以上。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)~(3)の特性を有することを特徴とするプロピレン系重合体(A)。
特性(1):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)が1000~30万。
特性(2):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が2.0~4.0。
特性(3):末端に二重結合を持ち、全ポリマー鎖のうち末端に二重結合を持つポリマー鎖の割合(末端二重結合率(R)、R=[V]/[(総末端数-LCB数)÷2])が、0.7以上。
(ただし、[V]=[Vi]+[Vd]。[Vi]及び[Vd]は、1H-NMRより算出する1000モノマー当りの、末端ビニル基の数及び末端ビニリデン基の数である。総末端数は、13C-NMRにより算出される1000モノマー当たりの末端の総数である。LCB数(長鎖分岐数)は、13C-NMRにより算出される1000モノマー当たりの炭素数7以上の分岐鎖の根元のメチン炭素の数である。)
【請求項2】
さらに下記(4)及び(5)の特性を有することを特徴とする、請求項1に記載のプロピレン系重合体(A)。
特性(4):全ポリマー鎖のうち、前記二重結合がビニルであるポリマー鎖の割合(末端ビニル率(Rv)=[Vi]/[(総末端数-LCB数)÷2])が0.7以上。
特性(5):全ポリマー鎖のうち、前記二重結合がビニリデンであるポリマー鎖の割合(末端ビニリデン率(Rvd)=[Vd]/[(総末端数-LCB数)÷2])が0.1未満。
【請求項3】
さらに下記(6)の特性を有することを特徴とする、請求項1に記載のプロピレン系重合体(A)。
特性(6):融点が、60℃~160℃。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、シール用接着剤用組成物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、シール用接着剤。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤用組成物。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤用組成物。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと金属との接着剤用組成物。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと金属との接着剤。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤用組成物。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤。
【請求項14】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含み、前記プロピレン系共重合体(A)が有機溶剤に溶解していることを特徴とする、接着剤用組成物、粘着剤用組成物、塗料用組成物、シーリング材組成物、改質材組成物又はプライマー用組成物。
【請求項15】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含み、前記プロピレン系共重合体(A)が有機溶剤に溶解していることを特徴とする、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング剤、改質剤又はプライマー。
【請求項16】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含み、前記プロピレン系共重合体(A)が水性媒体に分散していることを特徴とする、接着剤用組成物、粘着剤用組成物、塗料用組成物、シーリング材組成物、改質材組成物又はプライマー用組成物。
【請求項17】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を含み、前記プロピレン系共重合体(A)が水性媒体に分散していることを特徴とする、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング剤、改質剤又はプライマー。
【請求項18】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、シール用接着剤用組成物。
【請求項19】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、シール用接着剤。
【請求項20】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤用組成物。
【請求項21】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤。
【請求項22】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤用組成物。
【請求項23】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤。
【請求項24】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと金属との接着剤用組成物。
【請求項25】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと金属との接着剤。
【請求項26】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤用組成物。
【請求項27】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤。
【請求項28】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなり、プロピレン系重合体(A)および生成物の少なくとも一方が有機溶剤に溶解していることを特徴とする、接着剤用組成物、粘着剤用組成物、塗料用組成物、シーリング材組成物、改質材組成物又はプライマー用組成物。
【請求項29】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなり、プロピレン系重合体(A)および生成物の少なくとも一方が有機溶剤に溶解していることを特徴とする、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング剤、改質剤又はプライマー。
【請求項30】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなり、プロピレン系重合体(A)および生成物の少なくとも一方が水性媒体に分散していることを特徴とする、接着剤用組成物、粘着剤用組成物、塗料用組成物、シーリング材組成物、改質材組成物又はプライマー用組成物。
【請求項31】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなり、プロピレン系重合体(A)および生成物の少なくとも一方が水性媒体に分散していることを特徴とする、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング剤、改質剤又はプライマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン系重合体に関し、詳しくは、ビニル末端構造を高い割合で含有するように末端構造を高度に制御したプロピレン系重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレン重合体やプロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィンは安価であり、機械的物性、耐熱性、耐薬品性及び耐水性等に優れていることから、広い産業分野で使用されている。しかしながら、ポリオレフィンは、分子中に極性基がなく極性が低いため、ポリオレフィン基材に対しては塗装や接着が困難な場合が多く、塗装性や接着性の改善が望まれていた。
【0003】
また、自動車内外装部品等の各種工業部品等に使用するために、ポリオレフィンには剛性や衝撃、寸法安定性などの性能をバランスよく、より高度に必要とされており、従来からガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維等のフィラーを配合する工夫がされてきたが、ポリオレフィンを基材とした場合、ポリオレフィン基材に対してフィラーの接着性が低く、接着強度が不十分であった。
【0004】
ポリオレフィン基材への接着性の改質方法としては、変性ポリオレフィン、および、変性ポリオレフィンに親水性高分子やアクリル樹脂等をグラフト結合されたグラフト共重合体があり、塗料、プライマー、表面改質剤、コーティング材、又はフィラーとの接着剤の原料として使用されてきた。
【0005】
変性ポリオレフィンは、特許文献1によれば原料であるポリプロピレンを熱的減成法により熱減成して得られた分子末端に二重結合を有する熱減成物に不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)をグラフト反応性させることで製造される。しかし、分子鎖の片末端だけに二重結合を持たせると言った制御が困難であるため、グラフト反応の中に架橋してゲル状物を生成し、製品に適用した際に外観不良を起こすことがあった。
また、熱減成で生成した低分子量の熱減成物はグラフト反応後に製品として回収できず廃棄されることがあり、生産性低下の要因の一つとなっている。
【0006】
また、特許文献2および特許文献3では、末端不飽和ポリオレフィンを製造する方法が記載されている。
一方、接着剤などの用途においては、より反応性が高い材料が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-156007号公報
【特許文献2】WO2011/148586 A1号公報
【特許文献3】WO2013/183611 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、従来の技術の現状に鑑み、分子量が制御され、かつ、ポリマー鎖末端に二重結合を有し、その二重結合が高い割合でビニル構造となる高度に末端構造が制御されたプロピレン系重合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Q値)を有する、ポリプロピレン系重合体が上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の各項目に関する。
[1]下記(1)~(3)の特性を有することを特徴とするプロピレン系重合体(A)。
特性(1):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)が1000~30万。
特性(2):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が2.0~4.0。
特性(3):末端に二重結合を持ち、全ポリマー鎖のうち末端に二重結合を持つポリマー鎖の割合(末端二重結合率(R)、R=[V]/[(総末端数-LCB数)÷2])が、0.7以上。
(ただし、[V]=[Vi]+[Vd]。[Vi]及び[Vd]は、1H-NMRより算出する1000モノマー当りの、末端ビニル基の数及び末端ビニリデン基の数である。総末端数は、13C-NMRにより算出される1000モノマー当たりの末端の総数である。LCB数(長鎖分岐数)は、13C-NMRにより算出される1000モノマー当たりの炭素数7以上の分岐鎖の根元のメチン炭素の数である。)
[2]さらに下記(4)及び(5)の特性を有することを特徴とする、前記[1]に記載のプロピレン系重合体(A)。
特性(4):全ポリマー鎖のうち、前記二重結合がビニルであるポリマー鎖の割合(末端ビニル率(Rv)=[Vi]/[(総末端数-LCB数)÷2])が0.7以上。
特性(5):全ポリマー鎖のうち、前記二重結合がビニリデンであるポリマー鎖の割合(末端ビニリデン率(Rvd)=[Vd]/[(総末端数-LCB数)÷2])が0.1未満。
[3]さらに下記(6)の特性を有することを特徴とする、前記[1]に記載のプロピレン系重合体(A)。
特性(6):融点が、60℃~160℃。
[4]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、シール用接着剤用組成物。
[5]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、シール用接着剤。
[6]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤用組成物。
[7]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤。
[8]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤用組成物。
[9]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤。
[10]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと金属との接着剤用組成物。
[11]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、ポリオレフィンと金属との接着剤。
[12]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤用組成物。
[13]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含むことを特徴とする、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤。
[14]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含み、前記プロピレン系共重合体(A)が有機溶剤に溶解していることを特徴とする、接着剤用組成物、粘着剤用組成物、塗料用組成物、シーリング材組成物、改質材組成物又はプライマー用組成物。
[15]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含み、前記プロピレン系共重合体(A)が有機溶剤に溶解していることを特徴とする、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング剤、改質剤又はプライマー。
[16]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含み、前記プロピレン系共重合体(A)が水性媒体に分散していることを特徴とする、接着剤用組成物、粘着剤用組成物、塗料用組成物、シーリング材組成物、改質材組成物又はプライマー用組成物。
[17]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を含み、前記プロピレン系共重合体(A)が水性媒体に分散していることを特徴とする、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング剤、改質剤又はプライマー。
[18]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、シール用接着剤用組成物。
[19]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、シール用接着剤。
[20]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤用組成物。
[21]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤。
[22]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤用組成物。
[23]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤。
[24]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと金属との接着剤用組成物。
[25]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、ポリオレフィンと金属との接着剤。
[26]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤用組成物。
[27]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなることを特徴とする、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤。
[28]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなり、プロピレン系重合体(A)および当該生成物の少なくとも一方が有機溶剤に溶解していることを特徴とする、接着剤用組成物、粘着剤用組成物、塗料用組成物、シーリング材組成物、改質材組成物又はプライマー用組成物。
[29]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなり、プロピレン系重合体(A)および当該生成物の少なくとも一方が有機溶剤に溶解していることを特徴とする、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング剤、改質剤又はプライマー。
[30]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなり、プロピレン系重合体(A)および当該生成物の少なくとも一方が水性媒体に分散していることを特徴とする、接着剤用組成物、粘着剤用組成物、塗料用組成物、シーリング材組成物、改質材組成物又はプライマー用組成物。
[31]前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系重合体(A)を用いて製造してなり、プロピレン系重合体(A)および当該生成物の少なくとも一方が水性媒体に分散していることを特徴とする、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング剤、改質剤又はプライマー。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプロピレン系重合体は、ポリマー鎖末端に二重結合を有し、その二重結合が高い割合でビニル構造であってビニリデン構造が少ない、末端構造を高度に制御したプロピレン系重合体である。そのような特性により、本発明のプロピレン系重合体をマクロモノマー共重合用の原料や末端変性の原料として用いた場合に、未反応で残存する重合体が少なく、マクロモノマー共重合効率や末端変性効率が高く機械物性や機能性を低下させることがないことが期待できる。また、ビニリデン末端が少ないことにより、色相や耐候性を悪化させることなく、変性時の副生成物を抑制する効果も期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0013】
1.プロピレン系重合体(A)
本発明のプロピレン系重合体は、下記特性(1)~(3)の特性を有するロピレン系重合体(A)である。
特性(1):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重量平均分子量(Mw)が1000~30万。
特性(2):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn,Q値)が2.0~4.0。
特性(3):末端に二重結合を持ち、全ポリマー鎖のうち末端に二重結合を持つポリマー鎖の割合(末端二重結合率R,R=[V]/[(総末端数-LCB数)÷2])が、0.7以上。
(ただし、[V]=[Vi]+[Vd]であり、[Vi]及び[Vd]は、1H-NMRより算出する1000モノマー当りの、末端ビニル基の数及び末端ビニリデン基の数である。総末端数は、13C-NMRにより算出される1000モノマー当たりの末端の総数である。LCB数(長鎖分岐数)は、13C-NMRにより算出される1000モノマー当たりの炭素数7以上の分岐鎖の根元のメチン炭素の数である。)
【0014】
1-1.特性(1):重量平均分子量(Mw)
本発明のプロピレン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られるMwが、1000~30万である。下限値としては、好ましくは1000以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは5000以上、特に好ましい10000以上である。上限値としては、好ましくは30万以下、より好ましくは20万以下、さらに好ましくは10万以下、特に好ましい7万以下である。Mwが上記範囲内の値であると、単位質量あたりの末端ビニル基の量が増えるため、末端ビニル率が高くなり、後述する変性によって充分な量の官能基を導入でき、また、他の材料との親和性が良好になる。また、他の材料との混合効率が良好になりやすいと考えられる。さらに、溶媒への可溶性が高まり、末端ビニル基の反応性が向上し、官能化させたプロピレン系重合体のコーティング効率が良好になりやすいと考えられる。
【0015】
Mwおよび数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものであり、その測定法、測定機器の詳細は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o-ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0mL/分
注入量:0.2mL
【0016】
試料の調製は、測定するポリマーと、ODCB(0.5mg/mLのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して、ポリマーを溶解させる。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、
図1のように行う。
また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
銘柄:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×M
αは、以下の数値を用いる。
PS(ポリスチレン):K=1.38×10
-4、α=0.7
PP(ポリプロピレン):K=1.03×10
-4、α=0.78
【0017】
1-2.特性(2):重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn,Q値)
本発明のプロピレン系重合体は、Q値が、2.0~4.0である。Q値はMwとMnの比であり、MwおよびMnは上述のGPCより求めることができる。Q値は、好ましくは2.1~3.8、より好ましくは2.4~3.5、さらに好ましくは2.6~3.4である。
【0018】
1-3.特性(3):末端二重結合率(R)
本発明のプロピレン系重合体は、ポリマー鎖の末端に二重結合を持ち、総ポリマー鎖数に対して末端に二重結合を持つポリマー鎖の割合(末端二重結合率、R)が、0.7以上である。Rは、[V]/{(総末端数-LCB数)÷2}から求める。なお、[V]は末端二重結合の数を表し、[V]=[Vi]+[Vd]から求められる。[Vi]及び[Vd]は、1H-NMRにより算出される1000モノマー当たりの末端ビニル基及び末端ビニリデン基の数である。また、総末端数は、13C-NMRにより算出される1000モノマー当たりの末端の総数である。LCB数(長鎖分岐数)は、13C-NMRにより算出される1000モノマー当たりの炭素数7以上の分岐鎖の根元のメチン炭素の数である。
Rは、好ましくは0.75以上、さらに好ましくは0.8以上であり、理想的には1.0(すべてのポリマー鎖が末端に二重結合を有する)である。末端二重結合率が上記値以上であると、後述の変性において反応効率が向上し、製品の生産性にもよい。
【0019】
ここで、本発明のプロピレン系重合体の末端構造の関係について以下に説明する。
プロピレンの重合においては、停止反応として、βメチル脱離と呼ばれる連鎖移動反応が起こると、構造式(1-a)に示す1-プロペニル構造(ビニル構造)を停止末端にもつポリマー鎖が生成する。
停止反応として、β水素脱離と呼ばれる連鎖移動反応が起こると、構造式(1-b)に示すビニリデン構造(プロピル-ビニリデン構造)を停止末端にもつポリマーが生成する。重合において水素を用いた場合、β水素脱離後に、水素へ連鎖移動反応が起こると、構造式(1-c)に示すi-ブチル構造を停止末端にもつポリマーが生成する。
また、プロピレンは不規則な2,1挿入を起こすことがある。プロピレンが不規則挿入をした後に、水素へ連鎖移動反応が起こると、構造式(1-e)に示すn-ブチル構造の停止末端が生成する。プロピレンが不規則挿入をした後に、β水素脱離が生じることで、構造式(1-f)に示す1-ブテニル構造の停止末端、又は構造式(1-g)に示す末端ビニレン構造(2-ブテニル構造)の停止末端が極少量生成することもある。
プロピレンの重合において、一般的にはβ水素脱離が起こりやすいが、後述するオレフィン重合用触媒を用いることにより、βメチル脱離を促進することができる。
【0020】
開始末端はすべて飽和末端となる。そのため、1つのポリマー鎖が同時に2つの不飽和末端を持つことはない。
メタロセン触媒の存在下行うプロピレン重合の開始反応では、水素へ連鎖移動した後またはβ水素脱離した後に、メタロセン化合物の中心金属へ最初のプロピレンが挿入すると、構造式(1-h)に示すn-プロピル構造が生成し、βメチル脱離した後、当該脱離部分に最初のプロピレンが挿入すると、構造式(1-c)に示すi-ブチル構造の開始末端が生成する。
また、水素へ連鎖移動した後またはβ水素脱離した後に、メタロセン化合物の中心金属へ最初のプロピレンが不規則挿入すると、構造式(1-i)に示す2,3-ジメチルブチル構造が生成し、βメチル脱離した後、当該脱離部分に最初のプロピレンが不規則挿入することにより、構造式(1-j)に示す3,4-ジメチルペンチル構造の開始末端が生成する。
【0021】
異性化により、構造式(1-d)に示すi-ブテニル構造を末端に持つポリマーが生成することもある。
構造式(1-k)に示す内部ビニリデン構造は、不飽和末端から水素が脱離することで生成した中間体に、さらにプロピレンが挿入することにより、ポリマー鎖内部に生成するオレフィン構造である。
【0022】
上記のうち主反応による主要な飽和末端となるのは、構造式(1-c)及び構造式(1-h)であり、主要な不飽和末端となるのは構造式(1-a)及び構造式(1-b)であり、その他の末端構造の数は、上記の主要な末端構造の数に比べて微小となる。
これらの末端構造のうち、構造式(1-a)又は構造式(1-f)に示す構造を末端にもつポリマーは、マクロモノマーになり得る。構造式(1-a)と構造式(1-f)は最末端の二つの炭素がビニル構造をとるという点で同じであり共重合可能という機能において差はない。
一方で、構造式(1-a)に示す1-プロペニル構造は、プロピレンの規則的挿入後にβメチル脱離した結果生成する末端であるのに対し、構造式(1-f)に示す1-ブテニル構造は、プロピレンが極稀に不規則挿入した後にβ水素脱離するという副反応の結果生成する構造であり、その生成量は1-プロペニル構造に対して極微量と推定できる。1-プロペニル構造に対し、1-ブテニル構造が生成する比率は、異種結合の生成確率と同程度かそれ以下と考えられる。すなわち、上記末端二重結合数[V]のほとんどが構造式(1-a)に示す1-プロペニル構造であると推定できる。
【0023】
【0024】
【0025】
[末端ビニル基の数[Vi]、末端ビニル率(Rv)、末端ビニリデン基の数[Vd]、末端ビニリデン率(Rvd)の評価方法]
末端二重結合の数[V]、末端ビニル基の数[Vi]及び末端ビニリデン基の数[Vd]は、それぞれ総ポリマー鎖数に対する末端二重結合の数、末端ビニル基の数及び末端ビニリデン基の数である。また、末端ビニル率(Rv)と末端ビニリデン率(Rvd)は、それぞれ総ポリマー鎖数に対する末端ビニル基と、末端ビニリデン基の数の割合を示す指標である。
その算出方法としては、1H-NMRと13C-NMRを用いて不飽和末端数と飽和末端数を1000モノマー当たりの数として求め、それらを合計したものを総ポリマー鎖の末端の数(以下総末端数ともいう)とする。同じく13C-NMRを用いてLCB数を1000モノマー当たりの数として求める。そして、総末端数からLCB数を引いた数の半分(1/2)を総ポリマー鎖数とする。
末端ビニル率(Rv)は、末端ビニル基の数[Vi]を総ポリマー鎖数で除することで算出し、末端ビニリデン率(Rvd)は、末端ビニリデン基の数[Vd]を総ポリマー鎖数で除することで算出する。
【0026】
1H-NMR測定および13C-NMR測定は、以下の方法により実施することができる。
[試料調製と測定条件]
試料200mgをo-ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ、150℃のブロックヒーターで均一に溶解する。
NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400型NMR装置を用いて行う。
【0027】
不飽和末端の定量には、1H-NMRを用いる。1H-NMRの測定条件は試料の温度120℃、パルス角4.5°、パルス間隔2秒、積算回数512回として測定をする。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのプロトンシグナルを0.09ppmに設定し、他のプロトンによるシグナルの化学シフトはこれを基準とする。
【0028】
飽和末端の定量には、13C-NMRを用いる。13C-NMRの測定条件は試料の温度120℃、パルス角を90°、パルス間隔を15秒、積算回数を1024回、ブロードバンドデカップリング法で測定を実施する。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンの13Cシグナルを1.98ppmに設定し、他の13Cシグナルの化学シフトはこれを基準とする。
なお、本発明においては、13C-NMRスペクトルのシグナルを「13Cシグナル」と称する場合があり、1H-NMRスペクトルのシグナルを「1Hシグナル」と称する場合がある。
【0029】
<飽和末端数の算出方法>
下記の飽和末端数は、1000モノマー当たりの数として、13Cシグナルの積分強度を用い、以下の式から求める。
構造式(1-c): [i-ブチル]=Ii-butyl×1000/Itotal-C構造式(1-e): [n-ブチル]=Inbu×1000/Itotal-C
構造式(1-h): [n-プロピル]=Inpr×1000/Itotal-C
構造式(1-i): [2,3-ジメチルブチル]=I2,3-dime×1000/Itotal-C
構造式(1-j): [3,4-ジメチルペンチル]=I3,4-dime×1000/Itotal-C
これらの飽和末端以外にも文献既知の他の飽和末端が検出される場合には、既知の文献値を利用して、同様に1000モノマー当たりの数として算出する。
ここで、Ii-butyl、Inbu、Inpr、I2,3-dime、I3,4-dimeはそれぞれ、構造式(1-c)、構造式(1-e)、構造式(1-h)、構造式(
1-i)、構造式(1-j)に基づくシグナルの特性値を表し、以下の式で示される量である。なお、以下においては、化学シフトが23.80~23.65ppmの範囲の13Cシグナルの積分強度をI23.80~23.65のように記載する。
Ii-butyl=I23.80~23.65
Inbu=I36.99~36.88
Inpr=I39.71~39.61
I2,3-dime=(I16.30~16.20+I43.05~43.00)/2 I3,4-dime=I12.0~11.60
【0030】
また、Itotal-Cは、以下の式で示される量である。
Itotal-C=Ii-butyl+Inbu+Inpr+I2,3-dime+I3,4-dime+I1,2―P+I2,1―P+I1,3―P+IE+I1,2―B+I
1,4―B
これらの飽和構造以外にも文献既知の他の飽和構造が存在する場合には、検出されるすべての構造数を上式に加える。
I1,2―Pは、1,2挿入したプロピレンの結合に基づくシグナルの特性値、I2,1―Pは、2,1挿入したプロピレンの結合に基づくシグナルの特性値、I1,3―Pは、1,3挿入したプロピレンの結合に基づくシグナルの特性値を表し、以下の式で示される量である。
I1,2-P=I48.80~44.50
I2,1-P=(I34.68~34.63+I35.47~35.40+I35.94~35.70)/2
I1,3-P=I37.50~37.20/2
【0031】
IEはエチレンの結合に基づくシグナルの特性値、I1,2-Bは、1,2挿入した1-ブテンの結合に基づくシグナルの特性値、I1,4-Bは、1,4挿入した1-ブテンの結合に基づくシグナルの特性値を表し、以下の式で示される量である。
IE=I30.20-29.80/2+I30.40-30.20/4-I25.20-23.80+I38.20-37.30+I34.15-33.80
I1,2-B=I41.00~39.00+I43.90~42.80/2
I1,4-B=I34.45~34.15/2
【0032】
<不飽和末端の数の算出方法>
不飽和末端の数は、1000モノマー当たりの数として、1Hシグナルの積分強度を用い、以下のように求める。
1H-NMRでは、構造式(1-a)に示す1-プロペニル構造と、構造式(1-f)に示す1-ブテニル構造の不飽和結合のプロトンシグナルは、1H-NMRスペクトルの5.08~4.85ppmと5.86~5.69ppmのシグナルに重なって検出される。そこで、末端ビニル基の数[Vi]は、1-プロペニル構造と1-ブテニル構造を合わせた数とする。末端ビニリデン基の数[Vd]は、構造式(1-b)に示すビニリデン構造の数である。
構造式(1-a)+構造式(1-f):[Vi]=Ivi×1000/Itotal
構造式(1-b):[Vd]=Ivd×1000/Itotal
【0033】
同様にして、i-ブテニル基の数[i-ブテニル]、ビニレン末端の数[末端ビニレン]、内部ビニリデンの数[内部ビニリデン]は以下の式から求められる。
構造式(1-d): [i-ブテニル]=Iibu×1000/Itotal
構造式(1-g): [末端ビニレン]=Ivnl×1000/Itotal
構造式(1-k): [内部ビニリデン]=Iivd×1000/Itotal
これらの不飽和末端以外にも文献既知の他の不飽和末端が検出される場合には、既知の文献値を利用して、同様に1000モノマー当たりの数として算出する。
ここで、Ivi、Ivd、Iibu、Ivnl、Iivdは、それぞれ、構造式(1-a)+構造式(1-f)、構造式(1-b)、構造式(1-d)、構造式(1-g)、構造式(1-k)に基づくシグナルの特性値を表し、以下の式で示される量である。
Ivi=(I5.08~4.85+I5.86~5.69)/3
Ivd=(I4.78~4.65)/2
Iibu=I5.26~5.08
Ivnl=(I5.58~5.26)/2
Iivd=(I4.85~4.78)/2
【0034】
また、Itotalは、以下の式で示される量である。
Itotal=Imain/6+Ivi+Ivd+Iibu+Ivnl+Iivd
また、これらの不飽和構造以外にも文献既知の他の不飽和構造が存在する場合には、検出されるすべての末端数を上式に加える。
Imainとは1H-NMRスペクトルの4.00~0.00ppmに検出される、末端を含むポリマー鎖の飽和炭素に結合するプロトンシグナルの積分強度の総和である。
【0035】
<LCB数の算出方法>
LCB数は、13C-NMRにより、49.00~44.33ppmのプロピレン主鎖のメチレン炭素の強度を1000に規格化したときの、31.72~31.66ppmの分岐点の炭素(メチン炭素)及び44.09~44.03ppm、44.78~44.72ppm及び44.90~44.84ppmの分岐点の炭素(メチン炭素)に結合する3つのメチレン炭素のシグナル積分強度を用いて下式により算出し、1000モノマー当たりの数とする。
LCB数=[(I44.09~43.03+I44.78~44.72+I44.90~44.84+I31.72~31.66)/4]/I49.00~44.33
【0036】
<総末端数の算出方法>
総末端数は、13C-NMRで算出される1000モノマー当たりの飽和末端数、及び1H-NMRで算出される1000モノマー当たりの不飽和末端数の総和である。
【0037】
本発明のプロピレン系重合体は、さらに下記特性(4)および(5)を有していてもよい。
特性(4):全ポリマー鎖のうち、前記二重結合がビニルであるポリマー鎖の割合(末端ビニル率(Rv)、[Vi]/[(総末端数-LCB数)÷2])が0.7以上
特性(5):全ポリマー鎖のうち、前記二重結合がビニリデンであるポリマー鎖の割合(末端ビニリデン率(Rvd)、[Vd]/[(総末端数-LCB数)÷2])が0.1未満。
【0038】
1-4.特性(4):末端ビニル基率(Rv)
末端ビニル率(Rv)は、上述の方法から算出される。末端ビニル基率(Rv)は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.8以上,さらに好ましくは0.9以上である。末端ビニル率(Rv)は、1であってもよく、これはプロピレン系重合体(A)に含まれる末端二重結合の構造がすべてビニル基であることを示す。
【0039】
1-5.特性(5):末端ビニリデン基率(Rvd)
末端ビニリデン基率(Rvd)は、上述の方法から算出される。末端ビニリデン基率(Rvd)は、好ましくは0.1未満、より好ましくは0.05以下,さらに好ましくは0.03以下である。末端ビニリデン基率(Rvd)は、0であってもよく、これはプロピレン系重合体(A)に含まれる末端二重結合の構造がすべてビニル基であることを示す。
【0040】
1-6.特性(6):融点(Tm)(℃)
本発明のプロピレン系重合体(A)は、さらに下記特性(6)を有していてもよい。
特性(6):融点が、60℃~160℃
本発明のプロピレン系重合体は、融点(Tm)が、60℃~160℃である。好ましくは70℃~155℃、より好ましくは80℃~150℃、さらに好ましくは90℃~140℃、特に好ましくは100℃~130℃である。
融点が上記範囲内であることにより、他の材料との親和性を良好にすることができる。
また、融点(Tm)が150℃以上である本発明のプロピレン系重合体は、他の材料との混合効率が良好になりやすい。融点(Tm)が150℃以上である本発明のプロピレン系重合体は、融点(Tm)が153℃以上であることがより好ましい。
一方、融点(Tm)が150℃未満である本発明のプロピレン系重合体は、溶媒への可溶性が高まり、末端ビニル基の反応性が向上し、官能化させたプロピレン系重合体のコーティング効率が良好になりやすい。
【0041】
融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)により測定される。具体的には、セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して、結晶化させた時の結晶最大ピーク温度(℃)として、結晶化温度(Tc)を求め、その後、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度(℃)として、融点(Tm)を求めることができる。
なお、シート状のサンプルは、プロピレン系重合体のパウダーをプレス板で挟み、190℃で2分間予熱した後に5MPaで2分間プレスし、その後、0℃、10MPaで2分間冷却することにより、得ることができる。
【0042】
1-7.プロピレン以外のコモノマー単位の含有量
本発明のプロピレン系重合体は、プロピレンと、エチレン及びα-オレフィンよりなる群から選ばれるコモノマーとの共重合体である場合には、当該コモノマーに由来する構造単位の含有量が、1.5mol%以上10mol%以下であってもよい。
コモノマーは、プロピレン連鎖の中に入ってプロピレン系重合体の1次構造を変える。
その1つの結果として、プロピレン系重合体の融点を下げるという効果を持つ。したがって、コモノマーの含有量を増やすことにより、結晶性が高くなりすぎず、溶媒への可溶性を高め、末端ビニル基の反応性を高めることができる。本発明のプロピレン系重合体が共重合体である場合、コモノマーの含有量は、1.5mol%以上であって、1.8mol%以上であって、2.0mol%以上であってもよい。
一方、プロピレン連鎖が短くなり過ぎず、結晶性のバランスが良好になり、他の材料との親和性を向上させる観点から、コモノマーの含有量は、10mol%以下であって、7mol%以下であって、5mol%以下、は3mol%以下であってもよい。
【0043】
コモノマー単位の含有量(モル濃度)は、13C-NMRスペクトルのシグナル強度を用い、以下の式から求める。
エチレン含有量[C2](mol%)
=IE×100/(I1,2-P+I2,1-P+I1,3-P+IE+I1,2-B+I1,4-B)
プロピレン含有量[C3](mol%)
=(I1,2-P+I2,1-P+I1,3-P)×100/(I1,2-P+I2,1-P+I1,3-P+IE+I1,2-B+I1,4-B)
1-ブテン含有量[C4](mol%)
=(I1,2-B+I1,4-B)×100/(I1,2-P+I2,1-P+I1,3-P+I1,2-B+IE+I1,4-B)
ここで、I1,2-P、I2,1-P、I1,3-P、IE、I1,2-B、I1,4-Bは、前記の通りである。
【0044】
2.プロピレン系重合体の製造方法
本発明のプロピレン系重合体を製造する方法として、例えば、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含むオレフィン重合用触媒を用いて、プロピレン単独、又は、プロピレンとエチレン及び炭素数4~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のコモノマーとを重合する方法を挙げることができる。
成分(A):下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物
【0045】
【0046】
[一般式(1)中、R11及びR12は、独立して、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上3以下の炭化水素基を置換基として少なくとも1つ有する5員環を構成する複素環基を表す。但し、当該複素環基のヘテロ原子は、インデン環と直接結合しない。
R13及びR14は、独立して、4位にのみ置換基を有するアリール基であって、当該置換基が、ヘテロ原子及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有してもよい炭素数3以上6以下の炭化水素基である。
但し、R11及びR12における複素環基の置換基と、R13及びR14におけるアリール基の置換基とは同一ではなく、当該複素環基の置換基のうち、炭素原子とヘテロ原子との合計数が最も大きい置換基の当該合計数が、当該アリール基の置換基が有する炭素原子とヘテロ原子との合計数よりも小さい。
X11及びY11は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下の炭化水素基、炭素数1以上20以下のケイ素含有炭化水素基、炭素数1以上20以下のハロゲン化炭化水素基、炭素数1以上20以下の酸素含有炭化水素基、アミノ基、又は、炭素数1以上20以下の窒素含有炭化水素基を表す。
Q11は、炭素数1以上20以下の二価の炭化水素基、炭素数1以上20以下の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、又は、炭素数1以上20以下の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表す。]
成分(B):前記成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物
【0047】
上記方法により、上述した本発明のプロピレン系重合体を製造することができる。
本発明のプロピレン系重合体は、上記一般式(1)で表される特定のメタロセン化合物を含む触媒を用いてプロピレンを単独重合または共重合することにより製造することができ、このとき反応速度が大きくなると考えられ、分子量が小さいプロピレン系重合体を比較的低温、低圧の条件下で合成できる。
【0048】
2-1.オレフィン重合用触媒
(1)成分(A)
成分(A)は、上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物である。
一般式(1)においてR11及びR12は、独立して、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上3以上の炭化水素基を置換基として少なくとも1つ有する5員環を構成する複素環基である。但し、当該複素環基のヘテロ原子は、インデン環と直接結合しない。
R11及びR12が複素環基上に適当な大きさの置換基を有することにより、プロピレンの重合反応の際に、挿入されるプロピレンの向きが規則的に制御される。更に、R11及びR12が有する置換基により、成長ポリマー鎖のβ位のメチル基が遷移金属上の空配位場へ向きやすくなるため、βメチル脱離反応が進行しやすくなり、末端ビニル基が高選択的に導入されたポリプロピレンを得ることができる。
R11及びR12は、互いに同一であることが好ましい。
また、R11及びR12は、5員環を構成する複素環基のヘテロ原子の隣の炭素が、一般式(1)中のインデン環と結合することが好ましい。R11及びR12は、置換基を少なくとも1つ有する2-チエニル基又は2-ピロリル基であることがより好ましく、置換基を少なくとも1つ有する2-チエニル基であることが更に好ましい。
R11及びR12が置換基として有する炭化水素基の炭素数は1以上3以下であればよく、好ましくは1または2、より好ましくは1である。
また、R11及びR12が置換基として有する炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リンなどが挙げられる。これらは炭素鎖内に存在して炭素-炭素結合の間に介在していてもよい。
また、R11及びR12は、独立して、5位にのみ置換基を有する5員環を構成する複素環基であることが好ましい。この場合、当該複素環の5位に位置する置換基が、上述したヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上3以下の炭化水素基である。
R11及びR12が置換基として有する炭素数1以上3以下の炭化水素基は、1級または2級のアルキル基であることが好ましい。
【0049】
R11及びR12の好ましい構造として、下記一般式(2)で表される複素5員環の構造が挙げられる。
【0050】
【化4】
[一般式(2)中、Tは、S又はNR
20を表し、R
20は、水素原子、炭素数1以上6以下の炭化水素基、水酸基、又は炭素数1以上6以下のアルコキシ基を表し、R
21及びR
22は、独立して、水素原子、又は、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上3以下の炭化水素基を表し、R
21及びR
22の少なくとも一方が当該炭化水素基である。但し、R
21及びR
22における当該炭化水素基のヘテロ原子は、5員環を構成する複素環基と直接結合しない。また、R
21とR
22とは結合して環を形成しない。]
【0051】
一般式(2)において、Tは、S(硫黄原子)又はNR20を表し、中でも、S(硫黄原子)であることが好ましい。R20は、水素原子、炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は炭素数1以上6以下のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は炭素数1以上6以下のアルコキシ基であることがより好ましい。R20における炭素数1以上6以下の炭化水素基は、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であってよいが、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基及びエチル基が特に好ましい。R20における炭素数1以上6以下のアルコキシ基は、炭素数1以上3以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましい。R20は、メチル基又はメトキシ基であることが特に好ましい。
また、一般式(2)においては、R21がメチル基、エチル基、n-プロピル基、又はi-プロピル基であり、且つR22が水素原子であることが好ましく、R21がメチル基であり、且つR22が水素原子であることがより好ましい。
【0052】
一般式(1)においてR13及びR14は、独立して、4位にのみ置換基を有するアリール基であって、当該置換基が、ヘテロ原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含有してもよい炭素数3以上6以下の炭化水素基である。
R13及びR14は、互いに同一であることが好ましい。
アリール基としては、フェニル基が好ましい。
R13及びR14が置換基として有する炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リンなどが挙げられる。
また、R13及びR14が置換基として有する炭化水素基がヘテロ原子を含有する場合、当該ヘテロ原子は炭素鎖内に存在して炭素-炭素結合の間に介在していてもよい。
R13及びR14が置換基として有する炭化水素基が含んでいてもよいハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが挙げられる。
R13及びR14が置換基として有する炭化水素基の炭素数は、3以上6以下であればよく、好ましくは3以上5以下、より好ましくは3または4、更に好ましくは4である。
アリール基の置換基として有する炭素数3以上6以下の炭化水素基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよいが、3級炭化水素基であることが好ましく、3級アルキル基であることがより好ましい。
【0053】
R13及びR14の好ましい構造としては、例えば、下記一般式(3)で表されるフェニル基(Ph)の4位に置換基を有する構造が挙げられる。
4-R31-Ph- ・・・一般式(3)
[一般式(3)中、R31は、ヘテロ原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含有してもよい炭素数3以上6以下の炭化水素基である。但し、R31は、一般式(1)中のR11及びR12が有する置換基とは異なる構造を有する。]
【0054】
R31の好ましい例としては、例えば、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、トリメチルシリル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、及びフリル基が挙げられ、特に好ましくはt-ブチル基である。
【0055】
上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物は、R11及びR12における5員環を構成する複素環基が有する置換基と、R13及びR14におけるアリール基が有する置換基とは同一ではなく、当該複素環基の置換基のうち、炭素原子とヘテロ原子との合計数が最も大きい置換基の当該合計数が、当該アリール基の置換基が有する炭素原子とヘテロ原子との合計数よりも小さい。
すなわち、R11及びR12における複素環基上に同一でない複数の置換基が存在する場合、例えば、複素環基上の4位及び5位に互いに構造の異なる置換基を有する場合、各置換基が有する炭素原子とヘテロ原子との合計数が最も大きい置換基(「最大置換基」と称する場合がある)の当該合計数を、アリール基上の置換基が有する炭素原子とヘテロ原子との合計数とを比較する。このときに、複素環基上の最大置換基が有する炭素原子とヘテロ原子との合計数の方が、アリール基上の置換基が有する炭素原子とヘテロ原子との合計数よりも小さい。複素環基上の最大置換基が有する炭素原子とヘテロ原子との合計数と、アリール基上の置換基が有する炭素原子とヘテロ原子との合計数との差は、特に限定はされないが、好ましくは1以上10以下、より好ましくは2以上8以下、更に好ましくは3以上6以下である。
【0056】
なお、複素環基上に置換基が1つのみ存在する場合は、当該置換基が最大置換基である。また、複素環基の置換基及びアリール基の置換基がヘテロ原子を有しない場合があってもよい。置換基がヘテロ原子を有しない場合は、当該ヘテロ原子数は0個とする。
好ましい具体例としては、R11及びR12における複素環基の置換基がメチル基(炭素原子1個とヘテロ原子0個で合計数が1)であり、R13及びR14におけるフェニル基の4位の置換基が、t-ブチル基(炭素原子4個とヘテロ原子0個で合計数が4)、またはトリメチルシリル基(炭素原子3個とヘテロ原子1個で合計数が4)である。
【0057】
上述の製造方法によって、本発明のプロピレン系重合体を高活性に製造することができる。その理由は必ずしも明確ではないが、一般式(1)で表されるメタロセン化合物が、アリール基であるR13及びR14上に、炭素数3以上の置換基を有することにより、メタロセン化合物が有する遷移金属(Hf)の電子密度が変化することで、プロピレンの重合反応の際に、プロピレン連鎖へのプロピレンモノマーの挿入反応速度が大きくなり、ポリマーの成長速度が増大するためと考えられる。
【0058】
また、本発明のプロピレン系重合体を高活性に製造することができる他の作用として以下も考えられる。
一般式(1)で表されるメタロセン化合物は、R13及びR14におけるアリール基上の置換基が嵩高い。そのため、当該嵩高い置換基が、重合反応の際の成長ポリマー鎖の向きを、一般式(1)中の遷移金属(Hf)上のインデン環配位子が有する6員環部分を避けるように仕向ける。その結果、成長ポリマー鎖に次に挿入されるプロピレンの向きは、この6員環部分を避けるように向いた成長ポリマー鎖と、更に複素環基であるR11及びR12の両方で制御され、位置規則的及び立体規則的にプロピレン挿入が行われる。さらに、複素環基であるR11及びR12は、プロピレン挿入を位置規則的及び立体規則的に行わせると同時に、成長ポリマー鎖のβ位のメチル基の向きを制御する効果を有する。R11及びR12により、β位のメチル基脱離反応が増大することで、末端ビニル基を効率的に生成させることができ、また、効率的に末端ビニル化反応を起こさせることで、生成するポリプロピレンの分子量を低下させることができる。このように、メタロセン化合物が有する特定の置換基を有する複素環基と特定の置換基を有するアリール基との組み合わせの効果により、位置規則的かつ立体規則的にプロピレン挿入が行われ、更に、成長反応速度とβメチル脱離反応速度の両方が制御されることで、特定の長さのポリマー鎖、すなわち特定の分子量を有し、末端二重結合率が高いプロピレン系重合体を、高活性に製造することができると考えられる。
【0059】
上記X11及びY11は、それぞれ独立して、Hfとσ結合を形成する配位子である。
一般式(1)で表されるメタロセン化合物は、上記X11及びY11が脱落してカチオン化すると、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンとなる。後述する成分(B)及び成分(C)が、上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物に作用することにより、当該メタロセン化合物に含まれるX11及びY11が脱落してカチオン化する。
X11及びY11は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下の炭化水素基、炭素数1以上20以下のケイ素含有炭化水素基、炭素数1以上20以下のハロゲン化炭化水素基、炭素数1以上20以下の酸素含有炭化水素基、アミノ基、又は、炭素数1以上20以下の窒素含有炭化水素基である。X11及びY11は、後述する成分(B)及び成分(C)との作用により脱落可能な配位子であればよく、特に限定はされない。
メタロセン化合物の安定性の点からは、X11及びY11は、ハロゲン原子、又は、炭素数1以上20以下の炭化水素基であることが好ましく、塩素、臭素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はフェニル基であることが特に好ましい。
【0060】
上記Q11は、炭素数1以上20以下の二価の炭化水素基、炭素数1以上20以下の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、又は、炭素数1以上20以下の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基である。
上述のシリレン基、またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
炭素数1以上20以下の二価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、1,2-エチレン基等のアルキレン基;ジフェニルメチレン基等のアリールアルキレン基;などが挙げられる。
炭素数1以上20以下の炭化水素基を有していてもよいシリレン基としては、例えば、シリレン基;メチルシリレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジ(n-プロピル)シリレン基、ジ(i-プロピル)シリレン基、ジ(シクロヘキシル)シリレン基等のアルキルシリレン基;メチル(フェニル)シリレン基等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン基等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン基等のアルキルオリゴシリレン基;などが挙げられる。
炭素数1以上20以下の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基としては、例えば、ゲルミレン基;上述したアルキルシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;上述した(アルキル)(アリール)シリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換した(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;上述したアリールシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアリールゲルミレン基;などが挙げられる。
これらの中では、炭素数1以上20以下の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1以上20以下の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、または、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
【0061】
上記一般式(1)で表される化合物のうち好ましいものとしては、以下の化合物を例示できる。
(1)ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-チエニル)-4-(4-t-ブチルフェニル)インデニル]ハフニウム
(2)ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-チエニル)-4-(4-トリメチルシリルフェニル)インデニル]ハフニウム
(3)ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-エチル-4-メチル-2-チエニル)-4-(4-t-ブチルフェニル)インデニル]ハフニウム
【0062】
(2)成分(B)
成分(B)は、成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩である。
成分(B)は単独でもよいし、二種以上を用いてもよい。好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
【0063】
(2-1)成分(A)とイオン対を形成する化合物
成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物としては、アルミニウムオキシ化合物、及びホウ素化合物などを挙げることができる。
アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には下記の一般式(I)~(III)で表される化合物が挙げられる。
【0064】
【0065】
上記の一般式(I)、(II)において、Raは、水素原子又は炭化水素基を表す。Raは、好ましくは炭素数1~10の炭化水素基、特に好ましくは炭素数1~6の炭化水素基である。また、複数のRaは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0~40を表し、好ましくは2~30の整数である。
上記一般式(I)、(II)で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物である。これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。
一般式(III)中、Rbは、炭素数1~10の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1~6の炭化水素基である。
【0066】
ホウ素化合物としては、例えば、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などの有機ホウ素化合物との錯化物、又は種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などを挙げることができる。
【0067】
(2-2)イオン交換性層状珪酸塩
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある)とは、イオン結合などによって構成される層が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、層間にイオンを有し、且つ、含有される層間イオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。
大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出される。水中に分散及び膨潤させ、沈降速度等の違いにより精製することが一般的であるが、夾雑物が完全に除去されていることは要せず、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)を含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩に含まれる。
また、本発明で使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
【0068】
イオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、例えば、白水晴雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1988年)等に記載される1:1型構造や2:1型構造をもつ層状珪酸塩が挙げられる。
1:1型構造とは、前記「粘土鉱物学」等に記載されているような1層の四面体シートと1層の八面体シートが組み合わさった積み重なりを基本とする構造を示す。
2:1型構造とは、2層の四面体シートが1層の八面体シートを挟み込んだ積み重なりを基本とする構造を示す。
1:1型構造を持つイオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族珪酸塩、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族珪酸塩等が挙げられる。
2:1型構造を持つイオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族珪酸塩、バーミキュライト等のバーミキュライト族珪酸塩、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族珪酸塩、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、主成分が2:1型構造を持つイオン交換性層状珪酸塩であるものが好ましい。より好ましくは、主成分がスメクタイト族珪酸塩であり、さらに好ましくは、主成分がモンモリロナイトである。
層間カチオン(イオン交換性層状珪酸塩の層間に含有される陽イオン)の種類としては、特に限定されないが、主成分として、リチウム、ナトリウム等の周期表第1族のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等の周期表第2族のアルカリ土類金属、あるいは鉄、コバルト、銅、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金、金等の遷移金属などが、比較的容易に入手可能である点で好ましい。
【0069】
前記イオン交換性層状珪酸塩は、乾燥状態で用いてもよく、液体にスラリー化した状態で用いてもよい。
また、イオン交換性層状珪酸塩の形状については、特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、粉砕、造粒、分級などの操作によって形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩を用いてもよい。
このうち造粒されたイオン交換性層状珪酸塩を用いると、該イオン交換性層状珪酸塩を成分(B)として用いた場合に、良好なポリマー粒子性状を与えるため特に好ましい。
【0070】
イオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を行うことが好ましい。イオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、酸類、塩類、アルカリ類、又は有機物等とイオン交換性層状珪酸塩とを接触させることをいう。
化学処理による共通の影響として、層間陽イオンの交換を行うことが挙げられるが、それ以外に各種化学処理は、次のような種々の効果がある。例えば、酸類による酸処理によれば、珪酸塩表面の不純物が取り除かれる他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって、表面積を増大させることができる。これは、珪酸塩の酸強度を増大させ、また、単位重量当たりの酸点量を増大させることに寄与する。アルカリ類によるアルカリ処理では、粘土鉱物の結晶構造が破壊され、粘土鉱物の構造の変化をもたらす。
【0071】
以下に、具体的な処理剤(酸類、塩類、その他)及び化学処理条件について詳細に説明する。なお、本発明では、これら酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。
(i)酸類
酸処理は、表面の不純物を除く、あるいは層間に存在する陽イオンの交換を行うほか、結晶構造の中に取り込まれているAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。酸処理で用いられる酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸などが挙げられる。中でも無機酸が好ましく、硫酸、塩酸、硝酸がより好ましく、さらに好ましくは硫酸である。
【0072】
(ii)塩類
塩類としては、有機陽イオン、無機陽イオン、金属イオンからなる群から選ばれる陽イオンと、有機陰イオン、無機陰イオン、ハロゲン化物イオンからなる群から選ばれる陰イオンとから構成される塩類が例示される。例えば、周期律表第1~14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンの陰イオン、無機ブレンステッド酸及び有機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから構成される化合物が好ましい例として挙げられる。
【0073】
(iii)その他の処理剤
酸、塩処理の他に、必要に応じてアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。
アルカリ処理の処理剤としては、例えば、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2などが挙げられる。
有機物処理の処理剤としては、例えば、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、N,N-ジメチルアニリニウム、N,N-ジエチルアニリニウム、N,N-ジメチルオクタデシルアンモニウム等が挙げられる。
これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また化学処理は、同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
【0074】
(iv)化学処理条件
上述した各種処理剤は、適当な溶媒に溶解させて処理剤溶液として用いてもよいし、処理剤自身を溶媒として用いてもよい。使用できる溶媒としては、特に制限はないが、水、アルコール類が一般的であり、特に水が好ましい。例えば、化学処理として酸処理を行う場合、酸処理剤濃度、イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率、処理時間、処理温度等の酸処理条件を制御することによって、イオン層状珪酸塩化合物を所定の組成、構造へと変化させ制御することが可能である。
なお、イオン交換性層状珪酸塩の処理方法は、特開2009-299046号公報の段落0042~0071の記載を参照することができる。
【0075】
本発明に用いられるイオン交換性層状珪酸塩は、通常、粘土成分を含む。イオン交換性層状珪酸塩に含まれるアルミニウム原子(Al)とケイ素原子(Si)のモル比(Al/Siモル比)は、粘土成分に対する酸処理強度の指標となる。
イオン交換性層状珪酸塩におけるAl/Siモル比は、好ましくは0.01~0.25、より好ましくは0.03~0.24、さらに好ましくは0.05~0.23である。
イオン交換性層状珪酸塩中のアルミニウム及びケイ素は、JIS法による化学分析による方法で検量線を作成し、蛍光X線で定量するという方法で測定される。
【0076】
(3)成分(C)
本発明に用いられる成分(C)は、有機アルミニウム化合物であり、好ましくは、下記一般式(4)で表される有機アルミニウム化合物が使用される。
(AlRnX3-n)m ・・・一般式(4)
[一般式(4)中、Rは、炭素数1~20のアルキル基を表し、Xは、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1~3の整数を表し、mは1~2の整数を表す。]
【0077】
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、n=3、m=1のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1~8であるトリアルキルアルミニウムである。
有機アルミニウム化合物は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
【0078】
(4)触媒の調製
本発明に好ましく用いられるオレフィン重合用触媒は、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む。これらは、重合槽内または重合槽外で接触させて得ることができる。
成分(A)、成分(B)及び成分(C)の使用量は任意である。例えば、成分(B)に対する成分(A)の使用量は、成分(B)1gに対し、好ましくは0.1μmol~1000μmol、より好ましくは0.5μmol~500μmolの範囲である。
また、成分(A)に対する成分(C)の使用量は、成分(A)の遷移金属に対する成分(C)のアルミニウムのモル比で、好ましくは0.01~5×106、より好ましくは0.1~1×104の範囲である。
上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を接触させる順番は、任意であり、これらのうち2つの成分を接触させた後に残りの1成分を接触させてもよいし、3つの成分を同時に接触させてもよい。これらの接触において、接触を充分に行うため、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素やこれらのハロゲン化物、また液化モノマーなどが例示される。脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素の例として、具体的にはヘキサン、ヘプタン、トルエン等が挙げられる。また、液化モノマーとしては、液化プロピレンなどを用いることができる。
【0079】
(5)予備重合
上述のオレフィン重合用触媒は、オレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合に付されていてもよい。予備重合により触媒活性を向上させることができ、製造コストを抑えることができる。
使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することがきる。
オレフィンのフィード方法は、オレフィンを予備重合槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度は、特に限定されないが、-20℃~100℃の範囲であってもよい。
予備重合時間は、特に限定されないが、5分~24時間の範囲であってもよい。
また、予備重合量は、成分(B)に対する予備重合ポリマーの質量比が0.01~100であってよく、0.1~50であってもよい。
また、予備重合時に成分(C)を追加することもできる。
上記各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
予備重合後に触媒を乾燥してもよい。乾燥方法には、特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いても良いし、2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし静置させてもよい。
【0080】
2-2.モノマー
使用するモノマーは、プロピレン単独、又は、プロピレンとエチレン及び炭素数4~20のα-オレフィンよりなる群から選ばれるコモノマーとの組み合わせであってよい。
α-オレフィンとしては、例えば、炭素数4以上10以下のα-オレフィンを用いてもよい。より具体的には、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、ビニルシクロヘキサン、スチレン等が挙げられる。プロピレンと共重合するコモノマーは、エチレン及び炭素数4~20のα-オレフィンよりなる群から選ばれる一種類でも二種類以上の組み合わせでもよい。エチレン及び1-ブテンから選ばれる一種又は二種であってもよい。
エチレン及び炭素数4~20のα-オレフィンよりなる群から選ばれるコモノマーの共重合割合は特に制約されないが、コモノマー単位の含有量が上述した範囲となるように調整される。
【0081】
2-3.重合方法
本発明のオレフィン系重合体(A)を得るための製造方法の1例において、上記モノマーの重合方法は、上記オレフィン重合用触媒と上記モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
重合方法としては、例えば、上記モノマーが凝縮する温度及び圧力環境下で、上記モノマーを液状のモノマーとし、
A.液状の不活性炭化水素で希釈せずに液状のモノマーを重合する方法(バルク重合)
B.液状の不活性炭化水素で希釈して液状のモノマーを重合する方法(希釈重合)
並びに、上記モノマーが凝縮しない温度及び圧力環境下で、上記モノマーを非凝縮のモノマーとし、
C.気相で非凝縮のモノマーを重合する方法(気相重合)
D.液状の不活性炭化水素に溶解させた中で非凝縮のモノマーを重合する方法(スラリー重合)
等が挙げられる。
なお、上記A及びCの方法では、不活性炭化水素を実質的に用いない。ここで、不活性炭化水素を実質的に用いないとは、反応系において、不活性炭化水素が全く存在しなくてもよいし、重合反応に影響しない程度の微量の不活性炭化水素が存在していてもよいことを意味する。
液状の不活性炭化水素としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素を用いてもよい。
また、重合方式は、連続重合又は回分式重合のいずれであってもよい。連続重合又は回分式重合を行う前に、予備重合を行ってもよい。
また、重合段数は、1段でもよく、多段でもよい。例えば、バルク重合2段、バルク重合後気相重合、気相重合2段といった様式も可能であり、さらにはそれ以上の重合段数で製造することが可能である。
【0082】
本発明のプロピレン系重合体は、例えば、上記オレフィン重合用触媒を用い、上記Aの方法で、重合温度を60℃~90℃として、上記モノマーを重合することによって得ることもできる。
上記Aの方法では、液状の不活性炭化水素は実質的に用いられないが、反応系に微量の不活性溶媒が含まれていてもよい。例えば、プロピレンのモル数(M1)の、プロピレンのモル数と不活性炭化水素のモル数の和(M2)に対する比(M1/M2)が0.99以上1.0以下であってもよい。
本発明のプロピレン系重合体を得るための重合において、重合温度の下限としては、60℃以上であってよく、70℃以上であってよく、75℃以上であってもよい。上限としては、90℃以下であってよく、85℃以下であってよく、80℃以下であってもよい。
本発明のプロピレン系重合体を得るための重合において、重合圧力は、0~5MPa(G)であってよく、0~4MPa(G)であってもよい。
【0083】
本発明のプロピレン系重合体は、例えば、上記オレフィン重合用触媒を用い、上記B又はDの方法で、重合温度を70℃~90℃以として、上記モノマーを重合することによって得ることもできる。本発明のプロピレン系重合体(A)を得るための重合は、中でも、上記Bの方法を用いてもよい。
上記B及びDの方法において、プロピレンのモル数(M1)の、プロピレンのモル数と不活性炭化水素のモル数の和(M2)に対する比(M1/M2)の下限としては、0.25以上であってよく、0.40以上であってよく、0.50以上であってもよい。上限としては、0.75以下であってよく、0.70以下であってもよい。
本発明のプロピレン系重合体を得るための重合において、重合温度の下限としては、70℃以上であってよく、75℃以上であってよく、80℃以上であってもよい。上限としては、90℃以下であってよく、88℃以下であってよく、85℃以下であってもよい。
本発明のプロピレン系重合体を得るための重合において、重合圧力は、0~5MPa(G)であってよく、0~4MPa(G)であってもよい。
【0084】
本発明のプロピレン系重合体は、上述のメタロセン化合物を含む触媒系を用いて、上述の重合方式に適した温度範囲で重合することによっても得ることもできる。
【0085】
さらに、上述の製造方法では、重合工程中に補助的に水素を用いてもよい。
重合に使用する水素の量としては、水素をプロピレンのフィード質量比として、0~2.0×10-4であり、0を超え2.0×10-4以下であってよく、2.0×10-5~1.5×10-4であってよく、3.0×10-5~1.0×10-4の範囲であってよい。
上記Aの方法で重合を行う場合には、気相部に存在する気体物質の濃度が平均的に0~10000ppmであり、100~8000ppmであってよく、200~1000ppmの範囲で行うことにより、活性を向上させつつ目的の重合体が得られやすいと考えられる。
【0086】
3.プロピレン系重合体(A)の用途
本発明のプロピレン系重合体は、末端二重結合構造を高い割合で含有するように末端構造を高度に制御したプロピレン単独重合体又はプロピレン共重合体である。その構造に由来する特性により、マクロモノマー、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング材、プライマー、改質剤、コーティング剤の原料等として用いることができる。
本発明のプロピレン系重合体は、必要に応じて、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤等の各種添加剤、さらには種々の合成樹脂を配合した後、溶融混練機を用いて加熱溶融混練後、さらに粒状に切断されたペレットとして利用できる。
【0087】
3-1.プロピレン系重合体(A)を原料とする変性プロピレン系重合体
本発明のプロピレン系重合体は、これを原料として末端に官能基を有する変性プロピレン系重合体(以下官能基化したプロピレン系重合体ともいう)を製造することができる。このように製造された変性プロピレン系重合体は、変性プロピレン系重合体(B)とする。変性プロピレン系重合体(B)が有する官能基としては、例えばケイ素含有基としてアルコキシケイ素基、アルキルケイ素基、(無水)カルボン酸含有基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン含有基として含ハロゲンアルキル基、含ハロゲンアルキルアリル基、含ハロゲンアルキルエチレン基、又はハロゲン基等があり、用途等に応じて適宜選択される。また、無水カルボン酸含有基としては、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等が挙げられる。
【0088】
プロピレン系重合体(A)に官能基を導入することで、極性化合物との相溶性及び分散性を向上させることが期待でき,各種ポリマーとの組成物を得ることが容易になると考えられる。また、変性プロピレン系重合体(B)は、当該官能基のより、水等の極性溶媒への溶解性及び分散性を向上させることが期待でき、エマルジョン系接着剤又は塗料として使用できると考えられる。さらに、ポリオレフィン材料系に対して接着性及び塗装性が付与でき、有機無機顔料の表面状態を改良させることが期待でき,ポリオレフィン系マスターバッチの製造が可能となると予想される。なお、アルコキシケイ素基を有する場合は、架橋による耐熱性の付与も期待できる。変性プロピレン系重合体(B)は、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング材、プライマー、改質剤、コーティング剤の原料等として用いることができる。
【0089】
官能基の導入方法としては、公知の方法が適用できる。例えばトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン等のアルコキシシランとの反応によるアルコキシケイ素基の導入;トリノルマルへキシルシラン、トリノルマルオクチルシラン等のアルキルシラン類との反応によるアルキルケイ素基の導入;(無水)カルボン酸含有基の付加反応;過酢酸によるエポキシ化;無水マレイン化物とジアミン化合物との反応によるアミノ基の導入;無水マレイン化物とジイソシアネート化合物との反応によるイソシアネート基の導入;臭化銅/ターシャリブチルパーオキシアセテートによるカルボキシル化;ギ酸/過酸化水素による水酸基の導入;塩素又は塩化水素、ジブロム、臭化水素によるハロゲン化、含弗素アルキルエチレンとラジカル開始剤によるグラフト化等が挙げられる。
【0090】
上記のほか、BH3・THFによるヒドロ硼素化;9-ボランビシクロ[3,3,1]ノナンによる硼素化;イソブチルアルミニウムハイドライド等によるメタル化;蟻酸/コバルト系触媒によるヒドロホルミル化;一酸化炭素/ジコバルトオクタカルボニル触媒によるアルデヒド化;無水酢酸/硫酸によるスルホン化等を用いることができる。
【0091】
3-2.プロピレン系重合体(A)及び/又は変性プロピレン系重合体(B)を含む組成物及び材料
(1)シール用接着剤用組成物及びシール用接着剤
本発明のプロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)は、シール用接着剤用組成物及びシール用接着剤として使用することが出来る。
シール用接着剤は、例えば、ヒートシール型のシール層、ホットメルト型のシール層等のシール層を形成し、用途等に応じて適宜選択される。
シール用接着剤用組成物及びシール用接着剤に用いられる上記プロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~140℃であってもよい。
【0092】
(i)ヒートシール型のシール層
ヒートシール型のシール層は、熱で融着するヒートシール性を有する。
ヒートシール型のシール層は、製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を含有することができる。一般的な添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。添加剤の含有量としては、目的に応じて適宜設定することができる。
【0093】
さらに必要に応じて、ヒートシール特性を向上したり,他の効果を付与したりする等の目的のため、他のプロピレン系重合体、および、エチレン系重合体、熱可塑性エラストマー、添加剤を配合することができる。
他のプロピレン系重合体としては、プロピレン系重合体(A)の特性を有していない、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。また、他のプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレンの一部を他のモノマーに置き換えたプロピレンランダム共重合体又はプロピレンブロック共重合体であってもよい。
エチレン系重合体としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。
【0094】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系エラストマー及びスチレン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも一種である。
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)などのエチレン・α-オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α-オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどを挙げることができる。具体例としては、JSR株式会社から商品名DYNARON(ダイナロン)(登録商標)として、三井化学株式会社から商品名タフマー(登録商標)として、ダウケミカル株式会社から商品名ENGAGE(エンゲージ)(登録商標)、AFFINITY(アフィニティー)(登録商標)、VERSIFY(バーシファイ)(登録商標)として、日本ポリエチレン株式会社から商品名カーネルとして、エクソンモービルケミカル株式会社から商品名Vistamaxx(ヴィスタマックス)(登録商標)として市販されているものが挙げられる。
【0095】
また、スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン-エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン-エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン-エチレン・ブチレン-エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン-ブタジエン・ブチレン-スチレン共重合体エラストマー(SBBS)、部分水添スチレン-イソプレン-スチレン共重合体エラストマー、部分水添スチレン-イソプレン・ブタジエン-スチレン共重合体エラストマーなどのスチレン系エラストマー、さらにエチレン-エチレン・ブチレン-エチレン共重合体エラストマー(CEBC)などの水添ポリマー系エラストマーなどを挙げることができる。具体例としては、JSR株式会社から商品名:ダイナロン(登録商標)、JSR SIS(登録商標)として、株式会社クラレから商品名:ハイブラー(登録商標)、セプトン(登録商標)、旭化成株式会社から商品名:タフテック(登録商標)として、株式会社カネカから商品名:シブスター(登録商標)として、またはシェル株式会社から商品名:クレイトン(登録商標)、クレイトンD(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
【0096】
これらの熱可塑性エラストマーは1種を用いてもよく、また、2種以上を混合してもよい。これらの熱可塑性エラストマーは種々の製品が多くの会社から市販されているので、それらの中から所望の製品を購入し、使用することができる。
【0097】
添加剤としては顔料などの着色剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、ソルビトール系などの造核剤、フェノール系、リン系などの酸化防止剤、非イオン系などの帯電防止剤、アミド系化合物などのβ晶核剤、無機化合物などの中和剤、チアゾール系などの抗菌・防黴剤、ハロゲン化合物などの難燃剤、可塑剤、有機金属塩系などの分散剤、脂肪酸アミド系などの滑剤、窒素化合物などの金属不活性剤、非イオン系などの界面活性剤や、前記のプロピレン系重合体(A)、および、エチレン系重合体(B)以外のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂などを挙げることができる。
【0098】
これらの添加剤は、2種以上を併用してもよく、組成物に添加してもよいし、プロピレン系重合体(A)、他のプロピレン系重合体、および、エチレン系重合体、熱可塑性エラストマーなどに添加されていてもよく、それぞれの成分においても、2種以上併用することもできる。
【0099】
着色剤として、例えば、無機系や有機系の顔料などは、多層発泡シート(Z)およびその成形体の、着色外観、見映え、風合い、商品価値、耐候性や耐久性などの付与、向上などに有効である。
具体例として、無機系顔料としては、ファーネスカーボン、ケッチェンカーボンなどのカーボンブラック;酸化チタン;酸化鉄(ベンガラ等);クロム酸(黄鉛など);モリブデン酸;硫化セレン化物;フェロシアン化物などが挙げられ、有機系顔料としては、難溶性アゾレーキ;可溶性アゾレーキ;不溶性アゾキレート;縮合性アゾキレート;その他のアゾキレートなどのアゾ系顔料;フタロシアニンブルー;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アントラキノン;ペリノン;ペリレン;チオインジゴなどのスレン系顔料;染料レーキ;キナクリドン系;ジオキサジン系;イソインドリノン系などが挙げられる。また、メタリック調やパール調にするには、アルミフレーク;パール顔料を含有させることができる。また、染料を含有させることもできる。
【0100】
光安定剤や紫外線吸収剤として、例えば、ヒンダードアミン化合物、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系やサリシレート系などは、多層発泡シート(Z)およびその成形体の耐候性や耐久性などの付与、向上に有効であり、耐候変色性の一層の向上に有効である。
具体例としては、ヒンダードアミン化合物として、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの縮合物;ポリ〔〔6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル〕〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕〕;テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート;ビス-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルセバケートなどが挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられ、ベンゾフェノン系としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、サリシレート系としては、4-t-ブチルフェニルサリシレート;2,4-ジ-t-ブチルフェニル3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
ここで、前記光安定剤と紫外線吸収剤とを併用する方法は、耐候性、耐久性、耐候変色性などの向上効果が大きく好ましい。
【0101】
酸化防止剤として、例えば、フェノール系、リン系やイオウ系の酸化防止剤などは、多層発泡シート(Z)およびその成形体の、耐熱安定性、加工安定性、耐熱老化性などの付与、向上などに有効である。
また、帯電防止剤として、例えば、非イオン系やカチオン系などの帯電防止剤は、多層発泡シート(Z)およびその成形体の帯電防止性の付与、向上に有効である。
【0102】
β晶核剤としては、ポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤であれば、特に限定しないが、種々の顔料系化合物(キナクリドン等)やアミド系化合物を用いることができる、特にアミド系化合物が高いβ晶形成能を達成するのに好ましい。
ここで、β晶核剤を併用する方法は、シートの軟化温度を下げる事で熱成形性を向上させるのに有効である。
【0103】
ヒートシール型のシール層において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、シール層組成物100質量部に対して1質量部~100質量部であってよく、5質量部~95質量部であってよく、10質量部~90質量部であってもよい。本発明のプロピレン系重合体の含有量が上記範囲内であることにより、ヒートシール後のシール強度を向上させやすくなる。
【0104】
変性プロピレン系重合体(B)は、ヒートシール型のシール層組成物100質量部に対して1質量部~100質量部含まれていてもよく、5質量部~95質量部含まれていてもよく、10質量部~90質量部であってもよい。
また,プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、ヒートシール型のシール層組成物100質量部に対して1質量部以上であってよく、10質量部以上であってもよい。この含有量の合計が10質量部以上であることにより、ヒートシール後のシール強度をより向上させやすくなる。このうち、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、シール層100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。
【0105】
ヒートシール型のシール層は、単層で構成されていてもよく、複数の層からなる多層で構成されていてもよい。
ヒートシール型のシール層の厚さは、例えば、15μm~200μmとすることができる。
ヒートシール型のシール層の製膜方法としては、例えば、押出成形法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等を用いて、各種の樹脂を単独で、または2種以上の樹脂を混合して、製膜する方法や、2種以上の各種の樹脂を用いて多層共押出しする方法等が挙げられる。
【0106】
また、ヒートシール型のシール層を基材層に積層する方法としては、例えば、後述の接着層を介して基材層の一方の面にヒートシール型のシール層をラミネートする方法や、基材層の一方の面に接着層を介することなくヒートシール型のシール層をラミネートする方法等が挙げられる。接着層を用いるラミネート方法としては、例えば、ドライラミネート、無溶剤ラミネート、押出ラミネート(サンドラミネート)等が挙げられる。また、接着層を用いないラミネート方法としては、例えば、押出ラミネート等が挙げられる。
【0107】
(ii)ホットメルト型のシール層
ホットメルト型のシール層は、ホットメルト接着剤から構成されるシール層である。
【0108】
本発明において積層体がラベルに用いられる場合には、ホットメルト型のシール層が好ましく用いられる。
【0109】
ホットメルト接着剤は、常温(23℃)で固形であり、加熱溶融により液状化させて塗布し、冷却により固化することで接着力を発揮する、熱可塑性樹脂を含む接着剤である。ホットメルト接着剤は、主成分として熱可塑性樹脂を含み、任意の添加剤が適宜に配合され、溶剤を含まない100%固形分である。
【0110】
ホットメルト接着剤は、任意の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、ワックス、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、無機充填剤、難燃剤、滑剤、強化材、加工助剤、スリップ剤、粘着防止剤、剥離剤等が挙げられる。添加剤の含有量としては、目的に応じて適宜設定することができる。
【0111】
ホットメルト型のシール層において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、シール層組成物100質量部に対して1質量部~100質量部であってよく、5質量部~95質量部であってよく、10質量部~90質量部であってもよい。本発明のプロピレン系重合体の含有量が上記範囲内であることにより、シール強度を向上させやすくなる。
【0112】
変性プロピレン系重合体(B)は、ホットメルト型のシール層組成物100質量部に対して1質量部~100質量部含まれていてもよく、5質量部~95質量部含まれていてもよく、10質量部~90質量部であってもよい。
また,プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、ホットメルト型のシール層組成物100質量部に対して1質量部以上であってよく、10質量部以上であってもよい。この含有量の合計が10質量部以上であることにより、シール強度をより向上させやすくなる。このうち、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、シール層100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。
【0113】
ホットメルト型のシール層の厚さとしては、例えば、1~20μm以下であり、5~10μm以下であってもよい。ホットメルト型のシール層の厚さが薄すぎると、デッドホールド性が損なわれる可能性がある。また、ホットメルト型のシール層の厚さが厚すぎると、製造や加工が困難になったり、コストが高くなったりする可能性がある。
ホットメルト型のシール層の形成方法としては、例えば、基材層の一方の面にホットメルト接着剤を加熱溶融により液状化させて塗布する方法が挙げられる。
【0114】
その他接着剤用組成物及び接着剤としては、ポリオレフィン、金属及び極性樹脂についてそれら同種同士の組み合わせも含むそれぞれの組み合わせの接着剤用組成物及び接着剤が挙げられる。また、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体の接着剤用組成物及び接着剤(この場合、分散剤ともいう)が挙げられる。以下にその具体例の一部を説明する。
(2)ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤用組成物及び接着剤
本発明のプロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)は、無極性であるポリオレフィンと極性化合物や金属との相溶性を向上させ、例えば、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤用組成物及び接着剤として使用することが出来る。
【0115】
ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤としては、ポリオレフィンと変性プロピレン系重合体(B)、極性樹脂の順に溶融した状態で積層させることが好ましく、積層する方法としては、例えば、固体の状態で積層させた後に加熱溶融させる方法や、多層共押出しする方法等が挙げられる。
【0116】
接着剤は必要に応じて、ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤としての特性を損なわない範囲で、例えば,その特性を一層向上させたり、その他の効果を付与する等の目的のため、他のプロピレン系重合体、および、エチレン系重合体を配合することができる。
他のポプロピレン系重合体、および、エチレン系重合体としては上述と同様である。
【0117】
ポリオレフィンと極性樹脂との接着剤用組成物及び接着剤において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、接着剤用組成物100質量部に対して1質量部~100質量部であってよく、5質量部~95質量部であってよく、10質量部~90質量部であってもよい。本発明のプロピレン系重合体の含有量が上記範囲内であることにより、ポリオレフィンと極性樹脂との接着強度を向上させやすくなる。
【0118】
変性プロピレン系重合体(B)は、接着剤用組成物100質量部に対して1質量部~100質量部含まれていてもよく、5質量部~95質量部含まれていてもよく、10質量部~90質量部であってもよい。
また,プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、接着剤用組成物100質量部に対して1質量部以上であってよく、10質量部以上であってもよい。この含有量の合計が10質量部以上であることにより、ポリオレフィンと極性樹脂との接着強度をより向上させやすくなる。このうち、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、シール層100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。
【0119】
接着剤は層を形成しており、単層で構成されていてもよく、複数の層からなる多層で構成されていてもよい。
接着剤の厚さは、例えば、5μm以上200μm以下とすることができる。
【0120】
(3)ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤用組成物及び相溶化剤
本発明のプロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)は、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤用組成物または相溶化剤として使用することが出来る。
ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤用組成物及び相溶化剤に用いられる上記プロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が100℃~160℃であってもよい。
【0121】
ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤としては、ポリオレフィンと極性樹脂、プロピレン系重合体(A)又は/及び変性プロピレン系重合体(B)とを従来公知の方法で混合および、または溶融混練することが好ましい。
混合は、通常、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機器を用いて行い、また、溶融混練は、通常、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなどの混練機器を用いて溶融混練し、造粒することにより製造することができる。しかし、溶融混練は必須ではない。
【0122】
ポリオレフィンと極性樹脂とを合わせて80質量%~99.9質量%、または90質量%~99質量%、もしくは95質量%~97質量%に対して、プロピレン系重合体(A)又は/及び変性プロピレン系重合体(B)を0.1質量%~20質量%、または1質量%~10質量%、もしくは3質量%~5質量%含有することができる。プロピレン系重合体(A)及び/又は変性プロピレン系重合体(B)の含有量が0.1質量%以上であることにより、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶性が向上し、リオレフィン又は極性樹脂を均一に微分散させやすくなる。このうち、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。
【0123】
さらに必要に応じて、ポリオレフィンと極性樹脂との相溶化剤としての特性を損なわない範囲で、例えば、その特性を一層向上させたり、他の効果を付与する等の目的のため、熱可塑性エラストマーやフィラー、添加材を配合することができる。熱可塑性エラストマー及び添加剤としては、上述の熱可塑性エラストマー及び添加剤を挙げることができる。
フィラーとしてはとしては特に制限は無いが、無機系フィラー及び有機系フィラーからなる群より選ばれる少なくとも一種を使用することができ、2種類以上使用してもよい。
【0124】
無機系フィラーとしては、公知の無機フィラーが挙げられ、例えば、シリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルンなどの酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイトなどのケイ酸塩、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維などを挙げることができる。
一方、有機系フィラーとしては、公知の有機フィラーが挙げられ、例えば、モミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、デンプン、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、各種有機繊維、熱硬化性樹脂粉末などを挙げることができる。
これらは1種を用いてもよく、また、2種以上を混合してもよい。これらのフィラーは種々の製品が多くの会社から市販されているので、それらの中から所望の製品を購入し、使用することができる。
【0125】
(4)ポリオレフィンと金属との接着剤用組成物または接着剤
本発明のプロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)は、ポリオレフィンと金属との接着剤用組成物または接着剤として使用することが出来る。
ポリオレフィンと金属との接着剤用組成物または接着剤に用いられる上記プロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0126】
ポリオレフィンと金属との接着剤としては、例えばポリオレフィン80質量%~99.9質量%と変性プロピレン系重合体(B)0.1質量%~20質量%との混合および、または溶融混練物を溶融状態で金属に接合させたり、金属の一方の面に変性プロピレン系重合体(B)を加熱溶融により液状化させて厚さ10~500μm塗布した後に溶融状態のポリオレフィンを接合させることを挙げることができる。
接合させる方法は、射出成形機を用いたインサート成形やプレス成型などが挙げることができる。
【0127】
ポリオレフィンと金属との接着剤用組成物及び接着剤は必要に応じて、ポリオレフィンと金属との接着剤としての特性を損なわない範囲で、例えば、その特性を一層向上させたり、他の効果を付与する等の目的のため、他のプロピレン系重合体、および、エチレン系重合体、添加剤を配合することもできる。
他のポプロピレン系重合体、および、エチレン系重合体としては上述と同様であり、添加剤としては、上述の添加剤を挙げることができる。
【0128】
ポリオレフィンと金属との接着剤用組成物及び接着剤において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、接着剤用組成物100質量部に対して0.1質量部~100質量部であってよく、1質量部~95質量部であってよく、5質量部~90質量部であってもよい。本発明のプロピレン系重合体の含有量が上記範囲内であることにより、ポリオレフィンと金属との接着強度を向上させやすくなる。
【0129】
変性プロピレン系重合体(B)は、接着剤用組成物100質量部に対して0.1質量部~100質量部含まれていてもよく、1質量部~95質量部含まれていてもよく、5質量部~90質量部であってもよい。
また,プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、接着剤用組成物100質量部に対して1質量部以上であってよく、10質量部以上であってもよい。この含有量の合計が10質量部以上であることにより、ポリオレフィンと金属との接着強度をより向上させやすくなる。このうち、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、シール層100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。
【0130】
ポリオレフィンと金属との接着剤としては、例えば溶融状態で金属に接合させたり、金属の一方の面に加熱溶融により液状化させて厚さ10~500μm塗布した後に溶融状態のポリオレフィンを接合させることを挙げることができる。
接合させる方法は、射出成形機を用いたインサート成形やプレス成型などが挙げることができる。
【0131】
(5)無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤用組成物および接着剤
本発明のプロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)は、無機又は有機フィラーとポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤用組成物又は接着剤として使用することが出来る。
無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤用組成物および接着剤に用いられる上記プロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0132】
ポリオレフィンと無機又は有機フィラーを合わせて80質量%~99.9質量%、または90質量%~99重量%、もしくは95質量%~97重量%に対して、プロピレン系重合体(A)及び/又は変性プロピレン系重合体(B)を0.1質量%~20質量%、または1質量%~10質量%、もしくは3質量%~5質量%含有することができる。プロピレン系重合体(A)及び/又は変性プロピレン系重合体(B)の含有量が0.1質量%以上であることにより、ポリオレフィンと無機又は有機フィラーとの相溶性が向上し、無機又は有機フィラーの分散性が向上させやすくなる。このうち、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。
【0133】
さらに必要に応じて、無機又は有機フィラー及びポリオレフィン又はポリエステル共重合体との接着剤としての特性を著しく損なわない範囲で、例えば、その特性を一層向上させたり、他の効果を付与する等の目的のため、熱可塑性エラストマーや、添加剤を配合することができる。熱可塑性エラストマー及び添加剤は上述の例が挙げられる。
【0134】
(6)有機溶剤に溶解している接着剤用組成物及び接着剤、粘着剤用組成物及び粘着剤、塗料用組成物及び塗料、シーリング材組成物及びシーリング材、改質材組成物及び改質材、又は、プライマー用組成物及びプライマー
本発明のプロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)は、有機溶剤に溶解している(以下有機溶剤溶解性ともいう)接着剤用組成物及び接着剤、粘着剤用組成物及び粘着剤、塗料用組成物及び塗料、シーリング材組成物及びシーリング材、改質材組成物及び改質材、または、プライマー用組成物及びプライマーとして使用することが出来る。
【0135】
(i)有機溶剤溶解性の接着剤用組成物及び接着剤
有機溶剤溶解性の接着剤用組成物及び接着剤に用いられるプロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~20万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0136】
有機溶剤溶解性の接着剤用組成物及び接着剤において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、接着剤組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。本発明のプロピレン系重合体の含有量が上記範囲内であることにより、はんだリフロー時の耐熱性を維持しつつ、誘電特性を向上させやすくなる。
【0137】
変性プロピレン系重合体(B)は、有機溶剤溶解性の接着剤用組成物の固形分100質量部に対して10質量部~99質量部含まれていてもよく、30質量部~95質量部含まれていてもよい。
また,プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、接着剤組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であってよく、60質量部以上であってもよい。この含有量の合計が50質量部以上であることにより、接着剤層の柔軟性を付与し、積層体の反りを防止しやすくなる。このうち、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、接着剤組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましい。
【0138】
有機溶剤溶解性の接着剤用組成物及び接着剤としては、プロピレン系重合体(A)及び/又は変性プロピレン系重合体(B)が有機溶剤に溶解している。なお、有機溶剤溶解性の接着剤用組成物及び接着剤に用いる変性ポリプロピレン系重合体の酸価は、0.1~50mgKOH/gであってよく、0.5~40mgKOH/gであってよく、1.0~30m gKOH/gであってもよい。この酸価が0.1~50mgKOH/gであることにより、接着剤用組成物が十分に硬化し、良好な接着性、耐熱性及び樹脂流れ出し性が得られやすい。
【0139】
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n-ブチルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のエステル系溶剤;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0140】
さらに必要に応じて、有機溶剤溶解性の接着剤用組成物としての特性を著しく損なわない範囲で、例えば、その特性を一層向上させたり、他の効果を付与する等の目的のため、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、プロピレン系重合体(A)とは異なるポリプロピレン系樹脂、熱可塑性樹脂や粘着付与剤、難燃剤、硬化剤、硬化促進剤、カップリング剤、熱老化防止剤、無機充填剤を配合することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0141】
粘着付与剤としては、公知の粘着付与剤が挙げられ、例えば、クマロン-インデン樹脂、テルペン樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジン樹脂、p-t-ブチルフェノール-アセチレン樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、キシレン-ホルムアルデヒド樹脂、石油系炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、テレピン系樹脂等を挙げることができる。これらの粘着付与剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0142】
難燃剤としては、公知の難燃剤が挙げられ、有機系難燃剤及び無機系難燃剤のいずれでもよい。有機系難燃剤としては、例えば、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン、ポリリン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アミドアンモニウム、ポリリン酸アミドアンモニウム、リン酸カルバメート、ポリリン酸カルバメート、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタン等のリン系難燃剤;メラミン、メラム、メラミンシアヌレート等のトリアジン系化合物や、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、トリアゾール系化合物、テトラゾール化合物、ジアゾ化合物、尿素等の窒素系難燃剤;シリコーン化合物、シラン化合物等のケイ素系難燃剤等が挙げられる。また、無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化ニッケル等の金属酸化物;炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ホウ酸亜鉛、水和ガラス等が挙げられる。これらの難燃剤は、2種以上を併用することができる。
【0143】
硬化剤としては、公知で使用されている硬化剤が挙げられ、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アミン系硬化剤としては、例えば、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のメラミン樹脂、ジシアンジアミド、4,4'-ジフェニルジアミノスルホン等が挙げられる。また、酸無水物としては、芳香族系酸無水物、及び脂肪族系酸無水物が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0144】
硬化促進剤としては、公知の硬化促進剤が挙げられ、例えば第三級アミン系硬化促進剤、第三級アミン塩系硬化促進剤及びイミダゾール系硬化促進剤等を使用することができる。
【0145】
第三級アミン系硬化促進剤としては、ベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、N,N'-ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等が挙げられる。
【0146】
第三級アミン塩系硬化促進剤としては、公知の第三級アミン塩系硬化促進剤が挙げられ,具体手的には1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセンの、ギ酸塩、オクチル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、o-フタル酸塩、フェノール塩又はフェノールノボラック樹脂塩や、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネンの、ギ酸塩、オクチル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、o-フタル酸塩、フェノール塩又はフェノールノボラック樹脂塩等が挙げられる。
【0147】
イミダゾール系硬化促進剤としては、公知のイミダゾール系硬化促進剤が挙げられ、具体的には、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチル-4-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル-(1')]エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-ウンデシルイミダゾリル-(1')]エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-エチル-4'-メチルイミダゾリル-(1')]エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル-(1')]エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい
【0148】
カップリング剤としては、公知のカップリング剤が挙げられ、例えばビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトシキシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イミダゾールシラン等のシラン系カップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミネート系カップリング剤;ジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0149】
熱老化防止剤例えば、公知の酸化防止剤が挙げられ、その具体例としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ペンタエリスリトールテトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノ-ル系酸化防止剤;ジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3'-ジチオプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0150】
無機充填剤としては、公知の無機充填剤が使用でき、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカ、タルク、銅、及び銀等からなる粉体が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0151】
(ii)有機溶剤溶解性の粘着剤用組成物及び粘着剤
有機溶剤溶解性の粘着剤用組成物及び粘着剤に用いられる上記プロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0152】
有機溶剤溶解性の粘着剤用組成物及び粘着剤において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、粘着剤組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
変性プロピレン系重合体(B)の含有量は、粘着剤組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
【0153】
プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、粘着剤組成物の固形分100質量部に対して10質量部~99質量部含まれていてもよく、30質量部~95質量部含まれていてもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、粘着剤組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)、変性プロピレン系重合体(B))又はそれらの合計の含有量は、上記範囲内であることにより、良好な粘着強度が得られやすくなる。
【0154】
プロピレン系重合体(A)および変性プロピレン系重合体(B)以外に含まれる有機溶剤溶解性の粘着剤用組成物の固形分としては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ならびにポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、およびポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル系重合体;(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド等のアミド基含有(メタ)アクリル系重合体;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシ(メタ)アクリレート等のケトン基含有(メタ)アクリル系重合体;スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート等の芳香族基含有エチレン性不飽和単量体;が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは単独または2種類以上併用することができる。
【0155】
本発明の粘着剤用組成物は、上記以外にも必要に応じて、架橋剤(硬化剤)、他の粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、難燃剤、防かび剤、シランカップリング剤、充填剤、着色剤等の添加剤を含有した組成物とすることもできる。
上記架橋剤(硬化剤)としては、グリシジル基を2つ以上有するグリシジル化合物、イソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物、アジリジニル基を2つ以上有するアジリジン化合物、オキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物等が挙げられる。これらのうち、アジリジン化合物、グリシジル化合物及びイソシアネート化合物が好ましい。
【0156】
上記アジリジン化合物としては、1,6-ビス(1-アジリジニルカルボニルアミノ)ヘキサン、1,1’-(メチレン-ジ-p-フェニレン)ビス-3,3-アジリジル尿素、1,1’-(ヘキサメチレン)ビス-3,3-アジリジル尿素、エチレンビス-(2-アジリジニルプロピオネート)、トリス(1-アジリジニル)ホスフィンオキサイド、2,4,6-トリアジリジニル-1,3,5-トリアジン、トリメチロールプロパン-トリス-(2-アジリジニルプロピオネート)等が挙げられる。
【0157】
上記グリシジル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジル化合物が挙げられる。
【0158】
上記イソシアネート化合物としては、好ましくは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物が用いられる。
上記イソシアネート化合物としては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、これらのイソシアネート化合物の変性物(プレポリマー等)を用いることができる。
【0159】
芳香族イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。
また、変性イソシアネートとしては、上記イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
【0160】
本発明において粘着剤組成物が架橋剤(硬化剤)を含有する場合、その含有量は、上記(メタ)アクリル系粘着性ポリマー100質量部に対して、0.01質量部~10質量部であってよく、0.03質量部~5質量部であってよく、0.05質量部~2質量部であってもよい。
【0161】
上記他の粘着性付与剤としては、ロジンエステル、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジンエステル、マレイン化ロジン、不均化ロジンエステル等のロジン誘導体;テルペンフェノール樹脂、α-ピネン、β-ピネン、リモネン等を主体とするテルペン系樹脂;(水添)石油樹脂;クマロン-インデン系樹脂;水素化芳香族コポリマー;スチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂等が挙げられる。
【0162】
上記可塑剤としては、ジn-ブチルフタレート、ジn-オクチルフタレート、ビス(2-エチルヘキシル)フタレート、ジn-デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジn-オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジn-ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)アゼレート等のアゼライン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ変性植物油類;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3-ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類;低分子量ポリブテン、低分子量ポリイソブチレン、低分子量ポリイソプレン等の低分子量重合体;プロセスオイル、ナフテン系オイル等のオイル類等が挙げられる。
【0163】
上記酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-〔β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-〔メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール類等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ステアリル3,3’-チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0164】
上記紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン、ビス(2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-〔2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール〕、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール〕等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、〔2,2’-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)〕-n-ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-リン酸モノエチレート、ニッケル-ジブチルジチオカルバメート等のニッケル系紫外線安定剤等が挙げられる。
【0165】
上記老化防止剤としては、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、1-(N-フェニルアミノ)-ナフタレン、スチレン化ジフェニルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、モノ(α-メチルベンジル)フェノール、ジ(α-メチルベンジル)フェノール、トリ(α-メチルベンジル)フェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンズイミダゾール、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル等が挙げられる。
【0166】
上記難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイド、含ハロゲンポリフォスフェート等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリス(β-クロロエチル)ホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、酸性リン酸エステル、含窒素リン化合物等のリン系難燃剤;赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤;ポリ(ジメトキシシロキサン)、ポリ(ジエトキシシロキサン)、ポリ(ジフェノキシシロキサン)、ポリ(メトキシフェノキシシロキサン)、メチルシリケート、エチルシリケート、フェニルシリケートのようなシロキサン系難燃剤等が挙げられる。
【0167】
上記防かび剤としては、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、トリハロアリル、トリアゾール、有機窒素硫黄化合物等が挙げられる。
【0168】
上記シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0169】
上記充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク等の無機粉末充填剤;ガラス繊維、有機補強用繊維等の繊維状充填剤等が挙げられる。
【0170】
有機溶剤溶解性の粘着剤用組成物及び粘着剤としては、プロピレン系重合体(A)及び/又は変性プロピレン系重合体(B)が有機溶剤に溶解している。
なお、有機溶剤溶解性の粘着剤用組成物及び粘着剤に用いる変性ポリプロピレン系重合体(B)の酸価は、0.1~50mgKOH/gであってよく、0.5~40mgKOH/gであってよく、1.0~30mgKOH/gであってもよい。この酸価が0.1~50mgKOH/gであることにより、粘着剤組成物が十分に硬化し、良好な粘着性、耐熱性及び樹脂流れ出し性が得られやすい。
【0171】
(iii)有機溶剤溶解性の塗料用組成物及び塗料
有機溶剤溶解性の塗料用組成物及び塗料に用いられる上記プロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0172】
有機溶剤溶解性の塗料用組成物及び塗料において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、塗料組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
変性プロピレン系重合体(B)の含有量は、塗料組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部含まれていてもよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、塗料組成物の固形分100質量部に対して1~99質量部含まれていてもよく、10~95質量部含まれていてもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、塗料組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)、変性プロピレン系重合体(B))又はそれらの合計の含有量が上記範囲内であることにより、塗料を基材、または、プライマーの表面に塗布した際の密着性、および、接着性を向上させやすくなる。
【0173】
上述の有機溶剤溶解性の塗料用組成物の固形分としては、従来から塗料として使用されている既知の例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、プロピレン系重合体(A)とは異なるポリプロピレン系樹脂、熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0174】
(iv)有機溶剤溶解性のシーリング材組成物及びシーリング材
有機溶剤溶解性のシーリング材組成物及びシーリング材に用いられる上記プロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0175】
有機溶剤溶解性のシーリング材組成物及びシーリング材において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、シーリング材組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
変性プロピレン系重合体(B)の含有量は、シーリング材組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部含まれていてもよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、シーリング材組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部含まれていてもよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、シーリング材組成物の固形分100質量部に対して90質量部以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)、変性プロピレン系重合体(B))又はそれらの合計の含有量が上記範囲内であることにより、シーリング材の伸縮性を損なわず、かつ、シーリング材を基材の表面に塗布した際の密着性、および、接着性を向上させやすくなる。
【0176】
上述の有機溶剤溶解シーリング材組成物の固形分としては、従来からシーリング材として使用されている既知の例えばシリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ブチルゴムを使用することができる。
【0177】
(v)有機溶剤溶解性の改質材組成物及び改質材
有機溶剤溶解性の改質材組成物及び改質材に用いられる上記プロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0178】
有機溶剤溶解性の改質材組成物及び改質材において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、改質剤組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
変性プロピレン系重合体(B)の含有量は、改質材組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部含まれていてもよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、改質材組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部含まれていてもよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、改質材の固形分100質量部に対して90質量部以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)、変性プロピレン系重合体(B))又はそれらの合計の含有量が上記範囲内であることにより、改質材の撥水性を損なわず、かつ、改質材を基材の表面に塗布した際の密着性、および、接着性を向上させやすくなる。
【0179】
上述の有機溶剤溶解性の改質材組成物の固形分としては、従来から改質材として使用されている既知の例えばフルオロアルキル基含有樹脂、アクリル樹脂を使用することができる。
【0180】
(vi)有機溶剤溶解性のプライマー用組成物及びプライマー
有機溶剤溶解性のプライマー用組成物及びプライマーに用いられる上記プロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0181】
有機溶剤溶解性のプライマー用組成物及びプライマーにおいて、プロピレン系重合体(A)の含有量は、プライマー組成物の固形分100質量部に対して1質量部~99質量部であってよく、10質量部~95質量部であってよく、20質量部~90質量部であってもよい。
変性プロピレン系重合体(B)の含有量は、プライマー組成物の固形分100質量部に対して1質量部~99質量部であってよく、10質量部~95質量部であってよく、20質量部~90質量部であってもよい。
プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計はプライマー用組成物の固形分100質量部に対して1~99質量部含まれていてもよく、10~95質量部含まれていてもよく、20~90質量部含まれていてもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、プライマー用組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)、変性プロピレン系重合体(B))又はそれらの合計の含有量が上記範囲内であることにより、基材にたいしてプライマー、塗料の順で塗布した際の基材、および、塗料との密着性、接着性を向上させやすくなる。
【0182】
上述の有機溶剤溶解性のプライマー用組成物の固形分としては、従来から塗料として使用されている既知の例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、プロピレン系重合体(A)とは異なるポリプロピレン系樹脂、熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0183】
(7)水性媒体に分散している接着剤用組成物及び接着剤、粘着剤用組成物及び粘着剤、塗料用組成物及び塗料、シーリング材組成物及びシーリング材、改質材組成物及び改質材、又は、プライマー用組成物又はプライマー
本発明のプロピレン系重合体及び変性プロピレン系重合体(B)は、水性媒体分散性の接着剤用組成物及び接着剤、粘着剤用組成物及び粘着剤、塗料用組成物及び塗料、シーリング材組成物及びシーリング材、改質材組成物及び改質材、または、プライマー用組成物又はプライマーとして使用することが出来る。
【0184】
(i)水性媒体分散性の接着剤用組成物及び接着剤
水性媒体分散性の接着剤用組成物及び接着剤に用いられるプロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~20万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0185】
水性媒体分散性の接着剤用組成物及び接着剤において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、接着剤用組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
変性プロピレン系重合体(B)は、接着剤用組成物の固形分100質量部に対して10質量部~99質量部含まれていてもよく、30質量部~95質量部含まれていてもよい。
また,プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、接着剤用組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であってよく、60質量部以上であってもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。この含有量の合計が50質量部以上であることにより、接着剤層の柔軟性を付与し、積層体の反りを防止しやすくなる。なお、この含有量の合計は、接着剤用組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましい。
【0186】
水性媒体分散性の接着剤用組成物及び接着剤としては、プロピレン系重合体(A)及び/又は変性プロピレン系重合体(B)が水、及び水性溶剤(25℃での水への溶解度が10g以上/100g水)が含まれる。
水性溶剤としては、ケトン[アセトン、メチルエチルケトン(以下MEKと略記)、及びジエチルケトン等]、アルコール(メタノール、エタノール、及びイソプロパノール等)等が挙げられ、貯蔵安定性等の観点から、好ましいのはアセトン、MEK及びイソプロパノールである。水性溶剤は1種又は2種以上で使用することができる。
【0187】
また、本発明において水性分散体は、変性プロピレン系重合体(B)が有するカルボキシル基及び/又は酸無水物基の少なくとも一部が塩基で中和された(部分)中和物の水性分散体であり、水性媒体中に分散した(部分)中和物を含む分散体である。
【0188】
塩基としては、好ましくは1価の塩基、例えば、モノアミン{例えば、アルキル基の炭素数が1~10のモノアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン等)、アルキル基の炭素数がそれぞれ独立に1~10のジアルキルアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン等)、アルキル基の炭素数がそれぞれ独立に1~10のトリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルブチルアミン等)、炭素数1~30のアミノアルコール(例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノプロパノール等)、複素環式アミン(例えば、モルホリン等)等}、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)挙げられる。
上記塩基のうち、集束性の観点から、好ましいのはモノアミン、さらに好ましいのはトリアルキル(アルキルの炭素数がそれぞれ独立に1~4)アミン、とくに好ましいのはトリエチルアミンである。
【0189】
接着剤用組成物としては、前記の水性分散体をそのまま用いても良いし、さらに水性媒体で希釈して用いても良い。
接着剤用組成物には、前記の水性分散体の他に水系エマルション系接着剤に用いられる公知の添加剤(消泡剤、着色剤及び粘着性付与剤等)を含んでも良い。
接着剤用組成物を公知の水系エマルション系接着剤と同様の方法で被着体の表面に広げる、被着体同士を圧締等することで接着することができる。
【0190】
(ii)水性媒体分散性の粘着剤用組成物及び粘着剤
水性媒体分散性の粘着剤用組成物及び粘着剤に用いられるプロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0191】
水性媒体分散性の粘着剤用組成物及び粘着剤において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、粘着剤用組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
本発明のプロピレン系重合体の含有量が上記範囲内であることにより、良好な粘着強度が得られやすくなる。
【0192】
変性プロピレン系重合体(B)は、粘着剤用組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
また,プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、粘着剤用組成物の固形分100質量部に対して10質量部~99質量部含まれていてもよく、30質量部~95質量部含まれていてもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、粘着剤用組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましい。
【0193】
プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)以外に含まれる水性媒体分散性の粘着剤用組成物の固形分としては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ならびにポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、およびポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル系重合体;(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド等のアミド基含有(メタ)アクリル系重合体;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシ(メタ)アクリレート等のケトン基含有(メタ)アクリル系重合体;スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート等の芳香族基含有エチレン性不飽和単量体;水素化芳香族コポリマー;スチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂等;が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは単独または2種類以上併用することができる。
【0194】
本発明において水性媒体分散性の粘着剤用組成物は、上記以外にも必要に応じて、架橋剤(硬化剤)、他の粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、難燃剤、防かび剤、シランカップリング剤、充填剤、着色剤等の添加剤を含有した組成物とすることもできる。
上記架橋剤(硬化剤)としては、グリシジル基を2つ以上有するグリシジル化合物、イソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物、アジリジニル基を2つ以上有するアジリジン化合物、オキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物等が挙げられる。これらのうち、アジリジン化合物、グリシジル化合物及びイソシアネート化合物が好ましい。
【0195】
上記アジリジン化合物としては、1,6-ビス(1-アジリジニルカルボニルアミノ)ヘキサン、1,1’-(メチレン-ジ-p-フェニレン)ビス-3,3-アジリジル尿素、1,1’-(ヘキサメチレン)ビス-3,3-アジリジル尿素、エチレンビス-(2-アジリジニルプロピオネート)、トリス(1-アジリジニル)ホスフィンオキサイド、2,4,6-トリアジリジニル-1,3,5-トリアジン、トリメチロールプロパン-トリス-(2-アジリジニルプロピオネート)等が挙げられる。
【0196】
上記グリシジル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジル化合物が挙げられる。
【0197】
上記イソシアネート化合物としては、好ましくは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物が用いられる。
上記イソシアネート化合物としては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、これらのイソシアネート化合物の変性物(プレポリマー等)を用いることができる。
【0198】
芳香族イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。
また、変性イソシアネートとしては、上記イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
【0199】
本発明において水性媒体分散性の粘着剤用組成物が架橋剤(硬化剤)を含有する場合、その含有量は、上記(メタ)アクリル系粘着性ポリマー100質量部に対して、0.01質量部~10質量部であってよく、0.0質量部3~5質量部であってよく、0.05質量部~2質量部であってもよい。
【0200】
上記他の粘着性付与剤としては、ロジンエステル、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジンエステル、マレイン化ロジン、不均化ロジンエステル等のロジン誘導体;テルペンフェノール樹脂、α-ピネン、β-ピネン、リモネン等を主体とするテルペン系樹脂;(水添)石油樹脂;クマロン-インデン系樹脂;水素化芳香族コポリマー;スチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂等が挙げられる。
【0201】
上記可塑剤としては、ジn-ブチルフタレート、ジn-オクチルフタレート、ビス(2-エチルヘキシル)フタレート、ジn-デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジn-オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジn-ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)アゼレート等のアゼライン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ変性植物油類;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3-ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類;低分子量ポリブテン、低分子量ポリイソブチレン、低分子量ポリイソプレン等の低分子量重合体;プロセスオイル、ナフテン系オイル等のオイル類等が挙げられる。
【0202】
上記酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-〔β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-〔メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール類等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ステアリル3,3’-チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0203】
上記紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン、ビス(2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-〔2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール〕、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール〕等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、〔2,2’-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)〕-n-ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-リン酸モノエチレート、ニッケル-ジブチルジチオカルバメート等のニッケル系紫外線安定剤等が挙げられる。
【0204】
上記老化防止剤としては、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、1-(N-フェニルアミノ)-ナフタレン、スチレン化ジフェニルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、モノ(α-メチルベンジル)フェノール、ジ(α-メチルベンジル)フェノール、トリ(α-メチルベンジル)フェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンズイミダゾール、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル等が挙げられる。
【0205】
上記難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイド、含ハロゲンポリフォスフェート等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリス(β-クロロエチル)ホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、酸性リン酸エステル、含窒素リン化合物等のリン系難燃剤;赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤;ポリ(ジメトキシシロキサン)、ポリ(ジエトキシシロキサン)、ポリ(ジフェノキシシロキサン)、ポリ(メトキシフェノキシシロキサン)、メチルシリケート、エチルシリケート、フェニルシリケートのようなシロキサン系難燃剤等が挙げられる。
【0206】
上記防かび剤としては、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、トリハロアリル、トリアゾール、有機窒素硫黄化合物等が挙げられる。
【0207】
上記シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0208】
上記充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク等の無機粉末充填剤;ガラス繊維、有機補強用繊維等の繊維状充填剤等が挙げられる。
【0209】
水性媒体分散性の粘着剤用組成物及び粘着剤としては、プロピレン系重合体(A)及び/又は変性プロピレン系重合体(B)が水媒体中に分散したエマルション型粘着剤用組成物の形態として用いても良い。
【0210】
(iii)水性媒体分散性の塗料用組成物及び塗料
水性媒体分散性の塗料用組成物及び塗料に用いられるプロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0211】
水性媒体分散性の塗料用組成物及び塗料において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、塗料組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
【0212】
変性プロピレン系重合体(B)の含有量は、塗料組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部含まれていてもよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
プロピレン系重合体(A)及び含有量の合計は、塗料組成物の固形分100質量部に対して1質量部~99質量部含まれていてもよく、10質量部~95質量部含まれていてもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、塗料用組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)、変性プロピレン系重合体(B))又はそれらの合計の含有量が上記範囲内であることにより、塗料を基材、または、プライマーの表面に塗布した際の密着性、および、接着性を向上させやすくなる。
【0213】
上述の水性媒体分散性の塗料用組成物の固形分としては、従来から塗料として使用されている既知の例えば水酸基を有するウレタン樹脂、水酸基を有する(メタ)アクリルウレタン複合樹脂、及び水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であって、耐水付着性に優れる点から水酸基価が0.1~49mgKOH/g、0.1mgKOH/g~40mgKOH/gであってよく、10mgKOH/g~40mgKOH/gであってよく、17mgKOH/g~40mgKOH/gであってもよい。
中でも、平滑性に優れ、外観が優れている点から、ウレタン樹脂、及びアクリルウレタン複合樹脂であってもよい。さらに、外観や屈曲性に優れることからアクリルウレタン複合樹脂であってもよい。
【0214】
本発明において水性媒体分散性の塗料用組成物を製造する際、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)は、水性分散体として配合することが好ましい。水性分散体は、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)を界面活性剤により水性媒体に分散させる方法や、プロピレン系重合体(A)に親水性の高分子をグラフト結合等により一体化した変性プロピレン系重合体(B)を用いて水性媒体に分散させる方法等により製造できる。
【0215】
前記の親水性の高分子とは、25℃の水に10質量%の濃度で溶解させたときに、不溶分が1質量%以下の高分子を言う。この水溶性の高分子としては、合成高分子、半合成高分子、天然高分子のいずれも用いることができる。この親水性の高分子の数平均分子量Mnは300以上であってもよい。このMnは大きいほどプロピレン系重合体(A)の水性分散体の機械安定性が向上する傾向がある。
【0216】
前記の合成高分子としては、例えばポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が使用できる。前記の天然高分子としては、例えばデンプン、アラビアゴム、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、デキストリン等が使用できる。前記の半合成高分子としては、例えばカルボキシル化デンプン、カチオン化デンプン、デキストリン、エチルセルロース、カルボキシル化メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース等が使用できる。
【0217】
前記の界面活性剤としては、各種のアニオン性、カチオン性、またはノニオン性の界面活性剤、さらには高分子界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合を持つ、いわゆる反応性界面活性剤も使用することができる。これらの中でも、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の水性分散体の貯蔵安定性向上の点からアニオン性の界面活性剤を用いることができる。アニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、株式会社ADEKA製の反応性界面活性剤であるアデカリアソープSR、非反応性界面活性剤であるネオコールSW-Cを用いることができる。
【0218】
(iv)水性媒体分散性の改質材組成物及び改質材
繊維加工処理剤、紙処理剤及びインキ等に使用される水性媒体分散性の改質材組成物及び改質材に用いられるプロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0219】
水性媒体分散性の改質材組成物及び改質材において、プロピレン系重合体(A)の含有量は、改質材組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部であってよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
【0220】
変性プロピレン系重合体(B)の含有量は、改質剤組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部含まれていてもよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。
プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、改質材組成物の固形分100質量部に対して1質量部~90質量部含まれていてもよく、20質量部~70質量部であってよく、30質量部~60質量部であってもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、1:99~99:1であってよく、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、改質材組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)、変性プロピレン系重合体(B)又はそれらの合計の含有量が上記範囲内であることにより、繊維やインクの分散性の向上や、基材の表面に塗布した際の密着性、および、接着性を向上させやすくなる。
【0221】
上述の水性媒体分散性の改質材組成物の固形分としては、従来から改質材として使用されている既知の例えば水酸基を有するウレタン樹脂、水酸基を有する(メタ)アクリルウレタン複合樹脂、及び水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であって、を使用することができる。
【0222】
(v)水性媒体分散性のプライマー用組成物又はプライマー
水性媒体分散性のプライマー用組成物又はプライマーに用いられるプロピレン系重合体(A)としては、Mwが1000~30万、Q値が2.0~4.0、末端二重結合率が0.7以上であってもよい。さらに、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、融点が60℃~160℃であってもよい。
【0223】
水性媒体分散性のプライマー用組成物及びプライマーにおいて、プロピレン系重合体(A)の含有量は、プライマー組成物の固形分100質量部に対して1質量部~99質量部であってよく、10質量部~95質量部であってよく、20質量部~90質量部であってもよい。
【0224】
変性プロピレン系重合体(B)の含有量は、水性媒体分散性のプライマー組成物の固形分100質量部に対して1質量部~99質量部含まれていてもよく、10質量部~95量部含まれていてもよく、20質量部~90質量部含まれていてもよい。
プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の含有量の合計は、プライマー組成物の固形分100質量部に対して1質量部~99質量部含まれていてもよく、10質量部~95質量部含まれていてもよく、20質量部~90質量部含まれていてもよい。このとき、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)の組成比は、10:90~70:30であってよく、20:80~60:40であってもよい。なお、この含有量の合計は、プライマー組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)、変性プロピレン系重合体(B)又はそれらの含有量が上記範囲内であることにより、基材に対してプライマー、塗料の順で塗布した際の基材、および、塗料との密着性、接着性を向上させやすくなる。
【0225】
上述の水性媒体分散性のプライマー用組成物の固形分としては、従来からプライマーとして使用されている既知の例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、プロピレン系重合体(A)とは異なるポリプロピレン系樹脂、熱可塑性樹脂、凝集促進剤、界面活性剤を使用することができる。
【0226】
凝集促進剤としては、水性インクジェット用インク組成物用のプライマー組成物に含まれる公知のものが使用でき、例えば、水溶性多価金属塩、有機酸、カチオンポリマー等が挙げられる。前記凝集促進剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記水溶性多価金属塩としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム等の金属と、有機酸又は無機酸から構成される解離性塩が挙げられる。前記有機酸としては、例えば、RCOOH(式中、Rは、水素、炭素数1~30の有機基)で表される脂肪酸等が挙げられる。また、前記無機酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩化水素(塩酸)、臭化水素、ヨウ化水素、塩素酸、臭素酸、炭酸、リン酸等が挙げられる。前記水溶性多価金属塩としては、具体的には、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
【0227】
前記有機酸としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0228】
前記カチオンポリマーとしては、例えば、第1級~ 第3級アミノ基を有するポリマー、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー等が挙げられる。前記カチオンポリマーとしては、具体的に、第1級~第3級アミノ基及びその塩、第4級アンモニウム塩基を有する単量体(カチオンモノマー)の単独重合体や、該カチオン性モノマーと他のモノマー(以下、「非カチオンモノマー」という。)との共重合体又は縮重合体が挙げられる。前記カチオンポリマーは、水溶性ポリマーや水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0229】
前記凝集促進剤の含有量は、印刷物の鮮明性及び耐滲み性を向上させる観点から、プライマー組成物中、0.05質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってよく、1.0質量%以上であってもよい。そして、保存安定性を向上させる観点から、プライマー組成物中、15.0質量%以下であってよく、10.0質量%以下であってよく、5.0質量%以下であってもよい。
プライマー組成物の全不揮発分中、1.0質量%以上であってよく、15.0質量%以上であってよく、25.0質量%以上であってもよい。そして、保存安定性を向上させる観点から、プライマー組成物の全不揮発分中、70.0質量%以下であってよく、60.0質量% 以下であってよく、50.0質量% 以下であってよく、40.0質量%以下でであってもよい。
【0230】
界面活性剤としては、アセチレン系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤からなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤(a)と、前記界面活性剤(a)以外のノニオン性界面活性剤(b)を含有する。
【0231】
<界面活性剤(a)>
前記界面活性剤(a)は、アセチレン系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤からなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤である。前記界面活性剤(a)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0232】
前記アセチレン系界面活性剤としては、公知のアセチレングリコール系界面活性剤やアセチレンアルコール系界面活性剤を採用できる。例えば、市販品として、「ダイノール607」、「ダイノール609」、「オルフィンE-1004」、「オルフィンE-1010」、「オルフィンE-1020」、「オルフィンPD-001」、「オルフィンPD-002W」、「オルフィンPD-004」、「オルフィンPD-005」、「オルフィンEXP.4001」、「オルフィンEXP.4200」、「オルフィンEXP.4123」、「オルフィンEXP.4300」(以上、日信化学工業社);「サーフィノール104E」、「サーフィノール104H」、「サーフィノール104A」、「サーフィノール104BC」、「サーフィノール104DPM」、「サーフィノール104PA」、「サーフィノール104PG-50」、「サーフィノール420」、「サーフィノール440」、「サーフィノール465」(以上、EVONIK社)等が挙げられる。
【0233】
前記シリコーン系界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、市販品として、「BYK-307」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-347」、「BYK-348」、「BYK-349」、「BYK-345」、「BYK-378」、「BYK-3455」(以上、ビックケミー社)等が挙げられる。
【0234】
<ノニオン性界面活性剤(b)>
前記ノニオン性界面活性剤(b)は、前記界面活性剤(a)以外のノニオン性界面活性剤であり、HLB値が10.0以上15.5未満であり、かつ分子内に複数のポリオキシアルキレン基を有する。前記界面活性剤(B)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0235】
前記ノニオン性界面活性剤(b)は、HLB値が10.0以上15.5未満であり、保存安定性を向上させる観点から、HLB値が11.0以上でであってよく、12.0以上でであってよく、13.0以上でであってもよい。またHLB値が15.4以下であってもよい。なお、HLB値とは、上記の特許文献1 及び2に開示されているように、グリフィン法によって算出される界面活性剤の親水性と親油性の程度を表す指標であり、HLB値が小さいほど親油性が高く、HLB値が大きいほど親水性が高いことを示す。本発明のプライマー組成物が前記ノニオン性界面活性剤(b)を所定量含有することにより、プライマー皮膜上へのインクジェット印刷時のベタ印刷の印刷性を向上させることができる。そして前記ノニオン性界面活性剤(b)に代えてその他の界面活性剤を使用すると、ベタ印刷の印刷性を向上しないばかりか、保存安定性が悪化する。
【0236】
また、前記ノニオン性界面活性剤(b)は、分子内に複数のポリオキシアルキレン基(2 本以上のポリオキシアルキレン鎖) を有する。前記ノニオン性界面活性剤(b)は、水性インクジェット用インク組成物によるベタ画像の印刷性及び耐滲み性を向上させる観点から、少なくとも、ポリオキシエチレン基を有することが好ましい。なお、本明細書では、例えば、ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基が、直接、連結(縮合)しているポリオキシアルキレン基は、1本と数える。
【0237】
前記ノニオン性界面活性剤(b)は、上記のHLB値及び分子内に複数のポリオキシアルキレン基(2本以上のポリオキシアルキレン鎖) を有するものであれば、その分子骨格は何ら制限されないが、例えば、ポリオキシアルキレン基含有脂肪酸グリセリル、ポリオキシアルキレン基含有脂肪族アミン、ポリオキシアルキレン基含有ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0238】
前記界面活性剤(a)の含有量は、プライマー組成物の印刷性を向上させる観点から、プライマー組成物中、0.005質量%以上でであってよく、0.01質量%以上でであってよく、0.1質量%以上であってもよい。そして、耐滲み性を向上させる観点から、プライマー組成物中、2.0質量%以下であってよく、1.5質量%以下であってよく、1.0質量%以下であってよく、0.8質量%以下あってもよい。
プライマー組成物の全不揮発分中の前記界面活性剤(A)の含有量は、0.1質量%以上であってよく、4.0質量%以上あってよく、6.0質量%以上あってもよい。また20.0質量%以下であってよく、15.0質量%以下であってよく、10.0質量%以下であってよもよい。
【0239】
前記ノニオン性界面活性剤(b)の含有量は、プライマー組成物中、3.0質量%以下である。前記ノニオン性界面活性剤(b)の含有量は、ベタ画像の印刷性を向上させる観点から、プライマー組成物中、0.005質量%以上であってよく、0.01質量%以上であってよく、0.1質量%以上であってよもよい。そして、耐滲み性及びプライマー層の透明性を向上させる観点から、プライマー組成物中、2.0質量%以下であってよく、1.5質量% 以下であってよく、1.0質量%以下であってよく、0.8質量%以下であってもよい。
プライマー組成物の全不揮発分中の前記界面活性剤(B)の含有量は、0.1質量%以上であってよく、5.0質量%以上であってよく、8.0質量%以上であってもよい。また15.0質量%以下であってよく、13.0質量%以下であってよく、10.0質量%以下であってもよい。
【0240】
前記界面活性剤(a)と前記ノニオン性界面活性剤(b)との質量比(界面活性剤(a)/ノニオン性界面活性剤(b)(含有するノニオン性界面活性剤(b)の質量に対する界面活性剤(a)の質量の比))が、プライマー組成物の印刷性、ベタ画像の印刷性、耐滲み性、プライマー層の透明性を向上させる観点から、0.01以上であってよく、0.1以上であってよく、0.5以上であってもよい。そして、100以下であってよく、10.0以下あってよく、5.0以下であってもよい。
【0241】
界面活性剤には、前記界面活性剤(a)と前記ノニオン性界面活性剤(b)以外の公知の界面活性剤(その他の界面活性剤)を、本発明の効果を毀損しない範囲で含有させることができるが、含有させなくてもよい。前記その他の界面活性剤としては、例えば、HLB値が10.0未満又は15.5以上のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤が挙げられる。前記その他の界面活性剤の具体例としては、例えば、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。但し、HLB値が15.5~20.0のノニオン性界面活性剤を含有させなくてもよい。
【0242】
本発明の水性媒体分散性のプライマー用組成物を製造する際、プロピレン系重合体(A)及び変性プロピレン系重合体(B)は水に分散したエマルジョンであることが好ましい。
【実施例0243】
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例における物性測定、分析等は、下記の方法に従ったものである。
【0244】
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS K6758のポリプロピレン試験方法のメルトフローレート(試験条件:230℃、荷重2.16kgf)に従って、測定した。単位はg/10分である。
(2)分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Mw/Mn):
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、上記本明細書記載の方法で、測定した。
【0245】
(3)融点(Tm)、結晶化温度(Tc):
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して、結晶化させた時の結晶最大ピーク温度(℃)として、結晶化温度(Tc)を求め、その後、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度(℃)として融点(Tm)を求めた。
【0246】
(4)[V]、[Vi]、[Vd]、R、Rv及びRvd:
特性(3)、(4)及び(5)の説明において上記した方法で測定し、それぞれの値を算出した。
(5)触媒活性(g/ghr)
触媒活性は、ポリマーの収量(g)を、導入した触媒量(g)(予備重合ポリマーを除いた値)で割った単位時間当たりの値である。
(6)組成分析:
イオン交換性層状珪酸塩の組成は、JIS法による化学分析により検量線を作成し、蛍光X線により測定した。
【0247】
[実施例1]
(1)錯体の合成
(錯体1)rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-(4-イソプロピル-フェニル)-インデニル}]ハフニウムを、特開2009-299046の実施例13および特開2009-91512の実施例1の方法に準じて合成した。
【0248】
(2)触媒の調製
(2-a)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けた1Lの3つ口フラスコに、蒸留水644.5gと98%硫酸82.0gを加え、95℃まで昇温した。
そこへ市販のモンモリロナイト(水澤化学工業社製ベンクレイKK、Al=9.78質量%、Si=31.79質量%、Mg=3.18質量%、Al/Si(モル比)=0.320、平均粒径14μm)100gを添加し、95℃で320分反応させた。320分後、蒸留水0.5Lを加えて反応を停止し、濾過することでケーキ状固体物250gを得た。
このケーキ1gには、0.30gの化学処理モンモリロナイト(中間物)が含まれていた。化学処理モンモリロナイト(中間物)の化学組成は、Al=7.68質量%、Si=36.05質量% Mg=2.13質量%、Al/Si(モル比)=0.222であった。
上記ケーキに蒸留水1540gを加えスラリー化し、40℃まで昇温した。水酸化リチウム・水和物5.72gを固体のまま加え、40℃で1時間反応させた。1時間後、反応スラリーを濾過し、1Lの蒸留水で3回洗浄し、再びケーキ状固体物を得た。
回収したケーキを常圧乾燥機で12時間以上乾燥したところ、化学処理モンモリロナイト79gを得た。この化学処理モンモリロナイトの化学組成は、Al=7.68質量%、Si=36.05質量%、Mg=2.13質量%、Al/Si(モル比)=0.222、Li=0.53質量%であった。
【0249】
(2-b)予備重合
1Lの3つ口フラスコに、得られた化学処理モンモリロナイト20gを入れ、ヘプタン131mLを加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム50mmol(濃度143.4mg/mLのヘプタン溶液を69mL)を加えて1時間攪拌した。1時間後、ヘプタンで1/100まで洗浄し、全容量を100mLとした。
この化学処理モンモリロナイトが入ったスラリー溶液を50℃に保ち、そこへトリノルマルオクチルアルミニウム4.2mmol(濃度143.4mg/mLのヘプタン溶液を10.7mL)を加えて20分間撹拌した。
そこへ、rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-(4-イソプロピル-フェニル)-インデニル}]ハフニウム0.3mmol(トルエン50mLでスラリーとしたもの)を加えて、50℃に保ちながら20分間撹拌した。
その後ヘプタン350mLを追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのち、プロピレンを10g/hrの速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃のまま1時間残重合を行った。
得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、再びヘプタンを加えてデカンテーションすることにより予備重合触媒の洗浄をおこなった。上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム12mmol(濃度143.4mg/mLのヘプタン溶液を16.6mL)を加えて10分間攪拌した。この固体を40℃で2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒29.5gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.49であった。この予備重合触媒を触媒1とした。
【0250】
(3)重合
[実施例1]
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mL、H2を160N(normal)ml導入した後に液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。その後、上記触媒1を、予備重合ポリマーを除いた質量で75mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持した後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ176gのプロピレン単独重合体が得られた。
得られた重合体の評価結果を表1に示す。
【0251】
[実施例2]
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mL、液体プロピレン750gを導入した後、85℃まで昇温した。その後、上記触媒1を、予備重合ポリマーを除いた質量で150mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。85℃で1時間保持した後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ335gのプロピレン単独重合体が得られた。
得られた重合体の評価結果を表1に示す。
【0252】
[実施例3]
(1)錯体の合成
(錯体2)rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成:
rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成は、特開2012-149160号公報の合成例1に記載の方法と同様に、実施した。
(2)触媒の調整
実施例1の(2-b)予備重合において、rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-(4-イソプロピル-フェニル)-インデニル}]ハフニウムにかえて、rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムを使用した以外は同様の操作をおこなった。
そうしたところ、乾燥予備重合触媒54.4gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.72であった。この予備重合触媒を触媒2とした。
(3)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mL、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。その後、上記触媒2を、予備重合ポリマーを除いた質量で210mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持した後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ368gのプロピレン単独重合体が得られた。
得られた重合体の評価結果を表1に示す。
【0253】
【0254】
各実施例で得られたプロピレン系重合体(A)は、Mwが1000~30万であり、Q値が2.0~4.0であり、末端二重結合率(R)が0.7以上と高いものであった。これらの特徴を有するプロピレン系重合体は、これを原料として上述の官能基化を行い、変性プロピレン系重合体(B)とすることができる。さらに、そのような変性プロピレン系重合体(B)は、上述したようにシール用接着剤、相溶化剤、その他接着剤、粘着剤、塗料、シーリング材、改質材又はプライマー等の用途の原料として利用が可能な有用な重合体となり得る。
本発明のプロピレン系重合体は、末端二重結合基を反応点として利用し、官能基化した変性プロピレン系重合体とすることでシール用接着剤、相溶化剤、その他接着剤、粘着剤、塗料、シーリング材、改質材、プライマー等の用途の原料として幅広く利用できる。