(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172130
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 24/02 20060101AFI20241205BHJP
B43K 7/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B43K24/02
B43K7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089661
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 香寿美
【テーマコード(参考)】
2C350
2C353
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350NA16
2C350NA21
2C353HA01
2C353HA09
2C353HC04
2C353HC18
2C353HL05
(57)【要約】
【課題】筆記のしやすさを良好に維持しつつ、キャップが軸筒に前側から嵌合したときに、筆記具の前後方向の全長寸法を小さく抑えることが可能な筆記具を提供する。
【解決手段】軸筒1と、軸筒1内に配置される筆記部材2と、筆記部材2に装着されるスライド部材3と、キャップ4と、キャップ4の前後方向への移動を規制する係止手段9と、を備え、キャップ4が軸筒1に後側から嵌合したときに、キャップ4の開口端によりスライド部材3のスライド突起33が前側へ押し込まれることで、筆記部材2は使用位置に配置され、キャップ4が軸筒1に前側から嵌合したときに、キャップ4の開口端によりスライド突起33が後側へ押し込まれることで、筆記部材2は待機位置に配置され、係止手段9は、筆記部材2の使用位置でキャップ4の後側への移動を規制する第1係止手段91と、筆記部材2の待機位置でキャップ4の前側への移動を規制する第2係止手段と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って前後方向に延びる軸筒と、
前記軸筒の内部に前後方向に移動可能に配置される筆記部材と、
前記軸筒の内部に配置され、前記筆記部材に装着されるスライド部材と、
筒状をなし、内部に前記軸筒が着脱可能に嵌合するキャップと、
前記軸筒に対する前記キャップの前後方向への移動を規制する係止手段と、を備え、
前記軸筒は、
前記軸筒の前端部に配置される軸筒開口部と、
前記軸筒の周壁を径方向に貫通し、前後方向に延びるスリット孔と、を有し、
前記筆記部材は、前記筆記部材の前端部に配置されるペン先を有し、
前記スライド部材は、前記スリット孔に挿入され、前記軸筒の外周面よりも径方向外側に突出するスライド突起を有し、
前記キャップが前記軸筒に後側から嵌合したときに、前記キャップの開口端により前記スライド突起が前側へ押し込まれることで、前記スライド部材及び前記筆記部材が前側へ移動し、前記筆記部材は、前記ペン先が前記軸筒開口部から前側に突出する使用位置に配置され、
前記キャップが前記軸筒に前側から嵌合したときに、前記キャップの開口端により前記スライド突起が後側へ押し込まれることで、前記スライド部材及び前記筆記部材が後側へ移動し、前記筆記部材は、前記使用位置よりも後側の待機位置に配置され、
前記係止手段は、
前記筆記部材が前記使用位置に配置された状態で、前記軸筒に対する前記キャップの後側への移動を規制する第1係止手段と、
前記筆記部材が前記待機位置に配置された状態で、前記軸筒に対する前記キャップの前側への移動を規制する第2係止手段と、を有する、
筆記具。
【請求項2】
前記筆記部材が前記使用位置に配置された状態で、前記スライド突起は、前記スリット孔の前端部に配置される、
請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記筆記部材が前記待機位置に配置された状態で、前記スライド突起は、前記スリット孔の後端部に配置される、
請求項1に記載の筆記具。
【請求項4】
前記筆記部材が前記待機位置に配置されたときの前記スライド突起から前記軸筒の後端までの前後方向の寸法が、前記筆記部材が前記使用位置に配置されたときの前記スライド突起から前記ペン先の前端までの前後方向の寸法よりも小さい、
請求項1から3のいずれか1項に記載の筆記具。
【請求項5】
前記第1係止手段は、
前記軸筒の外周面に突設されて前側を向く第1被係止壁と、
前記キャップの内周面に突設され、前記第1被係止壁に前側から接触可能な第1係止壁と、を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の筆記具。
【請求項6】
前記軸筒と前記キャップとは、
前記第1被係止壁と前記第1係止壁とが、前後方向から見て周方向にずれて配置される通過位置と、
前記第1被係止壁と前記第1係止壁とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である、
請求項5に記載の筆記具。
【請求項7】
前記第1係止手段は、前記軸筒の外周面に突設され、前記通過位置に配置された前記第1係止壁を前記係止位置に案内する第1ガイド壁を有し、
前記第1ガイド壁は、前側へ向かうに従い、周方向において前記第1被係止壁に近づくように延びる、
請求項6に記載の筆記具。
【請求項8】
前記第2係止手段は、
前記軸筒の外周面に突設されて後側を向く第2被係止壁と、
前記キャップの内周面に突設され、前記第2被係止壁に後側から接触可能な第2係止壁と、を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の筆記具。
【請求項9】
前記軸筒と前記キャップとは、
前記第2被係止壁と前記第2係止壁とが、前後方向から見て周方向にずれて配置される通過位置と、
前記第2被係止壁と前記第2係止壁とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である、
請求項8に記載の筆記具。
【請求項10】
前記第2係止手段は、前記軸筒の外周面に突設され、前記通過位置に配置された前記第2係止壁を前記係止位置に案内する第2ガイド壁を有し、
前記第2ガイド壁は、後側へ向かうに従い、周方向において前記第2被係止壁に近づくように延びる、
請求項9に記載の筆記具。
【請求項11】
前記筆記部材及び前記スライド部材を、後側へ向けて付勢する第1付勢部材を備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の筆記具。
【請求項12】
前記キャップが前記軸筒に前側から嵌合したときに、前記キャップを前側へ向けて付勢する第2付勢部材を備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の筆記具。
【請求項13】
前記軸筒は、
前後方向に延びる前記周壁と、
前記周壁の後端部に接続される後壁と、を有し、
前記筆記部材が前記待機位置に配置された状態で、前記スライド部材または前記筆記部材の後端部と、前記後壁とが、前後方向において隙間をあけて対向し、または接触する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の筆記具。
【請求項14】
前記スライド部材は、前記筆記部材に着脱可能に装着される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の筆記具。
【請求項15】
前記スライド部材は、
筒状をなし、内部に前記筆記部材の後端部が嵌合する本体筒部と、
前記本体筒部から前側へ延び、径方向に弾性変形可能なアーム部と、
前記アーム部から径方向外側に突出する前記スライド突起と、を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の筆記具。
【請求項16】
前記アーム部は、前記アーム部の径方向内側を向く面から突出する支持突起を有し、
前記支持突起は、前記筆記部材の外周面に接触する、
請求項15に記載の筆記具。
【請求項17】
前記スライド突起と前記支持突起とが、径方向から見て、重なって配置される、
請求項16に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中心軸に沿って前後方向に延びる軸筒と、軸筒の内部に前後方向に移動可能に配置される筆記部材と、筒状をなし、内部に軸筒が着脱可能に嵌合するキャップと、を備えた筆記具が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のボールペン(筆記具)は、ペン体(軸筒)の内部に芯体、押圧蓋体及びコイルスプリングが配置されており、被蓋(キャップ)の内部に前後方向に延びる棒体が配置されている。
筆記時においては、使用者が、被蓋をペン体に後側から嵌合することで、棒体が押圧蓋体及び芯体を前側へ押し、芯体のペン先がペン体の前端部の開口から前側に突出する。また筆記時以外の時(以下、単に「筆記時以外」と呼ぶことがある)においては、使用者が、被蓋をペン体に前側から嵌合することで、ペン先の乾燥が抑えられる。すなわち、筆記時と筆記時以外とにおいて、被蓋がそれぞれ異なる機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の筆記具では、筆記時以外において、筆記具の全長寸法が小さく抑えられていると、携帯や保管等に便利である。しかしながら、特許文献1のボールペンは、被蓋内に棒体が設けられている。このため、筆記時以外において、被蓋がペン体に前側から嵌合したときに、ペン体の前端部と棒体との干渉を抑制するために、これらが前後方向に並んで配置されることとなり、筆記具の前後方向の全長寸法を小さく抑えることが難しい。
上記問題を解決するために、単純に筆記具の全長寸法を短くしてしまうと、筆記時において、使用者が筆記具を持ちにくくなり、筆記のしやすさが損なわれるおそれがある。
【0006】
本発明は、キャップが軸筒に後側から嵌合したときの筆記のしやすさを良好に維持しつつ、キャップが軸筒に前側から嵌合したときに、筆記具の前後方向の全長寸法を小さく抑えることが可能な筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0008】
〔本発明の態様1〕
中心軸に沿って前後方向に延びる軸筒と、前記軸筒の内部に前後方向に移動可能に配置される筆記部材と、前記軸筒の内部に配置され、前記筆記部材に装着されるスライド部材と、筒状をなし、内部に前記軸筒が着脱可能に嵌合するキャップと、前記軸筒に対する前記キャップの前後方向への移動を規制する係止手段と、を備え、前記軸筒は、前記軸筒の前端部に配置される軸筒開口部と、前記軸筒の周壁を径方向に貫通し、前後方向に延びるスリット孔と、を有し、前記筆記部材は、前記筆記部材の前端部に配置されるペン先を有し、前記スライド部材は、前記スリット孔に挿入され、前記軸筒の外周面よりも径方向外側に突出するスライド突起を有し、前記キャップが前記軸筒に後側から嵌合したときに、前記キャップの開口端により前記スライド突起が前側へ押し込まれることで、前記スライド部材及び前記筆記部材が前側へ移動し、前記筆記部材は、前記ペン先が前記軸筒開口部から前側に突出する使用位置に配置され、前記キャップが前記軸筒に前側から嵌合したときに、前記キャップの開口端により前記スライド突起が後側へ押し込まれることで、前記スライド部材及び前記筆記部材が後側へ移動し、前記筆記部材は、前記使用位置よりも後側の待機位置に配置され、前記係止手段は、前記筆記部材が前記使用位置に配置された状態で、前記軸筒に対する前記キャップの後側への移動を規制する第1係止手段と、前記筆記部材が前記待機位置に配置された状態で、前記軸筒に対する前記キャップの前側への移動を規制する第2係止手段と、を有する、筆記具。
【0009】
本発明の筆記具では、筆記時と筆記時以外とにおいて、キャップに異なる機能が付与されている。すなわちキャップは、複数種類の機能を有する。
具体的に、筆記時においては、使用者が、キャップを軸筒に対して後側から嵌合する。この嵌合により、キャップの開口端がスライド部材のスライド突起を前側に押し込み、スライド部材とともに筆記部材が前側へ押される。これにより筆記部材は、そのペン先が軸筒開口部から前側に突出した使用位置とされる。またこの使用位置において、第1係止手段が、軸筒に対するキャップの後側への移動を規制することで、筆記部材が使用位置に保持される。
【0010】
上記構成により、筆記時において、軸筒に対してキャップが意図せず後側へスライド移動するような不具合が抑えられ、ペン先に作用する筆圧を、筆記部材及びスライド部材を介して、キャップにより安定して受け止めることができる。
また筆記時において、使用者の手のうち親指の付け根と人差し指の付け根との間の部分(指間)に、軸筒よりも直径の大きいキャップの周壁を接触させることができる。このため、使用者が筆記具を安定して支持でき、筆記を行いやすい。
【0011】
また、筆記時以外においては、使用者が、キャップを軸筒に対して前側から嵌合する。この嵌合により、キャップの開口端がスライド部材のスライド突起を後側に押し込み、スライド部材とともに筆記部材が後側へ押される。これにより筆記部材は、そのペン先の一部または全部(つまり、ペン先の少なくとも一部)が軸筒開口部を通して軸筒内に収容され、待機位置とされる。またこの待機位置において、第2係止手段が、軸筒に対するキャップの前側への移動を規制することで、筆記部材が待機位置に保持される。
【0012】
上記構成により、筆記時以外において、ペン先の乾燥が抑えられ、次回の筆記具の使用時にも安定して筆記を行うことができる。また、筆記具を携帯や保管する際などに、キャップが意図せず軸筒から外れてしまうようなことが抑えられる。
【0013】
本発明によれば、キャップが軸筒に後側から嵌合した際には、筆記具の前後方向の全長寸法を一定以上に確保して、使用者の手で筆記具を持ちやすくすることができ、筆記のしやすさを良好に維持できる。
そして本発明では、キャップの内部に、従来のような筆記部材を押すための棒体を設ける必要がない。このため、キャップを軸筒に前側から嵌合した際には、キャップ内の奥深くにまで軸筒を挿し込むことが可能であり、よって筆記具の前後方向の全長寸法を小さく抑えることができる。筆記具のコンパクト化を図ることができ、携帯や保管等に便利であり、かつ、特に筆記時以外において、筆記具に個性的で魅力のある外観デザインを付与することが可能である。
【0014】
〔本発明の態様2〕
前記筆記部材が前記使用位置に配置された状態で、前記スライド突起は、前記スリット孔の前端部に配置される、態様1に記載の筆記具。
【0015】
この場合、筆記部材の使用位置では、スライド突起が、スリット孔の内周のうち前端と、キャップの開口端とにより、前後方向から挟まれる。このため、スライド部材及び筆記部材の前後方向への移動(がたつき等)が抑制される。また筆記時において、軸筒に対してキャップが意図せず前側へスライド移動するような不具合も抑えられる。
【0016】
また、スリット孔のうちスライド突起が配置される前端部以外の部分が、キャップの周壁により径方向外側から覆われる。このため、筆記時において、筆記具の外観デザイン性を高めることができる。
【0017】
〔本発明の態様3〕
前記筆記部材が前記待機位置に配置された状態で、前記スライド突起は、前記スリット孔の後端部に配置される、態様1または2に記載の筆記具。
【0018】
この場合、筆記部材の待機位置では、スライド突起が、スリット孔の内周のうち後端と、キャップの開口端とにより、前後方向から挟まれる。このため、スライド部材及び筆記部材の前後方向への移動(がたつき等)が抑制される。また筆記時以外において、軸筒に対してキャップが意図せず後側へスライド移動するような不具合も抑えられる。
【0019】
また、スリット孔のうちスライド突起が配置される後端部以外の部分が、キャップの周壁により径方向外側から覆われる。このため、筆記時以外において、筆記具の外観デザイン性を高めることができる。また、筆記具の携帯時や保管時などにおいて、スリット孔の開口を極力少なく抑える(実質的に無くす)ことが可能であり、例えば筆箱の中などで、スリット孔を通して軸筒の内部に異物等が入り込むようなことが抑制される。
【0020】
〔本発明の態様4〕
前記筆記部材が前記待機位置に配置されたときの前記スライド突起から前記軸筒の後端までの前後方向の寸法が、前記筆記部材が前記使用位置に配置されたときの前記スライド突起から前記ペン先の前端までの前後方向の寸法よりも小さい、態様1から3のいずれか1つに記載の筆記具。
【0021】
この場合、筆記時以外において、キャップが軸筒に対して前側から嵌合したときに、筆記具の前後方向の全長寸法をより確実に小さくすることができる。
【0022】
〔本発明の態様5〕
前記第1係止手段は、前記軸筒の外周面に突設されて前側を向く第1被係止壁と、前記キャップの内周面に突設され、前記第1被係止壁に前側から接触可能な第1係止壁と、を有する、態様1から4のいずれか1つに記載の筆記具。
【0023】
この場合、筆記部材が使用位置に配置された状態で、第1被係止壁と第1係止壁とが接触することにより、第1係止手段によってキャップの後側への移動を安定して規制することができる。
【0024】
〔本発明の態様6〕
前記軸筒と前記キャップとは、前記第1被係止壁と前記第1係止壁とが、前後方向から見て周方向にずれて配置される通過位置と、前記第1被係止壁と前記第1係止壁とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である、態様5に記載の筆記具。
【0025】
この場合、使用者が、通過位置においてキャップを軸筒に後側から嵌合していき、第1係止壁が第1被係止壁を前側へ通過した状態で、キャップと軸筒とを周方向に相対回転させて、係止位置とする。これにより、第1被係止壁に対して第1係止壁を前側から接触させて、これらを係止することができる。また、上述とは逆の手順により、第1係止壁と第1被係止壁との係止状態を解除して、キャップを軸筒から後側へ取り外すことができる。
上記構成によれば、使用者が簡単な操作により、筆記部材の使用位置において、軸筒とキャップとを係止させたり、この係止状態を解除させたりすることができる。
【0026】
〔本発明の態様7〕
前記第1係止手段は、前記軸筒の外周面に突設され、前記通過位置に配置された前記第1係止壁を前記係止位置に案内する第1ガイド壁を有し、前記第1ガイド壁は、前側へ向かうに従い、周方向において前記第1被係止壁に近づくように延びる、態様6に記載の筆記具。
【0027】
この場合、使用者が、キャップを軸筒に後側から嵌合していき、キャップと軸筒とを相対回転させて、第1係止手段を機能させる際の操作が、連続的にかつスムーズに行え、操作性がよい。
【0028】
〔本発明の態様8〕
前記第2係止手段は、前記軸筒の外周面に突設されて後側を向く第2被係止壁と、前記キャップの内周面に突設され、前記第2被係止壁に後側から接触可能な第2係止壁と、を有する、態様1から7のいずれか1つに記載の筆記具。
【0029】
この場合、筆記部材が待機位置に配置された状態で、第2被係止壁と第2係止壁とが接触することにより、第2係止手段によってキャップの前側への移動を安定して規制することができる。
【0030】
〔本発明の態様9〕
前記軸筒と前記キャップとは、前記第2被係止壁と前記第2係止壁とが、前後方向から見て周方向にずれて配置される通過位置と、前記第2被係止壁と前記第2係止壁とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である、態様8に記載の筆記具。
【0031】
この場合、使用者が、通過位置においてキャップを軸筒に前側から嵌合していき、第2係止壁が第2被係止壁を後側へ通過した状態で、キャップと軸筒とを周方向に相対回転させて、係止位置とする。これにより、第2被係止壁に対して第2係止壁を後側から接触させて、これらを係止することができる。また、上述とは逆の手順により、第2係止壁と第2被係止壁との係止状態を解除して、キャップを軸筒から前側へ取り外すことができる。
上記構成によれば、使用者が簡単な操作により、筆記部材の待機位置において、軸筒とキャップとを係止させたり、この係止状態を解除させたりすることができる。
【0032】
〔本発明の態様10〕
前記第2係止手段は、前記軸筒の外周面に突設され、前記通過位置に配置された前記第2係止壁を前記係止位置に案内する第2ガイド壁を有し、前記第2ガイド壁は、後側へ向かうに従い、周方向において前記第2被係止壁に近づくように延びる、態様9に記載の筆記具。
【0033】
この場合、使用者が、キャップを軸筒に前側から嵌合していき、キャップと軸筒とを相対回転させて、第2係止手段を機能させる際の操作が、連続的にかつスムーズに行え、操作性がよい。
【0034】
〔本発明の態様11〕
前記筆記部材及び前記スライド部材を、後側へ向けて付勢する第1付勢部材を備える、態様1から10のいずれか1つに記載の筆記具。
【0035】
この場合、キャップが軸筒に後側から嵌合したときに、第1付勢部材の付勢力に抗して、キャップの開口端によりスライド突起が前側へ押し込まれることで、筆記部材のペン先が軸筒開口部から前側に突出し、使用位置とされる。筆記部材が使用位置とされたときに、第1付勢部材の付勢力によって各構成部材間のがたつき等が抑えられ、第1係止手段による係止状態が良好に維持される。
【0036】
また、キャップが軸筒に取り付けられていない状態では、第1付勢部材によって、筆記部材を待機位置に保持することができる。キャップが軸筒に取り付けられていない状態でも、筆記具の前後方向の全長寸法を小さく抑えることができ、かつ、ペン先が意図せず筆記具以外の物品や身体などに触れて汚してしまうような不具合が抑制される。
【0037】
〔本発明の態様12〕
前記キャップが前記軸筒に前側から嵌合したときに、前記キャップを前側へ向けて付勢する第2付勢部材を備える、態様1から11のいずれか1つに記載の筆記具。
【0038】
この場合、キャップが軸筒に前側から嵌合したときに、第2付勢部材の付勢力によって各構成部材間(特にキャップと軸筒との間)のがたつき等が抑えられ、第2係止手段による係止状態が良好に維持される。
【0039】
〔本発明の態様13〕
前記軸筒は、前後方向に延びる前記周壁と、前記周壁の後端部に接続される後壁と、を有し、前記筆記部材が前記待機位置に配置された状態で、前記スライド部材または前記筆記部材の後端部と、前記後壁とが、前後方向において隙間をあけて対向し、または接触する、態様1から12のいずれか1つに記載の筆記具。
【0040】
上記構成では、筆記部材が待機位置に配置された状態で、スライド部材または筆記部材の後端部と、軸筒の後壁との間のスペースが、極僅かに抑えられ、またはゼロとされる。これにより、軸筒の前後方向の寸法を、筆記部材の前後方向の寸法により近付けることが可能となる。キャップを軸筒に前側から嵌合したときに、筆記具の前後方向の全長寸法をより小さく抑えて、コンパクト化を図ることができる。
【0041】
〔本発明の態様14〕
前記スライド部材は、前記筆記部材に着脱可能に装着される、態様1から13のいずれか1つに記載の筆記具。
【0042】
この場合、筆記部材をスライド部材から取り外して、新しい筆記部材に交換することが容易である。
【0043】
〔本発明の態様15〕
前記スライド部材は、筒状をなし、内部に前記筆記部材の後端部が嵌合する本体筒部と、前記本体筒部から前側へ延び、径方向に弾性変形可能なアーム部と、前記アーム部から径方向外側に突出する前記スライド突起と、を有する、態様1から14のいずれか1つに記載の筆記具。
【0044】
上記構成では、スライド部材のアーム部が径方向に弾性変形する。このため、筆記具の組み立て時において、軸筒内にスライド部材を挿入しやすく、またスライド突起をスリット孔に挿入しやすい。筆記具の組み立てが容易である。
【0045】
〔本発明の態様16〕
前記アーム部は、前記アーム部の径方向内側を向く面から突出する支持突起を有し、前記支持突起は、前記筆記部材の外周面に接触する、態様15に記載の筆記具。
【0046】
この場合、アーム部から径方向内側に突出する支持突起が、筆記部材の外周面に接触することにより、アーム部の径方向内側への弾性変形が抑制される。すなわち、スライド部材と筆記部材とが組み立てられた状態では、アーム部の弾性変形が抑えられるため、アーム部から径方向外側に突出するスライド突起を、キャップの開口端によって安定して前後方向に押し込むことが可能となる。スライド突起の機能が良好に維持される。
【0047】
〔本発明の態様17〕
前記スライド突起と前記支持突起とが、径方向から見て、重なって配置される、態様16に記載の筆記具。
【0048】
この場合、スライド突起が、筆記部材の外周面に接触する支持突起により、アーム部を介して径方向内側から安定して支持される。このため、上述した作用効果がより安定する。
【発明の効果】
【0049】
本発明の前記態様の筆記具によれば、キャップが軸筒に後側から嵌合したときの筆記のしやすさを良好に維持しつつ、キャップが軸筒に前側から嵌合したときに、筆記具の前後方向の全長寸法を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、本実施形態の筆記具を示す側面図であり、詳しくは、筆記姿勢のキャップが軸筒に後側から嵌合し、筆記部材が使用位置に配置された状態を表している。
【
図2】
図2は、本実施形態の筆記具を示す断面図(縦断面図)であり、詳しくは、筆記姿勢のキャップが軸筒に後側から嵌合し、筆記部材が使用位置に配置された状態を表している。
【
図3】
図3は、本実施形態の筆記具を示す側面図であり、詳しくは、非筆記姿勢のキャップが軸筒に前側から嵌合し、筆記部材が待機位置に配置された状態を表している。
【
図4】
図4は、本実施形態の筆記具を示す断面図(縦断面図)であり、詳しくは、非筆記姿勢のキャップが軸筒に前側から嵌合し、筆記部材が待機位置に配置された状態を表している。
【
図6】
図6は、キャップの一部(開口端付近)を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の筆記具の一部を示す平面図であり、詳しくは、筆記姿勢のキャップが軸筒に後側から嵌合したときの、第1係止手段の作用(機能)を説明する図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の筆記具の一部を示す平面図であり、詳しくは、非筆記姿勢のキャップが軸筒に前側から嵌合したときの、第2係止手段の作用(機能)を説明する図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の第1変形例の筆記具の一部を示す側面図であり、詳しくは、筆記姿勢のキャップが軸筒に後側から嵌合したときの、第1係止手段の作用(機能)を説明する図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の第1変形例の筆記具の一部を示す側面図であり、詳しくは、非筆記姿勢のキャップが軸筒に前側から嵌合したときの、第2係止手段の作用(機能)を説明する図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の第2変形例の筆記具の軸筒の外周面及びキャップの内周面の各一部を、平面状に展開して表す平面図であり、詳しくは、筆記姿勢のキャップが軸筒に後側から嵌合したときの、第1係止手段の作用(機能)を説明する図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の第2変形例の筆記具の軸筒の外周面及びキャップの内周面の各一部を、平面状に展開して表す平面図であり、詳しくは、非筆記姿勢のキャップが軸筒に前側から嵌合したときの、第2係止手段の作用(機能)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の一実施形態の筆記具10について、
図1~
図9を参照して説明する。本実施形態の筆記具10は、例えばボールペン等である。
【0052】
図1~
図4に示すように、筆記具10は、中心軸Cを中心とする概略円柱状をなしている。筆記具10は、中心軸Cに沿って延びる軸筒1と、軸筒1の内部に設けられる筆記部材2と、軸筒1の内部に配置され、筆記部材2に装着されるスライド部材3と、筒状をなし、内部に軸筒1が着脱可能に嵌合するキャップ4と、第1付勢部材5と、第1介装部材6と、第2付勢部材7と、第2介装部材8と、係止手段9と、を備える。
軸筒1、筆記部材2、スライド部材3、キャップ4、第1付勢部材5、第1介装部材6、第2付勢部材7及び第2介装部材8は、中心軸Cを共通軸として互いに同軸に配置されている。
【0053】
本実施形態で用いる方向の定義について、説明する。
本実施形態では、筆記具10の中心軸Cが延びる方向、つまり中心軸Cに沿う方向を、前後方向と呼ぶ。各図において、前後方向はY軸方向に相当する。前後方向のうち、前側は-Y側に相当し、後側は+Y側に相当する。なお、前後方向は軸方向と言い換えてもよい。この場合、例えば、前側は軸方向一方側に相当し、後側は軸方向他方側に相当する。
【0054】
中心軸Cと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Cに近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸Cから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
中心軸C回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。本実施形態では、筆記具10を後側(+Y側)から見て、周方向のうち中心軸Cを中心とする時計回りの方向を周方向一方側θ1と呼び、中心軸Cを中心とする反時計回りの方向を周方向他方側θ2と呼ぶ(
図5を参照)。
【0055】
筆記具10の各構成要素について、説明する。
図5に示すように、軸筒1は、中心軸Cを中心とする筒状をなしており、前後方向に延びる。具体的に、軸筒1は、有頂円筒状をなしている。
図1~
図5に示すように、軸筒1は、前後方向に延びる周壁11と、周壁11の後端部に接続される後壁12と、軸筒開口部13と、スリット孔14と、第1軸筒突起15と、第2軸筒突起16と、を有する。
【0056】
周壁11は、中心軸Cを中心とする円筒状をなしている。後壁12は、中心軸Cを中心とする円板状をなしており、中心軸Cと垂直な方向に広がる。後壁12は、周壁11の後端部を塞いでいる。
【0057】
軸筒開口部13は、周壁11の前端部に位置している。すなわち、軸筒開口部13は、軸筒1の前端部に配置される。軸筒開口部13は、中心軸Cを中心とする円孔状をなしている。本実施形態では、軸筒開口部13の内径寸法が、周壁11の内周面の内径寸法よりも小さい。
【0058】
スリット孔14は、周壁11を径方向に貫通し、前後方向に延びている。スリット孔14は、前後方向を長手方向とし、周方向を短手方向とする長方形孔状である。スリット孔14は、軸筒1に複数設けられる。複数のスリット孔14は、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。本実施形態ではスリット孔14が、周方向において等ピッチで2つ設けられている。すなわち、2つのスリット孔14は、中心軸Cを中心として互いに180°回転対称となる位置に配置されている。
【0059】
図5及び
図8に示すように、第1軸筒突起15は、周壁11の外周面から径方向外側に突出する。本実施形態では第1軸筒突起15が、スリット孔14の周方向他方側θ2に隣接して配置されている。第1軸筒突起15の前後方向の位置は、スリット孔14の前端部と後端部との間に位置する中間部分の前後方向の位置と、略同じである。
【0060】
第1軸筒突起15は、径方向外側から見て、L字状に屈曲した形状を有している。第1軸筒突起15は、周方向に延びる横延伸部15aと、前後方向に延びる縦延伸部15bと、を有する。縦延伸部15bは、横延伸部15aの周方向一方側θ1の端部に接続されており、この接続部分から前側へ向けて延びている。
【0061】
第1軸筒突起15は、軸筒1に複数設けられる。複数の第1軸筒突起15は、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。本実施形態では第1軸筒突起15が、周方向において等ピッチで2つ設けられている。すなわち、2つの第1軸筒突起15は、中心軸Cを中心として互いに180°回転対称となる位置に配置されている。各第1軸筒突起15の縦延伸部15bは、各スリット孔14と周方向に隣接して配置されている。
【0062】
第2軸筒突起16は、周壁11の外周面から径方向外側に突出する。本実施形態では第2軸筒突起16が、スリット孔14の周方向一方側θ1に隣接して配置されている。第2軸筒突起16の前後方向の位置は、スリット孔14の前端部と後端部との間に位置する中間部分の前後方向の位置と、略同じである。
【0063】
第2軸筒突起16は、径方向外側から見て、L字状に屈曲した形状を有している。第2軸筒突起16は、周方向に延びる横延伸部16aと、前後方向に延びる縦延伸部16bと、を有する。縦延伸部16bは、横延伸部16aの周方向他方側θ2の端部に接続されており、この接続部分から後側へ向けて延びている。
【0064】
第2軸筒突起16は、軸筒1に複数設けられる。複数の第2軸筒突起16は、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。本実施形態では第2軸筒突起16が、周方向において等ピッチで2つ設けられている。すなわち、2つの第2軸筒突起16は、中心軸Cを中心として互いに180°回転対称となる位置に配置されている。各第2軸筒突起16の縦延伸部16bは、各スリット孔14と周方向に隣接して配置されている。
【0065】
また特に図示しないが、軸筒1は、有頂円筒状の後軸と、後軸の前側に配置され、螺着等により後軸に着脱可能に取り付けられる円筒状の前軸と、を有していてもよい。この場合、後軸には、周壁11のうちスリット孔14、第1軸筒突起15及び第2軸筒突起16が配置される後側部分と、後壁12と、が含まれる。前軸には、周壁11のうち軸筒開口部13が配置される前側部分が含まれる。このように、軸筒1が、後軸と前軸とに分割可能に構成されていると、筆記具10の組み立てや筆記部材2の交換などが容易に行える。
【0066】
図2及び
図4に示すように、筆記部材2は、軸筒1の内部に前後方向に移動可能に配置されている。具体的に、筆記部材2は、
図2に示す前進端位置(後述する使用位置)と、
図4に示す後退端位置(後述する待機位置)との間で、前後方向に移動可能である。本実施形態では、筆記部材2の前後方向の全長寸法と、軸筒1の前後方向の全長寸法とが、略同じである。また筆記部材2は、軸筒1の内部から取り外し可能である。すなわち、筆記部材2は交換可能である。筆記部材2は、替芯またはレフィル等と言い換えてもよい。
【0067】
筆記部材2は、中心軸Cを中心とする多段円筒状であり、前後方向に延びる。なお、筆記部材2の内部の詳細な構成については、図示を省略している。筆記部材2は、筆記部材2の前端部に配置されるペン先21と、ペン先21よりも後側に配置されるインク貯留筒22と、を有する。
【0068】
ペン先21は、中心軸Cを中心とする略円筒状であり、前後方向に延びる。ペン先21は、筆記部材2のうち最も外径寸法が小さい部分とされている。ペン先21のうち前端部は、前側へ向かうに従い縮径するテーパ筒状である。ペン先21のうち前端部以外の部分は、円筒状である。特に図示しないが、ペン先21は、ペン先21の前端部に配置されるボールと、ボールを保持するホルダーと、を有する。
【0069】
インク貯留筒22は、中心軸Cを中心とする円筒状であり、前後方向に延びる。インク貯留筒22の前後方向の寸法は、ペン先21の前後方向の寸法よりも大きい。インク貯留筒22は、筆記部材2のうち最も外径寸法が大きい部分とされている。インク貯留筒22の内部には、インクが貯留される。インク貯留筒22の内部とペン先21の内部とは、互いに連通している。
【0070】
スライド部材3は、中心軸Cを中心とする略筒状をなしている。スライド部材3は、インク貯留筒22の後端部に、着脱可能に取り付けられている。すなわち、スライド部材3は、筆記部材2に着脱可能に装着される。スライド部材3は、例えば樹脂製等である。
図2、
図4及び
図7に示すように、スライド部材3は、本体筒部31と、アーム部32と、スライド突起33と、を有する。
【0071】
本体筒部31は、中心軸Cを中心とする筒状をなし、具体的には、有頂円筒状をなしている。本体筒部31の内部には、インク貯留筒22(筆記部材2)の後端部が着脱可能に嵌合する。筆記部材2は、交換時にスライド部材3から前側に抜き出すことが可能である。
【0072】
本体筒部31は、筒部周壁31aと、筒部周壁31aの後端部に接続される筒部後壁31bと、を有する。筒部周壁31aは、中心軸Cを中心とする円筒状をなしている。筒部後壁31bは、中心軸Cを中心とする円板状をなしており、中心軸Cと垂直な方向に広がる。筒部後壁31bは、筒部周壁31aの後端部を塞いでいる。
【0073】
筒部周壁31a内には、インク貯留筒22の後端部が嵌合する。また、インク貯留筒22の後端面は、筒部後壁31bに対して前側から接触する。このような構成により、スライド部材3が筆記部材2に取り付けられた状態で、スライド部材3は、筆記部材2に対して前側への移動が規制されている。
【0074】
図7に示すように、アーム部32は、本体筒部31から前側へ延びる。具体的に、アーム部32は、筒部周壁31aの前端部から前側へ向けて突出している。アーム部32は、板状をなしており、その一対の板面が径方向を向く。アーム部32は、中心軸Cと垂直な断面の形状が、周方向に延びる湾曲した円弧状をなしている。アーム部32は、径方向に弾性変形可能である。アーム部32は、径方向において、軸筒1の周壁11と筆記部材2のインク貯留筒22との間に配置されている(
図2及び
図4を参照)。
【0075】
アーム部32は、スライド部材3に複数設けられる。複数のアーム部32は、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。本実施形態ではアーム部32が、周方向において等ピッチで2つ設けられている。すなわち、2つのアーム部32は、中心軸Cを中心として互いに180°回転対称となる位置に配置されている。
【0076】
アーム部32は、支持突起32aを有する。支持突起32aは、アーム部32の径方向内側を向く面に配置され、この面から径方向内側に突出する。支持突起32aは、アーム部32の前端部に位置している。支持突起32aは、周方向に延びるリブ状をなしている。支持突起32aは、インク貯留筒22(筆記部材2)の外周面に接触する。支持突起32aは、複数のアーム部32にそれぞれ配置されており、つまり複数設けられる。
【0077】
スライド突起33は、アーム部32の径方向外側を向く面に配置され、この面から径方向外側に突出する。すなわち、スライド突起33は、アーム部32から径方向外側に突出する。スライド突起33は、略直方体状をなし、前後方向に延びている。スライド突起33は、アーム部32の前端部に位置している。本実施形態では、スライド突起33と支持突起32aとが、径方向から見て、重なって配置されている。
【0078】
図2、
図4、
図8及び
図9に示すように、スライド突起33は、スリット孔14に挿入され、軸筒1の外周面よりも径方向外側に突出する。スライド突起33の前後方向の寸法は、スリット孔14の前後方向の寸法よりも小さい。スライド突起33は、スリット孔14内を前後方向に移動可能である。また、スライド突起33の周方向の寸法(幅寸法)は、スリット孔14の周方向の寸法と略同じであり、具体的には、僅かに小さい。
【0079】
キャップ4は、中心軸Cを中心とする筒状をなしており、前後方向に延びる。具体的に、キャップ4は、有頂円筒状(有底円筒状)をなしており、前後方向の両端部のうち、一端部が開口され、他端部が塞がれている。キャップ4の内部には、軸筒1が嵌合可能である。
【0080】
図1、
図2及び
図8に示すように、キャップ4の開口端が前側を向く姿勢で、キャップ4は、軸筒1に対して後側から嵌合可能である。本実施形態では、キャップ4の開口端が前側を向く姿勢を、「筆記時の姿勢」や「筆記姿勢」などと呼ぶ場合がある。
【0081】
図3、
図4及び
図9に示すように、キャップ4の開口端が後側を向く姿勢で、キャップ4は、軸筒1に対して前側から嵌合可能である。本実施形態では、キャップ4の開口端が後側を向く姿勢を、「筆記時以外の姿勢」や「非筆記姿勢」などと呼ぶ場合がある。
【0082】
図1~
図4及び
図6に示すように、キャップ4は、前後方向に延びる周壁41と、周壁41の前後方向の両端部のうち、開口端が配置される端部(一端部)とは反対側の端部(他端部)に接続される塞ぎ壁42と、キャップ突起43と、を有する。
【0083】
周壁41は、中心軸Cを中心とする円筒状をなしている。塞ぎ壁42は、中心軸Cを中心とする円板状をなしており、中心軸Cと垂直な方向に広がる。塞ぎ壁42は、周壁41の他端部を塞いでいる。
【0084】
図6及び
図8に示すように、キャップ突起43は、周壁41の内周面から径方向内側に突出する。キャップ突起43は、周壁41の内周面のうち、前後方向の一端部(開口部)に配置されている。キャップ突起43は、柱状または板状をなしており、本実施形態では、円柱状または円板状をなしている。
【0085】
キャップ突起43は、キャップ4に複数設けられる。複数のキャップ突起43は、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。本実施形態ではキャップ突起43が、周方向において等ピッチで2つ設けられている。すなわち、2つのキャップ突起43は、中心軸Cを中心として互いに180°回転対称となる位置に配置されている。
【0086】
また特に図示しないが、キャップ4は、有頂円筒状(有底円筒状)のキャップ蓋と、キャップ蓋の開口側に配置されて前後方向に延び、螺着等によりキャップ蓋に着脱可能に取り付けられる円筒状のキャップ本体と、を有していてもよい。この場合、キャップ蓋には、周壁41のうち他端部と、塞ぎ壁42と、が含まれる。キャップ本体には、周壁41のうち他端部以外の部分が含まれ、キャップ突起43が配置される。このように、キャップ4が、キャップ蓋とキャップ本体とに分割可能に構成されていると、例えば、キャップ蓋を好みの色等に交換してデザイン性を高めたり、キャップ蓋とキャップ本体との間にクリップ部材を挟持して機能性を高めたりすることができる。
【0087】
図2に示すように、第1介装部材6は、中心軸Cを中心とする略円筒状をなしている。第1介装部材6は、軸筒1の内部に配置されており、具体的には、軸筒1内のうち前端部に位置する。第1介装部材6は、筆記部材2に対して前側から係止されている。図示の例では、第1介装部材6が、インク貯留筒22とペン先21との間の段部に対して、前側から係止されている。また、筆記部材2のペン先21は、第1介装部材6の前端開口部から前側に突出している。
【0088】
第1介装部材6は、軸筒1内を前後方向に移動可能である。
図2に示すように、第1介装部材6が前進端位置に配置されたときに、第1介装部材6の前端部は、軸筒開口部13から前側に突出する。また
図4に示すように、第1介装部材6が後退端位置に配置されたときに、第1介装部材6は、軸筒開口部13よりも後側に配置される。すなわち、第1介装部材6は、その全体が軸筒1内に収容される。
【0089】
第1付勢部材5は、中心軸Cを中心とする螺旋状をなしている。第1付勢部材5は、圧縮コイルばね等の弾性部材であり、前後方向に伸縮可能である。第1付勢部材5は、軸筒1の内部に配置されており、具体的には、軸筒1内のうち前端部に位置する。第1付勢部材5は、第1介装部材6を介して、筆記部材2及びスライド部材3を後側へ向けて付勢する。
【0090】
図2及び
図4に示すように、第2介装部材8は、中心軸Cを中心とする略円筒状をなしている。第2介装部材8は、キャップ4の内部に配置されており、具体的には、キャップ4内のうち、前後方向において開口部(一端部)とは反対側の端部(他端部)に位置する。
図4に示すように、非筆記姿勢とされたキャップ4が軸筒1に前側から嵌合したときに、第2介装部材8は、軸筒1の前端部に対して前側から接触する。
【0091】
第2付勢部材7は、中心軸Cを中心とする螺旋状をなしている。第2付勢部材7は、圧縮コイルばね等の弾性部材であり、前後方向に伸縮可能である。第2付勢部材7は、キャップ4の内部に配置されており、具体的には、キャップ4内のうち、前後方向において開口部(一端部)とは反対側の端部(他端部)に位置する。
図4に示すように、非筆記姿勢とされたキャップ4が軸筒1に前側から嵌合したときに、第2付勢部材7は、第2介装部材8と塞ぎ壁42との間で前後方向に収縮されつつ弾性変形し、その復元変形力(反力)により、キャップ4を前側へ向けて付勢する。
【0092】
ここで、筆記部材2の使用位置及び待機位置について、説明する。
図2に示すように、筆記姿勢のキャップ4が軸筒1に後側から嵌合したときには、キャップ4の開口端(前端)によりスライド突起33が前側へ押し込まれることで、スライド部材3及び筆記部材2が前側へ移動し、筆記部材2は、ペン先21が軸筒開口部13から前側に突出する「使用位置」に配置される。
【0093】
図2及び
図8に示すように、筆記部材2が使用位置に配置された状態で、スライド突起33は、スリット孔14の前端部に配置される。筆記部材2の使用位置においては、スライド突起33が、スリット孔14の内周のうち前端と、キャップ4の開口端とにより、前後方向から挟まれる。
【0094】
また、
図4に示すように、非筆記姿勢のキャップ4が軸筒1に前側から嵌合したときには、キャップ4の開口端(後端)によりスライド突起33が後側へ押し込まれることで、スライド部材3及び筆記部材2が後側へ移動し、筆記部材2は、使用位置よりも後側の「待機位置」に配置される。
【0095】
図4及び
図9に示すように、筆記部材2が待機位置に配置された状態で、スライド突起33は、スリット孔14の後端部に配置される。筆記部材2の待機位置においては、スライド突起33が、スリット孔14の内周のうち後端と、キャップ4の開口端とにより、前後方向から挟まれる。
【0096】
図4に示すように、筆記部材2が待機位置に配置された状態で、スライド部材3または筆記部材2の後端部と、軸筒1の後壁12とは、前後方向において隙間をあけて対向し、または接触する。本実施形態では筆記部材2の待機位置において、スライド部材3の後端部に位置する筒部後壁31bと、軸筒1の後壁12とが、前後方向に隙間をあけて対向し、または接触する。またこの待機位置で、ペン先21の前端部は、径方向から見て軸筒開口部13と重なる。
【0097】
また、
図4に示すように、筆記部材2が待機位置に配置されたときのスライド突起33から軸筒1の後端(後壁12の後側を向く面)までの前後方向の寸法L2は、
図2に示すように、筆記部材2が使用位置に配置されたときのスライド突起33からペン先21の前端までの前後方向の寸法L1よりも、小さい。
【0098】
具体的に、筆記部材2が待機位置に配置されたときのスライド突起33から軸筒1の後端までの前後方向の寸法L2は、筆記部材2が使用位置に配置されたときのスライド突起33からペン先21の前端までの前後方向の寸法L1の半分以下であり、本実施形態では、1/3以下とされている。
【0099】
係止手段9は、軸筒1に対するキャップ4の前後方向への移動を規制する。
図8及び
図9に示すように、係止手段9は、筆記部材2が使用位置に配置された状態で、軸筒1に対するキャップ4の後側への移動を規制する第1係止手段91と、筆記部材2が待機位置に配置された状態で、軸筒1に対するキャップ4の前側への移動を規制する第2係止手段92と、を有する。
【0100】
図8に示すように、第1係止手段91は、軸筒1の外周面に突設されて前側を向く第1被係止壁93と、キャップ4の内周面に突設され、第1被係止壁93に前側から接触可能な第1係止壁94と、を有する。
【0101】
本実施形態では、第1被係止壁93が、軸筒1の外周面に突設された第1軸筒突起15のうち、横延伸部15aの前側を向く壁面に配置されている。第1被係止壁93は、周方向に延び、前側を向く平面状をなしている。
また、第1係止壁94は、キャップ4の内周面に突設されたキャップ突起43の外周面のうち、後側を向く部分に配置されている。第1係止壁94は、後側へ向けて膨出する凸曲面状をなしている。
【0102】
軸筒1と筆記姿勢のキャップ4とは、第1被係止壁93と第1係止壁94とが、前後方向から見て周方向にずれて(重ならずに)配置される通過位置と、第1被係止壁93と第1係止壁94とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置(
図8参照)と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。より詳しくは、軸筒1と筆記姿勢のキャップ4とは、第1軸筒突起15とキャップ突起43とが、前後方向から見て周方向にずれて(重ならずに)配置される通過位置と、第1軸筒突起15とキャップ突起43とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。
【0103】
図8に矢印Aでキャップ4の操作方向を示すように、使用者は、通過位置においてキャップ4を軸筒1に後側から嵌合していき(キャップ4を前側へ移動させていき)、第1係止壁94(キャップ突起43)が第1被係止壁93(横延伸部15a)を前側へ通過した状態で、キャップ4を周方向一方側θ1に回転させて係止位置とし、第1被係止壁93に対して第1係止壁94を前側から接触させることで、これらを係止することができる。
また、上述とは逆の手順により、第1被係止壁93と第1係止壁94との係止状態を解除して、キャップ4を軸筒1から後側へ取り外すことができる。
【0104】
また、係止位置においては、キャップ突起43の外周面のうち周方向一方側θ1を向く部分と、第1軸筒突起15の縦延伸部15bとが、周方向において隙間をあけて対向し、または接触する。キャップ突起43と縦延伸部15bとが接触することにより、キャップ4が軸筒1に対して、それ以上に周方向一方側θ1へ回転移動することが規制される。
【0105】
図9に示すように、第2係止手段92は、軸筒1の外周面に突設されて後側を向く第2被係止壁95と、キャップ4の内周面に突設され、第2被係止壁95に後側から接触可能な第2係止壁96と、を有する。
【0106】
本実施形態では、第2被係止壁95が、軸筒1の外周面に突設された第2軸筒突起16のうち、横延伸部16aの後側を向く壁面に配置されている。第2被係止壁95は、周方向に延び、後側を向く平面状をなしている。
また、第2係止壁96は、キャップ4の内周面に突設されたキャップ突起43の外周面のうち、前側を向く部分に配置されている。第2係止壁96は、前側へ向けて膨出する凸曲面状をなしている。なお本実施形態では、第2係止壁96と上述した第1係止壁94とが、キャップ突起43の外周面の同じ部分に配置されている。
【0107】
軸筒1と非筆記姿勢のキャップ4とは、第2被係止壁95と第2係止壁96とが、前後方向から見て周方向にずれて(重ならずに)配置される通過位置と、第2被係止壁95と第2係止壁96とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置(
図9参照)と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。より詳しくは、軸筒1と非筆記姿勢のキャップ4とは、第2軸筒突起16とキャップ突起43とが、前後方向から見て周方向にずれて(重ならずに)配置される通過位置と、第2軸筒突起16とキャップ突起43とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。
【0108】
図9に矢印Bでキャップ4の操作方向を示すように、使用者は、通過位置においてキャップ4を軸筒1に前側から嵌合していき(キャップ4を後側へ移動させていき)、第2係止壁96(キャップ突起43)が第2被係止壁95(横延伸部16a)を後側へ通過した状態で、キャップ4を周方向他方側θ2に回転させて係止位置とし、第2被係止壁95に対して第2係止壁96を後側から接触させることで、これらを係止することができる。
また、上述とは逆の手順により、第2被係止壁95と第2係止壁96との係止状態を解除して、キャップ4を軸筒1から前側へ取り外すことができる。
【0109】
また、係止位置においては、キャップ突起43の外周面のうち周方向他方側θ2を向く部分と、第2軸筒突起16の縦延伸部16bとが、周方向において隙間をあけて対向し、または接触する。キャップ突起43と縦延伸部16bとが接触することにより、キャップ4が軸筒1に対して、それ以上に周方向他方側θ2へ回転移動することが規制される。
【0110】
以上説明した本実施形態の筆記具10では、筆記時と筆記時以外とにおいて、キャップ4に異なる機能が付与されている。すなわちキャップ4は、複数種類の機能を有する。
具体的に、筆記時においては、使用者が、キャップ4を軸筒1に対して後側から嵌合する。この嵌合により、キャップ4の開口端がスライド部材3のスライド突起33を前側に押し込み、スライド部材3とともに筆記部材2が前側へ押される。これにより筆記部材2は、そのペン先21が軸筒開口部13から前側に突出した使用位置とされる。またこの使用位置において、第1係止手段91が、軸筒1に対するキャップ4の後側への移動を規制することで、筆記部材2が使用位置に保持される。
【0111】
上記構成により、筆記時において、軸筒1に対してキャップ4が意図せず後側へスライド移動するような不具合が抑えられ、ペン先21に作用する筆圧を、筆記部材2及びスライド部材3を介して、キャップ4により安定して受け止めることができる。
また筆記時において、使用者の手のうち親指の付け根と人差し指の付け根との間の部分(指間)に、軸筒1よりも直径の大きいキャップ4の周壁41を接触させることができる。このため、使用者が筆記具10を安定して支持でき、筆記を行いやすい。
【0112】
また、筆記時以外においては、使用者が、キャップ4を軸筒1に対して前側から嵌合する。この嵌合により、キャップ4の開口端がスライド部材3のスライド突起33を後側に押し込み、スライド部材3とともに筆記部材2が後側へ押される。これにより筆記部材2は、そのペン先21の一部または全部(つまり、ペン先21の少なくとも一部)が軸筒開口部13を通して軸筒1内に収容され、待機位置とされる。またこの待機位置において、第2係止手段92が、軸筒1に対するキャップ4の前側への移動を規制することで、筆記部材2が待機位置に保持される。
【0113】
上記構成により、筆記時以外において、ペン先21の乾燥が抑えられ、次回の筆記具10の使用時にも安定して筆記を行うことができる。また、筆記具10を携帯や保管する際などに、キャップ4が意図せず軸筒1から外れてしまうようなことが抑えられる。
【0114】
本実施形態によれば、キャップ4が軸筒1に後側から嵌合した際には、筆記具10の前後方向の全長寸法を一定以上に確保して、使用者の手で筆記具10を持ちやすくすることができ、筆記のしやすさを良好に維持できる。
そして本実施形態では、キャップ4の内部に、従来のような筆記部材を押すための棒体を設ける必要がない。このため、キャップ4を軸筒1に前側から嵌合した際には、キャップ4内の奥深くにまで軸筒1を挿し込むことが可能であり、よって筆記具10の前後方向の全長寸法を小さく抑えることができる。筆記具10のコンパクト化を図ることができ、携帯や保管等に便利であり、かつ、特に筆記時以外において、筆記具10に個性的で魅力のある外観デザインを付与することが可能である。
【0115】
また本実施形態では、筆記部材2が使用位置に配置された状態で、スライド突起33は、スリット孔14の前端部に配置される。
この場合、筆記部材2の使用位置では、スライド突起33が、スリット孔14の内周のうち前端と、キャップ4の開口端とにより、前後方向から挟まれる。このため、スライド部材3及び筆記部材2の前後方向への移動(がたつき等)が抑制される。また筆記時において、軸筒1に対してキャップ4が意図せず前側へスライド移動するような不具合も抑えられる。
【0116】
また、スリット孔14のうちスライド突起33が配置される前端部以外の部分が、キャップ4の周壁41により径方向外側から覆われる。このため、筆記時において、筆記具10の外観デザイン性を高めることができる。
【0117】
また本実施形態では、筆記部材2が待機位置に配置された状態で、スライド突起33は、スリット孔14の後端部に配置される。
この場合、筆記部材2の待機位置では、スライド突起33が、スリット孔14の内周のうち後端と、キャップ4の開口端とにより、前後方向から挟まれる。このため、スライド部材3及び筆記部材2の前後方向への移動(がたつき等)が抑制される。また筆記時以外において、軸筒1に対してキャップ4が意図せず後側へスライド移動するような不具合も抑えられる。
【0118】
また、スリット孔14のうちスライド突起33が配置される後端部以外の部分が、キャップ4の周壁41により径方向外側から覆われる。このため、筆記時以外において、筆記具10の外観デザイン性を高めることができる。また、筆記具10の携帯時や保管時などにおいて、スリット孔14の開口を極力少なく抑える(実質的に無くす)ことが可能であり、例えば筆箱の中などで、スリット孔14を通して軸筒1の内部に異物等が入り込むようなことが抑制される。
【0119】
また本実施形態では、筆記部材2が待機位置に配置されたときのスライド突起33から軸筒1の後端までの前後方向の寸法L2が、筆記部材2が使用位置に配置されたときのスライド突起33からペン先21の前端までの前後方向の寸法L1よりも小さい。
この場合、筆記時以外において、キャップ4が軸筒1に対して前側から嵌合したときに、筆記具10の前後方向の全長寸法をより確実に小さくすることができる。
【0120】
具体的に、本実施形態では寸法L2が、寸法L1の半分以下であり、より好ましくは、1/3以下である。
この場合、筆記時以外において、筆記具10の前後方向の全長寸法をより短く抑えることができる。
【0121】
また本実施形態では、第1係止手段91が、軸筒1の外周面に突設されて前側を向く第1被係止壁93と、キャップ4の内周面に突設され、第1被係止壁93に前側から接触可能な第1係止壁94と、を有する。
この場合、筆記部材2が使用位置に配置された状態で、第1被係止壁93と第1係止壁94とが接触することにより、第1係止手段91によってキャップ4の後側への移動を安定して規制することができる。
【0122】
また本実施形態において、軸筒1とキャップ4とは、第1被係止壁93と第1係止壁94とが、前後方向から見て周方向にずれて配置される通過位置と、第1被係止壁93と第1係止壁94とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。
この場合、使用者が簡単な操作により、筆記部材2の使用位置において、軸筒1とキャップ4とを係止させたり、この係止状態を解除させたりすることができる。
【0123】
また本実施形態では、第2係止手段92が、軸筒1の外周面に突設されて後側を向く第2被係止壁95と、キャップ4の内周面に突設され、第2被係止壁95に後側から接触可能な第2係止壁96と、を有する。
この場合、筆記部材2が待機位置に配置された状態で、第2被係止壁95と第2係止壁96とが接触することにより、第2係止手段92によってキャップ4の前側への移動を安定して規制することができる。
【0124】
また本実施形態において、軸筒1とキャップ4とは、第2被係止壁95と第2係止壁96とが、前後方向から見て周方向にずれて配置される通過位置と、第2被係止壁95と第2係止壁96とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。
この場合、使用者が簡単な操作により、筆記部材2の待機位置において、軸筒1とキャップ4とを係止させたり、この係止状態を解除させたりすることができる。
【0125】
また、本実施形態の筆記具10は、筆記部材2及びスライド部材3を後側へ向けて付勢する第1付勢部材5を備えている。
この場合、キャップ4が軸筒1に後側から嵌合したときに、第1付勢部材5の付勢力に抗して、キャップ4の開口端によりスライド突起33が前側へ押し込まれることで、筆記部材2のペン先21が軸筒開口部13から前側に突出し、使用位置とされる。筆記部材2が使用位置とされたときに、第1付勢部材5の付勢力によって各構成部材間のがたつき等が抑えられ、第1係止手段91による係止状態が良好に維持される。
【0126】
また、キャップ4が軸筒1に取り付けられていない状態では、第1付勢部材5によって、筆記部材2を待機位置に保持することができる。キャップ4が軸筒1に取り付けられていない状態でも、筆記具10の前後方向の全長寸法を小さく抑えることができ、かつ、ペン先21が意図せず筆記具10以外の物品や身体などに触れて汚してしまうような不具合が抑制される。
【0127】
また、本実施形態の筆記具10は、キャップ4が軸筒1に前側から嵌合したときに、キャップ4を前側へ向けて付勢する第2付勢部材7を備えている。
この場合、キャップ4が軸筒1に前側から嵌合したときに、第2付勢部材7の付勢力によって各構成部材間(特にキャップ4と軸筒1との間)のがたつき等が抑えられ、第2係止手段92による係止状態が良好に維持される。
【0128】
また本実施形態では、筆記部材2が待機位置に配置された状態で、スライド部材3または筆記部材2の後端部と、軸筒1の後壁12とが、前後方向において隙間をあけて対向し、または接触する。
上記構成では、筆記部材2が待機位置に配置された状態で、スライド部材3または筆記部材2の後端部と、軸筒1の後壁12との間のスペースが、極僅かに抑えられ、またはゼロとされる。これにより、軸筒1の前後方向の寸法を、筆記部材2の前後方向の寸法により近付けることが可能となる。キャップ4を軸筒1に前側から嵌合したときに、筆記具10の前後方向の全長寸法をより小さく抑えて、コンパクト化を図ることができる。
【0129】
また本実施形態では、スライド部材3が、筆記部材2に着脱可能に装着される。
この場合、筆記部材2をスライド部材3から取り外して、新しい筆記部材2に交換することが容易である。
【0130】
また本実施形態では、スライド部材3が、筒状をなし、内部に筆記部材2の後端部が嵌合する本体筒部31と、本体筒部31から前側へ延び、径方向に弾性変形可能なアーム部32と、アーム部32から径方向外側に突出するスライド突起33と、を有する。
上記構成では、スライド部材3のアーム部32が径方向に弾性変形する。このため、筆記具10の組み立て時において、軸筒1内にスライド部材3を挿入しやすく、またスライド突起33をスリット孔14に挿入しやすい。筆記具10の組み立てが容易である。
【0131】
また本実施形態では、アーム部32が、アーム部32の径方向内側を向く面から突出する支持突起32aを有しており、支持突起32aは、筆記部材2の外周面に接触する。
この場合、アーム部32から径方向内側に突出する支持突起32aが、筆記部材2の外周面に接触することにより、アーム部32の径方向内側への弾性変形が抑制される。すなわち、スライド部材3と筆記部材2とが組み立てられた状態では、アーム部32の弾性変形が抑えられるため、アーム部32から径方向外側に突出するスライド突起33を、キャップ4の開口端によって安定して前後方向に押し込むことが可能となる。スライド突起33の機能が良好に維持される。
【0132】
また本実施形態では、スライド突起33と支持突起32aとが、径方向から見て、重なって配置される。
この場合、スライド突起33が、筆記部材2の外周面に接触する支持突起32aにより、アーム部32を介して径方向内側から安定して支持される。このため、上述した作用効果がより安定する。
【0133】
また本実施形態では、支持突起32aが、周方向に延びるリブ状である。
この場合、筆記部材2の外周面と支持突起32aとを、周方向の広い範囲で密着させることができ、上述した作用効果がより安定して高められる。
【0134】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。なお、変形例の図示においては、前述の実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、下記では主に異なる点について説明する。
【0135】
図10及び
図11は、前述の実施形態で説明した筆記具10の第1変形例の筆記具20の一部を示す側面図である。具体的に、
図10は、筆記姿勢のキャップ4が軸筒1に後側から嵌合したときの、第1係止手段91の作用(機能)を説明する図であり、
図11は、非筆記姿勢のキャップ4が軸筒1に前側から嵌合したときの、第2係止手段92の作用(機能)を説明する図である。
【0136】
この第1変形例では、軸筒1が、軸筒1の周壁11の外周面から径方向外側に突出する軸筒突起17を有する。軸筒突起17は、円柱状または円板状をなしている。またキャップ4は、キャップ4の周壁41の内周面から径方向内側に突出するキャップ突起44を有する。キャップ突起44は、径方向内側から見て、L字状に屈曲した形状を有している。
【0137】
キャップ突起44は、周方向に延びる横延伸部44aと、前後方向に延びる縦延伸部44bと、を有する。
図10に示す筆記姿勢のキャップ4において、縦延伸部44bは、横延伸部44aの周方向他方側θ2の端部に接続されており、この接続部分から、前後方向においてキャップ4の開口端とは反対側(図示しない塞ぎ壁42側)へ向けて延びている。
【0138】
この第1変形例では、
図10に示すように、第1係止手段91の第1被係止壁93が、軸筒1の外周面に突設された軸筒突起17の外周面のうち、前側を向く部分に配置されている。第1被係止壁93は、前側へ向けて膨出する凸曲面状をなしている。
また、第1係止手段91の第1係止壁94は、キャップ4の内周面に突設されたキャップ突起44のうち、横延伸部44aの後側(開口端とは反対側、つまり塞ぎ壁42側)を向く壁面に配置されている。第1係止壁94は、周方向に延び、後側を向く平面状をなしている。
【0139】
軸筒1と筆記姿勢のキャップ4とは、第1被係止壁93と第1係止壁94とが、前後方向から見て周方向にずれて(重ならずに)配置される通過位置(
図10参照)と、第1被係止壁93と第1係止壁94とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。より詳しくは、軸筒1と筆記姿勢のキャップ4とは、軸筒突起17とキャップ突起44とが、前後方向から見て周方向にずれて(重ならずに)配置される通過位置と、軸筒突起17とキャップ突起44とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。
【0140】
図10に矢印Aでキャップ4の操作方向を示すように、使用者は、通過位置においてキャップ4を軸筒1に後側から嵌合していき(キャップ4を前側へ移動させていき)、第1係止壁94(横延伸部44a)が第1被係止壁93(軸筒突起17)を前側へ通過した状態で、キャップ4を周方向一方側θ1に回転させて係止位置とし、第1被係止壁93に対して第1係止壁94を前側から接触させることで、これらを係止することができる。
また、上述とは逆の手順により、第1被係止壁93と第1係止壁94との係止状態を解除して、キャップ4を軸筒1から後側へ取り外すことができる。
【0141】
また、係止位置においては、キャップ突起44の縦延伸部44bと、軸筒突起17の外周面のうち周方向他方側θ2を向く部分とが、周方向において隙間をあけて対向し、または接触する。縦延伸部44bと軸筒突起17とが接触することにより、キャップ4が軸筒1に対して、それ以上に周方向一方側θ1へ回転移動することが規制される。
【0142】
また、
図11に示すように、第2係止手段92の第2被係止壁95は、軸筒1の外周面に突設された軸筒突起17の外周面のうち、後側を向く部分に配置されている。第2被係止壁95は、後側へ向けて膨出する凸曲面状をなしている。
また、第2係止手段92の第2係止壁96は、キャップ4の内周面に突設されたキャップ突起44のうち、横延伸部44aの前側(開口端とは反対側、つまり塞ぎ壁42側)を向く壁面に配置されている。なお第1変形例では、第2係止壁96と上述した第1係止壁94とが、キャップ突起44の横延伸部44aの同じ壁面に配置されている。
【0143】
軸筒1と非筆記姿勢のキャップ4とは、第2被係止壁95と第2係止壁96とが、前後方向から見て周方向にずれて(重ならずに)配置される通過位置(
図11参照)と、第2被係止壁95と第2係止壁96とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。より詳しくは、軸筒1と非筆記姿勢のキャップ4とは、軸筒突起17とキャップ突起44とが、前後方向から見て周方向にずれて(重ならずに)配置される通過位置と、軸筒突起17とキャップ突起44とが、前後方向から見て重なって配置される係止位置と、の間で、周方向に相対的に回転可能である。
【0144】
図11に矢印Bでキャップ4の操作方向を示すように、使用者は、通過位置においてキャップ4を軸筒1に前側から嵌合していき(キャップ4を後側へ移動させていき)、第2係止壁96(横延伸部44a)が第2被係止壁95(軸筒突起17)を後側へ通過した状態で、キャップ4を周方向他方側θ2に回転させて係止位置とし、第2被係止壁95に対して第2係止壁96を後側から接触させることで、これらを係止することができる。
また、上述とは逆の手順により、第2被係止壁95と第2係止壁96との係止状態を解除して、キャップ4を軸筒1から前側へ取り外すことができる。
【0145】
また、係止位置においては、キャップ突起44の縦延伸部44bと、軸筒突起17の外周面のうち周方向一方側θ1を向く部分とが、周方向において隙間をあけて対向し、または接触する。縦延伸部44bと軸筒突起17とが接触することにより、キャップ4が軸筒1に対して、それ以上に周方向他方側θ2へ回転移動することが規制される。
以上説明した第1変形例の筆記具20においても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0146】
図12及び
図13は、前述の実施形態で説明した筆記具10の第2変形例の筆記具30の一部を、平面状に展開して表す平面図である。具体的に、
図12は、筆記姿勢のキャップ4が軸筒1に後側から嵌合したときの、第1係止手段91の作用(機能)を説明する図であり、
図13は、非筆記姿勢のキャップ4が軸筒1に前側から嵌合したときの、第2係止手段92の作用(機能)を説明する図である。
【0147】
この第2変形例では、
図12に示すように、第1係止手段91が、軸筒1の外周面に突設され、通過位置に配置された第1係止壁94(キャップ突起43)を係止位置に案内する第1ガイド壁97を有している。第1ガイド壁97は、前側へ向かうに従い、周方向において第1被係止壁93に近づくように延びている。具体的に、第1ガイド壁97は、前側へ向かうに従い、第1被係止壁93に接近するように周方向一方側θ1に向けて延びている。
図12に示す平面図において、第1ガイド壁97は、直線状に延びている。ただしこれに限らず、この平面図において、第1ガイド壁97は、曲線状に湾曲して延びていてもよい。
【0148】
この場合、使用者が、キャップ4を軸筒1に後側から嵌合していき、キャップ4と軸筒1とを相対回転させて、第1係止手段91を機能させる際の操作が、連続的にかつスムーズに行え、操作性がよい。
【0149】
また、
図13に示すように、第2係止手段92は、軸筒1の外周面に突設され、通過位置に配置された第2係止壁96(キャップ突起43)を係止位置に案内する第2ガイド壁98を有している。第2ガイド壁98は、後側へ向かうに従い、周方向において第2被係止壁95に近づくように延びている。具体的に、第2ガイド壁98は、後側へ向かうに従い、第2被係止壁95に接近するように周方向他方側θ2に向けて延びている。
図13に示す平面図において、第2ガイド壁98は、直線状に延びている。ただしこれに限らず、この平面図において、第2ガイド壁98は、曲線状に湾曲して延びていてもよい。
【0150】
この場合、使用者が、キャップ4を軸筒1に前側から嵌合していき、キャップ4と軸筒1とを相対回転させて、第2係止手段92を機能させる際の操作が、連続的にかつスムーズに行え、操作性がよい。
【0151】
また、前述した実施形態及び各変形例において、軸筒1のうち、周壁11は樹脂製であり、軸筒突起15,16,17は金属製であってもよい。この場合、軸筒突起15,16,17は、インサート成形によって周壁11に埋め込まれることが好ましい。
また、キャップ4のうち、周壁41は樹脂製であり、キャップ突起43,44は金属製であってもよい。この場合、キャップ突起43,44は、インサート成形によって周壁41に埋め込まれることが好ましい。
【0152】
特に図示しないが、キャップ4は、キャップ4の開口端側の端部(一端部)に配置され、スライド突起33を径方向外側から覆う突起カバーを有していてもよい。
また、第2付勢部材7は、圧縮コイルばねに限らず、例えばゴムやシリコーン樹脂等の弾性部材であってもよい。
【0153】
特に図示しないが、軸筒1の外周面に、デザイン性を有する模様や図柄等が表現された突起を設け、この突起の所定の部分を、第1被係止壁93や第2被係止壁95として機能させてもよい。この場合、キャップ4を軸筒1に嵌合し、係止した状態で、前記模様や図柄等の一部が筆記具の外部に露出されていると、外観デザイン性を高めることができ、より好ましい。
【0154】
特に図示しないが、軸筒1及びキャップ4の少なくとも一方は、周壁11,41の外周面に滑り止め部を有していてもよい。滑り止め部は、例えば、滑り止め機能を有するローレット加工やシボ加工などの表面加工、またはコーティング等が施されることにより形成される。
なお、軸筒1に滑り止め部を設ける場合には、筆記具の外部に露出される前記模様や図柄等の一部を、滑り止め部として機能させてもよい。
【0155】
前述の実施形態及び各変形例では、筆記具10,20,30を後側(+Y側)から見て、周方向のうち中心軸Cを中心とする時計回りの方向を周方向一方側θ1とし、中心軸Cを中心とする反時計回りの方向を周方向他方側θ2としたが、これに限らない。すなわち、筆記具10,20,30を後側(+Y側)から見て、周方向のうち中心軸Cを中心とする反時計回りの方向を周方向一方側θ1とし、中心軸Cを中心とする時計回りの方向を周方向他方側θ2としてもよい。
【0156】
また前述の実施形態及び各変形例では、筆記具10,20,30としてボールペンを例に挙げて説明したが、これに限らない。本発明の筆記具は、ボールペン以外のペンや万年筆等であってもよい。
【0157】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態及び変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明の筆記具によれば、キャップが軸筒に後側から嵌合したときの筆記のしやすさを良好に維持しつつ、キャップが軸筒に前側から嵌合したときに、筆記具の前後方向の全長寸法を小さく抑えることができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0159】
1…軸筒、2…筆記部材、3…スライド部材、4…キャップ、5…第1付勢部材、7…第2付勢部材、9…係止手段、10,20,30…筆記具、11…周壁、12…後壁、13…軸筒開口部、14…スリット孔、21…ペン先、31…本体筒部、32…アーム部、32a…支持突起、33…スライド突起、91…第1係止手段、92…第2係止手段、93…第1被係止壁、94…第1係止壁、95…第2被係止壁、96…第2係止壁、97…第1ガイド壁、98…第2ガイド壁、C…中心軸、L1,L2…寸法