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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172135
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】トリガー式泡噴出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089668
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084LB01
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】内容物に混合する空気の量を増やし、泡質を向上させること。
【解決手段】トリガー式泡噴出器1は、容器本体100に装着されると共に、内容物を流通させる第1流路6A、及び、第1流路6Aと独立した流路で空気を流通させる第2流路6Bを有する噴出器本体2と、噴出器本体2に装着されると共に、第1流路6A及び第2流路6Bが合流する混合室3b、及び、混合室3bに連通して空気との混合によって発泡した内容物を噴出する噴出孔3aが形成されたノズル部材3と、を備え、噴出器本体2は、トリガー部21の後方への移動によって内容物を第1流路6Aに流出させる第1ポンプ部30Aと、トリガー部21の後方への移動によって空気を第2流路6Bに流出させる第2ポンプ部30Bと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体に装着されると共に、前記内容物を流通させる第1流路、及び、前記第1流路と独立した流路で空気を流通させる第2流路を有する噴出器本体と、
前記噴出器本体に装着されると共に、前記第1流路及び前記第2流路が合流する混合室、及び、前記混合室に連通して前記空気との混合によって発泡した前記内容物を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器本体に連通する縦供給筒部と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部と、
前記トリガー部の後方への移動によって前記内容物を前記第1流路に流通させると共に、前記トリガー部の前方への移動によって前記縦供給筒部を介して前記内容物を前記容器本体から吸い上げる第1ポンプ部と、
前記トリガー部の後方への移動によって前記空気を前記第2流路に流通させると共に、前記トリガー部の前方への移動によって前記空気を吸い込む第2ポンプ部と、を備える、
トリガー式泡噴出器。
【請求項2】
前記第2ポンプ部は、上下方向において、前記トリガー部の回動軸に対し、前記第1ポンプ部よりも離れて配置されている、
請求項1に記載のトリガー式泡噴出器。
【請求項3】
前記縦供給筒部には、
前記第1ポンプ部に連通し、前記内容物を前記容器本体から吸い上げる第3流路と、
前記第2ポンプ部に連通し、前記第3流路と独立した流路で、前記空気を前記容器本体内のヘッドスペースから吸い上げる第4流路と、が形成されている、
請求項1または2に記載のトリガー式泡噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式泡噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載のトリガー式液体噴出器が知られている。このトリガー式液体噴出器は、容器体に装着される噴出器本体と、噴出器本体の前方に設けられ、容器体内の液体を噴射する噴出孔を有するノズル部材と、を備える。噴出器本体は、トリガー部の後方への揺動によって、液体を噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構を有する。ノズル部材は、噴出孔を有するノズル本体と、ノズル本体に設けられて噴出孔を囲う造泡筒と、を備える。造泡筒は、造泡筒の内側に外気を導入する外気導入孔を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-196496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、トリガー部を引き、内容物が噴出孔から造泡筒内に噴射されると、造泡筒内が負圧になり、造泡筒内に空気が外気導入孔を通して吸い込まれる。造泡筒内では内容物と空気が混同されて霧状になり、造泡筒の内壁に衝突して泡状となって、造泡筒から噴出される。しかしながら、この方式では、内容物の噴出による負圧によって空気を吸い込むため、内容物に混合する空気の量がある程度にとどまり、泡質の向上に限界があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物に混合する空気の量を増やし、泡質を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るトリガー式泡噴出器は、内容物が収容される容器本体に装着されると共に、前記内容物を流通させる第1流路、及び、前記第1流路と独立した流路で空気を流通させる第2流路を有する噴出器本体と、前記噴出器本体に装着されると共に、前記第1流路及び前記第2流路が合流する混合室、及び、前記混合室に連通して前記空気との混合によって発泡した前記内容物を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、前記容器本体に連通する縦供給筒部と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部と、前記トリガー部の後方への移動によって前記内容物を前記第1流路に流出させると共に、前記トリガー部の前方への移動によって前記縦供給筒部を介して前記内容物を前記容器本体から吸い上げる第1ポンプ部と、前記トリガー部の後方への移動によって前記空気を前記第2流路に流出させると共に、前記トリガー部の前方への移動によって前記空気を吸い込む第2ポンプ部と、を備える。
【0007】
本発明に係るトリガー式泡噴出器によれば、トリガー部に指をかけ、トリガー部を後方へ移動させると、第1ポンプ部内の内容物が第1流路に流出すると共に、第2ポンプ部内の空気が第2流路に流出する。第1流路を流通した内容物と、第2流路を流通した空気は、ノズル部材に設けられた混合室で合流して混合され、噴出孔から泡状になって外部に噴出される。
トリガー部を引く操作を止めると、トリガー部が付勢によって前方に移動し、容器本体の内容物が縦供給筒部を介して第1ポンプ部内に吸い上げられ、空気が第2ポンプ部内に吸い込まれる。
このように、トリガー部が前方に移動したときに、第2ポンプ部内に空気を溜めて、トリガー部が後方に移動したときに、第2ポンプ部内に溜めた空気を積極的に流出させることで、内容物に混合する空気の量を増やすことができる。
したがって、本発明に係るトリガー式泡噴出器によれば、内容物に混合する空気の量を増やし、泡質を向上させることができる。
【0008】
(2)前記第2ポンプ部は、上下方向において、前記トリガー部の回動軸に対し、前記第1ポンプ部よりも離れて配置されていてもよい。
【0009】
この場合には、トリガー部が回動したときの操作ストロークが、第1ポンプ部よりも第2ポンプ部の方が大きくなるため、空気の貯留量及び流出量を増やすことができる。これにより、内容物に対する空気の混合比を高めて泡質を向上させることができる。
【0010】
(3)前記縦供給筒部には、前記第1ポンプ部に連通し、前記内容物を前記容器本体から吸い上げる第3流路と、前記第2ポンプ部に連通し、前記第3流路と独立した流路で、前記空気を前記容器本体内のヘッドスペースから吸い上げる第4流路と、が形成されていてもよい。
【0011】
この場合には、縦供給筒部内の独立した第3流路及び第4流路を介して容器本体から内容物と空気とを吸い上げることができる。これにより、容器本体外から空気を吸い込む流路を別途形成する場合よりも、流路の形成が容易になり、流路の加工コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るトリガー式泡噴出器によれば内容物に混合する空気の量を増やし、泡質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るトリガー式泡噴出器の縦断面図である。
図2図1に示す矢視II-II断面図である。
図3図1に示す矢視III-III断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るトリガー式泡噴出器の縦断面図である。
図5図4に示す矢視V-V断面図である。
図6図4に示す矢視VI-VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、トリガー式泡噴出器の各実施形態について説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のトリガー式泡噴出器1は、内容物が収容された容器本体100に装着される噴出器本体2と、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、を備えている。なお、トリガー式泡噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0016】
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、トリガー機構20と、を備えている。
以下、縦供給筒部10が延びる方向を上下方向といい、上下方向に沿って容器本体100の底部側を下側、その反対側を上側という。上下方向から見て、縦供給筒部10に対してノズル部材3が位置している側を前側、その逆側を後側という。上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0017】
噴出器本体2は、その前端部を除く、上方、後方および左右をカバー部材4によって覆われている。ノズル部材3は、噴出器本体2の前端部に装着され、内容物を前方に向けて噴出する噴出孔3aを有している。
【0018】
縦供給筒部10は、上下方向に延びる筒状に形成され、容器本体100の口部101から、容器本体100内の内容物及び空気を吸い上げる第3流路6C及び第4流路6Dが形成されている。第3流路6Cの下端部には、容器本体100の底部まで延びるパイプ部材5が嵌合している。
【0019】
第4流路6Dは、第3流路6Cと独立して形成され、第3流路6Cと略平行に上下方向に延びている。第4流路6Dの下端開口は、容器本体100内のヘッドスペース102に連通している。ヘッドスペース102とは、容器本体100内における内容物と空気との界面(液面)より高い部分であって、好ましくは容器本体100の上端部を形成する口部101の内側の空間である。
【0020】
縦供給筒部10には、第3流路6Cの下端部及び第4流路6Dの下端開口を囲むように、取付筒部11が連設されている。取付筒部11は、口部101の内側に挿入されている。取付筒部11の外周面には、口部101の上端開口縁上まで延びるフランジ11aが形成されている。
【0021】
口部101の上端開口縁には、シール部材12が配置されている。口部101の外周面には、中央に開口部が形成された有頂筒状の装着キャップ13が装着されている。装着キャップ13の内周面には、口部101における外周面に形成された雄ネジに螺着する雌ネジが形成されている。フランジ11a及びシール部材12は、装着キャップ13の頂壁と口部101の上端開口縁との間に挟まれて固定されている。
【0022】
縦供給筒部10の前壁には、上下方向に間隔をあけて第3連通孔10Cと第4連通孔10Dとが形成されている。第3連通孔10Cは、第3流路6Cの上端部に連通すると共に、縦供給筒部10の前壁から前方に延びる第1ポンプ装着筒14A内に連通している。一方、第4連通孔10Dは、第4流路6Dの上端部に連通すると共に、縦供給筒部10の前壁から前方に延びる第2ポンプ装着筒14B内に連通している。第4連通孔10Dは、第3連通孔10Cよりも下方に配置されている。
【0023】
縦供給筒部10の上端部には、前方に向かって延びる射出筒部15が設けられている。射出筒部15には、縦供給筒部10から噴出孔3a側に向けて内容物を流通させる第1流路6Aと、第1流路6Aと独立した流路で、縦供給筒部10から噴出孔3a側に向けて空気を流通させる第2流路6Bと、が形成されている。
【0024】
射出筒部15には、前方から中継筒部材17が組み付けられている。中継筒部材17の前端部には、ノズル部材3が装着されている。図3の断面図に示すように、ノズル部材3の内側には、筒状のホルダー18を介して発泡部材19が取り付けられている。ホルダー18の前方を向く前端部は、後方を向く後端部よりも拡径しており、当該前端部の内側に発泡部材19が配置されている。
【0025】
発泡部材19は、前後方向に間隔をあけて配置された2つのメッシュ体19aを備えている。内容物と空気の混合物は、2つのメッシュ体19aを通過することで発泡する。内容物と空気は、混合室3bで混合される。混合室3bは、ホルダー18の後端部の内側に形成されている。混合室3bでは、第1流路6Aを流通した内容物と、第2流路6Bを流通した空気とが合流する。
【0026】
中継筒部材17には、第1流路6Aと混合室3bとを連通させる第1連通流路17aが形成されている。第1連通流路17aは、前方を閉塞する頂部を備える有頂筒状の中継筒部材17において、当該頂部の中央を前後方向に貫通している。また、中継筒部材17には、第2流路6Bと混合室3bとを連通させる第2連通流路17bが形成されている。
【0027】
第2連通流路17bは、第1連通流路17aと異なる位置で、中継筒部材17の頂部を前後方向に貫通すると共に、中継筒部材17とノズル部材3との隙間流路S1、及びホルダー18の後端部に形成された図示しない複数の開口部を介して混合室3bと連通している。混合室3bと噴出孔3aとの間には、上述した発泡部材19が配置されており、混合室3bで混合され、発泡部材19で発泡した内容物が、噴出孔3aから外部に噴出する。
【0028】
図1に戻り、縦供給筒部10の上端部の上面の一部は、開口しており、当該開口には、後述する弁部材50が嵌合している。縦供給筒部10の上端部は、当該開口を含む上面、左右側面、及び背面が、閉塞部材16によって覆われている。閉塞部材16は、縦供給筒部10の上端部に、後方から組み付けられている。
【0029】
トリガー機構20は、トリガー部21と、第1ポンプ部30Aと、第2ポンプ部30Bと、を備えている。トリガー部21は、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されている。第1ポンプ部30Aは、トリガー部21の移動に伴って、内容物を縦供給筒部10から噴出孔3aに向けて流出させる。また、第2ポンプ部30Bは、トリガー部21の移動に伴って、空気を縦供給筒部10から噴出孔3aに向けて流出させる。
【0030】
トリガー部21は、一対の回動軸22を備え、射出筒部15の左右両側面に軸支されている。これにより、トリガー部21は、回動軸22を中心に左右方向に延びる軸回りに回動可能とされている。トリガー部21は、前板部21aと、一対の側板部21bと、を有している。
【0031】
前板部21aは、前方に向かうに従い漸次、下方に向けて延びている。前板部21aの下側部分は、指先を掛けるための指掛部分とされている。一対の側板部21bは、前板部21aの左右両側の側端縁から後方に向けて延在し、左右方向に向かい合っている。一対の側板部21bには、第1連結軸23A及び第2連結軸23Bが設けられている。
【0032】
第1連結軸23A及び第2連結軸23Bは、一対の側板部21bによって左右方向に架設されている。第1連結軸23Aは、回動軸22よりも下方に配設されている。この第1連結軸23Aは、第1ポンプ部30Aのピストン32と連結されている。一方、第2連結軸23Bは、第1連結軸23Aよりもさらに下方に配設されている。この第2連結軸23Bは、第2ポンプ部30Bのピストン32と連結されている。
【0033】
一対の側板部21bの左右外側を向く面には、図示しないバネ受け部が形成されている。図示しない左右のバネ受け部は、閉塞部材16から前方に向かうに従い漸次、下方に向けて延びる図示しない一対の付勢部材の下端に対し、前方から当接している。この付勢部材は、閉塞部材16と一体で形成されていてもよい。
【0034】
第1ポンプ部30Aは、第3流路6Cと連通し、前後方向に延びるシリンダ31と、シリンダ31の内部を、トリガー部21の移動に伴い前後に移動するピストン32と、ピストン32が前方に移動した際に、第3流路6Cとシリンダ31との連通を許容し、かつ、ピストン32が後方に移動した際に、第3流路6Cとシリンダ31との連通を遮断する弁体33と、を備えている。
【0035】
シリンダ31は、前方に向けて開口する有底筒状に形成され、第1ポンプ装着筒14Aの内側に嵌合されている。シリンダ31の底部は開口しており、シリンダ31の内部は第3連通孔10Cを介して第3流路6Cと連通している。シリンダ31の内側には、ガイド筒31aが設けられている。ガイド筒31aは、シリンダ31の底部から前方に向けて円筒状に延びている。
【0036】
ピストン32は、シリンダ31の内側に配置され、シリンダ31の前端開口から突出可能とされている。ピストン32は、前方が閉塞されて後方が開放された有頂筒状に形成されている。ピストン32の外周面には、シリンダ31の内壁面に対して前後に摺動可能な摺動部32aが形成されている。
【0037】
ピストン32の内側には、前方を閉塞する前端壁から後方に向かって延びる棒状の摺動体32bが形成されている。摺動体32bは、弁体33の内側に挿入されている。また、ピストン32の前端壁には、第1連結軸23Aが左右方向に挿入される挿入孔32cが形成されている。これにより、ピストン32は、トリガー部21の回動に連係して前後動する。
【0038】
弁体33は、シリンダ31内においてガイド筒31aの内側に配設され、ガイド筒31aに案内されて前後に移動可能とされている。弁体33は、前方が開口し、後方が閉塞された有底筒状に形成されている。弁体33の底壁は、前後方向で第3連通孔10Cと対向している。
【0039】
弁体33の底壁側の外周面には、ガイド筒31aの後端開口縁に後方から当接可能な当接部33aが突設されている。弁体33の前端開口には、摺動体32bが前方から挿入されている。弁体33は、ピストン32が後方に移動する際に、摺動体32bとの摩擦力によって摺動体32bと共に後方に移動し、第3連通孔10Cを閉塞する。
【0040】
また、弁体33は、ピストン32が前方に移動する際には、摺動体32bとの摩擦力によって摺動体32bと共に前方に移動し、第3連通孔10Cを開放する。当接部33aがガイド筒31aの後端開口縁に当接すると、弁体33の前方への移動が規制され、弁体33内を摺動体32bが摺動し、ピストン32が元の位置に復帰する。
【0041】
この第1ポンプ部30Aによれば、トリガー部21によってピストン32が後方に移動すると、弁体33が縦供給筒部10とシリンダ31との連通を遮断するため、シリンダ31の内部を加圧して、シリンダ31の外部に内容物を噴出できる。また、トリガー部21によってピストン32が前方に移動すると、シリンダ31の内部を減圧し、弁体33が縦供給筒部10とシリンダ31との連通を許容するため、容器本体100からシリンダ31に内容物を吸い込むことができる。
【0042】
第2ポンプ部30Bは、第2ポンプ装着筒14Bに嵌合し、第1ポンプ部30Aより下方に配置されている。第2ポンプ部30Bは、第1ポンプ部30Aと同様に、シリンダ31と、ピストン32と、弁体33と、を備えている。第2ポンプ部30Bのシリンダ31は、第4連通孔10Dを介して第4流路6Dと連通している。なお、シリンダ31、ピストン32、及び弁体33の構成は、第1ポンプ部30Aでの説明と重複するため割愛する。
【0043】
図2の断面図に示すように、第1ポンプ部30Aのシリンダ31は、第1連通孔10Aを介して上下方向に延びる第1縦供給流路6aに連通している。第1連通孔10Aは、第3連通孔10Cよりも上方に配置されている。第1縦供給流路6aは、第1流路6Aの一部であり、第1連通孔10Aから縦供給筒部10の上端部まで延びている。第1縦供給流路6a(第1流路6A)と第3流路6Cは、縦供給筒部10内で仕切り壁を介して独立した流路となっている。
【0044】
第1縦供給流路6aの上端部は、弁部材50によって開放可能に閉塞されている。弁部材50は、基部51と、逆止弁部52と、弾性変形部53と、を備えている。基部51は、縦供給筒部10の上端部の上面に形成された開口に嵌合している。基部51の下面には、逆止弁部52が、側面視円形の弾性変形部53(図1参照)を介して吊設されている。
【0045】
図2に示すように、逆止弁部52は、第1縦供給流路6aの上端部を開放可能に閉塞している。逆止弁部52は、第1縦供給流路6a内が加圧されると、第1縦供給流路6aの上端部を開放し、第1流路6Aを開放する。これにより、第1ポンプ部30A内に貯留された内容物が、第1流路6Aを介して噴出孔3a(混合室3b)に向けて流出する。
【0046】
第2ポンプ部30Bのシリンダ31は、第2連通孔10Bを介して上下方向に延びる第2縦供給流路6bに連通している。第2連通孔10Bは、第3連通孔10Cの側方に配置されている。第2縦供給流路6bは、第2流路6Bの一部であり、第2連通孔10Bから縦供給筒部10の上端部まで延びている。第2縦供給流路6b(第2流路6B)と第3流路6Cは、縦供給筒部10内で仕切り壁を介して独立した流路となっている。
【0047】
第2縦供給流路6bの上端部は、弁部材50によって開放可能に閉塞されている。弁部材50は、基部51と、逆止弁部52と、弾性変形部53と、を備えている。弁部材50の構成は、第1縦供給流路6aの弁部材50での説明と重複するため割愛する。なお、第1縦供給流路6aの弁部材50と、第2縦供給流路6bの弁部材50とを区別するため、第1縦供給流路6aの弁部材50は第1弁部材50Aと称し、第2縦供給流路6bの弁部材50は第2弁部材50Bと称する。
【0048】
図2に示すように、第2逆止弁部52Bは、第2縦供給流路6bの上端部を開放可能に閉塞している。第2逆止弁部52Bは、第2縦供給流路6b内が加圧されると、第2縦供給流路6bの上端部を開放し、第2流路6Bを開放する。これにより、第2ポンプ部30B内に貯留された空気が、第2流路6Bを介して噴出孔3a(混合室3b)に向けて流出する。
【0049】
次に、上述のように構成されたトリガー式泡噴出器1の作用について説明する。
なお、第1ポンプ部30Aには内容物が充填され、第2ポンプ部30Bには空気が充填されているものとする。
【0050】
図1に示す状態からトリガー部21を付勢力に抗して後方に引くと、第1ポンプ部30Aにおいては、ピストン32が後方に移動する。ピストン32が後方に移動すると、弁体33が第3連通孔10Cを閉塞し、第3流路6Cとシリンダ31との連通を遮断するため、シリンダ31の内部を加圧することができる。シリンダ31の内部圧力が高まると、所定のタイミングで第1弁部材50Aが開き、シリンダ31内の内容物が、第1連通孔10Aから第1縦供給流路6aを介して第1流路6Aに流出する。
【0051】
一方、第2ポンプ部30Bにおいても、ピストン32が後方に移動する。ピストン32が後方に移動すると、弁体33が第4連通孔10Dを閉塞し、第4流路6Dとシリンダ31との連通を遮断するため、シリンダ31の内部を加圧することができる。シリンダ31の内部圧力が高まると、所定のタイミングで第2弁部材50Bが開き、シリンダ31内の空気が、第2連通孔10Bから第2縦供給流路6bを介して第2流路6Bに流出する。
【0052】
第1流路6Aを流通する内容物と、第2流路6Bを流通する空気は、混合室3bで合流する。混合室3bで混合された内容物及び空気は、発泡部材19を通って発泡し、泡状になって噴出孔3aから外部に噴出する。ここで、混合室3bには、第2ポンプ部30B内に溜めた空気が供給されるため、内容物と空気の混合比において、空気の割合を大きくすることが容易になる。内容物と空気の混合比は、空気の比率が大きい方が、泡質が良くなるため、きめ細かな良質な泡を噴出できる。
【0053】
トリガー部21を解放すると、トリガー部21が前方に付勢されて元の位置に復帰する。このとき、第1ポンプ部30Aにおいては、ピストン32が前方に移動する。ピストン32が前方に移動すると、シリンダ31の内部が減圧し、弁体33が第3連通孔10Cを開放し、第3流路6Cとの連通を許容するため、容器本体100からシリンダ31に内容物を吸い込むことができる。つまり、トリガー部21が前方に付勢されて元の位置に復帰するとき、第1ポンプ部30Aは内容物の充填状態となる。
【0054】
また、第2ポンプ部30Bにおいては、トリガー部21が前方に付勢されて元の位置に復帰するとき、ピストン32が前方に移動する。ピストン32が前方に移動すると、シリンダ31の内部が減圧し、弁体33が第4連通孔10Dを開放し、第4流路6Dとの連通を許容するため、容器本体100のヘッドスペース102からシリンダ31に空気を吸い込むことができる。つまり、トリガー部21が前方に付勢されて元の位置に復帰するとき、第2ポンプ部30Bは空気の充填状態となる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式泡噴出器1によれば、トリガー部21に指をかけ、トリガー部21を後方へ移動させると、第1ポンプ部30A内の内容物が第1流路6Aに流出すると共に、第2ポンプ部30B内の空気が第2流路6Bに流出する。第1流路6Aを流通した内容物と、第2流路6Bを流通した空気は、ノズル部材3に設けられた混合室3bで合流して混合され、噴出孔3aから泡状になって外部に噴出される。
トリガー部21を引く操作を止めると、トリガー部21が付勢によって前方に移動し、容器本体100の内容物が縦供給筒部10を介して第1ポンプ部30A内に吸い上げられ、空気が第2ポンプ部30B内に吸い込まれる。
このように、トリガー部21が前方に移動したときに、第2ポンプ部30B内に空気を溜めて、トリガー部21が後方に移動したときに、第2ポンプ部30B内に溜めた空気を積極的に流出させることで、内容物に混合する空気の量を増やすことができる。
【0056】
このように、本実施形態に係るトリガー式泡噴出器1は、内容物が収容される容器本体100に装着されると共に、内容物を流通させる第1流路6A、及び、第1流路6Aと独立した流路で空気を流通させる第2流路6Bを有する噴出器本体2と、噴出器本体2に装着されると共に、第1流路6A及び第2流路6Bが合流する混合室3b、及び、混合室3bに連通して空気との混合によって発泡した内容物を噴出する噴出孔3aが形成されたノズル部材3と、を備え、噴出器本体2は、容器本体100に連通する縦供給筒部10と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部21と、トリガー部21の後方への移動によって内容物を第1流路6Aに流出させると共に、トリガー部21の前方への移動によって縦供給筒部10を介して内容物を容器本体100から吸い上げる第1ポンプ部30Aと、トリガー部21の後方への移動によって空気を第2流路6Bに流出させると共に、トリガー部21の前方への移動によって空気を吸い込む第2ポンプ部30Bと、を備える。この構成によれば、内容物に混合する空気の量を増やし、泡質を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、第2ポンプ部30Bは、上下方向において、トリガー部21の回動軸22に対し、第1ポンプ部30Aよりも離れて配置されている。この構成によれば、トリガー部21が回動したときの操作ストローク(ピストン32の前後方向の移動量)が、第1ポンプ部30Aよりも第2ポンプ部30Bの方が大きくなるため、空気の貯留量及び流出量を増やすことができる。これにより、内容物に対する空気の混合比を高めて泡質を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態では、縦供給筒部10には、第1ポンプ部30Aに連通し、内容物を容器本体100から吸い上げる第3流路6Cと、第2ポンプ部30Bに連通し、第3流路6Cと独立した流路で、空気を容器本体100内のヘッドスペース102から吸い上げる第4流路6Dと、が形成されている。この構成によれば、縦供給筒部10内の独立した第3流路6C及び第4流路6Dを介して容器本体100から内容物と空気とを吸い上げることができる。これにより、容器本体100外から空気を吸い込む流路を別途形成する場合よりも、流路の形成が容易になり、流路の加工コストを低減することができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0060】
第2実施形態のトリガー式泡噴出器1は、図4図6に示すように、内容物に混合する空気の比率をさらに向上させるため、第1ポンプ部30Aが1つに対し、第2ポンプ部30Bが2つ設けられている。2つの第2ポンプ部30Bは、図5に示すように、左右方向に間隔をあけて並列に設けられている。さらに、第2ポンプ部30Bの1つ1つは、図4に示すように、第1ポンプ部30Aよりも容量が大きくなっている。
【0061】
第2実施形態の第1ポンプ部30A及び第2ポンプ部30Bは、シリンダ31及びピストン32を備えるが、弁体33を備えていない。弁体33の役割は、縦供給筒部10に設けられたボール弁60が担っている。第2実施形態では、図4に示すように、第1縦供給流路6aと第3流路6Cとが上下方向に連通している。また、第2実施形態では、第1連通孔10Aに第3連通孔10Cが一体化(共通化)されている。
【0062】
第1縦供給流路6aと第3流路6Cとの連通部分の内壁面には、ボール弁60が上方に離反自在に着座する弁座61が設けられている。弁座61は、第1連通孔10A(第3連通孔10C)よりも下方に位置する。図5に示すように、ボール弁60の上方には、ボール弁60が第1連通孔10A(第3連通孔10C)を閉塞しないように、その上方移動を規制する規制部54が設けられている。
【0063】
規制部54は、棒状に形成され、逆止弁部52の下面から下方に垂設されている。規制部54の下端部は、逆止弁部52が第1縦供給流路6aを閉塞した状態で、第1連通孔10A(第3連通孔10C)にかかる位置まで延びている。ボール弁60は、弁座61から離間することで、第3流路6Cを通して、容器本体100からシリンダ31内へ内容物が流通するのを許容する。また、ボール弁60は、弁座61に着座することで、第3流路6C内を通して、シリンダ31内から容器本体100へ内容物が流通するのを防ぐ。
【0064】
また、第2実施形態では、図5に示すように、2つの第2ポンプ部30Bに対応して、2組の第2縦供給流路6b及び第4流路6Dが設けられている。第2縦供給流路6b及び第4流路6Dは、第1縦供給流路6a及び第3流路6Cと同様に、上下方向に連通している。また、第2実施形態では、第2連通孔10Bに第4連通孔10Dが一体化(共通化)されている。2つの第2縦供給流路6bは、図6に示すように、独立した流路で第2流路6Bに連通している。
【0065】
図5に示すように、第2縦供給流路6bと第4流路6Dとの連通部分にも、第1縦供給流路6aと第3流路6Cとの連通部分と同様にボール弁60が設けられている。なお、第1縦供給流路6aと第3流路6Cとの連通部分に配置されたボール弁60と、第2縦供給流路6bと第4流路6Dとの連通部分に配置されたボール弁60とを区別するため、第1縦供給流路6aと第3流路6Cとの連通部分に配置されたボール弁60は第1ボール弁60Aと称し、第2縦供給流路6bと第4流路6Dとの連通部分に配置されたボール弁60は第2ボール弁60Bと称する。
【0066】
第2ボール弁60Bは、弁座61から離間することで、第4流路6Dを通して、容器本体100からシリンダ31内へ空気が流通するのを許容する。また、第2ボール弁60Bは、弁座61に着座することで、第4流路6D内を通して、シリンダ31内から容器本体100へ空気が流通するのを防ぐ。
【0067】
上記構成の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、トリガー部21が後方に移動したときに、第2ポンプ部30B内に溜めた空気を積極的に流出させることができるため、内容物に混合する空気の量を増やすことができる。また、第2実施形態では、第2ポンプ部30Bが2つ設けられ、且つ、その1つ1つが第1ポンプ部30Aよりも容量が大きいため、内容物に対する空気の混合比を高めて、当該混合比を所定の値にする若しくは所定の値に近付けることが容易になり、泡質をより向上させることができる。例えば、第2実施形態では、空気と内容液との混合比(発泡倍率)を、所定の値(13:1=空気:内容物)にすることで、泡質を向上させることができる。
【0068】
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…トリガー式泡噴出器、2…噴出器本体、3…ノズル部材、3a…噴出孔、3b…混合室、4…カバー部材、5…パイプ部材、6a…第1縦供給流路、6A…第1流路、6b…第2縦供給流路、6B…第2流路、6C…第3流路、6D…第4流路、10…縦供給筒部、10A…第1連通孔、10B…第2連通孔、10C…第3連通孔、10D…第4連通孔、11…取付筒部、11a…フランジ、12…シール部材、13…装着キャップ、14A…第1ポンプ装着筒、14B…第2ポンプ装着筒、15…射出筒部、16…閉塞部材、17…中継筒部材、17a…第1連通流路、17b…第2連通流路、18…ホルダー、19…発泡部材、19a…メッシュ体、20…トリガー機構、21…トリガー部、21a…前板部、21b…側板部、22…回動軸、23A…第1連結軸、23B…第2連結軸、30A…第1ポンプ部、30B…第2ポンプ部、31…シリンダ、31a…ガイド筒、32…ピストン、32a…摺動部、32b…摺動体、32c…挿入孔、33…弁体、33a…当接部、50…弁部材、50A…第1弁部材、50B…第2弁部材、51…基部、52…逆止弁部、52B…第2逆止弁部、53…弾性変形部、54…規制部、60…ボール弁、60A…第1ボール弁、60B…第2ボール弁、61…弁座、100…容器本体、101…口部、102…ヘッドスペース、S1…隙間流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6