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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172149
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20241205BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20241205BHJP
   B05B 11/10 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B05B11/00 101Z
B05B11/10 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089689
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB03
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD25
(57)【要約】
【課題】吐出器本体からの押下ヘッドの予期せぬ離脱を抑制する。
【解決手段】吐出器本体3と、周方向に回転移動可能な押下ヘッド5と、押下ヘッド5が周方向の一の位置である規制位置に位置する状態で押下ヘッド5の下降を規制し、かつ、押下ヘッド5が周方向の他の位置である解除位置に位置する状態で押下ヘッド5の下降の規制を解除するロック機構11と、を備え、ロック機構11は、押下ヘッド5において径方向に対向する位置に設けられた一対のロック凸部12を複数組、備え、押下ヘッド5が規制位置に位置する状態では、複数組の一対のロック凸部12それぞれが吐出器本体3と係止することで、押下ヘッド5の下降が規制され、押下ヘッド5が解除位置に位置する状態では、複数組の一対のロック凸部12それぞれと吐出器本体3との係止が解除されることで、押下ヘッド5の下降の規制が解除される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体における口部の内側に、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムを有する吐出器本体と、
前記ステムの上端部に取り付けられ、内容液を吐出するノズル孔を有するとともに周方向に回転移動可能な押下ヘッドと、
前記押下ヘッドが周方向の一の位置である規制位置に位置する状態で前記押下ヘッドの下降を規制し、かつ、前記押下ヘッドが周方向の他の位置である解除位置に位置する状態で前記押下ヘッドの下降の規制を解除するロック機構と、を備え、
前記ロック機構は、前記押下ヘッドにおいて径方向に対向する位置に設けられた一対のロック凸部を複数組、備え、
前記押下ヘッドが前記規制位置に位置する状態では、複数組の前記一対のロック凸部それぞれが前記吐出器本体と係止することで、前記押下ヘッドの下降が規制され、
前記押下ヘッドが前記解除位置に位置する状態では、複数組の前記一対のロック凸部それぞれと前記吐出器本体との係止が解除されることで、前記押下ヘッドの下降の規制が解除される、吐出器。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記吐出器本体において径方向に対向する位置に設けられた一対のロック受け部を複数組、備え、
複数組の前記一対のロック受け部それぞれの組は、複数組の前記一対のロック凸部のうちの一組と対応し、
前記押下ヘッドが前記規制位置に位置する状態では、複数組の前記一対のロック凸部のそれぞれの下端が、各前記一対のロック凸部に対応する前記一対のロック受け部に対して、上方から係止することで、前記押下ヘッドの下降が規制され、
前記押下ヘッドが前記解除位置に位置する状態では、複数組の前記一対のロック凸部のそれぞれの下端と、各前記一対のロック凸部に対応する前記一対のロック受け部と、の係止が解除されることで、前記押下ヘッドの下降の規制が解除される、請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
複数組の前記一対のロック凸部のうち、第1の組の前記一対のロック凸部の下端と、第2の組の前記一対のロック凸部の下端と、では、上下方向の位置が異なる、請求項2に記載の吐出器。
【請求項4】
前記第1の組の前記一対のロック凸部の下端は、前記第2の組の前記一対のロック凸部の下端よりも下方に位置し、
前記複数組の前記一対のロック受け部のうち、前記第1の組の前記一対のロック凸部に対応する第1の組の前記一対のロック受け部はそれぞれ、ロック凹部を備え、
前記押下ヘッドが前記規制位置に位置する状態では、前記第1の組の前記一対のロック凸部のそれぞれの下端が、前記ロック凹部の内部に配置され、
前記押下ヘッドが前記解除位置に位置する状態では、前記第1の組の前記一対のロック凸部のそれぞれの下端が、前記ロック凹部の外部に配置される、請求項3に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような吐出器が知られている。この吐出器は、容器体における口部の内側に、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムを有する吐出器本体と、ステムの上端部に取り付けられ、内容液を吐出するノズル孔を有するとともに周方向に回転移動可能な押下ヘッドと、押下ヘッドが周方向の一の位置である規制位置に位置する状態で押下ヘッドの下降を規制し、かつ、押下ヘッドが周方向の他の位置である解除位置に位置する状態で押下ヘッドの下降の規制を解除するロック機構と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-034577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出器では、例えば、吐出器の意図しない落下時などにおいて、吐出器本体からの押下ヘッドの予期せぬ離脱を抑制することに改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、吐出器本体からの押下ヘッドの予期せぬ離脱を抑制することができる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係る吐出器は、容器体における口部の内側に、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムを有する吐出器本体と、前記ステムの上端部に取り付けられ、内容液を吐出するノズル孔を有するとともに周方向に回転移動可能な押下ヘッドと、前記押下ヘッドが周方向の一の位置である規制位置に位置する状態で前記押下ヘッドの下降を規制し、かつ、前記押下ヘッドが周方向の他の位置である解除位置に位置する状態で前記押下ヘッドの下降の規制を解除するロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記押下ヘッドにおいて径方向に対向する位置に設けられた一対のロック凸部を複数組、備え、前記押下ヘッドが前記規制位置に位置する状態では、複数組の前記一対のロック凸部それぞれが前記吐出器本体と係止することで、前記押下ヘッドの下降が規制され、前記押下ヘッドが前記解除位置に位置する状態では、複数組の前記一対のロック凸部それぞれと前記吐出器本体との係止が解除されることで、前記押下ヘッドの下降の規制が解除される。
【0007】
この吐出器では、例えば、使用者は、内容液の吐出時以外において、押下ヘッドを規制位置に配置しておく。このとき、複数組の一対のロック凸部それぞれが吐出器本体と係止することで、押下ヘッドの下降が規制される。
一方、使用者は、内容液の吐出時には、押下ヘッドを規制位置から解除位置に移動させる。このとき、複数組の一対のロック凸部それぞれと吐出器本体との係止が解除されることで、押下ヘッドの下降の規制が解除される。
なお、使用者が再び押下ヘッドの下降を規制するときには、使用者は、押下ヘッドを解除位置から規制位置に改めて回転移動させる。これにより、再び、複数組の一対のロック凸部が吐出器本体と係止することで、押下ヘッドの下降が規制される。
以上のように、この吐出器によれば、押下ヘッドを周方向に回転移動させることで、押下ヘッドの下降を規制し、また、その規制を解除することができる。
そしてこの吐出器では、ロック機構が、一対のロック凸部を、一組ではなく複数組備えている。これにより、ロック凸部が、押下ヘッドの周方向に広い範囲に配置される。よって、例えば、吐出器の意図しない落下時などにおいて、ロック凸部が、押下ヘッドの抜け止めとして機能することで、吐出器本体からの押下ヘッドの予期せぬ離脱を抑制することができる。
【0008】
<2>上記<1>に係る吐出器では、前記ロック機構は、前記吐出器本体において径方向に対向する位置に設けられた一対のロック受け部を複数組、備え、複数組の前記一対のロック受け部それぞれの組は、複数組の前記一対のロック凸部のうちの一組と対応し、前記押下ヘッドが前記規制位置に位置する状態では、複数組の前記一対のロック凸部のそれぞれの下端が、各前記一対のロック凸部に対応する前記一対のロック受け部に対して、上方から係止することで、前記押下ヘッドの下降が規制され、前記押下ヘッドが前記解除位置に位置する状態では、複数組の前記一対のロック凸部のそれぞれの下端と、各前記一対のロック凸部に対応する前記一対のロック受け部と、の係止が解除されることで、前記押下ヘッドの下降の規制が解除される構成を採用してもよい。
【0009】
押下ヘッドが規制位置に位置する状態では、複数組の一対のロック凸部のそれぞれが、各一対のロック凸部に対応する一対のロック受け部の下端に対して、上方から係止することで、押下ヘッドの下降が規制される。したがって、例えば、吐出器の意図しない落下時などにおいて、ロック凸部とロック受け部との間に生じる衝撃力を、押下ヘッドの周方向の広い範囲に分散させること等ができる。
【0010】
<3>上記<2>に係る吐出器では、複数組の前記一対のロック凸部のうち、第1の組の前記一対のロック凸部の下端と、第2の組の前記一対のロック凸部の下端と、では、上下方向の位置が異なる構成を採用してもよい。
【0011】
複数組の一対のロック凸部のうち、第1の組の一対のロック凸部の下端と、第2の組の一対のロック凸部の下端と、では、上下方向の位置が異なる。したがって、例えば、前述のような、落下時の衝撃力を分散させるという作用効果を顕著に奏功させることができる。
【0012】
<4>上記<3>に係る吐出器では、前記第1の組の前記一対のロック凸部の下端は、前記第2の組の前記一対のロック凸部の下端よりも下方に位置し、前記複数組の前記一対のロック受け部のうち、前記第1の組の前記一対のロック凸部に対応する第1の組の前記一対のロック受け部はそれぞれ、ロック凹部を備え、前記押下ヘッドが前記規制位置に位置する状態では、前記第1の組の前記一対のロック凸部のそれぞれの下端が、前記ロック凹部の内部に配置され、前記押下ヘッドが前記解除位置に位置する状態では、前記第1の組の前記一対のロック凸部のそれぞれの下端が、前記ロック凹部の外部に配置される構成を採用してもよい。
【0013】
押下ヘッドが規制位置に位置する状態では、第1の組の一対のロック凸部のそれぞれの下端が、ロック凹部の内部に配置される。このとき、第1の組の一対のロック凸部のそれぞれの下端は、ロック受け部に対して上方から係止しつつ、ロック凹部において径方向を向く面に対しても、径方向から対向する。その結果、吐出器本体からの押下ヘッドの予期せぬ離脱をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吐出器本体からの押下ヘッドの予期せぬ離脱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る吐出器の縦断面図であって、押下ヘッドが解除位置に位置する状態を示す図である。
図2図1に示すII-II矢視を示す縦断面図である。
図3図1に示す吐出器に含まれる装着キャップの側面図である。
図4図3に示す装着キャップの上面図である。
図5図1に示す吐出器に含まれる押下ヘッドの縦断面図である。
図6図5に示す押下ヘッドの下面図である。
図7図2に示すVII-VII矢視を示す横断面図である。
図8図1に相当する縦断面図であって、押下ヘッドが規制位置に位置する状態を示す図である。
図9図8に示すIX-IX矢視を示す縦断面図である。
図10図8に示すX-X矢視を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る吐出器の一実施形態について図1から図10を参照して説明する。
図1図2に示すように、本実施形態の吐出器1は、ステム21を有するポンプモジュール2と、ステム21に装着された押下ヘッド5と、ポンプモジュール2を内容液が収容された容器体Aの口部A1に装着する装着キャップ7と、を備えている。ポンプモジュール2および装着キャップ7は、吐出器本体3を構成している。
吐出器1を構成する全ての部品は、合成樹脂材料により形成されている。
【0017】
ステム21および装着キャップ7は、共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線Oに沿って押下ヘッド5側を上側、容器体Aの底部側を下側という。また、中心軸線Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
容器体Aは、有底筒状に形成され、口部A1の外周面に雄ねじが形成されている。容器体Aは、中心軸線Oと同軸に配設されている。
装着キャップ7は、環状の天壁および周壁を有する有頂筒状に形成されている。装着キャップ7の天壁の内側に、ステム21が上下動可能に挿入されている。装着キャップ7の周壁の内周面に、口部A1の雄ねじに螺合する雌ねじが形成されている。なお、装着キャップ7の周壁は、口部A1に、例えばアンダーカット嵌合等されてもよい。
【0019】
図1から図4に示すように、装着キャップ7は、天壁の内周縁部から上方に向けて突出した案内筒73を備えている。案内筒73は、中心軸線Oと同軸に配設されている。案内筒73の上端部には、周条74と、切欠き75と、第1縦溝76と、第2縦溝77と、が設けられている。
図3および図4に示すように、周条74は、周方向の全周にわたって延びる。周条74は、案内筒73から径方向の外側に向けて突出している。周条74の上端は、案内筒73の上端と一致している。
【0020】
切欠き75は、案内筒73の上端から下方に窪んでいる。切欠き75は、上方に開口している。切欠き75は、案内筒73の上端部を径方向に貫通する。切欠き75は、周条74を上下方向に貫通する。切欠き75には、後述するノズル筒部54が進入可能である。
第1縦溝76は、切欠き75に対して、中心軸線Oを間に挟んだ反対側の位置に配置されている。第1縦溝76は、周条74を上下方向に貫通する。第1縦溝76は、案内筒73の上端部を径方向に貫通してはいない。
第2縦溝77は、周方向に沿って、切欠き75および第1縦溝76の中間に位置する部分に配置されている。第2縦溝77は、中心軸線Oを間に挟んで一対、設けられている。各第2縦溝77は、周条74を上下方向に貫通する。各第2縦溝77は、案内筒73の上端部を径方向に貫通してはいない。
【0021】
なお以下では、中心軸線Oに対して切欠き75が位置する方向を前方という。中心軸線Oに対して第1縦溝76が位置する方向を後方という。中心軸線O、切欠き75および第1縦溝76が通る方向を前後方向という。中心軸線Oおよび一対の第2縦溝77が通る方向を左右方向という。上下方向、前後方向および左右方向は、互い直交し合う。平面視において、中心軸線Oに交差し、切欠き75および第1縦溝76を通る軸を第1軸L1という。平面視において、中心軸線Oに交差し、一対の第2縦溝77を通る軸を第2軸L2という。中心軸線O、第1軸L1および第2軸L2は、互いに直交し合う。
【0022】
周条74は、切欠き75、第1縦溝76、第2縦溝77によって4つの突条78に区画される。4つの突条78には、一対の第1突条78aと、一対の第2突条78bと、が含まれる。一対の第1突条78aは、互いに径方向に対向する位置に配置されている。各第1突条78aは、各第2縦溝77に対して、周方向の第1側に位置している。一対の第2突条78bは、互いに径方向に対向する位置に配置されている。各第2突条78bは、切欠き75または第1縦溝76に対して、周方向の第1側に位置している。なお図示の例では、周方向の第1側は、吐出器1を上方から見た平面視における時計回りの側である。
【0023】
図1および図2に示すように、ポンプモジュール2は、ステム21、ピストンガイド40、ピストン22、シリンダ23、下部弁体24、リング41および付勢部材25を備えている。
【0024】
シリンダ23は、環状の底壁および周壁を有する有底筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。シリンダ23の底壁における内周縁部に、下方に向けて延びる取付筒27が設けられている。取付筒27には、吸上筒28(パイプ)の上端部が嵌合されている。吸上筒28の下端開口部は、容器体Aの底部内に位置する。
シリンダ23の周壁の上端部に、径方向の外側に向けて突出するとともに、周方向に延びる固定フランジ部29が形成されている。固定フランジ部29は、パッキン9を介して容器体Aの口部A1の上端開口縁に配置される。固定フランジ部29の上面には、装着キャップ7の天壁の下面が配置されている。シリンダ23の周壁の下端部内に、下部弁体24が設けられている。
【0025】
下部弁体24は、嵌合筒31、弁本体32、および連結片33を備えている。
嵌合筒31は、シリンダ23の周壁の下端部内に嵌合されている。弁本体32は板状に形成され、シリンダ23の底壁の上面における開口周縁部に着座し、シリンダ23の底壁の内側を閉塞している。弁本体32は、嵌合筒31の内周面に、弾性変形可能な連結片33を介して連結されている。弁本体32は、連結片33の弾性変形に伴い上下方向に弾性変位する。
下部弁体24は、シリンダ23内の加圧時に、シリンダ23の底壁の内側を閉塞した状態に保持し、シリンダ23内の減圧時に、シリンダ23の底壁の内側を開放する逆止弁となっている。これにより、下部弁体24は、シリンダ23内の加圧時に、シリンダ23内の内容液がシリンダ23の底壁の内側を通じて容器体Aに戻ることを阻止する一方、シリンダ23内の減圧時に、容器体A内の内容液をシリンダ23の底壁の内側を通じてシリンダ23内に流入させる。
【0026】
ステム21は、口部A1に上方付勢状態で下方移動可能に立設される。ステム21は、筒状に形成されている。ステム21の下端部21aは、シリンダ23内に収容されている。ステム21の下端部21aは、ステム21において下端部21aよりも上側に位置する部分よりも拡径している。ステム21の上部は、シリンダ23の上端開口部より上方に位置している。
【0027】
ピストンガイド40は、ステム21に対して下方から取り付けられている。ピストンガイド40は、有底筒状に形成されている。ピストンガイド40の上端部は、ステム21において、下端部21aよりも上側に位置する部分内に嵌め込まれている。ピストンガイド40には、径方向に貫く連通孔34が形成されている。ピストンガイド40には、径方向の外側に突出した台座部35が形成されている。台座部35は、ピストンガイド40のうち、連通孔34より下方に位置する部分に形成されている。台座部35は、ピストン22を、ピストン22の下方から支持している。
【0028】
ピストン22は、外筒38、内筒37、および連結板39を備えている。
外筒38は、円筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に設けられている。外筒38は、シリンダ23内に上下摺動可能に嵌合されている。シリンダ23において、外筒38と径方向で対向する部分に、径方向に貫通する貫通孔が形成されている。
内筒37は、円筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に設けられている。内筒37の下端部は、ピストンガイド40の台座部35に離反可能に着座している。これにより、内筒37は、シリンダ23内において、ピストン22より下方に位置する部分(以下、下室23aという)と、ピストンガイド40の連通孔34と、の連通、およびその遮断を切替える。このようなピストンガイド40は、ポンプモジュール2における上部弁体として機能する。内筒37の上部は、ステム21の下端部21a内に上下摺動可能に嵌合されている。
連結板39は、外筒38の内周面と内筒37の外周面とを連結し、周方向の全長にわたって連続して延びている。連結板39の上面は、ステム21の下端開口縁(下端部21a)と上下方向の隙間をあけた状態で対向している。
【0029】
図1図2図5図6に示すように、押下ヘッド5は、頂壁部51および外筒部52を有する有頂筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。外筒部52は、装着キャップ7の案内筒73より径方向の外側に設けられている。外筒部52の下端部は、案内筒73の上端部より下方に位置している。
【0030】
押下ヘッド5は、頂壁部51から下方に突出した装着筒部53と、装着筒部53から径方向の外側に向けて延び、外筒部52を径方向に貫くノズル筒部54と、頂壁部51から下方に延びるリブ55と、を有する。ノズル筒部54の先端には、径方向に開口するノズル孔54aが形成されている。ノズル筒部54の内部は、装着筒部53内に連通している。装着筒部53は、中心軸線Oと同軸に配設されている。装着筒部53の下端部は、外筒部52の下端部よりも上方に位置している。装着筒部53の外側には、ステム21の上端部が嵌合されている。装着筒部53は、ステム21内に挿入されている。リブ55における径方向の内側の端部は、装着筒部53の外周面に接続されている。リブ55における径方向の外側の端部は、外筒部52の内周面から離れている。リブ55の下端の上下方向の位置は、ノズル筒部54の下端の上下方向の位置と同等である。リブ55は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0031】
図1および図2に示すように、リング41は、ピストン22など、シリンダ23内の部品の抜け止めとして機能する。リング41は、シリンダ23の上端部に装着されている。リング41内には、ステム21が挿通されている。リング41は、中心軸線Oと同軸に配置されている。
リング41は、板部42と、下筒部43と、上筒部44と、を備えている。板部42は、表裏面が上下方向を向く環状の板である。板部42の外周部は、固定フランジ部29上に配置されている。板部42の外周部は、固定フランジ部29と装着キャップ7との間に上下方向に挟まれている。下筒部43は、板部42から下方に延びている。下筒部43は、シリンダ23の上端部内に嵌合されている。下筒部43は、シリンダ23の上端部とステム21の下端部21aとの間に配置されている。上筒部44は、板部42から上方に延びている。上筒部44は、ステム21において下端部21aよりも上方に位置する部分を、径方向の外側から覆っている。
【0032】
付勢部材25は、リング41から上方に延びる。付勢部材25は、シリンダ23の外部に配置されている。付勢部材25は、全体として筒状に形成されている。付勢部材25は、板部42を上下方向に挟んで下筒部43の反対側に配置されている。付勢部材25は、ステム21を径方向の外側から囲っている。付勢部材25は、案内筒73の内部に配置されている。付勢部材25の下端部は、リング41の上面に固定されている。付勢部材25の上端部は、押下ヘッド5によって上方から支持されている。付勢部材25の上端面は、周方向の全長にわたって、上下方向の同じ位置に位置するとともに、上方を向く平坦面となっている。付勢部材25の上端面は、ノズル筒部54およびリブ55の各下面に支持されている。なお、付勢部材25の形態としては、公知の樹脂ばねの形態を適宜採用することが可能である。
【0033】
前述したように、付勢部材25の上端部は、押下ヘッド5によって上方から支持されている。すなわち、押下ヘッド5は、付勢部材25の上端部を支持する上支持部10として機能する。上支持部10は、押下ヘッド5が押下されたときに下降して付勢部材25を押下する。付勢部材25は、上支持部10(押下ヘッド5)を介して、ステム21を装着キャップ7に対して上方に付勢している。
【0034】
上述した吐出器1の基本的な作用について説明する。
【0035】
押下ヘッド5を押し下げると、付勢部材25が上下方向に弾性的に圧縮変形されながらステム21が下降し、ピストンガイド40の台座部35とピストン22の内筒37との間のシールが解除され、シリンダ23内の下室23aと、ピストンガイド40の連通孔34と、が連通する。この状態からさらに押下ヘッド5を継続して押し下げると、ステム21の下端開口縁がピストン22の連結板39の上面に当接することで、ピストン22も押下ヘッド5とともに下方移動する。これにより、シリンダ23内の下室23aが加圧され、シリンダ23内の内容液が、台座部35とピストン22との間の上下方向の隙間、連通孔34、ステム21内、装着筒部53内、およびノズル筒部54内をこの順に通過して、ノズル孔54aから吐出される。この際、下部弁体24の弁本体32が、シリンダ23の底壁の上面における開口周縁部に着座した状態に保たれる。
【0036】
その後、押下ヘッド5の押し下げを解除すると、付勢部材25による上方付勢力により、押下ヘッド5がステム21とともに上方に復元移動する。この過程において、ピストンガイド40の台座部35が、ピストン22にピストン22の下方から当接し、台座部35と内筒37との間がシールされることで、シリンダ23内の下室23aと、ピストンガイド40の連通孔34と、の連通が遮断され、その後継続して、ピストン22も押下ヘッド5とともに上方に移動すると、シリンダ23内の下室23aが減圧され、下部弁体24における弁本体32が、連結片33を弾性変形させつつ、シリンダ23の底壁の上面における開口周縁部から上方に離間することで、容器体A内の内容液が、吸上筒28内を通してシリンダ23内に流入する。
【0037】
ここで図1から図10に示すように、本実施形態では、吐出器1が、ロック機構11を更に備えている。
ロック機構11は、上支持部10(押下ヘッド5)の下降の規制およびその解除を切り替える。図示の例では、ロック機構11は、押下ヘッド5および装着キャップ7に設けられている。押下ヘッド5と装着キャップ7と(吐出器本体3)が相対的に回転することで、ロック機構11が押下ヘッド5の下降の規制およびその解除を切り替える。なお押下ヘッド5は、ステム21に対して回転移動可能であってもよく、ステム21と一体的に回転移動可能であってもよい。押下ヘッド5としては、容器体Aや装着キャップ7に対して回転移動可能な形態を適宜採用することが可能である。
【0038】
図8から図10に示すように、ロック機構11は、押下ヘッド5が周方向の一の位置である規制位置に位置する状態で、押下ヘッド5の下降を規制する。押下ヘッド5が規制位置に位置する状態では、押下ヘッド5のノズル孔54aは、前方(第1軸L1)に対して周方向にずらされた向きに開口している。
また図1図2図7に示すように、ロック機構11は、押下ヘッド5が周方向の他の位置である解除位置に位置する状態で押下ヘッド5の下降の規制を解除する。押下ヘッド5が規制位置に位置する状態では、押下ヘッド5のノズル孔54aは前方に開口している。
【0039】
ロック機構11は、押下ヘッド5に設けられたロック凸部12と、装着キャップ7(吐出器本体3)に設けられたロック受け部17と、を備えている。
【0040】
図5および図6に示すように、ロック凸部12は、押下ヘッド5における外筒部52の内周面に設けられている。ロック凸部12は、上下方向に長い突条である。ロック凸部12は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。ロック凸部12は、中心軸線Oを間に挟んで2つ設けられている。ロック凸部12は、押下ヘッド5において径方向に対向する位置に一対、設けられている。
【0041】
そして本実施形態は、ロック機構11は、一対のロック凸部12を複数組、備えている。ロック機構11は、一対のロック凸部12として、第1の組の一対のロック凸部12と、第2の組の一対のロック凸部12と、を備えている。
以下、前記第1の組に属するロック凸部12を、第1ロック凸部12aともいう。前記第2の組に属するロック凸部12を、第2ロック凸部12bともいう。第1の組の一対のロック凸部12は、一対の第1ロック凸部12aであり、第2の組の一対のロック凸部12は、一対の第2ロック凸部12bである。
【0042】
一対の第1ロック凸部12aそれぞれの上端、および、一対の第2ロック凸部12bそれぞれの上端は、頂壁部51またはノズル筒部54に連なっている。本実施形態では、一対の第1ロック凸部12aそれぞれの上端、および、一対の第2ロック凸部12bのうち、後方に位置する第2ロック凸部12bの上端は、頂壁部51に連なっている。一対の第2ロック凸部12bのうち、前方に位置する第2ロック凸部12bの上端が、ノズル筒部54に連なっている。
【0043】
一対の第1ロック凸部12aそれぞれの下端、および、一対の第2ロック凸部12bそれぞれの下端は、外筒部52の下端よりも上方に位置している。一対の第1ロック凸部12aの下端と、一対の第2ロック凸部12bの下端と、は、上下方向の位置が異なる。一対の第1ロック凸部12a同士の下端の上下方向の位置は、互いに同等である。一対の第2ロック凸部12b同士の下端の上下方向の位置は、互いに同等である。そして、一対の第1ロック凸部12aの下端は、一対の第2ロック凸部12bの下端よりも下方に位置している。一対の第1ロック凸部12aは、一対の第2ロック凸部12bよりも上下方向に長い。
【0044】
なお図示の例では、一対の第1ロック凸部12aの周方向の大きさ(幅)は、互いに異なる。一対の第2ロック凸部12bの周方向の大きさ(幅)は、互いに同等である。ただし、一対の第1ロック凸部12aの周方向の大きさ(幅)が、互いに同等であってもよい。一対の第2ロック凸部12bの周方向の大きさ(幅)が、互いに異なっていてもよい。
【0045】
図3および図4に示すように、ロック受け部17は、装着キャップ7における案内筒73の外周面に設けられている。ロック受け部17は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。ロック受け部17は、中心軸線Oを間に挟んで2つ設けられている。ロック受け部17は、吐出器本体3において径方向に対向する位置に一対、設けられている。
【0046】
そして本実施形態は、ロック機構11は、一対のロック受け部17を複数組、備えている。複数組の一対のロック受け部17それぞれの組は、複数組の一対のロック凸部12のうちの一組と対応している。ロック機構11は、一対のロック受け部17として、第1の組の一対のロック受け部17と、第2の組の一対のロック受け部17と、を備えている。第1の組の一対のロック受け部17は、第1の組の一対のロック凸部12(一対の第1ロック凸部12a)と対応する。第2の組の一対のロック受け部17は、第2の組の一対のロック凸部12(一対の第2ロック凸部12b)と対応する。
以下、前記第1の組に属するロック受け部17を、第1ロック受け部17aともいう。前記第2の組に属するロック受け部17を、第2ロック受け部17bともいう。第1の組の一対のロック受け部17は、一対の第1ロック受け部17aであり、第2の組の一対のロック受け部17は、一対の第2ロック受け部17bである。
【0047】
各ロック受け部17は、前記突条78を1つずつ含む。本実施形態では、各第1ロック受け部17aは、第1突条78aを1つずつ含み、各第2ロック受け部17bは、第2突条78bを1つずつ含む。
【0048】
さらに本実施形態では、一対の第1ロック受け部17aはそれぞれ、ロック凹部13を備えている。ロック凹部13は、第1突条78aに設けられた周溝である。ロック凹部13は、ロック凸部12と対応して、周方向に複数設けられている。本実施形態では、ロック凹部13は、中心軸線Oを間に挟んで2つ(一対)設けられている。ロック凹部13は、切欠き75の上端、または、第1縦溝76の上端から、周方向の第1側に延びる溝である。
両ロック凹部13は、上方に開口しているものの、下方には非開口である。言い換えると、両ロック凹部13は、各ロック凹部13に対して下方に位置する底面14を備えている。底面14は、上方を向いている。なお両ロック凹部13は、径方向の外側を向く側面15と、周方向の第2側(第1側の反対側)を向く端面16と、も備えている。両ロック凹部13は、周方向の第1側にも非開口である。側面15には、段部15aが設けられている。段部15aは、側面15における周方向の第2側に位置する部分に設けられている。段部15aには、第1ロック凸部12aが、周方向に乗り越え可能に係止(接触)する。
【0049】
このロック機構11では、図1図2および図7に示すように、押下ヘッド5が解除位置に位置する状態で、複数組の一対のロック凸部12それぞれと吐出器本体3との係止が解除されることで、押下ヘッド5の下降の規制が解除される。このとき、複数組の一対のロック凸部12のそれぞれの下端と、各一対のロック凸部12に対応する一対のロック受け部17と、の係止が解除されることで、押下ヘッド5の下降の規制が解除される。本実施形態では、第1ロック凸部12aの下端は、第1ロック受け部17aのロック凹部13の外部に配置されて第2縦溝77に位置する。第2ロック凸部12bの下端は、切欠き75または第1縦溝76に位置する。言い換えると、複数組の一対のロック凸部12のそれぞれが、各一対のロック凸部12に対応する一対のロック受け部17に対して、周方向の位置がずらされる。押下ヘッド5の解除位置において、押下ヘッド5の下降が許容される。解除位置で押下ヘッド5を押下すると、ロック凸部12が切欠き75、第1縦溝76、第2縦溝77によって上下方向に案内されながら下降する。
【0050】
一方、図8から図10に示すように、押下ヘッド5が規制位置に位置する状態で、複数組の一対のロック凸部12それぞれが吐出器本体3と係止することで、押下ヘッド5の下降が規制される。このとき、複数組の一対のロック凸部12のそれぞれの下端が、各一対のロック凸部12に対応する一対のロック受け部17に対して、上方から係止することで、押下ヘッド5の下降が規制される。本実施形態では、第1ロック凸部12aの下端は、第1ロック受け部17aのロック凹部13の内部に配置され、底面14に対して上方から係止する。第2ロック凸部12bの下端は、第2ロック受け部17bの第2突条78bの上端面79に対して上方から係止する。言い換えると、複数組の一対のロック凸部12のそれぞれが、各一対のロック凸部12に対応する一対のロック受け部17に対して、周方向の位置が重なる。その結果、押下ヘッド5の規制位置において、押下ヘッド5におけるロック凸部12の下端が、ロック受け部17のロック面(ロック凹部13の底面14や、第2突条78bの上端面79)に接触(係止)することによって、押下ヘッド5の下降が規制される。
【0051】
次に、ロック機構11を中心としたこの吐出器1の作用について説明する。
【0052】
この吐出器1では、使用者が、例えば内容液の吐出時以外において、押下ヘッド5の下降を規制するときには、使用者は、押下ヘッド5を図1図2図7に示す解除位置から図8から図10に示す規制位置(周方向の第1側)に回転移動させる。このとき、第1ロック凸部12aが段部15aを周方向の第1側に乗り越える。
【0053】
第1ロック凸部12aが段部15aを乗り越え、第1ロック凸部12aがロック凹部13に配置されると(すなわち、押下ヘッド5が規制位置に位置すると)、第1ロック凸部12aとロック凹部13(の底面14)とが係止し、第2ロック凸部12bと第2突条78b(の上端面79)とが係止する。これにより、押下ヘッド5の下降が規制される。さらにこのとき、押下ヘッド5の規制位置から解除位置に向けた回転移動は、段部15aによって規制される。本実施形態では、第1ロック凸部12aが段部15aに周方向の第2側から係止して、押下ヘッド5の周方向の第2側への回転が規制される。またこのとき、押下ヘッド5の更なる第1側への回転は、第1ロック凸部12aとロック凹部13(の端面16)とが係止することで規制される。
【0054】
一方、使用者は、内容液の吐出時には、押下ヘッド5を規制位置から解除位置(周方向の第2側)に回転移動させる。このとき、第1ロック凸部12aが段部15aを周方向の第2側に乗り越える。すると、ロック凸部12とロック受け部17との係止が解除されることで、押下ヘッド5の下降の規制が解除される。このとき、第1ロック凸部12aが第2縦溝77に配置され、第2ロック凸部12bが、切欠き75または第1縦溝76に配置される。そして、押下ヘッド5の更なる第2側への回転は、第1ロック凸部12aと第2突条78bとが係止することで規制される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出器1によれば、押下ヘッド5を周方向に回転移動させることで、押下ヘッド5の下降を規制し、また、その規制を解除することができる。よって、押下ヘッド5の下降の規制およびその解除のために、例えば、前記従来技術のように、吐出器本体3から取り外されたストッパ部材を再度、利用すること等が必要ない。これにより、吐出器1の利便性を向上させることができる。
【0056】
そしてこの吐出器1では、ロック機構11が、一対のロック凸部12を、一組ではなく複数組備えている。これにより、ロック凸部12が、押下ヘッド5の周方向に広い範囲に配置される。よって、例えば、吐出器1の意図しない落下時などにおいて、ロック凸部12が、押下ヘッド5の抜け止めとして機能することで、吐出器本体3からの押下ヘッド5の予期せぬ離脱を抑制することができる。
【0057】
押下ヘッド5が規制位置に位置する状態では、複数組の一対のロック凸部12のそれぞれが、各一対のロック凸部12に対応する一対のロック受け部17の下端に対して、上方から係止することで、押下ヘッド5の下降が規制される。したがって、例えば、吐出器1の意図しない落下時などにおいて、ロック凸部12とロック受け部17との間に生じる衝撃力を、押下ヘッド5の周方向の広い範囲に分散させること等ができる。
【0058】
複数組の一対のロック凸部12のうち、一対の第1ロック凸部12aの下端と、一対の第2ロック凸部12bの下端と、では、上下方向の位置が異なる。したがって、例えば、前述のような、落下時の衝撃力を分散させるという作用効果を顕著に奏功させることができる。
【0059】
押下ヘッド5が規制位置に位置する状態では、一対の第1ロック凸部12aのそれぞれの下端が、ロック凹部13の内部に配置される。このとき、一対の第1ロック凸部12aのそれぞれの下端は、ロック受け部17(ロック凹部13の底面14)に対して上方から係止しつつ、ロック凹部13において径方向を向く側面15に対しても、径方向から対向する。その結果、吐出器本体3からの押下ヘッド5の予期せぬ離脱をより抑制することができる。
【0060】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0061】
ロック機構11の構成は前記実施形態に示した構成に限られない。例えば、ロック凸部12が、押下ヘッド5の外筒部52の外周面にあってもよく、押下ヘッド5の他の構成にあってもよい。ロック凹部13についても同様に、吐出器本体3の装着キャップ7とは異なる構成にあってもよい。
吐出器1を構成する全ての部品が合成樹脂製でなくてもよい。
【0062】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 吐出器
3 吐出器本体
5 押下ヘッド
11 ロック機構
12 ロック凸部
13 ロック凹部
17 ロック受け部
21 ステム
54a ノズル孔
A 容器体
A1 口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10